JP3667807B2 - 自動変速機用遊星歯車列及び自動変速機用歯車変速装置 - Google Patents
自動変速機用遊星歯車列及び自動変速機用歯車変速装置 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動変速機用歯車変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、前進5速のギヤ段を得る自動変速機用歯車変速装置として、特開平1−242854号公報に記載のものが知られている。
【0003】
この従来装置は、シングルピニオン型遊星歯車を2個用い前進4速のギヤ段を得る4速型主遊星歯車変速機構に、シングルピニオン型遊星歯車を1個追加し、この3個の遊星歯車に総計11個のクラッチ,ブレーキ,一方向クラッチ等の係合・解放要素を組み合わせた構成になっている。
【0004】
このうち、変速制御を簡単にするための一方向クラッチ及び一方向クラッチを取り付けたがためコースティング時に利かなくなるエンジンブレーキを利かせる目的で付加したクラッチ・ブレーキ類を取り除いたクラッチ及びブレーキの係合・解放要素数は7個である。この数が実用上、前進5段・後退1段の変速を達成するのに必要な最小要素数である。
【0005】
内訳は、クラッチ,ブレーキの係合・解放要素を最小でも5個必要とする4段部(アンダードライブ2段,直結1段,オーバドライブ1段)と、1つの遊星歯車とクラッチ・ブレーキが最小でも2つ必要なアド・オン部からなり、5段(アンダードライブ3段,直結1段,オーバドライブ1段)変速を可能にしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の自動変速機用歯車変速装置でオーバドライブを1段から2段にしようとした場合、アド・オン部の入力経路を切り替えてアド・オン部に導くことが考えられるが、このためにはクラッチ・ブレーキを2つ追加することが必要になる。従って、コスト、さらには、車両搭載性を損ねる点等を考慮すると実用的ではない。
【0007】
また、当該アド・オン型5段変速装置に最低必要なクラッチ,ブレーキの総変速要素数は7個であるが、装置全体に占める重量及び寸法の割合が大きく、これをできる限り減らして、コスト・車両搭載性・燃費等を向上させたいという要求も強い。
【0008】
さりとて、クラッチ,ブレーキの総数を減らすために、複数の遊星歯車を組み合わせて変速装置の構成を検討するについては、遊星歯車の組み合わせ方や遊星歯車のサンギヤとリングギヤとの歯数の比(即ち、ギヤ比)、シングルピニオン型遊星歯車かダブルピニオン型遊星歯車を用いるのか等によって得られる変速比が多様に変わり、且つ、それらが全て実用に供し得るものではなく、車両への搭載性,変速特性,要求される動力性能,コスト等の諸条件から実用性のある歯車列は限定される。
【0009】
即ち、遊星歯車の組み合わせやギヤ比の設定の仕方によって、膨大な数の構成が考案できるものの、車両用自動変速機として要求される実用に適するものを創作することには多大な困難を伴うという問題がある。
【0010】
例えば、特開昭50−64660号公報には、図14に示すように、シングルピニオン型の遊星歯車を3個と、クラッチ3個,ブレーキ3個を用い、図16に示すように、各要素を係合・解放することにより前進6段・後退2段の変速を達成する装置が示されている。
【0011】
しかしながら、この従来装置にあっては、下記に述べる問題がある。
【0012】
(1) ギヤ段間の変速比の設定が不適である。
【0013】
横軸に遊星歯車の設定ギヤ比に応じて割りふられる回転メンバの位置をとり、縦軸に回転速度比をとり、回転速度比0と回転速度比1に対応して横方向に引かれる直線との交点にそれぞれクラッチとブレーキの要素を表示し、係合される要素を結ぶ線により描かれる共線図を図15に示す。
【0014】
本来、ギヤ段間の変速比は等比級数的に設定するのが望ましい。なぜなら、図17に示すように、エンジンのトルクバンド(スロットル開度一定でのエンジントルクと回転の関係から出力されるエンジントルクの幅)がギヤ段に影響されずにほぼ一定となり、出力軸トルクはギヤ段に応じてほぼ一定の比で変化すると共に、エンジン回転がほぼ同じ変化をすることになり、運転者にとって快適に感じる。
【0015】
ところが、図15によれば、ギヤ段間の変速比が等比級数的ではなく、特に、5速,6速間及び3速,4速間が広く、この間が他の変速とは異なるトルクバンドを使うことになり、エンジン特性の良好な部分を使えなくなる。特に、5速,6速は変速頻度が多いところであり、顕著に感じるはずである。
【0016】
そこで、3速,4速間を狭くしようとして第5回転メンバ▲5▼の縦軸が図面右方向にずれるように遊星歯車のギヤ比を設定すると、3速,4速間は狭くなるが同時に4速,5速間も狭くなるし、5速,6速間は現状よりさらに広くなる。
【0017】
このように、ギヤ同志の動力伝達経路が常に連結されたギヤ列では、変速比の選択幅が少なく、図15に示すように妥協的に変速比を設定せざるを得ない。
【0018】
(2) 変速に関与しないメンバ回転が異常に高くなる。
【0019】
図15に示す共線図の左右端の回転メンバ▲1▼,▲5▼は、5速,6速,後退2速の時に異常な高回転となるので、その部材の支持用軸受け等の強度や高回転による変速不良(遠心油圧によるクラッチ作動不良等)のおそれがある。
【0020】
本発明は、以上の問題点を克服し、実用に適するものを創作したが、これに際して以下の点を考慮した。
【0021】
1)2つのクラッチ及びブレーキを係合状態から解放状態もしくは解放状態から係合状態に切り替えると変速ショックが悪化し、あるいは変速ショックを低減するために複雑な制御が必要となることを考慮し、隣り合ったギヤ段間で1つのクラッチまたはブレーキが係合状態から解放状態もしくは解放状態から係合状態に切り替わることとした。
【0022】
2)構成を簡素化し、コストアップを抑えるために、ダブルピニオン型遊星歯車を使わずにシングルピニオン型遊星歯車だけを3つ組み合わせる構成とした。
【0023】
3)クラッチ及びブレーキの総数は、最小の場合6個で、前進6段(アンダードライブ3段,直結1段,オーバドライブ2段)、後退1段以上を実現できる構成であることとした。これは、小型・軽量な構成にすることとコストダウンを強く考慮したためである。
【0024】
4)アド・オン型は本体部にアド・オン部を結合する構造になるため、小型・軽量かつコストを考慮すると、アド・オン部を結合する手段並びに本体部とアド・オン部を隔てる壁が必要になる等、不利である。そのためインテグラルタイプとすることとした。
【0025】
5)各変速ギヤ段間の変速比を等比級数的に並ばせることによって、変速の前後でのエンジン回転のバラツキを少なくして運転し易くする配慮を行なった。
【0026】
本発明の目的とするところは、変速ショックを容易に低減でき、変速制御が容易で、動力性能に優れ、かつ構成が簡単な自動変速機用遊星歯車列及び自動変速機用歯車変速装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の自動変速機用遊星歯車列では、図1のクレーム対応図に示すように、第1サンギヤと、第1リングギヤと、両ギヤに噛み合うピニオンを保持する第1キャリヤを有するシングルピニオン型の第1遊星歯車aと、第2サンギヤと、第2リングギヤと、両ギヤに噛み合うピニオンを保持する第2キャリヤを有するシングルピニオン型の第2遊星歯車bと、第3サンギヤと、第3リングギヤと、両ギヤに噛み合うピニオンを保持する第3キャリヤを有するシングルピニオン型の第3遊星歯車cと、前記第1リングギヤと第2サンギヤとを一体に連結する第1の2要素連結メンバdと、前記第2キャリヤと第3リングギヤとを一体に連結する第2の2要素連結メンバeと、前記第1サンギヤと第2リングギヤとを一体に連結すると共に、第1サンギヤおよび第2リングギヤと第3キャリヤとを断接クラッチ(第1クラッチ)fを介して連結するクラッチ介装連結メンバgと、を備え、前記第1の2要素連結メンバdを、第2クラッチを介して入力軸に連結し、前記第2の2要素連結メンバeを、第3クラッチを介して前記入力軸に連結し、前記第3サンギヤを、第4クラッチを介して前記入力軸に連結していることを特徴とする。
【0028】
請求項2記載の自動変速機用歯車変速装置では、請求項1記載の自動変速機用遊星歯車列において、前記第1キャリヤを、出力軸に連結し、前記クラッチ介装連結メンバの第3キャリヤ側を、第1ブレーキを介してケースに連結し、前記第3サンギヤを、第2ブレーキを介してケースに連結し、1つのギヤ段を前記断接クラッチ(第1クラッチ)を含む4クラッチ2ブレーキのうち3個の係合組み合わせにより得ると共に、隣り合ったギヤ段で二重掛け替えのない係合解放制御則により複数のギヤ段を得る変速制御手段を設けたことを特徴とする。
【0029】
請求項3記載の自動変速機用歯車変速装置では、請求項1記載の自動変速機用遊星歯車列において、前記第1の2要素連結メンバを、第1ブレーキを介してケースに連結し、前記第1キャリヤを、第2ブレーキを介してケースに連結し、前記クラッチ介装連結メンバの第3キャリヤ側を、出力軸に連結し、1つのギヤ段を前記断接クラッチ(第1クラッチ)を含む4クラッチ2ブレーキのうち3個の係合組み合わせにより得ると共に、隣り合ったギヤ段で二重掛け替えのない係合解放制御則により複数のギヤ段を得る変速制御手段を設けたことを特徴とする。
【0030】
【作用】
第1の発明の作用を説明する。
【0031】
シングルピニオン型の第1遊星歯車aと第2遊星歯車bと第3遊星歯車cのうち第1リングギヤと第2サンギヤとは第1の2要素連結メンバdにより一体に連結され、第2キャリヤと第3リングギヤとは第2の2要素連結メンバeにより一体に連結される。そして、第1サンギヤと第2リングギヤとは一体に連結され、両ギヤと第3キャリヤとは断接クラッチfを介してクラッチ介装連結メンバgにより連結され、断接クラッチfを接とする選択時には3要素が一体に連結され、断接クラッチfを断とする選択時には第3キャリヤが第1サンギヤ及び第2リングギヤから分断される。
【0032】
つまり、各遊星歯車a,b,cの9個ある回転要素のうち2つの2要素連結メンバd,eにより2個少なくなる。そして、断接クラッチfを断とする選択時には、9個−2個−1個=6個の回転要素を持つ遊星歯車列となり、断接クラッチfを接とする選択時には、3要素がクラッチ介装連結メンバfにより直結とされることにより、9個−2個−2個=5個の回転要素を持つ遊星歯車列となる。
【0033】
よって、これらの回転要素に入力部材,出力部材,ケースを加えて9個あるいは8個のメンバとし、各メンバ間を一体に連結するか、全く連結しないか、クラッチやブレーキ等の係合要素を介して連結するかのいずれかを行ない、設けられた複数の係合要素の係合・解放を制御することにより入力部材と出力部材間に異なる変速比による回転状況を得ることができる。
【0034】
この場合、各遊星歯車a,b,c同志の動力伝達経路を断接クラッチfの断または接により選択できることで、各ギヤ段での変速比の設定自由度が高まり、各変速ギヤ段間の変速比を等比級数的に並ばせることが可能となる。
【0035】
また、断接クラッチfにより伝達経路を断つ用い方をすることで変速に関与しないメンバ回転が異常に高くなることも防止できる。
【0036】
第2,第3の発明の作用を説明する。
【0037】
請求項2もしくは請求項3記載の歯車変速機構に対し、変速制御手段による変速制御により、1つのギヤ段が断接クラッチf(第1クラッチ)を含む4クラッチ2ブレーキのうち3個の係合組み合わせにより得られると共に、隣り合ったギヤ段で二重掛け替えのない係合解放制御則により複数のギヤ段が得られる。
【0038】
例えば、設定可能な複数のギヤ段から前進6段後退1段を設定した場合、変速ショックを容易に低減でき、変速制御が容易で、動力性能に優れ、かつ構成が簡単な装置であるという要求性能を全て満足する。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0040】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
【0041】
図2は請求項1,2記載の発明に対応する第1実施例の自動変速機用歯車変速機構を示すスケルトン図である。
【0042】
図2において、PG1は第1遊星歯車、PG2は第2遊星歯車、PG3は第3遊星歯車、M1は第1の2要素連結メンバ、M2は第2の2要素連結メンバ、M3はクラッチ介装連結メンバ、C1は第1クラッチ(断接クラッチfに相当)で、これらにより構成される遊星歯車列について説明する。
【0043】
前記第1遊星歯車PG1は、第1サンギヤS1と、第1リングギヤR1と、両ギヤS1,R1に噛み合うピニオンを保持する第1キャリヤP1を有するシングルピニオン型の遊星歯車である。
【0044】
前記第2遊星歯車PG2は、第2サンギヤS2と、第2リングギヤR2と、両ギヤS2,R2に噛み合うピニオンを保持する第2キャリヤP2を有するシングルピニオン型の遊星歯車である。
【0045】
前記第3遊星歯車PG3は、第3サンギヤS3と、第3リングギヤR3と、両ギヤS3,R3に噛み合うピニオンを保持する第3キャリヤP3を有するシングルピニオン型の遊星歯車である。
【0046】
前記第1の2要素連結メンバM1は、第1リングギヤR1と第2サンギヤS2とを一体に連結するメンバである。
【0047】
前記第2の2要素連結メンバM2は、第2キャリヤP2と第3リングギヤR3とを一体に連結するメンバである。
【0048】
前記クラッチ介装連結メンバM3は、第1サンギヤS1と第2リングギヤR2とを一体に連結すると共に、両ギヤS1,R2と第3キャリヤP3とを第1クラッチC1を介して連結するメンバである。
【0049】
上記遊星歯車列を自動変速機用歯車変速機構にするにあたって、遊星歯車列に付加されるメンバ並びに係合要素について説明する。
【0050】
前記第1の2要素連結メンバM1(回転メンバA)は、第2クラッチC2を介して入力軸ISに連結されている。
【0051】
前記第1キャリヤP1(回転メンバB)は、出力軸OSに連結されている。
【0052】
前記第2の2要素連結メンバM2(回転メンバC)は、第3クラッチC3を介して入力軸ISに連結されている。
【0053】
前記クラッチ介装連結メンバM3(回転メンバD)の第3キャリヤP3側は、第1ブレーキB1を介してケースKに連結されている。
【0054】
前記第3サンギヤS3(回転メンバE)は、第2ブレーキB2を介してケースKに連結されていると共に、第4クラッチC4を介して入力軸ISに連結されている。
【0055】
そして、1つのギヤ段を前記4個のクラッチC1,C2,C3,C4と2個のブレーキB1,B2のうち3個の係合組み合わせにより得ると共に、隣り合ったギヤ段で二重掛け替えのない係合解放制御により前進6段で後退1段のギヤ段を得る図外の変速制御手段(全油圧制御式あるいは電子制御+油圧制御式)が上記自動変速機用歯車変速機構に接続されている。
【0056】
次に、作用を説明する。
【0057】
[第1速ギヤ段]
第1速ギヤ段は、図4の係合論理表に示すように、第2クラッチC2と第4クラッチC4と第1ブレーキB1を係合することで得られる。
【0058】
この第1速ギヤ段では、第2クラッチC2の係合による回転メンバAからの入力と、第4クラッチC4の係合による回転メンバEからの入力となる。そして、第1ブレーキB1の係合と第1クラッチC1の解放により回転メンバDの第3キャリヤP3側はケースKに固定される。
【0059】
よって、回転メンバAからの入力と、回転メンバEの入力と回転メンバD(第3キャリヤP3側)の固定とで規定される回転メンバCの回転により、回転メンバBの回転が規定され、回転メンバBに連結されている出力軸OSからは、入力軸ISの回転に対し減速比の大きなアンダードライブによる第1速変速比が得られる。
【0060】
すなわち、第1速ギヤ段での共線図は、図3の1stに示す通り、第1クラッチC1の解放により2つの線図にて表される。
【0061】
尚、図3において、A,B,C,D,Eは各回転メンバであり、矢印は入力、二重丸は出力、黒塗り三角はブレーキ係合を示す。
【0062】
[第2速ギヤ段]
第2速ギヤ段は、第1速ギヤ段での第4クラッチC4を解放して第2ブレーキB2を締結する。つまり、図4の係合論理表に示すように、第2クラッチC2と第1ブレーキB1と第2ブレーキB2を係合することで得られる。
【0063】
この第2速ギヤ段では、第2クラッチC2の係合により回転メンバAからの入力となる。そして、第1ブレーキB1の係合と第1クラッチC1の解放により回転メンバDの第3キャリヤP3側はケースKに固定され、第2ブレーキB2の係合により回転メンバEはケースKに固定される。
【0064】
よって、回転メンバAからの入力と、回転メンバEと回転メンバD(第3キャリヤP3側)の固定とで規定される回転メンバCの固定により、回転メンバBの回転が規定され、回転メンバBに連結されている出力軸OSからは、第1速変速比よりも減速比として小さい値による第2速変速比が得られる。
【0065】
すなわち、第2速ギヤ段での共線図は、図3の2ndに示す通り、第1クラッチC1の解放により2つの線図にて表される。
【0066】
[第3速ギヤ段]
第3速ギヤ段は、第2速ギヤ段での第1ブレーキB1を解放して第1クラッチC1を締結する。つまり、図4の係合論理表に示すように、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第2ブレーキB2を係合することで得られる。
【0067】
この第3速ギヤ段では、第1クラッチC1の係合により回転メンバDは3要素連結メンバとして一体回転する。また、第2クラッチC2の係合により回転メンバAからの入力となる。そして、第2ブレーキB2の係合により回転メンバEはケースKに固定される。
【0068】
よって、回転メンバAからの入力と、回転メンバEの固定により、回転メンバBの回転が規定され、回転メンバBに連結されている出力軸OSからは、第2速変速比よりも減速比として小さい値による第3速変速比が得られる。
【0069】
すなわち、第3速ギヤ段での共線図は、図3の3rdに示す通り、第1クラッチC1の係合により1つの線図にて表される。
【0070】
[第4速ギヤ段]
第4速ギヤ段は、第3速ギヤ段での第2ブレーキB2を解放して第2クラッチC2を締結する。つまり、図4の係合論理表に示すように、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第3クラッチC3を係合することで得られる。
【0071】
この第4速ギヤ段では、第1クラッチC1の係合により回転メンバDは3要素連結メンバとして一体回転する。また、第2クラッチC2の係合による回転メンバAからの入力と、第3クラッチC3の係合による回転メンバCからの入力との同時入力となる。
【0072】
よって、回転メンバA,Cからの同時入力により回転メンバBの回転が入力回転に規定され、回転メンバBに連結されている出力軸OSからは、変速比1による第4速変速比が得られる。
【0073】
すなわち、第4速ギヤ段での共線図は、図3の4thに示す通り、第1クラッチC1の係合により1つの線図にて表される。
【0074】
[第5速ギヤ段]
第5速ギヤ段は、第4速ギヤ段での第2クラッチC2を解放して第2ブレーキB2を締結する。つまり、図4の係合論理表に示すように、第1クラッチC1と第3クラッチC3と第2ブレーキB2を係合することで得られる。
【0075】
この第5速ギヤ段では、第1クラッチC1の係合により回転メンバDは3要素連結メンバとして一体回転する。また、第3クラッチC3の係合により回転メンバCからの入力ととなる。そして、第2ブレーキB2の係合により回転メンバEはケースKに固定される。
【0076】
よって、回転メンバCからの入力と、回転メンバEの固定により、回転メンバBの回転が規定され、回転メンバBに連結されている出力軸OSからは、入力軸ISより高回転のオーバドライブ変速比による第5速変速比が得られる。
【0077】
すなわち、第5速ギヤ段での共線図は、図3の5thに示す通り、第1クラッチC1の係合により1つの線図にて表される。
【0078】
[第6速ギヤ段]
第6速ギヤ段は、第5速ギヤ段での第2ブレーキB2を解放して第1ブレーキB1を締結する。つまり、図4の係合論理表に示すように、第1クラッチC1と第3クラッチC3と第1ブレーキB1を係合することで得られる。
【0079】
この第6速ギヤ段では、第3クラッチC3の係合により回転メンバCからの入力となる。そして、第1ブレーキB1の係合と第1クラッチC1の係合により3要素を連結する回転メンバDはケースKに固定される。
【0080】
よって、回転メンバCからの入力と、回転メンバDの固定により、回転メンバBの回転が規定され、回転メンバBに連結されている出力軸OSからは、入力軸ISより高回転のオーバドライブ変速比による第6速変速比が得られる。
【0081】
すなわち、第6速ギヤ段での共線図は、図3の6thに示す通り、第1クラッチC1の係合により1つの線図にて表される。
【0082】
[後退ギヤ段]
後退ギヤ段は、図4の係合論理表に示すように、第1クラッチC1と第4クラッチC4と第1ブレーキB1を係合することで得られる。
【0083】
この後退ギヤ段では、第4クラッチC4の係合により回転メンバEからの入力となる。そして、第1ブレーキB1の係合と第1クラッチC1の係合により3要素を連結する回転メンバDはケースKに固定される。
【0084】
よって、回転メンバEからの入力と、回転メンバDの固定により、回転メンバBの回転が規定され、回転メンバBに連結されている出力軸OSからは、入力軸ISに対し逆回転による後退ギヤ段変速比が得られる。
【0085】
すなわち、後退ギヤ段での共線図は、図3のRevに示す通り、第1クラッチC1の係合により1つの線図にて表される。
【0086】
[各ギヤ段変速比]
第1遊星歯車PG1のギヤ比ρ1 (=zS1/zR1)、第2遊星歯車PG2のギヤ比ρ2 (=zS2/zR2)、第3遊星歯車PG3のギヤ比ρ3 (=zS3/zR3)とした時、各ギヤ段変速比n1,n2,n4,n5,n6,nRは、図4の表に示すようになる。
【0087】
具体例として、ρ1 =0.602,ρ2 =0.454,ρ3 =0.340とした時、各ギヤ段変速比と隣接するギヤ段間の比は下記のようになる。尚、カッコ内は目標値を示す。
【0088】
n1=3.730(3.5) n2/n1=0.590(0.629)
n2=2.200(2.2) n3/n2=0.564(0.682)
n3=1.240(1.5) n4/n3=0.806(0.667)
n4=1.000(1.0) n5/n4=0.800(0.700)
n5=0.800(0.7) n6/n5=0.625(0.714)
n6=0.500(0.5)
nR=1.470
3速が目標変速比より少し小さいが、1速〜6速はほぼ目標の変速比となる。また、1速〜6速間の比は、目標とする比に対し許容される偏差の範囲に収まっている。
【0089】
[自動変速機用歯車変速機構の第1変形例]
図5は第1実施例の第1変形例を示す各ギヤ段での共線図、図6は第1実施例の第1変形例での係合論理表を示す図である。
【0090】
この第1変形例は、図2〜図4に示す第1実施例に対し、第3速ギヤ段での係合速を異ならせると共に、第1遊星歯車PG1のギヤ比ρ1 と第2遊星歯車PG2のギヤ比ρ2 を異ならせて設定した例である。
【0091】
この第1変形例での第3速ギヤ段は、第2速ギヤ段での第2ブレーキB2を解放して第1クラッチC1を締結する。つまり、図6の係合論理表に示すように、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第1ブレーキB1を係合することで得られる。
【0092】
この第3速ギヤ段では、第2クラッチC2の係合により回転メンバAからの入力となる。そして、第1ブレーキB1と第1クラッチC1の係合により3要素を連結する回転メンバDはケースKに固定される。
【0093】
よって、回転メンバAからの入力と、回転メンバDの固定により、回転メンバBの回転が規定され、回転メンバBに連結されている出力軸OSからは、第2速変速比よりも減速比として小さい値による第3速変速比が得られる。
【0094】
すなわち、第3速ギヤ段での共線図は、図5の3rdに示す通り、第1クラッチC1の係合により1つの線図にて表される。
【0095】
尚、他のギヤ段は第1実施例と同様である。
【0096】
ρ1 =0.500,ρ2 =0.639,ρ3 =0.340とした時、各ギヤ段変速比n1,n2,n4,n5,n6,nRと隣接するギヤ段間の比は下記のようになる。尚、カッコ内は目標値を示す。
【0097】
n1=3.730(3.5) n2/n1=0.590(0.629)
n2=2.200(2.2) n3/n2=0.682(0.682)
n3=1.500(1.5) n4/n3=0.667(0.667)
n4=1.000(1.0) n5/n4=0.850(0.700)
n5=0.850(0.7) n6/n5=0.682(0.714)
n6=0.580(0.5)
nR=1.720
第1実施例に対し3速がより目標変速比に近づき、1速〜6速はほぼ目標の変速比となる。また、1速〜6速間の比は、目標とする比に対し許容される偏差の範囲に収まっている。
【0098】
[自動変速機用歯車変速機構の第2変形例]
図7は第1実施例の第2変形例を示すスケルトン図である。
【0099】
この第2変形例は、図2に示す第1実施例に対し、入力側から出力側に向かって、順次、第1遊星歯車PG1,第3遊星歯車PG3,第2遊星歯車PG2を配列した例である。
【0100】
[自動変速機用歯車変速機構の第3変形例]
図7は第1実施例の第3変形例を示すスケルトン図である。
【0101】
この第3変形例は、図2に示す第1実施例に対し、入力側から出力側に向かって、順次、第2遊星歯車PG2,第1遊星歯車PG1,第3遊星歯車PG3を配列した例である。
【0102】
次に、効果を説明する。
【0103】
第1実施例の自動変速機用歯車変速装置にあっては、下記の長所が併せて達成される。
【0104】
(1) 隣接するギヤ段への変速を1つの係合要素の解放と1つの係合要素の係合により行なう装置としたため、変速ショックを容易に低減できる。
【0105】
(2) 前進6段後退1段の変速制御を行なう装置でありながら、変速に必要とする係合要素の数が4個のクラッチと2個のブレーキの6個だけの装置としたため、変速制御が容易となる。
【0106】
(3) 各ギヤ段の変速比を目標変速比に近づけ、且つ、変速比の隣接するギヤ段間の比をほぼ等比級数的に並べた装置としたため、変速に際してエンジン回転の変化がほぼ同じ変化をし、変速比に影響されずにエンジン特性の良好なトルクバンドでの変速が達成されることで、動力性能に優れる。
【0107】
ここで、なぜ各ギヤ段の変速比を目標変速比に近づけることができ、且つ、変速比の隣接するギヤ段間の比をほぼ等比級数的に並べることができるかについて理由を述べると、3つの遊星歯車同志の動力伝達経路が常に定まっているギヤ列とはなっていなく、第1クラッチC1の係合・解放により動力伝達経路を選択できることで、第1クラッチC1を解放状態とした場合の共線図(2本の線図)と第1クラッチC1を係合状態とした場合の共線図(1本の線図)とが別に描かれ、各ギヤ段での変速比の設定自由度が大幅に高まることによる。
【0108】
(4) シングルピニオン型の遊星歯車のみを3個を用い、アド・オン型ではなくインテグラルタイプとし、且つ、変速に必要とする係合要素の数が4個のクラッチと2個のブレーキの6個だけの装置としたため、構成が簡単であり、小型・軽量・低コストを達成することができる。
【0109】
(第2実施例)
まず、構成を説明する。
【0110】
図9は請求項1,3記載の発明に対応する第2実施例の自動変速機用歯車変速機構を示すスケルトン図である。
【0111】
図9において、PG1は第1遊星歯車、PG2は第2遊星歯車、PG3は第3遊星歯車、M1は第1の2要素連結メンバ、M2は第2の2要素連結メンバ、M3はクラッチ介装連結メンバ、C1は第1クラッチ(断接クラッチfに相当)で、これらにより構成される遊星歯車列は図2の第1実施例と同様である。
【0112】
上記遊星歯車列を自動変速機用歯車変速機構にするにあたって、遊星歯車列に付加されるメンバ並びに係合要素について説明する。
【0113】
前記第1の2要素連結メンバM1(回転メンバA)は、第1ブレーキB1を介してケースKに連結されていると共に、第2クラッチC2を介して入力軸ISに連結されている。
【0114】
前記第1キャリヤP1(回転メンバB)は、第2ブレーキB2を介してケースKに連結されている。
【0115】
前記第2の2要素連結メンバM2(回転メンバC)は、第3クラッチC3を介して入力軸ISに連結されている。
【0116】
前記クラッチ介装連結メンバM3(回転メンバD)の第3キャリヤP3側は、出力軸OSに連結されている。
【0117】
前記第3サンギヤS3(回転メンバE)は、第4クラッチC4を介して入力軸ISに連結されている。
【0118】
そして、1つのギヤ段を前記4個のクラッチC1,C2,C3,C4と2個のブレーキB1,B2のうち3個の係合組み合わせにより得ると共に、隣り合ったギヤ段で二重掛け替えのない係合解放制御により前進6段で後退1段のギヤ段を得る図外の変速制御手段(全油圧制御式あるいは電子制御+油圧制御式)が上記自動変速機用歯車変速機構に接続されている。
【0119】
次に、作用を説明する。
【0120】
[第1速ギヤ段]
第1速ギヤ段は、図11の係合論理表に示すように、第4クラッチC4と第1ブレーキB1と第2ブレーキB2を係合することで得られる。
【0121】
この第1速ギヤ段では、第1クラッチC1の解放により回転メンバDの第3キャリヤP3側のみが出力軸OSに連結される。また、第4クラッチC4の係合により回転メンバEからの入力となる。そして、第1ブレーキB1の係合により回転メンバAはケースKに固定され、第2ブレーキB2の係合により回転メンバBはケースKに固定される。
【0122】
よって、回転メンバEからの入力と、回転メンバA,Bの固定に伴う回転メンバCの固定により、回転メンバD(第3キャリヤP3側)の回転が規定され、回転メンバDに連結されている出力軸OSからは、入力軸ISの回転に対し減速比の大きなアンダードライブによる第1速変速比が得られる。
【0123】
すなわち、第1速ギヤ段での共線図は、図10の1stに示す通り、第1クラッチC1の係合により2つの線図にて表される。
【0124】
尚、図10において、A,B,C,D,Eは各回転メンバであり、矢印は入力、二重丸は出力、黒塗り三角はブレーキ係合を示す。
【0125】
[第2速ギヤ段]
第2速ギヤ段は、第1速ギヤ段での第1ブレーキB1を解放して第1クラッチC1を締結する。つまり、図11の係合論理表に示すように、第1クラッチC1と第4クラッチC4と第2ブレーキB2を係合することで得られる。
【0126】
この第2速ギヤ段では、第1クラッチC1の係合により回転メンバDは3要素連結メンバとして一体回転する。また、第4クラッチC4の係合により回転メンバEからの入力となる。そして、第2ブレーキB2の係合により回転メンバBはケースKに固定される。
【0127】
よって、回転メンバEからの入力と、回転メンバBの固定により、回転メンバDの回転が規定され、回転メンバDに連結されている出力軸OSからは、第1速変速比よりも減速比として小さい値による第2速変速比が得られる。
【0128】
すなわち、第2速ギヤ段での共線図は、図10の2ndに示す通り、第1クラッチC1の係合により1つの線図にて表される。
【0129】
[第3速ギヤ段]
第3速ギヤ段は、第2速ギヤ段での第2ブレーキB2を解放して第1ブレーキB1を締結する。つまり、図11の係合論理表に示すように、第1クラッチC1と第4クラッチC4と第1ブレーキB1を係合することで得られる。
【0130】
この第3速ギヤ段では、第1クラッチC1の係合により回転メンバDは3要素連結メンバとして一体回転する。また、第4クラッチC4の係合により回転メンバEからの入力となる。そして、第1ブレーキB1の係合により回転メンバAはケースKに固定される。
【0131】
よって、回転メンバEからの入力回転と、回転メンバAの固定により、回転メンバDの回転が規定され、回転メンバDに連結されている出力軸OSからは、第2速変速比よりも減速比として小さい値による第3速変速比が得られる。
【0132】
すなわち、第3速ギヤ段での共線図は、図10の3rdに示す通り、第1クラッチC1の係合により1つの線図にて表される。
【0133】
[第4速ギヤ段]
第4速ギヤ段は、第3速ギヤ段での第1ブレーキB1を解放して第3クラッチC3を締結する。つまり、図11の係合論理表に示すように、第1クラッチC1と第3クラッチC3と第4クラッチC4を係合することで得られる。
【0134】
この第4速ギヤ段では、第1クラッチC1の係合により回転メンバDは3要素連結メンバとして一体回転する。また、第3クラッチC3の係合による回転メンバCからの入力と、第4クラッチC4の係合による回転メンバEからの入力との同時入力となる。
【0135】
よって、回転メンバC,Eからの同時入力に規定されて回転メンバDの回転が入力回転に規定され、回転メンバDに連結されている出力軸OSからは、変速比1による第4速変速比が得られる。
【0136】
すなわち、第4速ギヤ段での共線図は、図10の4thに示す通り、第1クラッチC1の係合により1つの線図にて表される。
【0137】
[第5速ギヤ段]
第5速ギヤ段は、第4速ギヤ段での第4クラッチC4を解放して第1ブレーキB1を締結する。つまり、図11の係合論理表に示すように、第1クラッチC1と第3クラッチC3と第1ブレーキB1を係合することで得られる。
【0138】
この第5速ギヤ段では、第1クラッチC1の係合により回転メンバDは3要素連結メンバとして一体回転する。また、第3クラッチC3の係合により回転メンバCからの入力ととなる。そして、第1ブレーキB1の係合により回転メンバAはケースKに固定される。
【0139】
よって、回転メンバCからの入力と、回転メンバAの固定により、回転メンバDの回転が規定され、回転メンバDに連結されている出力軸OSからは、入力軸ISより高回転のオーバドライブ変速比による第5速変速比が得られる。
【0140】
すなわち、第5速ギヤ段での共線図は、図10の5thに示す通り、第1クラッチC1の係合により1つの線図にて表される。
【0141】
[第6速ギヤ段]
第6速ギヤ段は、第5速ギヤ段での第1ブレーキB1を解放して第2ブレーキB2を締結する。つまり、図11の係合論理表に示すように、第1クラッチC1と第3クラッチC3と第2ブレーキB2を係合することで得られる。
【0142】
この第6速ギヤ段では、第1クラッチC1の係合により回転メンバDは3要素連結メンバとして一体回転する。また、第3クラッチC3の係合により回転メンバCからの入力となる。そして、第2ブレーキB2の係合により回転メンバBはケースKに固定される。
【0143】
よって、回転メンバCからの入力と、回転メンバBの固定により、回転メンバDの回転が規定され、回転メンバDに連結されている出力軸OSからは、入力軸ISより高回転のオーバドライブ変速比による第6速変速比が得られる。
【0144】
すなわち、第6速ギヤ段での共線図は、図10の6thに示す通り、第1クラッチC1の係合により1つの線図にて表される。
【0145】
[後退ギヤ段]
後退ギヤ段は、図11の係合論理表に示すように、第2クラッチC2と第4クラッチC4と第2ブレーキB2を係合することで得られる。
【0146】
この後退ギヤ段では、第1クラッチC1の解放により回転メンバDの第3キャリヤP3側のみが出力軸OSに連結される。また、第2クラッチC2の係合による回転メンバAからの入力と第4クラッチC4の係合による回転メンバEからの入力となる。そして、第2ブレーキB2の係合により回転メンバBはケースKに固定される。
【0147】
よって、回転メンバEからの入力と、回転メンバAの入力回転と回転メンバBの固定による回転メンバCの規定回転により、回転メンバD(第3キャリヤP3側)の回転が規定され、回転メンバDに連結されている出力軸OSからは、入力軸ISに対し逆回転による後退ギヤ段変速比が得られる。
【0148】
すなわち、後退ギヤ段での共線図は、図10のRevに示す通り、第1クラッチC1の解放により2つの線図にて表される。
【0149】
[各ギヤ段変速比]
第1遊星歯車PG1のギヤ比ρ1 (=zS1/zR1)、第2遊星歯車PG2のギヤ比ρ2 (=zS2/zR2)、第3遊星歯車PG3のギヤ比ρ3 (=zS3/zR3)とした時、各ギヤ段変速比n1,n2,n4,n5,n6,nRは、図11の表に示すようになる。
【0150】
具体例として、ρ1 =0.600,ρ2 =0.430,ρ3 =0.400とした時、各ギヤ段変速比と隣接するギヤ段間の比は下記のようになる。尚、カッコ内は目標値を示す。
【0151】
n1=3.500(3.5) n2/n1=0.629(0.629)
n2=2.200(2.2) n3/n2=0.795(0.682)
n3=1.750(1.5) n4/n3=0.571(0.667)
n4=1.000(1.0) n5/n4=0.700(0.700)
n5=0.700(0.7) n6/n5=0.743(0.714)
n6=0.520(0.5)
nR=3.010
3速が目標変速比より少し大きいが、1速〜6速はほぼ目標の変速比となる。また、1速〜6速間の比は、目標とする比に対し許容される偏差の範囲に収まっている。
【0152】
[自動変速機用歯車変速機構の第1変形例]
図12は第2実施例の第1変形例を示すスケルトン図である。
【0153】
この第1変形例は、図9に示す第2実施例に対し、入力側から出力側に向かって、順次、第1遊星歯車PG1,第2遊星歯車PG2,第3遊星歯車PG3を配列した例である。
【0154】
[自動変速機用歯車変速機構の第2変形例]
図13は第2実施例の第2変形例を示すスケルトン図である。
【0155】
この第2変形例は、図9に示す第2実施例に対し、入力側から出力側に向かって、順次、第3遊星歯車PG3,第1遊星歯車PG1,第2遊星歯車PG2を配列した例である。
【0156】
次に、効果を説明する。
【0157】
第2実施例の自動変速機用歯車変速装置にあっては、下記の長所が併せて達成される。
【0158】
(1) 隣接するギヤ段への変速を1つの係合要素の解放と1つの係合要素の係合により行なう装置としたため、変速ショックを容易に低減できる。
【0159】
(2) 前進6段後退1段の変速制御を行なう装置でありながら、変速に必要とする係合要素の数が4個のクラッチと2個のブレーキの6個だけの装置としたため、変速制御が容易となる。
【0160】
(3) 各ギヤ段の変速比を目標変速比に近づけ、且つ、変速比の隣接するギヤ段間の比をほぼ等比級数的に並べた装置としたため、変速に際してエンジン回転の変化がほぼ同じ変化をし、変速比に影響されずにエンジン特性の良好なトルクバンドでの変速が達成されることで、動力性能に優れる。
【0161】
(4) シングルピニオン型の遊星歯車のみを3個を用い、アド・オン型ではなくインテグラルタイプとし、且つ、変速に必要とする係合要素の数が4個のクラッチと2個のブレーキの6個だけの装置としたため、構成が簡単であり、小型・軽量・低コストを達成することができる。
【0162】
以上、実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成は実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があっても本発明に含まれる。
【0163】
例えば、請求項1記載の自動変速機用遊星歯車列を持つ歯車変速機構であれば本発明に含まれる。
【0164】
また、実施例では、変速に必要な係合要素のみを用いた自動変速機用歯車変速機構の例を示したが、制御を簡単にするために一方向クラッチを入れたり、一方向クラッチを入れてもコースティング側でエンジンブレーキが効くようにブレーキ手段を追加したり、さらに、入力軸及び出力軸を連結する要素やケースに固定すべき要素は必要に応じて適宜決めれば良いことは当然のところである。
【0165】
【発明の効果】
請求項1記載の自動変速機用遊星歯車列にあっては、第1サンギヤと、第1リングギヤと、両ギヤに噛み合うピニオンを保持する第1キャリヤを有するシングルピニオン型の第1遊星歯車と、第2サンギヤと、第2リングギヤと、両ギヤに噛み合うピニオンを保持する第2キャリヤを有するシングルピニオン型の第2遊星歯車と、第3サンギヤと、第3リングギヤと、両ギヤに噛み合うピニオンを保持する第3キャリヤを有するシングルピニオン型の第3遊星歯車と、前記第1リングギヤと第2サンギヤとを一体に連結する第1の2要素連結メンバと、前記第2キャリヤと第3リングギヤとを一体に連結する第2の2要素連結メンバと、前記第1サンギヤと第2リングギヤとを一体に連結すると共に、第1サンギヤおよび第2リングギヤと第3キャリヤとを断接クラッチ(第1クラッチ)を介して連結するクラッチ介装連結メンバと、を備え、前記第1の2要素連結メンバを、第2クラッチを介して入力軸に連結し、前記第2の2要素連結メンバを、第3クラッチを介して前記入力軸に連結し、前記第3サンギヤを、第4クラッチを介して前記入力軸に連結した構成としたため、変速ショックを容易に低減でき、変速制御が容易で、動力性能に優れ、かつ構成が簡単な自動変速機用遊星歯車列を提供することができるという効果が得られる。
【0166】
請求項2記載の自動変速機用歯車変速装置にあっては、請求項1記載の自動変速機用遊星歯車列において、前記第1キャリヤを、出力軸に連結し、前記クラッチ介装連結メンバの第3キャリヤ側を、第1ブレーキを介してケースに連結し、前記第3サンギヤを、第2ブレーキを介してケースに連結し、1つのギヤ段を前記断接クラッチ(第1クラッチ)を含む4クラッチ2ブレーキのうち3個の係合組み合わせにより得ると共に、隣り合ったギヤ段で二重掛け替えのない係合解放制御則により複数のギヤ段を得る変速制御手段を設けた装置としたため、変速ショックを容易に低減でき、変速制御が容易で、動力性能に優れ、かつ構成が簡単な自動変速機用歯車変速装置を提供することができるという効果が得られる。
【0167】
請求項3記載の自動変速機用歯車変速装置にあっては、請求項1記載の自動変速機用遊星歯車列において、前記第1の2要素連結メンバを、第1ブレーキを介してケースに連結し、前記第1キャリヤを、第2ブレーキを介してケースに連結し、前記クラッチ介装連結メンバの第3キャリヤ側を、出力軸に連結し、1つのギヤ段を前記断接クラッチ(第1クラッチ)を含む4クラッチ2ブレーキのうち3個の係合組み合わせにより得ると共に、隣り合ったギヤ段で二重掛け替えのない係合解放制御則により複数のギヤ段を得る変速制御手段を設けた装置としたため、変速ショックを容易に低減でき、変速制御が容易で、動力性能に優れ、かつ構成が簡単な自動変速機用歯車変速装置を提供することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動変速機用遊星歯車列を示すクレーム対応図である。
【図2】第1実施例装置の自動変速機用歯車変速機構を示すスケルトン図である。
【図3】第1実施例装置での変速制御における各ギヤ段でのメンバ回転状態を示す共線図である。
【図4】第1実施例装置での変速制御における各ギヤ段での係合論理表を示す図である。
【図5】第1実施例装置の第1変形例での変速制御における各ギヤ段でのメンバ回転状態を示す共線図である。
【図6】第1実施例装置の第1変形例での変速制御における各ギヤ段での係合論理表を示す図である。
【図7】第1実施例装置の第2変形例での自動変速機用歯車変速機構を示すスケルトン図である。
【図8】第1実施例装置の第3変形例での自動変速機用歯車変速機構を示すスケルトン図である。
【図9】第2実施例装置の自動変速機用歯車変速機構を示すスケルトン図である。
【図10】第2実施例装置での変速制御における各ギヤ段でのメンバ回転状態を示す共線図である。
【図11】第2実施例装置での変速制御における各ギヤ段での係合論理表を示す図である。
【図12】第2実施例装置の第1変形例の自動変速機用歯車変速機構を示すスケルトン図である。
【図13】第2実施例装置の第2変形例の自動変速機用歯車変速機構を示すスケルトン図である。
【図14】従来装置の自動変速機用歯車変速機構を示すスケルトン図である。
【図15】従来装置での変速制御における各ギヤ段でのメンバ回転状態を示す共線図である。
【図16】従来装置での変速制御における各ギヤ段での係合論理表を示す図である。
【図17】スロットル開度をパラメータとしたエンジン回転数に対するエンジントルク特性図である。
【符号の説明】
a 第1遊星歯車
b 第2遊星歯車
c 第3遊星歯車
d 第1の2要素連結メンバ
e 第2の2要素連結メンバ
f 断接クラッチ
g クラッチ介装連結メンバ
Claims (3)
- 第1サンギヤと、第1リングギヤと、両ギヤに噛み合うピニオンを保持する第1キャリヤを有するシングルピニオン型の第1遊星歯車と、
第2サンギヤと、第2リングギヤと、両ギヤに噛み合うピニオンを保持する第2キャリヤを有するシングルピニオン型の第2遊星歯車と、
第3サンギヤと、第3リングギヤと、両ギヤに噛み合うピニオンを保持する第3キャリヤを有するシングルピニオン型の第3遊星歯車と、
前記第1リングギヤと第2サンギヤとを一体に連結する第1の2要素連結メンバと、
前記第2キャリヤと第3リングギヤとを一体に連結する第2の2要素連結メンバと、
前記第1サンギヤと第2リングギヤとを一体に連結すると共に、第1サンギヤおよび第2リングギヤと第3キャリヤとを断接クラッチ(第1クラッチ)を介して連結するクラッチ介装連結メンバと、
を備え、
前記第1の2要素連結メンバを、第2クラッチを介して入力軸に連結し、
前記第2の2要素連結メンバを、第3クラッチを介して前記入力軸に連結し、
前記第3サンギヤを、第4クラッチを介して前記入力軸に連結していることを特徴とする自動変速機用遊星歯車列。 - 請求項1記載の自動変速機用遊星歯車列において、
前記第1キャリヤを、出力軸に連結し、
前記クラッチ介装連結メンバの第3キャリヤ側を、第1ブレーキを介してケースに連結し、
前記第3サンギヤを、第2ブレーキを介してケースに連結し、
1つのギヤ段を前記断接クラッチ(第1クラッチ)を含む4クラッチ2ブレーキのうち3個の係合組み合わせにより得ると共に、隣り合ったギヤ段で二重掛け替えのない係合解放制御則により複数のギヤ段を得る変速制御手段を設けたことを特徴とする自動変速機用歯車変速装置。 - 請求項1記載の自動変速機用遊星歯車列において、
前記第1の2要素連結メンバを、第1ブレーキを介してケースに連結し、
前記第1キャリヤを、第2ブレーキを介してケースに連結し、
前記クラッチ介装連結メンバの第3キャリヤ側を、出力軸に連結し、
1つのギヤ段を前記断接クラッチ(第1クラッチ)を含む4クラッチ2ブレーキのうち3個の係合組み合わせにより得ると共に、隣り合ったギヤ段で二重掛け替えのない係合解放制御則により複数のギヤ段を得る変速制御手段を設けたことを特徴とする自動変速機用歯車変速装置。
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