JP3667848B2 - 荷台スライド式運搬車における荷台の固定装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、荷台を車輌フレ−ムの後方に移動後傾させて荷台上に自動車等を積込んだ後に、荷台を車輌フレ−ム上に移動させて走行移動するよう構成した荷台スライド式運搬車における荷台の固定装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来のこの種の荷台スライド式運搬車の構造を、図２ないし図４に基づき説明する。
図２は、荷台を車輌フレ−ム上に位置させて自動車等を運搬する走行位置を示しており、図３は荷台を車輌フレ−ムの後方に移動後傾させて荷台上に自動車等を積込む積込み位置を示している。
【０００３】
図２ないし図４において、１は車輌Ａの車輌フレ−ム、２は当該車輌フレ−ム１上に沿設したサブフレ−ムである。３は、サブフレ−ム２の後端部に枢軸４で傾動可能に枢支された傾動フレ−ムである。当該傾動フレ−ム３の後端部には、傾動状態で接地して当該傾動フレ−ム３の後端部を支承する接地脚５が設けられている。
【０００４】
６は、自動車等を搭載するための荷台であり、当該荷台６の下面には荷台６の前後方向に沿って左右一対の案内レ−ル７が設けられている。当該案内レ−ル７は、サブフレ−ム２の後端部に設けられた前部支持ロ−ラ８と、前記傾動フレ−ム３の後端部に設けられた後部支持ロ−ラ９とによって支持されており、当該両支持ロ−ラ８，９に支持された状態で荷台６を車輌フレ−ム１に対して後退、あるいは前進させるようになっている。
【０００５】
10は、荷台６の前方位置に下方に偏奇して設けられた荷台傾動ロ−ラである。当該荷台傾動ロ−ラ10は、車輌フレ−ム１の前後方向に沿って設けられその前方部の案内路が下方に湾曲して形成された左右一対の傾動案内レ−ル11に案内されて、荷台６の後退方向への移動に連動して荷台６の前方部が上方に変位して積込み位置（図３図示位置）となり、荷台６の前進方向への移動に連動して荷台６の前方部が下方に変位して走行位置（図２図示位置）となるよう案内するようになっている。
【０００６】
12は、荷台６を車輌フレ−ム１に対して後退方向に移動させるためのスライドシリンダである。この実施例の場合、シリンダチュ−ブ12ａのロッド側端部を傾動フレ−ム３の後端部に、ロッド12ｂの先端部を荷台６の後端部にそれぞれ軸支して取付けており、当該スライドシリンダ12を伸長駆動することによって荷台６が後退方向に移動し、縮小駆動することによって荷台６が前進方向に移動するようになっている。
【０００７】
13は、前記スライドシリンダ12に圧油を給排するための油圧切換弁であり、当該油圧切換弁13はスライドシリンダ12を停止保持する中立位置ｎと、スライドシリンダ12を伸長駆動して荷台６を後退方向に移動させる荷台後退位置ａ、およびスライドシリンダ12を縮小駆動して荷台６を前進方向に移動させる荷台前進位置ｂの３つの操作位置を有している。14は、油圧切換弁13を切換操作するための操作レバ−であり、15は車輌用エンジン等で駆動されスライドシリンダ12に圧油を供給する油圧ポンプ、16はスライドシリンダ13を油圧的にロックして自走を防止するパイロットチェック弁である。
【０００８】
以上の如く構成された荷台スライド式運搬車は、油圧切換弁13を荷台後退位置ａに操作してスライドシリンダ12を伸長駆動すれば、荷台６が後退方向に移動して後傾した図３の積込み位置となるので、この状態で自動車等を自走あるいは図示しないウインチ等で引込むことで荷台６上に積込むことができるのである。また、自動車等を荷台６上に積込んだ後は、油圧切換弁13を荷台前進位置ｂに操作してスライドシリンダ12を縮小駆動すれば、荷台６が前進方向に移動して車輌フレ−ム１上に位置した図２の走行位置となるので、この状態で走行が可能となるのである。
【０００９】
しかしながら、この種の荷台スライド式運搬車は、荷台６が移動可能に構成されているため、パイロットチェック弁16にゴミ噛み等が発生した場合には、走行中の振動で荷台６が少しづつ移動するという問題がある。このため、車輌フレ−ム１と荷台６間に、荷台６が走行位置に位置したときにスプリング17ｃの付勢力により係合フック17ａが係合部材17ｂに係合して荷台６の移動を固定する解除可能な荷台固定手段17を取付け、走行時の荷台６の移動を機械的にロックするようになっている。
【００１０】
このため、この種の荷台固定手段17を備えた従来の荷台スライド式運搬車は、油圧切換弁13を荷台後退位置ａに操作して荷台６を後退方向に移動させる前に、必ず固定解除レバ−18を操作して荷台固定手段17による荷台６の固定を解除する必要があり、操作が煩雑になるという問題がある。また、荷台固定手段17による荷台６の固定解除を忘れて荷台６を後退方向に移動させた場合には、スライドシリンダ12の伸長力で荷台固定手段17が損傷するという問題がある。
【００１１】
このような問題点を解決する方法として実公昭61− 36416号に示された技術が提案されている。この実公昭61− 36416号の技術は、油圧切換弁の荷台後退位置への切換を、固定解除レバ−による荷台固定手段の固定解除操作に連動して自動的に切換わるように構成して、荷台を後退方向に移動させる場合に固定解除レバ−の操作で荷台固定手段の固定解除と油圧切換弁の切換えが同時に行われるようにして、単一の操作レバ−による操作を可能とすることで操作性を改善したものである。
【００１２】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公知例に示されたものは、荷台上に自動車等を積込んだ後に荷台を前進方向に移動させる場合には、荷台を後退方向に移動させる際に操作していた固定解除レバ−ではなく、油圧切換弁の操作レバ−を荷台前進位置に操作する必要があった。このため、作業者は荷台を後退方向に移動させる場合と前進方向に移動させる場合とで、操作する操作レバ−が異なり、操作が煩雑になるという問題があった。
【００１３】
本発明は、上記問題点に鑑み、同一の操作レバ−の操作で荷台の後退方向への移動と前進方向への移動が行えるようにして、操作性を向上させた荷台スライド式運搬車における荷台の固定装置を提供することを目的とするものである。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の荷台スライド式運搬車における荷台の固定装置は次の如く構成する。すなわち、
車輌の車輌フレ−ム上に位置した走行位置と車輌フレ−ムの後方に移動後傾した積込み位置との間で移動可能に構成した荷台、前記車輌フレ−ムと荷台間に介装され荷台を車輌フレ−ムに対して移動させるスライドシリンダ、当該スライドシリンダへ圧油を給排制御する中立位置と荷台後退位置および荷台前進位置とを有する油圧切換弁、当該油圧切換弁を切換操作する操作手段、および前記車輌フレ−ムと荷台間に設けられ荷台が走行位置に位置したときにスプリングの付勢力により係合して荷台を固定する解除可能な荷台固定手段とを有する荷台スライド式運搬車における荷台の固定装置であって、前記油圧切換弁の操作初期に操作手段を操作しても弁が切換わらない所定範囲の無効ストロ−ク領域を設けると共に、当該油圧切換弁の無効ストロ−ク領域における荷台後退位置方向への弁操作に連動して前記荷台固定手段による荷台の固定を解除するよう操作手段と荷台固定手段を連動手段で連結したことを特徴とするものである。
【００１５】
【作用】
以上の如く構成した本発明の荷台スライド式運搬車における荷台の固定装置は、油圧切換弁の操作初期に操作手段を操作しても弁が切換わらない所定範囲の無効ストロ−ク領域を設けると共に、当該油圧切換弁の無効ストロ−ク領域における荷台後退位置方向への弁操作に連動して荷台固定手段による荷台の固定を解除するよう操作手段と荷台固定手段を連動手段で連結して構成したので、荷台を後退方向に移動させる場合には、油圧切換弁の操作手段を荷台後退位置方向へ操作すれば、操作の初期、すなわち操作手段を操作しても弁が切換わらない無効ストロ−ク領域において、まず荷台固定手段による荷台の固定が解除され、更なる同方向への操作により油圧切換弁が荷台後退位置に切換わってスライドシリンダが駆動され荷台が後退方向に移動して、積込み位置にもたらされるのである。また、荷台上に自動車等を積込んだ後に荷台を前進方向に移動させる場合には、油圧切換弁の操作手段を荷台前進位置へ操作すれば、油圧切換弁が荷台前進位置に切換わってスライドシリンダが駆動され荷台が前進方向に移動して、走行位置にもたらされるのである。
【００１６】
このため、作業者は荷台を後退方向に移動させる場合も、前進方向に移動させる場合も、共に油圧切換弁の操作レバ−を操作すればよく、煩雑な操作が不要となり、操作性を向上させることができるのである。
【００１７】
【実施例】
以下、本発明の荷台スライド式運搬車における荷台の固定装置の一実施例を、図１に基づき説明する。なお、本発明の荷台スライド式運搬車における荷台の固定装置は、従来の荷台の固定装置に比し、油圧切換弁の中立位置の構成と油圧切換弁の操作レバ−と荷台固定手段の連動構成が異なるだけであり、以下の説明ではこの相違点についてのみ説明するものとする。
【００１８】
20は油圧切換弁であり、従来の油圧切換弁13に比して、中立位置ｎでの無効ストロ−ク領域、すなわち弁を操作しても弁が切換わらない領域を大きく設定した油圧切換弁が用いられている。但し、従来の油圧切換弁13が、中立位置ｎに充分な長さの無効ストロ−ク領域がある場合には、当該油圧切換弁13をそのまま流用することも可能である。また、当該無効ストロ−ク領域は、油圧切換弁20の中立位置ｎの少なくとも荷台後退位置ａ側に設けておけばよいものである。なお、無効ストロ−ク領域を中立位置ｎの両側に設けても問題を生じることはない。
【００１９】
21は、プルケ−ブルであり、一端を油圧切換弁20の操作レバ−14に止着すると共に、他端を荷台固定手段17の係合フック17ａに止着して構成されており、操作レバ−14を荷台後退位置ａに操作したときに、当該プルケ−ブル21が引かれ荷台固定手段17の係合フック17ａが係合部材17ｂから離脱するようになっている。なお、操作レバ− 14 で特許請求の範囲の操作手段を、プルケ−ブル21で特許請求の範囲の連動手段を構成している。なお、プルケ−ブル21は、リンク等の連動手段に変更してもよい。
【００２０】
次に作動を説明する。
荷台６上に自動車等を積込むため荷台６を積込み位置に移動させるには、油圧切換弁20の操作レバ−14を荷台後退位置ａ方向に操作すればよい。操作レバ−14を荷台後退位置ａ方向に操作すれば、操作の初期、すなわち操作手段を操作しても弁が切換わらない無効ストロ−ク領域においてプルケ−ブル21が引かれ荷台固定手段17の係合フック17ａが矢印方向に回動して係合部材17ｂとの係合が解かれるので、荷台６の固定が解除されるのである。更に、弁を同方向へ操作すれば、油圧切換弁20が荷台後退位置ａに切換わり、スライドシリンダ12が伸長駆動されて荷台６が後退方向に移動し、積込み位置にもたらされるのである。この状態で、自動車等を自走あるいはウインチ等により引込めば荷台６上に自動車等を積込むことができるのである。
【００２１】
荷台６上に自動車等を積込み荷台６を走行位置に移動させるには、油圧切換弁20の操作レバ−14を荷台前進位置ｂに操作すればよい。これにより、油圧切換弁20が荷台前進位置ｂに切換えられるので、スライドシリンダ12が縮小駆動されて荷台６が前進方向に移動し、走行位置にもたらされるのである。荷台６が走行位置まで移動すれば、スプリング17ｃの付勢力により荷台固定手段17の係合フック17ａが係合部材17ｂに係合して荷台６が機械的に固定されるので、走行が可能となるのである。
【００２２】
なお、上記実施例では、荷台固定手段17の係合フック17ａを車輌フレ−ム１側に取付けると共に係合部材17ｂを荷台６側に取付けた例について説明したが、本発明の荷台の固定装置はこれに限定されるものではなく、係合フック17ａを荷台６側に取付けると共に係合部材17ｂを車輌フレ−ム１側に取付けて車輌フレ−ム１側から係合フック17ａを解除するよう構成してもよいこと勿論である。また、車輌フレ−ム１側にスプリングで挿入方向に弾圧付勢された固定ピンを取付けると共に荷台側に当該固定ピンを受容する係合穴を設けて構成してもよいこと勿論である。
【００２３】
また、上記実施例では、油圧切換弁20を操作レバ−14で手動操作する手動操作式の油圧切換弁で構成した例について説明したが、本発明の荷台の固定装置はこれに限定されるものではなく、リモコンあるいはラジコン等の遠隔操作手段により遠隔操作される遠隔操作式の油圧切換弁で構成してもよいこと勿論である。この場合には、油圧切換弁のスプ−ル、あるいは遠隔操作手段の操作部材と荷台固定手段17の係合フック17ａをプルケ−プル等の連動手段で連結すればよいものである。
【００２４】
【発明の効果】
以上の如く構成し作用する本発明の荷台スライド式運搬車における荷台の固定装置は、油圧切換弁の荷台後退位置への切換操作に連動して荷台固定手段による荷台の固定解除を行うことができるので、荷台を後退方向に移動させる場合も荷台を前進方向に移動させる場合も同一の操作手段で操作することができ、操作性を向上することができるという効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の荷台固定装置の構成を説明する構成説明図である。
【図２】本発明が適応される荷台スライド式運搬車の走行位置での説明図である。
【図３】同荷台スライド式運搬車の積込み位置での説明図である。
【図４】従来の荷台の固定装置を説明する説明図である。
【符号の説明】
Ａ 車輌
１ 車輌フレ−ム
２ サブフレ−ム
３ 傾動フレ−ム
５ 接地脚
６ 荷台
７ 案内レ−ル
８ 前部支持ロ−ラ
９ 後部支持ロ−ラ
10 荷台傾動ロ−ラ
11 傾動案内レ−ル
12 スライドシリンダ
14 操作レバ−（操作手段）
17 荷台固定装置
17ａ 係合フック
17ｂ 係合部材
17ｃ スプリング
20 油圧切換弁
21 プルケ−ブル（連動手段）

Claims (1)

1. 車輌の車輌フレ−ム上に位置した走行位置と車輌フレ−ムの後方に移動後傾した積込み位置との間で移動可能に構成した荷台、前記車輌フレ−ムと荷台間に介装され荷台を車輌フレ−ムに対して移動させるスライドシリンダ、当該スライドシリンダへ圧油を給排制御する中立位置と荷台後退位置および荷台前進位置とを有する油圧切換弁、当該油圧切換弁を切換操作する操作手段、および前記車輌フレ−ムと荷台間に設けられ荷台が走行位置に位置したときにスプリングの付勢力により係合して荷台を固定する解除可能な荷台固定手段とを有する荷台スライド式運搬車における荷台の固定装置であって、
   前記油圧切換弁の操作初期に操作手段を操作しても弁が切換わらない所定範囲の無効ストロ−ク領域を設けると共に、当該油圧切換弁の無効ストロ−ク領域における荷台後退位置方向への弁操作に連動して前記荷台固定手段による荷台の固定を解除するよう操作手段と荷台固定手段を連動手段で連結したことを特徴とする荷台スライド式運搬車における荷台の固定装置。

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