JP3668045B2 - 帯状部材の張力制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、長手方向に搬送される帯状部材の張力を制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、巻出し機に巻き付けられている帯状部材を、その長手方向に繰り出すとともに、搬送ローラを介して次工程に供給するような場合には、巻出し機側の環境変化、あるいは次工程側の環境変化などの原因により、搬送ローラに供給される帯状部材の張力が変動する可能性がある。このような帯状部材の搬送および処理をおこなうような状態としては、缶体の製造工程が例示される。この缶体の製造工程においては、金属製缶体の外面に、予め模様や文字などの印刷が施されている熱可塑性樹脂フィルム(帯状部材)を貼着する作業がおこなわれる場合がある。このような工程では、フィルムに印刷されている絵柄のピッチが、基準ピッチとは異なる場合は、フィルムを搬送する搬送ローラの回転速度が制御されるために、フィルムの張力が変化してしまう可能性がある。
【0003】
そこで、巻出し機から繰り出された帯状部材が搬送ローラに供給される場合の張力を一定の状態に制御するための発明の一例が、実開平1−153233号公報、実公平3−44138号公報に記載されている。実開平1−153233号公報に記載された装置は、帯状印刷物(帯状部材)が掛け回される一対の固定ローラと、この一対の固定ローラの間に配置されたダンサローラとを有している。このダンサローラは、支軸を支点として揺動できるように構成されているとともに、一方の固定ローラにより搬送される帯状印刷物がダンサローラに掛け回された後に、他方の固定ローラに掛け回されている。そして、帯状印刷物の張力に応じて変化するダンサローラの揺動角度に基づいて、帯状印刷物の張力が判断されている。
【0004】
また、実公平3−44138号公報に記載された送り装置は、テープ(帯状部材)が巻かれたボビンと、モータにより駆動される駆動ローラと、駆動ローラに接触する従動ローラと、支持部材により回動自在に支持されたテンションレバーと、テンションレバーの回転角度を検出する角度検出器と、テンションレバーに取り付けられたテンションローラと、加工布を押える押え足とを有する。そして、ボビンから繰り出されたテープが従動ローラを経由して駆動ローラに巻き掛けられている。さらに、テープがテンションローラを経由して押え足に送られている。
【0005】
そして、テープの搬送中にはテープの張力によりテンションローラに力が作用し、この力によってテンションレバーが支軸を中心として揺動する。すると、テンションレバーの回転角度が角度検出器により検出されるとともに、この検出結果に基づいてテープの張力が判断される。そして、この判断結果に基づいて駆動モータを制御することにより、テープの張力が調整されるものとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記各公報に記載された装置においては、アームまたはテンションレバーが支軸を中心として揺動することにともない、ダンサローラまたはテンションローラが円弧状の軌跡で移動する。すると、帯状部材が、ダンサローラまたはテンションローラの前側領域と後側領域との成す角度が変動してしまう。このため、帯状部材の張力を正確に検出するためには、アームまたはテンションレバーの揺動角度(揺動位置)と、帯状部材の張力との相関関係を事前に予測した上で、張力を判断しなければならない。したがって、この判断のために膨大なデータや設定値、もしくは複雑な計算式を含むプログラムならびに処理装置が必要になり、制御装置の複雑化およびコスト高を招く問題があった。
【0007】
また、可動案内部材が円弧状の軌跡で移動するために、アームまたはテンションレバーの支軸からダンサローラまたはテンションローラまでの長さ(言い換えれば可動案内部材の動作半径)や、可動案内部材の初期設定位置の変化により、アームまたはテンションレバーの揺動角度と帯状部材の張力との相関関係が不安定になり、帯状部材の張力制御を安定しておこなうことが困難であった。上記のような不都合が生じると、帯状部材の皺や蛇行が生じる可能性がある。
【0008】
この発明は上記の事情を背景としてなされたもので、帯状部材の張力の制御精度を高めることができる帯状部材の張力制御装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、帯状部材を長手方向に搬送する複数の搬送機構と、この複数の搬送機構同士の間の搬送経路に配置されて前記帯状部材の搬送方向を変換するとともに、かつ、前記帯状部材の搬送方向の変換部分の前側領域と後側領域とが相互に実質平行になるように前記帯状部材が掛け回される可動案内部材と、この可動案内部材を前記帯状部材の張力変化に応じて動作可能に保持するとともに、この可動案内部材の動作方向を、前記帯状部材の搬送方向の変換部分の前側領域、および前記帯状部材の搬送方向の変換部分の後側領域と実質平行な方向になるように制御する動作方向設定機構と、前記帯状部材の張力に応じて前記可動案内部材に力を付与する一定の弾性係数を有する弾性機構と、前記可動案内部材の動作量に基づいて前記帯状部材の張力を判断する張力判断機構とを備え、前記張力判断機構からの信号に基づいて前記帯状部材の張力を制御する帯状部材の張力制御装置において、前記弾性機構は、前記帯状部材の張力に応じて前記可動案内部材に対して作用する力とは反対向きの力を前記可動案内部材に付与する第1の圧縮コイルスプリングを有しており、前記帯状部材の張力に応じて前記可動案内部材に対して作用する力と同じ向きの力を前記可動案内部材に付与する第2の圧縮コイルスプリングが設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項1の発明によれば、可動案内部材が、搬送される帯状部材と実質平行な方向に動作するため、帯状部材の搬送方向の変換部分の前側領域と後側領域とが実質平行な状態に維持される。また、帯状部材の張力に応じて可動案内部材に対して作用する力とは反対向きの力が、第1の圧縮コイルスプリングから可動案内部材に対して付与されている。このため、複数の搬送機構同士の間の搬送経路における帯状部材の張力を、可動案内部材の動作量に基づいて一義的に判断することができる。また、帯状部材の張力に応じて可動案内部材に対して作用する力と同じ向きの力が、第2の圧縮コイルスプリングから可動案内部材に付与される。この第2の圧縮コイルスプリングは、ショックアブソーバとして機能する。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記動作方向設定機構が直線状のガイド部材を有し、前記弾性機構が、前記帯状部材の張力に応じて前記可動案内部材に作用する力とは反対向きの力を前記可動案内部材に付与する金属製の圧縮コイルスプリングを有し、この金属製の圧縮コイルスプリングが前記ガイド部材に対して着脱自在となるように構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の発明によれば、請求項1と同様の作用が生じるほかに、金属製の圧縮コイルスプリングを取り替えてそのばね定数を変更することにより、帯状部材の張力に対応する可動案内部材の動作を顕著化させることができる。さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記動作方向設定機構は、水平に延ばされた軌道と、この軌道に水平移動可能に取り付けられたラックベースとを有しており、このラックベースに、前記可動案内部材が水平移動可能に取り付けられていることを特徴とするものである。請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の作用が生じるほかに、ラックベースおよび可動案内部材が水平移動する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図面を参照して具体的に説明する。図2はこの発明を適用し缶体用フィルム貼着システムK1の全体構成を示す略示的な正面図であり、缶体用フィルム貼着システムK1は、ロール状に巻かれた帯状フィルム1を繰り出す巻出し機構(巻出しステーション)2と、帯状フィルム1同士を接合するための接合機構(接合ステーション)3と、接合機構3を経由して搬送される帯状フィルム1の張力を制御する張力制御機構(張力制御ステーション)4と、張力制御機構4を経由して搬送される帯状フィルム1の幅方向の蛇行を調整する蛇行調整機構(蛇行調整ステーション)5と、蛇行調整機構5を経由して搬送される帯状フィルム1を所定の長さ毎に切断する切断機構(切断ステーション)6と、切断されたフィルムを円筒形状の金属製缶体に貼着するための貼着機構(貼着ステーション)7とを有している。
【0014】
前記帯状フィルム1は、金属製の缶体に貼着されるフイルムであり、この帯状フィルム1としては、熱可塑性樹脂フイルムが用いられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸との共重合体などよりなる共重合ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン共重合体などのうちから選ばれた透明な高分子樹脂単体、あるいは上記樹脂の複合体からなる熱可塑性樹脂フイルムが用いられる。
【0015】
なお、樹脂フイルムの厚さは適宜決定することができ、一例として10〜30μm程度の厚さの樹脂フイルムを使用することができる。またこの樹脂フイルムの一方の面には、印刷層と接着層とが順に形成されている。すなわち樹脂フイルムの一方の面に装飾用の印刷が施され、その印刷層の表面に接着層が設けられている。そしてその印刷には熱硬化性のウレタン系樹脂からなるインキが使用され、グラビア印刷、フレキソ印刷などによる印刷が実施されている。なお、樹脂フイルムの他方の面に潤滑剤含有の保護塗膜層を設けてもよい。また、樹脂フイルムの一方の面に接着層、他方の面に印刷層と保護塗膜層とを設けたフイルムでもよい。
【0016】
図3は、巻出し機構2の一部を破断した側面図であり、巻出し機構2はフレーム8に取り付けられた電動モータ9を有する。またフレーム2には軸受10が取り付けられており、この軸受10によりシャフト11が水平に保持されている。このシャフト11におけるフレーム8の内部側にはギヤ12が取り付けられている。一方、電動モータ9の出力軸13にはギヤ14が設けられており、ギヤ14とギヤ12とが噛合されている。したがって、電動モータ9の動力によりシャフト11を回転させることができる。
【0017】
前記シャフト11におけるフレーム8の外部側の端部には保持腕15が固定されている。この保持腕15は板形状に構成され、保持腕15の長手方向の中央部分がシャフト11に連結されている。そして、保持腕15はシャフト11に対して直交して取り付けられている。この保持腕15の両端には軸受16が別個に取り付けられており、各軸受16により保持軸17が別個に支持されている。各保持軸17は水平方向の軸線(図示せず)を中心として回転(自転)することができるとともに、保持腕15が回転した場合は、各保持軸17がシャフト11を中心として公転することになる。各保持軸17にはロール形状に巻かれた帯状フィルム1が別個に装着される。
【0018】
そして、保持腕15が停止している状態において、低い位置(使用位置)で保持される帯状フィルム1が接合機構3側に向けて繰り出される(使用状態になる)一方、高い位置(待機位置)で保持される帯状フィルム1が待機(未使用)状態になる。また、フレーム8には残量検出センサー20が設けられており、この残量検出センサー20により、使用状態にある帯状フィルム1の残量が検出される。残量検出センサー20の信号は、電動モータ9を制御する制御装置(図示せず)に入力されている。そして、使用中の帯状フィルム1の残量が少なくなった場合は、電動モータ9を駆動させて保持腕15を回転させることにより、待機位置にある帯状フィルム1を使用位置に移動させる制御がおこなわれる。
【0019】
また、前記保持腕15の両端にはパウダブレーキ(神鋼電機(株)製)18がそれぞれ設けられている。各パウダブレーキ18は、自転する各保持軸17に制動力を作用させるためのものである。このパウダブレーキ18は、保持軸17の周囲を取り囲む固定メンバー(図示せず)と、保持軸17と固定側メンバーとの隙間に介在された磁性粉体と、固定側メンバーに設けられた励磁コイル(図示せず)とを備えている。そして、励磁コイルに通電すると磁界が形成されて各磁性粉体同士に連結力が生じ、その連結力が摩擦抵抗となって保持軸17に制動力が付与されるように構成されている。なお、図2に示すように、保持腕15には保持腕15の平面方向に対して、相互に逆方向に突出する押え棒18Aが取り付けられている。そして、各押え棒18Aの自由端には押えローラ19がそれぞれ回転可能に取り付けられている。この押えローラ19には巻出し機構2から繰り出された帯状フィルム1が掛け回されている。
【0020】
前記接合機構3は図2に示すように、ベースプレート21に設けられた支持軸22を中心として回転可能なスプライスアーム23と、ベースプレート21側に設けられたシリンダ機構24とを有している。前記支持軸22は水平に配置されており、シリンダ機構24によりスプライスアーム23が支持軸22を中心として所定角度範囲内で動作する。そして、スプライスアーム23の自由端は、待機位置にある帯状フィルム1の下方に位置している。
【0021】
このスプライスアーム23における支持軸22側にはローラ25が設けられているとともに、スプライスアーム23の自由端側にはローラ26が設けられている。このローラ26には、繰り出し中の帯状フィルムと待機中の帯状フィルムとが接着された後に、繰り出し中の帯状フィルムを幅方向に切断するためのカッター(図示せず)が設けられている。またローラ26を、スプライスアーム23の長手方向に移動するためのシリンダ機構29が設けられている。ローラ25とローラ26との間には別のローラ27が設けられており、このローラ27を、スプライスアーム23の長手方向に移動するためのシリンダ機構28が設けられている。そして、ローラ19に掛け回された帯状フィルム1が、ローラ26,27を経由してローラ25に掛け回されている。
【0022】
図1は前記張力制御機構4の一部を破断した正面図、図4は張力制御機構4の平面図、図5は張力制御機構4の側面図である。張力制御機構4は板形状のブロック40を有し、このブロック40とベースプレート21とが平行に配置されている。ブロック40とベースプレート21との間には円筒形状のスペーサ41が介在されており、スペーサ41に挿入されたねじ部材42により、ブロック40とベースプレート21とが固定されている。
【0023】
ブロック40における蛇行調整機構5側の端部には、一対のシャフト43が水平に、かつ相互に平行に設けられている。各シャフト43はその一端が、ねじ部材44によりブロック40側に固定されている。つまり、各シャフト43は片持ち固定されている。そして各シャフト43がブロック40の厚さ方向に、かつ、正面側に向けて突出している。また各シャフト43には、案内ローラ44,45が回転可能に取り付けられている。
【0024】
またブロック40の前面におけるシャフト43の側方、および前記巻出し機構2側の端部には、2つのシャフトホルダー46,47が、ねじ部材48により固定されている。そして、2つのシャフトホルダー46,47により、シャフト49の両端が保持されている。シャフト49は水平に、かつ、ブロック40と平行に保持され、止めねじ50により、シャフト49とシャフトホルダー46,47とが固定されている。
【0025】
シャフト49にはラックベース51が取り付けられている。ラックベース51には水平方向に貫通する軸孔52が形成されており、軸孔52にシャフト49が挿入されている。軸孔52に臨むラックベース51の内周面にはフランジ53が形成されている。前記ブロック40におけるシャフトホルダー46とシャフトホルダー47との間には、水平に延びたリニアウェイ(直動案内方式の軌道)58が設けられている。そして、ラックベース51がスライダー59を介してリニアウェイ58に対して移動可能に取り付けられている。
【0026】
シャフト49の外周における案内ロール44,45側のシャフトホルダー46とフランジ53との間には、環状の座金54が装着されている。この座金54とシャフトホルダー46との間には、金属ばね、具体的には圧縮コイルスプリング55が設けられている。また、座金54とフランジ53との間には、金属ばね、具体的には圧縮コイルスプリング56が設けられている。さらに、巻出し機構2側のシャフトホルダー47とフランジ53との間には、金属ばね、具体的には圧縮コイルスプリング57が設けられている。そして、各圧縮コイルスプリング55,56,57がいずれもシャフト49の外周に装着されている。言い換えれば、各圧縮コイルスプリング55,56,57が、その長さ方向に直列に配置されている。
【0027】
ここで、圧縮コイルスプリング55および圧縮コイルスプリング56は、その長さがそれぞれ150mmに設定され、巻径が20mmに設定されている。また圧縮コイルスプリング55および圧縮コイルスプリング56のばね定数は、いずれも0.06kg/mmに設定されている。また、圧縮コイルスプリング57のばね定数は、圧縮コイルスプリング55または圧縮コイルスプリング56のばね定数の1/2の0.03kg/mmに設定されている。したがって、ラックベース51は、圧縮コイルスプリング55,56の弾性力によりシャフトホルダー47側に付勢(押圧)されている。言い換えれば、圧縮コイルスプリング55,56により、一定の弾性係数(ばね定数)に基づく付勢力がラックベース51に対して付与されている。これに対して、圧縮コイルスプリング57は、ラックベース51をシャフトホルダー46側に付勢する弾性力を有し、この圧縮コイルスプリング57は、ラックベース51とシャフトホルダー47とが当接することを防止するショックアブソーバとして機能している。
【0028】
ラックベース51の上端には、棒状のラック部材60がねじ部材61により水平に固定されている。このラック部材60の上縁には長手方向に沿って、樹脂製のラック62が取り付けられている。また、ラックベース51の正面側にはシャフト63が固定され、このシャフト63が水平に、かつ、シャフト43と平行に突出している。つまり、このシャフト63は片持ち固定されている。このシャフト63にはダンサローラ64が回転可能に取り付けられている。そしてダンサローラ64の設定高さは、案内ローラ44と案内ローラ45との間に設定されている。またダンサローラ64の外径は、案内ローラ44と案内ローラ45との間の距離とほぼ同一に設定されている。
【0029】
上記構成により、図2に示すように、ローラ25を経由して案内ローラ44に掛け回された帯状フィルム1が、ダンサローラ64に掛け回されてほぼU字形状に方向変換され(折り返され)るとともに、案内ローラ45に掛け回されている。このようにして、案内ローラ44と案内ローラ45との間に、帯状フィルム1の搬送経路(パスライン)P1が形成されている。そして、帯状フィルム1の搬送経路P1においては、帯状フィルム1に所定の張力が付与されていると、ダンサローラ64を隔てて、帯状フィルム1の方向変換部分1Aの前側(入口側)領域1Bと、帯状フィルム1の方向変換部分1Aの後側(出口側)領域1Cとが相互に平行な状態になる。言い換えれば、帯状フィルム1の前側領域1Bおよび後側領域1Cが、いずれも水平状態になる。したがって、前記リニアウェイ58およびシャフト49と、帯状フィルム1の前側領域1Bおよび後側領域1Cとが平行な状態になる。
【0030】
また、ブロック40の上部における前面側には、バリカムプレート65がねじ部材66により固定されている。さらに図4に示すように、バリカムプレート65とブロック40との間にはスペーサ70が介在されている。そしてバリカムプレート65にはバリカム67が取り付けられている。このバリカム67は、ダンサローラ64の水平方向の位置を間接的に検出するためのものである。このバリカム67は、ロータ68と、ロータ68の周囲に設けられ、かつコイルが巻き付けられているステータ(図示せず)と、ロータ68の回転角度を検出する多回転タイプの角度検出部(図示せず)と、ロータ68に取り付けられたピニオンギヤ69とを有する。このピニオンギヤ69のモジュールは1.5に設定されている。
【0031】
そして、ピニオンギヤ69がラック62に噛合されている。このため、ラックベース51がリニアウェイ58に沿って水平移動すると、ピニオンギヤ69およびロータ68が回転する。このような歯車伝動機構を用いることにより、ラックベース51の直線運動が、ローラ68の回転運動に確実に変換される。そして、コイルへの通電により生じる可変磁気抵抗の差動変化に基づいて、ロータ68の回転角度を検出するものである。
【0032】
図6は張力制御機構4およびパウダブレーキ18の制御回路を示すブロック図である。前記バリカム67の角度検出部から出力された検出信号がバリカムコントローラ71に入力される。そして、バリカム67の検出信号に基づいて、ラックベース51の水平方向の位置、言い換えればダンサローラ64と案内ローラ44,45との相対位置が演算される。この演算結果に基づいて、ダンサローラ64を経由して案内ローラ45に供給される帯状フィルム1の実際の張力が判断される。具体的には、帯状フィルム1に付与される張力と、圧縮ばね55,56,57との対応関係を総合的に判断することにより、ダンサローラ64の水平方向の位置に基づいて、帯状フィルム1の張力を比例的に推定することができる。したがって、バリカムコントローラ71には、ダンサローラ64の水平方向の位置と、帯状フィルム1の張力との関係を実験的に求めたデータが予め記憶されている。
【0033】
一方、バリカムコントローラ71には、ダンサローラ64を経由して案内ローラ45に供給される帯状フィルム1の張力の目標値が予め設定されている。このバリカムコントローラ71は、目標張力と検出張力とを比較し、その比較結果に応じた出力信号をオン・オフする演算回路である。また、電子制御装置72は、バリカムコントローラ71から入力される信号に基づいて、予め設定された内容によりパウダブレーキ18のシーケンス制御をおこなうためのものである。この電子制御装置72は、入出力インターフェースおよび演算処理装置(CPUまたはMPU)ならびに記憶装置(ROMおよびRAM)を主体とするマイクロコンピュータである。
【0034】
そして、電子制御装置72においては、比例動作および積分動作ならびに微分動作を含む公知のPID制御がおこなわれる。さらに、電子制御装置72から出力されるPID制御の信号がD/A変換器73により処理されるとともに、パワーサプライ(直流定電圧電源)74からパウダーブレーキ18に印加する電圧が制御される。その結果、使用中の帯状フィルム1を保持している保持軸17に対する制動力が制御され、帯状フィルム1の供給状態が制御される。具体的には、保持軸17の回転速度、つまり、帯状フィルム1の送り速度(言い換えれば送り量)が制御される。なお、上記パワーサプライ74としては、零ボルトの電圧でパウダーブレーキ18の制動が解除され、24ボルトの電圧によりパウダーブレーキ18の制動力が最大になって保持軸17の回転が完全に停止されるような、電圧可変タイプのものが用いられている。
【0035】
一方、前記蛇行調整機構5はベースプレート21に設けられており、この蛇行調整機構5は、この公知の調整機構と同様に構成されている。この蛇行調整機構5は、ほぼ同じ高さに配置されたローラ75,76と、このローラ75,76よりも低い位置に、かつ相互に同じ高さに配置されたローラ77,78とを有している。ローラ75は案内ローラ45の近傍に配置され、ローラ75の下方にローラ77が配置されている。また、ローラ76は切断機構6側に配置され、ローラ76の下方にローラ78が配置されている。そして、案内ローラ45に掛け回された帯状フィルム1が、ローラ75を経てローラ77に掛け回され、ついで、ローラ78を経由してローラ76に掛け回されている。
【0036】
前記切断機構6はベースプレート21に取り付けられた複数のローラ79,80,81を有している。また、切断機構6は、ローラ79,80,81を経由した帯状フィルム1を、さらに後工程に向けて搬送するドライブローラ82を備えている。さらにドライブローラ82に対面する押えローラ84が設けられているとともに、押えローラ84とドライブローラ82との相対位置を制御するシリンダ機構85が設けられ、ドライブローラ82と押えローラ84との挟持力により帯状フィルム1が搬送される。
【0037】
そして、ドライブローラ82および押えローラ84よりも、帯状フィルム1の搬送方向の下流側には、切断刃86およびカッターローラ87が設けられている。この切断刃86およびカッターローラ87は、ドライブローラ82と押えローラ84との間を通過した帯状フィルム1を切断してフィルムシート(図示せず)を得るためのものである。
【0038】
前記貼着機構7は、ベースプレート21側の支軸88を中心として図2で反時計方向に回転するフィルム保持ドラム89を有する。このフィルム保持ドラム89の外周面には吸気孔(図示せず)が形成されており、切断後のフィルムシートを、フィルム保持ドラム89により真空吸着することができる。
【0039】
また、貼着機構7は回転軸(図示せず)を中心として図2の時計方向に回転する回転ターレット90を有する。この回転ターレット90の一方の側面には、円周方向に沿って複数のマンドレル91が形成されている。このマンドレル91は円柱形状に構成され、その軸線が水平方向に設定されている。このマンドレル91により金属製の缶体(図示せず)が保持される。さらに、回転ターレット90には各マンドレル91の内周側に複数の保持ブロック92が形成されている。
【0040】
そして、各マンドレル91を回転ターレット90の半径方向に移動させる移動機構(図示せず)が設けられている。具体的には、回転ターレット90の回転にともないフィルム保持ドラム89に接近するマンドレル91を、フィルム保持ドラム89の外周形状に沿う軌跡で移動させるとともに、その後、回転ターレット90の回転にともない、マンドレル91をフィルム保持ドラム89から離れる向に移動させる。さらに、マンドレル91がフィルム保持ドラム89の外周面形状に沿って円弧形状に移動する際に、マンドレル91を図2において時計方向に自転させるマンドレル回転機構(図示せず)が設けられている。さらにまた、各マンドレル91を、高周波誘導加熱またはヒータ加熱などの手段により加熱する加熱装置(図示せず)が設けられている。
【0041】
ここで、上記実施形態の構成と、この発明の構成との対応関係を説明する。缶体用フィルム貼着システムK1が、この発明に係る帯状部材の張力制御装置に相当し、帯状フィルム1がこの発明の帯状部材に相当し、案内ローラ44,45がこの発明の搬送機構に相当し、ダンサローラ64がこの発明の可動案内部材に相当する。また、リニアウェイ58、シャフト49、スライダー59、ラックベース51、シャフト63がこの発明の動作方向設定機構に相当し、圧縮コイルスプリング55,56がこの発明の弾性機構および第1の圧縮コイルスプリングに相当し、バリカム67、バリカムコントローラ71、電子制御装置72が張力判断機構に相当し、シャフト49がこの発明のガイド部材に相当し、圧縮コイルスプリング57が、この発明の第2の圧縮コイルスプリングに相当し、リニアウェイ58が、この発明の軌道に相当する。
【0042】
つぎに、図1,〜図6に示す実施形態の動作を説明する。使用位置の保持軸17に装着されている帯状フィルム1は、押えローラ19およびローラ26ならびにローラ27を経由してローラ25に掛け回されている。さらに、帯状フィルム1は、案内ローラ44に掛け回されるとともに、ダンサローラ64に掛け回され、ついで、案内ローラ45に掛け回されている。また帯状フィルム1は、ローラ75,77,78,76に掛け回され、さらにローラ79,80,81に掛け回されている。そして、帯状フィルム1はドライブローラ82と押えローラ84との間に進入し、ドライブローラ82と押えローラ84との挟持力により帯状フィルム1が長手方向に搬送(牽引)され、保持軸17により保持されている帯状フィルム1が連続的に繰り出される。このような帯状フィルム1の繰り出し動作にともない保持軸17が回転する。カッターローラ87と切断刃86とにより帯状フィルム1を切断する場合は、その搬送方向の先端の一部が、貼着ローラ89により真空吸着された後におこなわれる。そして、貼着ローラ89が、図2において矢印で示すように反時計方向に回転することにより、切断されたフィルムシートが、貼着ローラ89により保持されたまま回転ターレット90側に搬送される。
【0043】
一方、各マンドレル91には缶体が保持されているとともに、加熱装置により各マンドレル91を介して缶体が加熱されている。そして、回転ターレット90が、図2において矢印で示すように時計方向に回転することにより、各マンドレル91に保持された缶体が、順次貼着ローラ90に近づく方向に移送される。
【0044】
フィルムシートと缶体とが接触すると、缶体の熱によりフィルムシートが缶体に対して接着層を介して熱接着されるとともに、マンドレル91および缶体が、図2において時計方向に回転することにより、フィルムシートが缶体の外周に順次貼着される。このように、フィルムシートが貼着された缶体は、回転ターレット90の回転にともなって貼着ローラ89から離れる方向に移送され、マンドレル91から取り外される。つまり、缶体を保持しているマンドレル91は、図2の一点鎖線で示す矢印のような軌跡で移動する。以下、帯状フィルム1を切断する動作と、切断されたフィルムシートを貼着ローラ89により真空吸着する動作と、貼着ローラ89により真空吸着されているフィルムシートを、マンドレル91により保持されている缶体に貼着する動作とが繰り返される。
【0045】
一方、上記動作の繰り返しにより、使用位置にある保持軸17の帯状フィルム1の残量が減少する。帯状フィルム1の残量は残量検出センサー20により検出されており、帯状フィルム1の残量が所定量以下まで減少すると、低速運転モード(ドライブローラ82の回転速度を低下させることにより、帯状フィルム1の搬送速度を低下するモード)になり、シリンダ機構24の動作により、スプライスアーム23が図2において支持軸22を中心として反時計方向に所定角度回転する。
【0046】
この動作に並行して、ピッチセンサ(図示せず)により帯状フィルム1のピッチマークが検出されており、帯状フィルム1のピッチマークに合わせてシリンダ機構28が動作する。このようにして、繰り出し中の帯状フィルム1の一部がローラ27により上方に押し上げられるとともに、押し上げられた部分が待機中の帯状フィルム1の繰り出し側の端部に押し付けられる。そして、繰り出し中の帯状フィルム1と待機中の帯状フィルム1とが、熱溶着もしくは接着剤による接着などの手段により接合される。
【0047】
ついで、シリンダ機構29の動作により、ローラ26の一部に取り付けられているカッター(図示せず)が突出して使用中の帯状フィルム1の残存部分が切断され、待機位置にある保持軸17側の帯状フィルム1が新たに繰り出される。このようにして、2本の帯状フィルム1が接合されると、シリンダ機構24の動作によりスプライスアーム23が図2の時計方向に回転して元の位置に復帰する。同様にして、シリンダ機構28,29も元の位置に復帰する。
【0048】
さらに、電動モータ9の駆動により、保持腕15が反時計方向に所定角度回転するとともに、待機位置にある保持軸17が使用位置まで移動した時点で保持腕15が停止する。このため、使用位置に停止していた保持軸17が待機位置に移動し、この保持軸17に装着されている使用済みの帯状フィルム1に代えて未使用の帯状フィルムが装着される。また、フィルム接合部分が自動排除された後、ドライブローラ82の回転速度が上昇することにより、帯状フィルム1の搬送速度を高める通常運転モードに切り換わる。
【0049】
上記のような帯状フィルム1の交換にともなう動作、または貼着機構7側におけるフィルムの貼着動作などが原因となって、張力制御機構4から蛇行調整機構5に送られる帯状フィルム1は、その長手方向の張力が常時変動している。例えば、帯状フィルム1に印刷されている絵柄のピッチと、缶体の供給間隔とがずれていた場合は、貼着ローラ89側に送られる帯状フィルム1の搬送速度が制御される。
【0050】
この実施形態において、帯状フィルム1の張力が変動した場合の制御内容を具体的に説明する。上記のような各種の動作により、案内ローラ44から案内ローラ45に送られる帯状フィルム1の張力が変動した場合は、ダンサローラ64が水平方向に移動する。具体的には、帯状フィルム1の張力が増加した場合は、圧縮コイルスプリング55,56の弾性力と張力との対応関係に基づいて、ラックベース51が、図1および図2において左方向に水平移動する。これに対して、帯状フィルム1の張力が減少した場合は、圧縮コイルスプリング55,56の弾性力と張力との対応関係に基づいて、ラックベース51が、図1および図2において右方向に水平移動する。
【0051】
その結果、ラックベース51の移動量および移動方向に対応して、ピニオンギヤ69およびバリカム67のロータ68が所定方向に所定角度だけ回転する。すると、バリカムコントローラ71により、ロータ68の回転方向および回転角度が検出されるとともに、ラックベース51の水平方向の位置、つまり、ダンサローラ64と案内ローラ44,45との相対位置が演算される。この演算結果に基づいて、ダンサローラ64を経由して案内ローラ45に供給される帯状フィルム1の実際の張力が判断される。
【0052】
ついで、バリカムコントローラ71により、張力の目標値と張力の検出値とが比較され、その比較結果に応じた出力信号がオン・オフされる。ここで、帯状フィルム1の搬送中はロータ68が常に1〜3度程度回転(振動)するために、張力の目標値から一定の範囲で不感帯を設定している。この実施形態においては、目標値に対して±5度の範囲に不感帯が設定されている。この不感帯による張力の演算誤差は、実際の張力と比較して±0.05kgf の誤差の範囲であり、帯状フィルム1の張力制御に支障はない。
【0053】
ついで、電子制御装置72から、PID制御信号が出力されるとともに、この信号がD/A変換器73により処理されて、パワーサプライ74からパウダーブレーキ18に印加する電圧が制御される。このようにして、繰り出し中の帯状フィルム1を保持している保持軸17に対するパウダーブレーキ18の制動力が制御され、保持軸17の回転速度、つまり、繰り出し中の帯状フィルム1の送り速度(言い換えれば送り量)が制御され、帯状フィルム1の張力が所定値になるようにフィードバック制御される。そして、帯状フィルム1の張力が予め定められている値に設定された場合は、パウダーブレーキ18の制動力がその状態に制御され、ラックベース51が水平方向の所定位置で停止することになる。
【0054】
このように、上記実施形態においては、張力変化によりダンサローラ64が水平移動した場合でも、ダンサローラ64の水平動作方向と、帯状フィルム1の折り返し部分1Aの前側領域1Bおよび後側領域1Cとが、相互に平行になるように構成されている。また、図1に示すように、帯状フィルム1におけるダンサローラ64と案内ローラ45との間の領域と、帯状フィルム1における案内ローラ45とローラ75との間の領域とのなす角度θ1が一定に制御されるとともに、帯状フィルム1におけるダンサローラ64と案内ローラ44との間の領域と、帯状フィルム1における案内ローラ44の前側領域とのなす角度θ2も一定に制御される。
【0055】
このため、搬送経路P1における帯状フィルム1の張力を、ダンサローラ64の水平方向の動作位置に基づいて、一義的、かつ、正確に判断することができる。したがって、ダンサローラ64から案内ローラ45およびローラ75に供給される帯状フィルム1の張力を、高精度に制御することができ、張力制御機能が向上する。また、帯状フィルム1の実際の張力を推定するための複雑な設定値や膨大なデータを電子制御装置72に記憶する必要性がなく、かつ、比較的簡単な計算式やプログラムにより、実際の張力を演算することができ、帯状フィルム1の張力の制御に必要なパウダーブレーキ18のシーケンス制御の簡素化と、システムの低コスト化とを図ることができる。
【0056】
また、ダンサローラ64の初期位置における帯状フィルム1の張力と、バリカム67のロータ68の位相との相関関係が一定になり、張力の推定精度および制御精度を安定させることができる。このようにこの実施形態においては、帯状フィルム1の長手方向における張力の推定および制御を確実におこなうことができるために、帯状フィルム1の厚さや材質に関わりなく皺の発生や蛇行の発生を抑制することができる。
【0057】
特に、この実施形態のように、絵柄の印刷された帯状フィルムを缶体の外周面に貼着する装置に適用した場合は、切断されたフィルムシートの長手方向の寸法誤差が回避されるとともに、フィルムシートの蛇行や皺などのトラブルが発生しにくく、缶体に貼着された後のフィルムシートの見栄えや外観の品質が向上する。
【0058】
さらに、張力制御機構4が、直線状のシャフト49と、帯状フィルム1の張力に応じてダンサローラ64に作用する力とは反対向きの力をダンサローラ64に付与する圧縮コイルスプリング55,56とを有し、この圧縮コイルスプリング55,56がシャフト49に対して着脱自在に構成されている。このため、例えば、シャフトホルダー46のねじ部材50を緩めてシャフトホルダー46をブロック40から取り外すとともに、圧縮コイルスプリング55,56を取り替えてそのばね定数を変更することにより、帯状フィルム1の張力の変化に対応するダンサローラ64の水平移動量(移動割合、移動率)およびロータ68の回転角度の変化量(回転角度の変化割合、回転角度の変化率)を、顕著化させることができる。したがって、帯状フィルム1の幅、材質、厚さなどが変更された場合においても、実際の張力の検出範囲の拡大および検出精度の向上、ならびに張力の制御精度の向上を容易に図ることができる。
【0059】
さらに、この実施形態においては帯状フィルム1の張力制御にPID制御を用いているために、ハンチングのない滑らかな制御を比例動作でおこない、積分動作でオフセットを自動的に修正し、微分動作で外乱に対応する応答を速くすることができる。したがって、缶体用フィルム貼着システムK1が起動してからダンサローラ64が初期位置に停止し、帯状フィルム1に所定の張力が付与されるまでの動作を短時間で収束させることができる。
【0060】
また、この実施形態においては、多回転タイプの位置検出センサによりロータ68の回転角度を検出しているために、従来から用いられている機械的な位置検出機構(例えばリミットスイッチ式の移動長さによるもの)に比べて、安価に製造することができ、かつ、振動によるノイズがあっても正確にロータ68の回転角度を検出することができる。
【0061】
また、この実施形態においては、ラック62およびピニオン69の歯数、またはピニオン69の外径などを設計変更することにより、ダンサローラ64の水平移動量と、バリカム67のロータ68の回転角度との対応関係を自由に変更することもできる。このような設計変更をおこなうことにより、設定するべき張力が小さい(例えば0.5〜2.0kgf )帯状フィルムにも対応できる。
【0062】
さらに、帯状フィルム1の張力に応じてダンサローラ64を水平方向に移動させるための付勢手段としては、一定のばね定数を有する金属ばねである圧縮コイルスプリング55,56に代えて、油圧、空気圧を利用した流体ばね、またはゴムばねなどの合成樹脂ばね、あるいは金属ばねとゴムばねとを組み合わせた複合ばねや、空気ばねと金属ばねとを組合せた複合ばねなどを用いることもできる。なお、この発明において帯状部材を搬送する機構は、ローラに限らずガイド部材などでもよい。またこの発明の帯状部材の張力制御装置は、金属製缶体以外の容器、例えば、ガラス製瓶、プラスチック製ボトルなどの容器の外面に、帯状フィルムを切断して得たフィルムラベルを貼着するシステムにも適用できる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、可動案内部材が、搬送される帯状部材と実質平行な方向に動作するため、帯状部材の搬送方向の変換部分の前側領域と後側領域とが実質平行な状態に維持される。このため、複数の搬送機構同士の間の搬送経路における帯状部材の張力を、可動案内部材の動作量に基づいて一義的に判断することができる。したがって、複数の搬送機構の間の搬送経路における帯状部材の張力を、高精度に制御することができ、張力制御機能が向上する。また、帯状部材の実際の張力を推定するための複雑な設定値や膨大なデータが不要になり、かつ、比較的簡単な計算式やプログラムにより、実際の張力を演算することができ、帯状部材の張力の制御に伴うシーケンス制御の簡素化と、システムの低コスト化とを図ることができる。
【0064】
また、可動案内部材の動作量に関わりなく、帯状部材の搬送方向の変換部分の前側領域と後側領域とが実質平行な状態に維持される。このため、可動案内部材の初期位置における帯状部材の張力と可動案内部材の位置との相関関係が一定になり、張力の推定および制御の精度を安定させることができる。したがって、帯状部材の厚さや材質に関わりなく皺の発生や蛇行の発生を抑制できる。また、第2の圧縮コイルスプリングが、ショックアブソーバとして機能する。
【0065】
請求項2の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られるほかに、金属製の圧縮コイルスプリングを取り替えてそのばね定数を変更することにより、帯状部材の張力に対応する可動案内部材の動作量を顕著化させることができる。したがって、帯状部材の寸法や材質などが変更された場合でも、張力の検出範囲の拡大および検出精度の向上、ならびに張力の制御精度の向上を容易に図ることができる。請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られるほかに、ラックベースおよび可動案内部材が水平移動する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明が適用された缶体用フィルム貼着システムの張力制御機構を示す一部判断正面図である。
【図2】 この発明が適用された缶体用フィルム貼着システムの全体構成を示す正面図である。
【図3】 図2に示された巻出し機構の一部破断側面図である。
【図4】 図2に示された張力制御機構の要部を示す平面図である。
【図5】 図2に示された張力制御機構の要部を示す側面図である。
【図6】 図2に示された張力制御機構および巻出し機構の制御回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…帯状フィルム、 1A…方向変換部分、 1B…前側領域、 1C…後側領域、 44,45…案内ローラ、 49…シャフト、 51…ラックベース、55,56…圧縮コイルスプリング、 59…スライダー、 63…シャフト、 64…ダンサローラ、 66…バリカム、 71…バリカムコントローラ、72…電子制御装置、 73…D/A変換器、 74…パワーサプライ、 K1…缶体用フィルム貼着システム、 P1…搬送経路。
Claims (3)
- 帯状部材を長手方向に搬送する複数の搬送機構と、この複数の搬送機構同士の間の搬送経路に配置されて前記帯状部材の搬送方向を変換するとともに、かつ、前記帯状部材の搬送方向の変換部分の前側領域と後側領域とが相互に実質平行になるように前記帯状部材が掛け回される可動案内部材と、この可動案内部材を前記帯状部材の張力変化に応じて動作可能に保持するとともに、この可動案内部材の動作方向を、前記帯状部材の搬送方向の変換部分の前側領域、および前記帯状部材の搬送方向の変換部分の後側領域と実質平行な方向になるように制御する動作方向設定機構と、前記帯状部材の張力に応じて前記可動案内部材に力を付与する一定の弾性係数を有する弾性機構と、前記可動案内部材の動作量に基づいて前記帯状部材の張力を判断する張力判断機構とを備え、前記張力判断機構からの信号に基づいて前記帯状部材の張力を制御する帯状部材の張力制御装置において、
前記弾性機構は、前記帯状部材の張力に応じて前記可動案内部材に対して作用する力とは反対向きの力を前記可動案内部材に付与する第1の圧縮コイルスプリングを有しており、
前記帯状部材の張力に応じて前記可動案内部材に対して作用する力と同じ向きの力を前記可動案内部材に付与する第2の圧縮コイルスプリングが設けられていることを特徴とする帯状部材の張力制御装置。 - 前記動作方向設定機構が直線状のガイド部材を有し、前記弾性機構が、前記帯状部材の張力に応じて前記可動案内部材に作用する力とは反対向きの力を前記可動案内部材に付与する金属製の圧縮コイルスプリングを有し、この金属製の圧縮コイルスプリングが前記ガイド部材に対して着脱自在となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の帯状部材の張力制御装置。
- 前記動作方向設定機構は、水平に延ばされた軌道と、この軌道に水平移動可能に取り付けられたラックベースとを有しており、このラックベースに、前記可動案内部材が水平移動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の帯状部材の張力制御装置。
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