JP3666581B2 - 電子弦楽器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ギターや電子ベースのように楽器本体と棹部を備えてなる電子弦楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子弦楽器の一つである電子ギターは、従来、発音される楽音の発音タイミングを指定する発音タイミング指定手段を有する楽器本体と、発音される楽音の音高を指定する音高指定手段を有してなり楽器本体に組み付けられた棹部とを備えていて、これら楽器本体と棹部とは一体的に固着されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、通常、電子ギターは、ケースに収納した状態で保管したり持ち運んだりするものであるが、上記従来の電子ギターにおいては、ケースとして当該電子ギターをそのまま収容可能な大きさのものを必要とする。このため、保管に際して広いスペースを必要としたり、持ち運び難いといった問題があった。
【0004】
【発明の概要】
本発明は上記した課題に対処するためになされたもので、その目的は、持ち運びが容易な電子弦楽器を提供することにある。
【0007】
発明の構成上の特徴は、発音される楽音の発音タイミングを指定する発音タイミング指定手段を有するとともに、発音される楽音に変位に応じて音楽的効果を付加するための脱着可能な効果付加用アームを有する楽器本体と、発音される楽音の音高を指定する音高指定手段を有してなり前記楽器本体に組み付けられた棹部を備えた電子弦楽器において、前記楽器本体と前記棹部を締結部材によって脱着可能に締結するように構成し、前記効果付加用アームに、前記締結部材を操作して同締結部材による前記楽器本体と前記棹部との締結及び締結解除を可能とする操作部を設けたことにある。
【0008】
これによれば、当該電子弦楽器をケースに収納する際に、締結部材による楽器本体と棹部との締結を解除することによって楽器本体と棹部とを分離して収納することができるため、収納ケースとして比較的小型のものを使用することができ、これにより持ち運びが容易となる。
【0009】
また、締結部材による楽器本体と棹部との締結及び締結解除は、楽器本体に脱着可能に組み付けられた効果付加用アームに設けた操作部にて締結部材を操作することにより行うことができるため、締結部材を操作するための部材を別に容易する必要がなくて、楽器本体と棹部とを容易に脱着することが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図8は、本発明に係る電子ギターの第1実施形態を示していて、この電子ギターは、楽器本体としてのボディ10と、ボディ10に脱着可能に組み付けられた棹部としてのネック20と、ボディ10に組み付けられた効果付加用アームとしてのトレモロアーム30を備えている。
【0011】
ボディ10は、内部に種々の電子部品(ボディ10の背面に露呈する基板14に組み付けられている)を有しており、上面略中央には擬似弦固定部材11が組み付けられるとともに、背面にはカバー12が組み付けられている。また、ボディ10における擬似弦固定部材11の配設位置より上方部位は、ネック20が組み付けられる被係合部10aとされていて、この被係合部10aには、図5に示したように、ネック20をボディ10に組み付けるための締結部材としてのねじ41が貫通する4個の貫通穴10a1(ねじ41のねじ山よりも大径で、ねじ41の頭部よりも小径のもの)が設けられている。なお、被係合部10aの背面には、当て板15が予め組み付けられている。当て板15は、略正方形形状をした樹脂製のもので、その四隅には、ねじ41が貫通する貫通孔15a(ねじ41のねじ山よりも大径で、ねじ41の頭部よりも小径のもの)が設けられている。
【0012】
擬似弦固定部材11は、発音タイミング指定手段としての擬似弦13を固定する固定部11aと、後述するネック20の係合部20aがボディ10の被係合部10aに組み付けられる際にその位置決め手段として機能する位置決め部11bと、トレモロアーム30が挿通する挿通孔11cを備えている。
【0013】
固定部11aは、正面視にて略長方形形状をしていて、同固定部11aには、上記した電子部品に接続された6本の擬似弦13が略等間隔に埋設されている。6本の擬似弦13は、各両端にて固定部11aに揺動可能に支持されるとともに、ボディ10の上面上に浮かせてボディ10の軸方向(図1の上下方向)に平行に設けられており、ボディ10の軸直角方向(図1の左右方向)に変位するようになっている。
【0014】
位置決め部11bは、固定部11aの上端に連続して形成されており、正面視にて略L字形状をしていて、縦壁11b1と横壁11b2を備えている。縦壁11b1は、ネック20の係合部20aをボディ10の被係合部10aに組み付ける際の、係合部20aの左右方向における位置決め手段として機能するものである。横壁11b2は、ネック20の係合部20aをボディ10の被係合部10aに組み付ける際の、係合部20aの上下方向における位置決め手段として機能するものである。
【0015】
挿通孔11cは、固定部11aの下方右側部位に設けられた上下方向の長孔であって、図8に示したように、内部に向けて縮径して形成されている。
【0016】
カバー12は、図2及び図3に示したように、基板14を覆うようにボディ10の背面に7本のねじ42を用いて組み付けられており、その上端部は、当て板15の一部を覆っている。また、カバー12の上端部には、ねじ41のうちの2本が貫通する2個の貫通孔12a(ねじ41のねじ山よりも大径で、ねじ41の頭部よりも小径のもの)が設けられるとともに、下端部には、電池収納部12bが設けられている。
【0017】
ネック20は、その下端部に設けられた係合部20aにて、4本のねじ41を用いてボディ10の被係合部10aに脱着可能に組み付けられていて、上面に設けられた指板(フィンガーボード)21には、ネック20の軸直角方向(図1の左右方向)に多数のフレット22が埋設されるとともに、ネック20の軸方向(図1の上下方向)に音高指定手段である疑似弦23が埋設されている。また、ネック20における係合部20aの背面には、図6に示したように、ねじ41が螺合する4個のねじ孔20a1が設けられている。
【0018】
トレモロアーム30は、図7に示したように、中間部位にて略直角に折り曲げられていて、その一端側に形成された雄ねじ部31にて挿通孔11cを挿通し、ボディ10内部に配設されたボリュームVに脱着可能に組み付けられており、演奏者による操作によって、図8の矢印方向に揺動して楽音にトレモロ効果を付加するようになっている。また、トレモロアーム30における雄ねじ部31の先端部には、ねじ41に適合するプラス(マイナスでも可能)のドライバビット(操作部)31aが一体的に形成されている。
【0019】
上記のように構成した第1実施形態の電子ギターにおいては、ネック20の係合部20aが擬似弦固定部材11の縦壁11b1及び横壁11b2に当接するように、係合部20aをボディ10の被係合部10aに係合させ、その状態にて、4本のねじ41をボディ10の背面側から螺合することによって、ボディ10とネック20とを締結することができる。また、ねじ41を取り外すことによって、ボディ10とネック20との締結を解除することができる。
【0020】
したがって、本実施形態の電子ギターにおいては、当該電子ギターをケースに収納する際に、ねじ41によるボディ10とネック20との締結を解除することによってボディ10とネック20とを分離して収納することができるため、収納ケースとして比較的小型のものを使用することができ、これにより持ち運びが容易となる。
【0021】
また、本実施形態の電子ギターにおいて、ねじ41によるボディ10とネック20との締結及び締結解除は、ボディ10に脱着可能に組み付けられたトレモロアーム30に設けたドライバビット31aにて、ねじ41を操作することにより行うことができるため、ねじ41を操作するためのドライバを別に用意する必要がなくて、ボディ10とネック20とを容易に脱着することが可能である。なお、ねじ41を操作するためのドライバを別に用意して、同ドライバによってねじ41を操作してボディ10とネック20との締結及び締結解除を行う場合に比して作業手順が増えることはない。
【0022】
すなわち、当該電子ギターをケースに収納するに際しては、まず、ボディ10からトレモロアーム30を取り外す(この作業は、従来の電子ギターにおいても同様)。次に、同トレモロアーム30を用いてねじ41を操作してボディ10とネック20との締結を解除し、ボディ10とネック20とをケースに収納するとともに、ドライバをドライバ収納ケースに収納する代わりにトレモロアーム30をケースに収納する。また、当該電子ギターをケースから取り出してボディ10とネック20とを組み付けるに際しては、ドライバをドライバ収納ケースから取り出す代わりにトレモロアーム30をケースから取り出し、同トレモロアーム30を用いてねじ41を操作してボディ10とネック20とを締結する。そして、ドライバをドライバ収納ケースに収納する代わりにトレモロアーム30をボディ10に組み付ける。
【0023】
また、本実施形態の電子ギターにおいては、カバー12に設けられた2個の貫通孔12aが、ねじ41のねじ山よりも大径で、ねじ41の頭部よりも小径とされているため、カバー12を取り外すことなく、ねじ41を螺合したり取り外したりすることができ、ボディ10とネック20とを容易に脱着することが可能である。
【0024】
上記第1実施形態においては、4本のねじ41を用いてボディ10とネック20とを脱着可能に組み付けたが、図9〜図13に示した第2実施形態のように、1本のねじを用いてボディ110とネック120とを脱着可能に組み付けて実施することも可能である。
【0025】
図9〜図13に示した第2実施形態の電子ギターは、ボディ110の被係合部110aに設けられる貫通孔110a1が1個である構成、当て板115に設けられる貫通孔115aが1個である構成、擬似弦固定部材111における位置決め部111bの形状が異なる構成及びネック120の係合部120aの形状が異なる構成を除いて上記第1実施形態と実質的に同様の構成であるため、同一部材には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0026】
貫通孔110a1は、ネック120をボディ110に組み付けるためのねじ41が貫通するもので、ねじ41のねじ山よりも大径で、ねじ41の頭部よりも小径に形成されていて、図10に示したように、ボディ110の被係合部110aの上方略中央部位に設けられている。
【0027】
当て板115は、略正方形形状をした樹脂製のもので、ボディ110における被係合部110aの背面に予め組み付けられていて、ねじ41が貫通する貫通孔115a(ねじ41のねじ山よりも大径で、ねじ41の頭部よりも小径のもの)が、被係合部110aに設けられた貫通孔110a1に対応した部位に設けられている(図13参照)。
【0028】
位置決め部111bは、図9〜図11に示したように、固定部111aの上端に連続して形成されており、ネック120における係合部120aの下端部120a2の位置決めとして機能する横壁111b1と、係合部120aの左端部の位置決めとして機能する左壁111b2と、係合部120aの右端部の位置決めとして機能する右壁111b3を備えている。なお、横壁111b1には、図13に示したように、係合部120aの下端部120a2が係合するフランジ部111b4が設けられている。
【0029】
係合部120aは、図12に示したように、ボディ110における固定部111bの左壁111b2と右壁111b3間に係合するように幅狭に形成されるとともに、その下端部120a2は、横壁111b1のフランジ部111b4に係合するように薄肉に形成されている(図13参照)。また、係合部120aの背面には、ねじ41が螺合するねじ孔120a1が、貫通孔110a1及び貫通孔115aに対応した部位に設けられている。
【0030】
上記のように構成した第2実施形態の電子ギターにおいては、ネック120の係合部120aを、擬似弦固定部材111における固定部111bの左壁111b2及び右壁111b3間にてボディ110の被係合部110a上を下方(図9の下方向)に向けてスライドさせ、その下端部120a2を擬似弦固定部材111における固定部111bのフランジ部111b4に係合させる。そして、ねじ41をボディ110の背面側から螺合することによって、ボディ110とネック120とを締結することができる。また、ねじ41を取り外すとともに、ネック120の係合部120aを上方(図9の上方向)に向けてスライドさせて、下端部120a2とフランジ部111b4とを非係合とすることによって、ボディ110とネック120との締結を解除することができる。
【0031】
したがって、この第2実施形態においても上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、本実施形態においては、擬似弦固定部材111の位置決め部111bに設けた横壁111b1、左壁111b2及び右壁111b3と、横壁111b1に設けたフランジ部111b4により、ネック120の係合部120aを確実に位置決めすることができるとともに、回転を規制することができるため、ねじ41の本数を1本とすることができ、上記第1実施形態に比してねじ41を操作する手間を少なくすることができて、ボディ110とネック120との締結及び締結解除を短時間に行うことができる。
【0032】
なお、上記第2実施形態においては、位置決め部111bの左壁111b2及び右壁111b3を図11に示した形状に形成して実施したが、これらを図14に示した形状(各壁111b2,111b3が内方に向けて突出した突出部111b5,111b6をそれぞれ有する形状)にして実施することも可能である。この場合には、ネック120の係合部120aをボディ110の被係合部110aに組み付ける際に、ネック120の前方(図14の上方)への移動を突出部111b5,111b6によって規制することができるため、ネック120の係合部120aをさらに確実に位置決めすることができる。なお、この場合、ネック120の係合部120aの形状を図14に二点鎖線で示した断面凸形状にし、固定部111bの前面(図14の上端面)と係合部120aの前面(図14の上端面)が面一となるようにしても良いし、図13に示した断面長方形形状のままとしても良い。
【0033】
なお、上記各実施形態においては、当て板15,115の一部をカバー12で覆うようにし、第1実施形態においては4本のねじ41の一部(2本)を、また、第2実施形態においてはねじ41を、カバー12の外に配置するようにしたが、これらのねじをもカバー12で覆うようにしても良い。この場合、各実施形態において、カバー12で覆われていないねじ41に対応させてカバー12に貫通孔12a(ねじ41のねじ山よりも大径で、ねじ41の頭部よりも小径のもの)を設けておくと良い。
【0034】
また、上記各実施形態においては、ボディ10,110とネック20,120とをねじ41(締結部材)によって脱着可能に組み付けた(締結し)たが、ねじを用いることなく、他の手段によってボディ10,110とネック20,120とを脱着可能に組み付けるようにして実施することも可能である。
【0035】
他の手段としては、例えば、ボディ10,110の被係合部10a,110a及びネック20,120の係合部20a,120aのいずれか一方を挿入穴で形成するとともに、他方を同挿入穴に挿入される突起部で形成し、突起部を所定の力で挿入穴に挿入することにより、ボディ10,110とネック20,120とが連結固定される弾性固定機構を設けるようにしても良い。そして、この弾性固定機構の連結固定機能を適宜解除する操作部を設けておき、同操作部の操作時にはボディ10,110とネック20,120との連結固定が解除されるようにしておいても良い。
【0036】
また、上記各実施形態においては、本発明を電子ギターに実施したが、本発明は、楽器本体と棹部を備えてなる他の電子弦楽器(例えば電子ベース)にも同様に実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電子ギターの第1実施形態を示す正面図である。
【図2】 図1に示した電子ギターの背面図である。
【図3】 図1に示した電子ギターにおいて一部部材を取り外した状態を示す一部破断側面図である。
【図4】 図3に示した電子ギターを分解した状態を示す図である。
【図5】 図1に示した電子ギターのボディにおいて一部部材を取り外した状態を示す正面図である。
【図6】 図1に示した電子ギターにおけるネックの背面図である。
【図7】 図1に示したトレモロアームの正面図である。
【図8】 ボディに設けた挿通孔とボリュームとトレモロアームとの関係を示す図である。
【図9】 本発明に係る電子ギターの第2実施形態を部分的に示した正面図である。
【図10】 図9に示した電子ギターにおけるボディの正面図である。
【図11】 図9に示した擬似弦固定部材における11−11線に沿った断面図である。
【図12】 図9に示した電子ギターにおけるネックの背面図である。
【図13】 図9の13−13線に沿った断面図である。
【図14】 図11に示した擬似弦固定部材における左壁及び右壁の変形例を示す図11相当図である。
【符号の説明】
10,110…ボディ(楽器本体)、13…擬似弦(発音タイミング指定手段)、20,120…ネック(棹部)、23…擬似弦(音高指定手段)、30…トレモロアーム(効果付加用アーム)、31a…ドライバビット(操作部)、41…ねじ(締結部材)。

Claims (1)

  1. 発音される楽音の発音タイミングを指定する発音タイミング指定手段を有するとともに、発音される楽音に変位に応じて音楽的効果を付加するための脱着可能な効果付加用アームを有する楽器本体と、発音される楽音の音高を指定する音高指定手段を有してなり前記楽器本体に組み付けられた棹部を備えた電子弦楽器において、前記楽器本体と前記棹部を締結部材によって脱着可能に締結するように構成し、前記効果付加用アームに、前記締結部材を操作して同締結部材による前記楽器本体と前記棹部との締結及び締結解除を可能とする操作部を設けたことを特徴とする電子弦楽器。
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