JP3667239B2 - 清掃用物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、把持具に装着されて使用される清掃用物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
床などの拭取り清掃を行うための従来の使い捨て可能な清掃用物品は、スパンレース不織布、または前記スパンレース不織布の表面にパラフィンなどの吸塵剤を塗布したシート状のものが主であり、使用時には専用モップの先部に巻き付ける様にして装着するものが主である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の不織布で形成された清掃用物品は、細かな埃を集める能力があまり高くなく、また床などの比較的広い面積を清掃することを目的としているため、家具の表面や家具の隙間などを効率よく清掃するのには適していない構造であった。また専用モップに清掃用物品を巻き付けて固定する操作も面倒であった。
【0004】
また前記清掃用物品は、白色繊維で形成されたものであるため、全体の色彩が白色で、色彩が単調である。またこの種の清掃用物品を片手で保持できる把持具に装着することで家具表面などの清掃に適したものになるが、清掃用物品を白色の素材のみで形成していると、把持具を装着する部分の入口を目視で簡単に識別することが難しい。従来、この主の清掃用物品の把持具へ装着を容易にするための対策を講じているものは見られない。
【0005】
また特開平10−146306号公報などには、この種の不織布で形成された清掃用物品を、片手で保持できる把持具に装着できるようにしているが、把持具を清掃用物品の縁部から挿入する構造であるために、しかも把持具を挿入する入口が目立たないため、把持具に装着する操作が不便である。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、色彩を施すことにより、把持具への装着箇所を目視で明瞭に認識できるとともに、把持具の挿入位置や挿入方向を認識し易く、把持具を確実に且つ簡単に装着することができ、さらには見た目に美しい清掃用物品を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の清掃用物品は、基材シートの一方の面に刷毛部が設けられ、前記基材シートの他方の面に保持シートが設けられ、前記基材シートと前記保持シートおよび前記刷毛部が、間隔を開けた融着部において一緒に融着され、前記融着部と融着部との間で、前記基材シートと前記保持シートとの間に、把持具を挿入する保持空間が形成されており、
前記基材シートと、前記刷毛部の少なくとも一方が白色以外の色に着色された素材で形成されており、前記着色された素材が前記融着部において融着されることにより、前記融着部が前記保持シートと区別できる色彩を呈していることを特徴とするものである。
【0008】
例えば、前記刷毛部が繊維束のみで形成され、この繊維束の少なくとも一部が着色された繊維で形成されているものである。
【0009】
この場合に、前記着色された繊維は、複合繊維で、少なくとも1成分が着色されていることが好ましく、または前記着色された繊維は、芯鞘構造で芯部と鞘部の少なくとも一方が着色されていることが好ましい。
【0010】
さらには、前記刷毛部が、繊維束と短冊状に切断されたシートとで形成され、前記繊維束の少なくとも一部が着色された繊維で形成されているもの、または、前記刷毛部が、繊維束と短冊状に切断されたシートとで形成され、前記短冊状に切断されたシートが着色された繊維で形成された不織布であってもよい。
【0011】
前記において、前記基材シートが着色された繊維で形成された不織布であってもよい。また、前記保持シートが着色されており、保持シートと前記融着部とが区別可能であってもよい。
【0017】
上記本発明では、把持具の挿入位置や挿入方向が目視にて認識し易くなるので、把持具を確実且つ簡単に装着することが可能になる。また美感にも優れた物品が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の清掃用物品について図面を参照して説明する。図1は第1の本発明の清掃用物品の実施の形態を示す斜視図、図2は清掃用物品を各層別に上下逆に示す分解斜視図である。
【0019】
図1に示す清掃用物品10は、上側から順番に(図2では下から順番に)、保持シート1、基材シート2、第1の繊維束3、第2の繊維束4、複数の短冊片が形成された短冊シート5、第3の繊維束6の順に積層されている。そして前記第1の繊維束3、第2の繊維束4、短冊シート5、および第3の繊維束6によって埃を取ることのできる刷毛部が形成されている。
【0020】
この清掃用物品10は短辺の延びる方向が製造時の流れ方向(MD)である。前記保持シート1、基材シート2および短冊シート5は使い捨てが可能な素材で形成され、熱可塑性繊維(熱融着性繊維)で形成された不織布、または熱可塑性繊維を含む不織布である。前記熱可塑性繊維はPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、PEとPETの複合繊維、PEとPPの複合繊維、例えば芯がPETまたはPP、鞘がPEの芯鞘構造の複合繊維などであり、不織布は、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、エアースルーボンド不織布、あるいはスパンレース不織布などである。また、前記保持シート1、基材シート2および短冊シート5が、熱可塑性樹脂フィルムで例えばPEフィルム、PPフィルムであってもよい。または前記保持シート1、基材シート2および短冊シート5が、不織布と樹脂フィルムとのラミネートシートであってもよい。
【0021】
前記第1の繊維束3、第2の繊維束4、および第3の繊維束6は、熱可塑性繊維の束(層)、あるいは少なくとも一部に熱可塑性繊維が含まれた繊維の束であり、例えばトウから開繊された長繊維束が使用される。長繊維束は、例えばPE、PP、Ne(ナイロン)、レーヨンなどから製造される。この中でも、芯がPPまたはPET、鞘がPEの芯鞘構造の複合繊維を用いることが好ましい。
【0022】
本実施の形態では、前記第1の繊維束3、第2の繊維束4および第3の繊維束6が、前記保持シート1、基材シート2及び短冊シート5と異なる色彩となるように形成されている。例えば、前記保持シート1、基材シート2および短冊シート5が、いずれも白色繊維で形成された不織布、あるいは白色化剤が含まれた樹脂フィルムである。
【0023】
一方、前記第1の繊維束3、第2の繊維束4および第3の繊維束6はいずれも青色に着色された素材で形成されている。なお、前記繊維束3,4,6のうちのいずれかの繊維束のみが着色されていてもよいが、少なくとも基材シート2に隣接した第1の繊維束3が着色されていることが好ましい。
【0024】
例えば前記繊維束3,4,6が、芯鞘構造の複合繊維で形成されている場合、芯部と鞘部の双方が着色されていてもよいが、前記芯部と鞘部の一方が着色されている繊維を用いると、前記繊維層が淡い青色を呈し、美感を与えるものとなる。また前記繊維束が着色された繊維で形成されていると、白色繊維で形成された繊維束を用いた場合に比べて、ボリューム感のある外観を呈するようになる。また、清掃時に繊維束が固まり状になったり捩じれて片寄ったような場合に、目視でその状態を早急に認識でき、廃棄時期であることを容易に理解できるようになる。
【0025】
前記芯鞘構造の繊維などへの着色方法は、紡糸時の樹脂原料に予め顔料や染料を混ぜて行う原着であるが、繊維束の表面へ染料などを塗布してもよい。なお、原着の方が清掃対象物に色移りすることがないので好ましい。また、色彩は、赤色などであってもよい。繊維を赤色に着色すると、繊維束は淡いピンク色になり、美感に優れたものとなる。
【0026】
また、前記繊維束を形成する長繊維の繊度は1〜50dtexが好ましく、更に好ましくは2〜10dtexである。また各繊維束が異なる繊度の繊維を含むものでもよい。
【0027】
また、前記繊維束として、フィルムをテープ状にスリットし、延伸させたフラットヤーンや、スプリットヤーンと称される熱可塑性フィルムを樹脂の配向方向と直交する方向にかきわけて、繊維状となったフィルムが網目状に接合されているものを使用してもよい。この場合にはフィルムを形成する際に樹脂原料に顔料または染料を加えれば着色されたものとなる。あるいはフィルム表面に塗装して着色してもよい。あるいは繊維束として、エアースルー不織布などの嵩高で繊維密度の低い不織布を使用してもよい。
【0028】
また、繊維束を形成する繊維は捲縮繊維が好ましい。捲縮繊維を用いると、繊維束が嵩高くなり、さらに捲縮部分に塵や埃を取り込み易い構造となる。特に、トウ繊維から形成された捲縮繊維束を用いることが好ましい。
【0029】
次に、前記清掃用物品10を形成する各層の接合構造を説明する。
前記基材シート2の上面には保持シート1が重ねられているが、保持シート1の、MDと直交する方向(CD:清掃用物品の長手方向)の寸法は、基材シート2よりも保持シート1の方が短く、また前記保持シート1と基材シート2のMD方向の幅寸法は双方とも一致している。
【0030】
また保持シート1のCDの前後両端は、それぞれ裏側へ折り返されて折返部1b,1bが形成され、基材シート2のCD方向の両端も、端部が折り返されて折返部2c,2cが形成されている。
【0031】
前記基材シート2の下面には、MDに向って延びる第1の繊維束3がCDに向けて均一な嵩となるように重ねられる。そして保持シート1、基材シート2および第1の繊維束3の3層が、互いに平行な接合線8,8により一体に接合されるとともに、接合線8,8よりも外側において斜めに延びる複数の側部接合線9によって接合される。この接合は、熱シール、超音波シールなどであり、前記接合線8および側部接合線9において、保持シート1と基材シート2と第1の繊維束3の3層が融着により接合されて融着部が形成される。ただし、側部接合線9が設けられていないものでもよい。
【0032】
そして、保持シート1と基材シート2と第1の繊維束3が重ねられて接合された状態で、ギザギザ形状(鋸歯形状)の切込線11,11,…が切込まれて、前記保持シート1および基材シート2に前記切込線11で分離された細長形状の複数の短冊片12,12,…が形成される。
【0033】
前記短冊片12,12,…は、基材シート2の縁部から接合線8,8の間の領域2b,2bに形成される。また前記接合線8と接合線8との間には、短冊片12,12が形成されず、この部分では基材シート2と保持シート1とが重ねられた保持領域2aとなる。
【0034】
そして、前記第1の繊維束3の下側に、第2の繊維束4、短冊シート5、第3の繊維束6が順に重ねられる。前記第2の繊維束4および第3の繊維束6は、共に繊維がMDに向って延び、またCDに均一な嵩となるように幅が広げられて積層される。また、前記短冊シート5には、ギザギザ形状(鋸歯形状)の切込線13,13,…が切込まれて、前記切込線13で分離された細長形状の複数の短冊片14,14,…がMDに向かって延びて形成されている。
【0035】
なお、保持シート1と基材シート2を重ねた状態でギザギザ形状の切込線11が切込まれて短冊片12が形成され、第1の繊維束3が重ねられた状態で接合線8,8で接合され、さらに第2の繊維束4、短冊シート5及び第3の繊維束6が重ねられ、全層接合線7で接合されてもよい。または保持シート1と基材シート2を重ねて切込線11を形成し、第1の繊維束3と第2の繊維束4が積層された状態で接合線8,8で接合され、短冊シート5と第3の繊維束6が積層されて全層接合線7で接合されるものでもよく、または前記短冊シート5が最後に重ねられて全層接合線7で接合されてもよい。
【0036】
前記のようにして保持シート1から第3の繊維束6までの全ての層が重ねられた状態で、全ての層が、MD方向に延びる中央線に沿う前記全層接合線7により接合されて一体化される。この全層接合線7は、前記接合線8と接合線8との中間で且つ前記接合線8,8と平行に延びるように形成される。前記全層接合線7は、熱シール、超音波シールなどの融着シール線であり、この全層接合線7によって各層が一体化される融着部が形成される。
【0037】
この前記清掃用物品10では、前記繊維束と短冊片とで形成された刷毛部で、埃を捕捉でき、特に短冊片で大きな埃を払うことができ、繊維束で埃を捕捉することができる。
【0038】
前記各層が重ねられて一体に接合された清掃用物品10では、図1に現れる上面において、保持シート1と基材シート2とが接合線8と接合線8ならびに前記全層接合線7により接合されており、一方の接合線8と全層接合線7との間、および全層接合線7と他方の接合線8との間で、前記基材シート2と保持シート1との間に、後に説明する把持具21が挿入される保持空間20,20が形成される。
【0039】
ここで、前記保持シート1と基材シート2は白色であり、各繊維束3,4,6は着色された繊維で形成されている。前記接合線8,8では、保持シート1と基材シート2および第1の繊維束3が一緒に融着されてフィルム状となった融着部が形成されている。よって接合線8,8は第1の繊維束3と同じ色彩(例えば青色)を呈し、この接合線8,8が保持シート1と異なる色彩で明瞭に区別できるようになる。全層接合線7も同様であり、この全層接合線7では着色された3層の繊維束3,4,6が一緒に融着されてフィルム状の融着部となっているため、この全層接合線7も保持シート1と異なる青色などの色彩を呈するようになる。
【0040】
したがって、図1に示すように上方から見たときに、全層接合線7と両接合線8が目立つようになり、これら接合線の中間で、基材シート2と保持シート1との間に形成されている保持空間20,20を目視で明瞭に区別できるようになる。
【0041】
また、前記基材シート2を不織布またはフィルムで白色に形成し、しかもある程度の光線透過率を有する目付け(坪量)で形成しておくと、基材シート2を透してその下に位置する第1の繊維束3の色彩が透けて見えるようになる。一方、保持シート1は基材シート2の上に重ねられているため、保持シート1がある程度の光線透過率を有していたとしても、保持シート1を透して見えることのできる第1の繊維束3の色彩は、基材シート2を透して見た前記色彩よりも薄くなる。したがって、基材シート2と保持シート1とが異なった色彩に見えるようになり、保持シート1のCDの前後の縁部が目立つようになる。さらにこの縁部が折返部1b,1bとされているため、この折返部1b,1bでは、さらに第1の繊維束3の色彩が薄くなる。前記折返部1b,1bの部分は保持空間20,20の入口であるため、この入口を明瞭に目視で区別できるようになる。
【0042】
前記基材シート2を透してその下の繊維束などの色彩が透けて見えるようにするためには、前記基材シートの光線透過率(JIS−K−7105に基づいて測定されたもの)が、80%以上であることが好ましく、基材シート2の単独の光線透過率と、保持シート1と基材シート2を重ねたときの光線透過率との差が、10%以上であることが好ましい。
【0043】
なお、前記接合線8,8および全層接合線7の融着部が色彩を呈するようにするためには、前記第1の繊維束3、第2の繊維束4、短冊シート5、第3の繊維束6の少なくとも1層が着色された繊維で形成されていればよい。例えば、前記実施の形態とは逆に、短冊シート5が着色された素材で形成され、各繊維束3,4,6が白色の繊維で形成されていてもよい。または、基材シート2が着色されていてもよい。
【0044】
前記基材シート2および/または短冊シート5を着色したものとするためには、これらシートを着色した繊維で形成された不織布、あるいは顔料や染料を含む樹脂フィルムなどで形成すればよい。また、保持シート1は白色であることが好ましいが、この保持シート1が前記接合線8および全層接合線7の色彩と区別できる程度に着色されているものであってもよい。
【0045】
なお、前記不織布は全体(100%)が着色された繊維で形成されている必要はなく、着色した繊維が部分的に混合されて、不織布全体として着色したシートが形成されていてもよい。また保持シート1が着色した繊維で形成された不織布である場合にも前記と同様である。
【0046】
また、基材シート2を透してその下の色彩が透けて見えるようにするためには、少なくとも前記基材シート2に隣接している第1の繊維束3が着色されていればよい。
【0047】
図1に示されているように、前記清掃用物品10は、表面側から把持具21に装着することができる。把持具21は、二股に分かれた挿入部22,22と把持部23とを有している。挿入部22,22は所定の間隔を開けて配置され、その側面には係止突起24が突出して形成されている。また挿入部22と挿入部22の間の基端部には先端へ延びる係止片25が一体に形成されている。
【0048】
前記清掃用物品10では、前記全層接合線7と接合線8,8が着色された線となって現れ、しかも保持シート1と基材シート2とが異なる色彩を呈するように見えるため、前記把持具21の装着位置および装着方向を目視で容易に認識できる。また、保持シート1の折返部1b,1bが保持空間20,20の入口であり、この部分も他の領域と異なって目視できるため、把持具21を挿入するための入口を認識しやすい。よって、前記二股の挿入部22,22を前記入口から挿入しやすい。さらに前記入口は基材シート2の縁部よりも内側に位置しているため、挿入部22,22を前記入口から前記保持空間20,20内へ滑り込ませやすくなっている。
【0049】
前記挿入部22,22が前記保持空間20,20内に挿入されると、前記係止片25が保持シート1の全層接合線7上に位置することで保持シート1が挿入部22,22と係止片25との間に挟まれて、清掃用物品10の把持具21からの抜け止め効果が発揮される。
【0050】
また前記清掃用物品10は、図1,図2に示すように左右対称形状であるため、把持具21に対し清掃用物品10を図1の方向から装着した状態で、清掃作業を行ない、その結果、清掃用物品10が局部的に汚れたときに、清掃用物品10を図1に示す向きから180度回転させた向きで把持具21に保持させてもよい。このように向きを変えて使用することで、清掃用物品10の各部を片寄りなく均一に使用することができる。
【0051】
なお、図6に示すように、前記清掃用物品10において、接合線8,8の内側に保持シート1と基材シート2が接合された短い接合線26,26が形成されていてもよい。前記接合線26は、それぞれ挿入部22の係止突起24と係止突起24との間隔とほぼ等しい長さに形成されており、前記挿入部22が保持空間20に挿入されたときに、前記接合線26が係止突起24と係止突起24との間に位置することで、清掃用物品10の把持具21からの抜け止め効果が発揮されるものである。
【0052】
図3は本発明の第2の実施の形態の清掃用物品30を示す斜視図である。
この清掃用物品30は、前記清掃用物品10と同様な各シートおよび各繊維束の層構造を有している。第1の実施の形態との相違点は、保持シート31と基材シート32とが異なる色彩を呈するようにした点にある。
【0053】
図3に示す実施の形態の清掃用物品30は、保持シート31が青色などの色彩に着色されており、基材シート32を含む他の層の素材が全て白色である。清掃用物品30の構造は、前記清掃用物品10と同様に、全層接合線33により全ての層が接合され、接合線34,34により保持シート31、基材シート32および第1の繊維束が接合されている。全層接合線33及び接合線34,34は、いずれも熱シール、超音波シールなどによる融着シール線、または接着剤を用いた接着線、あるいは縫合線である。
【0054】
この清掃用物品30では、保持シート31と基材シート32との間に、接合線34,34と全層接合線33とで囲まれた2つの保持空間35,35が形成され、この保持空間35,35に、図1に示した把持具21が挿入される。
【0055】
前記清掃用物品30では、保持シート31と基材シート32とが異なる色彩であるため、把持具21の挿入部22,22を挿入する保持空間35,35の入口を容易に認識できる。
【0056】
また、この発明では、保持シート31を白色とし、基材シート32を着色した素材で形成してもよいし、保持シート31と基材シート32とが互いに異なる色彩に着色されていてもよい。
【0057】
また、基材シート32をある程度の光線透過率を有する素材で形成し、基材シート32の下に位置する第1の繊維束を着色した素材で形成して、上から見たときに、基材シート32を透過してその下の第1の繊維束の色を透視できるようにし、保持シート31を、前記基材シート32を透して見える色と異なる色の素材で形成してもよい。
【0058】
またこの場合も、前記刷毛部を形成するいずれかの繊維束、または短冊状シートなどの少なくとも一層を着色した素材で形成し、全層接合線33と接合線34,34を融着部として、これら接合線33,34,34が色彩を呈するようにすることで、保持空間35,35の位置を認識しやすくなる。
【0059】
また保持シート31には、長手方向の前後端部に、折返部31a,31aが形成されている。保持シート31が着色されている場合には、前記折返部31a、31aの部分が、保持シート31の他の部分よりも濃い色彩を呈するため、保持空間35,35の入口を認識しやすくなる。また保持シート31を白色の素材で形成し、基材シート32を着色した素材で形成した場合も、前記保持シート31に前記折返部31a,31aを形成すると、保持シート31を透して見える基材シート32の色彩に対して、折返部31a,31aの色彩の透過率が低くなるため、保持空間35,35の入口を認識しやすくなる。
【0060】
図4は、本発明の清掃用物品の第3の実施の形態を示す斜視図である。
この清掃用物品40は、基材シート42の上面側に保持シート41が積層され、基材シート42の下面側に刷毛部43が積層されている。この刷毛部43は、上記繊維束のみ、または不織布のみ、またはこれらを適宜組み合せて形成される。この実施の形態では、前記刷毛部43の少なくとも一部を青色などに着色された素材で形成し、前記保持シート41と基材シート42とを白色の素材で形成する。そして前記保持シート41と基材シート42と刷毛部43とが重ねられ、その周縁部が熱シールや超音波シールなどで接合されて全層接合線44が形成されている。そして前記全層接合線44の内側において、保持シート41と基材シート42との間に保持空間45が形成されている。
【0061】
図4に示すように、前記清掃用物品40に形成された保持空間45には把持具47が装着される。把持具47は平板状の挿入部48と把持部49とが一体に形成されたものであり、前記挿入部48が前記保持空間45内に挿入される。
【0062】
前記清掃用物品40では、刷毛部43が青色などの着色された素材で形成されているため、前記全層接合線44で各層が融着されたときにこの融着部がフィルム状となって色彩を呈するようになり、白色の保持シート41及び基材シート42と異なる色彩を呈し、前記把持具47の挿入位置および挿入方向を容易に認識できる。この場合も、保持シート41には、保持空間45の入口となる部分に折返部41aが形成されることが好ましい。
【0063】
この場合も、基材シート42を着色された素材で形成し、保持シート41を白色の素材として、全層接合線44が色彩を呈するようにすることができる。
【0064】
また、前記刷毛部43の少なくとも一部が着色されていることにより、刷毛部43にボリューム感を与えることができる。
【0065】
また、保持シート41と基材シート42を異なる色彩の素材で形成して保持空間45の入口が識別できるようにしてもよい。
【0066】
また図5に示す清掃用物品50のように、基材シート52の上面側に保持シート51を積層し、基材シート52の下面側に、不織布を主体とした、あるいはトウから開繊された繊維束のみで形成された刷毛部53を積層し、これらを熱融着による全層接合線54,54を形成して保持空間55を形成したものであってもよい。この場合にも、刷毛部53が着色された素材で形成され、または保持シート51と基材シート52とが異なる色彩の素材で形成される。
【0067】
前記保持空間55には把持具56が装着されるが、この把持具56は上下に二股に分かれた挿入部57,57と把持部58を有している。前記挿入部57,57はそれぞれ微小間隔を開けて配置されており、下側の挿入部57を保持空間55に挿入することで、保持シート51が挿入部57と挿入部57との間で挟持される。
【0068】
なお、本発明の清掃用物品は、上記実施の形態に限られるものではなく、例えば、基材シートの表面に複数の帯状の保持シートが接合されて、各帯状の保持シートと基材シートの間に、把持具を挿入する保持空間が形成されているものであってもよい。この場合も保持シートと基材シートの色彩を異ならせておくことにより、前記保持空間を識別しやすくなる。
【0069】
また、保持シートの表面に保持空間が認識できる程度に繊維束が接合されているものでもよい。
【0070】
【発明の効果】
以上のように本発明の清掃用物品は、色彩を施すことにより把持具の装着箇所を目視で明瞭に認識できるとともに、把持具の挿入位置や挿入方向を認識し易いので、把持具を確実に且つ簡単に装着することができ、さらには優れた美感を呈する清掃用物品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の清掃用物品の第1の実施の形態を示す斜視図、
【図2】図1に示す清掃用物品を構成する各層を、図1と上下逆向きにして示す分解斜視図、
【図3】本発明の清掃用物品の第2の実施の形態を示す斜視図、
【図4】本発明の清掃用物品の第3の実施の形態を示す斜視図、
【図5】本発明の清掃用物品の第4の実施の形態を示す斜視図、
【図6】図1に示す清掃用物品の変形例を示す平面図、
【符号の説明】
1 保持シート
1b 折返部
2 基材シート
3 第1の繊維束
4 第2の繊維束
5 短冊シート
6 第3の繊維束
7 全層接合線
8 接合線
10 清掃用物品
21 把持具
22 挿入部
23 把持部
Claims (8)
- 基材シートの一方の面に刷毛部が設けられ、前記基材シートの他方の面に保持シートが設けられ、前記基材シートと前記保持シートおよび前記刷毛部が、間隔を開けた融着部において一緒に融着され、前記融着部と融着部との間で、前記基材シートと前記保持シートとの間に、把持具を挿入する保持空間が形成されており、
前記基材シートと、前記刷毛部の少なくとも一方が白色以外の色に着色された素材で形成されており、前記着色された素材が前記融着部において融着されることにより、前記融着部が前記保持シートと区別できる色彩を呈していることを特徴とする清掃用物品。 - 前記刷毛部が繊維束のみで形成され、この繊維束の少なくとも一部が着色された繊維で形成されている請求項1記載の清掃用物品。
- 前記刷毛部が、前記繊維束と、複数の短冊片を有するシートとで形成されている請求項1記載の清掃用物品。
- 前記短冊片を有するシートが、着色された繊維で形成された不織布である請求項3記載の清掃用物品。
- 前記着色された繊維は、複合繊維で、少なくとも1成分が着色されている請求項2または4記載の清掃用物品。
- 前記着色された繊維は、芯鞘構造で芯部と鞘部の少なくとも一方が着色されている請求項5記載の清掃用物品。
- 前記基材シートが着色された繊維で形成された不織布である請求項1ないし6のいずれかに記載の清掃用物品。
- 前記保持シートが着色されており、保持シートと前記融着部とが区別可能である請求項1ないし7のいずれかに記載の清掃用物品。
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