JP3666188B2 - 心機能診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシンドロームXの検出に好適な心機能診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、健康への関心が高まり、適度な運動が健康を維持するために必要とされることから、年齢を問わずジョギングをする人が増えている。しかし、走行中に胸が苦しくなって、倒れてしまうといったことがある。この症状は、シンドロームXと呼ばれ、その原因ついて各種の研究がなされている。最近、シンドロームXの原因は、運動中に心筋の内側で虚血状態に陥り酸素供給が不足することにあることが解明されつつある。
【0003】
筋肉は血液中のヘモグロビンを介して酸素の供給を受け、これを用いて収縮エネルギーを発生させる。心臓は、ある厚みを持った心筋によって収縮拡張を繰り返す。心筋はその外側から内側へ発達した冠状動脈から血液の供給を受けて、内側から外側へ絞り込むように心臓を収縮させる。この場合、筋収縮は一様に起こるのではなく、外側から内側に収縮が進行するにつれ、ゆっくりとなる。心臓が収縮した状態においては、心筋から血液が流れ出て虚血状態になり易く、しかもこの状態が比較的長く続く。このため、心臓が収縮した状態で心筋への酸素供給が不足しがちになる。特に、運動中は、酸素の腕や足の筋肉で酸素が大量に消費されるため、血液中の酸素量が低下する。したがって、運動中に心臓が収縮した状態で心筋への酸素供給が不足して、その後、心筋の動きが停止してしまうことがある。シンドロームXはこのような原因で発生すると考えられる。
【0004】
一方、心臓の動きを診断する装置として、心電計が知られている。心電計は、サイナスから検出される電気信号を増幅し、視覚的に捉えられるようにディスプレイやプロッタに心電図として表示する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シンドロームXは、上述したように心筋の内側で起こる虚血状態に起因して起こるが、この際、サイナスから心筋へ伝達される電気的な刺激は、正常に伝搬している。一方、心電計はサイナスから検出される電気信号を表示するに過ぎない。したがって、心電図からは心筋の内側で起こる異常を検知できないので、心電計を用いてシンドロームXを検知することはできなかった。
【0006】
また、シンドロームXは駆出時間が平常よりも短くなって、運動中の酸素供給量の不足により発病するのもであるが、これとは逆に、駆出時間が平常よりも長くなって、心臓発作や突然死にいたるQT延長症候群が知られている。ここで、QTとは、心電図上で、心房収縮期と心室収縮期の境界で見られるQRSの開始から、心室収縮期の終わり(T波の終わり)までの期間を意味する。QT延長症候群は、QT間隔が通常よりも長い場合に発生し易いことが知られている。したがって、QT間隔を心電計で計測することによってQT症候群の可能性を検知することができる。しかし、心電計による計測では、心臓上部の皮膚に電極を張り付ける必要があり、被験者に負担となり、さらに心電計は大型の測定機器であるため持ち運びが不便であるといった問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、シンドロームXやQT症候群といった心機能の状態を診断する心機能診断装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明にあっては、生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、前記脈波波形に基づいて、拍数を検出する拍数検出手段と、前記脈波波形に基づいて、心臓の駆出時間を検出する駆出時間検出手段と、前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評価する評価手段とを備え、前記評価手段は、前記拍数検出手段によって検出された前記拍数および前記駆出時間検出手段によって検出された前記駆出時間に基づいて、心機能の状態の連続性を判定する連続性判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて評価指標を生成する評価指標生成手段とを備え、前記判定手段は、前記拍数検出手段によって検出された前記拍数の変化が、一定範囲内にあることを検知した際に、前記駆出時間検出手段によって検出された前記駆出時間の変化率を検出する駆出時間変化率検出部と、前記駆出時間の変化率と予め定められた閾値と比較し、比較結果に基づいて心機能の状態の連続性を判定する判定部とを備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明にあっては、生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、前記脈波波形に基づいて、拍数を検出する拍数検出手段と、前記脈波波形に基づいて、心臓の駆出時間を検出する駆出時間検出手段と、前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評価する評価手段とを備え、前記評価手段は、前記拍数検出手段によって検出された前記拍数および前記駆出時間検出手段によって検出された前記駆出時間に基づいて、心機能の状態の連続性を判定する連続性判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて評価指標を生成する評価指標生成手段とを備え、前記判定手段は、前記拍数検出手段によって検出された前記拍数と前記駆出時間検出手段によって検出された前記駆出時間を乗算して、乗算結果の変化率を算出する変化率算出部と、前記乗算結果の変化率と予め定められた閾値と比較し、比較結果に基づいて心機能の状態の連続性を判定する判定部とを備えたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明にあっては、生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、前記脈波波形に基づいて、拍数を検出する拍数検出手段と、前記脈波波形に基づいて、心臓の駆出時間を検出する駆出時間検出手段と、前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評価する評価手段とを備え、前記評価手段は、拍数および駆出時間と評価指標とを対応付けて予め記憶した第1の記憶手段と、平常時に前記拍数検出手段によって検出された平常拍数および前記駆出時間検出手段によって検出された平常駆出時間に基づいて、前記第1記憶手段の内容を補正する補正手段と、前記補正手段によって補正された前記拍数および前記駆出時間と前記評価指標との関係を記憶する第2の記憶手段と、運動中に前記拍数検出手段によって検出された前記拍数および前記駆出時間検出手段によって検出された前記駆出時間に基づいて、前記第2の記憶手段から対応する評価指標を読み出す読出手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項に記載の発明にあっては、前記生体の体動を示す体動波形を検出する体動検出手段と、前記体動波形に基づいて前記脈波波形中の体動成分を生成し、前記脈波波形から前記体動成分を除去して体動除去脈波波形を生成する体動除去手段とを有し、前記拍数検出手段は、前記体動除去脈波波形に基づいて拍数を検出し、前記駆出時間検出手段は、前記体動除去脈波波形に基づいて、心臓の駆出時間を検出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項に記載の発明にあっては、前記拍数検出手段は、前記体動除去脈波波形のピークを検出し、検出された当該ピークの周期性に基づいて前記拍数を求めることを特徴とする。
【0010】
また、請求項記載の発明にあっては、前記拍数検出手段は、前記体動除去脈波波形に周波数解析を施し、当該解析結果に基づいて前記拍数を求めることを特徴とする。
【0011】
また、請求項記載の発明にあっては、前記駆出時間検出手段は、前記体動除去脈波波形の各ピークを検出し、最大ピークの次に現れるピークと最小ピーク間の時間を検出することによって前記駆出時間を検出する。
【0025】
また、請求項記載の発明にあっては、前記評価手段によって得られた評価結果を告知する告知手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
A.原理
心臓は、収縮拡張を繰り返すことによって血液を駆出しているが、1回の心拍中に心臓から血液が流れ出る時間は、駆出時間ED(Ejection Duration)と呼ばれる。この駆出時間EDが長い程、心臓から流出する一回拍出量SVが大きくなり、心筋や骨格筋に供給される酸素が多くなる。
【0027】
人が運動すると、拍数HRが大きくなり、単位時間当たりの心臓の収縮回数が増加し、心臓から送り出される血液流量が増加する。この場合、拍数HRが大きくなると駆出時間EDは短くなるが、駆出時間EDが極端に短くなると、カーディアッカアウトプットCO=HR×SVが減少し、心筋に十分酸素が供給されなくなる。シンドロームXの原因は、このような場合に心筋が虚血状態に陥ることにあると考えられる。ここで、1回拍出量SVは、動脈の血圧値と駆出時間EDの積で算出される。動脈の血圧波形形状は、厳密いえば個人差がありまた個々人の体調等によって変わるが、概略同一の形状をしている。したがって、1回拍出量SVは、駆出時間EDに依存する部分が大きい。このため、駆出時間EDと拍数HRの関係から、シンドロームXの可能性を判断することができる。
【0028】
また、運動中でなくとも精神的なストレスから拍数HRが増加し、駆出時間EDが短くなるなることが知られている。この場合にも心筋が虚血状態に陥り、シンドロームXが発生すると考えられる。
一方、QT延長症候群において、QT間隔が長くなると駆出時間EDも長くなる。したがって、駆出時間EDを計測することによって、QT延長症候群の可能性を診断することができる。
【0029】
図1は心臓の周期を示したものである。図において、SWは心電波形であり、MH1は心臓から流出する直後の大動脈血圧波形、MH2は末梢部(橈骨動脈)の一般的な脈波波形である。この図において、血液の流動に伴う時間遅れは無視してある。駆出時間EDは、厳密な意味においては、大動脈血圧波形MH1における大動脈弁開放時刻t1と大動脈弁閉鎖時刻t2の時間間隔となり、安静時において、280ms程度である。大動脈弁の閉鎖は心室の収縮によって起こるので、この時間間隔は、心室収縮期の時間(Sysolic Time)とほぼ一致する。ところで、末梢部の脈波波形MH2におけるノッチN1は、大動脈弁閉鎖によって生じるものである。このため、脈波波形MH2における最小ピークP0から最大ピークP1の直後に生じるピークP2までの時間間隔は、見積の収縮時間(Estimated Sysolic Time)と呼ばれ、駆出時間EDに相当する。
【0030】
ところで、脈波波形には個人差があり、また同一個人においても波形形状が体調等によって変化することが知られている。このため、末梢部の脈波波形MH2は、MH3に示すようにピークP1とピークP3が重なり、ノッチN1が生じない場合がある。この場合には、厳密な意味において駆出時間EDを計測するのは難しいが、ディクローティブノッチN2のタイミングが一般的な脈波波形MH2より早く現れる傾向がある。したがって、ディクローティブノッチN2におけるピークP3からピークP0までの時間間隔を駆出時間EDとして取り扱っても実用上問題はない。
【0031】
すなわち、いずれの場合においても、脈波波形MH2における最小ピークP0から最大ピークP1の直後に生じるピークP2までの時間間隔を計測することによって、駆出時間EDを求めることができる。
これらのことから、駆出時間EDは、厳密な意味での駆出時間(Ejection Duration)のみならず、心室収縮期の時間(Sysolic Time)および見積の収縮時間(Estimated Sysolic Time)を含むものとして、以下の説明を進める。
【0032】
また、駆出時間EDとQT間隔(時刻t0から時刻t2までの間隔)は、厳密には一致しない。しかし、心電波形SWにおいてT波が長くなると、駆出時間EDが長くなり、一致の程度が高くなる。ここで、QT延長症候群は、上述したようにQT間隔が長くなる場合に発病するものであるから、駆出時間EDを計測することによって、QT延長症候群の発病の可能性を検知することが可能となる。
【0033】
B.実施形態の機能構成
まず、本発明の一実施形態に係わる心機能診断装置の機能を図面を参照しつつ説明する。図2は本実施形態に係わる心機能診断装置の機能ブロック図である。図において、f1は脈波検出手段であって、脈波波形を検出する。脈波波形は、例えば、橈骨動脈を皮膚の上から押圧することによって検出される。また、f2は体動検出手段であって、体動を検出して体動波形を出力する。これにより、人が動いたことを検知できる。
【0034】
次に、f3は体動除去手段であって、体動波形に基づいて脈波波形中の体動成分を生成し、脈波波形から前記体動成分を除去して体動除去脈波波形を生成する。これにより、運動中であっても、体動の影響を受けない脈波波形を生成することが可能となる。
【0035】
次に、f4は拍数検出手段であって、体動除去脈波波形に基づいて拍数を検出する。また、f5は駆出時間検出手段であって、体動除去脈波波形に基づいて、心臓の駆出時間を検出する。また、f6は評価手段であって、拍数と駆出時間に基づいて、心機能の状態を評価する。すなわち、心機能の評価は、拍数と駆出時間から、心筋への酸素供給量の増減を推定することによって行われる。これにより、心機能の状態の一例である心筋の虚血状態を予測し、シンドロームXの可能性を検知することができる。また、QT間隔を脈波波形から計測してQT延長症候群の可能性を検知することができる。また、f7は告知手段であって、評価結果を使用者あるいは医師等の第三者に告知する。
なお、以下の説明においては、シンドロームXを診断するための心機能診断装置を中心に説明するが、これをQT延長症候群に適用できることは勿論である。
【0036】
C.第1実施形態
1.第1実施形態の構成
本発明の一実施形態に係わる心機能診断装置の構成を図面を参照しつつ説明する。
1−1:第1実施形態の外観構成
図3は第1実施形態に係わる心機能診断装置の外観構成を示す斜視図である。
図3において、本例の心機能診断装置1は、腕時計構造を有する装置本体110と、この装置本体110に接続されるケーブル120と、このケーブル120の先端側に設けられた脈波検出用センサユニット130とから大略構成されている。ケーブル120の先端側にはコネクタピース80が構成されており、このコネクタピース80は、装置本体10の6時の側に構成されているコネクタ部70に対して着脱自在である。装置本体10には、腕時計における12時方向から腕に巻きついてその6時方向で固定されるリストバンド60が設けられ、このリストバンド60によって、装置本体110は、腕に着脱自在である。脈波検出用センサユニット130は、センサ固定用バンド140によって遮光されながら人差し指の根本に装着される。このように、脈波検出用センサユニット130を指の根本に装着すると、ケーブル120が短くて済むので、ケーブル120は、ランニング中に邪魔にならない。また、掌から指先までの体温の分布を計測すると、寒いときには、指先の温度が著しく低下するのに対し、指の根本の温度は比較的低下しない。従って、指の根本に脈波検出用センサユニット130を装着すれば、寒い日に屋外でランニングしたときでも、脈拍数などを正確に計測できる。
【0037】
また、装置本体110は、樹脂製の時計ケース200(本体ケース)を備えており、この時計ケース200の表面側には、現在時刻や日付に加えて、走行時や歩行時のピッチ、および脈拍数などの脈波情報などを表示するELバックライト付きの液晶表示装置210が構成されている。また、液晶表示装置210にはシンドロームXあるいはQT症候群の兆候や危険性に代表される心機能の状態が表示されるようになっている。液晶表示装置210には、セグメント表示領域の他、ドット表示領域が構成されており、ドット表示領域では、各種の情報をグラフィック表示可能である。
【0038】
また、時計ケース200の内部には、加速度センサが130’が組み込まれており、これによって、ランニング中の腕の振りや、体の上下動によって生じる体動が検出される。また、その内部には、脈波検出用センサユニット130が計測した脈波波形MHに基づいて脈象や脈拍数の変化などを求めるとともに、それを液晶表示装置210に表示するために、各種の制御やデータ処理を行うマイクロコンピュータなどからなる制御部が構成されている。制御部には計時回路も構成されており、通常時刻、ラップタイム、スプリットタイムなども液晶表示装置210に表示できるようになっている。また、時計ケース200の外周部には、時刻合わせや表示モードの切換などの外部操作を行うためのボタンスイッチ111〜115が構成されている。
【0039】
次に、脈波検出用センサユニット130は、図4に示すようにLED32、フォトトランジスタ33などから構成される。スイッチSWがon状態となり、電源電圧が印加されると、LED32から光が照射され、血管や組織によって反射された後に、フォトトランジスタ33によって受光され、脈波信号Mが検出される。ここで、LEDの発光波長は、血液中のヘモグロビンの吸収波長ピーク付近に選ばれる。このため、受光レベルは血流量に応じて変化する。したがって、受光レベルを検出することによって、脈波波形を検出できる。
また、LED32としては、InGaN系(インジウム−ガリウム−窒素系)の青色LEDが好適である。青色LEDの発光スペクトルは、例えば450nmに発光ピークを有し、その発光波長域は、350nmから600nmまでの範囲にある。この場合には、かかる発光特性を有するLEDに対応させてフォトトランジスタ33として、GaAsP系(ガリウム−砒素−リン系)のフォトトランジスタを用いればよい。このフォトトランジスタ33の受光波長領域は、例えば、主要感度領域が300nmから600nmまでの範囲にあって、300nm以下にも感度領域がある。このような青色LEDとフォトトランジスタ33とを組み合わせると、その重なり領域である300nmから600nmまでの波長領域において、脈波が検出される。この場合には、以下の利点がある。
【0040】
まず、外光に含まれる光のうち、波長領域が700nm以下の光は、指の組織を透過しにくい傾向があるため、外光がセンサ固定用バンドで覆われていない指の部分に照射されても、指の組織を介してフォトトランジスタ33まで到達せず、検出に影響を与えない波長領域の光のみがフォトトランジスタ33に達する。一方、300nmより低波長領域の光は、皮膚表面でほとんど吸収されるので、受光波長領域を700nm以下としても、実質的な受光波長領域は、300nm〜700nmとなる。したがって、指を大掛かりに覆わなくとも、外光の影響を抑圧することができる。また、血液中のヘモグロビンは、波長が300nmから700nmまでの光に対する吸光係数が大きく、波長が880nmの光に対する吸光係数に比して数倍〜約100倍以上大きい。したがって、この例のように、ヘモグロビンの吸光特性に合わせて、吸光特性が大きい波長領域(300nmから700nm)の光を検出光として用いると、その検出値は、血量変化に応じて感度よく変化するので、血量変化に基づく脈波波形MHのS/N比を高めることができる。
【0041】
1−2:第1実施形態の電気的構成
次に、心機能診断装置の電気的構成を図5を参照して説明する。図5は心機能診断装置の電気的構成を示すブロック図である。
心機能診断装置1は、以下の部分から構成される。脈波検出用センサユニット130は脈波波形MHを検出し、体動除去部11に出力する。加速度センサ130’は、体動を加速度として検出して体動波形THを生成する。波形処理部10は、体動除去部11において体動成分を正確に除去するため、体動波形THに対して波形処理を施す。
【0042】
ここで、脈波波形MH中の体動成分をMHt、真の脈波成分(体動除去脈波波形)をMH’で表すこととすれば、MH=MHt+MH’となる。体動波形THは、腕の振りの加速度そのものとして検出されるが、血流は血管や組織の影響を受けるので、体動成分MHtは体動波形THを鈍らせたものになる。このため、波形処理部10は、ローパスフィルタで構成されている。なお、ローパスフィルタの形式や定数は、実際に測定したデータから定められる。
【0043】
体動除去部11は、脈波波形MHから波形処理部10の出力波形MHtを減算して、体動除去脈波波形MH’を生成する。体動除去脈波波形MH’は、図示せぬA/D変換器を介してデジタル信号に変換され、拍数検出部12と駆出時間検出部13に供給される。
【0044】
拍数検出部12と駆出時間検出部13は、体動除去脈波波形MH’に基づいて、拍数HRと駆出時間EDを検出する。本実施形態にあっては、体動除去脈波波形MH’の振幅レベルを解析することによって、拍数HRと駆出時間EDを求めている。
拍数検出部12と駆出時間検出部13は、体動除去脈波波形MH’の形状を特定する波形パラメータを抽出する。ここで、1拍分の体動除去脈波波形MH’が図6に示すごとき形状をしているとすれば、波形パラメータを以下のように定義する。なお、図21において縦軸は血圧であり、横軸は時間である。
▲1▼1拍に対応した脈波が立ち上がってから(以下、この立ち上がり時刻を脈波開始時刻という)次の拍に対応した脈波が立ち上がりを開始するまでの時間t6
▲2▼脈波内に順次現れる極大点P1,極小点P2,極大点P3,極小点P4および極大点P5の血圧値y1〜y5
▲3▼脈波開始時刻以後、上記各点P1〜P5が現れるまでの経過時間t1〜t5
【0045】
拍数検出部12と駆出時間検出部13は、波形パラメータを算出するために、上記極大点或いは極小点について、これら各点に関連した「ピーク情報」と呼ばれる情報を抽出する。なお、ピーク情報の詳細についてはその内容が脈象判定部の構成,動作に関連するため、回路の構成を説明した時点でピーク情報の詳細に言及する。
【0046】
図7は拍数検出部12と駆出時間検出部13の構成を示すブロック図である。図において181はマイクロコンピュータであって、各構成部分を制御する。184はRAMによって構成される波形メモリであり、体動除去脈波波形MH’の波形値Wを順次記憶する。191は波形値アドレスカウンタであり、マイクロコンピュータ181から波形採取指示STARTが出力されている期間、サンプリングクロックφをカウントし、そのカウント結果を波形値Wを書き込むべき波形値アドレスADR1として出力する。この波形値アドレスADR1はマイクロコンピュータ181により監視される。
【0047】
192はセレクタであり、マイクロコンピュータ181からセレクト信号S1が出力されていない場合、波形値アドレスカウンタ191が出力する波形値アドレスADR1を選択して波形メモリ184のアドレス入力端へ供給する。一方、マイクロコンピュータ181からセレクト信号S1が出力されている場合、マイクロコンピュータ181が出力する読み出しアドレスADR4を選択して波形メモリ184のアドレス入力端へ供給する。
また、体動除去脈波波形MH’は、A/D変換器182とローパスフィルタ183を介して波形メモリ183に取り込まれる。
【0048】
201は微分回路であり、ローパスフィルタ183から順次出力される波形値Wの時間微分を演算して出力する。
202は零クロス検出回路であり、波形値Wが極大値または極小値となることにより波形値Wの時間微分が0となった場合に零クロス検出パルスZを出力する。さらに詳述すると、零クロス検出回路202は、図6に例示する脈波の波形においてピーク点P1,P2,…,を検出するために設けられた回路であり、これらのピーク点に対応した波形値Wが入力された場合に零クロス検出パルスZを出力する。
【0049】
203はピークアドレスカウンタであり、マイクロコンピュータ181から波形採取指示STARTが出力されている期間、零クロス検出パルスZをカウントし、そのカウント結果をピークアドレスADR2として出力する。
204は移動平均算出回路であり、現時点までに微分回路201から出力された過去所定個数分の波形値Wの時間微分値の平均値を算出し、その結果を現時点に至るまでの脈波の傾斜を表す傾斜情報SLPとして出力する。
【0050】
205は次に述べるピーク情報を記憶するために設けられたピーク情報メモリである。ここで、以下にピーク情報の詳細について説明する。すなわち、図9に示すピーク情報の内容の詳細は以下に列挙する通りである。
▲1▼波形値アドレスADR1
ローパスフィルタ183から出力される波形値Wが極大値または極小値となった時点で波形値アドレスカウンタ191から出力されている書き込みアドレスである。換言すれば、極大値または極小値に相当する波形値Wの波形メモリ184における書き込みアドレスである。
▲2▼ピーク種別B/T
上記波形値アドレスADR1に書き込まれた波形値Wが極大値T(Top)であるか極小値B(Bottom)であるかを示す情報である。
▲3▼波形値W
上記極大値または極小値に相当する波形値である。
▲4▼ストローク情報STRK
直前のピーク値から当該ピーク値に至るまでの波形値の変化分である。
▲5▼傾斜情報SLP
当該ピーク値に至るまでの過去所定個数分の波形値の時間微分の平均値である。
【0051】
次に、マイクロコンピュータ181の制御下における拍数検出部12と駆出時間検出部13の動作を説明する。
【0052】
(a)波形およびそのピーク情報の採取
マイクロコンピュータ181により波形採取指示STARTが出力されると、波形値アドレスカウンタ191およびピークアドレスカウンタ203のリセットが解除される。
この結果、波形値アドレスカウンタ191によりサンプリングクロックφのカウントが開始され、そのカウント値が波形値アドレスADR1としてセレクタ192を介して波形メモリ184に供給される。そして、人体から検出された脈波信号がA/D変換器182に入力され、サンプリングクロックφに従ってデジタル信号に順次変換され、ローパスフィルタ183を介し波形値Wとして順次出力される。このようにして出力された波形値Wは、波形メモリ184に順次供給され、その時点において波形値アドレスADR1によって指定される記憶領域に書込まれる。以上の動作により、図8に例示する脈波波形に対応した一連の波形値Wが波形メモリ184に蓄積される。
【0053】
一方、上記動作と並行して、ピーク情報の検出およびピーク情報メモリ205への書込みが、以下に説明するようにして行われる。
まず、体動除去脈波波形MH’の波形値Wの時間微分が微分回路201によって演算され、この時間微分が零クロス検出回路202および移動平均算出回路204に入力される。移動平均算出回路204は、このようにして波形値Wの時間微分値が供給される毎に過去所定個数の時間微分値の平均値(すなわち、移動平均値)を演算し、演算結果を傾斜情報SLPとして出力する。ここで、波形値Wが上昇中もしくは上昇を終えて極大状態となっている場合は傾斜情報SLPとして正の値が出力され、下降中もしくは下降を終えて極小状態となっている場合は傾斜情報SLPとして負の値が出力される。
【0054】
そして、例えば図8に示す極大点P1に対応した波形値Wがローパスフィルタ183から出力されると、時間微分として0が微分回路201から出力され、零クロス検出回路202から零クロス検出パルスZが出力される。
この結果、マイクロコンピュータ181により、その時点における波形値アドレスカウンタ191のカウント値である波形アドレスADR1,波形値W,ピークアドレスカウンタのカウント値であるピークアドレスADR2(この場合、ADR2=0)および傾斜情報SLPが取り込まれる。また、零クロス検出パルスZが出力されることによってピークアドレスカウンタ203のカウント値ADR2が1になる。
【0055】
一方、マイクロコンピュータ181は、取り込んだ傾斜情報SLPの符号に基づいてピーク種別B/Tを作成する。この場合のように極大値P1の波形値Wが出力されている時にはその時点において正の傾斜情報が出力されているので、マイクロコンピュータ181はピーク情報B/Tの値を極大値に対応したものとする。そしてマイクロコンピュータ181は、ピークアドレスカウンタ203から取り込んだピークアドレスADR2(この場合、ADR2=0)をそのまま書込アドレスADR3として指定し、波形値W,この波形値Wに対応した波形アドレスADR1,ピーク種別B/T,傾斜情報SLPを第1回目のピーク情報としてピーク情報メモリ205に書き込む。なお、第1回目のピーク情報の書き込みの場合は、直前のピーク情報がないためストローク情報STRKの作成および書き込みは行わない。
【0056】
その後、図8に示す極小点P2に対応した波形値Wがローパスフィルタ183から出力されると、上述と同様に零クロス検出パルスZが出力され、書込アドレスADR1,波形値W,ピークアドレスADR2(=1),傾斜情報SLP(<0)がマイクロコンピュータ181により取り込まれる。
そして、上記と同様、マイクロコンピュータ181により、傾斜情報SLPに基づいてピーク種別B/T(この場合、”B”)が決定される。また、マイクロコンピュータ181によりピークアドレスADR2よりも1だけ小さいアドレスが読み出しアドレスADR3としてピーク情報メモリ205に供給され、第1回目に書き込まれた波形値Wが読み出される。そして、マイクロコンピュータ181により、ローパスフィルタ183から今回取り込んだ波形値Wとピーク情報メモリ205から読み出した第1回目の波形値Wとの差分が演算され、ストローク情報STRKが求められる。このようにして求められたピーク種別B/T,ストローク情報STRKが他の情報,すなわち波形値アドレスADR1,波形値W,傾斜情報SLP,と共に第2回目のピーク情報としてピーク情報メモリ205のピークアドレスADR3=1に対応した記憶領域に書き込まれる。以後、ピーク点P3,P4,…,が検出された場合も同様の動作が行われる。
そして所定のタイミングで、マイクロコンピュータ181により波形採取指示STARTの出力が停止され、波形値Wおよびピーク情報の採取が終了する。
【0057】
(b)脈波波形の分割処理
ピーク情報メモリ205に記憶された各種情報のうち、波形パラメータの採取を行う1拍分の波形に対応した情報を特定するための処理がマイクロコンピュータ181により行われる。
まず、ピーク情報メモリ205から各ピーク点P1,P2,…,に対応した傾斜情報SLPおよびストローク情報STRKが順次読み出される。次いで、各ストローク情報STRKの中から正の傾斜に対応したストローク情報(すなわち、対応する傾斜情報SLPが正の値となっているもの)が選択され、これらのストローク情報の中からさらに値の大きなもの上位所定個数が選択される。そして、選択されたストローク情報STRKの中から中央値に相当するものが選択され、波形パラメータの抽出を行うべき1拍分の脈波の立ち上がり部(例えば図27において符号STRKMによって示した立ち上がり部)のストローク情報が求められる。そして、当該ストローク情報のピークアドレスよりも1だけ前のピークアドレス(すなわち、波形パラメータの抽出を行うべき1拍分の脈波の開始点P6のピークアドレス)が求められる。
このようにして一拍分の波形が特定されると、図6に示す時間t6が算出される。
【0058】
(c)波形パラメータの抽出
マイクロコンピュータ181は、ピーク情報メモリ205に記憶された上記1拍分の脈波に対応した各ピーク情報を参照して各波形パラメータを算出する。この処理は例えば次のようにして求められる。
▲1▼血圧値y1〜y5
ピーク点P6〜P11に対応する波形値をそれぞれy0〜y5とする。
▲2▼時間t1
ピーク点P7に対応する波形アドレスからピーク点P6に対応する波形アドレスを差し引き、その結果に対してサンプリングクロックφの周期を乗じてt1 を算出する。
▲3▼時間t2〜t6
上記t1と同様、対応する各ピーク点間の波形アドレス差に基づいて演算する。
そして、以上のようにして得られた各波形パラメータはマイクロコンピュータ181内部のバッファメモリに蓄積される。
【0059】
(d)波形パラメータに基づく拍数の算出
時間t6は一拍分の時間である。マイクロコンピュータ181は、時間t6に基づいて60/t6を算出し、拍数HRを求める。
【0060】
(e)波形パラメータに基づく駆出時間の算出
マイクロコンピュータ181は、その内部のバッファメモリにアクセスし、波形パラメータに基づいて1心拍中の最小ピークPminと最大ピークPmaxを特定する。例えば、図6に示す波形にあっては、P0が最小ピークPminにP1が最大ピークPmaxとして特定される。
次に、最大ピークPmaxの直後に表れる負のピーク(ノッチ)を特定する。例えば、図6に示す波形にあっては、P2が負のピークとして特定される。そして、そして、最小ピークPminと負のピークの時間間隔を駆出時間EDとして算出する。例えば、図6に示す波形にあっては、時間t2が駆出時間EDとして出力される。
このようにして、拍数HRと駆出時間EDが算出される。
【0061】
次に、図5に示す診断テーブル14はメモリによって構成されており、そこには、拍数HRおよび駆出時間EDに対応付けられた評価指標Xが予め記憶されている。評価指標Xは、例えば、3段階に分かれており、X1は「正常」を意味し、X2は「シンドロームXの兆候が認められる」ことを意味し、X3は「シンドロームXが発生する可能性が極めて高く危険な状態にある」ことを意味する。
また、QT延長症候群を診断する場合にあっては、さらにX4,X5を加え、X4は「QT延長症候群の兆候が認められる」ことを指示し、X5は「QT延長症候群が発生する可能性が極めて高く危険な状態にある」ことを指示するものとすればよい。
【0062】
図10は診断テーブル14に記憶されている評価指標Xと駆出時間EDおよび拍数HRの関係を示したものである。図において、曲線Kは、正常な人の拍数HRと駆出時間EDの関係を示したものであり、拍数HRが増加するにつれ、駆出時間EDが短くなっている。シンドロームXは、上述したように心筋への酸素供給量が減少し、心筋が虚血状態に陥ることによって生じる。このため、曲線Kと原点で囲まれた部分は、シンドロームXが発生する可能性がある。しかし、平常値から多少ずれたとしても、シンドロームXが発生するとは限らない。そこで、曲線Lと曲線Mで囲まれた部分x2では評価指標X2を、曲線Mと原点で囲まれた部分では評価指標X3を生成できるように、診断テーブル14は構成されている。また、これら以外の部分(曲線Lより上方)にあっては、評価指標X1が生成される。すなわち、曲線Lは、「正常である」か「シンドロームXの兆候が認められる」かを判別できるように定められた境界であり、曲線Mは「シンドロームXの兆候が認められる」か「シンドロームXが発生する可能性が極めて高く危険な状態にある」かを判別できるように定められた境界である。これらの境界については、多数の実測したデータから求められる。
なお、QT延長症候群を診断する場合にあっては、曲線Kよりも駆出時間EDが長くなる方向に曲線Oと曲線Pを加えればよい。この場合、曲線Oは「正常である」か「QT延長症候群の兆候が認められる」かを判別できるように定められる境界であり、曲線Mは「QT延長症候群の兆候が認められる」か「QT延長症候群が発生する可能性が極めて高く危険な状態にある」かを判別できるように定められる境界である。
【0063】
次に、図5に示す表示部15は、上述した液晶表示装置210等で構成され、評価指標Xに対応する文字、記号、アイコン等を表示する。例えば、評価指標X1では「正常」と表示し、評価指標X2(X4)では「注意」と表示し、評価指標X3(X5)では「危険」と表示する。これにより、利用者は、ランニング等の運動中にシンドロームXやQT延長症候群が発生する可能性を知ることができる。
【0064】
D.第2実施形態
次に第2実施形態に係わる心機能診断装置を説明する。
1.第2実施形態の構成
図11は、第2実施形態に係わる心機能診断装置1のブロック図である。第2実施形態は、第1実施形態と同様に加速度センサ130’と波形処理部10を用いて体動成分MHtを検出するが、第1実施形態で説明した体動除去、拍数および駆出時間の検出をウエーブレット変換を用いて行う点で相違する。なお、第2実施形態の外観構成は、図2に示す第1実施形態の外観構成と同一である。
【0065】
1−1.第1,第2のウエーブレット変換部および第1,第2の周波数補正部
図11において、16は第1のウエーブレット変換部であって、脈波検出用センサユニット130から出力される脈波波形MHに対して周知のウエーブレット変換を施して、脈波解析データMKDを生成する。また、18は第2のウエーブレット変換部であって、加速度センサ130’から出力される体動波形MHtに対して周知のウエーブレット変換を施して、体動解析データTKDを生成する。
【0066】
一般に、信号を時間と周波数の両面から同時に捉える時間周波数解析において、ウエーブレットは信号の部分を切り出す単位となる。ウエーブレット変換は、この単位で切り出した信号各部の大きさを表している。ウエーブレット変換を定義するために基底関数として、時間的にも周波数的にも局在化した関数ψ(x)をマザー・ウエーブレットとして導入する。ここで、関数f(x)のマザー・ウエーブレットψ(x)によるウエーブレット変換は次のように定義される。
【数1】
Figure 0003666188
【0067】
数1においてbは、マザー・ウエーブレットψ(x)をトランスレート(平行移動)する際に用いるパラメータであり、一方、aはスケール(伸縮)する際のパラメータである。したがって、数1においてウエーブレットψ((x−b)/a)は、マザー・ウエーブレットψ(x)をbだけ平行移動し、aだけ伸縮したものである。この場合、スケールパラメータaに対応してマザー・ウエーブレットψ(x)の幅は伸長されるので、1/aは周波数に対応するものとなる。なお、詳細な構成については後述する。
【0068】
次に、17は第1の周波数補正部であって脈波解析データMKDに対して周波数補正を行う。上記した数1には周波数に対応する「1/a1/2」の項があるが、異なる周波数領域間でデータを比較する場合には、この項の影響を補正する必要がある。第1の周波数補正部17はこのために設けられたものであり、ウエーブレットデータWDに係数a1/2を乗算して、脈波補正データMKD’を生成する。これにより、対応する各周波数に基づいて、周波数当たりのパワー密度が一定になるように補正を施すことができる。また、19は第2の周波数補正部であって、第1の周波数補正部17と同様に、周波数補正を施し、体動解析データTKDから体動補正データTKD’を生成する。
【0069】
ここで、第1のウエーブレット変換部16の構成を図12を用いて詳細に説明する。なお、第2のウエーブレット変換部18は第1のウエーブレット変換部16と同様に構成されているので、説明を省略する。
脈波波形MHはA/D変換器によって、脈波データMDに変換されて、第1のウエーブレット変換部16に供給されるようになっている。
この第1のウエーブレット変換部16は、上記した数1の演算処理を行う構成であって、クロックCKが供給され、クロック周期で演算処理が行われるようになっており、マザー・ウエーブレットψ(x)を記憶する基底関数記憶部W1、スケールパラメータaを変換するスケール変換部W2、バッファメモリW3、トランスレートを行う平行移動部W4および乗算部W5から構成される。なお、基底関数記憶部W1に記憶するマザー・ウエーブレットψ(x)としては、ガボールウエーブレットの他、メキシカンハット、Haarウエーブレット、Meyerウエーブレット、Shannonウエーブレット等が適用できる。
【0070】
まず、基底関数記憶部W1からマザー・ウエーブレットψ(x)が読み出されると、スケール変換部W2はスケールパラメータaの変換を行う。ここで、スケールパラメータaは周期に対応するものであるから、aが大きくなると、マザー・ウエーブレットψ(x)は時間軸上で伸長される。この場合、基底関数記憶部W1に記憶されるマザー・ウエーブレットψ(x)のデータ量は一定であるので、aが大きくなると単位時間当たりのデータ量が減少してしまう。スケール変換部W2は、これを補うように補間処理を行うとともに、aが小さくなると間引き処理を行って、関数ψ(x/a)を生成する。このデータはバッファメモリW3に一旦格納される。
【0071】
次に、平行移動部W4はバッファメモリW3からトランスレートパラメータbに応じたタイミングで関数ψ(x/a)を読み出すことにより、関数ψ(x/a)の平行移動を行い関数ψ(x−b/a)を生成する。
【0072】
次に、乗算部W4は、変数1/a1/2、関数ψ(x−b/a)および脈波データMDを乗算して心拍単位でウエーブレット変換を行い、脈波解析データMKDを生成する。この例において、脈波解析データMKDは、0Hz〜0.5Hz、0.5Hz〜1.0Hz、1.0Hz〜1.5Hz、1.5Hz〜2.0Hz、2.0Hz〜2.5Hz、2.5Hz〜3.0Hz、3.0Hz〜3.5Hz、3.5Hz〜4.0Hzといった周波数領域に分割されて出力される。
図13は、脈波波形MHの一部の期間について、脈波解析データMKDを示したものである。この図において、期間TはピークP2の近傍にあり、脈波解析データMKDは、期間Tを8分割した時間間隔で得られる。ところで、ウエーブレット変換においては、周波数分解能と時間分解能はトレードオフの関係にあるので、周波数分解能を犠牲にすれば、より短い時間間隔で脈波解析データを得ることもできる。
このようにして、生成された脈波解析データMKDと体動解析データTKDは、第1,第2の周波数補正部17,19によって周波数補正が施され、脈波補正データMKD’、体動補正データTKD’として出力される。
【0073】
1−2.体動除去部
次に、体動除去部11は、脈波補正データMKD’から体動補正データTKD’を減算して体動除去脈波データMKD’’を生成する。この点について、具体的に説明する。なお、以下の説明では、使用者が手でコップを持ち上げた後、これを元の位置に戻した場合を想定する。この場合、図14(a)に示す脈波波形MHが脈波検出用センサユニット130によって検出され、また、同時に図16(b)に示す体動波形MHtが波形処理部10によって検出されたものとする。
【0074】
ここで、体動波形MHtは、時刻T1から増加しはじめ、時刻T2で正のピークとなり、その後、次第に減少して時刻T2でレベル0を通過し、時刻T3で負のピークに達し、時刻T4でレベル0に戻っている。ところで、体動波形THは加速度センサ21によって検出されるため、時刻T3は使用者がコップを最大に持ち上げた時刻に対応し、時刻T1は持上開始時刻に対応し、また、時刻T4は持上終了時刻に対応する。したがって、時刻T1から時刻T4までの期間が体動が存在する期間となる。なお、図14(c)は仮に体動がなかったとした場合の脈波波形MH’である。また、この例において、脈波波形MHの基本波周波数は、1.3Hzとなっている。
【0075】
ここで、図15に期間Tc(図14参照)における脈波補正データMKD’を示し、図16に期間Tcにおける体動補正データTKD’を示す。この図から、体動波形THには、0.0Hz〜1.0Hzの周波数領域において比較的大きなレベルの周波数成分が存在していることが判る。脈波補正データMKD’と体動補正データTKD’が、体動除去部11に供給されると、体動除去部11は、脈波補正データMKD’から体動補正データTKD’を減算して、図17に示す体動成分が除去された体動除去脈波データMKD''を生成する。これにより、体動がある場合でもその影響をキャンセルすることが可能となる。
【0076】
1−3.拍数検出部
拍数検出部12は、体動除去脈波データMKD''に基づいて拍数を算出する。この場合、拍数検出部12は、体動除去脈波データMKD''に基づいて1拍中の最大ピークPmaxを特定する。脈波波形MH’の最大ピークPmaxでは、高域周波数成分が大きくなるので、予め高域周波数成分に対応する閾値を定めておき、体動除去脈波データMKD''と閾値を比較して最大ピークPmaxを特定する。そして、ある最大ピークPmaxと次の最大ピークPmax間の時間間隔Tを求め、60/Tから拍数HRを算出する。
【0077】
1−4.駆出時間検出部
駆出時間検出部13は、体動除去脈波データMKD''に基づいて最小ピークPminと最大ピークPmaxの直後に表れるピークP2(ノッチ)を特定する。この場合には、最小ピークPminに対応する周波数成分とピークP1に対応する周波数成分を閾値として予め記憶しておき、これらの閾値と体動除去脈波データMKD''を比較することによって、最小ピークPminとピークP2を特定し、それらの間の時間間隔を駆出時間EDとして算出する。
【0078】
1−5.診断テーブルおよび表示部
診断テーブル14および表示部15は、第1実施形態と同様に構成されている。
したがって、拍数HRと駆出時間EDに基づいて評価指標Xが生成され、評価結果が表示部15に表示される。
【0079】
E.第3実施形態
上述した第2実施形態は、ウエーブレット変換によって周波数解析を行うために、第1のウエーブレット変換部16、第1の周波数補正部17、第2のウエーブレット変換部18、第2の周波数補正部19を用いた。これに対して、第3実施形態は、第2のウエーブレット変換部18、第2の周波数補正部19を省略する点で、第2実施形態と相違する。
【0080】
第3実施形態に係わる脈波診断装置の外観構成は、図3に示す第1実施形態の外観構成と同様であるのでここでは説明を省略し、その電気的構成について説明する。図18は、第3実施形態に係わる心機能診断装置のブロック図である。図において、体動除去部11が体動成分が除去された体動除去脈波波形MH’を生成すると、第1のウエーブレット変換部16は、体動除去脈波波形MH’にウエーブレット変換を施す。第1の周波数補正部17は第1のウエーブレット変換部16の出力に周波数補正を施して、体動除去脈波データMKD''を生成する。この場合、第1の周波数補正部17の出力は、図11に示す体動除去部11の出力と等価である。
【0081】
すなわち、ウエーブレット変換は線形であるから、処理の順番を入れ替えても良いため、体動除去をアナログ信号で行った後にウエーブレット変換することと(第3実施形態)、ウエーブレット変換された脈波補正データMKD’と体動補正データTKD’に基づいて体動除去を行うことは(第2実施形態)、等価だからである。
なお、拍数検出部12、駆出時間検出部13、診断テーブル14および表示部15は、第2実施形態と同様であるから、説明を省略する。
【0082】
このように、第3実施形態にあっては、第2のウエーブレット変換部18、第2の周波数補正部19を省略しても、拍数HRと駆出時間EDを算出することができるので、より簡易な構成でシンドロームXに代表される心機能の状態を診断することができる。
【0083】
F.第4実施形態
第1〜第3実施形態においては、加速度センサ130によって体動波形THを検出し、脈波波形MHと体動波形THとを比較して、脈波波形MHの周波数成分に含まれている体動成分をキャンセルして、拍数HRと駆出時間EDを算出し、これらに基づいて心機能の状態を診断した。しかし、加速度センサ130および波形処理部10等が必要になるので、構成が複雑なる。第4実施形態は、この点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、体動があっても正確に心機能の状態を診断することができる脈波診断装置を提供するものである。
【0084】
第4実施形態に係わる脈波診断装置の外観構成は、図3に示す第1実施形態の外観構成と同様であるのでここでは説明を省略し、その電気的構成について説明する。図19は第4実施形態に係わる心機能診断装置のブロック図であり、加速度センサ130、波形処理部10、第2のウエーブレット変換部18、および第2の周波数補正部19が省略されている点および体動除去部11の内部構成を除いて、図11に示す第2実施形態に係わる心機能診断装置と同じである。以下、相違点について説明する。
体動除去部11は、脈波補正データMKD’から体動成分を分離除去して体動分離脈波データTBDを生成する。ここで、体動除去部11は、以下に述べる体動の性質を利用している。
【0085】
体動は、腕の上下動や走行時の腕の振り等によって生じるが、日常生活においては、人体を瞬間的に動かすことはほとんどない。このため、日常生活では、体動波形THの周波数成分はそれほど高くなく、0Hz〜1Hzの範囲にあるのが通常である。この場合、脈波波形MHの基本波周波数は、1Hz〜2Hzの範囲にあることが多い。したがって、日常生活において、体動波形THの周波数成分は脈波波形MHの基本波周波数よりも低い周波数領域にある。
【0086】
一方、ジョギング等のスポーツ中にあっては、腕の振り等の影響があるため、体動波形THの周波数成分が幾分高くなるが、運動量に応じて心拍数が増加するため、脈波波形MHの基本波周波数も同時に高くなる。このため、スポーツ中においても、体動波形THの周波数成分は脈波波形MHの基本波周波数よりも低い周波数領域にあるのが通常である。
【0087】
体動除去部11は、この点に着目して体動成分を分離するものであり、脈波波形MHの基本波成分よりも低い周波数領域を無視するように構成されている。この場合には、脈波波形MHの基本波成分より高い周波数領域に体動成分が存在すると心機能の検出精度が低下する。しかしながら、上述したように体動成分は脈波波形MHの基本波成分よりも低い周波数領域にある確率が高いので、高い精度で心機能の状態を診断することができる。
【0088】
図20は、体動除去部11の詳細なブロック図である。波形整形部301は脈波波形MHに波形整形を施して、脈波波形MHと同期したリセットパルスを生成する。カウンタ302は図示せぬクロックパルスを計数し、前記リセットパルスによってカウント値がリセットされるようになっている。また、平均値算出回路303は、カウンタ302のカウント値の平均値を算出する。この場合、平均値算出回路303によって算出される平均値は、脈波波形MHの平均周期に対応する。したがって、平均値を参照すれば、脈波波形MHの基本波周波数を検知できる。
【0089】
次に、置換回路304は、前記平均値に基づいて、脈波波形MHの基本波周波数を含む周波数領域を特定する。例えば、前記平均値が0.71秒を示す場合には、基本波周波数は1.4Hzとなるので、特定される周波数領域は1Hz〜1.5Hzとなる。この後、置換回路304は、特定周波数領域未満の周波数領域について、脈波補正データMKD’を「0」に置換して体動分離脈波データTBDを生成する。これにより、脈波波形MHの基本波周波数より低い周波数領域の成分は、無視される。この場合、体動成分とともに脈波成分も「0」に置換されてしまうが、脈波波形MHの特徴的な部分は基本波周波数よりも高域の周波数領域に存在するため、「0」に置換しても脈象の判定には影響をほとんど与えない。
【0090】
例えば、脈波検出用センサユニット130によって、図14(a)に示す脈波波形MH(基本波周波数1.3Hz)が検出されたものとすれば、期間Tcの脈波補正データMKD’は、図15に示すものとなる。
この場合、置換回路194によって特定される周波数領域は1.0Hz〜1.5Hzとなるので、置換の対象となる周波数領域は、0.5Hz〜1.0Hzに対応するMa12〜Ma82と0Hz〜0.5Hzに対応するMa11〜Ma81となる。したがって、脈波補正データMKD’のデータMa12〜Ma82,Ma11〜Ma81は「0」に置換され、図21に示す体動除去脈波データMKD’’が生成される。
こうして生成された体動除去脈波データMKD’’に基づいて、図19に示す拍数検出部12と駆出時間検出部13は拍数HRと駆出時間EDを検出する。この後、診断テーブル14が拍数HRと駆出時間EDに基づいて評価指標Xを生成すると、表示部15は評価指標Xを表示する。
【0091】
このように第4実施形態によれば、体動成分は脈波波形MHの基本波周波数成分よりも低い周波数領域に存在することが確率的に高いという体動の性質を巧みに利用して体動成分を除去した。このため、第1〜第3実施形態で必要とされた加速度センサ130や波形処理部10といった構成を省略することができ、しかも体動がある場合でも正確に心機能の状態を診断することが可能となる。
【0092】
G.第5実施形態
第1〜第4実施形態は、拍数HRと駆出時間EDに基づいて、評価指標Xを算出したが、第5実施形態は拍数HRと駆出時間EDの連続性に基づいて、評価指標Xを算出するものである。
【0093】
第5実施形態に係わる心機能診断装置において、拍数検出部12および駆出時間検出部13までの構成は、第1〜第4実施形態の構成と各々同一である。図22は、第5実施形態に係わる心機能診断装置の主要部の構成を示すブロック図である。図に示すように、心機能診断装置は、連続性判定部20と表示部15を備えている。連続性判定部20は、拍数HRおよび駆出時間EDに基づいて心機能の連続性を判定し、判定結果に基づいて評価指標Xを生成する。連続性判定部20の具体的な構成については、以下に述べる2つの態様がある。
【0094】
(1)第1の態様
図23は、連続性判定部20の構成の一例を示すブロック図である。この例における連続性判定部20は、拍数判定部210、駆出時間変化率検出部211、および評価指標生成部212から構成される。まず、拍数判定部210は、現在の拍数HRと直前の拍数HRが一定範囲内(例えば、5拍)にあるか、否かを判定する。そして、この範囲内にある場合にのみ、連続性の判定を行う指令を駆出時間変化率検出部211に供給する。一方、拍数HRが一定の範囲内ない場合には、上記指令が駆出時間変化率検出部211に供給されない。ここで、駆出時間変化率検出部211は、上記指令を受け取った場合にのみ動作するようになっている。
【0095】
次に、駆出時間変化率検出部211は、現在の駆出時間EDと直前の駆出時間EDの変化率ED’を算出する。評価指標生成部212は変化率ED’に基づいて、評価指標Xを生成する。例えば、変化率EDが、−5%以上であれば評価指標X1を、−5%〜−10%であれば評価指標X2を、−10%以下であれば評価指標X3を生成する。ここで、評価指標は、第1実施形態と同様にX1は「正常」を、X2は「シンドロームXの兆候が認められる」を、X3は「シンドロームXが発生する可能性が極めて高く危険な状態にある」ことを意味する。
【0096】
第1の態様にあっては、拍数HRの変化が一定範囲内にある場合に駆出時間の変化率EDに基づいて心機能の連続性を判定するようにした。これは、拍数HRの変化が一定範囲内にある場合には、駆出時間EDはそれほど変化しないのが通常であり、変化率が大きい場合には、心筋が虚血状態に陥ったと考えられるからである。
【0097】
(2)第2の態様
図24は、連続性判定部20の構成の他の例を示すブロック図である。この例における連続性判定部20は、乗算部220、拍数駆出時間変化率検出部221、および評価指標生成部222から構成される。まず、乗算部220は、拍数HRと駆出時間EDの乗算を行って乗算結果HEを出力する。次に、拍数駆出時間変化率検出部221は、現在の乗算結果HEと直前の乗算結果HEに基づいて、拍数HRと駆出時間EDの積の変化率HE’を算出する。評価指標生成部222は変化率ED’に基づいて、評価指標Xを生成する。例えば、変化率HE’が、−5%以上であれば評価指標X1を、−5%〜−10%であれば評価指標X2を、−10%以下であれば評価指標X3を生成する。ここで、評価指標は、第1実施形態と同様に定められている。
【0098】
第2の態様にあっては、拍数HRと駆出時間EDとの積の変化率HE’に基づいて、評価指標Xを生成した。この場合の乗算結果HEは、近似的にカーディアッカアウトプットCOを表しているから、第2の態様は、カーディアッカアウトプットCOの変化率に基づいて評価指標Xを生成しているといえる。
【0099】
このように第5実施形態にあっては、拍数HRと駆出時間EDの連続性に基づいて、評価指標Xを算出するから、心機能の状態を診断することができる。
【0100】
H.第6実施形態
第1〜第4実施形態は、拍数HRと駆出時間EDに基づいて、予め定められた診断テーブル14を参照して評価指標Xを算出したが、第6実施形態は平常時の拍数HRと駆出時間EDを計測することにより、診断テーブル15の補正を行うものである。
【0101】
第6実施形態に係わる心機能診断装置において、拍数検出部12および駆出時間検出部13までの構成は、第1〜第4実施形態の構成と各々同一である。 図25は、第6実施形態に係わる心機能診断装置の主要部の構成を示すブロック図である。図に示すように、心機能診断装置の主要部は、診断テーブル14、補正部21、補正済診断テーブル22、および表示部15から構成される。なお、診断テーブル14と表示部15は、第1〜第4実施形態の構成と各々同一である。
【0102】
まず、補正部21は、診断テーブル14の内容を補正する。ところで、診断テーブル14には、評価指標Xが拍数HRおよび駆出時間EDと関連付けられて記憶されているが、これらのデータは複数の人から実測されたデータを平均して得られたものである。一方、拍数HRおよび駆出時間EDのありようには、個人差や同一人であっても日内差・年内差が存在する。したがって、より正確に心機能の状態を診断しようとする場合には、診断テーブル14の内容を補正する必要がある。補正部21は、このために設けられたものである。
【0103】
補正部21の内部には、診断テーブル14を作成した際の平常時における基準拍数HRrと基準駆出時間EDrが格納されている。ユーザが平常時において、心機能診断装置1を校正モードに設定すると、平常時における平常拍数HRhと平常駆出時間EDhが拍数検出部12と駆出時間検出部13によって各々検出される。補正部21は、HRh−HRr,EDh−EDrを算出し、これを補正情報として用い、補正済診断テーブル22を生成する。
【0104】
この点を図26を参照して説明する。図26において、曲線K,L,Mは、上述した図10に示すものと同様であって、曲線Kは診断テーブル14を作成する際に用いられた正常な人の拍数HRと駆出時間EDの関係を示したものであり、曲線Lは、「正常である」か「シンドロームXの兆候が認められる」かを判別できるように定められた境界であり、曲線Mは「シンドロームXの兆候が認められる」か「シンドロームXが発生する可能性が極めて高く危険な状態にある」かを判別できるように定められた境界である。
【0105】
ここで、曲線K上には、平常時における基準拍数HRrと基準駆出時間EDrが存在する。ここで、校正モードにおいて実測された平常拍数HRhと平常駆出時間EDhが図26に示すものであるとすれば、補正部21は、上記補正情報を算出し、この補正情報に基づいて、曲線K,L,Mを移動して、曲線K’,L’,M’を算出する。そして、新たに得られた曲線L’,M’を評価指標Xの生成基準として、補正済診断テーブル22を生成する。
【0106】
通常の測定モードにおいては、補正済診断テーブル22を参照して評価指標Xが生成される。これにより、個人差や同一人の日内差・年内差を補正して、より正確に心機能の状態を診断することが可能となる。
【0107】
I.変形例
本発明は、上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、例えば、以下に述べる各種の変形が可能である。
(1)上述した第2〜第4実施形態では、第1の周波数補正部17あるいは第2の周波数補正部19を、異なる周波数領域でエネルギーを比較するために用い、補正結果を閾値と比較して最大ピークPmax等を求めた。この場合、閾値自体を周波数補正を考慮したものにして、各周波数補正部を省略するようにしてもよい。
【0108】
(2)上述した第2〜第4実施形態で行ったウエーブレット変換はフィルタバンクを用いて行ってもよい。フィルタバンクの構成例を図27に示す。図において、フィルタバンクは3段で構成されており、その基本単位は、高域フィルタ1Aおよびデシメーションフィルタ1Cと、低域フィルタ1Bおよびデシメーションフィルタ1Cである。高域フィルタ1Aと低域フィルタ1Bは、所定の周波数帯域を分割して、高域周波数成分と低域周波数成分を各々出力するようになっている。この例にあっては脈波データMDの周波数帯域として0Hz〜4Hzを想定しているので、一段目の高域フィルタ1Aの通過帯域は2Hz〜4Hzに設定され、一方、一段目の低域フィルタ1Bの通過帯域は0Hz〜2Hzに設定される。また、デシメーションフィルタ1Cは、1サンプルおきにデータを間引く。
こうして生成されたデータが次段に供給されると、周波数帯域の分割とデータの間引きが繰り返され、最終的には、0Hz〜4Hzの周波数帯域を8分割したデータM1〜M8が得られる。
【0109】
また、高域フィルタ1Aと低域フィルタ1Bとは、その内部に遅延素子(Dフリップフロップ)を含むトランスバーサルフィルタで構成すればよい。ところで、人の脈拍数は40〜200の範囲にあり、脈波波形MHの基本波周波数は、生体の状態に応じて刻々と変動する。この場合、基本波周波数に同期して、分割する帯域を可変することができれば、動的な生体の状態に追従した情報を得ることができる。そこで、トランスバーサルフィルタに供給するクロックを脈波波形MHとさせることによって、分割する帯域を適応的に可変してもよい。
【0110】
また、脈波解析データMKDのうち、脈波波形MHの特徴を表す代表的な周波数成分は、基本波、第2高調波および第3高調波の各周波数成分である。したがって、フィルタバンクの出力データM*1〜M*8のうち一部を用いて脈象を判定するようにしてもよい。この場合、上述したようにフィルタバンクを脈波波形MHに同期するように構成すれば、高域フィルタ1A、低域フィルタ1Bおよびデシメーションフィルタ1Cの一部を省略して、構成を簡易なものにすることができる。
【0111】
(3)上述した第1実施形態における体動除去部を第4実施形態で説明したウエーブレット変換で行ってもよい。この場合は、体動が除去されたウエーブレットに数2に示す逆ウエーブレットを施して波形の再合成を行い、再合成された脈波波形に基づいて、拍数HRと駆出時間EDを算出すればよい。
【数2】
Figure 0003666188
【0112】
また、逆ウエーブレットは逆フィルタバンクを用いて構成すればよい。この場合、逆ウエーブレット変換部は、図28に示すフィルタバンクで構成してもよい。図において、フィルタバンクは3段で構成されており、その基本単位は、高域フィルタ2Aおよび補間フィルタ2Cと、低域フィルタ1Bおよび補間フィルタ2Cと、加算器2Dである。高域フィルタ2Aと低域フィルタ2Bは、所定の周波数帯域を分割して、高域周波数成分と低域周波数成分を各々出力するようになっている。また、補間フィルタ2Cは、2サンプル毎に1サンプルを内挿補間する。
【0113】
ここで、波形を再現するためには、図27に示すフィルタバンクと図28に示すフィルタバンクに完全再構成フィルタバンクを用いる必要がある。この場合、高域フィルタ1A,2Aおよび低域フィルタ1B,2Bの特性は、以下の関係があることが必要である。
H0(-Z)F0(Z)+H1(-Z)F1(Z)=0
H0(Z)F0(Z)+H1(-Z)F1(Z)=2Z-L
【0114】
また、高域フィルタ2Aと低域フィルタ2Bとは、その内部に遅延素子(Dフリップフロップ)を含むトランスバーサルフィルタで構成すればよい。なお、ウエーブレット変換部10で使用するフィルタバンクを、脈波波形MHの基本波周波数に同期して、分割する帯域を可変するため、供給するクロックを脈波波形MHと同期させた場合には、このクロックを高域フィルタ2Aと低域フィルタ2Bに供給してもよい。
【0115】
(4)また、上述した各実施形態においては、表示部15を告知手段の一例として説明したが、装置から人間に対して告知をするための手段としては以下説明するようなものが挙げられる。これら手段は五感を基準に分類するのが適当かと考えられる。なお、これらの手段は、単独で使用するのみならず複数の手段を組み合わせても良いことは勿論である。そして、以下説明するように、例えば視覚以外に訴える手段を用いれば、視覚障害者であっても告知内容を理解することができ、同様に、聴覚以外に訴える手段を用いれば聴覚障害者に対して告知を行うことができ、障害を持つ使用者にも優しい装置を構成できる。
【0116】
まず、聴覚に訴える告知手段としては、シンドロームXの分析・診断結果などを知らせるための目的、あるいは警告の目的でなされるものなどがある。例えば、ブザーの他、圧電素子、スピーカが該当する。また、特殊な例として、告知の対象となる人間に携帯用無線呼出受信機を持たせ、告知を行う場合にはこの携帯用無線呼出受信機を装置側から呼び出すようにすることが考えられる。また、これらの機器を用いて告知を行うにあたっては、単に告知するだけではなく、何らかの情報を一緒に伝達したい場合も多々ある。そうした場合、伝えたい情報の内容に応じて、以下に示す音量等の情報のレベルを変えれば良い。例えば、音高、音量、音色、音声、音楽の種類(曲目など)である。
【0117】
次に、視覚に訴える告知手段が用いられるのは、装置から各種メッセージ,測定結果を知らせる目的であったり、警告をするためであったりする。そのための手段として以下のような機器が考えられる。例えば、ディスプレイ装置、CRT(陰極線管表示装置),LCD(液晶表示ディスプレ)、プリンタ、X−Yプロッタ、ランプなどがある。なお、特殊な表示装置として眼鏡型のプロジェクターがある。また、告知にあたっては以下に示すようなバリエーションが考えられる。例えば、数値の告知におけるデジタル表示,アナログ表示の別、グラフによる表示、表示色の濃淡、数値そのまま或いは数値をグレード付けして告知する場合の棒グラフ表示、円グラフ、フェイスチャート等である。フェイスチャートとしては、例えば、図29に示すものがある。
【0118】
次に、触覚に訴える告知手段は、警告の目的で使用されることがあると考えられる。そのための手段として以下のようなものがある。まず、腕時計等の携帯機器の裏面から突出する形状記憶合金を設け、この形状記憶合金に通電するようにする電気的刺激がある。また、腕時計等の携帯機器の裏から突起物(例えばあまり尖っていない針など)を出し入れ可能な構造としてこの突起物によって刺激を与える機械的刺激がある。
【0119】
次に、嗅覚に訴える告知手段は、装置に香料等の吐出機構を設けるようにして、告知する内容と香りとを対応させておき、告知内容に応じた香料を吐出するように構成しても良い。ちなみに、香料等の吐出機構には、マイクロポンプなどが最適である。
【0120】
(5)上述した各実施形態においては、脈波検出手段f1の一例として脈波検出用センサユニット130を取りあげ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、脈動を検出できるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0121】
例えば、脈波検出用センサユニット130は反射光を利用したものであったが、透過光を利用したものであってもよい。ところで、波長領域が700nm以下の光は、指の組織を透過しにくい傾向がある。このため、透過光を利用する場合は、発光部から波長が600nm〜1000nmの光を照射し、照射光を組織→血管→組織の順に透過させ、この透過光の光量変化を検出する。透過光は血液中のヘモグロビンの吸収を受けるので、透過光の光量変化を検出することによって、脈波波形を検出することができる。
【0122】
この場合、発光部には、InGaAs系(インジウム−ガリウム−砒素)やGaAs系(ガリウム−砒素)のレーザー発光ダイオードが好適である。ところで、波長が600nm〜1000nmの外光は組織を透過し易いので、受光部に外光が入射すると脈波信号のS/Nが劣化してしまう。そこで、発光部から偏光したレーザー光を照射し、透過光を偏光フィルタを介して受光部で受光するようにしてもよい。これにより、外光の影響を受けることなく、脈波信号を良好なS/N比で検出することができる。
【0123】
この場合には、図30(a)に示すように、発光部400を締着具145の締め付け側に設け、時計本体側には受光部401を設けている。この場合、発光部200から照射された光は、血管143を透過した後、橈骨402と尺骨403の間を通って、受光部201に達する。なお、透過光を用いる場合には、照射光は組織を透過する必要があるため、組織の吸収を考慮すると、その波長は600nm〜1000nmであることが望ましい。
【0124】
また、同図(b)は検出部位を耳朶とする例である。把持部材404と把持部材405は、バネ407で付勢され、軸406を中心に回動できるようになっている。また、把持部材404と把持部材405には、発光部400と受光部401が設けられている。この脈波検出部を用いる場合には、耳朶を把持部材404と把持部材405で把持して脈波を検出する。なお、反射光を用いる場合には、同図(c)に示すように指尖部から脈波波形MHを検出するようにしてもよい。
【0125】
次に、光電式脈波センサを眼鏡と組み合わせた使用態様を説明する。なお、この眼鏡の形態では、使用者に対する告知手段としての表示装置も一緒に組み込まれた構造になっている。したがって、脈波検出部として以外に表示装置としての機能についても併せて説明する。
図31は、脈波検出部が接続された装置を眼鏡に取り付けた様子を表わす斜視図である。図のように、装置本体は本体75aと本体75bに分かれ、それぞれ別々に眼鏡の蔓76に取り付けられており、これら本体が蔓76内部に埋め込まれたリード線を介して互いに電気的に接続されている。
【0126】
本体75aは表示制御回路を内蔵しており、この本体75aのレンズ77側の側面には全面に液晶パネル78が取り付けられ、また、該側面の一端には鏡79が所定の角度で固定されている。さらに本体75aには、光源(図示略)を含む液晶パネル78の駆動回路と、表示データを作成するための回路が組み込まれている。この光源から発射された光は、液晶パネル78を介して鏡79で反射されて、眼鏡のレンズ77に投射される。また、本体75bには、装置の主要部が組み込まれており、その上面には各種のボタンが設けられている。なお、これらボタン80,81の機能は装置毎に異なる。また。光電式脈波センサを構成するLED32およびフォトトランジスタ33(図4を参照)はパッド82,83に内蔵されると共に、パッド82,83を耳朶へ固定するようになっている。これらのパッド82,83は、本体75bから引き出されたリード線84,84によって電気的に接続されている。
【0127】
次に、圧力センサによって脈波波形MHを検出する例を説明する。図32(a)は圧力センサを用いた脈波診断装置の外観構成を示す斜視図である。この図に示すように、脈波診断装置1には、一対のバンド144,144が設けられており、その一方の締着具145の締め付け側には、圧力センサ130’の弾性ゴム131が突出して設けられている。締着具145を備えるバンド144は、圧力センサ130による検出信号を供給するべくFPC(Flexible Printed Circuit)基板を軟性プラスチックで被覆した構造(詳細は図示省略)となっている。
【0128】
また、使用時においては、図32(b)に示すように、締着具145に設けられた弾性ゴム131が橈骨動脈143の近傍に位置するべく、腕時計146が被験者の左腕147に巻回される。このため、脈波を恒常的に検出することが可能となる。なお、この巻回については通常の腕時計の使用状態と何等変わることがない。こうして弾性ゴム131が、被験者の橈骨動脈143近傍に押圧されると、該動脈の血流変動(すなわち脈波)が弾性ゴム131を介して圧力センサ130’に伝達され、圧力センサ130’はこれを血圧として検知する。
【0129】
(6)上述した第1実施形態においてFFTを用いて拍数HRを求めるようにしてもよい。この場合、拍数HRは、基本周波数fを測定し、f・60を算出すればよい。
【0130】
(7)上述した各実施形態においては、心機能診断装置1によって体動を除去した体動除去脈波波形に基づいて、シンドロームXの他、QT延長症候群の可能性を検知した。ところで、QT延長症候群を診断するは睡眠中等の安静時に発病することが多い。この場合、寝返り等の体動があり得るため、体動を除去したが、簡便な方法としては、体動を除去しない脈波波形に基づいて、拍数と駆出時間を検出し、これらに基づいてQT延長症候群の可能性を診断するようにしてもよい。
【0131】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の発明特定事項によれば、拍数と駆出時間に基づいて、心機能の状態を診断できるので、シンドロームXやQT延長症候群等の可能性を事前に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 心臓から流出する直後の脈波波形と末梢部の脈波波形との関係を示した図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係わる心機能診断装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】 第1実施形態に係わる心機能診断装置の外観構成を示す斜視図である。
【図4】 同実施形態に係わる脈波検出用センサユニット130の回路図である。
【図5】 同実施形態に係わる心機能診断装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】 同実施形態に係わる1拍分の体動除去脈波波形MH’の一例を示す図である。
【図7】 同実施形態に係わる拍数検出部と駆出時間検出部の具体的な構成を示す回路図である。
【図8】 同実施形態に係わる脈波波形の一例を示す図である。
【図9】 同実施形態に係わるピーク情報の内容を示す図である。
【図10】 同実施形態に係わる診断テーブル14に記憶されている評価指標Xと駆出時間EDおよび拍数HRの関係を示す図である。
【図11】 第2実施形態に係わる心機能診断装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】 同実施形態に係わる第1のウエーブレット変換部の構成を示すブロック図である。
【図13】 同実施形態に係わる脈波波形の一部の期間について、脈波解析データを示したものである。
【図14】 同実施形態に係わる体動除去部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図15】 同実施形態において、期間Tcにおける脈波補正データMKD’を示す図である。
【図16】 同実施形態において、期間Tcにおける体動補正データTKD’を示す図である。
【図17】 同実施形態において、体動成分が除去された脈波補正データMKD''を示す図である。
【図18】 第3実施形態に係わる心機能診断装置のブロック図である。
【図19】 第4実施形態に係わる心機能診断装置のブロック図である。
【図20】 同実施形態に係わる体動除去部11の詳細なブロック図である。
【図21】 同実施形態に係わる体動除去脈波データMKD’’の一例を示す図である。
【図22】 第5実施形態に係わる心機能診断装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図23】 同実施形態に係わる連続性判定部20の構成の一例を示すブロック図である。
【図24】 同実施形態に係わる連続性判定部20の構成の他の例を示すブロック図である。
【図25】 第6実施形態に係わる心機能診断装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図26】 同実施形態に係わる補正済診断テーブルの内容を説明するための図である。
【図27】 変形例においてウエーブレット変換をフィルタバンクで構成した場合の例を示すブロック図である。
【図28】 変形例において逆ウエーブレット変換をフィルタバンクで構成した場合の例を示すブロック図である。
【図29】 変形例において告知手段の一態様としてのフェイスチャートを示す図である。
【図30】 変形例に係わる光電式脈波センサの例を示す図である。
【図31】 変形例において光電式脈波センサを眼鏡に応用した例を示す図である。
【図32】 変形例において圧力センサを用いた心機能診断装置の外観構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
130 脈波検出用センサユニット(脈波検出手段)
130’加速度センサ(体動検出手段)
11 体動除去部(体動除去手段)
12 拍数検出部(拍数検出手段)
13 駆出時間検出部(駆出時間検出手段)
15 表示部(告知手段)
16 第1のウエーブレット変換部(第1のウエーブレット変換手段)
17 第1の周波数補正部(第1の周波数補正手段)
18 第2のウエーブレット変換部(第2のウエーブレット変換手段)
19 第2の周波数補正部(第2の周波数補正手段)

Claims (8)

  1. 生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、
    前記脈波波形に基づいて、拍数を検出する拍数検出手段と、
    前記脈波波形に基づいて、心臓の駆出時間を検出する駆出時間検出手段と、
    前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評価する評価手段と
    を備え
    前記評価手段は、
    前記拍数検出手段によって検出された前記拍数および前記駆出時間検出手段によって検出された前記駆出時間に基づいて、心機能の状態の連続性を判定する連続性判定手段と、
    前記判定手段の判定結果に基づいて評価指標を生成する評価指標生成手段と
    を備え、
    前記判定手段は、
    前記拍数検出手段によって検出された前記拍数の変化が、一定範囲内にあることを検知した際に、前記駆出時間検出手段によって検出された前記駆出時間の変化率を検出する駆出時間変化率検出部と、
    前記駆出時間の変化率と予め定められた閾値と比較し、比較結果に基づいて心機能の状態の連続性を判定する判定部と
    を備えたことを特徴とする心機能診断装置。
  2. 生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、
    前記脈波波形に基づいて、拍数を検出する拍数検出手段と、
    前記脈波波形に基づいて、心臓の駆出時間を検出する駆出時間検出手段と、
    前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評価する評価手段と
    を備え
    前記評価手段は、
    前記拍数検出手段によって検出された前記拍数および前記駆出時間検出手段によって検出された前記駆出時間に基づいて、心機能の状態の連続性を判定する連続性判定手段と、
    前記判定手段の判定結果に基づいて評価指標を生成する評価指標生成手段と
    を備え、
    前記判定手段は、
    前記拍数検出手段によって検出された前記拍数と前記駆出時間検出手段によって検出された前記駆出時間を乗算して、乗算結果の変化率を算出する変化率算出部と、
    前記乗算結果の変化率と予め定められた閾値と比較し、比較結果に基づいて心機能の状態の連続性を判定する判定部と
    を備えたことを特徴とする心機能診断装置。
  3. 生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、
    前記脈波波形に基づいて、拍数を検出する拍数検出手段と、
    前記脈波波形に基づいて、心臓の駆出時間を検出する駆出時間検出手段と、
    前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評価する評価手段と
    を備え
    前記評価手段は、
    拍数および駆出時間と評価指標とを対応付けて予め記憶した第1の記憶手段と、
    平常時に前記拍数検出手段によって検出された平常拍数および前記駆出時間検出手段によって検出された平常駆出時間に基づいて、前記第1記憶手段の内容を補正する補正手段と、
    前記補正手段によって補正された前記拍数および前記駆出時間と前記評価指標との関係を記憶する第2の記憶手段と、
    運動中に前記拍数検出手段によって検出された前記拍数および前記駆出時間検出手段によって検出された前記駆出時間に基づいて、前記第2の記憶手段から対応する評価指標を読み出す読出手段と
    を備えたことを特徴とする心機能診断装置。
  4. 前記生体の体動を示す体動波形を検出する体動検出手段と、前記体動波形に基づいて前記脈波波形中の体動成分を生成し、前記脈波波形から前記体動成分を除去して体動除去脈波波形を生成する体動除去手段と
    を有し、
    前記拍数検出手段は、前記体動除去脈波波形に基づいて拍数を検出し、
    前記駆出時間検出手段は、前記体動除去脈波波形に基づいて、心臓の駆出時間を検出する
    ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の心機能診断装置。
  5. 前記拍数検出手段は、前記体動除去脈波波形のピークを検出し、検出された当該ピークの周期性に基づいて前記拍数を求めることを特徴とする請求項に記載の心機能診断装置。
  6. 前記拍数検出手段は、前記体動除去脈波波形に周波数解析を施し、当該解析結果に基づいて前記拍数を求めることを特徴とする請求項に記載の心機能診断装置。
  7. 前記駆出時間検出手段は、前記体動除去脈波波形の各ピークを検出し、最大ピークの次に現れるピークと最小ピーク間の時間を検出することによって前記駆出時間を検出することを特徴とする請求項ないしのうちいずれか1項に記載の心機能診断装置。
  8. 前記評価手段によって得られた評価結果を告知する告知手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の心機能診断装置。
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