JP3664623B2 - 積層基材製造システムおよび積層基材製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層基材製造システムおよび積層基材製造方法に関し、特に、樹脂シートを基材の両面にラミネート接着することによって積層基材を製造する積層基材製造システムおよび積層基材製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の積層基材を製造する方法として、特公昭57−55061号公報に開示されたものが知られている。
同公報は、プラスチックから形成される外層と、成形紙の中間層と、プラスチックから形成される内層から構成される積層基材を製造する方法を開示している。かかる積層基材を製造する方法は、外層容器の透明なプラスチックシートを所定形状に熱成形する工程と、この熱成形時にプラグあるいは基本成形型の底部に鋭角な突起形状を設け、外層容器の底部に真空孔用の小孔を適宜数設ける工程と、該外層容器のフランジ部を除いた状態にほぼ相似した形に打ち抜かれた中間層用の成形紙を該外層容器内に挿入充填し外層容器と中間層とからなる補助成形型を生成する工程と、別ラインで予備加熱された内層容器用のプラスチックシートを基本成形型内に入れられた補助成形型を使って、真空成形、圧空成形又は真空圧空成形を行い内層容器とし外層容器のフランジと嵌合させる工程とによって構成させる。また、本技術は、外層容器の底部に小孔を設けて、内層容器となるプラスチックシートを成形するに際しての真空あるいは圧空の通路としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の積層基材の製造方法においては、中間層である成形紙を既に基本成形型にて外層容器として成形されたプラスチックシート上に載置することになる。従って、この外層容器と中間層とは熱成形にて接着することができない。すなわち、中間層の両面にプラスチックシートを熱成形にてラミネート接着することにより、中間層を略密封した積層基材を生成することができない。また、この従来の積層基材の製造方法においては、連続した装置の動作によって積層基材が生成される技術について具体的な手法が提示されていない。
【0004】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、中間層にあたる基材の両面に対して、樹脂シートをラミネート接着することにより、基材の両面にて樹脂シートを固着させるとともに、この基材の両面を連動する装置間の動作にてラミネート接着することが可能な積層基材製造システムおよび積層基材製造方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、略椀型凹形状に形成された基材の両面を樹脂シートにてラミネート接着した積層基材を製造する積層基材製造システムであって、所定の金型を備える成形機構での熱成形によって上記基材の一方の側に上記樹脂シートのラミネートを実施する第一熱成形装置と、所定の金型を備える成形機構での熱成形によって他方の側に上記樹脂シートのラミネートを実施し積層基材を成形する第二熱成形装置と、上記第一熱成形装置と第二熱成形装置とを接続し、上記第一熱成形装置から供給される一方の側がラミネートされた基材を第二熱成形装置に搬入する搬入装置とを具備する構成としてある。
【0006】
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、略椀型凹形状に形成された基材の両面に樹脂シートをラミネート接着することにより、樹脂シートが積層接着された積層基材を製造する積層基材製造システムを提供する。この積層基材製造システムは、第一熱成形装置と、第二熱成形装置と、搬入装置とから構成され、第一熱成形装置は所定の金型を備える成形機構での熱成形によって上記基材の一方の側に上記樹脂シートのラミネートを実施し、第二熱成形装置は所定の金型を備える成形機構での熱成形によって他方の側に上記樹脂シートのラミネートを実施し積層基材を成形する。
【0007】
そして、搬入装置は第一熱成形装置と第二熱成形装置とを接続し、第一熱成形装置から供給される一方の側がラミネートされた基材を第二熱成形装置に搬入する。すなわち、基材と樹脂シートはラミネートにて接着されるため、各層間に隙間が発生することがなくなり、基材を略密封することが可能になる。また、熱成形においても、樹脂シートに小孔を開けることがないため、基材は気密性を持って樹脂シートにラミネート接着されるため、積層基材の気密性を保持することが可能になる。
【0008】
第一熱成形装置に基材を搬入する態様として、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の積層基材製造システムにおいて、上記第一熱成形装置は、同第一熱成形装置の成形機構に基材を搬入する基材搬入装置を備えるとともに、同第一熱成形装置の成形機構の金型は、複数の基材を1ショットにて熱成形可能な各基材に対応する型配置を備え、上記基材搬入装置は、この型配置に対応したプレート治具を備える構成としてある。
【0009】
上記のように構成した請求項2にかかる発明においては、第一熱成形装置に成形機構に基材を搬入する基材搬入装置を備えさせる。また、成形機構の金型に複数の基材を1ショットにて熱成形可能なように各基材に対応する型配置を備えさせる。そして、基材搬入装置にこの型配置に対応したプレート治具を備えさせる。すなわち、成形機構に基材を搬入するに際しては、型配置に対応したプレート治具に基材を載置してこのプレート治具を成形機構に向かって搬送する。そして、基材搬入装置はプレート治具における基材の載置位置関係を保持しつつ成形機構に搬入する。
【0010】
第一熱成形装置にて樹脂シートがラミネート接着された基材を複数生成する場合、次の第二熱成形装置へこれらの基材を搬入するに際して、各基材が樹脂シートからトリミングされていると、第二熱成形装置での熱成形において好適である。そこで、請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の積層基材製造システムにおいて、上記第一熱成形装置は、熱成形された位置関係を保持しつつ、一方の側がラミネートされた基材をトリミングする第一トリミング装置を備え、上記搬入装置は、同第一トリミング装置にてトリミングされた一方の側がラミネートされた基材を上記第二熱成形装置に搬入する構成としてある。
【0011】
上記のように構成した請求項3にかかる発明においては、第一熱成形装置に熱成形された位置関係を保持しつつ一方の側がラミネートされた基材をトリミングする第一トリミング装置を備えさせる。そして、搬入装置は、第一トリミング装置にてトリミングされた一方の側がラミネートされた基材を上記第二熱成形装置に搬入する。
【0012】
第二熱成形装置にて樹脂シートがラミネート接着された積層基材を複数生成する場合、各積層基材を製品として回収するにあたり、各積層基材が樹脂シートからトリミングされていると回収において好適である。そこで、請求項4にかかる発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の積層基材製造システムにおいて、上記第二熱成形装置は、熱成形された位置関係を保持しつつ、積層基材をトリミングする第二トリミング装置を備える構成としてある。
【0013】
上記のように構成した請求項4にかかる発明においては、第二熱成形装置に熱成形された位置関係を保持しつつ、積層基材をトリミングする第二トリミング装置を備えさせ、両面が樹脂シートにてラミネート接着された積層基材をトリミングして製品として回収可能にする。
【0014】
トリミングされた基材と、基材が取り除かれた樹脂シートとを回収する具体的な態様として、請求項5にかかる発明は、請求項3に記載の積層基材製造システムにおいて、上記第一熱成形装置は、上記第一トリミング装置にてトリミングされた一方の側がラミネートされた基材を回収する第一基材回収装置を備え、同第一基材回収装置は、トリミングされた一方の側がラミネートされた基材を吸着して樹脂シートから離脱する第一吸着離脱手段と、上記離脱した際の位置関係を保持しつつ一方の側がラミネートされた基材を回収し、上記搬入装置に供給する第一基材回収手段と、上記基材回収手段にて一方の側がラミネートされた基材が離脱された樹脂シートを回収する第一樹脂シート回収手段とを備える構成としてある。
【0015】
上記のように構成した請求項5にかかる発明においては、第一熱成形装置に第一トリミング装置にてトリミングされた一方の側がラミネートされた基材を回収する第一基材回収装置を備えさせる。そして、この第一基材回収装置は、第一吸着離脱手段にてトリミングされた一方の側がラミネートされた基材を吸着して樹脂シートから離脱させ、第一基材回収手段にて離脱した際の位置関係を保持しつつ一方の側がラミネートされた基材を回収し、上記搬入装置に供給する。一方、第一樹脂シート回収手段は、基材回収手段にて一方の側がラミネートされた基材が離脱された樹脂シートを回収する。
【0016】
むろん、上述したような基材を回収する装置は第二熱成形装置に利用することもできる。そこで、請求項6にかかる発明は、請求項4に記載の積層基材製造システムにおいて、上記第二熱成形装置は、上記第二トリミング装置にてトリミングされた積層基材を回収する第二基材回収装置を備え、同第二基材回収装置は、トリミングされた積層基材を吸着して樹脂シートから離脱する第二吸着離脱手段と、上記離脱した際の位置関係を保持しつつ積層基材を回収する第二基材回収手段と、同基材回収手段にて積層基材が離脱された樹脂シートを回収する第二樹脂シート回収手段とを備える構成としてある。
【0017】
上記のように構成した請求項6にかかる発明においては、第二熱成形装置に第二トリミング装置にてトリミングされた積層基材を回収する第二基材回収装置を備えさせる。この第二基材回収装置は、第二吸着離脱手段にてトリミングされた積層基材を吸着して樹脂シートから離脱し、第二基材回収手段にて離脱した際の位置関係を保持しつつ積層基材を回収する。そして、第二樹脂シート回収手段は基材回収手段にて積層基材が離脱された樹脂シートを回収する。
【0018】
搬入装置にて基材を第二熱成形装置に搬入する具体的な態様として、請求項7にかかる発明は、請求項4〜請求項6のいずれかに記載の積層基材製造システムにおいて、上記第二熱成形装置の成形機構の金型は、上記第一熱成形装置の成形機構の金型と同一の型配置を備えるとともに、上記搬入装置は、この型配置に対応したプレート治具を備え、このプレート治具によってトリミングされた位置関係を保持しつつ上記第二熱成形装置に一方の側がラミネートされた基材を搬入する構成としてある。
【0019】
上記のように構成した請求項7にかかる発明においては、第二熱成形装置の成形機構の金型を第一熱成形装置の成形機構の金型と同一の型配置を備える構成とする。また、搬入装置には、この型配置に対応したプレート治具を備えさせ、このプレート治具によってトリミングされた基材の位置関係を保持する。そして、このプレート治具に基材を載置して第二熱成形装置に一方の側がラミネートされた基材を搬入する。
【0020】
上述したトリミング装置の備える機能の一例として、請求項8にかかる発明は、請求項3〜請求項7のいずれかに記載の積層基材製造システムにおいて、上記第一または第二トリミング装置は、上下駆動可能な所定の上下テーブルを備えるとともに、同上下テーブルのいずれか一方には、上下テーブルの駆動にて実施されるトリミング動作に際して発生する衝撃を緩衝する所定の緩衝機構が配設される構成としてある。
上記のように構成した請求項8にかかる発明においては、第一または第二トリミング装置に上下駆動可能な所定の上下テーブルを備えさせる。そして、緩衝機構によって、上下テーブルの駆動にて実施されるトリミング動作に際して発生する衝撃を緩衝する。
【0021】
緩衝機構の具体的な構成の一例として、請求項9にかかる発明は、請求項8に記載の積層基材製造システムにおいて、上記緩衝機構は、所定の油圧シリンダから構成され、同油圧シリンダの油をリークさせることによりトリミング動作に際して発生する衝撃を緩衝する構成としてある。
上記のように構成した請求項9にかかる発明においては、緩衝機構を所定の油圧シリンダから構成し、この油圧シリンダは内部に注入されている油をリークすることによりトリミング動作に際して発生する衝撃を緩衝する。
【0022】
搬入装置の態様の一例として、請求項10にかかる発明は、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の積層基材製造システムにおいて、上記第一熱成形装置および第二熱成形装置の成形機構は、所定の金型の上方に加熱軟化された樹脂シートを配置して熱成形するとともに、上記搬入装置は、上記第一熱成形装置にて一方の側がラミネートされた基材を反転させる反転装置を備える構成としてある。
【0023】
上記のように構成した請求項10にかかる発明においては、第一熱成形装置および第二熱成形装置の成形機構にて所定の金型の上方に加熱軟化された樹脂シートを配置して熱成形する。かかる場合、基材の上面に常に樹脂シートが配置されるため、搬入装置は、第一熱成形装置にて一方の側がラミネートされた基材を第二熱成形装置に搬入する際に反転させる必要が生じる。そこで、搬入装置に反転装置を設置し、この反転装置にて第一熱成形装置にて成形された一方の側をラミネートされた基材を反転して第二熱成形装置に搬入する。
【0024】
搬入装置が第二熱成形装置に基材を搬入するに際して、搬入可能な所定の位置に対して搬入位置の位置決め制御が可能であると、搬入時に利用するプレート治具の形状が変更されても柔軟に対応ができる。そこで、請求項11にかかる発明は、請求項7〜請求項10のいずれかに記載の積層基材製造システムにおいて、上記搬入装置は、同搬入装置の有するプレート治具にて基材を第二熱成形装置の成形機構に搬入するにあたり、同第二熱成形装置の成形機構が有する金型の型配置と、同プレート治具の型配置とが略一致する位置に同プレート治具を位置決めする構成としてある。
上記のように構成した請求項11にかかる発明においては、搬入装置は、同搬入装置の有するプレート治具にて基材を第2熱成形装置の成形機構に搬入するにあたり、同第二熱成形装置の成形機構が有する金型の型配置と、同プレート治具の型配置とが略一致する位置に同プレート治具を位置決めする。
【0025】
このように、基材の両面を所定の加熱軟化された樹脂シートにてラミネート接着された積層基材を製造する手法は必ずしも実体のある装置に限られる必要はなく、その方法としても機能することは容易に理解できる。
このため、請求項12にかかる発明は、基材の両面を所定の加熱軟化された樹脂シートにてラミネートされた積層基材を製造する積層基材製造方法であって、所定の金型を有する成形機構での熱成形によって上記基材の一方の側に上記樹脂シートのラミネートを実施する第一熱成形工程と、上記第一熱成形工程から一方の側がラミネートされた基材を搬出する搬出工程と、上記搬出された一方の側がラミネートされた基材を搬入するとともに、所定の金型を備える成形機構での熱成形によって上記第一熱成形工程にて一方の側がラミネートされた基材の他方の側に上記樹脂シートのラミネートを実施し積層基材を成形する第二熱成形工程とを具備する構成としてある。
すなわち、必ずしも実体のある装置に限らず、その方法としても有効であることに相違はない。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、中間層にあたる基材の両面に対して、樹脂シートをラミネート接着することによってこの基材と樹脂シートを略密封するとともに、基材の両面を連動する装置間の動作にてラミネート接着することが可能な積層基材製造システムを提供することができる。
また、請求項2にかかる発明によれば、搬入に際して基材をプレート治具に収めることができるため、基材を成形機構の熱成形サイクルに応じて順次搬入することが可能になる。
さらに、請求項3にかかる発明によれば、樹脂シートから簡易に基材をトリミングすることが可能になる。
さらに、請求項4にかかる発明によれば、樹脂シートから簡易に積層基材をトリミングすることが可能になる。
さらに、請求項5にかかる発明によれば、基材の回収を簡易に行うことが可能になる。
さらに、請求項6にかかる発明によれば、積層基材の回収を簡易に行うことが可能になる。
【0027】
さらに、請求項7にかかる発明によれば、搬入に際して基材をプレート治具に収めることができるため、積層基材を成形機構の熱成形サイクルに応じて順次搬入することが可能になる。
さらに、請求項8にかかる発明によれば、トリミング動作時の衝撃を緩衝することが可能になる。
さらに、請求項9にかかる発明によれば、緩衝機構の具体的構成を示すことが可能になる。
さらに、請求項10にかかる発明によれば、反転装置を設けることによって、各成形機構の構造を同一にできる。
さらに、請求項11にかかる発明によれば、成形機構の型替えなどに柔軟に対応することが可能になる。
さらに、請求項12にかかる発明によれば、中間層にあたる基材の両面に対して、樹脂シートをラミネート接着することによってこの基材と樹脂シートを略密封するとともに、基材の両面を連動する装置間の動作にてラミネート接着することが可能な積層基材製造方法を提供することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる積層基材製造システムの概略外観図を示している。
同図において、積層基材製造システム10は、第1熱成形装置20と、第2熱成形装置30と、第1基材供給装置40と、第2基材供給装置50とから構成されている。かかる構成において、積層基材製造システム10は、略椀凹形状であって凹凸形状に形成された紙製の基材の両面に樹脂シートを熱成形によってラミネート接着し、基材の両面がラミネートされることにより、基材が略密封された積層基材を製造する。ここで、第1熱成形装置20は、第1基材供給装置40によって供給された基材に対し、同基材の一方の側に樹脂シートをラミネート接着する。
【0029】
そして、第2熱成形装置30は、第2基材供給装置50によって供給された第1熱成形装置20にて一方の側が樹脂シートにてラミネート接着された基材に対し、他方の側に樹脂シートをラミネート接着する。また、上述したように第1基材供給装置40は、基材を第1熱成形装置20に供給するとともに、第2基材供給装置50は、第1熱成形装置20にて基材の一方の側が樹脂シートにてラミネート接着された基材を第2熱成形装置30に供給する。
【0030】
次に、図1に基づいて上記第1熱成形装置20の構成を説明する。第1熱成形装置20は、概略、ロールシート巻出装置21と、図示しないシート搬送装置、加熱装置22と、成形装置23と、トリミング装置24と、スクラップ引張装置25と、スクラップ巻取装置26とを備えるとともに、トリミング装置24から一方の側を樹脂シートにてラミネート接着された基材を取り出す基材取出装置27とから構成されている。
【0031】
上記構成において、ロールシート巻出装置21にはラミネート接着に使用する樹脂シートロールS1が設置されており、シート搬送装置にて縁部をスパイクチェーンにて噛み込まれつつ順次必要量の樹脂シートS11を巻き出し可能になっている。そして、当該シート搬送装置によって巻き出された樹脂シートS11は、加熱装置22に搬入され、同加熱装置22に設置されているヒータなどにより輻射加熱され、熱成形によって基材にラミネート接着可能に加熱軟化される。
【0032】
この加熱軟化された樹脂シートS11は成形装置23に搬入される。加えて、この成形装置23には、上述した第1基材供給装置40が接続されており、樹脂シートS11をラミネート接着する基材が同第1基材供給装置40によって成形装置23に搬入される。ここで、成形装置23は、概略、上部に成形用圧空箱と、下部に基材の凹部を上面にしつつ凸部を収容可能な凹部を備えた成形用金型とを有し、この成形用金型の凹部に基材の凸部を係合して、基材を成形用金型に設置する。そして、基材の上面に樹脂シートS11を搬入し、成形用圧空箱と成形用金型をこの樹脂シートS11に向かって上下動させつつ、成形用金型側から真空にて樹脂シートS11を引き込み基材の凹部に樹脂シートS11をラミネート接着させる。むろん、成形用金型側から真空にて引き込む態様に限定されるものではなく、成形用圧空箱側から圧空を吹き付けて、基材の凹部に樹脂シートS11をラミネート接着させてもよい。
【0033】
このようにして樹脂シートS11が基材の凹部側にラミネート接着される。そして、樹脂シートS11は、基材を付加された形状にて成形シートS12を形成する。この成形シートS12は、トリミング装置24に搬入され、トリミング装置24は成形シートS12から基材部分をトリミングする。そして、成形シートS12から基材がトリミングされたスクラップシートS13は、スクラップ引張装置25によって引っ張られつつ、スクラップ巻取装置26に巻き戻されて回収されることになる。一方、トリミング装置24にて成形シートS12からトリミングされた基材は、基材取出装置27にてトリミング装置24から取り出され、第2基材供給装置50に移送される。
【0034】
次に、図1に基づいて上記第2熱成形装置30の構成を説明する。第2熱成形装置30は、上述した第1熱成形装置20と同様に、概略、ロールシート巻出装置31と、図示しないシート搬送装置、加熱装置32と、成形装置33と、トリミング装置34と、スクラップ引張装置35と、スクラップ巻取装置36とを備えるとともに、トリミング装置34から両面をラミネート接着された積層基材を取り出す基材取出装置37とから構成されている。
【0035】
上記構成において、ロールシート巻出装置31にはラミネート接着に使用する樹脂シートロールS2が設置されており、シート搬送装置にて必要量の樹脂シートS21を巻き出し可能になっている。そして、シート搬送装置によって巻き出された樹脂シートS21は、加熱装置32に搬入され、同加熱装置32に設置されているヒータなどにより輻射加熱され、熱成形によって基材に対しラミネート接着可能に加熱軟化される。
【0036】
この加熱軟化された樹脂シートS21は成形装置33に搬入される。加えて、この成形装置33には、上述した第2基材供給装置50が接続されており、第1熱成形装置20にて樹脂シートS11を凹部側にラミネート接着された基材が同第2基材供給装置50によって成形装置33に搬入される。ここで、成形装置33は、概略、上部に成形用圧空箱と、下部に基材の凸部を上面にしつつ凹部を収容可能な凸部を備えた成形用金型とを有し、この成形用金型の凸部に基材の凹部を係合して、基材を成形用金型に設置する。そして、基材の上面に樹脂シートS21を搬入し、成形用圧空箱と成形用金型をこの樹脂シートS21に向かって上下動させつつ、成形用金型側から真空にて樹脂シートS21を引き込み基材の凸部に樹脂シートS21をラミネート接着させる。むろん、成形用金型側から真空にて引き込む態様に限定されるものではなく、成形用圧空箱側から圧空を吹き付けて、基材の凸部に樹脂シートS21をラミネート接着させてもよい。
【0037】
このようにして樹脂シートS21が基材の凸部側にラミネート接着されると積層基材が形成されることとなり、この積層基材が付加された形状にて成形シートS22が形成されることになる。この成形シートS22は、トリミング装置34に搬入され、トリミング装置34は成形シートS22から積層基材部分をトリミングする。そして、成形シートS22から積層基材がトリミングされたスクラップシートS23は、スクラップ引張装置35によって引っ張られつつ、スクラップ巻取装置36に巻き戻されて回収される。一方、トリミング装置34にて成形シートS22からトリミングされた積層基材は、基材取出装置37にてトリミング装置34から取り出され、製品として回収される。
【0038】
ここで、本実施形態にて使用される基材について説明する。図2は基材の外観を示した外観図である。同図において、基材Bは底面B1の周囲が上方に向かって折りたたまれることにより、立て壁B2を形成し凹部を備える椀状に形成されている。また、立て壁B2の上端は、基材Bの外側に向かって水平に折り曲げられてフランジ部B3を形成している。本実施形態においては基材Bの図示上方側を上面B4とし、図示下方側を下面B5とする。
【0039】
図3(a)は、第1熱成形装置20にて基材Bの上面B4側に樹脂シートS11をラミネート接着した場合の成形シートS12の断面図を示しているとともに、図3(b)は、トリミング装置24にて成形シートS12をトリミングした基材Bの断面図を示している。このように、第1熱成形装置20においては、樹脂シートS11を基材Bの一方の側、すなわち、上面B4に対して熱成形することによって、ラミネート接着を実施し成形シートS12を形成する。そして、トリミング装置24にて成形シートS12からフランジ部B3より若干樹脂シート部分を残しつつトリミングを行い、第2熱成形装置30に搬入する上述した一方の側が樹脂シートS11にてラミネート接着された基材Bを生成する。
【0040】
この基材Bは第2熱成形装置30に搬入され他方の側に樹脂シートS21がラミネート接着され積層基材が生成される。図4(a)は、第2熱成形装置30にて基材Bの下面B5側に樹脂シートS21をラミネート接着した場合の成形シートS22の断面図を示しているとともに、図4(b)は、トリミング装置34にて成形シートS22をトリミングした積層基材Cの断面図を示している。このように、第2熱成形装置30においては、樹脂シートS21を基材Bの一方の側、すなわち、下面B5に対して熱成形することによって、ラミネート接着を実施し、積層基材Cを生成する。本実施形態においては、成形シートS22から積層基材Cをトリミングするに際しては、基材C1の端部C1a,C1aが露出するようにトリミングする。
【0041】
次に、第1基材供給装置40について説明する。図5は第1基材供給装置40の概略構成の外観を示した概略外観図である。
同図において、第1基材供給装置40は、パレット41と、パレットインデックスモータ42と、パレット搬送コンベア43と、下段フランジコンベア44と、パレットスライダー45と、パレットストッパ46と、搬送ローダ47とから構成されている。また、搬送ローダ47は、供給アーム47dと、基材吸着部47cとを備えているとともに、パレット41には基材Bを載置する少なくとも一つ以上の基材載置部41aが形成されている。本実施形態においてはパレット41には16個の基材Bを載置可能になっている。
【0042】
上記構成において、パレット41はパレットインデックスモータ42にて所定の載置位置に位置決めされる。そして、作業者は、位置決めされ停止しているパレット41の基材載置部41aに第1熱成形装置20に搬入する基材Bを載置する。そして、基材Bのパレット41への載置が完了すると、パレット41は、パレット搬送コンベア43および下段フランジコンベア44によって、図矢印A方向に搬送される。搬送されたパレット41は、第1基材供給装置40の第1熱成形装置20側端に移動し、パレットスライダー45にてこの端部での所定の停止位置に位置決めされつつ、ストッパ46によって固定される。
【0043】
パレット41がストッパ46によって固定されると、搬送ローダ47が動作し、この搬送ローダ47の動作によって基材載置部41aに載置された基材Bは、成形装置23に搬入されることになる。かかる成形装置23への搬入動作は、搬送ローダ47が図矢印47a下降方向に移動し、パレット41と接近する。そして、パレット41に対して所定距離にて接近すると、基材吸着部47cが作動し、基材載置部41aに載置されている基材Bを吸着して保持する。そして、基材吸着部47cにて基材Bを保持すると、搬送ローダ47は図矢印47a上昇方向に移動するとともに、図矢印47b方向に移動する。これにより供給アーム47dが成形装置23内部に進入し、所定の位置にて基材Bの吸着を解除すると、基材Bが基材吸着部47cから開放され、基材Bは成形装置23の所定の位置に搬入、設置されることになる。
【0044】
図6(a)に上述したパレット41の断面図を示す。同図において、パレット41は断面凹形状の少なくとも一つ以上の基材載置部41aを有し、基材Bはこの凹形状に嵌合されるように載置されることになる。一方、図6(b)は成形装置23の概略構成の断面を示した概略断面図である。同図において、成形装置23は、所定のプラグを有する成形用圧空箱23aと、基材Bを型内に載置可能な成形用金型23bとを備えており、この成形用圧空箱23aおよび成形用金型23bの間に搬送された樹脂シートS11に対して所定の熱成形を実施し、型内に載置された基材Bの上面B4に樹脂シートS11をラミネート接着した基材Bを生成可能になっている。
【0045】
ここで、本実施形態においては、図6(c)に示すようにパレット41には基材載置部41a1〜41a16が形成されており、この基材載置部41a1〜41a16は、成形用金型23bの有する各型23b1〜23b16と相互に対応するように形成されている。そして、搬送ローダ47の基材吸着部47cが基材Bを吸着する構造もこの基材載置部41a1〜41a16に対応するように形成されている。これにより、基材載置部41a1〜41a16に載置された基材Bは、その位置関係を保持しつつ、基材吸着部47cを介して成形装置23に搬入されるとともに、成形用金型23bの各型23b1〜23b16に載置される。従って、作業者は基材載置部41a1〜41a16に基材Bを載置すればよいため、作業が簡易になるとともに、成形装置23まで搬送する間に基材Bの位置が乱れることがないため、確実に成形装置23に基材Bを搬入することが可能になる。
【0046】
また、後述するように第2基材供給装置50においても、所定のパレット51を使用して第2熱成形装置30の成形装置33に基材Bを搬入する。図7(a)にこのパレット51の断面図を示す。同図において、パレット51は断面凸形状の少なくとも一つ以上の基材載置部51aを有し、基材Bはこの基材載置部51aの凸形状に嵌合されるように載置される。
【0047】
一方、図7(b)は成形装置33の概略構成の断面を示した概略断面図である。同図において、成形装置33は、成形用圧空箱33aと、型内に基材Bを載置する少なくとも一つ以上の型を有する成形用金型33bとを備えており、上述した基材載置部51aに載置された基材Bは、この成形用金型33bに搬入、設置される。そして、この成形用圧空箱33aおよび成形用金型33bの間に搬送された樹脂シートS21に対して所定の熱成形を実施し、基材Bの下面B5に樹脂シートS21がラミネート接着された積層基材Cを生成可能にする。
【0048】
本実施形態においては、図7(c)に示すようにパレット51の基材載置部51a1〜51a16は、成形用金型33bの有する各型33b1〜33b16と相互に対応するように形成されている。そして、後述する搬送ローダ57の基材吸着部57cが基材Bを吸着する構造もこの基材載置部51a1〜51a16に対応するように形成されている。これにより、基材載置部51a1〜51a16に載置された基材Bは、その位置関係を保持しつつ、基材吸着部57cに吸着されて成形装置33に搬入されるとこの吸着が解除され、基材Bは成形用金型33bの各型33b1〜33b16に載置される。
【0049】
このように、第1熱成形装置20の成形装置23においては、基材Bの上面B4を上方に向けてその上から樹脂シートS11を熱成形によりラミネート接着して一方の側が樹脂シートS12にてラミネート接着された基材Bを生成し、第2熱成形装置30においては、この基材Bの下面B5を上方に向けてその上から樹脂シートS21を熱成形によりラミネート接着して積層基材Cを生成する。
従って、上面B4を樹脂シートS12にてラミネート接着された基材Bが生成された後に、この基材Bを第2熱成形装置30の成形装置33に搬入するにあたり、下面B5が上方に向くように基材Bを反転させなけらばならない。そこで、第2基材供給装置50は、この基材Bを反転させる所定の反転装置を備えることになる。
【0050】
次に、第2基材供給装置50について説明する。図8は第2基材供給装置50の概略構成の外観を示した概略外観図である。
同図において、第2基材供給装置50は、反転前搬送装置50aと、反転後搬送装置50bと、反転前搬送装置50aから反転後搬送装置50bに基材Bを反転させつつ移動させる反転装置50cとから構成されている。
上記構成において、反転前搬送装置50aは、基材取出装置27を構成する搬送ローダ27によって、トリミング装置24にて成形シートS12からトリミングされた基材Bをパレット50a1に供給される。
【0051】
ここで、搬送ローダ27にはトリミングされる基材Bに対応した基材吸着部27aが配設されており、供給アーム27bの図矢印方向の動作によって、トリミング装置24にてトリミングされた基材Bをパレット50a1に供給する。そして、パレット50a1への基材Bの供給が完了すると、送りモータ50a2が回転動作する。この送りモータ50a2の回転に伴ないボールネジ50a3が回転動作する。パレット50a1はパレット台座50a11に載置されているとともに、このパレット台座51a11がボールネジ50a3に接続されているため、パレット50a1は、ボールネジ50a3の回転動作に応じて、反転装置50c側に移動する。
【0052】
反転装置50cに移動したパレット50a1は、反転装置50cにて反転される。かかる反転は、反転用モータ50c1にて実施される。パレット50a1の一辺はスプライン軸50c2に嵌合されているとともに、反転用モータ50c1の回転軸はこのスプライン軸50c2に一致している。従って、反転用モータ50c1がパレット50c1を反転後搬送装置50b側に回転させる向きに回転動作すると、スプライン軸50c2が回転し、スプライン軸50c2との噛み合いによりパレット50a1が反転後搬送装置50b側に反転する。
【0053】
ここで、反転に伴いパレット50a1に載置された基材Bが落下してしまうことを回避するため、パレット50a1には吸着ファン50a12に配設されている。この吸着ファン50a12の動作により発生する風圧は基材Bをパレット50a1に吸着させる方向に通過可能になっており、吸着ファン50a12の動作によって基材Bがパレット50a1に保持されることになる。また、パレット台座51a11にはこの吸着ファン50a12を収容する吸着ファン収容穴51a13が形成されている。
【0054】
従って、パレット50a1を載置したパレット台座51a11が反転装置50cに移動すると、吸着ファン50c12を動作させつつ、反転用モータ50c1を回転動作させ、パレット50a1を反転する。これにより、基材Bは吸着ファン50c12によりパレット50a1に保持された状態で反転後搬送装置50bに移動することになる。
【0055】
そして、反転後搬送装置50bには、パレット50a1の反転を受ける位置にパレット51が配置されており、吸着ファン50a12は、パレット50a1が反転すると、動作を停止する。すると、パレット50a1に載置されている基材Bは、その載置位置関係を保持したまま反転してパレット51に移し替えられることになる。基材Bが移し替えられたパレット51は、反転後搬送装置50bを図矢印D方向に移動する。そして、基材Bは、搬送ローダ57による上述した搬送ローダ47と同様な動作に基づいて成形装置33の成形用金型33bの各型に載置される。
【0056】
また、この第2基材供給装置50は、内面成形不良搬出シュータ52を備えており、第1熱成形装置20にて生成された基材Bについて、作業者が監視し、不良を発見したときは、パレット50a1を内面成形不良搬出シュータ52の位置で停止させ、反転用モータ50c1を回転動作させる。すると、内面不良を有する基材Bは内面成形不良搬出シュータ52に取り込まれ回収されることになる。かかる場合においても吸着ファン50a12が適宜動作されることはいうまでもない。
【0057】
第1熱成形装置20の成形装置23に配置される成形用金型23bは搬入される基材Bの形状に応じて適宜変更可能になっており、この成形用金型23bの変更に伴なって成形用圧空箱23aも変更される。また、成形用金型23bが変更されると、第1基材供給装置40および第2基材供給装置50に配置されるパレット41,50a1,51は、この成形用金型23bに載置される基材Bの形状および個数に対応した形状を備えるものに変更されることになる。むろん、成形装置33の成形用金型33bの形状についても変更される。
【0058】
ここで、本実施形態においては、図9に示すように第1基材供給装置40は、成形装置23に対して成形装置23の前端を基準にしてパレット41によって基材Bを搬入する。同様に第2基材供給装置50は、成形装置33に対して成形装置33の前端を基準にしてパレット51によって基材Bを搬入する。一方、トリミング装置24は所定の中心軸Xを対象軸として、受金型23aおよびトムソン金型23bを配設し、基材取出装置27は、この中心軸Xを基準にして基材Bをパレット50a1に取り出す。
【0059】
従って、第2基材供給装置50は、成形用金型23bの変更があると、反転前搬送装置50aにて反転装置50cにパレット51a1およびパレット台座51a11を移動させるにあたり、所定の位置決め制御を実行する必要が生じる。すなわち、異なる大きさの成形用金型23b1,2が設置されると、反転前搬送装置50aのパレット50a1は、成形用金型23b1のときはパレット50a1aとなり、成形用金型23b2のときはパレット50a1bとなる。
【0060】
かかる場合、パレット50a1aの場合、反転装置50cに対する移動距離は移動距離Y1となり、パレット50a1bの場合、反転装置50cに対する移動距離は移動距離Y2となる。この移動距離Y1,Y2は反転装置50cにてパレット50a1からパレット51に対して基材Bを移動させるため、精密な精度にて位置決めする必要がある。本実施形態においては、送りモータ50a2にボールネジ50a3を接続して、パレット50a1およびパレット台座50a11の移動を制御する構成を採用している。
【0061】
次に、搬送ローダ27とスクラップ引張装置25およびスクラップ巻取装置26の動作によって実現される基材取出処理の処理内容を図10のフローチャートに示す。また、この基材取出処理は第2熱成形装置30の基材取出装置37においても同様となるため、基材供給装置37を構成する搬送ローダ37について併せて説明する。かかる場合、基材取出装置37には、搬送ローダ27と同様に基材吸着部37aと供給アーム37bとが備えられている。同図において、成形シートS12,22は所定のシート搬送装置にてトリミング装置24,34に搬入され(ステップS100)、基材Bあるいは積層基材Cをトリミング可能な位置で停止する(ステップS105)。
【0062】
すると、供給アーム27b,37bがトリミング装置24,34内に進入してきて、基材吸着部27a,37aがトリミングされた基材B,Cに向かって移動する。そして、供給アーム27が所定位置に移動すると、基材吸着部27a,37aが動作し、基材B,Cを吸着する(ステップS110)。かかる状態で、成形シートS12,S22をシート引張装置25,35によって引っ張ると(ステップS15)、基材B,Cは基材吸着部27a,37aにて吸着され保持されているため、成形シートS12,S22から離脱する(ステップS120)。
【0063】
このように基材B,Cが成形シートS12,S22から離脱すると、供給アーム27b,37bは移動し、トリミング装置24,34から脱出する。これにより基材B,Cがトリミング装置24,34から取り出される(ステップS125)。一方、この基材B,Cの取り出し動作に平行して、スクラップ巻取装置26,36が回転動作し、成形シートS12,S22から基材B,Cが取出されることによって生成されたスクラップシートS13,23を巻き取り回収する(ステップS130)。
【0064】
本実施形態における第1熱成形装置20に配置されたトリミング装置24あるいは第2熱成形装置30に配置されたトリミング装置34は、所定のトムソン金型を使用し、このトムソン金型を成形シートS12,S22に対して作用させることにより、基材Bおよび積層基材Cを成形シート12,22からトリミングしている。かかる場合、トリミングプレス部は、ダイプレスの性質およびクランク駆動からトリミング刃の受け側にトリミング刃作用時の衝撃を吸収するクッション機能が必要となる。
【0065】
そこで、本実施形態においては、このクッション機能を実現するために油圧クッションシリンダを使用する。そして、この油圧クッションシリンダにエアーハイドロブースターを接続し、トリミング時に油圧クッションシリンダに所定値以上の過負荷が発生した場合、このエアーハイドロブースターにて過負荷の衝撃を緩衝する構成としている。すなわち、エアーハイドロブースターの作用によって油圧クッションシリンダのクッション機能を補完することになる。
【0066】
かかる油圧クッションシリンダを使用したトリミング装置24,34の概略外観図を図11に示す。同図において、トリミング装置24,34は、概略、上テーブル100と、下テーブル101と、受金型102と、トムソン金型103と、下テーブル104と、駆動装置105と、油圧クッションシリンダ107とから構成されている。駆動装置105には図示しない駆動源が配設され、この駆動源の駆動軸105aの回転動作により一端を駆動軸105aに固定されたクランク軸105bが回転する。このクランク軸105bの回転に伴ない、同クランク軸105bの他端に遊動可能に接続された連結軸105cが回動する。この連結軸105cの他端は下テーブル104に接続されており、この連結軸105cの回動によって下テーブル104が上下動する。
【0067】
下テーブル104の上面にはトムソン金型103が配設され、下テーブル104が上昇すると、トムソン金型103が上テーブル100に配設された受金型102に略当接する。このとき、搬送機構107によって成形シートS12,22がトリミング装置23,33に搬入されてるため、トムソン金型103と受金型102との略当接動作により、成形シートS12,22から基材Bあるいは積層基材Cがトリミングされる。
【0068】
ここで、本実施形態においては上述したようにトリミング時に発生するプレス力によって上テーブル100側にかかるプレス力が所定値以上にならないように、上テーブル100は、油圧クッションシリンダ106にて保持され、下テーブル104の上下動にてトムソン金型103が受金型102に略当接した際に、この略当接の衝撃を緩衝し吸収している。この油圧クッションシリンダ106は、トリミング動作時には油室106bへ外部から油を供給され、この油室106bに供給された油によってシリンダ106aが図下方から上テーブル100によって押し上げられる衝撃を吸収する。また、上テーブル100に配設された受金型102の型替えを実施する場合は、油室106bの油を外部に引き込み、シリンダ106aを図上方に移動させる。すると、上テーブル100が上昇するため、上テーブル100と、搬送機構107との間から受金型102を交換することが可能になる。
【0069】
上述した油圧クッションシリンダ106のクッション機能は、この油圧クッションシリンダ106にエアーハイドロブースタを接続することにより可能になる。図12は油圧クッションシリンダ106にエアーハイドロブースターを接続した場合の概略構成を示している。
同図において、エアーハイドロブースタ200は、概略、エアーハイドロシリンダ201と、外筒201aとから構成され、エアーハイドロシリンダ201が外筒201a内部を上下動することにより油圧クッションシリンダ106のシリンダ106aの上下動を制御する。このとき、エアーハイドロシリンダ106aの上下動は所定の空気圧の供給路となるエアー供給路202およびエアー供給路203と、所定のコンバータからの油の供給路となる供給路204とにより実行される。
【0070】
すなわち、加圧時(油圧クッションシリンダ106のシリンダ106a下降時)は、エアー供給路202から所定の空気圧を供給し、エアーハイドロシリンダ201を図上方に移動させ、供給路204からエアーハイドロシリンダ200に供給された油をシリンダ201の上昇に伴ない油圧クッションシリンダ106に供給する。そして、油圧クッションシリンダ106は供給された油によってトリミング時に上テーブル100から受ける衝撃を吸収する。
【0071】
一方、型替え時(油圧クッションシリンダ106のシリンダ106a上昇時)は、エアー供給路203に所定の空気圧を供給し、エアーハイドロシリンダ201を図下方に移動させ、油圧クッションシリンダ106に供給されていた油を引き込む。これにより、シリンダ106aは上昇し、受金型102の型替えが可能になる。また、油圧クッションシリンダ106に所定値以上の過負荷がかかった場合は、エアーハイドロシリンダ201が押し下げられるように動作するため、油圧クッションシリンダ106での衝撃は一定に保持される。すなわち、エアーハイドロブースター200は、油圧クッションシリンダ106にかかる衝撃を吸収する補完的な機能を有することになる。
【0072】
このように、両面を樹脂シートS11およびS21にてラミネート接着された積層基材Cを製造するにあたり、基材Bの上面B4に対して樹脂シートS11のラミネート接着を実施する第1熱成形装置20と、基材Bの下面B5に対して樹脂シートS21のラミネート接着を実施する第2熱成形装置30とを併設し、この装置20,30間を基材Bの供給を実施する第2基材供給装置50にて接続することにより、連続した装置稼動によって積層基材Cを製造することが可能になる。
【0073】
また、第1基材供給装置40および第2基材供給装置50に各成形装置23,33の成形用金型23b,33bに対応したパレット41,51を配置することにより、簡易に正確に基材Bを各成形装置23,33に供給することが可能になる。さらに、第1基材供給装置40、第2基材供給装置50から各成形装置23,33に基材Bを供給する構造および基材取出装置27,37の構造を供給アームおよび基材吸着部とすることによって、パレットに載置された位置関係あるいは、成形シートに付加された基材,積層基材の位置関係を保持しつつ基材の供給および基材,積層基材の取出しを実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる積層基材製造システムの概略外観図である。
【図2】基材の外観を示した外観図である。
【図3】成形シートS12および基材Bの断面図である。
【図4】成形シートS22および積層基材Cの断面図である。
【図5】第1基材供給装置40の概略構成の外観を示した概略外観図である。
【図6】パレット41等の断面図である。
【図7】パレット51等の断面図である。
【図8】第2基材供給装置50の概略構成の外観を示した概略外観図である。
【図9】第2基材供給装置50での位置決め制御の態様を示した概略ブロック図である。
【図10】基材取出処理の処理内容を示したフローチャートである。
【図11】トリミング装置24,34の概略外観図である。
【図12】油圧クッションシリンダ106とエアーハイドロブースター200の概略構成図である。
【符号の説明】
10…積層基材製造システム
20…第1熱成形装置
21…ロールシート巻出装置
22…加熱装置
23…成形装置
24…トリミング装置
25…スクラップ引張装置
26…スクラップ巻取装置
27…基材取出装置
30…第1熱成形装置
31…ロールシート巻出装置
32…加熱装置
33…成形装置
34…トリミング装置
35…スクラップ引張装置
36…スクラップ巻取装置
37…基材取出装置
40…第1基材供給装置
50…第2基材供給装置
S1…樹脂ロールシート
S2…樹脂ロールシート
S11…樹脂シート
S21…樹脂シート
S12…成形シート
S22…成形シート
S13…スクラップシート
S23…スクラップシート
Claims (12)
- 略椀型凹形状に形成された基材の両面に樹脂シートをラミネート接着した積層基材を製造する積層基材製造システムであって、
所定の金型を備える成形機構での熱成形によって上記基材の一方の側に上記樹脂シートのラミネートを実施する第一熱成形装置と、
所定の金型を備える成形機構での熱成形によって、上記基材の他方の側に上記樹脂シートのラミネートを実施し積層基材を成形する第二熱成形装置と、
上記第一熱成形装置と第二熱成形装置とを接続し、上記第一熱成形装置から供給される一方の側がラミネートされた基材を第二熱成形装置に搬入する搬入装置とを具備することを特徴とする積層基材製造システム。 - 上記請求項1に記載の積層基材製造システムにおいて、
上記第一熱成形装置は、同第一熱成形装置の成形機構に基材を搬入する基材搬入装置を備えるとともに、同第一熱成形装置の成形機構の金型は、複数の基材を1ショットにて熱成形可能な各基材に対応する型配置を備え、上記基材搬入装置は、この型配置に対応したプレート治具を備えることを特徴とする積層基材製造システム。 - 上記請求項1または請求項2のいずれかに記載の積層基材製造システムにおいて、
上記第一熱成形装置は、熱成形された位置関係を保持しつつ、一方の側がラミネートされた基材をトリミングする第一トリミング装置を備え、上記搬入装置は、同第一トリミング装置にてトリミングされた一方の側がラミネートされた基材を上記第二熱成形装置に搬入することを特徴とする積層基材製造システム。 - 上記請求項1または請求項2のいずれかに記載の積層基材製造システムにおいて、
上記第二熱成形装置は、熱成形された位置関係を保持しつつ、積層基材をトリミングする第二トリミング装置を備えることを特徴とする積層基材製造システム。 - 上記請求項3に記載の積層基材製造システムにおいて、
上記第一熱成形装置は、上記第一トリミング装置にてトリミングされた一方の側がラミネートされた基材を回収する第一基材回収装置を備え、同第一基材回収装置は、トリミングされた一方の側がラミネートされた基材を吸着して樹脂シートから離脱する第一吸着離脱手段と、上記離脱した際の位置関係を保持しつつ一方の側がラミネートされた基材を回収し、上記搬入装置に供給する第一基材回収手段と、上記基材回収手段にて一方の側がラミネートされた基材が離脱された樹脂シートを回収する第一樹脂シート回収手段とを備えることを特徴とする積層基材製造システム。 - 上記請求項4に記載の積層基材製造システムにおいて、
上記第二熱成形装置は、上記第二トリミング装置にてトリミングされた積層基材を回収する第二基材回収装置を備え、同第二基材回収装置は、トリミングされた積層基材を吸着して樹脂シートから離脱する第二吸着離脱手段と、上記離脱した際の位置関係を保持しつつ積層基材を回収する第二基材回収手段と、同基材回収手段にて積層基材が離脱された樹脂シートを回収する第二樹脂シート回収手段とを備えることを特徴とする積層基材製造システム。 - 上記請求項4〜請求項6のいずれかに記載の積層基材製造システムにおいて、
上記第二熱成形装置の成形機構の金型は、上記第一熱成形装置の成形機構の金型と同一の型配置を備えるとともに、上記搬入装置は、この型配置に対応したプレート治具を備え、このプレート治具によってトリミングされた位置関係を保持しつつ上記第二熱成形装置に一方の側がラミネートされた基材を搬入することを特徴とする積層基材製造システム。 - 上記請求項3〜請求項7のいずれかに記載の積層基材製造システムにおいて、
上記第一または第二トリミング装置は、上下駆動可能な所定の上下テーブルを備えるとともに、同上下テーブルのいずれか一方には、上下テーブルの駆動にて実施されるトリミング動作に際して発生する衝撃を緩衝する所定の緩衝機構が配設されることを特徴とする積層基材製造システム。 - 上記請求項8に記載の積層基材製造システムにおいて、
上記緩衝機構は、所定の油圧シリンダから構成され、同油圧シリンダの油をリークさせることによりトリミング動作に際して発生する衝撃を緩衝することを特徴とする積層基材製造システム。 - 上記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の積層基材製造システムにおいて、
上記第一熱成形装置および第二熱成形装置の成形機構は、所定の金型の上方に加熱軟化された樹脂シートを配置して熱成形するとともに、上記搬入装置は、上記第一熱成形装置にて一方の側がラミネートされた基材を反転させる反転装置を備えることを特徴とする積層基材製造システム。 - 上記請求項7〜請求項10のいずれかに記載の積層基材製造システムにおいて、
上記搬入装置は、同搬入装置の有するプレート治具にて基材を第二熱成形装置の成形機構に搬入するにあたり、同第二熱成形装置の成形機構が有する金型の型配置と、同プレート治具の型配置とが略一致する位置に同プレート治具を位置決めすることを特徴とする積層基材製造システム。 - 基材の両面を所定の加熱軟化された樹脂シートにてラミネートされた積層基材を製造する積層基材製造方法であって、
所定の金型を有する成形機構での熱成形によって上記基材の一方の側に上記樹脂シートのラミネートを実施する第一熱成形工程と、
上記第一熱成形工程から一方の側がラミネートされた基材を搬出する搬出工程と、
上記搬出された一方の側がラミネートされた基材を搬入するとともに、所定の金型を備える成形機構での熱成形によって上記第一熱成形工程にて一方の側がラミネートされた基材の他方の側に上記樹脂シートのラミネートを実施し積層基材を成形する第二熱成形工程とを具備することを特徴とする積層基材製造方法。
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