JP3664301B2 - 管渠の布設方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は管渠の布設方法に係り、特にプレキャストコンクリート製ボックスカルバートを方向変換部を経て管体の連結位置まで横引きし、複数基を連結させ管渠を構築するようにした管渠の布設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
出願人の一は、すでに都市部等における狭隘な道路下に建設される下水幹線等に用いられるプレキャストコンクリート製の管渠の合理的な布設方法として、摩擦低減手段としてのベアリングボールを利用した横引き工法を開発している(特許第2879021号参照)。本工法によれば、開削トンネル部の構築後に、地上のわずかなスペースに単位管体としてのボックスカルバートの搬入部を設け、そこから搬入されたボックスカルバートを所定連結位置まで横引きし、これらを連結した管渠を迅速に構築することができる。
【0003】
図9は、この管渠の布設方法における横引き作業状態を示した概略側面図である。同図に示したように、開削トンネル100内に施工された基礎コンクリート101上にはボックスカルバート102の延長方向に沿って横引き用レール103が布設されている。横引き用レール103としては、図10に示したように横にした状態でそのほとんどの部分がコンクリート101内に埋設された細幅系H形鋼等が使用されている。埋設されたH形鋼のウェブ103aの片面がレール面となり、わずかに端部が露出したフランジ103bが側壁となっている。さらに、レール面上には摩擦低減を図る球状体としてのベアリングボール104が適当に分散するように配置されている。たとえば、ベアリングボール104にはφ11mm程度の鋼球が使用されている。これらのベアリングボール104の上には、底面に板厚鋼板からなるガイドプレート105が固着されたボックスカルバート102が載置されている。ボックスカルバート102は、ガイドプレート105を介して多数のベアリングボール104に点支持されるようになっている。図10に示したように、ボックスカルバート102が図示しないウインチ等の横引き(牽引)装置により矢印方向へ牽引されるのに伴い、ボックスカルバート102を支持するベアリングボール104は転動する。これによりガイドプレート105とレール103間の動摩擦が大幅に低減される。実験によれば動摩擦係数はそり等の横引き工法の場合に比べて1/4まで低減される。なお、図9,図10においてベアリングボール104は説明のために拡大して示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した横引き方法では、横引き用レールが基礎コンクリート上に布設されるが、図11に示したように直角あるいは所定の折れ角で屈曲した方向変換部100Aを有するように開削トンネル100が施工される場合、横引き用レールをその方向変換部のなす折れ角に合わせて布設することは困難である。また、その方向変換部に合わせた曲率に加工した形鋼レールを布設しても、ボックスカルバート下面に取り付けたガイドプレートが所定の長さを有するため、そのレールの曲率に沿って進行させることはできない。
【0005】
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、ベアリングボールを用いた横引きによりボックスカルバート等の管渠を布設するのに際し、布設区間内に設けられた方向変換部において、確実かつ安全にボックスカルバート等の管渠の横引きを行えるようにした管渠の布設方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は複数基を連結して管渠を構成する単位管体を山留め空間内に搬入し、該山留め空間内の基礎コンクリート上に敷設された溝状をなすガイドレール上に球状体を分散して配置し、前記単位管体を前記該球状体で支持した状態で、中間位置に設けられた方向変換部を経て管体の連結位置まで移送するようにした管渠の布設方法において、上面に前記基礎コンクリート上に布設されたレールと連絡するガイドレールが設けられたプレキャストコンクリート製のターンテーブルを、方向変換部に形成された凹所内に設置し、該ターンテーブルを球状体を分散して配置して支持して、回転軸回りの回転抵抗を軽減するとともに、前記単位管体を前記ターンテーブル上のガイドレール上に移動し、前記ターンテーブルを回転させて前記単位管体の方向変換を行い、前記単位管体の布設作業が完了後に、前記ターンテーブル下の前記凹所にグラウト充填して前記ターンテーブルを前記基礎コンクリートと一体化するようにしたことを特徴とする。
【0007】
複数基を連結して管渠を構成する単位管体を山留め空間内に搬入し、該山留め空間内の基礎コンクリート上に敷設された溝状をなすガイドレール上に球状体を分散して配置し、前記単位管体を前記該球状体で支持した状態で、中間位置に設けられた方向変換部を経て管体の連結位置まで移送するようにした管渠の布設方法において、前記単位管体は、あらかじめ前記方向変換部で方向変換された後の方向を向くように、前記方向変換部まで前記基礎コンクリート上に敷設された第1のレール間幅のガイドレール上に分散された球状体上を前記方向変換部まで移送され、前記方向変換部で当初の移送方向を向いたままの状態で、管体の連結位置まで敷設された第2のレール間幅のガイドレール上に切り替えられ、該第2のレール間幅のガイドレール上に分散された球状体上を、前記管体の連結位置まで移送されるようにしたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の管渠の布設方法の方向変換部における実施の形態について添付図面を参照して説明する。
[方向変換部の施工]
図1は、山留め空間1内の方向変換部1Aに設けられたターンテーブル10上に単位管体としてのボックスカルバートが載置された状態を示した全体正面図である。図2各図は、図1におけるガイドレール近傍(IIa)及び基礎コンクリート端部とターンテーブル10端部の近傍(IIb)を示した部分拡大図である。図3は、ターンテーブル10及びその周辺の構成を示した平面図である。
【0009】
図1,図3に示したように、このターンテーブル10は、方向変換部1Aの基礎コンクリート101内にその全体が埋設されたほぼ矩形の厚鋼板からなるベースプレート13上に、その回転を補助する摩擦低減手段としての球状体14(以下、ベアリングボール14)を介して回転軸17に関して回転可能に取り付けられている。さらにターンテーブル10の上面には単位管体としてのボックスカルバート2が移送されるガイドレール16が形成されている。なお、図3ではターンテーブル10の構成を説明するために、ターンテーブル10上に載置されたボックスカルバート2を仮想線で示している。
【0010】
これらの構成のうち、ベースプレート13は図1,図3に破線で示したように、方向変換部1Aにおいて、基礎コンクリート101を打設する際にあらかじめ所定深さを保持され、全体がコンクリート101内に埋設されている。このとき図3に示したように、ターンテーブル10が載置されるベースプレート13上の円形凹所6は仮型枠(図示せず)によって箱抜きされ、ベースプレート13上面が露出するように基礎コンクリート101が打設される。ベースプレート13のほぼ中心位置にはターンテーブル10の回転軸17がプレート13表面から突設されている。ターンテーブル10は回転軸17に図示しない玉軸受を介して取り付けられる。この回転軸17周りのターンテーブル10の回転をスムースに行うために、図2各図に示したように、ベースプレート13上に多数のベアリングボール14が分散して撒き出されている。上述した横引き工法と同様に、このベアリングボール14上にターンテーブル10が載置されている。したがって、ターンテーブル10は多数のベアリングボール14に点支持された状態で回転軸17周りに回転する。この状態でベアリングボール14はベースプレート13上を転動しながらターンテーブル10を支持するため、動摩擦係数を充分小さくすることができる。
【0011】
さらに、ターンテーブル10の上面には、図3に示したように井桁状をなしてガイドレール16が形成されている。このガイドレール16は基礎コンクリート101上に設けられている横引き用レール103の軌道幅に等しい間隔で平行した溝状部で、図2(a)に示したように、所定断面の山形鋼12の一方のフランジをターンテーブル10上に溶接して側壁とすることで、ガイドレール16としての溝状部がテーブル10上に画成される。この溝状部には、摩擦低減を目的としてベースプレート13とターンテーブル10との間に配置されたベアリングボール14と同一種類のベアリングボール4がレールの範囲に満遍なく分散するように撒き出され配置されている。ボックスカルバート2はこのベアリングボール4上にガイドプレート5を介して支持されている。このときターンテーブル10上面のレベル(高さ)は基礎コンクリート101上の横引き用レール103の上面とほぼ一致するように設定されており、ボックスカルバート2を基礎コンクリート101からターンテーブル10上に載せ替える際に段差が生じない。なお、ターンテーブル10上のガイドレール16は図3に示したように、直交する2組のレールが井桁状に形成されているが、1組のレールのみを設け、適宜ターンテーブル10を所定方向に回転させて使用することでも対応できる。
【0012】
施工完了時にこのターンテーブル10位置に異形カルバート2を設置する場合にはターンテーブル10をコンクリート内に埋設することもある。その際、鋼製ターンテーブルの場合には溶接等により適当な固定部に固定した上で、ベースプレート13との隙間をグラウト等で充填する。
【0013】
図4は、ターンテーブルの変形例として、プレキャストコンクリート版製のターンテーブル10の例を示した部分断面図である。図示したターンテーブル10は、基礎コンクリート101に円形凹所6を形成し、この円形凹所6内にさらにベアリングボール収容部6aを設け、ベアリングボール14を分散して撒き出し、その上にプレキャストコンクリート製ターンテーブル10を載置するようにしたものである。このターンテーブル10はボックスカルバート(図示せず)が載置された状態でボックスカルバートの方向変換角度だけベアリングボール14上を回動することができる。また、ターンテーブル10の一部には上面と底面とを貫通するグラウト孔41が形成されている。このターンテーブル10によるボックスカルバートの方向変換作業が完了したら、このグラウト孔41を用いてターンテーブル10の底版と円形凹所6との間のグラウト工を行ってターンテーブル10を固定することが好ましい。このとき、ターンテーブル10の周縁側部に凹凸形状をつけておき、グラウト工の際にターンテーブル全体が基礎コンクリート101に確実に固定されるようにすることも好ましい。
【0014】
図5は、図3に示したターンテーブル10が設けられた方向変換部1Aにおけるボックスカルバート2の方向変換作業を説明した状態説明図である。同図に示したように、ボックスカルバート2は各図の下方(手前)から右方(奥方)へ方向変換するようになっている。まず、ボックスカルバート2は、同図(a)に示した基礎コンクリート101位置から牽引ワイヤWを介して図示しないウィンチで牽引されてターンテーブル10の中央位置まで引き出される(図5(b))。その状態で新たな進行方向を向くまでターンテーブル10を回転させ、ガイドレール16と進行方向の横引き用レール103の方向とを一致させる。ターンテーブル10の回転はウィンチによるワイヤWによる牽引でも人力でも行うことができる。さらにボックスカルバート2の進行方向の基礎コンクリート101の横引き用レール上103へ牽引ワイヤWによって引き出し、奥方の管体連結位置(図示せず)まで牽引する。図5では方向変換の角度の例として90°の場合を示したが、任意角度での方向変換が可能である。また、図4に示したターンテーブル10についても同様の用い方を行うことができる。
【0015】
(方向変換部の施工の変形例)
上述したターンテーブル10に代わる変形例による方向変換部の施工について、図6〜図8を参照して説明する。図6は、ターンテーブルに代えてボックスカルバートを一時的にピボットで支持して、その方向を変換する方法を示した施工状態図である。方向変換部には図6,図7に示したように所定位置にきたボックスカルバート2を底面のほぼ中心で点支持するピボット構造の油圧シリンダジャッキ42が配置されている。このシリンダジャッキ42は、通常はシリンダロッド42aが基礎コンクリート101内に位置する程度に縮退しており、ボックスカルバート2が、方向変換部に到達し、その底面のほぼ中心が重なったときに図示しない操作部での運転動作によりロッド伸長可能となっている。さらに、ジャッキ42の周囲には旋回機構(図示せず)が設けられており、シリンダロッド42aを伸長させてボックスカルバート2を所定量だけ押し上げた状態でボックスカルバート2を、ジャッキ位置を中心として新たな進行方向に回動させることができる(図7参照)。このようにして、ボックスカルバート2を直交方向の横引き用レール103に沿って矢印方向に移送することができる。なお、ボックスカルバート2移送時の転倒防止のために、ボックスカルバート2の回動に追従するスペーサーの挿入あるいはバンド固定等を実施することが好ましい。必要に応じて先端に把持アタッチメントを備えた自走式の小型重機によって部材の一部を把持して走行させることもできる。
【0016】
図8は、他の変形例を示した説明図である。同図に示したように、本変形例では、方向変換部までの基礎コンクリート上に3本のガイドレール103A,103B,103Cが設けられている。すなわち、方向変換部までは、第2のレール間幅としての通常の間隔(W2)で設けられた2本のガイドレール103A,103Cに加え、図示したように、ボックスカルバートを横向き(方向変換後の方向)にした状態で横引き可能な中間レール103Bが一方のガイドレール103Aとの第1のレール間幅としてのレール間隔(W1)となるように設けられている。このように中間レール103Bを通常のガイドレールに加えて設けることにより、図示したように、ボックスカルバートの向きをあらかじめ変えておくことで、新たな方向に向けた状態でボックスカルバート2を搬入移送して対応することができる。
【0017】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、トンネル内に搬入されたボックスカルバートを方向変換部においても効率よく横引きして据え付け位置まで移動することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による管渠の布設方法の一実施の形態としての方向変換部において適用されるターンテーブルの構成例を示した正面図。
【図2】 ターンテーブルに適用された球状体の実施の態様を示した部分拡大図。
【図3】 図1に示したターンテーブル及びその周辺構成を示した平面図。
【図4】 ターンテーブルの変形例を示した部分断面図。
【図5】 図3に示したターンテーブルによるボックスカルバートの方向変換作業状態を模式的に示した状態説明図。
【図6】 ターンテーブルの変形例による方向変換部におけるボックスカルバートの方向変換作業状態を示した状態説明図。
【図7】 図6に示したターンテーブルの構成を示した部分断面図。
【図8】 ガイドレールのレイアウトによる方向変換部の変形例での方向変換作業状態を示した状態説明図。
【図9】 従来のボックスカルバートの布設方法の一例を示した側面図。
【図10】 図9に示したボックスカルバートの敷設方法における摩擦低減手段の一例を示した部分正面図。
【図11】 方向変換部におけるボックスカルバートの横引き状態を示した模式説明図。
【符号の説明】
1 山留め空間
1A 方向変換部
2 ボックスカルバート
4,14 ベアリングボール
5 ガイドプレート
10 ターンテーブル
13 ベースプレート
16 ガイドレール
101 基礎コンクリート
103,103H、103L 横引き用レール
Claims (2)
- 複数基を連結して管渠を構成する単位管体を山留め空間内に搬入し、該山留め空間内の基礎コンクリート上に敷設された溝状をなすガイドレール上に球状体を分散して配置し、前記単位管体を前記該球状体で支持した状態で、中間位置に設けられた方向変換部を経て管体の連結位置まで移送するようにした管渠の布設方法において、
上面に前記基礎コンクリート上に布設されたレールと連絡するガイドレールが設けられたプレキャストコンクリート製のターンテーブルを、方向変換部に形成された凹所内に設置し、該ターンテーブルを球状体を分散して配置して支持して、回転軸回りの回転抵抗を軽減するとともに、前記単位管体を前記ターンテーブル上のガイドレール上に移動し、前記ターンテーブルを回転させて前記単位管体の方向変換を行い、前記単位管体の布設作業が完了後に、前記ターンテーブル下の前記凹所にグラウト充填して前記ターンテーブルを前記基礎コンクリートと一体化するようにしたことを特徴とする管渠の布設方法。 - 複数基を連結して管渠を構成する単位管体を山留め空間内に搬入し、該山留め空間内の基礎コンクリート上に敷設された溝状をなすガイドレール上に球状体を分散して配置し、前記単位管体を前記該球状体で支持した状態で、中間位置に設けられた方向変換部を経て管体の連結位置まで移送するようにした管渠の布設方法において、
前記単位管体は、あらかじめ前記方向変換部で方向変換された後の方向を向くように、前記方向変換部まで前記基礎コンクリート上に敷設された第1のレール間幅のガイドレール上に分散された球状体上を前記方向変換部まで移送され、前記方向変換部で当初の移送方向を向いたままの状態で、管体の連結位置まで敷設された第2のレール間幅のガイドレール上に切り替えられ、該第2のレール間幅のガイドレール上に分散された球状体上を、前記管体の連結位置まで移送されるようにしたことを特徴とする管渠の布設方法。
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