JP3667449B2 - 射出成形用金型の組み付け調整方法 - Google Patents

射出成形用金型の組み付け調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形用金型の組み付け調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形用金型の組み付け調整方法として、光明丹を用いるものは公知であり、以下の文献に記述がある。内田清 監修 「射出成形用金型 第三版」、p133〜p134、(株)プラスチック・エージ(1984)
【0003】
従来の一般的な射出成形用金型の構造を図17に示す。この図は金型の断面図である。1aはキャビティープレート、2aはキャビ入子、3aはコアプレート、4aはコア入子、5aは樹脂が注入されるキャビティー空間(成形品)、6a〜6dは金型構成部材の合わせ面である。6dはキャビティープレート1aとコアプレート3aとの合わせ面である。6a〜6cはキャビ入子2aとコア入子4aとの合わせ面である。特に、キャビ入子2aとコア入子4aとが接する面である6a〜6cは押切面と呼ばれる。図18は、図17の金型により得られる成形品の斜視図である。
【0004】
なお、本明細書において「合わせ面」および「押切面」は、互いに対向する金型構成部材の、当該対向面の少なくとも一方を意味する。例えば、単に合わせ面6aと記載してある場合、これは、キャビ入子2a側の合わせ面、およびコア入子4a側の合わせ面を意味する。また、例えば合わせ面6aのうち、特にキャビ入子2a側のものを説明する場合には、「キャビ入子2a側の合わせ面6a」と記載することにする。
【0005】
図17の金型は、荷重をかけずに閉めた状態で、合わせ面6dに0.02〜0.2mm程度のクリアランスC1 (キャビティープレート1a側の合わせ面6dと、コアプレート3a側の合わせ面6dとの間隙)が生じるように調整される。このクリアランスC1 の値は、成形機の型締め圧力や押切面6a〜6cの面積などによって左右されるが、この程度のクリアランスであれば、押切面6aまたは6bからバリが出る心配はないとされている。
【0006】
図19に示すように合わせ面6dにクリアランスC1 がない(C1 =0)場合には、成形中の樹脂圧力により押切面6a〜6cが開閉し、押切面6b,6cから樹脂が流れてしまい、ついには成形品にバリが生じる。そこで従来は、これら押切面6b,6cにバリが生じないように押切面(6a,6bおよび6c)部を実測して仕上げ、わずかな調整代を残し、光明丹をキャビ入子2a側の押切面6a〜6c、コア入子4a側の押切面6a〜6cのいずれか一方に塗り、さらに、光明丹をキャビティープレート1a側の合わせ面6d、コアプレート3a側の合わせ面6dのいずれか一方に塗り、当たりを確認して調整していた。
【0007】
図20および図21に、一般的な射出成形用金型のスライド構成図を示す。これらは金型の断面図を示している。図20は金型が閉じた状態を、また、図21は金型が開いた状態を示す。1bはキャビティープレート、3bはコアプレート、4bはコア入子、5bは樹脂が注入されるキャビティー空間(成形品)、6e,6fは金型構成部材の合わせ面(押切面)である。7aはスライドコア、8aはロッキングブロック、9aはアンギュラピンである。図22は、図20の金型により得られる成形品の斜視図である。
【0008】
スライドコア7aとコア入子4bとの押切面6e,6fにおけるクリアランスは0.02mm以下に調整・設定されている。押切面6e,6fに0.02mmを超えるクリアランスが生じると、成形中の樹脂圧力によりこれらの押切面が開閉し、これらの押切面から樹脂が流れてしまい、ついには成形品にバリが生じる。これらの押切面にバリが発生しないように押切部の寸法D1 ,D2 を実測して仕上げ、わずかな調整代を残し、光明丹をスライドコア7a側の押切面6e,6f、コア入子4b側の押切面6e,6fのどちらか一方に塗り、当たりを確認して調整していく。
【0009】
別の調整方法として、これらの押切面6e,6fにバリが生じないようにスライドコア7a側の押切面6e,6f、コア入子4b側の押切面6e,6fのどちらか一方に光明丹を塗り、当たりを確認しながらスライドコア7aの角度θ1 、ロッキングブロック8aの角度θ2 、またはロッキングブロック8aの寸法D3 により調整する。
【0010】
このように、一般的には上記文献「射出成形用金型 第三版」に記載されているように、金型構成部材の各合わせ面の一方側に光明丹を塗った後、金型を閉じ、そのときの該光明丹の、相手側合わせ面への移着(移動・付着)によって接触状態の当たりを見て、金型の組み付け調整を行う方法がとられている。光明丹の粒径は数μmオーダーであり、全面に光明丹が移着する状態に金型を調整することにより、各合わせ面の当たりを数μmオーダーに調整することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような射出成形用金型の組み付け調整方法は、金型構成部材の各合わせ面の一方側に塗布されて光明丹が、金型構成部材の接触により相手側接触面に移着することが前提であるため、金型構成部材への光明丹の密着性が低い場合には、金型面同士が接触した状態にあっても光明丹が相手側接触面に移着しないこともあり、接触状態の結果にばらつきが生じていた。また、光明丹の塗布厚や、相手側の金型構成部材への光明丹転写の合否判定には個人差があり、しかも、これらを定量的に管理するのは大変困難であった。今までは上記不具合を解決する手段はなく、同一作業者の目視により光明丹の塗布厚が管理され、同一作業者により光明丹転写の合否判定がなされていた。
【0012】
上記理由から、射出成形用金型の組み付け調整方法においては通常、光明丹による調整を数回〜数十回繰り返して行っていたが、光明丹の塗布量および金型面同士の接触状態検出の度に、光明丹の除去作業が必要であり、非常に煩雑な作業となっていた。さらに、金型構成部材の合わせ面への光明丹の移着状態を誰でも同じように定量化できるようにすることは難しかったため、金型の組み付け調整は熟練作業者しかできなかった。また、これも金型コストを高くする原因の一つになっていた。
【0013】
ここで、従来技術における問題点、特に押切面の不良パターンについて図面を基に説明する。金型構成部材同士の合わせ面、特に押切面の不良の態様として、例えば下記(1)〜(3)が考えられる。図23,24はその一例を、図25,26は別の例を、図27,28は更に別の例をそれぞれ示す。ただし、図23,25,27は金型が開いている状態を、図24,26,28は金型が閉じている状態をそれぞれ示している。また、これらの図では、合わせ面の断面を簡略化してある。
【0014】
(1)図23,24の金型では、固定側がキャビティープレート1c、分割キャビ入子2b、および分割キャビ入子2cで構成され、また、可動側がコアプレート3c、分割コア入子4cおよび分割コア入子4dで構成されている。金型が閉まる時、分割キャビ入子2bと分割コア入子4cとの合わせ面6gは押切面となるが、分割キャビ入子2cと分割コア入子4dとの合わせ面6hは押し切らない例が示されている。図24において、5cはキャビティー空間(成形品)である。合わせ面6hのように金型構成部材同士が合わないと、その箇所から樹脂が漏れ、ひいては成形品にバリが生じる。
【0015】
(2)図25,26の金型は、キャビ入子2dおよびコア入子4eで構成されている。この金型は、上記金型構成部材同士の合わせ面6iにうねりがあり、これらの部材同士が部分的に押し切っている例である。金型構成部材同士が部分的に押し切っていると、成形品にバリが生じたり、押し切っている面に荷重が集中するため金型の寿命が短くなったりする。図26において、5dはキャビティー空間(成形品)である。
【0016】
(3)図27,28の金型は、キャビ入子2eおよびコア入子4fで構成されている。金型が閉まる時、キャビ入子2e側の合わせ面6jに傾きがあり、コア入子4f側の合わせ面6jに片当たりしている例が示されている。合わせ面6jのように、金型構成部材同士が片当たりして押し切っていると、片当たりしている面に荷重が集中するため、金型の寿命が短くなる。図28において、5eはキャビティー空間(成形品)である。
【0017】
図24〜28に示した不良をなくすために、従来は、上記合わせ面のどちらか、すなわち一方の金型構成部材に光明丹を塗り、金型を調整していた。このため上述の問題点が生じていた。本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、その目的は、射出成形品にバリが生じたり、金型構成部材同士の押切面に荷重が集中したりしないように、簡単な作業により効率良く、しかも確実に金型を組み付け調整することができる方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、射出成形用金型の各構成部材同士の合わせ面の組み付け調整方法において、金型を開けた状態で合わせ面の一方に、粘着剤を塗布した、任意厚さの高分子フィルムまたは金属箔をセットした後、金型を閉じ、金型の自重圧力により上記材料を物理的に移着させることによって、上記合わせ面の接触状態を定量化して、金型組み付け調整を精度良く行うものである。この方法によれば、組み付け調整時間が短縮されるうえ、金型コストが削減される。
【0019】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明(請求項1)は、射出成形用金型の構成部材同士の合わせ面の組み付け調整方法において、片面に粘着剤が塗布された任意厚さの高分子フィルムまたは金属箔を互いに対向する一対の金型構成部材の合わせ面の一方の側に配置するとともに前記粘着剤塗布面を他方の合わせ面に対向させ、前記一対の金型構成部材同士を接近させたときの高分子フィルムまたは金属箔の、前記他方の合わせ面への移着の有無を確認することにより、前記合わせ面同士の押切量を定量化する(前記射出成形用金型の構成部材同士の合わせ面のクリアランス、すなわち、押切面同士間の間隔を調整する。)ことを特徴とする。
【0020】
上記高分子フィルムとしては例えば、ポリエチレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、高弾性率の高密度ポリエチレン等からなるフィルムが採用できるが、これらに限るものではなく、厚さが均一で数μm〜数十μmの高分子フィルムであれば何ら問題はない。また、金型構成部材は従来一般的にスチール製のものが使用されているが、上記金属箔としては、スチールより柔らかい材料からなるもの、例えばアルミ箔を用いることができる。
【0021】
本発明では、粘着剤を塗布した高分子フィルムとして、セロハンテープを用いることができる。
【0022】
なお、所望により下記(A)〜(H)の方法により射出成形用金型の組み付け調整を行うことも可能である。
【0023】
上記(A)の方法は、射出成形用金型の構成部材同士の合わせ面の組み付け調整方法において、金型構成部材の合わせ面の一方に、圧力を加えることにより色が転写する材料を挿入し、一方の合わせ面から他方の合わせ面への色の転写状態により、合わせ面同士の接触状態を評価することを特徴とする。
【0024】
上記(B)の方法は、上記(A)の方法において、圧力を加えることにより色が転写する材料としてカーボンと、油またはロウと、油またはロウとの親和性が良い、紙等の材料とを用いることを特徴とするものである。
【0025】
上記(C)の方法は、射出成形用金型の構成部材同士の合わせ面の組み付け調整方法において、金型構成部材の合わせ面の少なくとも一方に、圧力を加えることにより発色する材料を挿入し、該材料の発色状態により合わせ面同士の接触状態を評価することを特徴とするものである。
【0026】
上記(D)の方法は、上記(C)の方法において、圧力を加えることにより発色する材料として感圧色素溶液と、酸性物質を含む顕著剤とを用いることを特徴とするものである。
【0027】
上記(E)の方法は、上記(D)の方法において、圧力を加えることにより発色する材料として、感圧色素溶液を含む紙と、酸性固体物質を含む顕著剤とを独立した任意膜厚の層状にしたものを用いることを特徴とする。
【0028】
上記(F)の方法は、上記(D)の方法において、圧力を加えることにより発色する材料として、感圧色素溶液を含むマイクロカプセルを、酸性固体物質を含む顕著剤層に分散させた層状材料を用いることを特徴とするものである。
【0029】
上記(G)の方法は、上記(D)の方法において、圧力を加えることにより発色する材料として、感圧色素溶液を含むマイクロカプセルに酸性固体物質をコートして任意の粒径にしたものを用いることを特徴とする。
【0030】
上記(H)の方法は、上記(C)の方法において、圧力を加えることにより発色する材料として、感圧色素溶液を含むマイクロカプセルと酸性液体物質とを油中に分散させた材料をスプレー照射などにより挿入することを特徴とするものである。
【0031】
上記(A),(B)の方法では、射出成形用金型の構成部材同士の合わせ面の組み付け調整において、該合わせ面の片側上に油やロウに分散され、既に着色した材料(ここでは、カーボンを使用)をコーティングし、他方の面上には油やロウとの親和性が良い、例えば任意厚さ(数μm〜数十μm)の紙を用いるので、合わせ面のクリアランスを確実に、且つ正確に定量化することができる。また、油に分散され、既に着色した材料(ここでは、カーボンを使用)は液状であるため、スプレー照射などにより複雑な形状の金型構成材料の合わせ面にもコーティングすることができる。さらに、合わせ面上に挿入する紙は層状になっているため、金型構成部材の任意箇所に挿入しやすい。
【0032】
上記(C)〜(E)の方法では、射出成形用金型の構成部材同士の合わせ面の組み付け調整において、該合わせ面上に酸性固体物質をコーティングし、他方の面上には感圧色素溶液を含む任意厚さ(数μm〜数十μm)の紙を用いるため(したがって、光明丹と異なり感圧色素溶液と酸性固体物質との化学反応により呈色するので)、合わせ面のクリアランスを確実、且つ正確に定量化することができる。
上述のように本発明の方法および、上記(A)〜(E)の方法では、層状の物質(高分子フィルム、金属箔や紙)を使用するため、平面を有する金型構成部材の任意箇所に挿入しやすいこと、および上記層状物質の厚さを任意に選択できため、定量化が容易であることが、共通の効果として挙げられる。
【0033】
上記(C),(D),(F)の方法では、射出成形用金型の構成部材同士の合わせ面の組み付け調整において、該合わせ面の片側面上に、感圧色素溶液を含むマイクロカプセルを顕著剤層(酸性固体物質)に分散させた材料を層状に挿入することにより、発色によって該合わせ面の形状を定量化するので、該合わせ面のうねりや傾きを確実に定量化することができる。
【0034】
上記(C),(D),(G)の方法では、射出成形用金型の構成部材同士の合わせ面の組み付け調整において、該合わせ面の片側面上に、感圧色素溶液を含むマイクロカプセルに顕著剤層(酸性固体物質)をコートして任意の粒径にした材料を、一粒ずつマトリックス状に配列することができるため、該合わせ面の形状を、より高精度に定量化することができる。また、該合わせ面のうねりや傾きをも確実に定量化できる。
【0035】
上記(C),(D),(H)の方法では、射出成形用金型の構成部材同士の合わせ面の組み付け調整において、該合わせ面の片側面上に、感圧色素溶液を含むマイクロカプセルと酸性固体物質とを油中に分散させた材料をスプレー照射などにより挿入するので、複雑な形状の金型構成部材の合わせ面にもコーティングすることができる。また、発色により該合わせ面の形状を定量化するので、該合わせ面のうねりや傾きをも確実に定量化できる。
上述のように、上記(C),(D),(F)〜(H)の方法では、フレキブルな物質を利用して金型構成部材の合わせ面を評価できるので、金型構成部材がうねっていたり、傾いていたり、複雑な形状であったりしても確実、且つ・容易に定量化できるという共通の効果がある。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
実施例1
図23,24の不良を本発明の方法により解決した例を図1〜3に示す。図1は金型を開いた状態を、図2は金型を閉じた状態を、図3は金型を再度開けた状態を、それぞれ示している。なお、これらの図では、合わせ面の断面を簡略化してある。図1〜3において、固定側はキャビティープレート1d、分割キャビ入子2f、および分割キャビ入子2gで構成され、可動側はコアプレート3c、分割コア入子4g、および分割コア入子4hで構成されている。金型構成部材であるコアプレート3c、分割コア入子4gおよび分割コア入子4hのそれぞれの合わせ面上には、任意厚さの高分子フィルム10aとその上面に粘着剤11aとが挿入されている。
【0037】
金型を一旦閉じた後(図2)、開くと(図3)、合わせ面の押し切っている箇所だけ、粘着剤11aの粘着力により、高分子フィルム10aが分割キャビ入子2f側に移着する。この挿入された高分子フィルム10aの厚さにより、合わせ面のクリアランスを効率良く、且つ確実に定量化することができるため、金型の調整が容易となった。
【0038】
実施例2
実施例1と同様に、図23,24の不良を本発明の方法で解決した例を図4,5に示す。これらの図に示す金型は、固定側がキャビティープレート1e、ロッキングブロック8b、およびアンギュラピン9bで構成され、可動側はコアプレート3d、コア入子4i、およびスライドコア7b,7cで構成されている。コア入子4iとスライドコア7b,7cとの押切面6k同士の間隔、および押切面6l同士の間隔は、成形品にバリが生じないように0.02mm以下に調整される。金型を組み付けた状態で三次元測定機などにより寸法D4 を測定し、調整することにより、押切面6l同士の間隔調整が可能であるが、押切面6kについては、金型を組み付けた状態で同上のような測定はできない。
【0039】
そこで、本発明では図5に示すように、スライドコア7b,7c側の押切面6kに任意厚さのセロハンテープ(再生セルロースからなるテープに粘着剤を塗布したもの)12aを、その粘着面をコア入子4i側に向けて挿入し、スライドコア7b,7cの押切量を調整する。このセロハンテープ12aは安価であり、また、テープ厚を適宜に選択することにより、上記押切量を簡単に定量化することができる。なお図4において、5fはキャビティー空間(成形品)である。
【0040】
実施例1,2から明らかなように、本発明の方法は、複数個のキャビ入子、コア入子、スライドコアや、ルーズコアの押切面調整(押切面同士間の間隔調整)に使用でき、また、適宜の厚さ・弾性率の高分子フィルムや金属箔を使用することから、確実に定量化できるという効果がある。
【0041】
参考例1
図25,26の不良を上記(A),(B)の方法により解決した例を図6,7に示す。これらの図に示す金型は、キャビ入子2hおよびコア入子4jで構成されている。キャビ入子2h側の合わせ面上には、ロウまたは油中にカーボン13aを分散させた分散液がコーティングされている。一方、コア入子4j側の合わせ面上には、任意厚さ(約0.1mm以下)の紙14aが挿入さている。図6は金型が開いた状態を示し、図7は金型を一旦閉じた後、再度開いたときのコア入子4jを示している。図6の金型を閉めると、キャビ入子2hとコア入子4jが互いに押し切っている部分において、上記分散液中のカーボン13aが紙14aに転写される。すなわち、合わせ面のうねり部分を確実に定量化することができるため、金型の調整が容易となる。
【0042】
この参考例1は、カーボン紙中のカーボンに代表されるように、ロウまたは油中に分散しているカーボンを使用するものである。すなわち、その素材は安価に入手でき、また、紙14aの厚さを任意に設定することにより、押切面を確実に定量化することができる。さらに、油中に分散させたカーボンを用いる場合は、該分散液をスプレー照射などにより塗布することができため、複雑な形状の押切面にも対応が可能である。
【0043】
参考例2
図25,26の不良を上記(C)〜(E)の方法により解決した例を図8,9に示す。これらの図に示す金型は、キャビ入子2iおよびコア入子4kで構成されている。キャビ入子2i側の合わせ面上には、酸性固体物質15aがコーティングされている。一方、コア入子4k側の合わせ面上には、感圧色素溶液を含む任意厚さ(約0.1mm以下)の紙14bが挿入されている。感圧色素溶液としては、クリスタルバイオレット・ラクトン(CVL)、ベンゾイルロイコメチレンブルー(BLMB)等が使用できる。感圧色素溶液に代えてメチルオレンジ、チモールブルー等の指示薬を採用することもできる。
【0044】
図8は金型が開いた状態を示し、図9は金型を一旦閉じた後、開いたときのコア入子4kを示している。金型を閉めると、キャビ入子2iとコア入子4kが互いに押し切っている部分において、紙14b中に染み込んでいた感圧色素溶液と、酸性固体物質15aとの反応により感圧色素溶液が呈色する。図9において、14cは呈色部分を示す。すなわち、合わせ面のうねり部分を確実に定量化できるため、金型の調整が容易となった。
【0045】
上述のように、図1〜9に示す実施例1,2および参考例1,2では、層状の物質(高分子フィルム、金属箔、紙など)を使用することから、平面を有する金型構成部材に挿入しやすいという共通の長所がある。
【0046】
参考例3
図27,28の不良を上記(C),(D),(F)の方法により解決した例を、図10,11に示す。これらの図に示す金型は、キャビ入子2jおよびコア入子4lで構成されている。コア入子4l側の合わせ面上には、感圧色素溶液を含むマイクロカプセル16aを酸性固体物質15bに分散させてなる材料がコーティングされている。図10は金型が開いた状態を示し、図11は金型を一旦閉じた後、開いたときのコア入子4lを示している。
【0047】
金型を閉めると、キャビ入子2jとコア入子4lが互いに押し切っている部分において、金型の自重により感圧色素溶液を含むマイクロカプセル16aが破壊し、酸性固体物質15bとの反応により呈色する。図11において、16cは呈色部分を示す。マイクロカプセル16aは膜を壁材とし、これにより微粒化した壁内物質(ここでは感圧色素溶液)を内包した直径数μm〜数百μm程度のカプセル構造であるため、その粒径を任意に選択できること、および感圧色素溶液と酸性固体物質15bとの化学反応を利用していることが理由で、上記合わせ面の片当たり部分を確実に定量化することができ、金型の調整が容易となった。
【0048】
参考例4
図27,28の不良を上記(C),(D),(G)の方法により解決した例を、図12,13に示す。これらの図に示す金型は、キャビ入子2kおよびコア入子4mで構成されている。コア入子4m側の合わせ面上には、感圧色素溶液を含むマイクロカプセル16bに酸性固体物質15cをコートして任意の粒径にした材料が挿入されている。図12は金型が開いた状態を示し、図13は金型を一旦閉じた後、開いたときのコア入子4mを示している。
【0049】
金型を閉めると、キャビ入子2kとコア入子4mが互いに押し切っている部分において、金型の自重により感圧色素溶液を含むマイクロカプセル16bが破壊し、酸性固体物質15cとの反応により呈色する。すなわち、上記合わせ面の片当たり部分を確実に定量化できるため、金型の調整が容易となった。
【0050】
この参考例4では、上記微粒子を任意の大きさにできるばかりでなく、一粒一粒をマトリックス状に配列することができ、より高精度な定量化が可能である。この配列を実現するためには、例えば図14に示すように、粒子の粒径に対応した孔17aが任意の間隔でマトリックス状に形成されたメッシュマスク18aなどを用いる方法が効果的であるが、これに限られるものではなく、金型構成部材の合わせ面に該粒子を一粒ずつ入れることができる方法であれば、どのようなものでもよい。
【0051】
参考例5
図25,26の不良を上記(C),(D),(H)の方法により解決した例を、図15,16に示す。これらの図に示す金型は、キャビ入子2lおよびコア入子4nで構成されている。キャビ入子2l側の合わせ面上には、感圧色素溶液を含むマイクロカプセルと液体酸性物質とを油中に分散させた物質19aがコーティングされている。図15は金型が開いた状態を示し、図16は金型を一旦閉じた後、開いたときのコア入子4nを示している。
【0052】
金型を閉めると、キャビ入子2lとコア入子4nが互いに押し切っている部分において、金型の自重により感圧色素溶液を含むマイクロカプセルが破壊し、酸性液体物質との反応により呈色する。図16において、19bは呈色部分を示す。すなわち、上記合わせ面の片当たり部分を確実に定量化できるため、金型の調整が容易となった。
【0053】
この参考例5に用いた、感圧色素溶液を含むマイクロカプセルと酸性液体物質とを油中に分散させた物質19aは液体であるため、スプレー照射などにより塗布することができる。したがって、複雑な形状の押切面にも対応でき、簡単に塗布することが可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明(請求項1)によれば、以下のような顕著な作用効果が得られる。
すなわち、射出成形用金型の構成部材同士の合わせ面の組み付け調整において、該合わせ面上に挿入する高分子フィルムは、層状になっているため金型構成部材の任意箇所に挿入しやすく、金型が複数個の構成部材からなる場合でも、簡単に挿入することができる。また高分子フィルムは、任意厚さ(数μm〜数十μm)のものが選択できることから、該合わせ面のクリアランスが正確に定量化できる。さらに、光明丹と異なり、粘着剤により積極的に合わせ面に移着するため、確実に定量化し、押切面同士間の間隔を調整することができる。また、高分子フィルムの弾性変形分の変形も許されないような高精度な測定が必要な場合には、例えば、高弾性率の高密度ポリエチレンフィルムやアルミニウム箔の使用も可能である。
【0055】
本発明では、粘着剤を塗布した高分子フィルムとして、セロハンテープを用いることができる。セロハンテープ(再生セルロースのフィルムに粘着剤を塗布したもの)は、安価で且つ入手しやすい。また、任意厚さ(数μm〜数十μm)のものが選択できることから、合わせ面のクリアランスを正確、且つ確実に定量化することができる。上述のことから本発明の方法は、複数個のキャビ入子、コア入子、スライドコアやルーズコアの押切面の調整に使用でき、また、任意厚さ、任意弾性率の高分子フィルムや金属箔を使用することから、確実な定量化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1に係る射出成形用金型の断面図であって、金型が開いているときの状態を示すものである。
【図2】 図1の金型が閉じているときの状態を示す断面図である。
【図3】 図1の金型を一旦閉じた後、開いたときの状態を示す断面図である。
【図4】 実施例2に係る射出成形用金型の断面図であって、金型が閉じているときの状態を示すものである。
【図5】 図4のスライドコアを示す斜視図である。
【図6】 参考例1に係る射出成形用金型の断面図であって、金型が開いているときの状態を示すものである。
【図7】 図6の金型を一旦閉じた後、開いたときのコア入子を示す斜視図である。
【図8】 参考例2に係る射出成形用金型の断面図であって、金型が開いているときの状態を示すものである。
【図9】 図8の金型を一旦閉じた後、開いたときのコア入子を示す斜視図である。
【図10】 参考例3に係る射出成形用金型の断面図であって、金型が開いているときの状態を示すものである。
【図11】 図10の金型を一旦閉じた後、開いたときのコア入子を示す斜視図である。
【図12】 参考例4に係る射出成形用金型の断面図であって、金型が開いているときの状態を示すものである。
【図13】 図12の金型を一旦閉じた後、開いたときのコア入子を示す斜視図である。
【図14】 図12のコア入子の合わせ面にマイクロカプセルを配列する方法を説明する斜視図である。
【図15】 参考例5に係る射出成形用金型の断面図であって、金型が開いているときの状態を示すものである。
【図16】 図15の金型を一旦閉じた後、開いたときのコア入子を示す斜視図である。
【図17】 従来の一般的な射出成形用金型の構成例を示す断面図である。
【図18】 図17の金型により得られる成形品の斜視図である。
【図19】 従来の一般的な射出成形用金型の別の構成例を示す断面図である。
【図20】 従来の一般的な射出成形用金型のスライド構成例の断面図であって、金型が閉じているときの状態を示すものである。
【図21】 図20の金型が開いているときの状態を示す断面図である。
【図22】 図20の金型により得られる成形品の斜視図である。
【図23】 金型構成部材同士の合わせ面の不良例を示す断面図であって、金型が開いているときのものである。
【図24】 図23の金型が閉じているときの状態を示す断面図である。
【図25】 金型構成部材同士の合わせ面の別の不良例を示す断面図であって、金型が開いているときのものである。
【図26】 図25の金型が閉じているときの状態を示す断面図である。
【図27】 金型構成部材同士の合わせ面の更に別の不良例を示す断面図であって、金型が開いているときのものである。
【図28】 図27の金型が閉じているときの状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1a〜1e キャビティープレート
2a〜2l キャビ入子
3a〜3d コアプレート
4a〜4n コア入子
5a〜5f キャビティー空間(成形品)
6a〜6l 合わせ面
6a〜6c,6e〜6g、6k、6l 押切面
7a〜7c スライドコア
8a,8b ロッキングブロック
9a,9b アンギュラピン
10a 高分子フィルム
11a 粘着剤
12a セロハンテープ
13a カーボン
14a,14b 紙
14c,16c,19b 呈色部分
15a〜15c 酸性固体物質
16a,16b 感圧色素溶液を含むマイクロカプセル
17a 孔
18a メッシュマスク
19a 感圧色素溶液を含むマイクロカプセルと液体酸性物質とを油中に分散させた物質
1 クリアランス
1 ,D2 押切部の寸法
3 ロッキングブロックの寸法
4 寸法
θ1 スライドコアの角度
θ2 ロッキングブロックの角度

Claims (1)

  1. 射出成形用金型の構成部材同士の合わせ面の組み付け調整方法において、片面に粘着剤が塗布された任意厚さの高分子フィルムまたは金属箔を互いに対向する一対の金型構成部材の合わせ面の一方の側に配置するとともに前記粘着剤塗布面を他方の合わせ面に対向させ、前記一対の金型構成部材同士を接近させたときの高分子フィルムまたは金属箔の、前記他方の合わせ面への移着の有無を確認することにより、前記合わせ面同士の押切量を定量化することを特徴とする射出成形用金型の組み付け調整方法。
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