JP3666539B2 - ファイルホルダの自動格納設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルテ等の書類をファイルした多数冊のファイルホルダを出し入れ自在に格納する自動格納設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本願出願人は、膨大な量の書類を自動的に格納・取出しできる手段として、図8及び図9に示すような吊懸け式のファイルホルダ1に書類Sをファイルし、多数のファイルホルダ1を、スタッカクレーン式の移載装置によって自動格納設備の棚ユニットに出し入れ自在に格納することを提案した(例えば特開平7-172517号公報参照)。
【0003】
すなわち前記ファイルホルダ1は、まち部(背表紙部或いは底部)2とこれに屈曲自在に連接した表裏カバー(表紙)3とを備えており、図8に示すように、一方のカバー3の内面に形成したポケット部4にカルテ等の書類Sを挟み込んだり、図9に示すように、まち部2の内面に設けたバインダー5に書類Sを綴じたりするもので、両カバー3の自由端には、ファイルホルダ1を棚ユニットに吊懸けるため、厚肉状の縁部材6を固着している。
【0004】
そして、一方の縁部材6には突起7が、他方の縁部材6には前の突起7が弾性的に嵌まる穴8がそれぞれ形成されており、突起7を穴8にスナップ係合させることによってファイルホルダ1は閉じた状態に保持される。両縁部材6の端部には、ファイルホルダ1を後述する自動格納設備に自動的に出し入れする際に使用する係合穴9を穿設している。
【0005】
なお、図8に示したファイルホルダ1の縁部材6には、それら両縁部材6を重ね合わせたとき互い違いに位置するようにした切欠き10を形成している。この切欠き10は表裏カバー3を引き剥がしやすくするためのものである。また、両図のファイルホルダ1とも、片方のカバー3の内面に、収納した書類を特定するためのバーコードが印刷された紙片(図示せず)を差し込み装着するためのカード挿入部11が形成されている。
【0006】
他方、自動格納設備は、一つのファイルホルダがその縁部材を上にした状態で吊懸けられる単位収納部を多数設けた棚ユニットと、この棚ユニットの前面に沿って走行自在なスタッカクレーン式の移載装置と、搬送用の台車とを備えており、棚ユニットに近接して設けた入出庫部に台車をセットし、移載装置によって棚ユニットと台車との間にファイルホルダを移し換えることにより、ファイルホルダを棚ユニットに格納したり、棚ユニットからファイルホルダを出庫したりするようにしたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、台車を使用してファイルホルダの入庫作業を行う場合、使用者の確認ミスや勘違い等により、台車に全くファイルホルダが収納されていないにも拘わらず台車を入出庫部にセットして、入庫スタートの指示をしてしまうことがある。また、出庫するつもりで空の台車を入出庫部にセットし、誤って入庫指示のボタンを押してしまうこともある。
【0008】
このように台車が空であるにも拘わらず入庫指令が出された場合、前記公報に開示されているように、移載装置に、台車における個々の単位収納部にファイルホルダが収納されているか否をサーチするセンサーを設けておけば、台車が空であることを検知することはできる。
【0009】
しかし、この従来の構成では、一旦移載装置を駆動させて台車における全ての単位収納部にファイルホルダが有るか否かをサーチさせないと台車が空であることを検知することができないため、それだけ時間と動力が無駄になるという問題がある。
【0010】
本発明は、この問題を解消することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るファイルホルダの自動格納設備は、多数のファイルホルダを格納できる棚ユニットと、多数のファイルホルダを並べて収納できる搬送用の台車と、前記台車をセットするために前記棚ユニットの近傍等に設けた入出庫部と、前記入出庫部にセットされた台車と棚ユニットとの間にファイルホルダを移し換えるための移載装置と、人に警告を発する警告手段と、前記移載装置及び警告手段を制御する制御部とを備えており、前記入出庫部又は台車に、入出庫部にセットされた台車にファイルホルダが収納されているか否かを検出するためのセンサーを設けており、入出庫部にセットされた台車にファイルホルダが全く収納されていないことをセンサーで検知した状態で入庫指示がされた場合には、前記移載装置を駆動させることなく前記警告手段による警告が発せられるように制御される。
【0012】
【発明の奏する効果】
このように構成すると、一々移載装置を駆動しなくても、台車を入出庫部にセットした段階で当該台車が空であるか否かを検知することができる。
【0013】
従って本発明によると、作業者の確認ミスや勘違いによって空の台車で入庫作業を行おうとした場合や、出庫するために空の台車を入出庫部にセットした後に誤って入庫指示ボタンを押してしまった場合、無駄な動力を消費することなく適切な措置を迅速に採用することができる。
【0014】
請求項2のように構成すると、台車には透光穴と反射板とを設けるだけで良いため構造を簡単化できる利点がある。
【0015】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(A)は自動格納設備12の一部破断斜視図であり、先ず、この図に基づいて自動格納設備12の概略を説明する。
【0016】
自動格納設備12は、向かい合わせに配置した一対の棚ユニット13と、多数のファイルホルダ1を収納した搬送できる台車14とを備えており、両棚ユニット13の間の通路にはスタッカクレーン式の移載ユニット15とを配置している。移載ユニット15は、両棚ユニット13の前面に沿って水平走行自在な支柱16と、この支柱16に昇降自在に装着したリフト17とを備えており、リフト17に、棚ユニット13にファイルホルダ1を出し入れするためのピッキング装置18を設けている。ピッキング装置18は水平旋回自在である。
【0017】
両棚ユニット13の一端寄り部位には、台車14をセットするための入出庫部19が設けられており、台車14を入出庫部19にセットした状態で移載ユニット15を駆動することにより、台車14と棚ユニット13との間にファイルホルダ1を移し換えることができる。
【0018】
図1(A)において符号20で示すのは操作パネル、符号21で示すのは保守・点検用の扉、符号22で示すのはファイルホルダ1の仮置き台であり、何らかの理由で台車14と棚ユニット13との間にファイルホルダ1を移し換えできない場合は、そのファイルホルダ1は仮置き台22に載置され、その後、手作業で外部に取り出されたり、返送ボタンを押すことによって台車14に自動的に戻されたりする。符号23はファイルホルダ1を1冊ずつ取り出す緊急出庫口である。
【0019】
図2は台車14の斜視図、図3は図2の III-III視断面図である。台車14は天板25を備えた平面視長方形のワゴン状に形成されており、前後左右4つのキャスター26を設けている。前後両側板の上部には把手27を設けている。また、台車14は横向きに開口しており、内部には、多数のファイルホルダ1を並べて吊懸けできる収納部28を2段設けている(収納部28は1段又は3段以上でも良い)。
【0020】
台車14の収納部28と棚ユニット13の収納部28とは基本的に同じ構造であり、この点を図1(B)及び図4、図5も参照して説明する。図1(B)は棚ユニット13の断面図、図4は棚ユニット13及び台車14における収納部28の斜視図、図5のうち (A) は棚ユニット13及び台車14における収納部28の部分断面図、 (B)は (A)の B-B視平断面図、 (C)は (A)の C-C視図である。
【0021】
例えば図4に明瞭に示すように、棚ユニット13及び台車14の収納部28は、棚ユニット13及び台車14の奥行き方向に延びる多数のハンガー29によって構成されている。これら各ハンガー29は、断面略凸形のレール部30と、レール部30の前後両端寄り部位に設けた上向き突出部31とを備えており、前後上向き突出部31の上端には頭部31aが形成されている。そして、各ハンガー29における上向き突出部31の頭部31aに、棚ユニット13及び台車14の間口方向に沿って延びるように配置した吊り棒32を貫通し、吊り棒32の両端(又は一端)にねじ込んだナット(図示せず)を締め付けることにより、各ハンガー29をずれ不能に固定している。
【0022】
ハンガー29における上向き突出部31の頭部31aは補強フレーム33に被嵌しており、補強フレーム33は仕切板34の下面に密着している。
ハンガー29における上向き突出部31の頭部31aの幅寸法よりもレール部30の幅寸法を小さい値に設定することにより、隣合ったハンガー29のレール部30間に、ファイルホルダ1の上端部が挿入される隙間を形成している。従って、例えば図5(C)に示すように、隣合ったハンガー29のレール部30によってファイルホルダ1の縁部材6が吊懸けられる。換言すると、隣合った2つのハンガー29により、一冊のファイルホルダ1が収納される単位収納部が構成される。
【0023】
図4に示すように、各ハンガー29における前部の上向き突出部31の頭部31aには、側面視L字状の張り出し板35を連接しており、この張り出し板35には縦長のスリット36を形成している。このスリット36は移載ユニット15の走行位置を制御するためのもので、移載ユニット15によって棚ユニット13にファイルホルダ1を出し入れするに際して、移載ユニット15に設けたセンサーでスリット36を検出することにより、移載ユニット15の水平走行位置を微調整する。
【0024】
図2及び図3に示すように、台車14の前後側板37には、2段の収納部28に対応して上下2段ずつ計4ケのの透光穴38を穿設している。上段の透光穴38の対及び下段の透光穴38の対はそれぞれ前後対称に配置されている。
【0025】
また、前後側板37の内面には、上下2段ずつの透光穴38に対応した上下2段ずつの反射板(反射鏡)39を装着している。上段の反射板39の対と下段の反射板39の対とはそれぞれ対称状に配置されており、光が一方の側板37の透光穴38を介して他方の側板37の反射板39に向けて平面視で傾斜方向に照射されると、その光は反射板39を入射した透光穴38に戻るように設定されている。
【0026】
前後側板37に透光穴38は反射板39とを設けているのは、1台の自動格納設備12に二つの入出庫部19があることに対応して、1台の台車14を左右いずれの入出庫部19にもセットできるようにするためである(この点は後述する)。
【0027】
図6(A)の部分斜視図に示すように、入出庫部19の奥部のうちセットされた台車14の透光穴38の近傍に位置した上下2ケ所の部位には、投光部と受光部とを備えた反射式のセンサー40を設けている。センサー40の投光部から照射された光は、台車14の透光穴38を介して反射板39に向けて進行し、ファイルホルダ1が全く収納されていない場合には、光は反射板39から透光穴38に向けて反射され、この反射光がセンサー40の受光部で検知されて、センサー40からはONの信号が発せられる。
【0028】
収納部28に1冊でもファイルホルダ1が収納されていると、センサー40から照射された光はファイルホルダ1に遮られるため、センサー40の受光部が反射光を受光することはない。すなわちセンサー40からはOFFの信号が発せられる。
【0029】
1台の自動格納設備12に左右二つの入出庫部19を設けると、台車14は、その開口面が移載ユニット15の走行路に面するようにしてセットしなければならず、このため左右の入出庫部19で台車14の進入姿勢が異なる。そこで、1台の台車14をどちらの入出庫部19にセットしてもセンサー40によってファイルホルダ1の有無を検出できるように、透光穴38と反射板39とを上段と下段とにそれぞれ対称状に設けている。
【0030】
図6(B)に示す符号41は移載ユニット15が走行する地レールである。また図7に示す符号42は台車14を入出庫部19に固定するためのストッパーで、ストッパー42で位置決めした状態で台車14をロックし、その状態で移載ユニット13による移し換えが行われる。
【0031】
図7に示すように、両センサー40は制御部43を介して操作パネル20と接続されており、上下センサー40のうち少なくとも一つがOFFの場合には、台車14を入出庫部19にセットしてから操作パネル20の入庫スタートボタンを押すと移載ユニット15が駆動される。
【0032】
なお、図示していないが、入出庫部19には台車14の入庫を検出するセンサーが設置されており、このセンサーがONになっていないと、たとえ入庫スタートのボタンを押しても移載ユニット15は駆動されない。また、台車14を入出庫部19にセットせずに誤って入庫ボタンを押しても移載ユニット15は作動しない。
【0033】
入出庫部19にセットした台車14にファイルホルダ1が全く収納されていないにも拘わらず入庫スタートボタンが押された場合には、換言すると上下センサー40が共にONの場合には、移載ユニット15は駆動されずに何らかの警告又は注意が発せられる。警告としては、スピーカー44によって警告音を発したり警告灯を点滅させたりすると共に表示盤45に例えば「台車が空です。再確認して台車をセットし直して下さい。」と表示したり、或いは、同様の内容のことをスピーカー42で音声表示したり、或いは、「台車再確認」のランプを設けておいて当該ランプを点滅させたりするなど、様々の態様を採ることができる。
【0034】
自動格納設備12から離れた場所で遠隔操作している場合には、その遠隔操作装置(パソコン)のディスプレイに表示しても良い。
このように、台車14が空であるにも拘わらず移載ユニット15が駆動されることを防止できるから、動力が無駄に消費されることを防止できると共に、ファイルホルダ1が収納された台車14をセットし直すことを迅速に行えるのである。
【0035】
入庫するつもりで台車14を入出庫部19にセットしたがその台車14が空であったために、予定を変更してその台車14に棚ユニット13からファイルホルダ1を取り出そうとする場合や、ファイルホルダ1を出庫するために空の台車14を入出庫部19にセットした後に誤って入庫スタートのボタンを押してしまったりした場合には、リセットボタンを押して入庫モードから出庫モードに変更すれば良く、これにより、出庫作業に素早く移行できる。
【0036】
なお、上下センサー40からの入力信号が共にONの場合には、入庫スタートボタンを押さなくても、台車が空である旨の注意又は出庫しかできない旨の注意を音声や文字で表示しても良い。また、ファイルホルダを棚ユニット13から出庫するに際して、ファイルホルダ1が収納されている台車14を空と勘違いして入出庫部19にセットして出庫スタートボタンを押した場合に、その台車14にファイルホルダ1が収納されている旨の警告を音声や文字等で発するように制御しても良い。
【0037】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は図示の形態に限定されるものではなく、種々の形態に具体化できる。例えばセンサーは反射式に限らず光電式でも良いし、接触式のものでも良い。また、台車自体にセンサーを設けて、その信号を有線又は無線で制御部に送信するように構成しても良い(有線送信の場合、台車を入出庫部にセットすると信号線が制御部に導通するように構成すれば良い)。
【0038】
また、収納部を台車に直接に設けることには限らず、収納部を台車の本体から取り外しできるカートリッジ式に構成しても良い。更に、ファイルホルダは図示のような形態には限らず、吊懸け式でなくとも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は自動格納設備の部分破断斜視図、 (B)は自動格納設備における棚ユニットの断面図である。
【図2】台車の斜視図である。
【図3】図2の III-III視断面図である。
【図4】台車及び棚ユニットにおける収納部の斜視図である。
【図5】台車及び棚ユニットにおける収納部の構造を示す図である。
【図6】 (A)は要部斜視図、 (B)は台車を入出庫部にセットした状態での概略平面図である。
【図7】作用を示す図である。
【図8】ファイルホルダの一例を示す斜視図である。
【図9】ファイルホルダの別例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ファイルホルダ
12 自動格納設備
13 棚ユニット
14 台車
15 移載ユニット
20 操作パネル
28 棚ユニット及び台車の収納部
37 台車の前後側板
38 透光穴
39 反射板
40 反射式センサー
Claims (2)
- 多数のファイルホルダを格納できる棚ユニットと、多数のファイルホルダを並べて収納できる搬送用の台車と、前記台車をセットするために前記棚ユニットの近傍等に設けた入出庫部と、前記入出庫部にセットされた台車と棚ユニットとの間にファイルホルダを移し換えるための移載装置と、人に警告を発する警告手段と、前記移載装置及び警告手段を制御する制御部とを備えており、
前記入出庫部又は台車に、入出庫部にセットされた台車にファイルホルダが収納されているか否かを検出するためのセンサーを設けており、入出庫部にセットされた台車にファイルホルダが全く収納されていないことをセンサーで検知した状態で入庫指示がされた場合には、前記移載装置を駆動させることなく前記警告手段による警告が発せられるように制御される、
ファイルホルダの自動格納設備。 - 前記台車の周壁のうちファイルホルダの収納部を挟んだ一側壁に透光穴を穿設し、台車の周壁のうちファイルホルダの収納部を挟んだ他側壁の内面には反射板を設ける一方、前記入出庫部には、当該入出庫部にセットされた台車の透光穴から反射板に向けて光を照射するようにした反射式の前記センサーを設けており、前記センサーは、前記反射板からの反射光の有無でファイルホルダの有無を検知するようになっている、
請求項1に記載したファイルホルダの自動格納設備。
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