JP3664934B2 - 半導体集積回路解析装置とその解析方法並びに解析方法を記録した記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路解析装置とその解析方法並びに解析方法を記録した記録媒体に関し、特に、半導体集積回路中の寄生素子の影響を含めた回路シミュレーションを行う半導体集積回路の解析装置その解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路は、サブストレート基板(半導体基板)上に回路素子や配線が作りこまれた構造となっている。そのため、アナログ・ディジタル混載集積回路では、ディジタル回路ブロックのスイッチングによるノイズが、サブストレート基板を介してアナログ回路ブロックに伝わり、アナログ回路の性能を低下させる。従って、アナログ・ディジタル混載集積回路を設計する際には、この影響も考慮しなければならない。
【0003】
文献(Balshaz R. Stanisic, Nishath K. Verghese, Rob A. Rutenbar, L.Richard Carleyand, David J. Allistot, “Addressing Substrate Coupling Mixed-Mode IC’s: Simulation and Power Distribution Synthesis”, IEEE Journal of Solid-State Circuit, Vol.9, No.3, pp.226-238, March, 1994)によれば、サブストレート基板のモデルを、図1に示す単位セルモデル1が図2に示すように3次元的に接続されたサブストレート基板モデル4で表現し、“SPICE”に代表される回路シミュレータで解析することの有効性が示されている。
【0004】
図1に示す単位セルモデル1は、7個のノード2と、6個の抵抗要素3から構成されている。ここで、2(C)は、ブロックの中心のノードであり、2(F1)はブロックの上側表面のノードであり、2(F2)はブロックの右側表面のノードであり、2(F3)は手前側表面のノードであり、2(F4)は左側表面のノードであり、2(F5)は奥側表面のノードであり、2(F6)は底側表面のノードであり、3は各ノード間の抵抗要素を表している。
【0005】
抵抗要素3は、本来、抵抗成分と容量成分から構成されるが、基板の抵抗率と誘電率から決まる誘電緩和時間が、回路の扱う信号の速度に比べて早い場合には容量成分を省略することが可能となる。図1の単位セルモデル1の寸法をdx=dy=dz=aとすると、抵抗成分Rは式(1)で計算される。
【0006】
【数1】
【0007】
サブストレート基板の抵抗率ρは、基板材料や不純物拡散濃度などにより決定され、サブストレート基板の仕様や、半導体製造プロセス、半導体構造といった実際の設計上の情報を反映した形で、コンピュータがモデル化処理する。
【0008】
この単位セルモデル1は、サブストレート基板中の小さなブロックを表現しており、サブストレート基板のモデルは、この単位セルモデル1を密に並べたものと等価となる。図2は、単位セルモデル1を密に並べて作成したサブストレート基板モデル4の一例である。
【0009】
一方、特開平10−261004号公報では、単位セルモデル1を改良することによりノード数を削減する方法について述べている。
【0010】
また、文献(村坂 佳隆,永田 真,森江 隆,岩田 穆,“F行列を用いたチップレベルの基板雑音解析法” 信学技報ICD99-147,1999年9月)では、多端子F行列を使用することにより、図2のモデルからサブストレート基板内部のノードを削除し、サブストレート基板の最上面のみにノードをもつサブストレート基板モデルを作成したうえで、さらに行列操作により解析対象外のノードを削除する方法について述べている。多端子F行列とは、回路理論において、二端子対回路網の入出力関係を論じるときに用いられるF行列を、多端子対回路網に適用できるように拡張した概念である。例えば、ある回路に入力端子と出力端子がそれぞれN個ずつ存在し、入力端子の電圧・電流群をV1、I1、出力端子における電圧、電流群をV2、I2で表した場合、多端子F行列Fは式(2)で定義される。
【0011】
【数2】
【0012】
ここではまず、この多端子F行列を用いた、従来のサブストレート基板モデルの作成方法を、図3〜7を用いて説明する。
【0013】
図1の単位セルモデル1を図2のように並べてサブストレート基板モデル4を作成した場合、先に述べたように、抵抗要素3は、容量成分を省略して抵抗成分のみで表すことができる。従って、サブストレート基板モデル4の等価回路は、図3のようなノード2が格子状に抵抗素子5で接続された基板モデル等価回路6となる。
【0014】
このとき、基板モデル等価回路6は、図4に示されるように、回路網A層7と回路網B層8を交互に直列接続することで表現することができる。回路網A層7と回路網B層8の構造は、図5に示されるような回路網であり、それぞれN個の入力端子9と出力端子10をもつN端子対回路網である。
【0015】
図5の11と12の部分が、それぞれノード番号iの位置に相当すると考え、図5の11と12の部分の入出力電圧・電流を図6のようにとると、図6の11の回路に対しては式(3)が、図6の12の回路に対しては式(5)がそれぞれ成立する。式(3)、(5)を図5の回路網A層7及び回路網B層8の全ての入出力端子に拡張することで、回路網A層7のF行列FA及び、回路網B層8のF行列FBが式(4)、(6)のように求まる。ただし、Eは単位行列である。これら各層のF行列を、式(6)のように図4に示す順に掛け合わせることにより、サブストレート基板表面のノードを入力端子、裏面のノードを出力端子とする合成F行列Fを得る。
【0016】
【数3】
【0017】
【数4】
【0018】
【数5】
【0019】
【数6】
【0020】
【数7】
【0021】
以上のように求められた合成F行列Fと、チップ表面における電圧・電流群V1、I1及び、チップ裏面における電圧、電流群V2、I2の関係は式(8)となる。式(8)では合成F行列Fを、A〜Dの各成分で表している。
【0022】
【数8】
【0023】
次に、行列操作を用いて、式(8)から解析対象外のノードを削除する。まず、解析に用いる基板表面のノードの電圧、電流をV1o、I1oとし、その他の解析に用いない基板表面のノードをV1x、I1xとする。そして、式(8)を式(9)のように書き直す。
【0024】
【数9】
【0025】
裏面がフローティングなサブストレート基板の場合にはI2=0となる。解析に用いない基板表面のノードも外部と接続されていないのでI1x=0となり、V1xはそもそも計算の必要がなくなる。これらの条件を式(9)に与えることにより、式(10)が得られる。
【0026】
【数10】
【0027】
式(10)からV2を消去することにより、式(11)のV1oとI1oの関係が得られる。式(11)はアドミタンス行列を表しているため、直ちに回路シミュレータによる解析に使用することができる。
【0028】
【数11】
【0029】
上記の方法で作成される、ノード数が削減されたサブストレート基板モデルを用いることにより、回路シミュレータで解析する際の解析時間を短縮することが可能となる。
【0030】
従来の方法の第1の問題点は、ノード数の増大に伴い、モデルを作成するのに必要な計算機の記憶容量と処理量が増大し、場合によってはサブストレート基板モデルの作成自体が不可能になるということである。
【0031】
式(11)の行列演算により解析対象外のノードを削除する際には、削除前の全ノード数をnとした場合に、n×nの大きさをもつ正方行列の逆行列を求める必要がある。例えば、面積が5mm角のサブストレート基板の表面に、1μm間隔で格子状にノードを配置した場合には、チップ全体では25000000ノード必要となるため、25000000×25000000の大きさをもつ正方行列の逆行列を求める必要があり、計算機の処理時間は莫大なものとなる。また、計算機の記憶容量は有限であり、その容量を上回る大きさの行列の演算は実行不可能である。従って、解析精度を上げるためにノード数を増やした場合、逆行列計算に必要とされる記憶領域が計算機の記憶容量を越えて、サブストレート基板モデルの作成自体が不可能になる。
【0032】
従来の方法の第2の問題点は、図4のように回路網A層7と回路網B層8の直列接続でサブストレート基板モデル4を表現する際に、回路網A層7と回路網B層8を重ねる層数を増大させると、式(7)から計算される合成多端子F行列の桁数が大きくなり、桁数の大きな数値の行列演算を行うためにより多くの記憶領域が必要となり、場合によってはサブストレート基板モデルの作成自体が不可能になるということである。
【0033】
例えば、図7[A]のようなサブストレート基板のモデル4(a)を作成する場合を考える。図7[A]においては、サブストレート基板モデル4(a)のz軸に垂直な上側表面が、回路素子が作りこまれたサブストレート基板表面であり、サブストレート基板表面に8×8=64個の単位セルモデル1を並べている。ここで、単位セルモデル1はdx=dy=dz=1μmの立方体とし、サブストレート基板の抵抗率は15Ωcmとする。
【0034】
このとき、図7[A]のサブストレート基板モデル4(a)の厚さdを変化させて、回路網を重ねる層数を増大させると、サブストレート基板を表現する合成多端子F行列の成分中の最大値Fmaxは、図8の実線のように急速に増大する。
【0035】
図7[A]のdとFmaxの関係に対し指数近似を行うと式(12)となる。サブストレート基板の厚さを300μmと考えた場合、Fmaxは式(12)より10の281乗のオーダーとなる。
【0036】
【数12】
【0037】
一方、式(11)により求められるアドミタンス行列に含まれる各成分の絶対値の最小値|Y|minは、サブストレート基板の厚さdの増大に伴い図9のように変化する。図9より、dの増大に伴い|Y|minは一定の値に収束し、収束値は10の−8乗のオーダーである。従って、dが300μmの場合、式(11)の行列演算で、281−(−8)=289桁の桁落ちが発生するため、式(11)の行列演算には少なくとも289桁の計算桁数が必要である。計算桁数が不足していれば、桁落ちによる誤差が発生しモデルの精度が低下する。
【0038】
計算機で行列演算を行う際には、行列を格納するための記憶領域が必要である。また、一般に行列を格納するのに必要な記憶容量は、(行列の大きさ)×(行列の成分の桁数)に比例する。第一の問題点で述べたように、従来の方法は扱う行列が大きいために、桁数を大きくすると必要な記憶容量が急速に増大し、第一の問題点で述べたのと同様な理由で、モデルの作成が不可能になる。
【0039】
行列演算時の桁数の増大を抑えるための方法として、式(7)を用いてサブストレート基板の合成多端子F行列を計算する際に、回路網A層7と回路網B層8を重ねる層数を小さくするという方法がある。回路網を重ねる層数を小さくするには、単位セルモデル1のz軸方向の寸法を大きくすればよい。
【0040】
ここで、単位セルモデル1のx軸及びy方向の寸法dx及びdyは1μmのまま変化させずに、単位セルモデル1のz軸方向の寸法dzを100μmとした場合に、図7[A]のサブストレート基板モデル4(a)の厚さdを変化させて、回路網を重ねる層数を増大させると、サブストレート基板を表現する合成多端子F行列の成分中の最大値Fmaxは、図8の一点鎖線のように変化する。図8より、dzが100μmの場合、サブストレート基板の厚さdが数100μmで、サブストレート基板の合成多端子F行列の最大値Fmaxは10の20乗のオーダーとなる。
【0041】
これに対し、式(11)により求められるアドミタンス行列に含まれる各成分の絶対値の最小値|Y|minは、dzが1μmの場合と100μmの場合を比較しても変化は小さく、|Y|minは、dzが100μmの場合においても10の−9乗のオーダーに収束する。
【0042】
従って、単位セルモデル1のz軸方向の寸法dzが100μm、サブストレート基板の厚さdが数100μmの場合で、サブストレート基板モデルを作成する際の行列演算に必要とされる桁数は、20−(−9)=29桁となる。
【0043】
このように、単位セルモデル1のz軸方向の寸法dzを100μm程度まで大きくすることにより、サブストレート基板の合成多端子F行列を計算する際の行列演算に必要とされる桁数を30桁程度の現実的な範囲まで小さくすることが可能である。しかし、サブストレート基板表面に構成されるサブストレート・コンタクトや拡散層等のノイズ源の寸法は数μm程度であるため、z軸方向の寸法dzが100μm程度である単位セルモデル1では、サブストレート基板中の電流分布を表現できず、作成されたモデルの精度が低下するという問題がある。
【0044】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、図2のサブストレート基板モデル4において、単位セルモデル1の大きさを1チップ内で異なるようにし、大きさの異なる単位セルモデル1の間の抵抗値を物理法則と照らし合わせて矛盾無く決定する方法を提供することで、解析精度を落とすことなくサブストレート基板モデルのノード数を削減し、効率的にサブストレート基板経由のノイズの解析を行うことができる解析装置及びその解析方法を提供することである。
【0045】
本発明の他の目的は、図2のサブストレート基板モデル4において、単位セルモデル1の大きさを1チップ内で可変とすることで、サブストレート基板モデルの表面のノード数を削減することにより、F行列を用いてサブストレート基板モデルを作成する際の演算量及び必要とされる計算機の記憶容量を小さくし、効率的にサブストレート基板モデルの作成及びサブストレート基板経由のノイズの解析を行うことができる解析装置及びその解析方法を提供することである。
【0046】
本発明のさらなる目的は、図2のサブストレート基板モデル4において、単位セルモデル1の大きさを1チップ内で可変とすることで、多端子F行列を用いてサブストレート基板モデルを作成する際に、多端子F行列で表現された回路網を重ねる層数を削減し、計算桁数の増大及びモデルの精度低下の問題を解決して効率的に解析を行うことができる解析装置及びその解析方法を提供することである。
【0047】
更に、本発明の目的は、半導体集積回路の解析方法を記録した記録媒体を提供することである。
【0048】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した目的を達成するため、基本的には、以下に記載されたような技術構成を採用するものである。
【0049】
即ち、本発明に係わる半導体集積回路解析装置の第1態様は、
サブストレート基板中の微小な三次元領域を、接続点としてノードを持つ単位立体として取り扱い、単位立体は抵抗要素・誘導要素・容量要素のうち少なくとも一つの要素を用いてモデル化し、サブストレート基板を当該単位立体の集合体として取り扱い、当該集積回路を構成する回路素子をこのモデル化されたサブストレート基板とともに回路シミュレータで動作特性解析する半導体集積回路解析装置において、
異なる寸法の前記単位立体を複数個用い、1個の単位立体の同一表面に、当該単位立体に対して寸法の小さい複数の単位立体を接続することにより、サブストレート基板を異なる寸法を持つ前記単位立体の集合として表し、各単位立体の寸法に依存する抵抗要素の抵抗値、誘導要素のインダクタンス又は容量要素の容量値を用いて当該単位立体をモデル化する手段を具備することを特徴とするものであり、
叉、第2態様は、
大きさの異なる単位立体間を接続するために、複数の単位立体がより寸法の大きい単位立体の同一表面に接続される位置において、寸法の大きい単位立体の一つの表面の電位を一定とし、当該電位を1ノードで表現して、当該ノードを経由して大きさの異なる単位立体間の接続を行い、一方、面で接していない単位立体間には電流が流れないとして、大きさの異なる単位立体間の接続をモデル化する手段を具備することを特徴とするものであり、
叉、第3態様は、
接続面に設けたノード経由で行った、大きさが異なる単位立体間の接続を、電流の保存則を満たしたまま、大きさの異なる単位立体どうしが接続面に設けたノードを経由しないで直接抵抗接続された形に置き換えることにより、大きさの異なる単位立体間の接続をモデル化する手段を具備することを特徴とするものであり、
叉、第4態様は、
サブストレート基板中の微小体積を、接続点としてノードを持つ単位立体として取り扱い、単位立体は抵抗要素・誘導要素・容量要素のうち少なくとも一つの要素を用いてモデル化し、サブストレート基板を当該単位立体の集合体として取り扱い、このモデル化された当該サブストレート基板を多端子F行列で表現された回路網の直列接続で表現し、行列演算により解析に不要なノードを削除してノード数の少ないサブストレート基板のモデルを作成し、当該集積回路を構成する回路素子をこの少ないノード数でモデル化されたサブストレート基板とともに回路シミュレータで動作特性解析する半導体集積回路解析装置において、
サブストレート基板表面の回路素子が構成された面からの距離に応じて単位立体の寸法が変化するサブストレート基板モデルを、多端子F行列で表現された回路網の直列接続で表現する場合に必要となる、ノードの数が異なる回路網どうしの接続の際に、ノード数が少ない側の回路網で不要となったノードを他の如何なるノードにも接続させることなくサブストレート基板裏面のノードに接続し、サブストレート基板裏面において「電流=0」の条件を与えることで不要なノードが存在しないのと等価にすることで、F行列では表現不可能な、同じノード番号の入出力端子間のインピーダンスが無限大である回路網を使用せずに、単位立体の大きさが異なる回路網どうしを接続し、単位立体の大きさが異なるサブストレート基板モデルを多端子F行列で表現された回路網の直列接続で表現する手段を具備することを特徴とするものである。
【0050】
叉、本発明に係わる半導体集積回路解析方法の第1態様は、
サブストレート基板中の微小な三次元領域を、接続点としてノードを持つ単位立体として取り扱い、単位立体は抵抗要素・誘導要素・容量要素のうち少なくとも一つの要素を用いてモデル化し、サブストレート基板を当該単位立体の集合体として取り扱い、当該集積回路を構成する回路素子をこのモデル化されたサブストレート基板とともに回路シミュレータで動作特性解析する半導体集積回路解析方法において、
素子が配置されるサブストレート表面側においては、寸法の小さな第1の単位立体を用い、基板表面から離れた位置においては、前記第1の単位立体より大きな第2の単位立体を少なくとも用いるように構成したことを特徴とするものであり、
叉、第2態様は、
サブストレート基板中の微小な三次元領域を、接続点としてノードを持つ単位立体として取り扱い、単位立体は抵抗要素・誘導要素・容量要素のうち少なくとも一つの要素を用いてモデル化し、サブストレート基板を当該単位立体の集合体として取り扱い、当該集積回路を構成する回路素子をこのモデル化されたサブストレート基板とともに回路シミュレータで動作特性解析する半導体集積回路解析方法において、
ロジック回路ブロック中のコンタクトや拡散層などの寸法の小さい構造の周辺のように、電位の変化が激しい部分においては、寸法の小さな第1の単位立体を用い、アナログ回路ブロック中のキャパシタや、高周波回路ブロックなどの寸法の大きい構造の周辺のように、電位の変化が緩やかな部分においては、前記第1の単位立体より大きな第2の単位立体を少なくとも用いるように構成したことを特徴とするものである。
【0051】
叉、本発明に係わる記録媒体の態様は、
サブストレート基板中の微小な三次元領域を、接続点としてノードを持つ単位立体として取り扱い、単位立体は抵抗要素・誘導要素・容量要素のうち少なくとも一つの要素を用いてモデル化し、サブストレート基板を当該単位立体の集合体として取り扱い、当該集積回路を構成する回路素子をこのモデル化されたサブストレート基板とともに回路シミュレータで動作特性解析する半導体集積回路の解析方法のコンピュータプログラムを記録した記録媒体において、
前記サブストレート基板を単位セルモデルに分割すると共に、この際、素子が配置されるサブストレート表面側においては、寸法の小さな第1の単位セルモデルを用い、基板表面から離れた位置においては、前記第1の単位セルモデルより大きな第2の単位セルモデルを用いるように分割する第1の工程と、
前記単位セルモデル毎の抵抗値を算出する第2の工程と、
前記セルモデル間の抵抗値から前記サブストレート基板の等価回路を求める第3の工程と、
前記サブストレート基板を多端子F行列で表す第4の工程と、
前記多端子F行列から不要なノードを削除し、サブストレート基板モデルに変換せしめる第6の工程と、
前記サブストレート基板モデルと回路図データとを結合して、回路シュミレーションを行う第6の工程と、
からなる一連の処理工程を記録したことを特徴とするものである。
【0052】
本発明によれば、サブストレート基板を立体図形の集合体として取り扱い、当該サブストレート基板を当該集積回路を構成する線形素子・非線形素子とともに回路シミュレータで解析する半導体集積回路解析装置において、前記サブストレート基板を立体図形の集合体として取り扱う際の立体図形の寸法をサブストレート基板中の電位及び電流分布の複雑さに応じて変化させること(図10,図16、図19)及び、寸法の異なる立体図形間の接続部分を物理法則と照らし合わせて矛盾無くモデル化する方法(図11、図12、図13)を含むことを特徴とするものである。
【0053】
従って、本発明によれば、前記サブストレート基板を立体図形の集合体として取り扱う際の立体図形の寸法を変えることにより、サブストレート基板モデルのノード数を削減することが可能となり、効率的にサブストレート基板経由のノイズの解析を行うことができる解析装置及び解析方法が得られる。
【0054】
また、従来の多端子F行列を用いたサブストレート基板モデル作成方法に対して、本発明で提案された方法を適用して、サブストレート基板表面のノード数を削減することにより、F行列を用いてサブストレート基板モデルを作成する際の演算量及び必要とされる計算機の記憶容量を小さくすることが可能となり、効率的にサブストレート基板モデルの作成及びサブストレート基板経由のノイズの解析を行うことができる解析装置及び解析方法が得られる。
【0055】
また、従来の多端子F行列を用いたサブストレート基板モデル作成方法に対して、本発明で提案された方法を適用することにより、多端子F行列を用いてサブストレート基板モデルを作成する際に、多端子F行列で表現された回路網を重ねる層数を削減することが可能となり、計算桁数の増大及びモデルの精度低下の問題が解決され、効率的に解析を行うことができる解析装置及び解析方法が得られる。
【0056】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明の半導体集積回路解析装置及び解析方法に含まれる第一の発明は、図2のように単位セルモデル1を接続してサブストレート基板をモデル化する際に、単位セルモデル1の大きさを1チップ内で変えることにより、サブストレート基板をより少ないノード数でモデル化することを可能とするものである。
【0057】
本発明の第1の実施形態を図10に示す。図10のサブストレート基板モデルにおいては、z軸に垂直な上側の表面が素子が作りこまれているサブストレート表面であるが、図10のサブストレート基板モデルは、素子が作りこまれているサブストレート表面においては寸法の小さな単位セルモデルを用い、基板表面から距離が離れた位置においては寸法の大きな単位セルモデルを用いていることを特徴としている。図10の1(a)は寸法の小さな単位セルモデルであり、1(b)は寸法の大きな単位セルモデルである。
【0058】
なお、図10では、y軸方向を1個の単位セルモデルで表現しているが、y軸方向を多数の単位セルモデルで表現するサブストレート基板モデルについては、第2の実施形態以降で説明を行う。
【0059】
単位セルモデル1(a)および1(b)の構造は、図1の単位セルモデル1と同様である。従って、大きさが同じ単位セルモデル間の接続は、従来と同じ方法で行うことができる。しかし、図10に示すように、単位セルモデルの大きさが変化する位置では、多数の単位セルモデル1(a)が同一面上で一つの単位セルモデル1(b)に接続されるため、適切な接続モデルを用いる必要がある。
【0060】
次に、大きさが異なる単位セルモデル間の接続モデルについて、詳細に説明する。
【0061】
図11は、図10において大きさが異なる単位セルモデルが接続されている部分に注目した図である。図11においては、単位セルモデル1(a)が3個直列接続され、さらに全ての単位セルモデル1(a)は、底面を通じて一つの単位セルモデル1(b)に接続されている。
【0062】
単位セルモデル1(a)は図1の単位セルモデル1と同じ構造であり、ノード2(a)と、x軸方向の抵抗素子Rx1と、y軸方向の抵抗素子Ry1と、z軸方向の抵抗素子Rz1を含んでいる。ノード2(a)は単位セルモデル1(a)の中心に位置する。また図11では、Rx1は5(ax)に、Rz1は5(az)に相当し、Ry1は、図面が複雑になるので省略している。また、単位セルモデル1(b)も同様の構造でノード2(b)を保有しており、Rx2は5(bx)に、Rz2は5(bz)に相当している。一般的にこれらの抵抗素子の抵抗値は式(1)により計算されるが、その値は単位セルモデルの大きさに依存する。図11における各抵抗素子の抵抗値は、式(13)となる。
【0063】
【数13】
【0064】
ここで、単位セルモデル1(b)の上面の電位を至る所で一定と考え、その電位を図11のノード2(ab)における電位で代表する。すると、単位セルモデル1(a)の底面は全て単位セルモデル1(b)の上面に接続されているため、単位セルモデル1(a)と単位セルモデル1(b)の接続は、ノード2(ab)の一点を経由した、図11に示されるような形となる。このように、異なる大きさの単位セルモデル間の接続は、接続面の電位を1ノードで表現することにより行う。
【0065】
図11の回路は、多端子F行列で表現することも可能である。例えば、図11のz軸に垂直な上側の表面を入力端子とし、下側の表面を出力端子とすると、多端子F行列は式(14)となる。
【0066】
【数14】
【0067】
しかし、図11に示す形で異なる大きさの単位セルモデル間の接続を行うと、単位セルモデルの大きさが変化する位置毎にノード2(ab)を設ける必要があり、チップ全体のノード数を増大させる原因となる。ノード数の増大は計算機の処理時間と記憶領域を要求し、解析の効率を低下させるため、異なる大きさの単位セルモデル間の接続は、図11からノード2(ab)を除去した図12のような形で行えるほうが望ましい。そのために、ここでは単位セルモデル1(b)の同一面に接続されている単位セルモデル1(a)の電位差は十分小さいと近似することにより、ノード2(ab)の除去を行う。サブストレート基板中において、サブストレート・コンタクトや拡散層などのノイズ源から離れた位置では、電位の変化は緩やかなものとなるので、この近似は妥当なものである。
【0068】
単位セルモデル1(b)の同一面に接続されている単位セルモデル1(a)の電位差は十分小さいと近似することにより、単位セルモデル1(a)の水平方向の抵抗成分5(ax)は導通とみなすことが可能となり、図11及び図12の等価回路は図13のように書き直すことができる。図13[A]は、図11のモデルに相当し、図13[B]は、図12のモデルに相当する。
【0069】
図13[A]及び図13[B]のモデルに対して、ノード2(a)とノード2(b)の間の抵抗値Rcを計算すると、式(15)となる。なお、Rabは、抵抗素子5(ab)の抵抗値を表している。式(15)をRabについて解き、式(13)を代入し、さらに、図11よりdx2=3・dx1、dy2=dy1であることに着目して式(15)を整理すると、式(16)を得る。式(16)は、異なる大きさの単位セルモデル間の接続モデルを表現している。
【0070】
【数15】
【0071】
【数16】
【0072】
以上のように、式(16)を用いることにより、大きさが異なる単位セルモデル間の接続をモデル化することが可能となり、図10に示すような、単位セルモデルの大きさが異なるサブストレート基板モデルを作成することが可能となる。図14は、図12の接続モデルを用いて、図10のサブストレート基板モデルの等価回路を求めた結果である。図14に示されるように、単位セルモデルの大きさが異なるサブストレート基板モデルを利用することにより、ノード数の削減が可能となり、回路シミュレーション等の解析を効率よく行うことが可能となる。
【0073】
次に、図14の等価回路を多端子F行列で表す方法について述べる。
【0074】
一般的に、ある回路網について、ノード番号が同じである入力端子と出力端子の間のインピーダンスが無限大の場合と、ノード番号が異なる入力端子及び出力端子の間のインピーダンスが0の場合には、その回路網を表現するF行列の成分中に無限大が含まれるため、回路網をF行列で表現することは不可能である。
【0075】
そこで、図14の等価回路を、上記条件に該当しない多端子F行列で表現可能な回路網に分割すると、回路網C層21〜回路網H層26が、図15に示すように直列接続された回路となる。回路網C層21〜回路網H層26は、それぞれ6個の入力端子9と出力端子10をもつ、6端子対の回路網である。
【0076】
このとき、図15の回路網C層21、回路網D層22は、寸法の小さな単位セルモデル1(a)を表現しており、R21=2・Rx1、R22=2・Rz1、となる。また、回路網E層23、回路網F層24は、大きさが異なる単位セルモデル間の接続をモデル化しており、R23=R24=Rabである。また、回路網G層25、回路網H層26は、寸法が大きな単位セルモデル1(b)を表現しており、R25=2・Rx2、R26=2・Rz2である。
【0077】
単位セルモデルの大きさが変化すると、回路網の入出力端子の数、即ちノード数も変化するが、F行列を用いて回路網を表現する際には、ノード番号が同じである入力端子と出力端子の間のインピーダンスを無限大にすることは不可能なため、全ての回路網の入出力端子の数は等しい必要がある。
【0078】
そこで、寸法が大きな単位セルモデル1(b)を表現する回路網G層25、回路網H層26においては、不要となった偶数番目のノードについては他の如何なる入出力端子とも接続させることなく、サブストレート基板底面に存在する同じノード番号の出力端子に接続している。
【0079】
最下層の回路網H層26の出力端子は、サブストレート基板モデルを作成するときに「電流=0」の条件が与えられるために、図15の回路表現と図14の回路表現は等価なものとなる。
【0080】
次に、図15に示すように、一番左側の入出力端子のノード番号を1番、次を2番というように順次与え、各ノードにおける電圧・電流の関係を図6で行ったのと同様の方法で定式化することで、各回路網の多端子F行列が以下のように求まる。すなわち、回路網C層21、回路網F層24、回路網G層25の多端子F行列F21、F24、F25は、式(17)〜式(20)となる。また、回路網D層22、回路網E層23、回路網H層26の多端子F行列F22、F23、F26は、式(21)〜式(24)となる。ただし、Eは(基板表面ノード数)×(基板表面ノード数)の大きさの単位行列を表す。
【0081】
サブストレート基板の等価回路モデルは、回路網C層21〜回路網H層26が図15に示すように直列接続された回路なので、以上のように求められた各回路網の多端子F行列を式(25)のように掛け合わせることにより、サブストレート基板の表面を入力端子、裏面を出力端子とした多端子F行列Fを求めることができる。さらに、求められた多端子F行列Fに対して式(11)の演算を行うことにより、解析に不要なノードが削除されたサブストレート基板モデルを作成することができる。
【0082】
従来の方法では、数100μmのサブストレート基板を忠実にモデル化しようとすると、多数の回路網を重ねる必要があるため、サブストレート基板を表現するF行列の桁数が大きくなり、行列演算の際に多くの計算機の記憶領域を必要としたり、桁落ちによる誤差が発生したりといった問題があった。本実施の形態では、素子が作りこまれているサブストレート表面においては寸法の小さな単位セルモデル1(a)を用い、基板表面から距離が離れた位置においては寸法の大きな単位セルモデル1(b)を用いて回路網を重ねる層数を削減することで、サブストレート基板を表現する多端子F行列の桁数の増大が抑えられる。
【0083】
【数17】
【0084】
【数18】
【0085】
【数19】
【0086】
【数20】
【0087】
【数21】
【0088】
【数22】
【0089】
【数23】
【0090】
【数24】
【0091】
【数25】
【0092】
(実施の形態2)
本発明における、第2の実施形態のサブストレート基板モデルを図16に示す。図16のサブストレート基板モデルは、寸法の小さな単位セルモデル1(c)と、寸法の大きな単位セルモデル1(d)から構成されている。本実施形態を第1の実施形態と比較すると、第1の実施形態ではy軸方向を1個の単位セルモデルで表現していたのに対し、図16のサブストレート基板モデルではy軸方向を多数の単位セルモデルで表現しており、サブストレート基板内の電圧及び電流分布がより複雑である場合に適用可能であることが特徴である。
【0093】
そのため、単位セルモデルの大きさが変化する部分で、2×2列に並んだ4個の単位セルモデル1(c)を一つの単位セルモデル1(d)に接続する必要があり、1列に並んだ単位セルモデル1(a)を一つの単位セルモデル1(b)に接続している第1の実施の形態とは状況が異なる。
【0094】
しかし、このように平面的に並んだ多数の単位セルモデル1(c)が一つの単位セルモデル1(d)に接続される場合においても、式(16)は一般的に成立するため、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の方法で、サブストレート基板を多端子F行列で表現することができる。
【0095】
図16のサブストレート基板モデルを、図14と同様な形の等価回路に変換し、図15のような多端子F行列で表現される回路網の直列接続で書き表すと、回路網I層31〜回路網N層36が直列接続された図17に示すような回路となる。
【0096】
ここで、回路網I層31〜回路網N層36は、図18に示すような、それぞれ16個の入力端子9と出力端子10をもつ、16端子対の回路網である。入出力端子のノード番号を図16のように与えると、回路網I層31、回路網L層34、回路網M層35の多端子F行列F31、F34、F35は、式(26)〜式(29)、回路網J層32、回路網K層33、回路網N層36の多端子F行列F32、F33、F36は、式(30)〜式(33)となる。
【0097】
また、式(34)より、サブストレート基板の表面を入力端子、裏面を出力端子とした多端子F行列Fを求めることができる。さらに、求められた多端子F行列に対して式(11)の演算を行うことにより、解析に不要なノードが削除されたサブストレート基板モデルを作成することができる。
【0098】
【数26】
【0099】
【数27】
【0100】
【数28】
【0101】
【数29】
【0102】
【数30】
【0103】
【数31】
【0104】
【数32】
【0105】
【数33】
【0106】
【数34】
【0107】
本実施の形態においても、第1の実施形態と同様に、サブストレート表面においては寸法の小さな単位セルモデル1(c)を用い、基板表面から距離が離れた位置においては寸法の大きな単位セルモデル1(d)を用いて回路網を重ねる層数を削減することで、サブストレート基板を表現する多端子F行列の桁数の増大が抑えられる。
【0108】
例えば、図7[B]のように、サブストレート基板表面に8×8=64個の単位セルモデル1を並べ、基板表面から距離が離れるに従って順次単位セルモデルの寸法を大きくして行った場合を考える。ここで、基板表面の単位セルモデル1はdx=dy=dz=1μmの立方体とし、サブストレート基板の抵抗率は15Ωcmとする。この場合においては、基板厚さを増大させても、サブストレート基板を表現する合成多端子F行列の成分中の最大値Fmaxの増大は、図8の破線で示されるような、緩やかなものとなる。以上のように、本方法によれば、サブストレート基板を表現する合成多端子F行列の桁数の増大を抑えることができるため、必要な計算桁数の増大及び桁落ち誤差の問題を回避することが可能となる。
(実施の形態3)
本発明における、第3の実施形態のサブストレート基板モデルを図19に示す。図19のサブストレート基板モデルにおいては、z軸に垂直な上側の表面が、回路素子が構成されるサブストレート基板表面であるが、本サブストレート基板モデルは、サブストレート基板表面において異なる寸法の単位セルモデルを使用していることが特徴である。ここで、図19の1(e)は寸法の小さな単位セルモデルであり、1(f)は寸法の大きな単位セルモデルである。
【0109】
ロジック回路ブロック中のコンタクトや拡散層などの寸法の小さい構造の周辺のように、電位の変化が激しい部分においては寸法の小さな単位セルモデル1(e)を用い、アナログ回路ブロック中のキャパシタや、高周波回路ブロックなどの寸法の大きい構造の周辺のように、電位の変化が緩やかな部分においては寸法の大きな単位セルモデル1(f)を用いることで、解析精度を低下させること無く、基板表面ノード数を削減することが可能である。
図19のサブストレート基板モデルを、図12の大きさが異なる単位セルモデル間の接続モデルを用いて等価回路に変換すると、図20に示すような回路網P層41と回路網Q層42の直列接続からなる構造となる。このとき、回路網P層41と回路網Q層42は、図21に示されるような、入力端子9と出力端子10を12個ずつ持つ回路網である。
【0110】
回路網P層41と回路網Q層42の各抵抗素子5の抵抗値は、単位セルモデルの寸法から、式(13)及び式(16)を用いることにより求められる。ここで、Rex、Rey、Rezは寸法の小さな単位セルモデル1(e)の抵抗素子5の抵抗値であり、Rfx、Rfy、Rfzは寸法の大きな単位セルモデル1(f)の抵抗素子5の抵抗値である。
【0111】
ここで、回路網の入力端子9及び出力端子10に、図19に示すようにノード番号を与え、各ノードにおける電圧・電流の関係を図6で行ったのと同様の方法で定式化することで、各回路網の多端子F行列が以下のように求まる。すなわち、回路網P層41の多端子F行列は式(35)及び式(36)となり、回路網Q層42の多端子F行列は式(37)及び式(38)となる。ただし、ここでは、計算の簡単化のために、Re=Rex=Rey,Rf=Rfx=Rfyとしている。また、式(39)より、サブストレート基板の表面を入力端子、裏面を出力端子とした多端子F行列Fを求めることができる。さらに、求められた多端子F行列Fに対して式(11)の演算を行うことにより、解析に不要なノードが削除されたサブストレート基板モデルを作成することができる。
【0112】
本実施の形態では、サブストレート基板モデルの基板表面において単位セルモデルの大きさを可変とすることで、サブストレート基板表面におけるノード数を削減することを可能としている。例えば、本実施の形態でモデル化を行った図19のサブストレート基板の場合、基板表面全体を寸法の小さな単位セルモデル1(e)のみでモデル化すると36ノード必要になるのに対し、寸法の大きな単位セルモデル1(f)を併用すれば12ノードとなる。
【0113】
多端子F行列を用いたサブストレート基板モデル作成の際には、(基板表面ノード数)×(基板表面ノード数)の大きさの行列演算を行う必要があるため、集積回路の大規模化に伴って基板表面ノード数が増大すると、計算機の記憶容量不足でモデル作成が不可能になるという問題があったが、本実施の形態によればこの問題を回避することができる。
【0114】
また、本実施の形態では、2種類の大きさの単位セルモデルしか用いていないが、基板上のコンタクトや拡散層などの寸法の小さい構造から離れるに従って、更に寸法の大きな単位セルモデルを用いれば、さらにノード数を削減することも可能である。
【0115】
【数35】
【0116】
【数36】
【0117】
【数37】
【0118】
【数38】
【0119】
【数39】
【0120】
【実施例】
(実施例1)
本発明の、第1の実施例のサブストレート基板モデルを図22に示す。図22のサブストレート基板モデルにおいては、z軸に垂直な上側の表面が素子が作りこまれた基板表面であるが、本サブストレート基板モデルは、第3の実施形態で述べたように素子が作りこまれているサブストレート基板表面において、異なる寸法の単位セルモデルを併用し、一方で第1及び第2の実施形態で述べたように基板表面からの距離が大きい部分では寸法の大きな単位セルモデルを用いることを特徴としている。
【0121】
ここで、図22の1(g)は、最も寸法の小さな単位セルモデルである。1(h)は、x軸方向の寸法dx及びy軸方向の寸法dyが単位セルモデル1(g)の2倍で、z軸方向の寸法dzは単位セルモデル1(g)と等しい単位セルモデルである。1(i)は、x軸方向の寸法dx及びy軸方向の寸法dyが単位セルモデル1(h)と等しく、z軸方向の寸法dzは単位セルモデル1(g)の2倍である単位セルモデルである。
【0122】
本サブストレート基板モデルでは、以上の単位セルモデル1(g)と1(h)と1(i)の3種類の大きさの単位セルモデルが使用されている。そのため、異なる大きさの単位セルモデルが接続されている部分が増え、また互いに接続されている単位セルモデルの接続面の面積比も様々なものとなっており、より複雑なモデルといえる。しかし、この場合においても、多数の単位セルモデルが同一面上で一つの単位セルモデルに接続される形態に着目すると、第1から第3の実施の形態で述べられている構造と差異は無く、式(16)は成立する。従って、図12と同じモデルを用いて、大きさが異なる単位セルモデル間の接続部分のモデル化を行うことで、サブストレート基板の等価回路を求めることが可能である。また、多端子F行列を用いて、解析対象外のノードが削除されたサブストレート
基板モデルを作成することも可能である。
【0123】
本サブストレート基板モデルは、サブストレート基板表面における電圧及び電流分布の複雑さに応じて単位セルモデルの大きさを変化させることにより、複雑な電圧及び電流分布を少ないノード数で表現することができる一方で、基板表面から距離が離れた位置においては寸法の大きな単位セルモデルを用いて回路網を重ねる層数を削減することで、サブストレート基板を表現する多端子F行列の桁数の増大が抑えることも可能である。
(実施例2)
本発明の第2の実施例は、本発明で提案した少ない演算量でサブストレート基板モデルを作成する機能をもつ、集積回路の解析装置である。本発明の第2の実施例の処理の流れを図23に示す。
【0124】
本実施例においては、まず手順S1において、サブストレート基板を単位セルモデル1に分割する。サブストレート基板表面における単位セルモデル1の寸法は、第3の実施の形態で述べたように可変とし、使用者が自由に決定できるものとする。このとき、ロジック回路ブロック中のコンタクトや拡散層などの寸法の小さい構造の周辺のように、電位の変化が激しい部分においては、寸法の小さな単位セルモデル1(e)を用い、アナログ回路ブロック中のキャパシタや、高周波回路ブロックなどの寸法の大きい構造の周辺のように、電位の変化が緩やかな部分においては、寸法の大きな単位セルモデル1(f)を用いるようにすると、少ないノード数で精度の高い解析を行うことができる。また、集積回路のレイアウト情報を参照して、単位セルモデル1の寸法を自動的に決定する方法も考えられる。
【0125】
また、サブストレート基板表面から離れた位置においては、第1及び第2の実施例で述べたように単位セルモデルの寸法を大きくして、基板の厚さ方向に単位セルモデルを並べる数を少なくする。これは、後の手順でサブストレート基板を表現する多端子F行列を求める際に、行列演算に必要な計算桁数を小さくするためである。
【0126】
次に、手順S2においては、単位セルモデル間の抵抗値を計算する。ここでは、まずプロセス条件S8を用いて計算対象となる単位セルモデルの抵抗率ρを求め、次に抵抗率ρと単位セルモデルの寸法から、式(13)及び式(16)を用いて、単位セルモデル間の抵抗値を計算する。
【0127】
次に、手順S3では、手順S2で求められた単位セルモデル間の抵抗値から、サブストレート基板モデルの等価回路を求める。次に、手順S4では、サブストレート基板モデルの等価回路を多端子F行列で表現可能な多端子対回路網の直列接続で表現し、各回路網の多端子F行列を掛け合わせることにより、サブストレート基板自体を表現する多端子F行列を求める。
【0128】
次に、手順S5においては、サブストレート基板を表現する多端子F行列に対して行列演算を行い、不要なノードの削除を行う。さらに、多端子F行列を、サブストレート基板モデル(アドミタンス行列)S6に変換する。
【0129】
最後に、手順S10において、以上の手順で得られたサブストレート基板モデルS6と、集積回路の回路図データS9を結合し、回路シミュレーションを実行することで、サブストレート基板経由のノイズ解析を行う。
【0130】
これら一連の処理を、図24に示す如きコンピュータで実施させる。このコンピュータには、記憶手段102に“SPICE”などのような回路シミュレーションソフトウェアを保持させてあり、これによって回路シミュレータの機能も含ませてある。なお、図24において、101はCPU(プロセッサ)、102は記憶手段(メモリ)、103は入力手段、104は出力手段である。また、105はディスプレイ、106は大容量外部記憶装置である。
【0131】
本実施例では、プロセス条件を用いて自動的にサブストレート基板モデルを作成するために、短時間で精度の高いモデルを作成することができる。また、第3の実施例で述べた基板表面ノードの削減と、第1及び第2の実施例で述べた回路網を重ねる層数の削減を両方行うために、サブストレート基板モデルを作成する際の行列演算の規模の問題と、必要な計算桁数の問題が両方とも解決される。
【0132】
【発明の効果】
第1の効果は、ノード数の少ないサブストレート基板モデルを作成できることである。その理由は、サブストレート基板中で単位セルモデルの寸法を可変としたためである。サブストレート基板内で、コンタクトや拡散層などのノイズ源に近い部分は寸法の小さな単位セルモデルを用い、ノイズ源から離れるに従って単位セルモデルの寸法を大きくし、大きさの異なる単位セルモデル間の結合は本発明で述べた結合モデルで表現することにより、解析精度を落とさずにノード数の少ないサブストレート基板モデルを作成できる。
【0133】
第2の効果は、多端子F行列を用いてサブストレート基板モデルを作成する際の演算量を削減できることである。多端子F行列を用いてサブストレート基板モデルを作成する際には、(基板表面のノード数)×(基板表面のノード数)の大きさの行列演算を行う必要があるため、ノード数が増大すると計算機の記憶容量不足によりモデルを作成できなくなる可能性があったが、本発明を用いて基板表面ノード数を削減することにより、この問題を回避できる。
【0134】
第3の効果は、多端子F行列を用いてサブストレート基板モデルを作成する際の行列演算に必要な計算桁数を小さくできることである。回路網を重ねてサブストレート基板の等価回路を表現する際に、回路網を重ねる総数を大きくすると、サブストレート基板モデルを表現する多端子F行列の桁数が増大し、アドミタンス行列に変換する際に著しい桁落ちが発生する。従来の方法ではサブストレート基板モデルの寸法が1種類であったので、数100μmの厚さのサブストレート基板を忠実にモデル化するためには、基板の厚さ方向に多数の回路網を重ねる必要があったが、本発明によれば基板の厚さ方向に重ねる回路網の数を少なくできるので、サブストレート基板を表す多端子F行列の桁数の増大が抑えられ、行列演算に必要な計算桁数を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の単位セルモデル1の構造を示す図である。
【図2】従来技術を説明する図であり、同じ大きさの単位セルモデル1を密に並べて作成したサブストレート基板モデル4の一例を示す図である。
【図3】図2のサブストレート基板モデル4の等価回路を示す図である。
【図4】図3の等価回路を回路網の直列接続による表現に描き直した図である。
【図5】図4で用いた回路網A層及び回路網B層の回路図を示す図である。
【図6】図5のノード番号iの位置の入出力電圧・電流を示す図である。
【図7】回路網を重ねる層数を増大させるとサブストレート基板を表現する多端子F行列の桁数が増大することを説明するための試算を行うモデルの構造を示す図である。
【図8】回路網を重ねる層数とサブストレート基板を表現する多端子F行列の桁数の関係を示す図である。
【図9】回路網を重ねる層数とサブストレート基板を表現するアドミタンス行列の最小値|Y|minの関係を示すグラフである。
【図10】本発明の第1の実施の形態を示す図で、大きさの異なる単位セルモデルを用いたサブストレート基板モデルの一例を示している。
【図11】第1の実施の形態で、多数の単位セルモデルが1個の単位セルモデルの同一表面に接続される際の接続モデルの一例を示す図である。
【図12】第1の実施の形態で、多数の単位セルモデルが1個の単位セルモデルの同一表面に接続される際の接続モデルの一例を示す図である。
【図13】図11と図12の接続モデルを変換する方法を説明する図である。
【図14】図10のサブストレート基板モデルを図12の接続モデルを用いて等価回路に変換した図である。
【図15】図14の等価回路を回路網C層21〜回路網H層26の直列接続で表現した図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態を示す図で、大きさの異なる単位セルモデルを用いたサブストレート基板モデルの一例を示している。
【図17】図16のサブストレート基板モデルを回路網の直列接続による表現に描き直した図である。
【図18】図17で用いた回路網I層31〜回路網N層36の回路図を示す図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態を示す図で、大きさの異なる単位セルモデルを用いたサブストレート基板モデルの一例を示している。
【図20】図19のサブストレート基板モデルを回路網の直列接続による表現に描き直した図である。
【図21】図20で用いた回路網P層41と回路網Q層42の回路図を示す図である。
【図22】本発明の第1の実施例を示す図で、大きさの異なる単位セルモデルを用いたサブストレート基板モデルの一例を示している。
【図23】本発明の第2の実施例の動作を示すブロック図で、ノード数の少ないサブストレート基板モデルが自動的に作成される手順が示されている。
【図24】第2の実施例で用いられるコンピュータを示す図である。
【符号の説明】
1 単位セルモデル
2 ノード
3 抵抗要素
4 サブストレート基板モデル
5 抵抗素子
6 サブストレート基板モデル等価回路
7 回路網A層
8 回路網B層
9 入力端子
10 出力端子
11 回路網A層のノード番号iの部分
12 回路網B層のノード番号iの部分
21 回路網C層
22 回路網D層
23 回路網E層
24 回路網F層
25 回路網G層
26 回路網H層
31 回路網I層
32 回路網J層
33 回路網K層
34 回路網L層
35 回路網M層
36 回路網N層
41 回路網P層
42 回路網Q層
101 CPU
102 記憶手段
103 入力手段
104 出力手段
105 ディスプレイ
106 大容量外部記憶装置
S1 サブストレート基板の単位セルモデルへの分割手段
S2 単位セルモデル間の抵抗値の計算手段
S3 サブストレート基板モデルの等価回路作成手段
S4 サブストレート基板自体を表現する多端子F行列の計算手段
S5 不要ノードの削除手段
S6 サブストレート基板モデル(アドミタンス行列)
S8 プロセス条件
S9 集積回路の回路図データ
S10 回路シミュレーション手段
Claims (10)
- サブストレート基板中の微小な三次元領域を、接続点としてノードを持つ単位立体として取り扱い、単位立体は抵抗要素・誘導要素・容量要素のうち少なくとも一つの要素を用いてモデル化し、サブストレート基板を当該単位立体の集合体として取り扱い、当該集積回路を構成する回路素子をこのモデル化されたサブストレート基板とともに回路シミュレータで動作特性解析する半導体集積回路解析装置において、
異なる寸法の前記単位立体を複数個用い、1個の単位立体の同一表面に、当該単位立体に対して寸法の小さい複数の単位立体を接続することにより、サブストレート基板を異なる寸法を持つ前記単位立体の集合として表し、各単位立体の寸法に依存する抵抗要素の抵抗値、誘導要素のインダクタンス又は容量要素の容量値を用いて当該単位立体をモデル化する手段を具備することを特徴とする半導体集積回路解析装置。 - 大きさの異なる単位立体間を接続するために、複数の単位立体がより寸法の大きい単位立体の同一表面に接続される位置において、寸法の大きい単位立体の一つの表面の電位を一定とし、当該電位を1ノードで表現して、当該ノードを経由して大きさの異なる単位立体間の接続を行い、一方、面で接していない単位立体間には電流が流れないとして、大きさの異なる単位立体間の接続をモデル化する手段を具備することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路解析装置。
- 接続面に設けたノード経由で行った、大きさが異なる単位立体間の接続を、電流の保存則を満たしたまま、大きさの異なる単位立体どうしが接続面に設けたノードを経由しないで直接抵抗接続された形に置き換えることにより、大きさの異なる単位立体間の接続をモデル化する手段を具備することを特徴とする請求項2記載の半導体集積回路解析装置。
- サブストレート基板中の微小体積を、接続点としてノードを持つ単位立体として取り扱い、単位立体は抵抗要素・誘導要素・容量要素のうち少なくとも一つの要素を用いてモデル化し、サブストレート基板を当該単位立体の集合体として取り扱い、このモデル化された当該サブストレート基板を多端子F行列で表現された回路網の直列接続で表現し、行列演算により解析に不要なノードを削除してノード数の少ないサブストレート基板のモデルを作成し、当該集積回路を構成する回路素子をこの少ないノード数でモデル化されたサブストレート基板とともに回路シミュレータで動作特性解析する半導体集積回路解析装置において、
サブストレート基板表面の回路素子が構成された面からの距離に応じて単位立体の寸法が変化するサブストレート基板モデルを、多端子F行列で表現された回路網の直列接続で表現する場合に必要となる、ノードの数が異なる回路網どうしの接続の際に、ノード数が少ない側の回路網で不要となったノードを他の如何なるノードにも接続させることなくサブストレート基板裏面のノードに接続し、サブストレート基板裏面において「電流=0」の条件を与えることで、不要なノードが存在しないのと等価にすることで、F行列では表現不可能な、同じノード番号の入出力端子間のインピーダンスが無限大である回路網を使用せずに、単位立体の大きさが異なる回路網どうしを接続し、単位立体の大きさが異なるサブストレート基板モデルを、多端子F行列で表現された回路網の直列接続で表現する手段を具備することを特徴とする半導体集積回路解析装置。 - 異なる寸法の前記単位立体を複数個用い、1個の単位立体の同一表面に、当該単位立体に対して寸法の小さい複数の単位立体を接続することにより、サブストレート基板を異なる寸法を持つ前記単位立体の集合として表し、各単位立体の寸法に依存する抵抗要素の抵抗値、誘導要素のインダクタンス又は容量要素の容量値を用いて当該単位立体をモデル化する手段を具備することを特徴とする請求項4記載の半導体集積回路解析装置。
- 大きさの異なる単位立体間を接続するために、複数の単位立体がより寸法の大きい単位立体の同一表面に接続される位置において、寸法の大きい単位立体の一つの表面の電位を一定とし、当該電位を1ノードで表現して、当該ノードを経由して大きさの異なる単位立体間の接続を行い、一方、面で接していない単位立体間には電流が流れないとして、大きさの異なる単位立体間の接続をモデル化する手段を具備することを特徴とする請求項5記載の半導体集積回路解析装置。
- 接続面に設けたノード経由で行った、大きさが異なる単位立体間の接続を、電流の保存則を満たしたまま、大きさの異なる単位立体どうしが接続面に設けたノードを経由しないで直接抵抗接続された形に置き換えることにより、大きさの異なる単位立体間の接続をモデル化する手段を具備することを特徴とする請求項6記載の半導体集積回路解析装置。
- サブストレート基板中の微小な三次元領域を、接続点としてノードを持つ単位立体として取り扱い、単位立体は抵抗要素・誘導要素・容量要素のうち少なくとも一つの要素を用いてモデル化し、サブストレート基板を当該単位立体の集合体として取り扱い、当該集積回路を構成する回路素子をこのモデル化されたサブストレート基板とともに回路シミュレータで動作特性解析する半導体集積回路解析方法において、
素子が配置されるサブストレート表面側においては、寸法の小さな第1の単位立体を用い、基板表面から離れた位置においては、前記第1の単位立体より大きな第2の単位立体を少なくとも用いるように構成したことを特徴とする半導体集積回路解析方法。 - サブストレート基板中の微小な三次元領域を、接続点としてノードを持つ単位立体として取り扱い、単位立体は抵抗要素・誘導要素・容量要素のうち少なくとも一つの要素を用いてモデル化し、サブストレート基板を当該単位立体の集合体として取り扱い、当該集積回路を構成する回路素子をこのモデル化されたサブストレート基板とともに回路シミュレータで動作特性解析する半導体集積回路解析方法において、
ロジック回路ブロック中のコンタクトや拡散層などの寸法の小さい構造の周辺のように、電位の変化が激しい部分においては、寸法の小さな第1の単位立体を用い、アナログ回路ブロック中のキャパシタや、高周波回路ブロックなどの寸法の大きい構造の周辺のように、電位の変化が緩やかな部分においては、前記第1の単位立体より大きな第2の単位立体を少なくとも用いるように構成したことを特徴とする半導体集積回路解析方法。 - サブストレート基板中の微小な三次元領域を、接続点としてノードを持つ単位立体として取り扱い、単位立体は抵抗要素・誘導要素・容量要素のうち少なくとも一つの要素を用いてモデル化し、サブストレート基板を当該単位立体の集合体として取り扱い、当該集積回路を構成する回路素子をこのモデル化されたサブストレート基板とともに回路シミュレータで動作特性解析する半導体集積回路の解析方法のコンピュータプログラムを記録した記録媒体において、
前記サブストレート基板を単位セルモデルに分割すると共に、素子が配置されるサブストレート表面側おいては、寸法の小さな第1の単位セルモデルを用い、基板表面から離れた位置においては、前記第1の単位セルモデルより大きな第2の単位セルモデルを用いるように分割する第1の工程と、
前記単位セルモデル毎の抵抗値を算出する第2の工程と、
前記セルモデル間の抵抗値から前記サブストレート基板の等価回路を求める第3の工程と、
前記サブストレート基板を多端子F行列で表す第4の工程と、
前記多端子F行列から不要なノードを削除し、サブストレート基板モデルに変換せしめる第5の工程と、
前記サブストレート基板モデルと回路図データとを結合して、回路シュミレーションを行う第6の工程と、
からなる一連の処理工程を記録したことを特徴とする記録媒体。
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