JP3667374B2 - 照明装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、投射面における照度分布が略均一となるようにした反射鏡を有する照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、店舗用のスポットライトなどの照明装置やOHP、液晶プロジェクタの光源部としての照明装置等に反射鏡付高出力ランプが使用されている。この反射鏡付高出力ランプは、高出力ハロゲンランプや小型のショートアークメタルハライドランプ等の光源を凹状の反射鏡内に配設し、光源からの光を反射鏡により前方に放射して所望の配光特性を得るようにしている。
【0003】
そして図7及び図8に第1及び第2の従来の照明装置の断面図で示すように、通常、この種の照明装置の反射鏡付高出力ランプ1,2では、均等な光放射が得られ易いよう凹状の反射鏡3,4の反射面である内面を回転楕円面あるいは回転放物面となるようにし、光源の高出力ハロゲンランプ5のコイル状フィラメント6や、ショートアークメタルハライドランプ7の放電路8を反射鏡3,4の焦点近傍に光軸方向に沿って位置させるようにしている。
【0004】
また、屋外照明に用いられる比較的大型の照明装置やスポットライトなどに用いられる照明装置等には、特開平5−282902号公報や実公平2−15213号公報に記載されているように、反射鏡の光軸に直交する方向に放電路やコイル状フィラメントの軸方向が一致するようランプを配置したものもある。
【0005】
そして、このような反射鏡付ランプでは発光部分が点であることを理想とするが、実際には発光部の放電路やフィラメント等が長さを持つ線状発光部となっており、光源としてのランプは理想光源の点光源とは異なるものとなっている。このため、なるべく発光部を点に近付けるよう小さくしたり、反射鏡の形状等により補正して理想的な投射光が得られるよう工夫がなされている。
【0006】
例えば、線状の発光部が反射鏡の光軸と重なるようランプを配設したものでは、発光部の長さ分だけ光軸に沿って反射鏡の焦点の前後方向にずれを生じるが、円形状の反射鏡においては、焦点位置からのずれの影響が反射鏡で反射された投射光の周方向全体に均等に現れるものであまり問題とはならない。
【0007】
これに対し、上記の特開平5−282902号公報や実公平2−15213号公報に記載されているもののように、線状の発光部がその軸方向を反射鏡の光軸と直交する方向としている反射鏡付ランプ等の場合には、線状の発光部の焦点からのずれが光軸方向にはなく、また、線状の発光部の軸直交方向への出射光量に比べ軸方向への出射光量が相対的に弱い。
【0008】
そして、線状の発光部から各々の方向に放射され、反射鏡で反射されて前方向に投射された投射光は、投射面において投射された部位によって照度のむらを生じる。例えば反射鏡で反射された投射光は投射面の中央部分では均一になるようにしてあったとしても、周囲部分において上下方向、左右方向で投光むらを有する不均一なものになりがちであった。
【0009】
この投射面での投射された部位による照度のむらの影響は、一般の照明においては発光部の放電路に形成されるアーク長さ、あるいはフィラメントの有効発光長が比較的短く形成されるているために問題となるまでには至っていない。
【0010】
しかし、液晶プロジェクタや映写機の光源部あるいは美術館の照明等に用いられる照明装置では、所定距離に置かれたスクリーン等の投射面上に均一な投射をする必要があり、投射光にむらが生じ投射面の照度分布が不均一になることは好ましくない。すなわち、照明装置には、投射面の中央部分での照度が周囲部分より多少高くても照明効果から見て問題とはなり難いが、その周囲部分で上下方向、左右方向の照度に差ができるのは好ましくなく、できるだけ差が出ないようにすることが求められている。
【0011】
なお、上記特開平5−282902号公報に記載されているものは、反射鏡の反射面における特性をネック側とフランジ側とで変化させた放熱を配慮したものであり、また実公平2−15213号公報に記載されているものは、反射鏡のネック側部とフランジ側部で内面上の多層膜の厚さを変え、投射光の中心と外側周辺部での色調ばらつきをなくすようにしたもので、投射面上に生じる投射光の不均一性を解消するものではない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように放電路やフィラメント等の線状発光部を有する光源を、その線状発光部の軸方向が反射鏡の光軸と交差する方向となるよう反射鏡に配置した照明装置では、反射鏡で反射された投射光にむらを生じ投射面の照度分布が不均一になっていた。このような状況に鑑みて本発明はなされたもので、その目的とするところは投射光のむらを低減して投射面内における照度分布を均一化させた照明装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の照明装置は、前面側開口部に向けて拡開した回転楕円面もしくは回転放物面の内面に反射膜が被着されてなる反射鏡内に、該反射鏡の光軸に直交する線状発光部を有する光源を配置して構成された照明装置において、反射鏡内面の反射膜の膜厚が、線状発光部の軸方向部分で該線状発光部の軸直交方向部分より厚く、反射鏡の円周方向に分布を有していることを特徴とするものであり、
さらに、反射膜の膜厚が、線状発光部の軸直交方向部分を1としたときに、軸方向部分で1.05〜1.2であることを特徴とするものであり、
また、前面側開口部に向けて拡開した回転楕円面もしくは回転放物面である内面に反射膜が被着されてなる反射鏡内に、該反射鏡の光軸に直交する線状発光部を有する光源を配置した照明装置において、反射鏡内面の反射膜が、線状発光部の軸直交方向部分に比較して該線状発光部の軸方向部分での可視光反射率が高いことを特徴とするものであり、
さらに、光源が、放電ランプであることを特徴とするものであり、
さらに、光源が、ハロゲンランプであることを特徴とするものである。
【0014】
【作用】
上記のように構成された照明装置は、配置された光源の線状発光部の軸方向が光軸に直交している反射鏡の反射膜の膜厚が、線状発光部の軸方向部分で軸直交方向部分より厚くなるようにしている。これにより、線状発光部の軸方向への出射光量が線状発光部の軸直交方向への出射光量に比べて弱いが、反射鏡は反射膜の膜厚が線状発光部の軸方向部分で厚くなっていて反射強度が高めてあり、出射光量と反射強度との相補関係によって反射鏡が反射する投射光のむらが低減でき、投射面内における照度分布が均一化できる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図1乃至図6を参照して説明する。図1は正面図であり、図2は図1におけるA−A矢方向視の断面図であり、図3は反射鏡の反射膜の膜厚比を示す図であり、図4は照度測定光学系の構成図であり、図5は照度測定光学系のスクリーンを示す図であり、図6は他の光源の平面図である。
【0016】
図1乃至図3において、11は照明装置である反射鏡付ハロゲンランプであり、反射鏡12は、円形状の前面側開口部13に向けて拡開した回転楕円面もしくは回転放物面の内面を有する反射基体14と、この反射基体14の内面に被着された多層反射膜15とを備えて構成される。反射鏡12には、その後部のネック部16に光源のハロゲンランプ17が耐熱性接着剤18により固着されている。
【0017】
またハロゲンランプ17は、コイル状のフィラメント19がガラス製のバルブ20の内部に封装されており、フィラメント19の両端にはリード部21を介して外部に露出した端子22が接続されている。そして、ハロゲンランプ17は反射鏡12の焦点近傍に位置するように固定されていると共に、フィラメント19の発光部軸P方向が反射鏡12の光軸Zの方向に直交するように配置されている。
【0018】
一方、反射鏡12の形成は反射基体14の内面に多層反射膜15を真空蒸着法による被着によって行われ、多層反射膜15の膜構成は、
反射基体14+[HL]6 [H′L′]6 +空気
H :硫化亜鉛の1/4λ膜(λ=720nm)
L :弗化マグネシウムの1/4λ膜(λ=720nm)
H′:硫化亜鉛の1/4λ膜(λ=530nm)
L′:弗化マグネシウムの1/4λ膜(λ=530nm)
となっている。
【0019】
そして成膜は次のようにして行われる。すなわち、蒸着はチャンバ内を4×10 3 Paまで排気し、弗化マグネシウム及び硫化亜鉛の薄膜を交互に12層成膜し、その後膜厚を変えて12層成膜する。この成膜の際、チャンバ内の反射基体14と蒸着源との間に補正板を設置し、その形状と位置を変えながら膜厚分布が最適となるように調整が行われる。
【0020】
このようにして形成された弗化マグネシウムと硫化亜鉛の交互層の多層反射膜15は、最終の総膜厚が図1に示されたフィラメント19の発光部軸P方向の部分であるX領域及びX′領域での膜厚が、フィラメント19の発光部軸P直交方向の部分であるY領域及びY′領域での膜厚に比べて1.05〜1.2倍厚くなっており、X領域及びX′領域での反射強度が高めてある。そして図1に示されている破線円Qの円周方向の膜厚比の変化は図3に示す曲線Bの通りとなっていて、膜厚比がX及びX′で最大に、Y及びY′で最小となっている。
【0021】
次に、上記構成の反射鏡付ハロゲンランプ11について、その配光特性を図4に示す照度測定光学系23によって評価を行った。照度測定光学系23は、被測定照明装置である反射鏡付ハロゲンランプ11をセットするランプホルダ24と、被測定照明装置の光軸W上投射方向に順に配置されたコンデンサレンズ25、アパーチャ26、投射レンズ27、スクリーン28と、視野角1度の照度計29及び被測定照明装置を点灯する電源30を備えて構成してある。
【0022】
また、スクリーン28は縦横それぞれ3等分され、9区画(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h),(i)に分割され、各区画の照度を照度計29で測定するようになっている。なお、スクリーン28の大きさは810mm×610mmであり、被測定照明装置とコンデンサレンズ25との間隔は214mm、コンデンサレンズ25とアパーチャ26との間隔は16mm、アパーチャ26と投射レンズ27との間隔は135mm、投射レンズ27とスクリーン28との間隔は2500mmにしてあり、照度計29はスクリーン28から1000mm〜1500mmの位置で照度測定を行うようになっている。
【0023】
そして反射鏡付ハロゲンランプ11として、例えば直径50mmの反射鏡12に82V、410Wのハロゲンランプ17を固定したものを用い、さらにフィラメント19の発光部軸P方向が水平になるようにランプホルダ24にセットしてスクリーン28の9区画(a),(b),(c),……,(h),(i)の照度を測定したところ、測定結果は(表・1)に示す通りであった。また同時に、反射鏡付ハロゲンランプ11とは多層反射膜の膜厚を反射鏡の全面で同一の厚さとした点以外は同じ構成のものを用意し、同様に照度測定し測定結果を比較例として(表・1)に示してある。
【0024】
【表1】
Figure 0003667374
【0025】
この結果、比較例では(d)及び(f)領域に比較して(b)及び(c)領域が相対的に低い照度であるのに対し、実施例では(d)及び(f)領域、(b)及び(c)領域ともほぼ同等の照度を示した。
【0026】
以上のように本実施例によれば、反射鏡12のフィラメント19の発光部軸P方向に対応するX領域及びX′領域での膜厚を厚く形成して反射強度を高めてあるため、ハロゲンランプ17からの出射光量と反射強度との相補関係によって投射光のむらが低減でき、スクリーン28、すなわち投射面内における照度分布が均一化されたものにできる。
【0027】
なお、上記実施例ではハロゲンランプ17を反射鏡12に固定した反射鏡付ハロゲンランプ11について説明したが、図6に示すような片口金のメタルハライドランプ31を光源として反射鏡付ランプを構成してもよい。この構成ではバルブ32内に封装された対向する電極33a,33b間の放電路34にアークが形成され、メタルハライドランプ31が固定される図示しない反射鏡の内面の多層反射膜の膜厚は、電極33a,33b間方向、すなわち線状発光部の放電路34の発光部軸P′方向部分で発光部軸P′直交方向部分より厚くなるように設ける。35は口金であり、36は端子である。
【0028】
これにより反射鏡は放電路34の発光部軸P′部分で反射鏡度が高められ、上述の反射鏡付ハロゲンランプ11におけるのと同様投射光のむらが低減され、投射面内における照度分布が均一化されたものにできる。なお、反射鏡の多層反射膜の膜厚分布については使用する光源の特性に応じて適正な照度分布が得られるように例えば上記の範囲内で調整する。
【0029】
さらに、両口金の放電ランプを光源として反射鏡付ランプを構成した場合も同様に、反射鏡内面の多層反射膜の膜厚を線状発光部である放電路の発光部軸方向部分で発光部軸直交方向部分より厚くなるように設ければよい。
【0030】
また、上記実施例では前面側開口部13が円形状の反射鏡12を用いたが、両口金ハロゲンランプや両口金放電ランプ等を光源とし場合には、光源の形状に合わせるなどして長円形状、または方形状の前面側開口部を有する反射鏡を使用するようにしてもよい。
【0031】
そして、口金側に対応する反射面にも反射特性を持たせるようにした反射鏡付ランプにおいては、口金側反射面の膜厚を相対的に厚く形成して反射強度を高ることによって、光源からの放射光量の少ない口金側反射面からの反射光を増強させることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明は、配置された光源の線状発光部の軸方向が光軸に直交している反射鏡の反射膜の膜厚が、線状発光部の軸方向部分で軸直交方向部分より厚くなるよう構成したことにより、投射光のむらが低減し、投射面内における照度分布を均一化ができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1におけるA−A矢方向視の断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係る反射鏡の反射膜の膜厚比を示す図である。
【図4】照度測定光学系の構成図である。
【図5】照度測定光学系のスクリーンを示す図である。
【図6】本発明の一実施例に係る他の光源の平面図である。
【図7】第1の従来の照明装置の断面図である。
【図8】第2の従来の照明装置の断面図である。
【符号の説明】
11…反射鏡付ハロゲンランプ
12…反射鏡
13…前面側開口部
15…多層反射膜
17…ハロゲンランプ
19…フィラメント
P…発光部軸
Z…光軸

Claims (5)

  1. 前面側開口部に向けて拡開した回転楕円面もしくは回転放物面の内面に反射膜が被着されてなる反射鏡内に、該反射鏡の光軸に直交する線状発光部を有する光源を配置して構成された照明装置において、前記反射鏡内面の反射膜の膜厚が、前記線状発光部の軸方向部分で該線状発光部の軸直交方向部分より厚くなるよう前記反射鏡の円周方向に分布を有していることを特徴とする照明装置。
  2. 反射膜の膜厚が、線状発光部の軸直交方向部分を1としたときに、軸方向部分で1.05〜1.2であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
  3. 前面側開口部に向けて拡開した回転楕円面もしくは回転放物面である内面に反射膜が被着されてなる反射鏡内に、該反射鏡の光軸に直交する線状発光部を有する光源を配置した照明装置において、前記反射鏡内面の反射膜が、前記線状発光部の軸直交方向部分に比較して該線状発光部の軸方向部分での可視光反射率が高いことを特徴とする照明装置。
  4. 光源が、放電ランプであることを特徴とする請求項1もしくは請求項3記載の照明装置。
  5. 光源が、ハロゲンランプであることを特徴とする請求項1もしくは請求項3記載の照明装置。
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