JP3665901B2 - 醤油滓を利用した水産食品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
水産食品に関するもので、醤油滓を酒粕と併用することによって醤油滓の不快臭を伴うこと無く醤油の好ましい風味を活かし、しかも酒粕の香りや風味も付与することを特徴とする水産食品に関する。具体的には、酒粕と粉砕した醤油滓を混合した漬床を水産物と接触させることにより、両者に由来する発酵食品特有の香りやうま味成分を付与させると同時に、保存性を高めた水産食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
醤油滓は醤油もろみを圧搾した際に排出される副産物で、酒粕と同様に発酵による醤油由来のうま味成分を含むにもかかわらず、不快な臭気を有するとともに塩分含量が高いことから食品原料として利用できなかった。
【0003】
一方、酒粕はうま味と日本酒由来の香りを含み、野菜(特開2001−286257)や魚介類(特開2002−017247、特開平10−117738)の漬け込み、ならびに加工食品の調味付け(特開2000−210052、特開平11−127811)に利用されている。酒粕で素材を処理すると、日本酒由来の香気成分と酒粕のうま味成分が移行し、風味が向上することが知られている。
【0004】
醤油にはフラノン類に代表されるカラメル様の甘い香りや4−エチルグアヤコールに代表される醤油特有の香ばしい香りがあり(醤油研究所雑誌 vol.24、No.4、p210−211(1998年))、醤油滓にもこれらの香り成分が含まれる。これらの成分は味噌や醤油には含まれるが、酒粕には含まれない。一方、酒粕には臭気のマスキング効果があるエタノールが含まれ、さらにフルーツ系の香気を持つ酢酸イソアミルなど脂肪酸エステル類を含む(日本醸造協会雑誌 vol.78、No.12、p949−953(1983年))。そこで、酒粕に醤油滓を混合することにより醤油由来の香りと風味を与え、醤油滓の不快臭を酒粕でマスキングできれば従来にない調味素材を提供することが可能となる。また、醤油滓の高塩分も解消され、食材に適度な塩分を与えることもできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
イクラなど水産物に酒粕や醤油滓など醸造副産物が保有する発酵食品由来の豊かな風味を与え、しかも保存性に優れた新規水産食品を製造する。本発明が解決しようとする課題は、不快臭がありしかも高塩分であるため食品製造に使用されない醤油滓を、酒粕と併用することにより不快臭を伴わず好ましいうま味や香りのみを引き出し、さらに酒粕の良好な風味も活かした保存性に優れた新規水産食品を製造することである。
【0006】
【課題を解決するための手法】
上記目的を達成するため、粉砕した醤油滓を酒粕と混合してペースト化して水産物と接触させることにより、酒粕と醤油滓の香りや風味成分を素材に付与すると同時に水分活性を低下させ保存性を向上させる。醤油滓の不快臭は酒粕と併用することで解消される。醤油滓の塩分は素材に塩味を与えるとともに水分活性を低下させ製品の保存性を向上させた。
【0007】
酒粕と醤油滓双方の風味及び香りを活かすには、両者の混合比率が重要となる。
【0002】で述べたように醤油滓単体は醤油由来のうま味が残っているものの不快臭があり、酒粕は清酒由来の香り成分に富む。そこで、両者の長所がもっと味引き出せる混合比を検討する必要がある。
【0008】
本発明において、用いる酒粕は吟醸酒か本醸造酒か純米酒かなどその種類を問わない。醤油滓はその圧搾度合いを問わない。原料となる魚種は水産素材全般が該当する。また、酒粕と醤油粕を混合した漬床への調味料や香料などの添加の有無を問わない。漬け込む水産物については塩蔵など下味付けをしているかどうか、およびあらかじめ乾燥させているかどうかを問わない。
【0009】
【発明の実施の形態】
醤油滓と酒粕を特定の比率で混合した漬床で水産物を漬け込むことにより、酒粕に含まれる日本酒由来のよい香りを与えて醤油滓由来の不快臭を抑制しつつ、両者のうま味を活かすばかりでなく、保存性に優れた水産食品が製造可能となる。
【0010】
以下に酒粕と醤油滓を併用した水産食品の製造方法の概略を示す。
【0011】
酒粕に粉砕した醤油滓を加えて両者をよく混合して漬床を調製する。処理する水産素材を飽和食塩水で湿らせたガーゼで挟み、さらに漬床で周囲を覆う。この状態で冷蔵する。
【0012】
以下に酒粕と醤油滓を併用した水産食品の製造方法と香りと風味及び保存性に関する各種指標の測定方法を詳細に示す。
【0013】
酒粕と醤油滓を併用した水産食品の調製。醤油滓をフードプロセッサー等で1分間粉砕する。次に酒粕1kgに対し粉砕した醤油滓を0〜500g加えてフードプロセッサー等で1分間混合し漬床を調製する。容器に漬床を空気が極力入らないように敷き詰め、その上にあらかじめ飽和食塩水に浸漬しておき使用直前に絞ったガーゼを密着させる。ガーゼ上に処理する水産素材を置く。その上にあらかじめ飽和食塩水に浸漬しておき使用直前に絞ったガーゼを密着させる。その上に漬床を空気が入らないように敷き詰める。この時点で対象となる水産素材はガーゼを介して漬床と接触した状態となる。この状態で1週間5℃前後にて漬け込み処理を行った。
【0014】
歩留まりの測定法。試料のイクラを無作為に50粒選択して重量を測定し、漬床処理前の塩イクラの重量と比較して求めた。
【0015】
うま味成分(遊離アミノ酸量)の測定。試料1gに蒸留水8mlを加えて破砕し、3000rpmで10分間遠心分離して得られた上澄みにエタノールを40ml加えて振とう後、3000rpmで10分間遠心分離してタンパク質を除く。得られた上澄みをエバポレーターで減圧乾燥し、蒸留水10mlとクロロホルム20mlを加えてよく振とう後、3000rpmで10分間遠心分離して脱脂した水層を塩酸でpHを2.2に調製した後、蒸留水で50mlにメスアップしたサンプルを自動アミノ酸分析計を用いて分析した。
【0016】
醤油滓由来の香気成分(フラノン)の測定。試料1.0gに塩化ナトリウム4.0gを加えてよく磨り潰して均一なペーストを得る。ペースト2.5gに酢酸メチル3mlと濃度1000ppmの1−デカノール100μlを加えて10分間浸透抽出する。その後3000rpmで10分間遠心分離して得られた上澄みをガス質量分析計を用いて分析した。
【0017】
水分活性の測定。水分活性測定装置を用いて分析した。
【0018】
揮発性塩基窒素(VBN)の測定。試料5g蒸留水35mlと20%トリクロロ酢酸溶液10mlを加えてホモジナイザーで1分間破砕する。破砕液を東洋濾紙5Aで自然濾過して試料溶液を得る。コンウェイユニット中心部のウエルに混合指示薬入りホウ酸溶液を1ml注ぎ、外周部のウェルに試料溶液を1ml注ぐ。さらに、外周部のウェルに炭酸カリウム溶液を1ml加えて蓋をして炭酸カリウムと試料溶液をよく混合する。クリップで蓋を固定し30℃で80分以上静置した。静置後、コンウェイユニットの中心部分を水平ビュレットを用い、0.01規定の塩酸溶液で滴定して分析した。
【0019】
以下実施例により本発明の内容を詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの例に限定されない。
【0020】
【実施例1】
醤油滓を利用した魚卵食品の製造
【0021】
漬床への醤油滓の添加が香りに与える影響ならびに漬床の酒粕と醤油滓の混合比率が香りに与える影響について試験した(表1)。
【0022】
【表1】
Figure 0003665901
枠01
【0023】
フラノンは漬け込み前のイクラや酒粕には含まれず、醤油滓に由来する香気成分であることが確認された。漬床の酒粕と醤油滓の比率が10:2、10:3、10:5の時にフラノンの一種であるHEMF(4−ヒドロキシ−2−エチル−5−メチル−3(2H)−フラノンおよび4−ヒドロキシ−5エチル−2−メチル−3(2H)−フラノン)が検出された。また、醤油滓の比率が増加するにしたがってフラノン濃度も増加した。また処理1週間と1カ月のものを比較した場合、フラノン含量に大差はなく、処理時間は1週間程度でよいことが判明した(表1)。
【0024】
酒粕および醤油滓の添加によるうま味成分(遊離アミノ酸量)の変化について試験した。(表2)。
【0025】
【表2】
Figure 0003665901
枠02
【0026】
塩イクラの遊離アミノ酸は少なかったが、漬床での処理により酒粕と醤油粕の双方に由来する遊離アミノ酸が塩イクラに移行し、うま味成分が増強されたことが確認された。
【0027】
最後に漬床の酒粕と醤油滓の混合比率毎の歩留まりを調べた(表3)。
【0028】
【表3】
Figure 0003665901
枠03
【0029】
漬床に醤油滓が加わることで歩留まりが低下しているが、醤油滓に含まれる食塩の影響によって脱水が進行することがわかった。酒粕と醤油滓の混合比率が10:5の場合に歩留まりは90%を切り、食味が塩辛過ぎた。
【0030】
以上より、本発明において用いる漬床の酒粕と醤油滓の混合比率は、酒粕の重量10に対して2以上5未満が適していること、漬け込み期間は1週間程度で十分であることが示された。
【0031】
【実施例2】
醤油滓を利用した魚卵食品の保存性の検討
【0032】
本発明により得られる食品の保存性について、水分活性とVBNならびに一般生菌数を指標に調べた。
【0033】
酒粕醤油滓混合漬床処理によるイクラの水分活性変化を図1に示した。水分活性は処理後5日で0.96から0.86に低下し、以後ほぼ一定であった。水分活性0.86はジャムなど保存性の高い食品に匹敵するもので、本発明によって得られた食品の保存性が高いことを意味している。
【0034】
【図1】
枠04
【0035】
混合漬床処理によるイクラのVBN変化を表4に示した。
【0036】
【表4】
Figure 0003665901
枠05
【0037】
試験期間を通じVBNはほとんど増加せず、細菌性の腐敗が起こっていないことが示された。
【0038】
混合漬床処理中の一般生菌数の変化を調べた結果、漬込み後に酒粕および醤油滓由来の微生物がイクラに移行するものの、試験期間を通じ一般生菌数は1gあたり3000未満を保っていた。よって、本発明により得られる食品は微生物が増殖しにくく保存性が良好な食品であることがわかった。
【0039】
以上より、本発明によれば不快臭がありしかも高塩分であるため食品製造に使用されない醤油滓を酒粕と併用して水産物を処理することにより、醤油滓由来の不快臭を伴わず好ましいうま味や香りのみを引き出し、さらに酒粕の良好な風味も活かした保存性に優れた新規水産食品を製造できたといえる。
【0040】
【発明の効果】
本発明に従い魚介類を酒粕と醤油滓を混合した漬床中で処理することにより、従来食品原料として利用できなかった醤油滓が活用できるとともに、醤油滓と酒粕の風味と香りが付与されしかも保存性のよい食品が製造可能となる。
Figure 0003665901

Claims (3)

  1. 酒粕と醤油滓の混合物を水産物に同時に作用させて、香りとうま味を付与させることを特徴とする水産食品。
  2. 酒粕と醤油滓の混合比が酒粕の重量10に対して2以上5未満である請求項1の水産食品。
  3. 酒粕と醤油滓の混合物を水産物に同時に作用させて、保存性を向上させることを特徴とする請求項1の水産食品。
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