JP3664653B2 - 2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、飛散性が著しく抑制された2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶及びその製造方法に関する。
背景技術
2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸は顔料や染料の中間体として重要であり、これを製造するには一般にまずβ−ナフトールを水酸化ナトリウムと反応させてβ−ナフトールナトリウムとし、次いでこれを加圧下に二酸化炭素と反応させて2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸のナトリウム塩とし、鉱酸を加えて酸析分離する方法が知られている。
β−ナフトールナトリウムと二酸化炭素の反応としては、古くからいわゆるコルベ・シュミット反応と呼ばれる固気相反応が用いられてきたが、この反応は50時間以上の長い反応時間を必要とすること、高温での反応の熱不均一性のためにβ−ナフトールの損失が多いこと、反応中の相変化のために反応を制御し難く、安定した収率を得ることが困難であるなどの問題があり、これを改良するため、反応媒体を用いる方法など数多くの方法が提案されてきた。
本発明者の一人は既に軽油又は灯油、β−ナフトールナトリウム及びβ−ナフトールから成る液状混合物と二酸化炭素とを反応させる方法を発明し(特公昭56−53296号公報参照)、これは現在工業的に実施されている。この方法は連続化が可能であり、不純物の含有量がきわめて少なく、品質のバラツキのきわめて少ない2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を提供することができる。この方法によると、例えば融点220〜221℃、純度99.5%、β−ナフトールナトリウム含有量0.03%のような高品質の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸が得られる。2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸は酸析、濾過、遠心分離などの操作によって母液より分離され、水洗後、乾燥して顔料や染料の中間体として使用される。
2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶は一般に非常に微細なものが含まれていて飛散性が強い。その上2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸には強い粘膜刺激性があるために取り扱い上大きな支障を与える。例えば2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を顔料や染料の中間体として仕込む時に2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を反応タンクに投入すると、微粉末状の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸が粉塵となって舞い上がる。空気中に舞い上がった2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の微粉末はなかなか沈降せず、広範囲に浮遊し、環境を汚染し、作業者の皮膚、粘膜を刺激して不快感を与える。このような仕込み時の作業性や安全性の問題を軽減するため、作業者が防塵眼鏡や防塵マスクを着用したり、反応タンクの原料仕込口とは別の口から吸収脱気し、フィルタで微粉末を補集したりする方法が行われているが完全ではない。
2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の飛散性が強いのは、これが非常に微細な結晶を含むためと、ほとんど水に溶解せず、吸湿等の現象がほとんど起こらず、個々の結晶粒子が付着水を介して凝集、結合することがないため、外からの衝撃に対して独立した個々の微細な粒子として運動し易いことによると考えられる。このような性状を有する物質の飛散性を押さえるために特開昭59−196841号では、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の粒子を顆粒剤とするための方法が開示されている。この方法によって得られた2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸粒子の顆粒剤は飛散性が抑制されるものの、顆粒化のために2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の乾燥粉体に所定量の水を加えたり、酸析した2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を遠心分離等によって水分調整を行う必要があり、製造工程が煩雑となり大量生産には不向きであった。
また、特開昭61−212533号には、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を低級アルコール等の低沸点の親水性有機溶媒を含む水との混合物と共に造粒することにより、顆粒を製造する方法が記載されているが、この方法も有機溶媒の添加が必要となり、生産工程が長くなるという問題があった。
したがって、本発明は上記課題を解決し、飛散性が著しく抑制された2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を得ることを目的とする。
発明の開示
本発明は、平均粒子径が157μm以上であり、74μm以下の粒子の割合が14%以下であることを特徴とする、飛散性が著しく抑制された2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶である。
本明細書および請求の範囲において、「%」は特に断らない限り全て重量%を示す。
本明細書および請求の範囲において、平均粒子径とは以下のごとく測定される数値である:
予め重量を測定した造粒物を、目開き710μm、297μm、170μm、106μm、74μmおよび45μmのメッシュスクリーンにてこの順に篩い、各メッシュスクリーン上の残存量および45μmメッシュスクリーン通過量を測定し、これより以下の式にて平均粒子径を計算する:
平均粒子径(μm)=(710×710μmメッシュ上残存重量%/100)+(297×297μmメッシュ上残存重量%/100)+(170×170μmメッシュ上残存重量%/100)+(106×106μmメッシュ上残存重量%/100)+(74×74μmメッシュ上残存重量%/100)+(45×45μmメッシュ上残存重量%/100)+(25×45μmメッシュ通過分重量%/100)。
本発明に規定するごとき粒度特性を持つ2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶は従来の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の約2〜4.5倍以上の大きさであり、飛散性が著しく抑制され、取り扱いが容易となり、環境汚染や人体への影響がきわめて軽減される。しかも、この結晶は容易に微細化することが可能であり、従来の小粒径(50〜90μm)のものと比べて同等の溶解速度であり、顔料や染料の中間体として好適に利用されるものである。
このような大粒径の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶は、明度38〜69、白色度4.6〜18.0の色度特性を有するものが好ましい。
ここで色度とは、色度座標によって、または主波長もしくは補色主波長と純度との組み合わせによって定められる色刺激の性質である(JIS Z 8120)。
明度とは物体表面の相対的な明暗に関する色の属性であり、同一条件で照明した白色面を基準として、この属性を尺度化したものである(JIS Z 8105)。本明細書および請求の範囲において「明度」とは当業者に良く知られているLab表色系によるL値を示すものとする。このLab値はJIS Z 8722に基づき測定される三刺激値(X,Y,Z)より、以下の式にて計算される値である:
L=10(Y)1/2
a=17.5(1.02X−Y)/(Y)1/2
b=7.0(Y−0.847Z)/(Y)1/2
白色度とは、表面の白さを一次元的に表す数値(JIS Z 8105)である。本明細書および請求の範囲において「白色度」とは、上記三刺激値から以下の式にて計算される値である:
白色度=Z/1.1823
本発明の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶は、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を高温再結晶することによって得ることができる。出発物質である2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶は、従来いずれの方法で得られたものであってもよく、例えば特公昭56−53296号に記載のコルベシュミット法などにより生産した2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸のアルカリ金属塩を例えば80〜100℃で酸析分離することにより製造することができる。
高温再結晶は、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を酸析した後、引き続き行うのが好ましい。酸析にて得られた2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の水溶液に、水、水溶性溶剤あるいは非水溶性溶剤を添加し、攪拌しながら加圧下で100℃以上に昇温させる。そのままの温度および圧力下で5分〜30分保持し、その後50℃〜90℃まで冷却する。冷却後遠心分離することにより、母液を抜き取り、水洗および乾燥させれば、目的とする結晶が得られる。
水、水溶性溶剤または非水溶性溶剤は単独または併用して添加すればよく、水溶性溶剤としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコールなどが、非水溶性溶剤としてはアセトフェノン、シクロヘキサン、エチルヘキシルアルコールなどが用いられる。溶剤を添加して再結晶を行う場合、濃度が7〜20%、好ましくは8〜16%、より好ましくは9〜13%である2−ヒドロキシナフタレン−3-カルボン酸もしくはそのナトリウム塩水溶液の全量に対して、2〜50%、好ましくは4〜40%、より好ましくは10〜30%添加すればよい。
高温再結晶工程は、温度を100℃以上、好ましくは120〜180℃、より好ましくは120〜160℃に調節し、圧力を0.1〜20kg/cm2(G)、好ましくは0.2〜14kg/cm2(G)より好ましくは0.5〜8kg/cm2(G)とした加圧下で行われる。
その後の冷却工程においては、冷却速度を4℃/分〜0.1℃/分、好ましくは2℃/分〜0.2℃/分とすればよい。
また別の態様において、本発明の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶は、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸のアルカリ金属塩を酸析する工程を含む2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸結晶の製造方法において、120℃以上で酸析することによって得られる。このような製造方法は、酸析工程における温度を上げるだけであるため、従来の製造プロセスを適用することが可能である。
従来から使用されているコルベシュミット法にて調製される場合、酸析工程前の2-ヒドロキシナフタレン−3-カルボン酸アルカリ金属塩の濃度は7〜20%である。この態様においては、かかる濃度の2-ヒドロキシナフタレン−3-カルボン酸アルカリ金属塩の水溶液を攪拌しながら加圧下で120℃以上に昇温し、次いで硫酸を滴下してpHを1〜4の間に調整する。pH調整後に50℃〜90℃まで冷却し、冷却後遠心分離により母液を取り除き、水洗、乾燥して目的とする結晶を得ることができる。
この態様において、酸析工程を120℃以上、好ましくは120〜180℃、さらに好ましくは120〜160℃の温度で実施する。酸析温度が120℃未満であると、得られる2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶の粒子径が小さくなり、飛散抑制効果が得られなくなる。一方、酸析温度が180℃を越えると、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸が分解し収率が悪くなる。
酸析工程の圧力は、0.1〜10kg/cm2(G)、好ましくは0.2〜5kg/cm2(G)より好ましくは0.5〜3kg/cm2(G)とするのがよい。冷却工程は、高温再結晶の場合と同様に行えばよい。
本発明における粒子径の大きな2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶を得るために、酸析工程で使用される酸は特に限定されないが、鉱酸もしくは硫酸が好適に用いられる。鉱酸としては例えば、塩酸、フッ化水素酸のような二元酸(水素酸)、硝酸、リン酸、過塩素酸のようなオキソ酸が挙げられる。これらの酸により酸析工程はpH1〜4に調整されるのがよい。
さらに別の態様においては、本発明の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶は、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の通常の酸析工程で得られた結晶を再結晶することによって得ることができる。再結晶は、常圧または加圧下で行われ、上記と同様に、水、水溶性溶剤あるいは非水溶性溶剤を単独、または併用して用いるのがよい。特に、水−メタノールの混合溶媒を用いるのが好ましい。
通常、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶は、特公昭56−53296号に記載のコルベシュミット法など、一般的に生産した粗2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を酸析分離することにより製造することができる。使用する粗2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸は通常、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を80重量%以上含み、不純物として2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸、2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸、未反応のβ−ナフトールを含んでいる。この2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を染料や顔料に使用するためには、98重量%以上の純度に精製するのが好ましい。
本発明の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶は、平均粒子径が157μm以上であり、好ましくは167〜367μmであるのがよい。平均粒子径が157μm未満であると十分な飛散抑制効果を得ることができなくなる。結晶中に存在する粒子径が74μm以下の粒子の割合は14%以下、好ましくは6%以下であるのがよい。74μm以下の粒子の割合が14%を越えると、小粒径の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の割合が多くなり、飛散しやすくなる。
また、本発明の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶は、最多粒度が170〜297μmの範囲にあり、297μm以上の粒子の割合が14〜89%、好ましくは28〜80%の範囲にあるのがよい。
以下に本発明の実施例について説明する。
実施例1
容量1リットルのオートクレーブに、コルベシュミット法で製造した2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸ナトリウム100gが溶解した水溶液を800g仕込み、160℃に昇温する。これに72%硫酸を滴下して50分間でpH3.5にした後、0.4℃/分の速度で80℃まで冷却した。同温度で濾過し、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶80.6gを得た。
実施例2、3、比較例1、2
酸析時の温度を100〜140℃の範囲で変えた以外は、実施例1と同様にして2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶を得た。
実施例4
容量1リットルのオートクレーブに、コルベシュミット法で製造し、100℃にて酸析して得た2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸105.6g、硫酸ナトリウム100gおよび水794.4gを仕込み、165℃に昇温して2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸溶液を得た。この水溶液を0.4℃/分の速度で80℃まで冷却した。同温度で濾過し、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶103.8gを得た。
実施例5
容量1リットルのオートクレーブに、コルベシュミット法で製造し、100℃にて酸析して得た2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸21.1g、硫酸ナトリウム19.9gおよび水959.0gを仕込み、140℃に昇温して2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸溶液を得た。この水溶液を0.4℃/分の速度で80℃まで冷却した。同温度で濾過し、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶18.4gを得た。
実施例6
容量1リットルのオートクレーブに、コルベシュミット法で製造した2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸ナトリウム103.6gが溶解した水溶液を878.8g仕込み、100℃に昇温する。これに72%硫酸を滴下して50分でpH3.5にした後、メタノール111.6gを添加する。この溶液を140℃に昇温して2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を溶解させた後、0.4℃/分の速度で80℃まで冷却した。同温度で濾過し、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶88.3gを得た。
実施例7
容量1リットルのオートクレーブに、コルベシュミット法で製造した2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸ナトリウム103.6gが溶解した水溶液を878.8g仕込み、100℃に昇温する。これに72%硫酸を滴下して50分でpH3.5にした後、アセトフェノン71.5gを添加する。この溶液を140℃に昇温して2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を溶解させた後、0.4℃/分の速度で80℃まで冷却した。同温度で濾過し、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶87.2gを得た。
実施例8
容量1リットルのコルベンに、コルベシュミット法で製造し、100℃にて酸析して得た2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸125g、水175gおよびメタノール700gを仕込み、70℃に昇温して2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸溶液を得た。この水溶液を0.4℃/分の速度で20℃まで冷却した。同温度で濾過し、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶108.1gを得た。
実施例9
容量1リットルのオートクレーブに、コルベシュミット法で製造し、100℃にて酸析して得た2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸125g、水75gおよびメタノール300gを仕込み、110℃に昇温して2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸溶液を得た。この水溶液を0.4℃/分の速度で20℃まで冷却した。同温度で濾過し、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶113.8gを得た。
評価:
各実施例および比較例で得られた2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶の粒子径、ML値、明度および白色度の色度、各種粉体特性、および粉塵の飛散状況を以下の方法で測定/評価した
粒子径
粒子径の測定は、20Mon(目開き710μm)、48Mon(目開き297μm)、83Mon(170μm)、140Mon(106μm)、200Mon(74μm)および330Mon(45μm)のメッシュスクリーンと、振とう機(MEIDENSHA タイプE4−SNR)を用いて、各メッシュ上に残存する粒子の割合を測定することにより測定した。詳しくは、まず最初に造粒物の全量を710μmのメッシュを用い、振とう機により230rpmで10分間篩った後にメッシュ上に残存した量を測定して最初の重量に対する重量%を求める。次いで、メッシュを通過した造粒物の全量を297μmのメッシュで同様にして篩う。上記各メッシュスクリーンを順次用いてこの手順を繰り返し、最後に45μmのメッシュを通過した造粒物の量を測定した。
平均粒子径、297μm以上および74μm以下の粒子の割合を表1に、粒度分布を表2に、ML値および色度を表3に、粉体特性を表4に示す。なお、平均粒子径は、以下の式:
平均粒子径(μm)=(710×710μmメッシュ上残存重量%/100)+(297×297μmメッシュ上残存重量%/100)+(170×170μmメッシュ上残存重量%/100)+(106×106μmメッシュ上残存重量%/100)+(74×74μmメッシュ上残存重量%/100)+(45×45μmメッシュ上残存重量%/100)+(25×45μmメッシュ通過分重量%/100)
により計算される値である。
ML値
ML値とは得られた2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸をメチルアルコール溶液とし、530nmにおける化合物1gあたりの吸光度に200を乗じた数である。具体的にはサンプル6gを量り取り、メチルアルコールに溶解して全体を200mlとし、No.5Aろ紙(12.5cm)にてろ過した後、メチルアルコールを対照として530nmの吸光度を測定し、以下の式にて算出した:
ML値=吸光度/サンプル量(g)×200
結果を表3に示す。
色度
色度特性、すなわちL、a、b値および白色度はカラーメーターZE2000(日本電色工業(株))を用いて光の三刺激値を測定し、これより上記定義に従って算出した。結果を表3に示す
粉体特性
粉体特性測定装置(パウダテスタPT−N型 ホソカワミクロン(株))を用いて測定した。それぞれ、テスターに付属の説明書に記載の方法にて測定される方法にて、測定した。
ゆるみ見掛け比重
篩上でサンプルを振動させ、シュートを通して落下させ、規定の容器に受けて測定した。
固め見掛け比重
規定の容器にサンプルを入れ、一定の高さから規定回数タッピングさせ、タッピングの衝撃で固めた後に測定したものである。
圧縮度
圧縮度は、ゆるみ見掛け比重と固め見掛け比重から以下の式にて求められる値である:
(固め見掛け比重−ゆるみ見掛け比重)/固め見掛け比重×100
スパチュラ角
スパチュラの上に堆積する粒子の角度を測定した。
結果を表4にまとめた。
溶解時間
各2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の試料10gを採取し、5%水酸化ナトリウム104gに添加してスタ−ラ−攪拌し、各試料が完全に溶解した状態を目視により観察し、それに要した時間を測定した。結果を表4に示す。
粉塵飛散評価
粉塵飛散評価装置を用い、各結晶50gを斜度60°の斜面の上部から50cm滑らせ、滑りきった時に舞う粉塵の距離と高さを測定した。その結果を表5に示す。
実施例の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶は、いずれも粉塵の距離が5〜35cm、高さが7〜17cmと低い数値であり、飛散が著しく抑制されていることがわかる。一方、比較例の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶は、粉塵の距離が50cm以上、高さが25cm以上と広範囲に飛散していることがわかる。
産業上の利用分野
本発明の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸は、顔料や染料の中間体として工業的に重要な化合物である。本発明の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸は、飛散性が著しく抑制されるため、取り扱いが容易であり、環境汚染や人体への悪影響がきわめて軽減される。
Claims (7)
- 平均粒子径が157μm以上であり、74μm以下の粒子の割合が14%以下であることを特徴とする、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶。
- 明度が38〜69、白色度が4.6〜18.0である請求項1記載の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶。
- 2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶10gを常温で5%水酸化ナトリウム水溶液104gに溶かした時の溶解時間が20分以下である、請求項1記載の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶。
- 2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を120℃〜180℃にて再結晶することを特徴とする、請求項1記載の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶の製造方法。
- 2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸アルカリ金属塩を酸析する工程を含む2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の製造方法において、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸を酸析した後、引き続き120℃〜180℃にて再結晶することを特徴とする、請求項1記載の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶の製造方法。
- 2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸アルカリ金属塩を酸析する工程を含む2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の製造方法において、120℃以上の温度で酸析することを特徴とする、請求項1記載の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶の製造方法。
- 2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸アルカリ金属塩を酸析する工程を含む2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の製造方法において、酸析工程で得られた結晶を再結晶する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸の結晶の製造方法。
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