JP3665724B2 - 冷凍チャック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はワークやこれを搭載した治具を加工等のために固定する冷凍チャック装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワークに対して種々の加工を施すような場合にはワークを加工機械のテーブル上にしっかりと固定することが必要である。
このチャック装置として、一般にマグネットチャック、真空チャック、バイスなどが用いられていたが、ワークが薄かったり、壊れやすかったり、複雑な形状であったりする場合に、ワークを確実、安定的に固定することが困難であるという問題があった。
【0003】
この対策として、ワークを凍結結氷により固定する冷凍(凍結式)チャック装置が提案、実施されている。
この冷凍チャック装置は、液体(通常、水)を塗布したチャック面を冷却機構により結氷温度を下回る温度に冷却しそれを維持することを基本とするもので、その冷却機構として、正電流を通電したときに上面から熱を吸収して下面に放出し、負電流を通電したときに下面側から熱を吸収して上面側に放出する特性の熱電素子(ペルチェー素子)を使用した熱電素子タイプのものが知られている。
【0004】
しかし、かかる従来技術は次のような問題があった。
1)熱電素子を使用した冷凍チャックは、その熱電素子のもつ冷凍能力に限界があるため、加工中ワ−クを固定している氷が刃物から発生する加工熱によって溶かされやすく、ワーク固定力が不安定である。
2)熱電素子は素子の寿命が短いため、量産加工の用途で長時間使用すると、部品整備の頻度が高く、メンテナンスコストが高くなる。
【0005】
3)熱電素子は機械的強度が小さいためチャックとして必要十分な剛性を得ることが困難である。このため加工精度の向上が困難である。
4)チャック面の材質は冷却効率の点から銅またはアルミニウムが使用されていた。しかし、銅やアルミニウムは軟質で粘りがあるため、チャックを加工機械のテーブルに搭載して加工基準面の平坦度を確保すべく加工機械でチャック面をいわゆる「伴ずり」してゼロカットするのが非常に困難で、精度の向上を図り得なかった。
【0006】
他の冷凍チャック装置として、チャック面内に冷媒を循環させる冷媒循環タイプが知られている。この冷媒循環タイプは高価な熱電素子を使用しないため、安価なものとすることができ、また冷凍能力も高いという利点があるが、次の点に問題があった。
1)冷却効率の点からチャック面の材質は銅またはアルミニウムを使用していたためチャックを加工機械のテーブルに搭載して加工基準面の平坦度を確保する場合、加工機械でチャック面をいわゆる「伴ずり」してゼロカットするのは容易でなく、ワークの加工精度の向上の大きなネックとなっていた。
【0007】
2)チャック面の下面全体にわたって断熱材が接合されているため、チャック面が冷却されるときにチャック面の構成材料と断熱部の構成材料の線膨張係数の相違によりチャック面の変形ひずみが大きくなり、これにより加工基準としての機能が阻害されるため、ワークの高精度の加工たとえば平坦度出し加工が困難であった。
【0008】
3)断熱材の下の台座側からチャック面に伝熱しやすく、チャック面の温度が上昇しやすい。このため、ワークの接着固定強度や安定性が損なわれやすく、固定媒体の冷却温度をマイナス側に大きく取らなければならず、冷媒冷却装置として能力の高いものを要し、コスト高となっていた。また、断熱材の下の台座から加工機械のテーブルの熱が奪われるため機械本体の温度が下がり、熱変位によって加工機械の静的精度が狂いを生じ、結果として加工精度が損なわれる。
4)チャック面外周と断熱材外周間の距離(張出し長さ)が20mm以上と大きく設定されている。このため、加工基準面出しの機械加工の際にチャック面の外周を仕上げるべくチャック面の外周を刃物が通過するときにチャック外周部分が工具の押圧力でわん曲し戻るためバウンドを起し、仕上げ加工が困難になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような問題点を解消するために創案されたもので、その目的とするところは、簡単な構造でしかも凍結状態の維持性能がすぐれるとともに、加工時の加工力による変形が少なく、また、加工基準面の平坦度を高精度にすることができ、メンテンナンスも容易な循環式冷凍チャック装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、上面をチャック面とし内部に冷媒循環通路を有するトッププレートと、下方の台座と、前記トッププレートと台座間に介在され上面がトッププレートの下面に、下面が台座の上面に結合された断熱部とを備えてなり、前記断熱部が工具側から加えられる力に耐えうる大きさと数の複数のブロック部体からなり、各ブロック部体が相互に所定のすき間を有するように間隔的に配されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、上面をチャック面とし内部に冷媒循環通路を有するトッププレートと、下方の台座と、前記トッププレートと台座間に介在され上面がトッププレートの下面に、下面が台座の上面に結合された断熱部とを備えてなり、前記断熱部が、工具側から加えられる力に耐えうる大きさと数の複数のブロック部分と平板状部分からなり、各ブロック部分が相互に所定のすき間を有するように平板状部分の上に間隔的に位置し、各ブロック部分の上面がそれぞれトッププレートに結合され、平板状部分が台座に結合されていることを特徴としている。
【0012】
本発明は、トッププレート外周面の断熱部外周面に対する張出し長さL´が20mm以下に設定されていることも特徴としている。
本発明において、チャック面に固定される対象物は、加工対象物としてのワークはもとより、この加工対象物としてのワークを固定したパレット、トレイ、プレートなどの各種治具を含む。後者は、冷凍/解凍に要する時間を短縮するために本発明装置外で予めワークを治具上に凍結固定させ、このワーク固定済みの治具をチャック面に載せて固定することを意味する。この場合、トッププレートを冷却することにより治具を介してワークを冷却し、ワークの凍結状態を維持するのである。
【0013】
本発明の冷凍チャック装置を適用して加工するワーク(加工対象物としてのワーク)は、鉄系、銅系、アルミニウム系、チタン系などで代表される金属、プラスチック系、ガラス系、カーボン系、セラミック系、木質系、あるいはこれらの2種以上の複合材、水晶、ダイヤモンド、CBN、ルビー、サファイヤなど材質、形状も問わない。
さらに加工方法も、平面研削、成形研削、クリープ研削、円筒研削などの各種研削加工、旋削加工、研摩加工、切断加工、ダイシング加工、ミーリング加工、ラッピング加工、穴明け加工、彫刻、超音波加工、放電加工など態様を問わない。
【0014】
ワークまたは治具をチャック面に接着する固定媒体やワークを治具に固定接着する固定媒体は問わない。すなわち、水のほか、本発明者の開発した凍結温度が水のそれよりも高い(たとえば10〜17℃)高分子系凝固剤すなわち、シリコーンオイルを主成分とする液状物、シリコーンオイルを主成分としこれに粉末状骨材を混合したペースト状、クリーム状物など任意である。もちろん、水と高分子系凝固剤を併用してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
図1と図2は本発明による冷凍チャック装置の第1実施例を概略的に示している。
1はトッププレート(冷凍板)であり、上部体1aと下部体1bとを一体化してなり、上部体1aはワークまたは治具を固定するチャック面10を有している。上部体1aと下部体1bとの間には冷媒通路(コアを含む)が設けられている。
2は台座であり、加工機械のテーブル等に据え付け固定される。材質は任意であり、通常、鉄鋼系の金属が用いられる。
3はトッププレート1の冷凍状態を維持しつつ、台座2からの伝熱を遮断するための断熱部である。
【0016】
前記上部体1aは、本発明の場合、純銅やアルミニウムなどの軟質な金属を使用することもできるが、それなりの熱伝導性を有してしかも硬質で剛性が高く、機械加工性たとえば切削性、研削性の良好なもの、すなわち、S45Cで代表される鉄鋼材や鉄系鋳物が好適である。またその他、黒鉛、炭素、炭素繊維焼成材、セラミックスたとえばアルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミなども採用し得る。セラミックス類は硬質で傷がつきにくい利点がある。また、銅もベリリウム銅で代表される切削性、研削性の良好なものは好適である。
下部体1bの材質は、鉄系金属、ステンレス、アルミニウムなど任意である。
【0017】
前記トッププレート1は、全体として機械加工中に工具から加えられる力でたわみ変形せず十分な剛性を維持しうる厚さを有している。上部体1aと下部体1bが鉄鋼材である場合、少なくとも10mm程度の厚さを有していることが好適である。
【0018】
前記トッププレート1は図2のように外部の冷媒循環供給装置4を含む循環系に接続されている。トッププレート1は冷媒の供給、戻り配管40,41を有し、冷媒循環供給装置4は冷媒を連続供給してチャック面10を固定溶媒体の凍結温度以下に冷却するため固定溶媒体の凍結温度特性によって種類と能力が選択される。冷媒は任意であるが、たとえばエチレングリコールと水を混合した不凍液などが挙げられる。
冷媒循環供給装置4は冷凍コイルを有するタンクと冷媒吐出ポンプを有しており、冷媒供給管40と冷媒戻り管41には電磁式などの開閉弁400,410が介在されており、これよりも上流の部位の冷媒供給管40と冷媒戻し管41はリリーフ弁412を介して接続されている。
【0019】
チャック面10の凍結解除は冷媒の供給を停止し、自然な温度上昇で行なうようにしてもよいが、迅速化のためトッププレート1にヒータを内蔵させ、このヒータの作動でチャック面10の温度を上昇させてもよい。
あるいは冷媒循環供給装置4に昇温回路を併設してもよい。すなわち、冷媒供給管40と冷媒戻り管41は前記開閉弁400,410よりも下流の部位でそれぞれ分岐され、その分岐された供給管40’と戻り管41’は循環式温水供給装置4’に接続されている。この循環式温水供給装置4’はヒータを有する温水タンクと温水吐出ポンプを有しており、供給管40’と戻り管40’には電磁式などの開閉弁400’,410’が設けられ、これよりも上流の部位がリリーフ412’を介して接続されている。
なお、この例では各開閉弁がそれぞれ別個になっているが、もちろん3位置切換え弁などによって構成されてもよい。
【0020】
断熱部3は、低温強度が高く、変質、変形しにくいものであればよく、プラスチック、煉瓦、コンクリート、木材、セラミック、石材など任意の材質が採用される。形状や構造も中実、ポーラス状(多孔状)、ハニカム状など任意である。プラスチックの具体例としては、硬度が高く、低温に強い性質のもの、たとえば、結晶性のサーモプラスチックであるアセタール樹脂、MCナイロンなどがあげられる。
【0021】
断熱部3は、トッププレート1に接触する面積をできる限り少なくすべく、複数個の細分化されたブロック部体3aからなっており、各ブロック部体3aは相互に所定の間隔Lをもって配設されている。
この理由は、トッププレート1が固定用媒体の凍結温度を下回る温度に冷却されたときに、断熱部とトップフレートの線膨張係数の相違によりチャック面10にひずみが発生するのを防止するためと、台座2からトッププレート1に伝わる熱の遮断効果を向上するためであり、各ブロック部体3a間のすき間sが絶縁ないし空冷空間として機能する。
【0022】
各ブロック部体3aの厚さは、台座2からトッププレート1に伝わる熱を遮断するに十分な寸法を有していなければならない。これはブロック部体3aの材質にもよるが、中実なプラスチック製である場合には、通常、30mm以上より好適には45mm以上である。
ブロック部体3aの上面の面積、数および間隔は、機械加工中にワークを通してチャック面10に作用する加工力に十分耐えられる機械的強度が得られるよう適宜選定する。間隔については、トッププレート1の材質がS45Cで厚さが15mm程度の場合、ブロック部体3aの間隔Lは20〜30mm程度が好適である。
【0023】
前記各ブロック部体3aはそれぞれ上面がトッププレート1の下面に、下面が台座2の上面に結合されることで3者が一体化されている。しかし、トッププレート1と各ブロック部体3aと台座2とを金属ボルトで直接結合することはこれを通して伝熱されるため、避けるべきである。
【0024】
前記断熱部3の外周面30は、図1(a)のように、トッププレート1の外周面100とできるだけ距離L´が接近し、トッププレート1の外周面100の張出し長さ(オーバハング量)が短くされている。これは、本発明装置を加工機械のテーブル上に搭載しトッププレート1と台座2間に介在され上面がトッププレートの下面に、下面が台座の上面に結合された断熱部3、トッププレート1の外周縁部分の強度を保持させ、工具からの加工力によって外周縁部分わん曲したりだれたりしないようにするために必要である。トッププレート1の剛性、強度、加工力の程度にもよるが、前記距離(張出し長さ)L´は、一般的に20mm以内とすることが好ましい。さらに好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm〜0mmである。
【0025】
図3ないし図9は第1実施例のより具体的な実施例を示している。
トッププレート1の上部体1aと下部体1bは図5ないし図7に示すように多数のねじ15によって締結一体化されている。上部体1aの下面には冷媒通路用溝が形成されており、下部体1bが上部体1aに密接されることにより冷媒通路11が形成されている。冷媒通路11の両端は下部体1bの長手方向一端に開口し、ここに接続したマニホールド12に前記冷媒供給管40と冷媒戻り管41が接続されている。
【0026】
前記トッププレート1はバキューム機構を有している。このバキューム機構は、対象物としてのワークを装置外で予め凍結固定した治具を吸着固定するのに役立つ。
図示するものでは、上部体1aのチャック面10に複数のバキューム溝12が設けられている。バキューム溝12は幅方向縁部に近い位置にそれぞれ配され、各々吸引穴120とこれに接続した連結溝121でつながれ、1つの吸引穴がホース122で接続され、このホースが図示しない吸引機に接続され、それにより吸引機の作動でチャック面10が真空チャック機能も発揮し得るようになっている。
【0027】
前記各ブロック部体3aはこの例では方形をなし、ねじ部材6によってトッププレート1の下部体1bと締結される一方、これと変位した位置で別のねじ部材7によって台座2に締結されている。
ブロック部体3aは図8と図9のように上面付近に横溝31を有し、この横溝31と直交するように縦孔32,33,33が形成されており、一つの縦孔32はブロック部体3aの下面に形成した座ぐり穴320に通じている。この座ぐり穴320を通してねじ部材6は縦孔32から下部体1bの雌ねじ穴14にねじ込まれている。
他の縦孔33,33は台座2に形成した座ぐり穴210,210に通じており、座ぐり穴210,210を介して縦孔33,33にボルト7が通され、横溝31に位置させたナット7’に螺合されることにより締付け固定される。ナット7’とボルト頭部の関係は天地が逆でもよいことはいうまでもない。
【0028】
図10はブロック部体3aとトツププレート1と台座2の結合構造の他の例を示しており、(a)においては、各ブロック部体3aの上面がトッププレート1の下面に接着剤5で接合され、各ブロック部体3aの下面が台座2の上面に接着剤5’によって接合されている。もとよりこの接着と図9のボルト締結とを併用してもよい。
図10(c)においては、ブロック部体3aがトッププレート1と台座2間に介装され、トッププレート1と台座2とを機械的強度が高くかつ断面積の小さい線条材8で連結することにより挟持固定されている。
線条材8としては、たとえばピアノ線、アモルファス線、高強度高弾性繊維製のケーブルなどが挙げられる。高強度高弾性繊維は断熱性を有している点からも好都合である。
【0029】
ブロック部体3aには数本の縦孔34が貫設され、トッププレート1の下面には縦孔34に望む係留部材35が固定され、台座2には縦孔34に望むねじ穴25が穿設されていて、これに係留部材26を有する雄ねじ27がねじ込まれ、ねじ込み量の調整により係留部材34,26間に渡されている線条材8を緊張させるようにしている。
【0030】
図11は本発明による冷凍チャック装置の第2実施例を示している。
この実施例においては、断熱部3が複数の細分化されたブロック部分3aと平板状部分3bからなっており、台座2の上面に平板状部分3bが結合され、トッププレート1の下面にブロック部体3aが結合されている。
前記ブロック部分3aと平板状部分3bは別体に作られ、接着、ねじ止めなどによって組み付けられてもよいが、好適には図11(b)のように一体形成される。一体形成は一体成形、削り出しなど任意である。
【0031】
ブロック部分3aと平板状部分3bの材質は前記第1実施例と同じであり、ブロック部分3aの厚さ、大きさ、間隔も前記第1実施例に述べたとおりである。ブロック部分3aと平板状部分3bのトッププレート1と台座2に対する結合構造は図9、図10のいずれの態様でもよい。
【0032】
図示するものは本発明の数実施例であり、これに限定されるものではない。
1)トッププレート1の形状とくに平面形状は矩形に限られない。
2)トッププレート1の上部体1aには溝を有していてもよい。また、トッププレート1は上部体1aと下部体1bだけでなく、図12に示すようにさらに電磁チャックまたはマグネットチャック1cを層着している場合を含む。これは加工対象物としてのワークを取り付けた治具が磁性材製である場合に有効であり、磁力のオンオフで治具を着脱することができる。
3)トッププレート1はチャック面10にメカニカルクランプ機構を装備していてもよい。
【0033】
4)あるいはまた、リンキング現象を利用したチャック機構を有していてもよい。 すなわち、チャック面10に治具が前後左右に動かないようにするための位置決めバーを着脱可能に設けておき、治具の底面とチャック面10間に液体(水、油、高分子軽凝固剤など)を介在させて液膜を設け、前記位置決めバーに沿って治具をチャック面10に載せ、トッププレート1に対する冷媒の循環によって治具を冷却することによりワークの凍結を維持させ、機械加工が完了したのち、位置決めバーを外し、治具を左右または前後に移動させてチャック面10から離脱させてもよい。
【0034】
5)ブロック部体やブロック部分3aの形状も角ブロック状に限らず、円柱状、円筒状など任意である。また上部と下部とが同じ断面積であることも必要ではなく、台形状、裁頭円錐状など任意である。
6)ブロック部体3aは上下で分割され、それらが結合されている場合を含む。また、ブロック部体3aは頂部または/および底部につばを有していたり、厚さ方向中間につばを有している場合を含む。
【0035】
7)さらに本発明は、図17のように、断熱部3が、外周の枠部3cとこの枠部3cを結ぶ縦横の桟部3dを有し、枠部3cと桟部3d間に窓孔s’を形成した全体として格子枠状となっている場合を含んでいる。この態様の断熱部は、第1実施例のブロック部体3aを抜き加工した部材を利用しても得ることができる利点がある。
図17の場合、断熱部3とトッププレート1とは枠部3cと桟部3dの面積で接し、断熱部3と台座2も枠部3cと桟部3dの面積で接する。
断熱部3とトッププレート1との結合は前記図9および図10のいずれの方法式でもよい。図9を適用する場合には、枠部3cと桟部3dに横溝31,縦穴32,33が設けられる。図10(b)の線条体による結合の場合は、窓孔s’が線条体8を挿通する穴として利用される。
【0036】
【実施例の作用】
通常の加工すなわち、ワークをチャック面10に直接固定して加工する場合を例にとって説明すると、ワークの加工に当たっては、本発明装置を工作機械類のテーブル等に搭載し、台座2をもって据付ける。
そして、加工に際しては、トッププレート1のチャック面10をワーク固定媒体の凝固温度よりも高い温度に保っておく。この状態でチャック面10及び/またはワークに固定媒体を塗布する。加工対象物のワークが薄層物である場合にはワーク相互間に固定媒体を介在させる。
【0037】
そして次に、ワークをチャック面10の上に置き、適宜、位置決め、配向の調整などを行ったのち、チャック面の温度を固定媒体の凝固点よりも低温度に下げこれを保持する。図示の例では、開閉弁400´,410´を閉じ、開閉弁400,410を開いて冷媒循環供給装置4から供給管40を介してトッププレート1の冷媒通路11に冷媒を送り、戻り管41から冷媒循環供給装置4に戻すことを反復することによって行われる。
【0038】
これにより、固定媒体は液相から凝固により固相へと変化し、凍結した固定媒体の凝固分子によりワークはチャック面10に接着される。
なお、「凝固点よりも低い温度」とは、固定媒体の凝固分子が緻密に結合し、チャック面とワークとの接着による固定力(保持力)が機械加工による負荷荷重に十分耐えられるまでになる温度を意味し、たとえば、固定媒体が水のときには−5℃以下、17℃で凍結する高分子系凝固剤の場合には、10℃以下である。
【0039】
以上でワークの固定状態が得られるので、加工機械を作動し、所望の工具によりワークに所望の加工を加える。このときに、工具とワークの接触部域に加工液供給手段から加工液を供給する。
これは、固定媒体の凝固点よりも低い任意温度に冷却した加工液をノズルNから噴射してもよいし、あるいはこれに冷却加圧空気供給手段からたとえば温度が0℃以下、圧力が5〜7kg/cm2の冷却加圧空気を添加混合し、ノズルからミストとして噴霧してもよい。
【0040】
前述のようにクーラント液などの低温の加工用液が注がれ、この加工液が直接本発明装置を搭載しているテーブルや基台に接触した場合、それらを冷却することにより加工機械の変形や傾きなど静的精度の狂いが発生するおそれがあり、それによりワークの加工精度が低下する可能性がある。
このような場合には、図13(a)(b)のようにトッププレート1の全厚または上部体1aの回りに槽体9を設け、この槽体9でノズルNから噴射された加工用液rを受けるとともに、槽体9の底部に設けたドレーン穴90から排水管91を経てろ過装置92に回収するようにすればよい。Eは固定媒体である。
【0041】
これに代えて、図14(b)のようにテーブルTの表面、加工機械Mの要部mたとえば主軸、ハウジング、主軸コラムなどを斜線で示す断熱材Dで覆い、加工用液の飛散による温度低下の影響を受けないようにしてもよい。
【0042】
目的とする加工が終了したならば、チャック面の温度を固定媒体の凝固点よりも高い温度に戻す。
これは自然な温度上昇によって行なってもよいし、トッププレートがヒータを内蔵している場合にはこれを作動して強制的に解凍してもよい。図示する例の場合には、開閉弁400,410を閉じ、開閉弁400’,410’を開いて循環式温水供給装置4’から固定媒体の凝固点よりも高い温度の温水を供給管40’,40を介してトッププレート1に送り、戻り管41,41’から循環式温水供給装置4’に戻すことを反復することによって行われる。
これで固定媒体は固相から液相に戻るため固定力が解除され、加工済みのワークをチャック面10から取り外すことができる。
【0043】
前記した加工において、本発明装置はトッププレート1と台座2間の断熱部3が相互に離間した複数のブロック部体3aからなっている。このため、トッププレート1が冷却されたときにトッププレート1と断熱材の線膨張係数の相違による変形が防止され、このため、トッププレート1の形状、寸法の変化が非常に少なくなり、トッププレート1のたわみ、うねりといった現象が皆無となる。したがって、トッププレート1は平坦度がよく保たれ、ワークに対して精密な加工を行なうことができる。
【0044】
また、複数のブロック部体3aの下面側がそれぞれ台座2に結合しており、台座との接触面積が少ない。このため、ブロック部体3aに伝わった台座2からの熱が各ブロック部体3aからすき間へと放散されることとあいまって台座2からトッププレート1に伝わる熱の遮断効果が高くなり、トッププレート1の冷却状態を確実、安定的に維持することができる。
第2実施例では、複数のブロック部分3aの下面側が断熱材製の平板状部分3を介して台座2に面接触しており、全体としての断熱部厚さが増す。このため台座2からトッププレート1への熱伝達の遮断効果を高いものにすることができる。 図17の実施例では断熱部3が多数の窓穴s’を持ち、枠部3cと桟部3dという小さな面積でトッププレート1に接触し、かつ枠部3cと桟部3dとによって機械加工中に作用する工具の加工力に耐えうる支持強度を得ることができる。
【0045】
以上の点から、本発明においては、トッププレート1の構成材料として、鉄系など剛性が高くかつ機械加工性(被削性)のよい材料にすることができる。これにより、加工に際して加工基準面を出すためチャック面10を工具で伴ずりして簡単にゼロカットすることができ、またリフレッシュ加工も簡単に行なうことができる。
【0046】
また、本発明においては、トッププレート1の外周面100から断熱部3の外周面300までの距離(張出し長さ)L’をゼロを含め小さくしている。このため本加工に先立って加工基準面を得るべくチャック面10を仕上げたり、その後の本加工でワークの端部を加工する際に、工具がチャック面10の外周部分を通過して加工力が強く作用しても、チャック面10がたわんだり、だれたりそれらによりバウンドしたりせず、剛直性が維持される。したがって、チャック面10の精度やワークの端部加工を精度よく行なうことができる。
【0047】
本発明においては、トッププレート1と台座2がねじ類で直接結合されておらず、図9と図10(a)のようにトッププレート1と断熱部3、断熱部3と台座2が別々に結合され、あるいは図10(b)のように断面積の小さい線条物8で結合されている。このため、台座2から断熱部3を通してトッププレート1への熱伝達を低減することができ、前記した変形防止、冷凍状態維持の両効果をさらに確実なものとすることができる。
【0048】
なお、本発明のチャック装置は、前記のようにワークを直接チャック面10に固定用媒体の凍結によって固定する場合のほか、ワークを固定した治具をチャック面10に固定用媒体の凍結によって固定する場合、さらにワークを固定用媒体で固定した治具をチャック面に非凍結的に固定する場合を含んでいる。
第2番目の場合、ワークの治具に対する固定は固定媒体を使用することを含んでいる。この場合、ワークを治具に固定する固定媒体と治具をチャック面に固定する固定媒体は凍結温度が異なるものを使用すると都合がよい。すなわち、たとえばワークを治具に固定する固定媒体として凍結温度の高い高分子系凝固剤を使用し、治具をチャック面に固定する固定媒体として相対的に凍結温度が低いもの(たとえば)水を使用すれば、加工終了時にチャック面を水の解凍温度以上たとえば5℃に上昇させても、ワークを治具に固定する固定媒体の凍結が維持するため、ワークは治具にしっかりと固定された状態に保持され次工程への移送等が容易となる。
【0049】
図3ないし図7のようにチェック面10にバキューム溝12と吸引穴13を有するバキューム機構を設けた構成は、3番目の使用形態に適している。すなわち、機外に配した外段取り用冷凍プレート装置にて治具にワークを凍結固定しておき、その治具を本発明装置のチャック面10に直接かまたは不凍液などを介して載せ、バキューム機構と外部の吸引機を作動させることによりトッププレート1に固定させることができ、同時にトッププレート1への冷媒の循環によって治具を介してワークの凍結状態を維持することができる。そして、ワークの加工後、バキューム機構をオフとすることにより治具のトッププレート1からの離脱を行なうことができる。
本発明は、治具を介してワークの凍結状態を維持する際の台座側からのトッププレート1への熱の伝達を有効に遮断し、また加工精度を高くすることができる。
【0050】
本発明の具体例とそれの試験結果を示す。
まず、冷凍チャック装置の断熱材の形状と厚さによる影響を実験した。
〔サンプル1〕
1)トッププレート:
上部体−材質:S45C,厚さ12mm、幅150mm、長さ500mm
下部体−材質:Al,厚さ8mm、幅150mm、長さ500mm
【0051】
2)断熱部
ブロック部体材質:デルリン,外径60mm、厚さ26mm、
個数:12個,ブロック部体間間隔:85mmで等間隔
【0052】
3)台座:
材質:S45C,厚さ12mm、幅150mm、長さ500mm
4)トッププレートと断熱部と台座との結合方式:ねじ固定方式(図9)
【0053】
〔サンプル2〕
断熱部
1)ブロック部分材質:デルリン,外径60mm、厚さ26mm、
個数:12個,ブロック部分間隔:85mm、等間隔
平板状部分材質:デルリン、厚さ26mm、幅150mm、長さ500mm
2)トッププレートと断熱部と台座との結合方式:ねじ固定方式
他は、サンプル1と同じとした。
【0054】
〔サンプル3〕
サンプル1のブロックを図15のように2段に重ねて連結し厚さ52mmのブロック群からなる断熱部を構成した。他の構成はサンプル1と同じにした。
【0055】
〔比較例〕
1)断熱部として、材質:デルリン,厚さ26mm、幅150mm、長さ500mmの平板を使用した。図16はこの状態を示している。トッププレートと断熱部と台座との結合方式は図9のねじ止め方式とした。トッププレート、台座はサンプル1と同じ仕様とした。
【0056】
トッププレートは外部の冷媒冷却装置に接続し、冷媒として不凍液を使用し、流量5l/minで循環させた。
【0057】
断熱性能をみるため、チャック面の温度が−9℃に達してから30分ごとに8時間にわたってチャック面と台座下面の温度を測定し、その平均値を求めた結果は表1のとおりである。
この表1から、サンプル1ないし3は、いずれも断熱部がトッププレートの下面全面に接触する比較例に比べて断熱効果が高く、サンプル2は断熱部の厚さがサンプル1の2倍であるため断熱効果が高く、サンプル3はサンプル2と同じ厚さであるが、断熱部がブロック部体からなっているため、サンプル2よりも断熱効果が高い。
【0058】
【表1】
【0059】
次に、冷凍チャックプレート装置におけるトッププレート外周面と断熱部外周面間の距離による影響(ゼロカットによる平坦度加工精度)を実験した。
この比較実験に使用した2種の冷凍チャック装置の仕様と加工条件は次のとおりである。
【0060】
(1)冷媒循環式:不凍液を使用し、流量5l/minで循環させ、温度−10℃に冷却した。
(2)チャックサイズ:500×150mm
(3)トッププレート:
上部体−材質:S45C,厚さ12mm、幅150mm、長さ570mm
下部体−材質:S45C,厚さ12mm、幅150mm、長さ570mm
(4)台座
材質:S45C、厚さ25mm、幅150mm、長さ605mm
トッププレートと断熱部と台座との結合方式:ボルト式
【0061】
(5)断熱部
(タイプ1)
ブロック材質:MCナイロン、幅40mm、長さ60mm、厚さ47mm
個数:16個
ブロック配置間隔:前後方向22mm、左右方向12mm
ブロック外周とトッププレート外周との距離:前後方向12mm、左右方向14mm
【0062】
(タイプ2)
ブロック材質:MCナイロン、直径60mm、厚さ47mm
個数:12個
ブロック配置間隔:前後方向10mm、左右方向85mm
ブロック外周とトッププレート外周との距離:前後方向10mm、左右方向40mm
【0063】
〔加工機械〕
横軸型平面研削盤、テーブルチャックサイズ:500×200mm
使用砥石:アランダム系レジノイドボンド砥石、粒度#70
【0064】
加工条件:
トラバース研削
切込み量:粗研削=5μm/pass、仕上げ研削=2μm/pass
テーブル送り速度:15m/min
テーブル前後送り速度:5mm/pass
クーラント液温度:−5℃
【0065】
以上の条件により、チャック面の伴ずりによりゼロカットして平坦度を得る加工を行なった。その結果、タイプ1の場合の平坦度は2μm以内であった。これに対して、タイプ2の場合の平坦度は10μm以内であった。この結果から、トッププレート外周面と断熱部外周面間の距離(張出し長さ)を短くすることが適切であることがわかる。
【0066】
なお、断熱部タイプ1について、前記加工時に、工具からの加工力によるチャック面のたわみ変形を測定した。その結果2μm以内であった。この結果から、断熱部を複数のブロック部体に細分化して間隔的配置した場合、線膨張係数の相違に起因するチャック面のたわみ変形が少なくなり、精度が向上したことがわかる。
【0067】
次に図3ないし図9に示す本発明装置を使用して研削加工を行なった。その結果をペルチエ素子式チャック装置を使用した場合と比較して示す。
実験装置は次のとおりである。
〔本発明装置〕
チャックサイズ:500×150mm
冷媒循環式:不凍液を使用し、流量5l/minで循環させた。
固定媒体: 水
【0068】
(1)トッププレート
上部体−材質:S45C,厚さ12mm、幅150mm、長さ570mm
下部体−材質:S45C,厚さ12mm、幅150mm、長さ570mm
(2)断熱部
ブロック材質:MCナイロン、幅40mm、長さ60mm、厚さ47mm
個数:16個
ブロック配置間隔:前後方向22mm、左右方向19mm
ブロック外周とトッププレート外周との距離:前後方向12mm、左右方向14mm
【0069】
(3)台座
材質:S45C、 厚さ25mm、幅150mm、長さ605mm
(4)トッププレートと断熱部と台座との結合方式:ボルト式
(5)加工機械のテーブルに据付け後に行なったゼロカットによるチャック面の平坦度加工結果は最大2μmであった。
【0070】
〔ペルチエ素子式チャック装置〕
固定媒体: 水
(1)トッププレート
材質:銅、厚さ10mm、幅180mm、長さ180mm
(2)断熱部
材質:デブリン、形状:平板、厚さ35mm、幅240mm、長さ240mm
【0071】
(3)台座
材質:ステンレス、厚さ20mm、幅240mm、長さ240mm
(4)ペルチエ素子:個数8個、直流電圧最大24V
(5)加工機械のテーブルに据付け後に行なったゼロカットによるチャック面の平坦度加工結果は最大5μmであった。
【0072】
〔加工機械〕
横軸型平面研削盤、テーブルチャックサイズ:500×200mm
〔加工例1〕
ワーク:タングステンカーバイド、150×15×3mm、硬度HRC65、数量10枚、加工個所:上下両面を研削
砥石:レジンボンドダイヤモンド砥石、粒度#270、
【0073】
加工条件:
送り:トラバース研削
切込み量:粗研削=3μm/pass、仕上げ研削=1μm/pass
テーブル送り速度:8m/min
テーブル前後送り速度:5mm/pass
【0074】
〔加工例2〕
ワーク:材質SKS3(焼入れ鋼)、外径140mm、内径50mm、厚さ3mm、硬度HRC62、数量1枚、加工個所:上下両面を研削
砥石:アランダム系レジンボンド砥石、粒度#70
【0075】
加工条件:
送り:トラバース研削
切込み量:粗研削=5μm/pass、仕上げ研削=2μm/pass
テーブル送り速度:10m/min
テーブル前後送り速度:5mm/pass
【0076】
以上の条件による加工仕上がり精度(平坦度、平行度)を測定した結果を表2および表3に示す。
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
表2及び3から、本発明装置はペルチエ素子式チャック装置に比べて格段に加工精度が優れていることがわかる。これは、冷媒循環式であるため冷却性能が高いこと、トッププレートの剛性、強度が高くかつチャック面のゼロカットが容易であること、断熱部が細分化されたブロックから構成されていてトッププレートとの熱膨張係数の差異によるトッププレートの変形が防止されるとともに台座からトッププレートへの熱の伝達が十分に遮断され、トッププレートが鉄鋼材であるにもかかわらず効率よくかつ安定的に冷却状態を維持できたこと、トッププレートの外周部分の断熱部からの張出しが少なく、加工力による変形が生じなかったことによるものである。
【0080】
【発明の効果】
以上説明した本発明の請求項1によるときには、上面をチャック面10とし内部に冷媒循環通路を有するトッププレート1と、下方の台座2と、前記トッププレート1と台座2間に介在され上面がトッププレートの下面に、下面が台座の上面に結合された断熱部3とを備えてなり、前記断熱部3が工具側から加えられる力に耐えうる大きさと数の複数のブロック部体3aからなり、各ブロック部体3aが相互に所定のすき間を有するように間隔的に配されているので、冷媒循環式であることによる高い冷凍能力を生かしつつ、トッププレート1の冷凍状態を安定確実に維持し、また台座2からの熱の伝達を確実に遮断することができる。
【0081】
しかも、複数の間隔をおいたブロック部体3aが小面積でトッププレート1と接し、ブロック部体3a相互間のすき間の存在によりトッププレート1の変形やひずみの発生を抑制することができ、これによりトッププレート1の加工基準面特性を向上できるため、ワークを精度高く加工することができる。さらに、トッププレートとしてあえて特に熱伝導性の高い材質を使用しなくてもよくなるので、加工機械のテーブル上での加工基準面出しを容易に行なうことができる。しかも、構造が簡単で安価に実施できるというすぐれた効果が得られる。
【0082】
請求項2によれば、上面がトッププレートの下面に、下面が台座の上面に結合された断熱部3が、複数のブロック部分3aと平板状部分3bからなり、各ブロック部分3aが相互に所定のすき間を有するように平板状部分3bの上に間隔的に位置し、各ブロック部分3aの上面がそれぞれトッププレート1に結合され、平板状部分3bが台座2に結合されているので、台座2からトッププレート1への熱の伝達遮断効果を向上することができるというすぐれた効果が得られる。
【0083】
請求項3によれば、トッププレート外周面100の断熱部外周面30に対する張出し長さL’が20mm以下に設定されているので、機械加工によってチャック面10を仕上げたりワークの端部を加工する際に、工具がチャック面10の外周部分を通過して加工力が作用してもチャック面10がたわんだり、だれたりそれらによりバウンドしたりせず、剛直性を維持する。したがって、チャック面10の仕上げやワークの端部加工を精度よく行なうことができるというすぐれた効果が得られる。
【0084】
請求項4によれば、チャック面10を含むトッププレート1が鉄鋼材で代表される硬質剛性材からなっているので、装置を加工機械に据え付けた後の加工基準面出しのゼロカットやその後のメンテナンスを容易かつ精度よく行なうことができるというすぐれた効果が得られる。
請求項5によれば、チャック面10がバキューム機構を有しているので、凍結によるワークの固定との相乗効果により、確実かつ安定的にワークを固定することができ、また加工のサイクルタイムを早くすることができるというすぐれた効果が得られる。
請求項6によれば、台座2から断熱部3を通してトッププレート1に熱が伝達されるのを防止することができるので、トッププレート1と台座2と断熱部3とが一体的に組み付けられていながら良好な熱遮断性能を発揮できるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明による冷凍チャック装置の第1実施例を概略的に示す側面図、(b)はその一部拡大図である。
【図2】 第1実施例を冷凍回路例とともに示す平面図である。
【図3】 第1実施例を適用した冷凍チャック装置の平面図である。
【図4】 第1実施例を適用した冷凍チャック装置の側面図である。
【図5】 トップププレートの部分切欠平面図である。
【図6】 図6のX−X線に沿う断面図である。
【図7】 図6のY−Y線に沿う断面図である。
【図8】 (a)はブロック部体の一例を示す断面図、(b)は同じくその平面図である。
【図9】 ブロック部体とトッププレートと台座との結合構造を示す断面図である。
【図10】 (a)はトッププレートと断熱部および台座の組み付け構造の別例を示す部分的断面図
、(b)は同じく別の例の部分的断面図である。
【図11】 (a)は本発明の第2実施例を示す側面図、(b)は断熱部の部分的側面図である。
【図12】 本発明に適用されるトッププレートの他の例を示す部分的側面図である。
【図13】 本発明装置の使用状態の一例を示す斜視図である。
【図14】 本発明装置の使用状態の他の例を示す斜視図である。
【図15】 本発明の他の例を示す側面図である。
【図16】 比較例の側面図である。
【図17】 本発明の他の態様を示す部分切欠平面図である。
Claims (6)
- 上面をチャック面10とし内部に冷媒循環通路を有するトッププレート1と、下方の台座2と、前記トッププレート1と台座2間に介在され上面がトッププレートの下面に、下面が台座の上面に結合された断熱部3とを備えてなり、前記断熱部3が工具側から加えられる力に耐えうる大きさと数の複数のブロック部体3aからなり、各ブロック部体3aが相互に所定のすき間を有するように間隔的に配されていることを特徴とする冷凍チャック装置。
- 上面をチャック面10とし内部に冷媒循環通路を有するトッププレート1と、下方の台座2と、前記トッププレート1と台座2間に介在され上面がトッププレートの下面に、下面が台座の上面に結合された断熱部3とを備えてなり、断熱部3が、平板状部分3bと工具側から加えられる力に耐えうる大きさと数の複数のブロック部分3aとからなり、各ブロック部分3aが相互に所定のすき間を有するように平板状部分3bの上に間隔的に位置し、各ブロック部分3aの上面がそれぞれトッププレート1に結合され、平板状部分3bが台座2に結合されていることを特徴とする冷凍チャック装置。
- トッププレート外周面100の断熱部外周面30に対する張出し長さL’が20mm以下に設定されている請求項1または請求項2に記載の冷凍チャック装置。
- チャック面10が鉄鋼材で代表される硬質剛性材からなっている請求項1ないし3のいずれかに記載の冷凍チャック装置。
- チャック面10がバキューム機構を有している請求項1ないし4のいずれかに記載の冷凍チャック装置。
- トッププレート1とブロック部体3aとがねじ部材6で結合され、これと変位した位置でブロック部体3aと台座2とが別のねじ部材7で結合されている請求項1に記載の冷凍チャック装置。
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