JP3747552B2 - 脈波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は人の脈の種別を特定するのに好適な脈波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
東洋医学の脈診では、医師が指で橈骨動脈を押圧し、指に感じられる脈によって、生体の状態を診断することが行われる。代表的な脈波形には、平脈、滑脈、弦脈といった脈象がある。平脈は「平人」すなわち正常な健康人の脈象であり、平脈はゆったりとして緩和であり、リズムが一定で乱れが少ないことが特徴である。一方、滑脈は血流状態の異常に原因するもので、浮腫,肝腎疾患,呼吸器疾患,胃腸疾患,炎症性疾患などの病気で脈の往来が非常に流利,円滑になって生じる。また、弦脈は、血管壁の緊張や老化に原因するもので、肝胆疾患,皮膚疾患,高血圧,疼痛性疾患などの病気で現れる。血管壁の弾力性が減少して、拍出された血液の拍動の影響があらわれにくくなったことに原因すると考えられる。弦脈の波形は急激に立ち上がってすぐに下降せず高圧の状態が一定時間持続するのが特徴であり、指による感触は、真っ直ぐぴんと張った長い脈、という感じである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、脈診は、上述したように人の指で感じられる微妙な触覚によって生体の状態を診断するものであるから、このような技能を人から伝え学ぶことは難しく、その熟練には長い年月がかかる。
また、生体に体動があると、血流が変化するため正確な脈象を特定することが難しい。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、体動があったとしても脈象を客観的に特定することができる脈波診断装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明にあっては、生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析データを生成するウエーブレット変換手段と、対応する各周波数に基づいて、前記脈波解析データに周波数当たりのパワーを正規化するように補正を施し、補正脈波データを生成する周波数補正手段と、前記補正脈波データに演算処理を施して、前記脈波波形の種類を示す脈象データを生成する脈象データ生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明にあっては、生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析データを生成する第1のウエーブレット変換手段と、対応する各周波数に基づいて、前記脈波解析データに周波数当たりのパワーを正規化するように補正を施し、補正脈波データを生成する第1の周波数補正手段と、前記生体の体動を検出して体動波形を出力する体動検出手段と、前記体動検出手段によって検出された前記体動波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に体動解析データを生成する第2のウエーブレット変換手段と、対応する各周波数に基づいて、前記体動解析データに周波数当たりのパワーを正規化するように補正を施し、体動補正データを生成する第2の周波数補正手段と、前記補正脈波データから前記体動補正データを減算して、体動を除去した補正脈波データを生成するマスク手段と、前記マスク手段によって生成された前記補正脈波データに演算処理を施して、前記脈波波形の種類を示す脈象データを生成する脈象データ生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明にあっては、生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析データを生成する第1のウエーブレット変換手段と、前記生体の体動を検出して体動波形を出力する体動検出手段と、前記体動検出手段によって検出された前記体動波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に体動解析データを生成する第2のウエーブレット変換手段と、前記脈波解析データから前記体動解析データを減算して、体動を除去した脈波データを各周波数領域毎に生成するマスク手段と、対応する各周波数に基づいて、前記脈波データに周波数当たりのパワーを正規化するように補正を施し、補正脈波データを生成する周波数補正手段と、前記マスク手段によって生成された前記補正脈波データに演算処理を施して、前記脈波波形の種類を示す脈象データを生成する脈象データ生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明にあっては、生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析データを生成するウエーブレット変換手段と、前記脈波解析データのうち、体動に対応する周波数成分を除去して、脈波解析データを生成する体動分離手段と、前記体動分離手段によって生成された脈波解析データに対して対応する周波数に応じて補正を行って、補正脈波データを生成する周波数補正手段と、前記補正脈波データに演算処理を施して、前記脈波波形の種類を示す脈象データを生成する脈象データ生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明にあっては、前記脈象データ生成手段は、前記補正脈波データに逆ウエーブレット変換を施して体動が除去された脈波データを生成する逆ウエーブレット変換手段と、前記脈波データの各ピーク情報に基づいて前記脈象データを生成するデータ生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明にあっては、前記体動検出手段によって検出された体動波形に基づいて、生体の運動状態を検出する状態検出手段と、前記運動状態に応じて、周波数解析の対象となる周波数領域を可変するように前記第1のウエーブレット変換手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明にあっては、前記制御手段は、前記生体の運動状態と周波数解析の対象となる周波数領域の関係を予め記憶した記憶手段と、前記状態検出手段によって検出された前記生体の運動状態に基づいて、周波数解析の対象となる周波数領域を読み出す読出手段とを備え、この読出結果に基づいて周波数解析の対象となる周波数領域を制御することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に記載の発明にあっては、前記脈波波形の周期を検出する脈波周期検出手段を備え、前記ウエーブレット変換手段は、検出された前記周期に同期してウエーブレット変換を施すことを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に記載の発明にあっては、前記脈波波形の周期を検出する脈波周期検出手段を備え、前記第1のウエーブレット変換手段および前記第2のウエーブレット変換手段は、検出された前記周期に同期してウエーブレット変換を施すことを特徴とする。
【0016】
また、請求項10に記載の発明にあっては、前記脈象データ生成手段によって生成された前記脈象データを告知する告知手段を具備することを特徴とする。
【0017】
また、請求項11に記載の発明にあっては、前記脈波検出手段は、生体の動脈の脈動を圧力によって検出する圧力センサからなることを特徴とする。
【0018】
また、請求項12に記載の発明にあっては、前記脈波検出手段は、生体の検出部位に300nm〜700nmの波長の光を照射したときに得られる反射光を受光した受光信号を脈波波形として検出することを特徴とする。
【0019】
また、請求項13に記載の発明にあっては、前記脈波検出手段は、生体の検出部位に600nm〜1000nmの波長の光を照射したときに得られる透過光を受光した受光信号を脈波波形として検出することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
A.実施形態の機能構成
まず、本発明の一実施形態に係わる脈波診断装置の機能を図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係わる脈波診断装置の機能ブロック図である。図において、f1は脈波検出手段であって、脈波波形を検出する。脈波波形は、例えば、橈骨動脈を皮膚の上から押圧することによって検出される。また、f2は第1のウエーブレット変換手段であって、脈波検出手段f1によって検出された脈波波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析データを生成する。また、f3は第1の周波数補正手段であって、対応する各周波数に基づいて、前記脈波解析データに周波数当たりのパワー密度が一定になるように補正を施し、脈波補正データを生成する。これにより、異なる周波数時間領域で検出されるウエーブレットを比較することが可能となる。
【0021】
次に、f4は体動検出手段であって、体動を検出して体動波形を出力する。これにより、人が動いたことを検知できる。また、f5は第2のウエーブレット変換手段であって、体動検出手段f4によって検出された体動波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に体動解析データを生成する。また、f6は第2の周波数補正手段であって、対応する各周波数に基づいて、前記体動解析データに周波数当たりのパワー密度が一定になるように補正を施し、体動補正データを生成する。こうして算出された体動補正データは周波数補正が施されているので、脈波補正データと比較することができる。
【0022】
次に、f7はマスク手段であって、脈波補正データから体動補正データを減算して、体動を除去した脈波補正データを生成する。また、f8は脈象データ生成手段であって、マスク手段f7によって生成された脈波補正データを各周波数領域毎に解析することによって脈象を示す脈象データを生成する。脈象の種類としては、例えば、弦脈、平脈、滑脈がある。
【0023】
なお、睡眠中等、安静時に不整脈を検出する場合には、体動を検出する必要がないので、体動検出手段f4、第2ウエーブレット変換手段f5、第2の周波数補正手段f6およびマスク手段f7は省略することができる。また、第1の周波数補正手段f3および第2の周波数補正手段の替わりにマスク手段f7の後段に周波数補正手段を設け、構成を簡易にしても良い。さらに、全ての周波数補正手段を省略してもよい。
【0024】
次に、f9は告知手段であって、脈象データ生成手段f8によって生成された脈象データに基づいて脈象を告知する。これにより、使用者または医師等の第三者が脈象を認識できる。
【0025】
B.第1実施形態
1.第1実施形態の構成
本発明の一実施形態に係わる脈波診断装置の構成を図面を参照しつつ説明する。
1−1:第1実施形態の外観構成
図2は第1実施形態に係わる脈波診断装置の外観構成を示す斜視図である。
図2において、本例の脈波診断装置1は、腕時計構造を有する装置本体110と、この装置本体110に接続されるケーブル120と、このケーブル120の先端側に設けられた脈波検出用センサユニット130とから大略構成されている。ケーブル120の先端側にはコネクタピース80が構成されており、このコネクタピース80は、装置本体10の6時の側に構成されているコネクタ部70に対して着脱自在である。装置本体10には、腕時計における12時方向から腕に巻きついてその6時方向で固定されるリストバンド60が設けられ、このリストバンド60によって、装置本体110は、腕に着脱自在である。脈波検出用センサユニット130は、センサ固定用バンド140によって遮光されながら人差し指の根本に装着される。このように、脈波検出用センサユニット130を指の根本に装着すると、ケーブル120が短くて済むので、ケーブル120は、ランニング中に邪魔にならない。また、掌から指先までの体温の分布を計測すると、寒いときには、指先の温度が著しく低下するのに対し、指の根本の温度は比較的低下しない。従って、指の根本に脈波検出用センサユニット130を装着すれば、寒い日に屋外でランニングしたときでも、脈拍数などを正確に計測できる。
【0026】
また、装置本体110は、樹脂製の時計ケース200(本体ケース)を備えており、この時計ケース200の表面側には、現在時刻や日付に加えて、走行時や歩行時のピッチ、および脈拍数などの脈波情報などを表示するELバックライト付きの液晶表示装置210が構成されている。液晶表示装置210には、セグメント表示領域の他、ドット表示領域が構成されており、ドット表示領域では、各種の情報をグラフィック表示可能である。
【0027】
また、時計ケース200の内部には、脈波検出用センサユニット130が計測した脈波波形MHに基づいて脈象や脈拍数の変化などを求めるとともに、それを液晶表示装置210に表示するために、各種の制御やデータ処理を行うマイクロコンピュータなどからなる制御部が構成されている。制御部には計時回路も構成されており、通常時刻、ラップタイム、スプリットタイムなども液晶表示装置210に表示できるようになっている。また、時計ケース200の外周部には、時刻合わせや表示モードの切換などの外部操作を行うためのボタンスイッチ111〜115が構成されている。
【0028】
次に、は、図3に示すようにLED32、フォトトランジスタ33などから構成される。スイッチSWがon状態となり、電源電圧が印加されると、LED32から光が照射され、血管や組織によって反射された後に、フォトトランジスタ33によって受光され、脈波信号Mが検出される。ここで、LEDの発光波長は、血液中のヘモグロビンの吸収波長ピーク付近に選ばれる。このため、受光レベルは血流量に応じて変化する。したがって、受光レベルを検出することによって、脈波波形を検出できる。
また、LED32としては、InGaN系(インジウム−ガリウム−窒素系)の青色LEDが好適である。青色LEDの発光スペクトルは、例えば450nmに発光ピークを有し、その発光波長域は、350nmから600nmまでの範囲にある。この場合には、かかる発光特性を有するLEDに対応させてフォトトランジスタ33として、GaAsP系(ガリウム−砒素−リン系)のフォトトランジスタを用いればよい。このフォトトランジスタ33の受光波長領域は、例えば、主要感度領域が300nmから600nmまでの範囲にあって、300nm以下にも感度領域がある。このような青色LEDとフォトトランジスタ33とを組み合わせると、その重なり領域である300nmから600nmまでの波長領域において、脈波が検出される。この場合には、以下の利点がある。
【0029】
まず、外光に含まれる光のうち、波長領域が700nm以下の光は、指の組織を透過しにくい傾向があるため、外光がセンサ固定用バンドで覆われていない指の部分に照射されても、指の組織を介してフォトトランジスタ33まで到達せず、検出に影響を与えない波長領域の光のみがフォトトランジスタ33に達する。一方、300nmより低波長領域の光は、皮膚表面でほとんど吸収されるので、受光波長領域を700nm以下としても、実質的な受光波長領域は、300nm〜700nmとなる。したがって、指を大掛かりに覆わなくとも、外光の影響を抑圧することができる。また、血液中のヘモグロビンは、波長が300nmから700nmまでの光に対する吸光係数が大きく、波長が880nmの光に対する吸光係数に比して数倍〜約100倍以上大きい。したがって、この例のように、ヘモグロビンの吸光特性に合わせて、吸光特性が大きい波長領域(300nmから700nm)の光を検出光として用いると、その検出値は、血量変化に応じて感度よく変化するので、血量変化に基づく脈波波形MHのS/N比を高めることができる。
【0030】
1−2:第1実施形態の電気的構成
次に、脈波診断装置の電気的構成を図4を参照して説明する。図4は脈波診断装置の電気的構成を示すブロック図である。
脈波診断装置1は、以下の部分から構成される。10はウエーブレット変換部であって、脈波検出用センサユニット130から出力される脈波波形MHに対して周知のウエーブレット変換を施して、脈波解析データMKDを生成する。
【0031】
一般に、信号を時間と周波数の両面から同時に捉える時間周波数解析において、ウエーブレットは信号の部分を切り出す単位となる。ウエーブレット変換は、この単位で切り出した信号各部の大きさを表している。ウエーブレット変換を定義するために基底関数として、時間的にも周波数的にも局在化した関数ψ(x)をマザー・ウエーブレットとして導入する。ここで、関数f(x)のマザー・ウエーブレットψ(x)によるウエーブレット変換は次のように定義される。
【数1】
Figure 0003747552
【0032】
数1においてbは、マザー・ウエーブレットψ(x)をトランスレート(平行移動)する際に用いるパラメータであり、一方、aはスケール(伸縮)する際のパラメータである。したがって、数1においてウエーブレットψ((x−b)/a)は、マザー・ウエーブレットψ(x)をbだけ平行移動し、aだけ伸縮したものである。この場合、スケールパラメータaに対応してマザー・ウエーブレットψ(x)の幅は伸長されるので、1/aは周波数に対応するものとなる。なお、ウエーブレット変換部10の詳細な構成については後述する。
【0033】
次に、11は周波数補正部であって脈波解析データMKDに対して周波数補正を行う。上記した数1には周波数に対応する「1/a1/2」の項があるが、異なる周波数領域間でデータを比較する場合には、この項の影響を補正する必要がある。周波数補正部11はこのために設けられたものであり、ウエーブレットデータWDに係数a1/2を乗算して、脈波補正データMKD’を生成する。これにより、対応する各周波数に基づいて、周波数当たりのパワー密度が一定になるように補正を施すことができる。
【0034】
次に、12は脈象データ生成部であって、脈波補正データMKD’に基づいて、平脈、弦脈、滑脈といった脈象を特定し、これを指示する脈象データZDを生成する。また、13は表示部であって、ROM、制御回路および液晶表示装置等によって構成される。表示部13に脈象データZDが供給されると、制御回路がこれを検知し、ROMに格納されているキャラクタを読み出し、これを液晶ディスプレイに表示するようになっている。キャラクタとしては、「平脈」、「弦脈」、「滑脈」という文字の他、特定の記号やアイコンを用いてもよい。これにより、使用者や医師に健康状態を告知することができる。
【0035】
1−3:ウエーブレット変換部
次に、ウエーブレット変換部10の構成を図面を用いて詳細に説明する。図5は、第1実施形態に係わるウエーブレット変換部10のブロック図である。
脈波波形MHは、波形整形部100とA/D変換器110に供給される波形整形部100は、脈波波形MHに同期した制御信号CSとクロックCKを生成する。波形整形部100のブロック図を図6に示す。図6において、リンギングフィルタ101は、中心周波数を2.2Hz、通過帯域を0.8Hz〜3.5HzとするQ値が高いフィルタである。脈波波形の基本波成分は、0.8Hz〜3.5Hzの範囲内にあるのが通常であるから、脈波波形MHがリンギングフィルタ101を通過すると、その基本波成分が抽出される。例えば、図7(a)に示す脈波波形MHがリンギングフィルタ101を通過すると、図7(b)に示す正弦波が得られる。
【0036】
次に、ゼロクロス検出回路102はコンパレータ等から構成され、リンギングフィルタ101の出力信号とグランドレベルを比較して、矩形波を生成する。この矩形波は、心拍に同期したものとなる。例えば、リンギングフィルタ101の出力信号が図7(b)に示すものであるならば、ゼロクロス検出回路102の出力信号は図7(c)に示すものとなる。
【0037】
次に、比較部103、ループフィルタ104、電圧制御発振回路105、および分周回路106は、フェーズロックループを構成する。比較部103の一方の入力にゼロクロス検出回路102の出力信号が、その他方の入力に分周回路106の出力信号が供給されると、比較部103は、両者の位相差に応じた誤差信号を出力する。誤差信号がループフィルタ104を介して電圧制御発振回路105に供給されると、電圧制御発振回路105はクロックCKを出力する。そして、クロックCKは分周回路106で1/8分周され、比較部103の他方の入力にフィードバックされる。この場合、クロックCKの周波数は、図7(d)に示すようにゼロクロス検出回路102の出力信号の周波数と比較して8倍の周波数となる。この後、クロックCKは、分周回路107で1/2分周され、図7(e)に示す制御信号CSとして出力される。
【0038】
次に、図5に示す脈波波形MHは、A/D変換器110によってデジタル信号に変換され、この後、第1のメモリ120と第2のメモリ130に格納される。ここで、第1のメモリ120のライトイネーブル端子には制御信号CSが直接供給され、第2のメモリ130のライトイネーブル端子にはインバータ140によって反転された制御信号CSが供給されるようになっている。このため、第1,第2のメモリ120,130は、脈波波形MHをクロック周期単位で交互に格納する。
【0039】
また、150はマルチプレクサであって、第1,第2のメモリ120,130から交互に読み出される脈波データMDを選択して基底関数展開部Wに出力する。こうして、第1のメモリ120の書込期間に第2のメモリ130から脈波データMDを読み出し、第1のメモリ130の読出期間に第2のメモリ120へ脈波データMDを書き込む。
【0040】
次に、基底関数展開部Wは、上記した数1の演算処理を行う構成であって、上記したクロックCKが供給され、クロック周期で演算処理が行われるようになっている。基底関数展開部Wは、マザー・ウエーブレットψ(x)を記憶する基底関数記憶部W1、スケールパラメータaを変換するスケール変換部W2、バッファメモリW3、トランスレートを行う平行移動部W4および乗算部W5からなる。なお、基底関数記憶部W1に記憶するマザー・ウエーブレットψ(x)としては、ガボールウエーブレットの他、メキシカンハット、Haarウエーブレット、Meyerウエーブレット、Shannonウエーブレット等が適用できる。
【0041】
まず、基底関数記憶部W1からマザー・ウエーブレットψ(x)が読み出されると、スケール変換部W2はスケールパラメータaの変換を行う。ここで、スケールパラメータaは周期に対応するものであるから、aが大きくなると、マザー・ウエーブレットψ(x)は時間軸上で伸長される。この場合、基底関数記憶部W1に記憶されるマザー・ウエーブレットψ(x)のデータ量は一定であるので、aが大きくなると単位時間当たりのデータ量が減少してしまう。スケール変換部W2は、これを補うように補間処理を行うとともに、aが小さくなると間引き処理を行って、関数ψ(x/a)を生成する。このデータはバッファメモリW3に一旦格納される。
【0042】
次に、平行移動部W4はバッファメモリW3からトランスレートパラメータbに応じたタイミングで関数ψ(x/a)を読み出すことにより、関数ψ(x/a)の平行移動を行い関数ψ(x−b/a)を生成する。
【0043】
次に、乗算部W4は、変数1/a1/2、関数ψ(x−b/a)および脈波データMDを乗算して心拍単位でウエーブレット変換を行い、脈波解析データMKDを生成する。この例において、脈波解析データMKDは、0Hz〜0.5Hz、0.5Hz〜1.0Hz、1.0Hz〜1.5Hz、1.5Hz〜2.0Hz、2.0Hz〜2.5Hz、2.5Hz〜3.0Hz、3.0Hz〜3.5Hz、3.5Hz〜4.0Hzといった周波数領域に分割されて出力される。また、基底関数展開部Wは、上述したようにクロック周期で演算処理を行い、クロック周波数は脈波波形MHの基本波周波数の8倍になるように設定されるので、1回の心拍で生成される脈波解析データMKDは、図8に示すようにデータM11〜M88となる。
【0044】
1−4:脈象データ生成部
次に脈象データ生成部12について説明する。図9は本実施形態に係わる脈象データ生成部12のブロック図である。
図において加算器121、係数回路122,124およびメモリ123は、脈波補正データMKD’の平均値を各周波数領域毎に算出する回路である。なお、係数回路122の係数は1/K+1、係数回路124の係数はKである。加算器121は脈波補正データMKD’と係数回路124の出力を加算し、加算器121の出力データは係数回路122を介してメモり123に格納される。また、メモリ123は、8クロック周期だけ遅らせて出力する。
【0045】
ここで、心拍の周期をt、現在の時刻をT、メモリ123に格納されるデータをMaとするならば、時刻TにおけるデータMa(T)は、以下に示す式で与えられる。
Ma(T)={Ma(T−t)*K+MKD’(T)}/K+1
【0046】
この式においてMa(T−t)は、時間tだけ過去のデータ、すなわち、1心拍前のデータを表している。したがって、データMa(T)は、過去のデータと現在のデータを加重平均したものとなる。この処理はt時間毎に繰り返して行われるので、結局、メモリ124には脈波補正データMKD’の平均値が格納される。また、脈波補正データMKD’は各周波数領域毎に生成されるため、平均値は各周波数領域毎に算出される。このため、メモリ124には、図10に示すように0.5Hz単位で脈波補正データMKD’の平均値Ma11〜Ma88が格納される。この意味において、メモリ124は、平均値テーブルとして機能する。
【0047】
次に、演算部125は、メモリ124に格納される平均値Ma11〜Ma88に基づいて、脈象データZDを生成する。ここで、弦脈、平脈、滑脈の代表的波形と平均値の関係を説明する。なお、以下に述べる例では、脈波波形MHの基本波周波数は1.3Hzとする。
【0048】
一般に、脈波波形MHは図8に示すように、最初の昇降による主波wf1、それに続く重拍前波wf2、降中狭wf3、および重拍波wf4から成り立っている。主波wf1は左心室の急性駆出期に相当する。重拍前波wf2は大動脈の弾性拡大と抹消反射波の相互関係によって構成される。降中狭は左心室拡張期の大動脈の圧力を表し、拡張期圧に相応する。さらに、重拍波wf4は大動脈弁閉鎖に伴う外端血流の逆流による波である。
【0049】
まず、図11に弦脈の代表的波形と平均値の関係を示す。弦脈は、重拍前波wf2が主波wf1に融合している点、これに伴い降中狭wf3が表れない点に特徴がある。すなわち、期間t2,t3に特徴が表れている。ここで、重拍前波wf2や降中狭wf3が明確に表れる場合には、脈波波形MHの基本波の第2高調波成分、第3高調波成分が大きくなるた。このため、弦脈の場合には期間t2,t3において、2Hz以上の周波数成分が比較的小さくなる傾向にある。この例にあっては、期間t2,t3について2Hz以上の周波数成分の合計S1はいずれも「7」となる。なお、S1は以下の式で定義される。
Figure 0003747552
【0050】
次に、図12に平脈の代表的波形と平均値の関係を示す。平脈は、主波wf1、重拍前波wf2、重拍波wf4の三峰波からなる点に特徴がある。すなわち、期間t2,t3に特徴が表れている。この場合には、重拍前波wf2、降中狭wf3およびwf4が明確に表れるので、脈波波形MHの基本波の第2高調波成分、第3高調波成分が大きくなるた。このため、平脈の場合には期間t2,t3において、2Hz以上の周波数成分が比較的大きくなる傾向にある。また、特に、期間t2と期間t3とを比較すると、期間t2には、重拍前波wf2のピークが存在するため、高域周波数成分が多く存在するといえる。この例にあっては、期間t2,t3について2Hz以上の周波数成分の合計S1はいずれも「25」となる。また、期間t2について4.0〜3.0Hzの周波数成分の合計S2は「12」となり、一方、期間t3について4.0〜3.0Hzの周波数成分の合計S3は「7」となる。ここで、S2,S3は以下の式で定義される。
S2=Ma27+Ma28
S3=Ma37+Ma38
【0051】
次に、図13に滑脈の代表的波形と平均値の関係を示す。滑脈は、主波wf1と重拍前波wf2がほとんど重なってしまった二峰波からなる点に特徴がある。すなわち、期間t2,t3に特徴が表れている。この場合には、重拍前波wf2がほとんど表れないものの降中狭wf3は明確に表れるので、脈波波形MHの基本波の第2高調波成分、第3高調波成分が大きくなるた。このため、滑脈の場合には期間t2,t3において、2Hz以上の周波数成分が比較的大きくなる傾向にある。また、特に、期間t2と期間t3とを比較すると、期間t2には、重拍前波wf2のピークが存在せず、一方、期間t3には降中狭wf3が存在するので、期間t3の方が高域周波数成分が多く存在するといえる。この例にあっては、期間t2,t3について2Hz以上の周波数成分の合計S1はいずれも「24」となる。また、期間t2について4.0〜3.0Hzの周波数成分の合計S2は「6」となり、一方、期間t3について4.0〜3.0Hzの周波数成分の合計S3は「10」となる。
【0052】
以上の説明したように各脈象には特徴的な部分が存在する。本実施形態ではこの点に着目し、以下の判定基準で脈象を判定している。
1)弦脈と判定する場合
期間t2,t3について2.0Hz以上の合計S1が、「S1<15」の場合、弦脈と判定される。この場合には、演算手段125は、脈象データZDとして弦脈であることを示すデータDgを生成する。
【0053】
2)平脈と判定する場合
期間t2,t3について2.0Hz以上の合計S1が「S1≧15」であり、かつ、期間t2について4.0〜3.0Hzの周波数成分の合計S2と期間t3について4.0〜3.0Hzの周波数成分の合計S3とが、「S2≧S3」の関係にある場合、平脈と判定される。この場合には、演算手段125は、脈象データZDとして弦脈であることを示すデータDhを生成する。
【0054】
2)滑脈と判定する場合
期間t2,t3について2.0Hz以上の合計S1が「S1≧15」であり、かつ、期間t2について4.0〜3.0Hzの周波数成分の合計S2と期間t3について4.0〜3.0Hzの周波数成分の合計S3とが、「S2<S3」の関係にある場合、滑脈と判定される。この場合には、演算手段125は、脈象データZDとして滑脈であることを示すデータDkを生成する。
【0055】
1−5:脈象データ生成部の他の例
図14は脈象データ生成部の他の構成例を示すブロック図である。メモリ123は平均値テーブルとして機能し、そこに格納される平均値に基づいて評価関数演算部126は評価データQDg,QDh,QDkを生成する。評価関数演算部126はメモリを備えおり、そこには、弦脈、平脈、滑脈に各々対応する代表的な脈波波形についてウエーブレット変換を施した結果が平均値テーブルと同様の形式で予め格納されている。なお、弦脈の代表的な脈波波形に対応するデータはMg11〜Mg88で表し、平脈の代表的な脈波波形に対応するデータはMh11〜Mh88で表し、滑脈の代表的な脈波波形に対応するデータはMk11〜Mk88で表すことにする。
【0056】
評価データQDgは、計測された脈波波形MHが代表的な弦脈の脈波波形とどの程度一致しているかを示すデータであって、以下の式を演算することによって生成される。
QDg=ΣPij・|Mgij−Maij|/Mgij :i=1〜8,j=1〜8
また、評価データQDhは、計測された脈波波形MHが代表的な平脈の脈波波形とどの程度一致しているかを示すデータであって、以下の式を演算することによって生成される。
QDh=ΣPij・|Mhij−Maij|/Mhij :i=1〜8,j=1〜8
また、評価データQDkは、計測された脈波波形MHが代表的な弦脈の脈波波形とどの程度一致しているかを示すデータであって、以下の式を演算することによって生成される。
QDk=ΣPij・|Mkij−Maij|/Mkij :i=1〜8,j=1〜8
【0057】
ここで、Pijは係数ですが、特徴のない時間周波数領域では、「0」に設定し、特徴的な部分でのみ「1」とする。このように係数を設定したのは、脈波波形の特徴部分は、大きなエネルギーをもっているので、この部分に基づいて脈象を判別することができるからであり、一方、レベルの低い部分に基づいて脈象を判別すると、SN比が悪いため正確な判別が行えないからである。
【0058】
そして、比較部127は、評価データQDg,QDh,QDkの大小を比較し、最も小さい値を示す評価データに対応する脈象を、計測された脈波波形MHの脈象として特定し、脈象データZDを生成する。
【0059】
このように本実施形態によれば、脈波波形MHに同期してウエーブレット変換を施して、1つの脈波波形を複数の周波数時間領域に分割し、分割された周波数時間領域のうち、脈象を特徴的に表す部分を抽出し、これに基づいて脈象を特定するようにしたので、脈象を正確に判定することが可能となる。
【0060】
C.第2実施形態
第1実施形態に係わる脈波診断装置は、使用者が安静状態であることを前提とするものであった。ところで、心拍は人が運動するとこれに応じて強くなるので、使用者が歩行したり物を掴み上げたりすると、脈波波形が体動の影響を受けて変動する。このため、第1実施形態に係わる脈波診断装置では、体動があると脈象を正確に検出することが難しい。第2実施形態は、この点に鑑みてなされたものであり、脈波波形から体動成分をキャンセルすることにより、体動があったとしても正確に脈象が検出できる脈波診断装置を提供するものである。
【0061】
1.第2実施形態の構成
第2実施形態の外観構成は、図2に示す第1実施形態の外観構成と同一である。但し、第2実施形態に係わる脈波診断装置は、その装置本体110の内部には加速度センサ21が設けれている。
次に、第2実施形態に係わる脈波診断装置の電気的構成について説明する。図15は第2実施形態に係わる脈波診断装置のブロック図である。図において、第1のウエーブレット変換部10Aおよび第1の周波数補正部11Aは、上述した第1実施形態のウエーブレット変換部10および周波数補正部11と各々同一の構成であり、第1の周波数補正部11Aから脈波補正データMKD’が出力されるようになっている。
【0062】
また、加速度センサ21によって体動波形THが検出されると、これが第2のウエーブレット変換部10Bに供給され、体動波形THにウエーブレット変換が施され、体動解析データTKDが生成されるようになっている。ここで、第2のウエーブレット変換部10Bは、第1実施形態のウエーブレット変換部10と同様に構成される。このため、体動解析データTKDは、0〜4Hzの周波数領域を0.5Hz毎に分割した各周波数成分から構成される。また、第2の周波数補正部11Bは、第1実施形態の周波数補正部11と同様に構成され、体動解析データTKDに周波数補正を施して体動補正データTKD’を生成する。
【0063】
次に、マスク部18は、脈波補正データMKD’から体動補正データTKD’を減算して、体動成分が除去された脈波補正データMKD''を生成する。次に、脈象データ生成部12は脈波補正データMKD''に基づいて、第1実施形態と同様に脈象データZDを生成する。そして、表示部13は脈象データZDに基づいて、脈象を表示する。
【0064】
2.第2実施形態の動作
次に、第2実施形態の動作について図面を参照しつつ説明する。
この例では、脈象の検出中に使用者が手でコップを持ち上げた後、これを元の位置に戻した場合を想定する。この場合、図16(a)に示す脈波波形MHが脈波検出用センサユニット130によって検出され、また、同時に図16(b)に示す体動波形THが検出されたものとする。
【0065】
ここで、体動波形THは、時刻T1から増加しはじめ、時刻T2で正のピークとなり、その後、次第に減少して時刻T2でレベル0を通過し、時刻T3で負のピークに達し、時刻T4でレベル0に戻っている。ところで、体動波形THは加速度センサ21によって検出されるため、時刻T3は使用者がコップを最大に持ち上げた時刻に対応し、時刻T1は持上開始時刻に対応し、また、時刻T4は持上終了時刻に対応する。したがって、時刻T1から時刻T4までの期間が体動が存在する期間となる。なお、図16(c)は仮に体動がなかったとした場合の脈波波形MH’である。また、この例において、脈波波形MHの基本波周波数は、1.3Hzとなっている。
【0066】
次に、図17〜図19を参照して、図16に示す期間Tcにおける第2実施形態に係わる脈波診断装置の動作を説明する。図17に期間Tcにおける脈波補正データMKD’を示し、図18に期間Tcにおける体動補正データTKD’を示す。この図から、体動波形THには、0.0Hz〜1.0Hzの周波数領域において比較的大きなレベルの周波数成分が存在していることが判る。
脈波補正データMKD’と体動補正データTKD’が、マスク部18に供給されると、マスク部18は、脈波補正データMKD’から体動補正データTKD’を減算して、図19に示す体動成分が除去された脈波補正データMKD''を生成する。これにより、体動がある場合でもその影響をキャンセルして、安静時の脈波波形から得れる脈波補正データMKD’と同様の脈波補正データMKD''を得ることが可能となる。
【0067】
この後、脈象データ生成部12は、この脈波補正データMKD''に基づいて脈象を判定する。この例では、期間t2,t3について、2.0Hz以上の合計S1が28であるから、「S1≧15」となる。また、期間t2について4.0〜3.0Hzの周波数成分の合計S2は9となる。また、期間t3について4.0〜3.0Hzの周波数成分の合計S3は13となる。このため、「S2<S3」になる。したがって、上述した判定基準によれば滑脈と判定され、脈象データ生成部12は、脈象データZDとして滑脈であることを示すデータDkを生成する。
【0068】
このように第2実施形態にあっては、体動波形THについてもウエーブレット変換を施し、これに基づいて体動成分をキャンセルするようにしたので、日常生活や運動中であっても脈象を正確に検出することができる。
【0069】
D.第3実施形態
第2実施形態では、脈波波形のウエーブレットと体動波形のウエーブレットに各々周波数補正を施した後、体動波形のウエーブレットで脈波波形のウエーブレットをマスクした。この場合、周波数補正部が2種類必要となり、構成が複雑となる。第3実施形態はこの点に鑑みてなされたものである。
【0070】
第3実施形態の外観構成は、図2に示す第1実施形態の外観構成と同一である。但し、第3実施形態に係わる脈波診断装置は、第2実施形態と同様に装置本体110の内部には加速度センサ21が設けれている。
【0071】
次に、第2実施形態に係わる脈波診断装置の電気的構成について説明する。図20は第3実施形態に係わる脈波診断装置のブロック図である。図において、第1,第2のウエーブレット変換部10A,10Bおよび周波数補正部11は、上述した第1実施形態のウエーブレット変換部10および周波数補正部11と各々同一の構成である。
【0072】
マスク部18は、周波数補正を施す前に、脈波解析データMKDから体動解析データTKDを減算して体動成分をキャンセルした体動除去脈波データを生成する。この後、周波数補正部11は、体動除去脈波データに対して、周波数当たりのパワー密度が一定になるように周波数補正を施して脈波補正データMKD''を生成する。これにより、異なる周波数成分間でレベルの比較を行うことが可能となる。次に、脈象データ生成部12が、脈波補正データMKD''に基づいて脈象データZDを生成すると、この脈象データZDが表示部13に表示される。
【0073】
このように、第3実施形態によれば、周波数補正部11をマスク部18の後段に設けたので、脈波診断装置の構成を簡易にしつつ、体動が存在する場合であっても脈象を特定することが可能となる。
【0074】
E.第4実施形態
第2,3実施形態においては、加速度センサ21によって体動波形THを検出し、体動波形THにウエーブレット変換を施した。そして、脈波波形MHのウエーブレット変換の結果と、体動波形THのウエーブレット変換の結果とを比較して、脈波波形MHの周波数成分に含まれている体動成分をキャンセルして、脈象を特定した。しかし、加速度センサ21および第2のウエーブレット変換部10B等が必要になるので、構成が複雑なる。第4実施形態は、この点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成にもかかわらず、体動があっても正確に脈象を特定することができる脈波診断装置を提供するものである。
【0075】
1.第4実施形態の構成
第4実施形態に係わる脈波診断装置の外観構成は、図2に示す第1実施形態の外観構成と同様であるのでここでは説明を省略し、その電気的構成について説明する。図21は第4実施形態に係わる脈波診断装置のブロック図であり、周波数補正部11と脈象データ生成部12との間に体動分離部19が新たに設けられた点を除いて、第1実施形態で説明した図4と同じである。以下、相違点について説明する。
体動分離部19は、脈波補正データMKD’から体動成分を分離除去して体動分離脈波データTBDを生成する。ここで、体動分離部19は、以下に述べる体動の性質を利用している。
【0076】
体動は、腕の上下動や走行時の腕の振り等によって生じるが、日常生活においては、人体を瞬間的に動かすことはほとんどない。このため、日常生活では、体動波形THの周波数成分はそれほど高くなく、0Hz〜1Hzの範囲にあるのが通常である。この場合、脈波波形MHの基本波周波数は、1Hz〜2Hzの範囲にあることが多い。したがって、日常生活において、体動波形THの周波数成分は脈波波形MHの基本波周波数よりも低い周波数領域にある。
【0077】
一方、ジョギング等のスポーツ中にあっては、腕の振り等の影響があるため、体動波形THの周波数成分が幾分高くなるが、運動量に応じて心拍数が増加するため、脈波波形MHの基本波周波数も同時に高くなる。このため、スポーツ中においても、体動波形THの周波数成分は脈波波形MHの基本波周波数よりも低い周波数領域にあるのが通常である。
【0078】
体動分離部19は、この点に着目して体動成分を分離するものであり、脈波波形MHの基本波成分よりも低い周波数領域を無視するように構成されている。この場合には、脈波波形MHの基本波成分より高い周波数領域に体動成分が存在すると脈象の検出精度が低下する。しかしながら、上述したように体動成分は脈波波形MHの基本波成分よりも低い周波数領域にある確率が高いので、高い精度で脈象の検出を行うことができる。図22は、体動分離部19の詳細なブロック図である。波形整形部191は脈波波形MHに波形整形を施して、脈波波形MHと同期したリセットパルスを生成する。具体的には、上述した図6のリンギングフィルタ101とゼロクロス検出回路102等によって構成される。カウンタ192は図示せぬクロックパルスを計数し、前記リセットパルスによってカウント値がリセットされるようになっている。また、平均値算出回路193は、カウンタ192のカウント値の平均値を算出する。具体的には、上述した図8に示す加算器121、係数回路122,123、メモリ123等によって構成すればよい。この場合、平均値算出回路193によって算出される平均値は、脈波波形MHの平均周期に対応する。したがって、平均値を参照すれば、脈波波形MHの基本波周波数を検知できる。
【0079】
次に、置換回路194は、前記平均値に基づいて、脈波波形MHの基本波周波数を含む周波数領域を特定する。例えば、前記平均値が0.71秒を示す場合には、基本波周波数は1.4Hzとなるので、特定される周波数領域は1Hz〜1.5Hzとなる。この後、置換回路194は、特定周波数領域未満の周波数領域について、脈波補正データMKD’を「0」に置換して体動分離脈波データTBDを生成する。これにより、脈波波形MHの基本波周波数より低い周波数領域の成分は、脈象の判定に当たって無視される。この場合、体動成分とともに脈波成分も「0」に置換されてしまうが、脈波波形MHの特徴的な部分は基本波周波数よりも高域の周波数領域に存在するため、「0」に置換しても脈象の判定には影響をほとんど与えない。
【0080】
こうして生成された体動分離脈波データTBDに基づいて、図21に示す脈象データ生成部12は、脈象の判定を行って脈象データZDを生成する。そして、脈象データZDが表示部13に供給されると、表示部13は、例えば、「平脈」、「弦脈」、「滑脈」といった文字の他、特定の記号やアイコンを表示する。
【0081】
2.第4実施形態の動作
次に、第4実施形態の動作について図面を参照しつつ説明する。
この例では、脈波検出用センサユニット130によって、図16(a)に示す脈波波形MH(基本波周波数1.3Hz)が検出されたものとすれば、期間Tcの脈波補正データMKD’は、図17に示すものとなる。
この場合、置換回路194によって特定される周波数領域は1.0Hz〜1.5Hzとなるので、置換の対象となる周波数領域は、0.5Hz〜1.0Hzに対応するMa12〜Ma82と0Hz〜0.5Hzに対応するMa11〜Ma81となる。したがって、脈波補正データMKD’のデータMa12〜Ma82,Ma11〜Ma81は「0」に置換され、図23に示す体動分離脈波データTBDが生成される。
【0082】
この後、脈象データ生成部12は、この体動分離脈波データTBDに基づいて脈象を判定する。この例では、期間t2,t3について、2.0Hz以上の合計S1が28であるから、「S1≧15」となる。また、期間t2について4.0〜3.0Hzの周波数成分の合計S2は9となる。また、期間t3について4.0〜3.0Hzの周波数成分の合計S3は13となる。このため、「S2<S3」になる。したがって、上述した判定基準によれば滑脈と判定され、脈象データ生成部12は、脈象データZDとして滑脈であることを示すデータDkを生成する。
【0083】
このように第4実施形態によれば、体動成分は脈波波形MHの基本波周波数成分よりも低い周波数領域に存在することが確率的に高いという体動の性質を巧みに利用して体動成分を分離した。このため、第2,第3実施形態で必要とされた加速度センサ21や第2のウエーブレット変換部10Bといった構成を省略することができ、しかも体動がある場合でも正確に脈象を検出することが可能となる。
【0084】
F.第5実施形態
上述した第2〜第4実施形態にあっては、脈波波形MHにウエーブレット変換を施して変換結果から体動成分を除去し、その時間周波数領域のエネルギーレベルに基づいて脈象を特定した。ところで、ウエーブレット処理においては、ウエーブレット変換された変換結果に逆ウエーブレット変換を施せば時間軸上の信号を再現できることが知られている。第5実施形態は、この点に着目してなされたものであり、体動成分を除去したウエーブレット変換結果に逆ウエーブレット変換を施して、時間軸上で脈象を特定するものである。
【0085】
1.第5実施形態の構成
第5実施形態に係わる脈波診断装置の外観構成は、図2に示す第1実施形態の外観構成と同様であるのでここでは説明を省略し、その電気的構成について説明する。なお、この例にあっては、上述した第4実施形態に逆ウエーブレット変換を適用した場合を一例として説明するが、第2,第3実施形態に逆ウエーブレット変換を適用し、時間軸上で脈象を特定するようにしてもよい。
【0086】
図24に第5実施形態に係わる脈波診断装置のブロック図を示す。第5実施形態に係わる脈波診断装置は、周波数補正部11が用いられていない点、脈象データ生成部12の替わりに脈象判定部22が設けられている点、体動分離部19と脈象判定部22の間に逆ウエーブレット変換部20が設けられている点で、図21に示す第4実施形態の脈波診断装置と相違する。以下、相違点について説明する。
【0087】
まず、周波数補正部11を設けなかったのは、本例では時間軸上の信号波形から脈象を特定するため、ウエーブレット変換の変換結果を各時間周波数領域毎に比較する必要がないからである。また、他の理由は、逆ウエーブレット変換は、ウエーブレット変換の変換結果に処理を施して時間軸上の信号波形を再現するものであるから、周波数補正を施すと信号波形が正確に再現されないからである。
【0088】
次に、逆ウエーブレット変換部20は、ウエーブレット変換部10と相補的な関係にあり、以下に示す数2を演算する。
【数2】
Figure 0003747552
【0089】
これにより、体動分離脈波データTBDに基づいて、体動分離脈波波形TMHが得られる。例えば、脈波検出用センサユニット130によって図16(a)に示す脈波波形MHが検出されたとすると、期間Tcにおいて、脈波解析データMKDは図17に示すものとなる。次に、体動分離部19によって体動成分が除去されると、図23に示す体動分離脈波データTBDが得られる。そして、逆ウエーブレット変換部20によって逆ウエーブレット変換が施されると、図16(c)に示す脈波波形MH’が体動分離脈波波形TMHとして生成される。
【0090】
次に、脈象判定部22は、まず、脈象を特定するため体動分離脈波波形TMHの形状を特定する波形パラメータを抽出する。ここで、1拍分の体動分離脈波波形TMHが図25に示すごとき形状をしているとすれば、波形パラメータを以下のように定義する。なお、図21において縦軸は血圧であり、横軸は時間である。
▲1▼1拍に対応した脈波が立ち上がってから(以下、この立ち上がり時刻を脈波開始時刻という)次の拍に対応した脈波が立ち上がりを開始するまでの時間t6
▲2▼脈波内に順次現れる極大点P1,極小点P2,極大点P3,極小点P4および極大点P5の血圧値y1〜y5
▲3▼脈波開始時刻以後、上記各点P1〜P5が現れるまでの経過時間t1〜t5
【0091】
脈象判定部22は、波形パラメータを算出するために、上記極大点或いは極小点について、これら各点に関連した「ピーク情報」と呼ばれる情報を抽出する。なお、ピーク情報の詳細についてはその内容が脈象判定部の構成,動作に関連するため、回路の構成を説明した時点でピーク情報の詳細に言及する。
【0092】
図26は脈象判定部22の構成を示すブロック図である。図において181はマイクロコンピュータであって、各構成部分を制御する。184はRAMによって構成される波形メモリであり、体動分離脈波波形TMHの波形値Wを順次記憶する。191は波形値アドレスカウンタであり、マイクロコンピュータ181から波形採取指示STARTが出力されている期間、サンプリングクロックφをカウントし、そのカウント結果を波形値Wを書き込むべき波形値アドレスADR1として出力する。この波形値アドレスADR1はマイクロコンピュータ181により監視される。
【0093】
192はセレクタであり、マイクロコンピュータ181からセレクト信号S1が出力されていない場合、波形値アドレスカウンタ191が出力する波形値アドレスADR1を選択して波形メモリ184のアドレス入力端へ供給する。一方、マイクロコンピュータ181からセレクト信号S1が出力されている場合、マイクロコンピュータ181が出力する読み出しアドレスADR4を選択して波形メモリ184のアドレス入力端へ供給する。
【0094】
201は微分回路であり、ローパスフィルタ183から順次出力される波形値Wの時間微分を演算して出力する。
202は零クロス検出回路であり、波形値Wが極大値または極小値となることにより波形値Wの時間微分が0となった場合に零クロス検出パルスZを出力する。さらに詳述すると、零クロス検出回路202は、図27に例示する脈波の波形においてピーク点P1,P2,…,を検出するために設けられた回路であり、これらのピーク点に対応した波形値Wが入力された場合に零クロス検出パルスZを出力する。
【0095】
203はピークアドレスカウンタであり、マイクロコンピュータ181から波形採取指示STARTが出力されている期間、零クロス検出パルスZをカウントし、そのカウント結果をピークアドレスADR2として出力する。
204は移動平均算出回路であり、現時点までに微分回路201から出力された過去所定個数分の波形値Wの時間微分値の平均値を算出し、その結果を現時点に至るまでの脈波の傾斜を表す傾斜情報SLPとして出力する。
【0096】
205は次に述べるピーク情報を記憶するために設けられたピーク情報メモリである。ここで、以下にピーク情報の詳細について説明する。すなわち、図28に示すピーク情報の内容の詳細は以下に列挙する通りである。
▲1▼波形値アドレスADR1
ローパスフィルタ183から出力される波形値Wが極大値または極小値となった時点で波形値アドレスカウンタ191から出力されている書き込みアドレスである。換言すれば、極大値または極小値に相当する波形値Wの波形メモリ184における書き込みアドレスである。
▲2▼ピーク種別B/T
上記波形値アドレスADR1に書き込まれた波形値Wが極大値T(Top)であるか極小値B(Bottom)であるかを示す情報である。
▲3▼波形値W
上記極大値または極小値に相当する波形値である。
▲4▼ストローク情報STRK
直前のピーク値から当該ピーク値に至るまでの波形値の変化分である。
▲5▼傾斜情報SLP
当該ピーク値に至るまでの過去所定個数分の波形値の時間微分の平均値である。
【0097】
次に、マイクロコンピュータ181の制御下における脈象判定部22の動作を説明する。
【0098】
(a)波形およびそのピーク情報の採取
マイクロコンピュータ181により波形採取指示STARTが出力されると、波形値アドレスカウンタ191およびピークアドレスカウンタ203のリセットが解除される。
この結果、波形値アドレスカウンタ191によりサンプリングクロックφのカウントが開始され、そのカウント値が波形値アドレスADR1としてセレクタ192を介して波形メモリ184に供給される。そして、人体から検出された脈波信号がA/D変換器182に入力され、サンプリングクロックφに従ってデジタル信号に順次変換され、ローパスフィルタ183を介し波形値Wとして順次出力される。このようにして出力された波形値Wは、波形メモリ184に順次供給され、その時点において波形値アドレスADR1によって指定される記憶領域に書込まれる。以上の動作により、図27に例示する脈波波形に対応した一連の波形値Wが波形メモリ184に蓄積される。
【0099】
一方、上記動作と並行して、ピーク情報の検出およびピーク情報メモリ205への書込みが、以下に説明するようにして行われる。
まず、体動分離脈波波形TMHの波形値Wの時間微分が微分回路201によって演算され、この時間微分が零クロス検出回路202および移動平均算出回路204に入力される。移動平均算出回路204は、このようにして波形値Wの時間微分値が供給される毎に過去所定個数の時間微分値の平均値(すなわち、移動平均値)を演算し、演算結果を傾斜情報SLPとして出力する。ここで、波形値Wが上昇中もしくは上昇を終えて極大状態となっている場合は傾斜情報SLPとして正の値が出力され、下降中もしくは下降を終えて極小状態となっている場合は傾斜情報SLPとして負の値が出力される。
【0100】
そして、例えば図27に示す極大点P1に対応した波形値Wがローパスフィルタ183から出力されると、時間微分として0が微分回路201から出力され、零クロス検出回路202から零クロス検出パルスZが出力される。
この結果、マイクロコンピュータ181により、その時点における波形値アドレスカウンタ191のカウント値である波形アドレスADR1,波形値W,ピークアドレスカウンタのカウント値であるピークアドレスADR2(この場合、ADR2=0)および傾斜情報SLPが取り込まれる。また、零クロス検出パルスZが出力されることによってピークアドレスカウンタ203のカウント値ADR2が1になる。
【0101】
一方、マイクロコンピュータ181は、取り込んだ傾斜情報SLPの符号に基づいてピーク種別B/Tを作成する。この場合のように極大値P1の波形値Wが出力されている時にはその時点において正の傾斜情報が出力されているので、マイクロコンピュータ181はピーク情報B/Tの値を極大値に対応したものとする。そしてマイクロコンピュータ181は、ピークアドレスカウンタ203から取り込んだピークアドレスADR2(この場合、ADR2=0)をそのまま書込アドレスADR3として指定し、波形値W,この波形値Wに対応した波形アドレスADR1,ピーク種別B/T,傾斜情報SLPを第1回目のピーク情報としてピーク情報メモリ205に書き込む。なお、第1回目のピーク情報の書き込みの場合は、直前のピーク情報がないためストローク情報STRKの作成および書き込みは行わない。
【0102】
その後、図27に示す極小点P2に対応した波形値Wがローパスフィルタ183から出力されると、上述と同様に零クロス検出パルスZが出力され、書込アドレスADR1,波形値W,ピークアドレスADR2(=1),傾斜情報SLP(<0)がマイクロコンピュータ181により取り込まれる。
そして、上記と同様、マイクロコンピュータ181により、傾斜情報SLPに基づいてピーク種別B/T(この場合、”B”)が決定される。また、マイクロコンピュータ181によりピークアドレスADR2よりも1だけ小さいアドレスが読み出しアドレスADR3としてピーク情報メモリ205に供給され、第1回目に書き込まれた波形値Wが読み出される。そして、マイクロコンピュータ181により、ローパスフィルタ183から今回取り込んだ波形値Wとピーク情報メモリ205から読み出した第1回目の波形値Wとの差分が演算され、ストローク情報STRKが求められる。このようにして求められたピーク種別B/T,ストローク情報STRKが他の情報,すなわち波形値アドレスADR1,波形値W,傾斜情報SLP,と共に第2回目のピーク情報としてピーク情報メモリ205のピークアドレスADR3=1に対応した記憶領域に書き込まれる。以後、ピーク点P3,P4,…,が検出された場合も同様の動作が行われる。
そして所定時間が経過すると、マイクロコンピュータ181により波形採取指示STARTの出力が停止され、波形値Wおよびピーク情報の採取が終了する。
【0103】
(b)脈波波形の分割処理
ピーク情報メモリ205に記憶された各種情報のうち、波形パラメータの採取を行う1拍分の波形に対応した情報を特定するための処理がマイクロコンピュータ181により行われる。
まず、ピーク情報メモリ205から各ピーク点P1,P2,…,に対応した傾斜情報SLPおよびストローク情報STRKが順次読み出される。次いで、各ストローク情報STRKの中から正の傾斜に対応したストローク情報(すなわち、対応する傾斜情報SLPが正の値となっているもの)が選択され、これらのストローク情報の中からさらに値の大きなもの上位所定個数が選択される。そして、選択されたストローク情報STRKの中から中央値に相当するものが選択され、波形パラメータの抽出を行うべき1拍分の脈波の立ち上がり部(例えば図27において符号STRKMによって示した立ち上がり部)のストローク情報が求められる。そして、当該ストローク情報のピークアドレスよりも1だけ前のピークアドレス(すなわち、波形パラメータの抽出を行うべき1拍分の脈波の開始点P6のピークアドレス)が求められる。
【0104】
(c)波形パラメータの抽出
マイクロコンピュータ181は、ピーク情報メモリ205に記憶された上記1拍分の脈波に対応した各ピーク情報を参照して各波形パラメータを算出する。この処理は例えば次のようにして求められる。
▲1▼血圧値y1〜y5
ピーク点P7〜P11に対応する波形値をそれぞれy1〜y5とする。
▲2▼時間t1
ピーク点P7に対応する波形アドレスからピーク点P6に対応する波形アドレスを差し引き、その結果に対してサンプリングクロックφの周期を乗じてt1 を算出する。
▲3▼時間t2〜t6
上記t1と同様、対応する各ピーク点間の波形アドレス差に基づいて演算する。
そして、以上のようにして得られた各波形パラメータはマイクロコンピュータ181内部のバッファメモリに蓄積される。
【0105】
(d)波形パラメータに基づく脈象の判定処理
以下、波形パラメータに基づく脈象の判定処理について図29に示すフローチャートを参照して説明する。
d−1:主波の波形幅Wtの算出動作
上述したようにピーク情報は、図25に示す波形ピークP1〜P5についての時間t1〜t5、血圧y1〜y4、および波形の1周期t6からなる。一般に、脈波波形は、最初の昇降による主波(ピーク点P1に対応)、それに続く重拍前波(ピーク点P3に対応)、降中狭(ピークP点3からピーク点P4に対応)および重拍波(ピーク点P5に対応)から成り立っている。主波は左心室の急性駆出期に相当する。重拍前波は大動脈の弾性拡大と抹消反射波の相互関係によって構成される。降中狭は左心室拡張期の大動脈の圧力を表し、拡張期圧に相応する。さらに、重拍波は大動脈弁閉鎖に伴う外端血流の逆流による波である。
【0106】
マイクロコンピュータ181は、ピーク情報に基づいて、脈波の種類を以下のように判別するが、これに先立ち、図25に示すWtを算出する。Wtは、主波の高さy1から1/3の位置における波形幅である。図21において、マイクロコンピュータ181は、2*y1/3を算出し(ステップS300)、算出結果と波形メモリ184から読み出した波高値をこれと順次比較する。そして、両者が一致した時点の波形アドレスをマイクロコンピュータ181内のバッファメモリに格納する(ステップS301)。これにより点Qa,点Qbの時間を求め、両者の差を演算して主波の波形幅Wtを算出する(ステップS302)。
【0107】
d−2:脈の種類の判別動作
次にマイクロコンピュータ181は、脈の種類は以下のようにして判別する。
▲1▼弦脈は、図11に示すように、重拍前波が主波と融合しているため、1)主波が広くまた2)主波の高さに対して重拍前波の高さが比較的高い等の特徴である。このため、マイクロコンピュータ181は、以下の関係式(55)〜(59)を演算し、これらを満たす場合に弦脈と判定する(ステップS303)。
0.20<Wt/t<0.28 …(55)
y3/y1≧0.7 …(56)
y4/y1≧0.5 …(57)
(y5−y4)/y1<0.03 …(58)
t1<0.12 …(59)
【0108】
▲2▼平脈は、図12に示すように、主波、重拍前波、重拍波からなる三峰波である。このため、マイクロコンピュータ181は、以下の関係式(60)〜(64)を演算し、これらを満たす場合に平脈と判定する(ステップS304)。
y3/y1<0.7 …(60)
y3/y1>y4/y1 …(61)
0.3≦y4/y1<0.5 …(62)
(y5−y4)/y1>0.05 …(63)
0.12<Wt/t<0.2 …(64)
【0109】
▲3▼滑脈は、図13に示すように、主波と重拍前波がほとんど重なっている二峰波である。このため、マイクロコンピュータ181は、以下の関係式(65)〜(68)を演算し、これらを満たす場合に滑脈と判定する(ステップS305)。
0.2<y3/y1<0.4 …(65)
0.2<y4/y1<0.4 …(66)
(y5−y4)/y1>0.1 …(67)
Wt/t<0.20 …(68)
こうして、脈象の種類が特定されると、脈象判定部22は、脈象を示す脈象データZDを生成する(ステップS306)。なお、上記した弦脈、平脈、滑脈のいずれにも該当しない場合には、エラーとして処理される(ステップS306)。
【0110】
このように第5実施形態においては、脈波波形MHにウエーブレット変換を施し、体動の性質を巧みに利用して体動成分を分離し、再び体動分離脈波波形TMHを再構成した。これにより、ノイズ成分として作用する体動成分を除去することができ、体動がある場合でも信号波形を用いて正確に脈象を検出することが可能となる。
【0111】
G.変形例
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような各種の変形が可能である。
(1)上述した各実施形態では、周波数補正手段を、異なる周波数領域でエネルギーを比較するために用いたが、ある周波数領域に着目して、そこのエネルギーレベルに基づいて脈象を特定してもよい。
例えば、第1実施形態において、周波数補正手段を省略した場合には、ウエーブレット変換手段は、脈波検出用センサユニット130によって検出された脈波波形MHにウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析データMKDを生成し、この脈波解析データMKDに演算処理を施して、脈波波形の種類を示す脈象データZDを生成すればよい(請求項1に対応)。
【0112】
例えば、第2,3実施形態において、周波数補正手段を省略した場合には、脈波検出用センサユニット130によって脈波波形MHが検出されると、第1のウエーブレット変換部10Aは脈波波形MHにウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析データMKDを生成する。また、加速度センサ21によって体動波形THが検出されると、第2のウエーブレット変換部10Bは体動波形THにウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に体動解析データTKDを生成する。この後、マスク部18が脈波解析データMKDから体動解析データTKDを減算して、体動を除去した補正脈波データMKD''を生成すると、脈象データ生成部12は、補正脈波データMKD''に演算処理を施して、脈波波形MHの種類を示す脈象データZDを生成するようにしてもよい(請求項2に対応)。
【0113】
(2)上述した第5実施形態では、体動分離部19の出力に逆ウエーブレット変換を施して体動分離脈波波形TMHを生成したが、本発明は体動が除去されたウエーブレットを再構成して時間軸上で脈象を評価するものであるから、これに限定されるものでなく、体動が除去されたウエーブレットに基づいて逆ウエーブレットを施すものであれば、いかなるものであってもよい。例えば、脈波検出用センサユニット130によって脈波波形MHが検出されると、第1のウエーブレット変換部10Aは脈波波形MHにウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析データMKDを生成する。また、加速度センサ21によって体動波形THが検出されると、第2のウエーブレット変換部10Bは体動波形THにウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に体動解析データTKDを生成する。この後、マスク部19が脈波解析データMKDから体動解析データTKDを減算して、体動を除去した補正脈波データMKD''を生成し、これに逆ウエーブレット変換を施してもよい(請求項7に対応)。
【0114】
(3)上述した各実施形態において、各ウエーブレット変換部10,10A,10Bは基底関数展開部Wを備え、これによりウエーブレット変換を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ウエーブレット変換をフィルタバンクによって実現してもよい。フィルタバンクの構成例を図30に示す。図において、フィルタバンクは3段で構成されており、その基本単位は、高域フィルタ1Aおよびデシメーションフィルタ1Cと、低域フィルタ1Bおよびデシメーションフィルタ1Cである。高域フィルタ1Aと低域フィルタ1Bは、所定の周波数帯域を分割して、高域周波数成分と低域周波数成分を各々出力するようになっている。この例にあっては脈波データMDの周波数帯域として0Hz〜4Hzを想定しているので、一段目の高域フィルタ1Aの通過帯域は2Hz〜4Hzに設定され、一方、一段目の低域フィルタ1Bの通過帯域は0Hz〜2Hzに設定される。また、デシメーションフィルタ1Cは、1サンプルおきにデータを間引く。
こうして生成されたデータが次段に供給されると、周波数帯域の分割とデータの間引きが繰り返され、最終的には、0Hz〜4Hzの周波数帯域を8分割したデータM1〜M8が得られる。
【0115】
また、高域フィルタ1Aと低域フィルタ1Bとは、その内部に遅延素子(Dフリップフロップ)を含むトランスバーサルフィルタで構成すればよい。ところで、人の脈拍数は40〜200の範囲にあり、脈波波形MHの基本波周波数は、生体の状態に応じて刻々と変動する。この場合、基本波周波数に同期して、分割する帯域を可変することができれば、動的な生体の状態に追従した情報を得ることができる。そこで、トランスバーサルフィルタに供給するクロックを脈波波形MHとさせることによって、分割する帯域を適応的に可変してもよい。
【0116】
また、脈波解析データMKDのうち、脈波波形MHの特徴を表す代表的な周波数成分は、基本波、第2高調波および第3高調波の各周波数成分である。したがって、フィルタバンクの出力データM*1〜M*8のうち一部を用いて脈象を判定するようにしてもよい。この場合、上述したようにフィルタバンクを脈波波形MHに同期するように構成すれば、高域フィルタ1A、低域フィルタ1Bおよびデシメーションフィルタ1Cの一部を省略して、構成を簡易なものにすることができる。
【0117】
(4)上述した第5実施形態において、ウエーブレット変換部10を図30に示すフィルタバンクで構成した場合には、逆ウエーブレット変換部20を図31に示すフィルタバンクで構成してもよい。図において、フィルタバンクは3段で構成されており、その基本単位は、高域フィルタ2Aおよび補間フィルタ2Cと、低域フィルタ1Bおよび補間フィルタ2Cと、加算器2Dである。高域フィルタ2Aと低域フィルタ2Bは、所定の周波数帯域を分割して、高域周波数成分と低域周波数成分を各々出力するようになっている。また、補間フィルタ2Cは、2サンプル毎に1サンプルを内挿補間する。
【0118】
ここで、波形を再現するためには、図30に示すフィルタバンクと図31に示すフィルタバンクに完全再構成フィルタバンクを用いる必要がある。この場合、高域フィルタ1A,2Aおよび低域フィルタ1B,2Bの特性は、以下の関係があることが必要である。
H0(-Z)F0(Z)+H1(-Z)F1(Z)=0
H0(Z)F0(Z)+H1(-Z)F1(Z)=2Z-L
【0119】
また、高域フィルタ2Aと低域フィルタ2Bとは、その内部に遅延素子(Dフリップフロップ)を含むトランスバーサルフィルタで構成すればよい。なお、ウエーブレット変換部10で使用するフィルタバンクを、脈波波形MHの基本波周波数に同期して、分割する帯域を可変するため、供給するクロックを脈波波形MHと同期させた場合には、このクロックを高域フィルタ2Aと低域フィルタ2Bに供給してもよい。
【0120】
(5)上述した第2,第3実施形態においては、加速度センサ21によって体動波形THを検出した。ところで、体動が検出される場合は、利用者が運動状態にあるため、脈波波形MHの基本波周波数が高くなる。この脈波波形MHは、第1のウエーブレット変換部10Aにて周波数解析されるが、周波数解析の対象となる周波数領域を固定にすると、脈波波形MHの特徴部分を十分に解析することが困難となる。例えば、安静状態で脈波波形MHの基本波周波数が1Hzであった人が、ランニングを行い、脈波波形MHの基本波周波数が2Hz(脈拍数120に相当)に変化したとする。安静状態においては、第2実施形態で説明したように0〜4Hzの範囲でウエーブレット変換を行うことにより、脈波波形MHの第3高調波まで周波数解析を行うことができる。しかし、ランニング中にあっては、第3高調波は6Hzとなるので、周波数解析を行うことができなくなってしまう。
【0121】
そこで、体動波形THに基づいて運動量を求め、運動量が大きくなるにつれウエーブレット変換を行う周波数領域を高い領域へシフトするように第1,第2のウエーブレット変換部10A,10Bを制御してもよい。
また、第1,第2のウエーブレット変換部10A,10Bを上述したフィルタバンクで構成する場合にあっては、そのクロック周波数を運動量に応じて制御すればよい。すなわち、運動量が増加するにつれ、クロック周波数を高くするように周知のフィードバック制御を施すようにすればよい。
【0122】
ランニング中にあっては、体動波形THのピッチは、腕の往復ピッチを示しており、足のスライドピッチと一定の関係があり、腕の振り一回に対して2歩進むのが通常である。また、運動量は走行速度と歩幅の積で表すことができる。一般に、走行速度が上がるとともにピッチも上がり、また、歩幅は減少する傾向にある。したがって、体動波形THのピッチと運動量には一定の関係がある。 例えば、図32は、第1に、グランド走における走行速度および拍数の関係と、第2に、走行速度および走行ピッチの関係とを、同じ図上で示したものである。この図に示すように、被験者の拍数および走行ピッチは、走行速度とともに増加することが判る。すなわち、走行ピッチが高くなると、これに伴い運動量と拍数が増加することが判る。したがって、、体動波形THのピッチと運動量の関係を予め測定し、これをテーブルに格納しておき、このテーブルを参照して、運動量を算出するようにしてもよい。
【0123】
また、図32より、体動波形THのピッチと心拍数との間にも一定の関係があると考えられるので、体動波形THのピッチと周波数解析の対象とする周波数領域の関係をテーブルに格納しておき、計測された体動波形THのピッチに基づいて、テーブルを参照して周波数解析の対象となる周波数領域を読み出すようにしてもよい。より具体的には、、体動波形THのピッチと最適なクロック周波数の関係を予め測定し、これをテーブルに格納しておき、このテーブルを参照して、クロック周波数を定めるようにすればよい。
これらの場合、体動波形THのピッチとの関係を詳細に求めなくとも、数カ所のデータを格納しておき、残りのデータについては補間により求めるようにしてもよい。
【0124】
(6)また、上述した各実施形態においては、表示部13を告知手段の一例として説明したが、装置から人間に対して告知をするための手段としては以下説明するようなものが挙げられる。これら手段は五感を基準に分類するのが適当かと考えられる。なお、これらの手段は、単独で使用するのみならず複数の手段を組み合わせても良いことは勿論である。そして、以下説明するように、例えば視覚以外に訴える手段を用いれば、視覚障害者であっても告知内容を理解することができ、同様に、聴覚以外に訴える手段を用いれば聴覚障害者に対して告知を行うことができ、障害を持つ使用者にも優しい装置を構成できる。
【0125】
まず、聴覚に訴える告知手段としては、脈象の分析・診断結果などを知らせるための目的、あるいは警告の目的でなされるものなどがある。例えば、ブザーの他、圧電素子、スピーカが該当する。また、特殊な例として、告知の対象となる人間に携帯用無線呼出受信機を持たせ、告知を行う場合にはこの携帯用無線呼出受信機を装置側から呼び出すようにすることが考えられる。また、これらの機器を用いて告知を行うにあたっては、単に告知するだけではなく、何らかの情報を一緒に伝達したい場合も多々ある。そうした場合、伝えたい情報の内容に応じて、以下に示す音量等の情報のレベルを変えれば良い。例えば、音高、音量、音色、音声、音楽の種類(曲目など)である。
【0126】
次に、視覚に訴える告知手段が用いられるのは、装置から各種メッセージ,測定結果を知らせる目的であったり、警告をするためであったりする。そのための手段として以下のような機器が考えられる。例えば、ディスプレイ装置、CRT(陰極線管表示装置),LCD(液晶表示ディスプレ)、プリンタ、X−Yプロッタ、ランプなどがある。なお、特殊な表示装置として眼鏡型のプロジェクターがある。また、告知にあたっては以下に示すようなバリエーションが考えられる。例えば、数値の告知におけるデジタル表示,アナログ表示の別、グラフによる表示、表示色の濃淡、数値そのまま或いは数値をグレード付けして告知する場合の棒グラフ表示、円グラフ、フェイスチャート等である。フェイスチャートとしては、例えば、老人の顔を弦脈に、健康な壮年の顔を平脈に、不健康な壮年の顔を滑脈に各々対応させてもよい。
【0127】
次に、触覚に訴える告知手段は、警告の目的で使用されることがあると考えられる。そのための手段として以下のようなものがある。まず、腕時計等の携帯機器の裏面から突出する形状記憶合金を設け、この形状記憶合金に通電するようにする電気的刺激がある。また、腕時計等の携帯機器の裏から突起物(例えばあまり尖っていない針など)を出し入れ可能な構造としてこの突起物によって刺激を与える機械的刺激がある。
【0128】
次に、嗅覚に訴える告知手段は、装置に香料等の吐出機構を設けるようにして、告知する内容と香りとを対応させておき、告知内容に応じた香料を吐出するように構成しても良い。ちなみに、香料等の吐出機構には、マイクロポンプなどが最適である。
【0129】
(7)上述した各実施形態においては、脈波検出手段f1の一例として脈波検出用センサユニット130を取りあげ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、脈動を検出できるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0130】
例えば、脈波検出用センサユニット130は反射光を利用したものであったが、透過光を利用したものであってもよい。ところで、波長領域が700nm以下の光は、指の組織を透過しにくい傾向がある。このため、透過光を利用する場合は、発光部から波長が600nm〜1000nmの光を照射し、照射光を組織→血管→組織の順に透過させ、この透過光の光量変化を検出する。透過光は血液中のヘモグロビンの吸収を受けるので、透過光の光量変化を検出することによって、脈波波形を検出することができる。
【0131】
この場合、発光部には、InGaAs系(インジウム−ガリウム−砒素)やGaAs系(ガリウム−砒素)のレーザー発光ダイオードが好適である。ところで、波長が600nm〜1000nmの外光は組織を透過し易いので、受光部に外光が入射すると脈波信号のS/Nが劣化してしまう。そこで、発光部から偏光したレーザー光を照射し、透過光を偏光フィルタを介して受光部で受光するようにしてもよい。これにより、外光の影響を受けることなく、脈波信号を良好なS/N比で検出することができる。
【0132】
この場合には、図33(a)に示すように、発光部200を締着具145の締め付け側に設け、時計本体側には受光部201を設けている。この場合、発光部200から照射された光は、血管143を透過した後、橈骨202と尺骨203の間を通って、受光部201に達する。なお、透過光を用いる場合には、照射光は組織を透過する必要があるため、組織の吸収を考慮すると、その波長は600nm〜1000nmであることが望ましい。
【0133】
また、同図(b)は検出部位を耳朶とする例である。把持部材204と把持部材205は、バネ207で付勢され、軸206を中心に回動できるようになっている。また、把持部材204と把持部材205には、発光部200と受光部201が設けられている。この脈波検出部を用いる場合には、耳朶を把持部材204と把持部材205で把持して脈波を検出する。なお、反射光を用いる場合には、同図(c)に示すように指尖部から脈波波形MHを検出するようにしてもよい。
【0134】
次に、光電式脈波センサを眼鏡と組み合わせた使用態様を説明する。なお、この眼鏡の形態では、使用者に対する告知手段としての表示装置も一緒に組み込まれた構造になっている。したがって、脈波検出部として以外に表示装置としての機能についても併せて説明する。
図34は、脈波検出部が接続された装置を眼鏡に取り付けた様子を表わす斜視図である。図のように、装置本体は本体75aと本体75bに分かれ、それぞれ別々に眼鏡の蔓76に取り付けられており、これら本体が蔓76内部に埋め込まれたリード線を介して互いに電気的に接続されている。
【0135】
本体75aは表示制御回路を内蔵しており、この本体75aのレンズ77側の側面には全面に液晶パネル78が取り付けられ、また、該側面の一端には鏡79が所定の角度で固定されている。さらに本体75aには、光源(図示略)を含む液晶パネル78の駆動回路と、表示データを作成するための回路が組み込まれている。この光源から発射された光は、液晶パネル78を介して鏡79で反射されて、眼鏡のレンズ77に投射される。また、本体75bには、装置の主要部が組み込まれており、その上面には各種のボタンが設けられている。なお、これらボタン80,81の機能は装置毎に異なる。また。光電式脈波センサを構成するLED32およびフォトトランジスタ33(図3を参照)はパッド82,83に内蔵されると共に、パッド82,83を耳朶へ固定するようになっている。これらのパッド82,83は、本体75bから引き出されたリード線84,84によって電気的に接続されている。
【0136】
次に、圧力センサによって脈波波形MHを検出する例を説明する。図35(a)は圧力センサを用いた脈波診断装置の外観構成を示す斜視図である。この図に示すように、脈波診断装置1には、一対のバンド144,144が設けられており、その一方の締着具145の締め付け側には、圧力センサ130’の弾性ゴム131が突出して設けられている。締着具145を備えるバンド144は、圧力センサ130による検出信号を供給するべくFPC(Flexible Printed Circuit)基板を軟性プラスチックで被覆した構造(詳細は図示省略)となっている。
【0137】
また、使用時においては、図35(b)に示すように、締着具145に設けられた弾性ゴム131が橈骨動脈143の近傍に位置するべく、腕時計146が被験者の左腕147に巻回される。このため、脈波を恒常的に検出することが可能となる。なお、この巻回については通常の腕時計の使用状態と何等変わることがない。こうして弾性ゴム131が、被験者の橈骨動脈143近傍に押圧されると、該動脈の血流変動(すなわち脈波)が弾性ゴム131を介して圧力センサ130’に伝達され、圧力センサ130’はこれを血圧として検知する。
【0138】
(8)上述した第2実施形態において、第1のウエーブレット変換部10Aは、図36に示すように構成してもよい。
図36において、振幅検出回路110に体動波形THが供給されると、その振幅値PPが検出される。この振幅値PPは、比較器111によって基準値REFと比較され、比較器111では振幅値PPが基準値REFを上回る期間にローレベルとなり、振幅値PPが基準値REFを下回る期間にハイレベルとなる制御信号が生成される。この制御信号は体動の有無を表しており、ローレベルの期間は体動があり、ハイレベルの期間は体動がない。この場合、基準値REFは体動の有無を判別できるように実験で予め定められている。次に、ゲート回路112は制御信号に基づいて脈波波形MHにゲートをかける。具体的には、制御信号がハイレベルの期間、脈波波形MHをリンギングフィルタに供給し、一方、制御信号がローレベルの期間、脈波波形MHをリンギングフィルタ101に供給しないようにする。これにより、体動有りの期間においては、脈波波形MHをマスクすることができる。
【0139】
この場合、リンギングフィルタ101のQ値は高く設定されているので、脈波波形MHの供給が一定期間停止したとしても、停止前の出力波形に連続した正弦波を出力し続けることができる。したがって、体動がある場合であっても、脈波波形MHの周期を算出し、これに基づいてウエーブレット変換を施すことが可能となる。
【0140】
(9)上述した各実施形態においては、脈波波形MHにウエーブレット変換を施すことによって脈象を判定したが、生体の各種情報を得るためにウエーブレット変換の変換結果を利用してもよい。
1)例えば、リラッククス度を脈波波形や心電波形を解析することによって検出してもよい。
心電図において、ある心拍のR波と次の心拍のR波との時間間隔はRR間隔と呼ばれている。このRR間隔は人体における自律神経機能の指標となる数値である。図37は、心電図における心拍と、これら心拍の波形から得られるRR間隔を図示したものである。同図からもわかるように、心電図の測定結果の解析によれば、RR間隔が時間の推移とともに変動することが知られている。
【0141】
一方、橈骨動脈部などで測定される血圧の変動は収縮期血圧および拡張期血圧の一拍毎の変動として定義され、心電図におけるRR間隔の変動と対応している。図38は心電図と血圧との関係を示したものである。この図からわかるように、一拍毎の収縮期および拡張期の血圧は、各RR間隔における動脈圧の最大値,および該最大値の直前に見られる極小値として測定される。
これら心拍変動ないしは血圧変動のスペクトル分析を行うことにより、これらの変動が複数の周波数の波から構成されていることがわかる。これらは以下に示す3種類の変動成分に区分される。
▲1▼ 呼吸に一致した変動であるHF(High Frequency)成分
▲2▼ 10秒前後の周期で変動するLF(Low Frequency)成分
▲3▼ 測定限界よりも低い周波数で変動するトレンド(Trend)
【0142】
測定した脈波の各々について、隣接する脈波と脈波の間のRR間隔を求めて、得られたRR間隔の離散値を適当な方法(たとえば3次のスプライン補間)により補間する(図37を参照)。そして、補間後の曲線にFFT処理を施してスペクトル分析を行うことで、上記の変動成分を周波数軸上のピークとして取り出すことが可能となる。図39(a)は、測定した脈波のRR間隔の変動波形、および該変動波形を上記3つの周波数成分に分解した場合の各変動成分の波形を示している。また図39(b)は、図39(a)に示したRR間隔の変動波形に対するスペクトル分析の結果である。
【0143】
この図からわかるように、たとえば安静時の場合は、0.07Hz付近,0.25Hz付近の2つの周波数においてピークが見られ、前者がLF成分であり後者がHF成分である。なお、トレンドの成分は測定限界以下であるため図からは読み取れない。
LF成分は交感神経の緊張度の度合いを表しており、本成分の振幅が大きいほど緊張度が増している(或いは興奮状態にある)こととなる。一方、HF成分は副交感神経の緊張度の度合いを表しており、本成分の振幅が大きいほどリラックスしている(或いは鎮静状態にある)ことを意味する。
【0144】
LF成分およびHF成分の振幅値には個人差があるので、このことを考慮した場合、LF成分とHF成分の振幅比である「LF/HF」が被験者の緊張度の推定に有用である。上述したLF成分とHF成分の特質から、「LF/HF」の値が大きいほど緊張の度合いが高く、「LF/HF」の値が小さいほど緊張の度合いは低くリラックスしていることとなる。
一方、RR50とは、所定時間の脈波の測定において、連続する2心拍のRR間隔に対応する脈波の間隔の絶対値が50ミリ秒以上変動した個数で定義される。RR50の値が大きいほど被験者は鎮静状態にあり、RR50の値が小さいほど興奮状態にあることが解明されている。
【0145】
したがっで、心電波形や脈波波形をウエーブレット変換することによって上記したLF、HFを算出し、これに基づいてリラックス度を算出するようにしてもよい。また、心電波形や脈波波形は1心拍毎に急峻に立ち上がるから、心電波形や脈波波形をウエーブレット変換すると、立ち上がり部分で高域周波数成分が大きくなる。したがって、高域周波数成分の変動からRR間隔を求め、これに基づいてRR50を算出し、リラックス度を検出するようにしてもよい。
【0146】
2)近年、自動車等の運転中における居眠りを原因とした交通事故が多発している。そのため、こうした事故を未然に防止する目的で従来より様々な装置が案出されている。一例を挙げればハンドルに取り付けた装置が考えられる。このような装置では、ハンドルの左右に導体を張り付けておき、ドライバーの両手が常時この導体に触れるようにして人体(ドライバー)の抵抗の測定を行う。ドライバーが居眠りをしてハンドルから手を離せば導体間の抵抗値が変化することになるので、この現象を居眠りとして捉えてドライバーへ警告音を発するようにすれば事故を未然に防ぐことができる。
また、他の例として、ドライバーの心電図の測定から得られる心拍変動を利用するもの,ドライバーの呼吸の変動を利用するものなどが考えられている。
【0147】
ところで、上述したようなハンドルに導体を張り付ける方式では、ドライバーが片手で運転している場合,ドライバーが手袋をしているような場合などには正確な居眠り監視ができない。また、心拍変動や呼吸変動等を捉える方式では、装置が大がかりなものとなる上、日常、ドライバーが携帯するには不向きである。そこで、脈波波形をウエーブレット変換した結果から人体の覚醒レベルを解析することによって居眠り状態を検出してもよい。
【0148】
ウエーブレット変換を適用した居眠り防止装置では、脈波に含まれる情報と人体の覚醒レベルとの間に存する相関関係を基礎として、人体の居眠りの状態を検出するものである。その際、脈波から得られる幾つかの測定量を人体の覚醒状態を判断する上での指標としており、その具体例として以下ではLF,HF,「LF/HF」,RR50を用いる。上記相関関係によれば、眠りが深くなるにつれて生体の状態は鎮静状態へ向かうことから、居眠りをすることによって例えばRR50の値が徐々に大きくなってゆくものと考えられる。したがって、これら指標の変化を検出することで居眠りが検出できることになる。
【0149】
3)また、脈波波形を用いて運動強度を算出することが行われるが、これに上述した脈波診断装置を適用することも可能である。
この理論的根拠となる原理について説明する。まず、本発明者らは、エルゴメトリーにおける運動強度の指標に役立てるため、被験者に対し、走行速度を段階的に変化させ、各種データを採取する実験を行なった。この実験結果について、図40を参照して説明する。
同図(a)は、第1に、グランド走における走行速度および拍数の関係と、第2に、走行速度および走行ピッチの関係とを、同じ図上で示したものである。この図に示すように、被験者の拍数および走行ピッチは、走行速度とともに増加することが判る。
同図(b)は、グランド走における走行速度および被験者の主観的運動強度の関係を示す図である。ここで、主観的運動強度は、被験者がその速度で走行した場合、どのような主観的感覚を伴うかを点数付けしたものであり、図4に示すように、「きつい」と感じるほどに高くなるように設定されている。図3(b)に示すように、走行速度が高くなると、主観的運動強度を示す点数も大きくなり、被験者が感じる「きつさ」の程度も高くなることが判る。
次に、同図(c)は、グランド走における走行速度と、耳朶採血法により求められた血中乳酸濃度との関係を示す図である。この図に示すように、点A付近において、被験者の血中乳酸濃度が急激に上昇し始めることが判る。
【0150】
周知のように、乳酸は疲労物質であるため、この濃度が高くなると、強度一定で運動を持続することができなくなる。逆に言えば、持続性運動を単に行なうのであれば、乳酸濃度が低い領域の強度で運動を行なえば良い。一方、乳酸濃度が低く抑えられる運動強度であっても、被験者が「楽」と感じる運動強度であれば、トレーニングの効果が期待できない。
このため、全身持久力を高めるために、持続性運動を行なうのであれば、被験者の血中乳酸濃度が低い領域の運動強度であって、被験者が「ややきつい」と感じる運動強度で行なうのが好ましいと考えられる。このような運動強度は、図において点Aに相当している。
実際、血中乳酸濃度が上昇し始める点Aに相当する運動強度について、最大酸素摂取量を用いた相対的強度で示すと、ほぼ50%VO2max/wtであることが知られている。また、この値は、全身持久力を高めるために行なうトレーニングの運動強度として適切であることも知られている。
したがって、点Aに相当する運動強度は、運動時における被験者の肉体的・精神的を考慮した運動強度であって、全身持久力を高めるためのトレーニングを行なう際の指標となるべき運動強度であると言える。
【0151】
しかしながら、点Aを直接求めるには、運動時において血中乳酸濃度を継続して測定しなければならない。このことは、実際問題として極めて困難である。ところで、乳酸濃度の上昇点A付近において、被験者の拍数とピッチとが互い同期している。一方、運動時の拍数や走行ピッチを用いれば、運動強度を表わすことができる。
したがって、被験者の拍数とピッチとが一致する地点を判定し、その地点での運動強度を求めることによって、点Aに相当する運動強度が間接的に求めることが可能となる。そして、この運動強度を告知することで、全身持久力を高めるためのトレーニングを行なう際の適切な指標が提供されることとなる。
【0152】
そこで、被験者の拍数を脈波波形のウエーブレット変換結果と体動波形のウエーブレット変換結果から算出し、被験者のピッチを体動波形のウエーブレット変換結果から算出して、最適な運動強度を求めればよい。
【0153】
【発明の効果】
上述したように本発明に係わる発明特定事項によれば、簡易な構成で確実に脈象を検出することができる。また、日常生活や運動中であっても脈象を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係わる脈波診断装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図2】 第1実施形態に係わる脈波診断装置の外観構成を示す斜視図である。
【図3】 同実施形態に係わる脈波検出用センサユニット130の回路図である。
【図4】 同実施形態に係わる脈波診断装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】 同実施形態に係わるウエーブレット変換部10のブロック図である。
【図6】 同実施形態に係わる波形整形部100のブロック図である。
【図7】 同実施形態に係わるウエーブレット変換部10の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】 同実施形態において1回の心拍で生成される脈波解析データMKDを示す図である。
【図9】 同実施形態に係わる脈象データ生成部12のブロック図である。
【図10】 同実施形態に係わるメモリ124に格納される脈波補正データMKD’の平均値を示す図である。
【図11】 同実施形態において弦脈の代表的波形と平均値の関係を示す図である。
【図12】 同実施形態に係わる平脈の代表的波形と平均値の関係を示す図である。
【図13】 同実施形態に係わる滑脈の代表的波形と平均値の関係を示す図である。
【図14】 同実施形態に係わる脈象データ生成部12の他の構成例を示すブロック図である。
【図15】 第2実施形態に係わる脈波診断装置のブロック図である。
【図16】 同実施形態に係わる脈波診断装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図17】 同実施形態において、期間Tcにおける脈波補正データMKD’を示す図である。
【図18】 同実施形態において、期間Tcにおける体動補正データTKD’を示す図である。
【図19】 同実施形態において、体動成分が除去された脈波補正データMKD''を示す図である。
【図20】 第3実施形態に係わる脈波診断装置のブロック図である。
【図21】 第4実施形態に係わる脈波診断装置のブロック図である。
【図22】 同実施形態に係わる体動分離部19の詳細なブロック図である。
【図23】 同実施形態に係わる体動分離脈波データTBDの一例を示す図である。
【図24】 第5実施形態に係わる脈波診断装置のブロック図
【図25】 同実施形態に係わる1拍分の体動分離脈波波形TMHの一例を示す図である。
【図26】 同実施形態に係わる脈象判定部22の構成を示すブロック図である。
【図27】 同実施形態に係わる脈波波形の一例を示す図である。
【図28】 同実施形態に係わるピーク情報の内容を示す図である。
【図29】 同実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図30】 変形例においてウエーブレット変換をフィルタバンクで構成した場合の例を示すブロック図である。
【図31】 変形例において逆ウエーブレット変換をフィルタバンクで構成した場合の例を示すブロック図である。
【図32】 変形例において走行ピッチ及び拍数と走行速度の関係を示す図である。
【図33】 変形例に係わる光電式脈波センサの例を示す図である。
【図34】 変形例において光電式脈波センサを眼鏡に応用した例を示す図である。
【図35】 変形例において圧力センサを用いた脈波診断装置の外観構成を示す斜視図である。
【図36】 変形例に係わる第1のウエーブレット変換部10Aの構成を示すブロック図である。
【図37】 変形例において心電図における心拍とこれら心拍の波形から得られるRR間隔を示したものである。
【図38】 変形例において心電図と血圧との関係を示す図である。
【図39】 (a)は、測定した脈波のRR間隔の変動波形、および該変動波形を上記3つの周波数成分に分解した場合の各変動成分の波形を示す図である。また(b)は、(a)に示したRR間隔の変動波形に対するスペクトル分析の結果である。
【図40】 変形例において、被験者に対し走行速度を段階的に変化させ、各種データを採取する実験を行なった実験結果を示す図である。
【符号の説明】
10 ウエーブレット変換部(ウエーブレット変換手段)
10A 第1のウエーブレット変換部(第1のウエーブレット変換手段)
10B 第2のウエーブレット変換部(第2のウエーブレット変換手段)
11 周波数補正部(周波数補正手段)
11A 第1の周波数補正部(第1の周波数補正手段)
11B 第1の周波数補正部(第1の周波数補正手段)
12 脈象データ生成部(脈象データ生成手段)
18 マスク部(マスク手段)
20 逆ウエーブレット変換部(逆ウエーブレット変換手段)
21 加速度センサ(体動検出手段)
22 脈象判定部(脈象データ生成手段)
130 脈波検出用センサ(脈波検出手段)
TH 体動波形
ZD 脈象データ
MH 脈波波形
MKD 脈波解析データ
MKD’ 脈波補正データ

Claims (13)

  1. 生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、
    前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析データを生成するウエーブレット変換手段と、
    対応する各周波数に基づいて、前記脈波解析データに周波数当たりのパワーを正規化するように補正を施し、補正脈波データを生成する周波数補正手段と、
    前記補正脈波データに演算処理を施して、前記脈波波形の種類を示す脈象データを生成する脈象データ生成手段とを備えたことを特徴とする脈波診断装置。
  2. 生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、
    前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析データを生成する第1のウエーブレット変換手段と、
    対応する各周波数に基づいて、前記脈波解析データに周波数当たりのパワーを正規化するように補正を施し、補正脈波データを生成する第1の周波数補正手段と、前記生体の体動を検出して体動波形を出力する体動検出手段と、
    前記体動検出手段によって検出された前記体動波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に体動解析データを生成する第2のウエーブレット変換手段と、
    対応する各周波数に基づいて、前記体動解析データに周波数当たりのパワーを正規化するように補正を施し、体動補正データを生成する第2の周波数補正手段と、
    前記補正脈波データから前記体動補正データを減算して、体動を除去した補正脈波データを生成するマスク手段と、前記マスク手段によって生成された前記補正脈波データに演算処理を施して、前記脈波波形の種類を示す脈象データを生成する脈象データ生成手段と
    を備えたことを特徴とする脈波診断装置。
  3. 生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、
    前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析データを生成する第1のウエーブレット変換手段と、
    前記生体の体動を検出して体動波形を出力する体動検出手段と、
    前記体動検出手段によって検出された前記体動波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に体動解析データを生成する第2のウエーブレット変換手段と、
    前記脈波解析データから前記体動解析データを減算して、体動を除去した脈波データを各周波数領域毎に生成するマスク手段と、
    対応する各周波数に基づいて、前記脈波データに周波数当たりのパワーを正規化するように補正を施し、補正脈波データを生成する周波数補正手段と、
    前記マスク手段によって生成された前記補正脈波データに演算処理を施して、前記脈波波形の種類を示す脈象データを生成する脈象データ生成手段と
    を備えたことを特徴とする脈波診断装置。
  4. 生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段と、
    前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析データを生成するウエーブレット変換手段と、
    前記脈波解析データのうち、体動に対応する周波数成分を除去して、脈波解析データを生成する体動分離手段と、
    前記体動分離手段によって生成された脈波解析データに対して対応する周波数に応じて補正を行って、補正脈波データを生成する周波数補正手段と、
    前記補正脈波データに演算処理を施して、前記脈波波形の種類を示す脈象データを生成する脈象データ生成手段と
    を備えたことを特徴とする脈波診断装置。
  5. 前記脈象データ生成手段は、前記補正脈波データに逆ウエーブレット変換を施して体動が除去された脈波データを生成する逆ウエーブレット変換手段と、
    前記脈波データの各ピーク情報に基づいて前記脈象データを生成するデータ生成手段と
    を備えたことを特徴とする請求項4に記載の脈波診断装置。
  6. 前記体動検出手段によって検出された体動波形に基づいて、生体の運動状態を検出する状態検出手段と、
    前記運動状態に応じて、周波数解析の対象となる周波数領域を可変するように前記第1のウエーブレット変換手段を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする請求項2または3のうちいずれか1項に記載の脈波診断装置。
  7. 前記制御手段は、前記生体の運動状態と周波数解析の対象となる周波数領域の関係を予め記憶した記憶手段と、
    前記状態検出手段によって検出された前記生体の運動状態に基づいて、周波数解析の対象となる周波数領域を読み出す読出手段とを備え、この読出結果に基づいて周波数解析の対象となる周波数領域を制御することを特徴とする請求項6に記載の脈波診断装置。
  8. 前記脈波波形の周期を検出する脈波周期検出手段を備え、前記ウエーブレット変換手段は、検出された前記周期に同期してウエーブレット変換を施すことを特徴とする請求項1、4または5のうちいずれか1項に記載の脈波診断装置。
  9. 前記脈波波形の周期を検出する脈波周期検出手段を備え、前記第1のウエーブレット変換手段および前記第2のウエーブレット変換手段は、検出された前記周期に同期してウエーブレット変換を施すことを特徴とする請求項2、3、6または7のうちいずれか1項に記載の脈波診断装置。
  10. 前記脈象データ生成手段によって生成された前記脈象データを告知する告知手段を具備することを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の脈波診断装置。
  11. 前記脈波検出手段は、生体の動脈の脈動を圧力によって検出する圧力センサからなることを特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか1項に記載の脈波診断装置。
  12. 前記脈波検出手段は、生体の検出部位に300nm〜700nmの波長の光を照射したときに得られる反射光を受光した受光信号を脈波波形として検出することを特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか1項に記載の脈波診断装置。
  13. 前記脈波検出手段は、生体の検出部位に600nm〜1000nmの波長の光を照射したときに得られる透過光を受光した受光信号を脈波波形として検出することを特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか1項に記載の脈波診断装置。
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