JP3666522B2 - 回転体支持装置の供油構造 - Google Patents

回転体支持装置の供油構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷機、複写機、プリンタ、ファクシミリ等のOA機器や産業機械等の駆動伝達機構の回転体およびその支持軸からなる回転体支持装置に潤滑油を供給するための供油構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
OA機器や一般の産業機械の駆動伝達機構は各種型式の伝達機構を有するものからなるが、その要部は例えば図6に示すように伝達機構部を有するものからなる。即ち、装置の不動側に設けられたフレーム1aには装置の外方に向かって突出する支持軸53,54等が複数本嵌着され、夫々の支持軸53,54には、例えば回転体の1つである歯車55,56が枢着される。歯車55および歯車56は互いに噛合する。前記したように、歯車55,56は支持軸53,54に枢支されるためその摺動部位は一般に潤滑油を供給することが必要である。また、歯車55.56の噛合部位も耐摩耗性を向上するために潤滑油を供給する必要がある。
更に、特にOA機器の場合、軽量化を要するため、支持軸53,54や歯車55,56を樹脂材で形成し、場合によりガラス繊維で強化された樹脂材を使用する場合が多い。然し乍ら、従来の伝達機構部の場合は図6に示した支持軸53,54の突出端側からの潤滑油の供給は殆ど困難であり、フレーム1a側から供給せざるを得なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、従来の回転体支持装置の場合には、回転体を支持軸に装着する側(装置の外側)からの潤滑油の供給が困難であり、装置の内側から供給せざるを得ないため、供油作業が極めてやり難く、十分、且つ確実な供油ができない問題点があった。
【0004】
また、前記したように支持軸や回転体をガラス繊維入りの樹脂等で形成する場合には潤滑性が悪いため特に供油を確実に行なう必要性が高いが、供油不十分のため耐久性が低下する問題点や、異音が発生する等の問題点があった。
【0005】
更に、図6に示したように、支持軸53,54はフレーム1aに嵌着される別体のものからなり支持軸53,54の取り付け作業に多くの時間を必要とすると共に、部品点数が多く、部品管理や部品製作のための費用が嵩み、コスト高となる問題点があった。
【0006】
更に、潤滑油の供給は手動で行なわれる場合が多く、作業中に手が汚れる問題点もあった。更に、回転体の構造により、供油すべき潤滑油の種類を変える必要があるが、従来技術ではこの要請に対する特別な処置が施されていない問題点があった。
【0007】
フレームと支持軸とを一体構造とした公知技術として実開平6−28392号公報が上げられる。この「ローラ駆動伝達ギヤの支持構造」は駆動伝達ギヤが挿着されるシャフトを装置本体の内部フレームと一体成形したことを特徴とするものである。然し乍ら、この公知技術には前記シャフトと駆動伝達ギヤとの間や駆動伝達ギヤの噛合部位に対する供油構造については全く開示されていない。
【0008】
本発明は、以上の問題点を解決するもので、フレームと支持軸を一体構造にしてコスト低減を図ると共に、支持軸と回転体との間および回転体同士の係合部供に装置の外側から手を汚すことなく簡単に供油することができ、供油の確実化を図って耐摩耗性向上や異音の発生を防止して信頼性を向上し、更に、回転体の構造に対応して各種の潤滑油を間違いなく供給でき、潤滑油の混合変質等の不具合を防止し得る回転体支持装置の供油構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の回転体支持装置の供油構造は、フレームから突出して複数本配設される支持軸に夫々枢着され互いに係合して配置される回転体および前記支持軸の潤滑を行なうための供油構造であって、前記支持軸には、前記回転体の装着する側から前記フレーム側に向かう油供給用穴が穿孔され、前記回転体及び/又は支持軸には前記回転体の夫々の係合部位に潤滑油を供給すべく前記油供給用穴に連通する油供給路が形成され、前記油供給用穴に供給される潤滑油は、潤滑油供給手段を介して間接的に供油されるものであり、前記潤滑油供給手段が、前記油供給用穴に着脱可能なカートリッジ型のものからなり、該カートリッジ型の潤滑油供給手段は、前記油供給用穴に接する含油部材と該含油部材を保持すると供に前記支持軸の外周に嵌まり込み可能なキャップ部を有するものからなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の回転体支持装置の供油構造は、前記油供給路が、前記油供給用穴から前記支持軸の外周側に貫通する通路および前記回転体同士の係合部位又はその近傍と前記支持軸の外周側とを連通する通路からなることを特徴とする。
【0014】
フレームと一体構造に形成された支持軸の内部にはその突出端側からフレーム側に向かう油供給用穴が穿孔される。そのため、潤滑油は装置の外側から油供給用穴内に供給することができ供油作業は極めて容易に、且つ確実に行なわれる。油供給用穴は支持軸および回転体側に設けた油供給路に連通するため、供油を必要とする部位に潤滑油が供給される。また、粘度の低い潤滑油のように供油し難い潤滑油は例えばカートリッジ型の潤滑油供給手段により容易に、且つ手を汚す必要がなく供給される。また、支持軸内に供油された潤滑油がこぼれないように支持軸の油供給用穴の開口端はキャップにより閉止される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る回転体支持装置の供油構造の実施の形態を図面を参照して詳述する。まず、図1および図2により本発明の回転体支持装置の主要部の全体構造を説明する。装置の不動側のフレーム1には複数本の支持軸2が一体構造で突出して形成される。なお、説明の都合上支持軸2を図の左側から右側に向かって第1の支持軸2a,第2の支持軸2b,第3の支持軸2c,第4の支持軸2d,第5の支持軸2e,第6の支持軸2fとする。第1乃至第6の支持軸2a乃至2fにはその突出端側からフレーム1側に向かう底付きの油供給用穴3が夫々穿孔される。なお、油供給用穴3も第1乃至第6の支持軸2a乃至2fの符号に合わせて夫々3a乃至3fの符号を説明の都合上使用する。
【0016】
次に、第1乃至第6の支持軸2a乃至2fに装着される回転体を説明する。第1の支持軸2aには第1の回転体であるレバー4が、第2の支持軸2bには第2の回転体5が、第3の支持軸2cには第3の回転体6が、第4の支持軸2dには第4の回転体7が、第5の支持軸2eには第5の回転体8が、第6の支持軸2fには第6の回転体9が夫々枢支される。
【0017】
第2の回転体5は偏心カムからなるカム10と大歯車11からなる。一方、レバー4は第1の支持軸2aに回転可能に支持されるレバー状部材からなり、一体的に形成された係止爪12を第1の支持軸2aのU溝13に係着して第1の支持軸2aに保持される。レバー4はカム10の外周に当接するカムフォロオ部4aとその反対側に伸延して形成されるレバー部4bとからなり。レバー部4bとフレーム1側の固定ピン14との間にはスプリング15が架設され、カムフォロア部4aをカム10に常時圧接するように付勢している。
【0018】
第3の回転体6は第2の回転体5の大歯車11に噛合する小歯車16とこれと一体的に形成された中歯車17とからなり、これ等と一体的に形成された係止爪18を第3の支持軸2cのU溝19に係着して第3の支持軸2c側に保持される。また、中歯車17と小歯車16との間に形成される段部17aには大歯車11の側面が支持される。これにより大歯車11は第3の回転体6に支持される。
【0019】
第4の回転体7は中型歯車20からなり、一体的に形成された係止爪21を第4の支持軸2dのU溝22に係着して第4の支持軸2dに保持される。なお、中型歯車20は中間歯車23を介して第3の支持軸2c側の中歯車17に噛合する。また、中間歯車23はフレーム1側に固定されるモータ24に連結される。
【0020】
第5の回転体8は小型歯車25とこれと一体的に形成される大プーリ26とからなる。
【0021】
第6の回転体9は小プーリ27と係止爪28を介して小プーリ27に係着されるファン29からなる。なお、小プーリ27と第5の回転体8の大プーリ26間にはベルト30が架設される。また、ファン29はケース31により囲まれ、ケース31は係止爪32を介しフレーム1側に支持される。
【0022】
以上の構造によりモータ24を駆動すると中間歯車23を介して中歯車17および中型歯車20が回転する。中歯車17の回転は小歯車16を介し大歯車11に伝達されカム10を偏心回転させる。これにより、レバー4が揺動し、図略の揺動機構部に情報を伝達する。一方、中型歯車20の回転は小型歯車25を介し大プーリ26に伝達され、ベルト30を介して小プーリ27に回転が伝達される。これによりファン29が回転しケース31を介して送風が行なわれる。
【0023】
次に、本発明の主要部である潤滑油供給機構を説明する。第1の支持軸2aには油供給用穴3aからその外周側に抜ける油供給路33,34が形成される。油供給路33は第1の支持軸2aの外周とこれに枢着されるレバー4の内周との間に連通し、油供給路34はU溝13側に連通する。
【0024】
第2の支持軸2bには油供給用穴3bからその外周側に抜ける油供給路35,36が形成され、これ等は第2の支持軸2bの外周とこれに枢着される第2の回転体5の内周との間に連通する。また、第2の回転体5のカム10にはその内周からカム10の小径側の外面に半径方向に沿って抜ける通路37が形成される。
【0025】
図1および図3に示すように第3の支持軸2cには、油供給用穴3cからその外周側に抜ける油供給路38,39が形成される。このうち、油供給路38は第3の支持軸2cの外周とこれに枢着される第3の回転体6の内周との間に連通し、油供給路39はU溝19に連通する。また、小歯車16には小歯車16と大歯車11との噛合部と第3の支持軸2cの外周との間を連通する通路40が形成される。
【0026】
図1に示すように、第4の支持軸2dには、油供給用穴3dからその外周側に抜ける油供給路41,42が形成される。そのうち、油供給路41は第4の支持軸2dの外周とこれに枢着される第4の回転体7の内周との間に連通し、油供給路42はU溝22に連通する。
【0027】
図1に示すように、第5の支持軸2eには、油供給用穴3eからその外周側に抜ける油供給路43が形成され、油供給路43は第5の支持軸2eの外周とそれに枢着される第5の回転体8の内周に連通する。また、第5の回転体8には第5の支持軸2eの外周側から第5の回転体8の外周側に抜ける通路44が形成される。
【0028】
図1および図4に示すように、第6の支持軸2fには油供給用穴3fからその外周側に抜ける油供給路45が形成される。油供給路45は第6の支持軸2fの外周とそれに枢着される第6の回転体9との間に連通する。
【0029】
図1および図4に示すように、第6の支持軸2fの油供給用穴3fにはカートリッジ型の潤滑油供給手段46が着脱可能に挿着される。潤滑油供給手段46は比較的粘度の低い潤滑油を油供給用穴3に供給する場合に使用されるものであり、本例では第6の支持軸2fおよび第6の回転体9の潤滑がそれに相当し、それ以外の支持軸2は粘度の比較的高い潤滑油が供給される。従って、第1乃至第5の支持軸2a乃至2eの油供給用穴3a乃至3eにはその回転体等の潤滑に見合う潤滑油が直接供給され、それ等の開口部は潤滑油供給後にはキャップ47により閉止される。
【0030】
潤滑油供給手段46は、図1,図4,図5に示すように、芯金48と、芯金48を被包し潤滑油を含浸する含油部材49と、これ等を保持するキャップ部50等とからなる。なお、含油部材49の外周は第6の支持軸2fの油供給用穴3fの内径とほぼ同一寸法のものからなる。また、キャップ部50は第6の支持軸2fの開口端に嵌着可能に形成のものからなり、第6の支持軸2fの外周の溝51に係着する係着部52を内周に一体的に突出形成するものからなる。
【0031】
以上の回転体支持装置のフレーム1や各支持軸2、回転体4乃至9、ファン29およびケース31等はすべてプラスチックで形成されてもよく、金属製でもよい。また、ガラス繊維で強化したプラスチックを用いたものでもよい。
【0032】
次に、本発明の回転体支持装置の供油構造による給油作用を説明する。第1乃至第5の支持軸2a乃至2eの夫々油供給用穴3a乃至3eにはそれ等に枢着される第1乃至第5の回転体4乃至8の構造に対応した特性を有する各種の潤滑油が直接供給されて充填される。潤滑油充填後には夫々の油供給用穴3a乃至3eの開口部はキャップ47により閉止される。この場合、すべての潤滑油は第1乃至第5の支持軸2a乃至2eの突出端側、即ち、装置の外方側から供給されるため、供給作業は極めて容易であり、且つ確実の供油が行なわれる。また、夫々の油供給用穴3a乃至3eにそれに対応する潤滑油が供給されるため潤滑油の混入がなくなり、混入による油の変質等の不具合が生じない。また、供油量も必要最小限度のものが供給される。
【0033】
一方、第6の支持軸2fの油供給用穴3fには潤滑油を含浸したカートリッジ型の潤滑油供給手段46の含油部材49が挿入され嵌着される。
【0034】
夫々油供給用穴3a乃至3fに直接又は含油部材49を介して供給された潤滑油は、夫々の第1乃至第6の支持軸2a乃至2fに形成される油供給路33,34,35,36,38,39,41,42,43,45等を介し、第1乃至第6の支持軸2a乃至2fの外周とこれに枢着されるレバー4および第2乃至第6の回転体5,6,7,8,9の内周の当接部位に供給され潤滑を行なう。油供給用穴33等を通過した潤滑油は第1乃至第6の支持軸2a乃至2fの外周側に抜けるか又は前記した各通路37,40,44を通り、回転体の係合部の潤滑を行なうと共に、U溝13,19,22等に抜け、これに係着する係止爪12,18,21等の潤滑を行なう。
【0035】
図3により、更に詳しく潤滑油の供給作用を説明する。潤滑油57は油供給用穴3cに充填され、油供給路38から第3の支持軸2cの外周側に抜け第3の回転体6の内周の潤滑を行なう。また、油供給路39からの潤滑油はU溝19側に抜け係止爪18の先端を潤滑する。第3の回転体6の内面に出た潤滑油は通路40を通り、小歯車16と大歯車11の噛合部に入り、噛合部の潤滑を行なう。更に、段部17a側に流れ、そのスラスト支持面の潤滑を行なうと共に中歯車17側に流れ、その歯部の潤滑を行なう。以上により、すべての各部材の係合部位の潤滑が円滑に、且つ確実に行なわれる。
【0036】
一方、粘度の比較的低い潤滑油は潤滑油供給手段46の含油部材49に含浸されるため漏洩することはなく、図4に示すように油供給用穴45を介し第6の回転体9の当接係合部に供給される。以上により、少量の潤滑油により各部への潤滑が行なわれる。
【0037】
【発明の効果】
1)本発明の請求項1に記載の回転体支持装置の供油構造によれば、支持軸がフレームと一体的に形成され、部品点数の低減とコストダウンが図れると共に、回転体やその支持部への潤滑が回転体を挿着する側から行なわれ、フレームが光学装置を含む大型のものでもフレームの外部から簡単で、且つ確実な供油ができる。また、夫々の油供給用穴を介しての供油が行なわれるため必要、且つ十分な各種の潤滑油が混入されることなく供給される。以上により耐摩耗性の向上や異音発生が防止され信頼性の向上が図れる。そして、潤滑油の粘度,種類に応じて直接的および間接的な給油が行なわれ、潤滑油を必要とする部位に要請に見合う潤滑油を供給することができる。粘度の比較的低い潤滑油はこの潤滑油を含浸した潤滑油供給手段を介して間接的に行なわれるため、手を汚すことなく必要な潤滑油を目的の場所に供給することができる。
【0038】
2)本発明の請求項2に記載の回転体支持装置の供油構造によれば、油供給用穴と回転体やこの支持部とが油供給路および通路を介して連通され、少量の潤滑油により確実な潤滑が行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転体支持装置の全体構造を示す図2のA−A線断面図。
【図2】図2は図1のB矢視正面図。
【図3】図1における第3の回転体まわりの詳細構造を示す拡大部分断面図。
【図4】図1における第6の回転体まわりの詳細構造を示す拡大部分断面図。
【図5】図4におけるカートリッジ型の潤滑油供給手段の一例を示す斜視図。
【図6】従来の駆動伝達機構の一例の概要構造を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 フレーム
2 支持軸
3 油供給用穴
4 レバー
5 第2の回転体
6 第3の回転体
7 第4の回転体
8 第5の回転体
9 第6の回転体
10 カム
11 大歯車
12 係止爪
13 U溝
14 固定ピン
15 スプリング
16 小歯車
17 中歯車
18 係止爪
19 U溝
20 中型歯車
21 係止爪
22 U溝
23 中間歯車
24 モータ
25 小型歯車
26 大プーリ
27 小プーリ
28 係止爪
29 ファン
30 ベルト
31 ケース
32 係止爪
33、34、35、36 油供給路
37、40、44 通路
38、39、41、42、43、45 油供給路
46 潤滑油供給手段
47 キャップ
48 芯金
49 含油部材
50 キャップ部
51 溝
52 係着部
57 潤滑油

Claims (2)

  1. フレームから突出して複数本配設される支持軸に夫々枢着され互いに係合して配置される回転体および前記支持軸の潤滑を行なうための供油構造であって、前記支持軸には、前記回転体の装着する側から前記フレーム側に向かう油供給用穴が穿孔され、前記回転体及び/又は支持軸には前記回転体の夫々の係合部位に潤滑油を供給すべく前記油供給用穴に連通する油供給路が形成され、前記油供給用穴に供給される潤滑油は、潤滑油供給手段を介して間接的に供油されるものであり、前記潤滑油供給手段が、前記油供給用穴に着脱可能なカートリッジ型のものからなり、該カートリッジ型の潤滑油供給手段は、前記油供給用穴に接する含油部材と該含油部材を保持すると供に前記支持軸の外周に嵌まり込み可能なキャップ部を有するものからなることを特徴とする回転体支持装置の供油構造。
  2. 前記油供給路が、前記油供給用穴から前記支持軸の外周側に貫通する通路および前記回転体同士の係合部位又はその近傍と前記支持軸の外周側とを連通する通路からなることを特徴とする請求項1に記載の回転体支持装置の供油構造。
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