JP3667204B2 - バッター状生地焼成食品の製造方法とこれに用いるデポジッター口金 - Google Patents

バッター状生地焼成食品の製造方法とこれに用いるデポジッター口金 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、バッター状生地焼成食品の製造方法とこれに用いるデポジッター口金に係り、詳しくは、バッター状生地焼成食品の焼板との接触面に焼きムラによる表面荒れが生じることのないバッター状生地焼成食品の製造方法と、該製造方法の実施に際して用いられるバッター状生地のデポジッター口金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、バッター状生地を焼成してなる食品の代表的なものとして、どら焼きやパンケーキ、ワッフル等があるが、これらは何れも図9に示すように、バッター状生地(41)を上方より焼板(42)上の一箇所に集中して流して該生地が外側のみに拡がるように供給し、これを焼成することで該焼板との接触面に焼き色を付けることによりバッター状生地焼成食品(50)を製造してなるのものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記製造方法においては、焼成食品の焼板との接触面における中心部付近に焼き色が十分に付かないことや、表面荒れが生じてしまうことがあった。
【0004】
また、上記表面荒れを防止する方法として、半日程度十分に生地を寝かせたものを用いる方法が知られているが、該寝かせ方法は、すぐに使用(焼成)可能な生地を準備することが出来ない手間の掛かるものであるとともに、生地を寝かしている間の温度管理が必要なものであった。しかも、使用(焼成)する半日前に予め販売数量を予測して使用する生地を仕込まなければならないものであり、多く仕込み過ぎてしまうと生地が無駄になってしまう反面、少なく仕込んでしまうと急な増産に対応できないものであった。
【0005】
本願発明は、このような課題に対処しようとするものであり、生地を寝かせなくとも焼板との接触面における中心部付近に表面荒れが生じにくく、全体的に均一で綺麗な焼き色が付くこととなるバッター状生地焼成食品の製造方法を提供すること、併せて、該製造方法の実施に際して用いられるバッター状生地のデポジッター口金を提供することを目的する。
【0006】
そして、鋭意研究の結果、焼成食品の焼板との接触面における中心部付近に発生する表面荒れは、図9に示すように、バッター状生地を焼板上の一箇所に集中して多量の生地を流し載せるために、該生地中心部付近の焼板の温度が局所的に低下して、やや低温域(42WL)、低温域(42NL)、強低温域(42SL)が形成されることで、該生地中心部付近の焼板の温度が焼成に適した温度にまでなかなか復元しないことにより該生地中心部付近が相対的に焼成不足となること(すなわち、焼きムラ)に起因することを見出し(特に、該焼きムラのある焼成食品の焼成面が下になる状態で焼成直後にコンベア等で搬送する場合には、上記焼成不足のため強度の不十分な中心部付近で表面荒れが顕著に生じる)、以下に記載の発明の完成によりその目的を達成することが出来たものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、上記課題を解決するため、焼板上に供給された生地の焼板との接触面における中心部付近に、相対的な焼成不足による焼きムラが生じる原因となる極端な温度の低下が起こることのないように、バッター状生地の供給位置や流れ方向、供給状態、等を考慮して、該生地を焼板上に分散して供給するようにしたものである。これらにより、焼板上の一箇所当たりに供給されるバッター状生地の供給量が減少して、該生地を供給することによる焼板の局所的な極端な温度の低下が抑制され、一時的に低下した焼板の温度も素早く焼成に適した温度に容易に復元して、生地の焼板との接触面における中心部付近の相対的な焼成不足(すなわち、焼きムラ)に起因する表面荒れが防止されることとなる。
【0008】
すなわち、本願発明は、焼板上へバッター状生地を供給し焼成することにより、該焼板との接触面に焼き色を付けるバッター状生地焼成食品の製造方法において、バッター状生地を焼板上へ複数箇所に分散させて供給し、焼板上に供給されたバッター状生地が各供給位置から外側に向かってだけでなく内側に向かっても流れることとなるよう行うことを特徴とするバッター状生地焼成食品の製造方法である。
【0009】
また、本願発明は、焼板上へバッター状生地を供給し焼成することにより、該焼板との接触面に焼き色を付けるバッター状生地焼成食品の製造方法において、バッター状生地の焼板上への供給を、一重又は二重以上の環状の吐出孔から行うことを特徴とするバッター状生地焼成食品の製造方法でもある。
【0010】
また、本願発明は、焼板上へバッター状生地を供給し焼成することにより、該焼板との接触面に焼き色を付けるバッター状生地焼成食品の製造方法において、バッター状生地の焼板上への供給を、円周上に均等な位置に配置された複数の吐出孔から行うことを特徴とするバッター状生地焼成食品の製造方法でもある。
【0011】
また、本願発明は、バッター状生地の焼板上への供給が、一重又は二重以上の環状の突出孔から、または円周上に均等な位置に配置された複数の吐出孔から行われる場合に、該焼板上に供給されたバッター状生地が外側に向かってだけでなく内側に向かっても流れることを特徴とするバッター状生地焼成食品の製造方法でもある。
【0012】
また、本願発明は、上記各製造方法により製造される焼成食品が、略円形状に形成されることを特徴とするバッター状生地焼成食品の製造方法でもある。
【0013】
また、本願発明は、焼板上へバッター状生地を供給し焼成することにより、該焼板との接触面に焼き色を付けるバッター状生地焼成食品の製造方法において、該生地の含水率が35%〜55%とし、かつ、焼板上へ供給する量を15g以下とすることを特徴とするバッター状生地焼成食品の製造方法でもある。
【0014】
また、本願発明は、上記各製造方法により製造される焼成食品が、どら焼き、パンケーキ、ワッフル等の小麦粉焼成食品であることを特徴とするバッター状生地焼成食品の製造方法でもある。
【0015】
そして、本願発明は、上記焼成食品を製造するバッター状生地を、小麦粉の全部又は一部として予め加熱処理が施された小麦粉を原料として用いるものであることを特徴とするバッター状生地焼成食品の製造方法でもある。
【0016】
さらに、本願発明は、上記バッター状生地を、焼板上に供給されるまで5℃〜25℃の温度に保持することを特徴とするバッター状生地焼成食品の製造方法でもある。
【0017】
また、本願発明は、一重又は二重以上の環状の吐出孔が形成されているバッター状生地を供給するためのデポジッター口金でもある。
【0018】
さらに、本願発明は、円周上に均等に複数配置された吐出孔が形成されているバッター状生地を供給するためのデポジッター口金でもある。
【0019】
【発明の実施の形態】
本願発明は、焼板上へバッター状生地を供給し焼成することにより、該焼板との接触面に焼き色を付けるバッター状生地焼成食品の製造方法において、バッター状生地を焼板上へ複数箇所に分散させて供給し、焼板上に供給されたバッター状生地が各供給位置から外側に向かってだけでなく内側に向かっても流れることとなるよう行うこととするものである。これにより、バッター状生地の焼板上への供給が、製造しようとする焼成食品の中心部付近に多量に集中することなく行われることとなり、そして、供給後内側に向かって流れる生地が繋がることによって焼成食品の中心部付近が形成されることとなり、焼板との接触面における該中心部付近の焼成が、極端な温度の低下を伴うことなく適切になされて、該中心部付近の相対的な焼成不足(すなわち、焼きムラ)に起因する表面荒れが防止されることとなる。
【0020】
また、バッター状生地の焼板上への供給を、焼板上に供給されたバッター状生地が外側に向かってだけでなく内側に向かっても流れることとなるよう行うとすることにより、該表面荒れを防止するために従来行われていた生地の寝かせも不要となる(もっとも、生地の表面荒れ防止以外の目的、例えば、焼成食品の歯切れ、柔らかさ、しっとり感、等の食感改善のために生地の寝かせを行うことは望ましい)。
【0021】
ここで、本願発明における「バッター状生地」とは、小麦粉に水、卵及び/または牛乳などを加えた流動性のある「バッター」(batter)と同じような状態の生地のことをいい、そのような状態の生地であれば、どのような原料で構成されていても良い。
【0022】
具体的には、本願発明は、焼板上へバッター状生地を供給し焼成することにより、該焼板との接触面に焼き色を付けるバッター状生地焼成食品の製造方法において、バッター状生地の焼板上への供給を、一重又は二重以上の環状の吐出孔から行うことが望ましく、また、焼板上へバッター状生地を供給し焼成することにより、該焼板との接触面に焼き色を付けるバッター状生地焼成食品の製造方法において、バッター状生地の焼板上への供給を、円周上に均等な位置に配置された複数の吐出孔から行うことが望ましく、さらに、具体的には、これらに際し該焼板上に供給されたバッター状生地が外側に向かってだけでなく内側に向かっても流れることとするのが望ましい。これらにより、焼板上へ供給されるバッター状生地は、製造しようとする焼成食品の中心部付近への一点集中的な供給を避けるとともに、供給後の流れ方向が外側に向かってだけではなく内側に向かっても流れることになり、焼板との接触面における中心部付近の焼成が、極端な温度の低下を伴うことなく適切になされて相対的な焼成不足(すなわち、焼きムラ)に起因する表面荒れが防止されることとなる。
【0023】
さらに具体的には、本願発明においては、上記焼成食品が略円形状に形成されることとすることが望ましい。これにより、大量に焼成食品を製造する場合でもその形状が安定的に均一かつ綺麗に整えられることとなる。
【0024】
尚、焼板上へのバッター状生地の供給を、一重又は二重以上の環状の吐出孔から行うようにした場合、及び円周上に均等な位置に配置された複数の吐出孔から行うようにした場合には、容易に略円形状となる。
【0025】
また、本願発明は、焼板上へバッター状生地を供給し焼成することにより、該焼板との接触面に焼き色を付けるバッター状生地焼成食品の製造方法において、該生地の含水率が35%〜55%とし、かつ、焼板上へ供給する量を15g以下とするものでもある。これにより、上記従来技術のように、焼板上へ一点に集中して供給されたバッター状生地の焼板との接触面における中心部付近の極端な温度の低下が確実に抑制され、該中心部付近の焼成が適切になされて相対的な焼成不足(すなわち、焼きムラ)に起因する表面荒れが防止されることとなる。
【0026】
そして、本願発明は、上記各製造方法により製造される焼成食品を、どら焼き、パンケーキ、ワッフル等の小麦粉焼成食品とするものでもある。すなわち、どら焼きやパンケーキ、ワッフル等の小麦粉焼成食品において、本願発明の上記各製造方法により表面に綺麗な焼き色が均一に付いた焼成ムラのないものとすることがより有効である。
【0027】
ここで、「小麦粉焼成食品」とは、原料粉の全部又は一部として小麦粉を用いた生地を焼成した食品のことであり、例えば、小麦粉以外の穀物粉又はそれをα化する等の加工したものを併用しても良い。
【0028】
また、本願発明は、上記小麦粉焼成食品を製造する各方法におけるバッター状生地を、小麦粉の全部又は一部として予め加熱処理が施された小麦粉を原料として用いるものとしても良い。すなわち、歯切れの良い軽い食感とする改良等のために原料として予め加熱処理が施された小麦粉を用いた場合には、生地を寝かせても焼成後の表面荒れが十分に防止できないが、上記各製造方法を採用し、かつ、加熱処理を施した小麦粉を原料として用いた場合には、食感を歯切れ良く軽くなるように改善するとともに、焼きムラによる表面荒れを防いで綺麗に焼成することが可能となる。尚、「加熱処理」としては、焙焼、スチーム、高温熱風など様々な手段が考えられ、これらの手段を組み合わせて行っても良い。
【0029】
また、本願発明は、バッター状生地が、焼板上に供給されるまで5℃〜25℃の温度に保持されるものとすることが望ましく、15℃〜20℃とすることが最も望ましい。生地の温度が高すぎると、該生地供給前にグルテンが形成される等により、出来上がった焼成食品が歯切れの悪いものとなってしまう恐れがある。
【0030】
また、生地の温度が低すぎると、供給口からの該生地の供給と焼板上へ供給後の該生地の拡がりが悪くなり、また、焼板上へ供給した時に焼板の温度が急に低下してしまい焼成も不安定となる。
【0031】
また、本願発明は、一重又は二重以上の環状の吐出孔が形成されているバッター状生地を供給するためのデポジッター口金でもあり、また、円周上に均等な位置に複数配置された吐出孔が形成されているバッター状生地を供給するためのデポジッター口金でもある。これらの口金を備えたデポジッターにより、バッター状生地を焼板上へ供給し焼成することとすると、バッター状生地は、製造しようとする焼成食品の中心部付近への一点集中的な供給を避けるとともに、供給後の流れ方向が外側に向かってだけでなく内側に向かっても流れることとなり、焼板との接触面における中心部付近の焼成が極端な温度の低下を伴うことなく適切になされて、焼きムラによる表面荒れが防止されることとなる。
【0032】
そして、本願発明は、上記各デポジッター口金を、バッター状生地を焼板上へ供給するデポジッターの供給口に対して着脱自在としても良い。これにより、該バッター状生地供給口及びデポジッター口金に対する洗浄を含めたメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0033】
この際、デポジッター口金のバッター状生地供給口への取り付けとしては、例えば、図3及び図4に示すように、ホッパー(8)内のバッター状生地をピストン機構(9)により供給口から供給するデポジッター(3)の供給口(3a)に対する取り付け口(4a)を上面部に有するとともに、下面部がほぼ全体的に開口しその縁部が僅かに内側にせり出すことにより形成された係止部(4b)を有するデポジッター枠体(4)を、該供給口(3a)に取り付け、次いで、該デポジッター枠体(4)の内部(4′)に、上面が凹状に窪んだ窪み部(5a)内に複数の吐出孔(6・・6)が円周上に均等な位置に配置形成された板状のデポジッター口金(5)を挿入するように行ったり、または、図5及び図6に示すように、ホッパー(8)内のバッター状生地をピストン機構(9)により供給口から供給するデポジッター(3)の供給口(3a)に対する取り付け口(14a)を上面部に有するとともに、下面部がほぼ全体的に開口しその縁部が僅かに内側にせり出すことにより形成された係止部(14b)を有するデポジッター枠体(14)を、該供給口(3a)に取り付け、次いで、該デポジッター枠体(14)の内部(14′)に、該供給口(3a)と同様の大きさの吐出孔(18a)を有し、その表面に該デポジッター枠体(14)内で固定されるようにしたスペーサー(17)を有する板状のデポジッター連結具(18)を挿入するとともに、中央部に吐出孔(19a)を有し、該デポジッター連結具(18)からの生地供給路を該デポジッター枠体(14)の外側まで延長する、下端部が外側に張り出した略管状のデポジッター連結具(19)を該板状のデポジッター連結具(18)に取り付け、さらに、該略管状のデポジッター連結具(19)に、複数の吐出孔(16・・16)が円周上に均等な位置に配置形成された円板状のデポジッター口金(15)を取り付けることにより行ったり、または、図7及び図8に示すように、ホッパー(8)内のバッター状生地をピストン機構(9)により供給口から供給するデポジッター(3)の供給口(3a)に対する取り付け口(25a)を上面部に有するとともに、底面部に複数の吐出孔(26・・26)が円周上に均等な位置に配置形成された断面略凸状をした中空のデポジッター口金(25)を、該供給口(3a)の外側に嵌着させることにより行ったりすることが考えられる。そして、デポジッター口金は、バッター状生地供給口に対して着脱自在にすることが望ましい。尚、本願発明のために用いられるデポジッターは上記のものに限定されるものではない。
【0034】
また、例えば、直径90mm程度の略円形の焼成食品を製造するためにデポジッター口金に形成される吐出孔を、任意の大きさの円周上に均等な位置に配置する場合には、その円周径としては直径10〜50mmが望ましく、該円周上に6〜20個の吐出孔を形成することとするのが好ましい。尚、円周上に形成される吐出孔の数が少なすぎると、形状が綺麗な円形等になりにくく、形状を安定させることも難しく、焼板への供給生地量も不均一なものとなりやすいことから、吐出孔は出来るだけ多く設けることが望ましい。しかし、逆に吐出孔の数が多すぎると、吐出孔の間隔が小さくなりすぎて吐出孔から吐出される生地が隣りの吐出孔から吐出される生地とくっついてしまい、各吐出孔から吐出された生地が個々に独立した状態で焼板上に供給されなくなる恐れがある。
【0035】
【実施例】
以下、本願発明の実施例として、どら焼き(皮)を製造する場合について説明する。 尚、本願発明は、該実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
まず、どら焼き用のバッター状生地は、小麦粉100質量%、液卵84質量%、蜂蜜10質量%、砂糖95質量%、膨張剤2質量%、水53質量%を加えてミキシングすることにより調整する。
【0036】
調整されたどら焼き用のバッター状生地(1)は、図1及び図2に示すように、銅製の焼板(2)上への供給後にバッター状生地の流れ方向が外側に向かってだけでなく内側に向かっても流れることになるよう、円周上に均等に配置された8個の吐出孔から製造しようとするどら焼きの中心部(S)を避けてその周囲に、一重の環状で、複数の筋状に、焼板上へ供給される(図1(イ)参照)。
【0037】
この際、焼板上へ供給するバッター状生地量は25g前後であり、供給されるまでは17℃〜19℃の温度に保持され、このままの温度で焼板上へ供給される。
【0038】
焼板(2)上へ供給されたバッター状生地(1a・・1a)は、最初円周上の複数の均等な位置に供給され(図2(イ)参照)、すぐに供給位置から内側に向かって流れるとともに、四方八方放射状に外側に向かっても拡がり、隣同士互いにくっつき合ってドーナツ形状(1b)となる(図1(ロ)及び図2(ロ)参照)。この際、バッター状生地が供給されることにより、焼板(2)の温度はやや低下するが、温度の低下幅が少ないのですぐに焼成に適した温度にまで復元する。そして、さらに内側及び外側に向かって生地が流れてドーナツ形状から略円形状に近い形状となり(図2(ハ)参照)、最終的に中心部を埋め尽くすことで直径90mm程度の略円形状(1d)に形成される(図1(ハ)及び図2(ニ)参照)。
【0039】
バッター状生地は、焼板上へ供給するために、図3及び図4に示すような、デポジッター枠体(4)と、該デポジッター枠体(4)の内部(4′)に挿入されるデポジッター口金(5)を介して、デポジッター(3)における供給口(3a)より焼板上へ供給される。なお、デポジッター口金(5)は、該供給装置の供給口(3a)に着脱自在に取り付けられている。
【0040】
デポジッター枠体(4)は、上面部にデポジッターの供給口(3a)に対する取り付け口(4a)を有するとともに、下面部がほぼ全体的に開口しその縁部が僅かに内側にせり出すことにより形成された係止部(4b)を有する。一方、デポジッター口金(5)は、バッター状生地のスムーズな通過が可能となる直径3mm程度の大きさをした円形の吐出孔(6)が、直径35mmの円周上の均等な位置に複数個、例えば、前述のように8個形成されている。
【0041】
尚、円周上に形成する吐出孔の数は、少なすぎると形状が綺麗な円形等になりにくく形状を安定させることも難しく、焼板への供給生地量も不均一なものとなりやすいことから、吐出孔は出来るだけ多く設けることが望ましい。
【0042】
ここで、デポジッター口金に形成する吐出孔の数が多い方が、生地量がより均一化する(従って、焼成後のどら焼き(皮)の重量も均一化する)ことを明らかにするために、吐出孔の数を変えてどら焼き(皮)を試作し、焼成後のどら焼き(皮)の重量を量り、その標準偏差を求めた。 そして、その結果を以下に示す。 なお、標準偏差を求めることとした測定検体数は何れも30である。
【0043】
【表1】
Figure 0003667204
【0044】
上記[表1]に示すように、吐出孔の数が1個のものよりも8個のもの、さらに、該吐出孔の数が8個のものよりも10個のものの方が標準偏差が小さく、供給される生地の量が安定していることが分かる。従って、デポジッター口金に形成する吐出孔の数は、上述のように出来るだけ多くした方が望ましい。
【0045】
また、該吐出孔(6)は、デポジッター口金(5)上面の凹状に窪んだ窪み部(5a)内に形成され、デポジッター(3)における供給口(3a)から供給されたバッター状生地が、該吐出孔(6)の通過後に隣接する生地同士くっついてしまわず、個々に独立した状態で焼板上に供給されることとなるように、適宜間隔を有して均等に配されている。
【0046】
さらに、デポジッター口金(5)には、その下側表面に弾性バネ状のスペーサー(7)が設けられ、該デポジッター枠体(4)内で位置ズレしないように固定されるようになっている。
【0047】
以上のように焼板上へ供給されたバッター状生地は、これを約2分間焼成することにより、該焼板との接触面全体に綺麗な焼き色を均一に付けてなるどら焼き(皮)(10)とすることが出来た(図1(ニ)参照)。
【0048】
次に、他の実施例としては、特に図示しないが、上記実施例と同様に調整したどら焼き用のバッター状生地15g(含水率約43%)を、該バッター状生地を従来のとおりに、焼板上の一箇所に集中して全て供給し(図9(イ)参照)、直径55mm程度の円形状に形成する。そして、これを焼成すると、該焼板との接触面全体に綺麗な焼き色を均一に付けてなるどら焼き(皮)とすることが出来た。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本願発明によれば、バッター状生地の焼板上への供給が、外側に向かって拡がるだけの中心部一点集中になされるのではなく、外側に向かって拡がるとともに内側に向かっても流れることとなるように行われるため、該生地の焼板との接触面の中心部付近の極端な温度の低下が抑制され、また、生地供給直後の焼板の温度低下後もすぐに元の温度まで回復することとなり、焼板上へ供給されたバッター状生地は中心部付近を含めて全体的に適切に焼成され、焼きムラによる表面荒れが生じることがなくなる。
【0050】
しかも、生地を寝かせなくとも焼板との接触面における中心部付近に表面荒れが生じることなく、全体的に均一で綺麗な焼き色が付いたバッター状生地焼成食品とすることが出来るので、生地を寝かしている間の温度管理が必要なくなることは勿論のこと、前もって販売数量を予測せずともよいこととなり、生地を多く仕込み過ぎてしまったり、少なく仕込んでしまったりすることによる不都合を解消することが出来る。
【0051】
また、本願発明は、バッター状生地の焼板上への供給を、一重もしくは二重以上の環状の吐出孔により行うことで、または、複数箇所に均等に散された吐出孔により行うことで、または、円周上に均等に配置された複数の吐出孔により行うことで、該バッター状生地が焼板上で外側に向かってだけでなく内側に向かっても流れることとなり、より確実に焼板との接触面における中心部付近の焼成が、極端な温度の低下を伴うことなく適切になされて焼成不十分による焼きムラが防止されることとなる。
【0052】
さらに、本願発明によれば、焼板上へ供給するバッター状生地の含水率を35%〜55%とし、かつ、焼板上への供給量を15g以下として、焼板の極端な温度の低下が生じないように調整することで、従来とおりに焼板上の一箇所に集中的に生地を供給したときでも、焼成後の焼きムラの発生を確実に防止することが出来ることとなる。
【0053】
また、本願発明によれば、歯切れ、柔らかさ、しっとり感等の食感に優れたバッター状生地焼成食品とするために、予め焙焼、スチームなどの加熱処理が施された小麦粉をバッター状生地の原料として用いた場合であっても、生地の寝かせを行うことを必要とせずにすぐに焼成することが出来、しかも、焼板との接触面における中心部付近に表面荒れが生じることなく、全体的に均一で綺麗な焼き色を付けて、効率良く製造することが出来ることとなる。
【0054】
また、本願発明によれば、焼板上へ供給されるまでバッター状生地の温度を5℃〜25℃とすることにより、グルテンの形成を抑えて焼成後に歯切れが悪くなること等を防止するとともに、焼板上への供給及び供給後の該生地の拡がりをスムーズに行い、生地焼成を安定的に行うことが出来ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の製法における(イ)乃至(ハ)バッター状生地の流れ及び焼板の温度状態を順次説明する概略側面図、(ニ)焼成後の製品を示す平面図。
【図2】本願発明の製法における(イ)乃至(ニ)バッター状生地の流れを順次説明する概略平面図。
【図3】本願発明の製法に用いるデポジッター口金の(イ)バッター状生地供給装置への取り付け構造を説明する概略側面図、(ロ)該供給装置へ取り付けた後の状態を示す概略側面図。
【図4】[図3]に示すデポジッター口金の構造を説明する平面図。
【図5】本願発明の製法に用いる他のデポジッター口金の(イ)バッター状生地供給装置への取り付け構造を説明する概略側面図、(ロ)該供給装置へ取り付けた後の状態を示す概略側面図。
【図6】[図5]に示すデポジッター口金の構造を説明する平面図。
【図7】本願発明の製法に用いるさらに他のデポジッター口金の(イ)バッター状生地供給装置への取り付け構造を説明する概略側面図、(ロ)該供給装置へ取り付けた後の状態を示す概略側面図。
【図8】[図7]に示すデポジッター口金の構造を説明する(イ)平面図、(ロ)底面図。
【図9】従来の製法における(イ)乃至(ニ)バッター状生地の流れ及び焼板の温度状態を順次説明する概略側面図、(ホ)焼成後の製品を示す平面図。
【符号の説明】
S・・・中心部
1・・・バッター状生地
1a・・・バッター状生地
1b・・・ドーナツ状バッター状生地
1c・・・略円形状バッター状生地
1d・・・円形状バッター状生地
2・・・焼板
3・・・デポジッター
3a・・・供給口
4・・・デポジッター枠体
4′・・・内部
4a・・・取り付け口
4b・・・係止部
5・・・デポジッター口金
5a・・・窪み部
6・・・吐出孔
7・・・スペーサー
8・・・ホッパー
9・・・ピストン機構
10・・・どら焼き(皮)

Claims (6)

  1. 焼板上へバッター状生地を供給し焼成することにより、該焼板との接触面に焼き色を付け、略円形状に形成されるバッター状生地焼成食品の製造方法において、バッター状生地焼板上への供給を、一重の円周状に均等に配置された複数の吐出孔から行い、焼板上に供給されたバッター状生地が供給位置から外側に向ってだけでなく焼成後の食品の中心となる方向に流れて略円形状に形成されることを特徴とするバッター状生地焼成食品の製造方法。
  2. 焼板上へバッター状生地を供給し焼成することにより、該焼板との接触面に焼き色を付け、略円形状に形成されるバッター状生地焼成食品の製造方法において、該生地の含水率を35%〜55%とし、かつ、焼板上へ供給する量を15g以下とすることを特徴とするバッター状生地焼成食品の製造方法。
  3. 上記焼成食品は、どら焼き又はパンケーキであることを特徴とする請求項1乃至2の何れかに記載のバッター状生地焼成食品の製造方法。
  4. バッター状生地は、小麦粉の全部又は一部として予め加熱処理が施された小麦粉を原料として用いるものであることを特徴とする請求項に記載のバッター状生地焼成食品の製造方法。
  5. バッター状生地は、焼板上に供給されるまで5℃〜25℃の温度に保持することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のバッター状生地焼成食品の製造方法。
  6. 一重の円周上に均等に配置された複数の吐出孔が形成され、バッター状生地を供給する口金であって、請求項1〜5記載のバッター状生地焼成食品の製造方法において使用するデポジッター口金。
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