以上で説明した先行特許文献のように、これまでのゲートと情報との関係は、適正な情報に対してゲートは利用者の通行を許可する与許可の機能を有し、ゲートは適正を判断される判断材料という機能を有する関係であった。すなわち、適正な情報を提示した利用者はゲートから通過を許可され、ゲート通過することができる。また、適正な情報を情報記録媒体に記録してゲートに提示する際には、通過の記録がゲートによってこの情報記録媒体に記録されることもある。また、これらを利用者とゲートとの関係としてみれば、適正な情報を利用者が提示してゲートから許可を受けるという立場の関係でもあった。
つまり、ここで言うところのゲートとはいわゆるパスゲートであり、パスゲートにとっての情報記録媒体は、利用者を通過させるか否かを判定するための判定材料であり、情報記録媒体に書き込まれる記録とは、その判定結果としての通過の記録であり、この記録を単に情報記録媒体に書き込んでいるに過ぎなかった。
そもそも扉部を有するゲートとは、その扉が開いているときだけ人が通行できるものであり、その扉が閉じているときは通行できないものであるため、そのゲートの開放に応じた情報を提供する概念もなく、またその必然性もなかった。
さらに、パスゲートは利用者を認証する媒体などを用いて利用者の通過を検知する検知手段として用いられることもあり、その場合のパスゲートとは適正な情報を持っている利用者に対して、ゲートの通過を許可し、ゲート通過を許可した利用者を利用者の所持した情報記録媒体や利用者端末から特定し、特定された利用者が所持した利用者端末に情報を配信するものであった。
この場合、パスゲートによって収集された利用者や利用者端末に関する情報は、情報提供システムサーバでの処理を経由して利用者端末に送信されるので、情報の上り方向に用いるパスゲートと情報提供システムサーバとの間における通信手段と、情報の下り方向に用いる情報提供システムサーバと利用者端末との間の通信手段の双方を用意しなければならなかった。両方したがって、新たに通信環境(特にパスゲートと情報提供システムサーバとの通信環境)を構築しなければならない場合には、その初期投資(導入費用)が大きな負担になるという問題点があった。
なぜなら、この場合のパスゲートは利用者の通過を把握するための入力装置として機能するので、必然的に利用者の行動範囲を一定範囲にわたって網羅しなければならないためである。つまり、情報提供サービスを成立させるためには、それなりの場所(範囲)にそれなりの数のパスゲートを設置しなければならないという制約が生じ、この制約が情報提供システムの導入可否判断において大きな障害になるという問題があった。
IT(Information Technology)システムは導入すれば便利なことがわかっていたとしても、一から構築する場合の導入費用の膨大さから二の足を踏む(躊躇してしまう)ことがよくある。特に需要量が見込めないような、利用者人口の少ない場所では、投資対効果の観点から重くのしかかる初期投資額がシステム導入の障害となるという問題点もあった。
本発明をなした本質的な意義は、人がゲートを通過できるのはゲートが開いているときだけであることに着目して、ゲートが開いているときだけゲートを通過する人を対象に情報を提供することである。すなわち、通過する人を単にチェックするのではなく、ゲートを通過する人を対象に固有な情報を提供するものである。
本発明は、利用者にとっての手前側(いわゆるこちら側)と向こう側(いわゆるあちら側)を開閉する扉部で隔てて、手前側と向こう側の境界としての役割を果たすゲートを用いて、該扉部の開放時に該ゲートを通過することによって該境界を越える利用者に対し、前記境界を越える利用者に対して前記ゲートから提供する情報を記憶する提供情報データベースと、前記扉部を開放するか、または閉鎖するかを判断する扉部開閉判断手段と、前記扉部開閉判断手段が前記扉部を開放すると判断した場合には、前記扉部の開放または開放予告を通知する開閉通知手段と、前記開閉通知手段から扉部の開放または開放予告を通知する開放通知の取得に応じて、前記提供情報データベースから前記利用者に対して提供する提供情報を取得する提供情報取得手段と、前記提供情報取得手段が取得した提供情報を出力する提供情報出力手段とを有して、利用者の所持した情報記憶媒体または利用者端末に対して情報を提供するようにした。
そして、前記提供情報を受信した情報記憶媒体または利用者端末は、前記提供情報を一旦情報記憶領域に格納する。利用者端末は、前記提供情報を一旦情報記憶領域に格納した後に、情報送信手段によって外部システムに送信するようにしてもよく、さらに、前記外部システムで行われた処理結果情報を受信して前記情報記憶領域に記憶するようにしてもよい。
本発明によれば、ゲートを増設した場合にも当該ゲートと上位システムとは直接通信を行うことがなく、上位システムすなわち外部システムとの通信は利用者端末が行うため、ゲートの増設が上位システムの負荷になることはない。
また、前記扉部は、移動体の内側と外側とを隔てる出入り口としての役割を果たすゲートの扉部であって、該移動体が停止中における該扉部の開放時に前記ゲートを通過することによって該移動体に出入りする前記利用者の所持する前記利用者端末または前記情報記憶媒体を介して外部システムに処理させるための情報を提供するようにしてもよい。
なお、本発明において、移動体としてその種類および移動手段は特に問わない。その具体例としては、電車、バス、乗用車、タクシーなどの移動体や、飛行機や船舶、多階構造を有する建築物内の階間を移動するエレベータなどが挙げられる。
開閉する扉部を有するゲートとは、こちら側とあちら側を開閉する扉部で隔てて、こちら側とあちら側の境界としての役割を果たすものである。人は目に見える扉部をゲートと称することもあるが、本発明では、開閉する扉部と扉部の周囲に存在し、扉部を開閉させる機構を含めてその機能をゲートと称することとする。なお、「利用者にとっての手前側(こちら側)と向こう側(あちら側)を開閉する扉部で隔てて」という表現は、「第1の領域と第2の領域を開閉する扉部で隔てて」という表現と特許的には同意である。
ゲートが隔てるこちら側とあちら側の具体例としては、ゲートが部屋の出入り口であれば部屋の内と外(室内と室外)になり、ゲートが建物の出入り口であれば建物の内と外(室内と屋外)になる。また、ゲートが車両の出入り口であれば車両の内と外(車内と車外)になる。これらのどちらがこちら側で、どちらがあちら側であってもよく、利用者の主観に任せて、利用者がいる方を便宜上こちら側とすればよい。よって、人(本発明のゲートを用いた情報提供システムの利用者)が開放された扉(ゲート)を通過するとは、人にとって「扉(ゲート)によって隔たれたこちら側とあちら側の境界を越えること」を意味する。
このゲートを用いた情報提供システム(ゲートシステム)は従来の利用者の通過を許可するゲート(パスゲート)とは異なり、情報を吸い上げるのではなく、扉部開放時にゲートを通過する利用者が所持する情報記憶媒体または利用者端末に対して、提供情報データベースに記憶される提供情報を出力するのみである。つまり、人がゲートを通過できるのはゲートが開いているときだけであることに着目して、人の通過の有無に関わらず、ゲートが開いているときだけゲートを通過する人を対象に情報を提供している。
ゲートシステムから提供され、情報記憶媒体に記憶された提供情報は、情報記憶媒体の記憶領域を介して(情報記憶媒体を持ち歩く利用者自身をキャリアとすることによって)他のシステム(外部システム)に受け渡される。一方、同じくゲートシステムから提供された提供情報を受信した利用者端末は、当該提供情報を他のシステム(外部システム)に送信する。なお、送信先の他のシステム(外部システム)で処理された処理結果情報は、外部システムと利用者端末との通信機能により利用者端末に受信される。
前述のように、ゲートシステムが提供した提供情報の送信に利用者端末の通信機能を用いることで、ゲートシステムから他のシステムに情報を送信する通信手段が不要となる。同様に、ゲートシステムが提供した提供情報の受け渡しに情報記憶媒体の記憶領域を用いることで(情報記憶媒体を持ち歩く利用者自身がキャリアとなるので)、ゲートシステムから他のシステムに情報を送信する通信手段が不要となる。これは新たな通信環境そのものが不要になることを意味し、導入費用の削減に大きく貢献する。
なお、ここで言うところの提供情報とは、ゲートシステムから提供され、情報記憶媒体または利用者端末の記憶領域に書き込まれる情報のことであり、この提供情報だけで利用者の所望する目的を満たす場合も、この提供情報だけでは利用者の所望する目的を満たさない場合もある。提供情報だけでは、利用者の所望する目的を満たさない場合には、情報記憶媒体の記憶領域を介して他のシステム(外部システム)にこの提供情報を受け渡すことにより、またはこの提供情報を受け渡した他のシステムにおける処理結果を取得することにより、利用者の所望する情報を得るようにしてもよい。
利用者が、他のシステム(外部システム)における処理結果情報を得る方法については様々なものがあり、他のシステム(外部システム)から出力される情報を利用者端末の表示装置を介して利用者自身が閲覧したり、他のシステムから出力される情報や他のシステムによって処理された何らかの処理の結果を情報記憶媒体に記憶したりする。利用者端末で一旦受信した、他のシステムにおける処理結果は、利用者端末の有するHMI(Human Machine Interface)出力部、たとえば音声、文字、画像、動画等によって利用者に対して出力されてもよい。さらに、他のシステムにおける処理結果が、直接利用者に戻ってこない場合もある。つまり、ゲートシステムから出力される提供情報が、利用者の有する情報記憶媒体または利用者端末を介して何らかの処理に活用されれば、その活用内容および活用する対象が何であっても構わない。
また、ここで言うところの情報記憶媒体とは、ゲートシステムから提供された提供情報を、記憶領域に記憶する物理的媒体のことであり、情報記憶媒体を持ち歩く利用者にとっては、提供情報を他のシステムに受け渡す媒体の役割を担うものである。情報記憶媒体として、このような役割を担うものであれば、その種類は問わないが、その具体例としては例えば、RFID(Radio Frequency Identification)タグなどと呼ばれる、情報の読み書きが可能なタグや、同様に情報の読み書きが可能なIC(Integrated Circuit)カードなどがある。
RFIDタグとは、半導体とアンテナとが内部に埋め込まれ、外部と無線で通信を行い個々のID(シリアル番号)を識別する電子荷札のことをいう。前記アンテナから受信する電波を起電力として利用するために内部に電池が不要で、耐環境性も高く低コストであるために今後の普及が注目されている。
また、これらの利用者端末は、前記通信機能を用いて出力要求を外部システムから受け付けると、その出力要求された前記提供情報をその情報記憶領域から読み出して外部システムに出力するようになっている。そして、外部処理された処理結果情報は、利用者端末で受信することが可能となっている。
さらに、ここで言うところの利用者端末とは、ゲートシステムから提供された提供情報を、自ら有する記憶領域に記憶し、同様に自ら有する通信機能を用い、ネットワークを介して他のシステムに受け渡す役割を担い、ゲートシステムから提供された提供情報を受け渡された先である他のシステム(外部システム)によって処理された結果をネットワークを介して再び受信する役割を担うものである。利用者端末は、このような役割を担うものであれば、その種類および通信方法は特に問わない。
また、前記扉部開閉判断手段が前記扉部を閉鎖すると判断した場合に閉鎖される前記扉部が閉鎖されたことを確認する扉部閉鎖確認手段をさらに有しており、前記提供情報出力手段は、前記閉鎖確認手段が前記扉部の閉鎖を確認すると、出力している提供情報の出力を停止するようにしてもよい。
本発明におけるゲートシステムでは、人の通過の有無に関わらず、ゲートが開いている
ときだけゲートを通過する人を対象に情報を提供することを目的にしているので、ゲートが閉鎖して利用者が通過できない状態では、情報を提供する意味がないからである。扉部の閉鎖を確認してから、提供情報の出力を停止すれば、ゲートが開放されている間は十分、提供情報が出力されていることになる。
また、前記提供情報データベースに記憶する提供情報の更新は前記提供情報出力手段が出力している提供情報の出力が停止してから実行するようにしてもよい。
提供情報の出力が停止してから提供情報の更新をすることで、ゲート開放中に提供される情報が変更されることがなくなり、提供情報の矛盾を防ぐことができる。
また、多階構造を有する建築物内の階間を移動する移動体であるエレベータそのものを本発明におけるゲートに用いてもよい。つまり、エレベータが停止した停止階に関する情報を(停止階に停止して)エレベータゲートを開放した間だけ出力する。なお、近年、多階構造を有する建築物の構造上の問題により、停止階に応じて開放されるゲートが異なるエレベータが存在するが、複数存在する扉部のうち開放された方の扉部が本発明におけるゲートであり、開放された扉部を通過する利用者に対して情報が出力されるように情報出力部を備えるとよい。この論理は、以下に示すゲートにおいても同様である。
エレベータを本発明におけるゲートとして用いると、各階毎に設置しなければならないゲートを、エレベータに集約することができる。さらに、利用者がどの階で降りようとも降りた階以外の(降りた時点の利用者にとって)余分な情報を、利用者は受け取らずに済むという効果がある。
また、移動体であるエレベータの内外を開閉する扉部で隔てて、上下の階の境界としての役割を果たすエレベータをゲートとして用いて、該扉部の開放時に該エレベータを乗り降りすることによって該境界を越える利用者に対し、前記境界を越える利用者に対して前記ゲートから提供する情報を記憶する提供情報データベースと、前記扉部を開放するか、または閉鎖するかを判断する扉部開閉判断手段と、前記扉部開閉判断手段が前記扉部を閉鎖すると判断した場合には、その判断結果に基づいて閉鎖される前記扉部が閉鎖されたことを確認する扉部閉鎖確認手段と、前記閉鎖確認手段が前記扉部の閉鎖を確認すると、前記提供情報データベースから前記利用者に対して提供する提供情報を次に停止して前記扉部を開放する階である停止階に関して取得する提供情報取得手段と、一時的に情報を記憶するバッファメモリに、前記提供情報取得手段が取得した提供情報を書き込む情報書き込み手段と、前記扉部開閉判断手段が前記扉部を開放すると判断した場合には、前記扉部の開放または開放予告を通知する開閉通知手段と、前記開閉通知手段から扉部の開放または開放予告を通知する開放通知の取得に応じて、前記バッファメモリに書き込まれた提供情報を該バッファメモリから読み出して出力する提供情報出力手段とを有して、利用者の所持した情報記憶媒体または利用者端末に対して情報を提供するようにしてもよい。
そしてさらに、前記提供情報を受信した利用者端末は、前記提供情報を一旦情報記憶手段に格納した後に、情報送信手段によって外部システムに送信するようにし、さらに、前記外部システムで行われた処理結果情報を受信した利用者端末は、前記情報記憶手段に当該処理結果情報を記録するようにしたものである。
エレベータが扉部を閉じて移動を開始するときには、次の停止階がわかっている。なぜなら、次の停止階が利用者によって入力されない場合にはその階に停止したままであり、その階とは別の停止階が入力された場合に移動を開始するからである。扉部が閉鎖されると(遅くともエレベータが移動を開始すると)、ゲートシステムから出力される提供情報は一旦停止し、このように次の停止階があらかじめわかっている場合には、ゲートが閉ま
ってから次に開くまでの間に、次の停止階で出力する提供情報について、例えばバッファメモリなどを用いて、その内容の書き換え処理をしておくとシステムとして効率がよい。
また、エレベータに本発明におけるゲートを用いた場合にも同様に、前記提供情報出力手段は、前記閉鎖確認手段が前記扉部の閉鎖を確認すると、出力している提供情報の出力を停止するようにしてもよい。その理由についてはすでに述べた。
また、移動体の車内と車外を開閉する扉部で隔てて、車内外の出入り口としての役割を果たすゲートを用いて、該扉部の開放時に該ゲートを通過することによって該車内に出入りする利用者に対し、前記車内に出入りする利用者に対して前記ゲートから提供する情報を記憶する提供情報データベースと、前記扉部を開放するか、または閉鎖するかを判断する扉部開閉判断手段と、前記扉部開閉判断手段が前記扉部を開放すると判断した場合には、前記扉部の開放または開放予告を通知する開閉通知手段と、前記開閉通知手段から扉部の開放または開放予告を通知する開放通知の取得に応じて、前記提供情報データベースから前記利用者に対して提供する提供情報を取得する提供情報取得手段と、前記提供情報取得手段が取得した提供情報を出力する提供情報出力手段とを有して、利用者の所持した情報記憶媒体または利用者端末に対して情報を提供し、前記提供情報を受信した利用者端末は、前記提供情報を一旦情報記憶手段に格納した後に、情報送信手段によって外部システムに送信するようにし、さらに、利用者端末は前記外部システムで行われた結果情報を受信して前記情報記憶手段に記録するようにしてもよい。
また、以上に示すゲートシステムと同様に、前記扉部開閉判断手段が前記扉部を閉鎖すると判断した場合に閉鎖される前記扉部が閉鎖されたことを確認する扉部閉鎖確認手段をさらに有し、前記提供情報出力手段は、前記閉鎖確認手段が前記扉部の閉鎖を確認すると、出力している提供情報の出力を停止するようにしてもよい。その理由についてはすでに述べた。
また、以上に示すゲートシステムと同様に、前記提供情報データベースに記憶する提供情報の更新は前記提供情報出力手段が出力している提供情報の出力が停止してから実行するようにしてもよい。その理由についてはすでに述べた。
本発明におけるゲートシステムを移動車両などの移動体に設置すると、例えば、移動車両が停止する停車駅、停留所、停車場所に停車して扉部(ゲート)が開放されるたびに、それぞれの停留所におけるゲートとして機能する(役割を担う)。この場合、停留所に停車してゲートが開放されている間は、利用者が移動車両に乗り降りすることができ、移動車両に乗り降りするための乗車口を通過する利用者の所持した情報記憶媒体または利用者端末に、ゲートシステムから情報が提供され、前記提供情報を受信した利用者端末は、前記提供情報を一旦情報記憶手段に格納した後に、情報送信手段によって外部システムに送信するようにし、さらに、前記外部システムで行われた処理結果情報を受信した利用者端末は、前記情報記憶手段に記録するようにした。
移動車両が出入り口として有する扉部(ゲート)は、少なくとも停止したときに開放され、移動中に開放されることは乗車している人の安全面から必然的にあり得ない。この必然性に着目して、移動車両が停車して扉部が開放されたときだけ、その扉部が開放された場所である停車場所に関する情報を利用者の有する情報記憶媒体または利用者端末に提供するようにした。
ITシステムは導入すれば便利なことは認識していたとしても、この種のシステムを初期段階から構築する場合の導入費用の膨大さから躊躇してしまうことがよくある。特に需要量が見込めないような、利用者人口の少ない場所では、この種の大規模なシステム導入
に際して膨大な導入費用は大きな障害となっている。本発明のゲートシステムを移動車両に設置して、移動車両が停車する停車場所において、扉部の開閉にともなって個々の利用者端末や記憶媒体に対して情報提供を行うことによって、それぞれの停車場所においてそれぞれのゲートが存在することとなり、物理的なゲートの数を減らすことができ、システム導入の導入費用を大幅に減らすことができる。
また、前記提供情報データベースに記憶する提供情報は、前記移動車両が停車して前記扉部を開放する停車場所に関連する情報であるようにしてもよい。
また、前記停車場所に関連する情報には、少なくとも停車場所そのものを示す場所情報が含まれるようにしてもよい。
場所情報の活用範囲は広く、利用者に位置情報等を入力させなくとも、利用者端末を含む本発明のシステムでは利用者がゲートを通過することにより正確な場所を把握して、取得した場所情報に基づく処理やさらなる情報提供を実行することができる。ここで、利用者に場所情報を入力させた場合、入力間違いや、利用者の勘違いによって違った場所を入力する場合(例えば、実際には南口にいるのに、北口と入力したり、類似する場所の形状が隣接する駅のプラットホームなどでプラットホーム番号を間違えたりなど)があり、利用者の現状に合わない処理や情報提供がなされてしまうことがあるが、本発明によれば、誤った場所に基づく誤った情報提供や処理結果情報の提供防止にも役立つ。
さらに、移動車両の車内と車外を開閉する扉部で隔てて、車内外の出入り口としての役割を果たすゲートを用いて、該扉部の開放時に該ゲートを通過することによって該車内に出入りする利用者に対し、前記車内に出入りする利用者に対して前記ゲートから提供する情報を記憶する提供情報データベースと、前記扉部を開放するか、または閉鎖するかを判断する扉部開閉判断手段と、前記扉部開閉判断手段が前記扉部を閉鎖すると判断した場合には、その判断結果に基づいて閉鎖される前記扉部が閉鎖されたことを確認する扉部閉鎖確認手段と、前記閉鎖確認手段が前記扉部の閉鎖を確認すると、前記提供情報データベースから前記利用者に対して提供する提供情報を次に停車して前記扉部を開放する場所である停車場所に関して取得する提供情報取得手段と、一時的に情報を記憶するバッファメモリに、前記提供情報取得手段が取得した提供情報を書き込む情報書き込み手段と、前記扉部開閉判断手段が前記扉部を開放すると判断した場合には、前記扉部の開放または開放予告を通知する開閉通知手段と、前記開閉通知手段から扉部の開放または開放予告を通知する開放通知の取得に応じて、前記バッファメモリに書き込まれた提供情報を該バッファメモリから読み出して出力する提供情報出力手段とを有して、利用者の所持した情報記憶媒体または利用者端末に対して情報を提供するようにしてもよい。
そしてさらに、前記提供情報を受信した利用者端末は、前記提供情報を一旦情報記憶手段に格納した後に、情報送信手段によって外部システムに送信するようにし、さらに、前記外部システムで行われた処理結果情報を受信した利用者端末は、前記情報記憶手段に当該処理結果情報を記録するようにしてもよい。
また、以上に示すゲートシステムと同様に、前記提供情報出力手段は、前記閉鎖確認手段が前記扉部の閉鎖を確認すると、出力している提供情報の出力を停止するようにしてもよい。
扉部が閉鎖されると(遅くとも移動車両が移動を開始すると)、ゲートシステムから出力される提供情報は一旦停止し、このように運行情報などによって次の停車場所があらかじめわかっている場合には、ゲートが閉まってから次に開くまでの間に、次の停車場所で出力する提供情報について、例えばバッファメモリなどを用いて、その内容の書き換え処
理をしておくとシステムとして効率がよい。
また、以上に示すゲートシステムと同様に、前記停車場所に関連する情報には、少なくとも停車場所を示す情報が含まれるようにしてもよい。
また、前記移動車両が停車して前記扉部を開放する停車場所に関して地理上の絶対座標を取得する地理上絶対座標取得手段と、前記地理上絶対座標取得手段が取得した前記停車場所に関して地理上の絶対座標を地図情報に照らし合わせて、地図上の場所を判定する地図上場所判定手段とをさらに有し、前記地図上場所判定手段が判定した地図上の場所を前記停車場所として前記提供情報データベースに記憶するようにしてもよい。
そしてさらに、前記提供情報(停車場所の情報)を受信した利用者端末は、前記提供情報を一旦情報記憶手段に格納した後に、情報送信手段によって外部システムに送信するようにし、さらに、前記外部システムで行われた処理結果情報を受信した利用者端末は、前記情報記憶手段に当該処理結果情報を記録するようにしてもよい。
ここで言うところの元情報とは、GPSやPHSなどの位置情報把握システムから受信する電波信号が相当し、同様に地理上の絶対座標とは、地球上での緯度経度であったり、エリア分割されたエリア情報であったりする。また、このように移動車両が停車した場所をその場所で取得するこの方法によれば、停車場所をあらかじめ設定せずに利用者が任意の場所で自由に乗降できるシステムを構成することも容易にできる。
また、前記移動車両の行く先々にあらかじめ設置され、設置された場所に関する情報を記憶して出力する場所情報タグから、該設置された場所に関する情報を読み取る情報読み取り手段をさらに有し、前記情報読み取り手段が前記場所情報タグから読み取った前記設置された場所に関する情報を前記停車場所として前記提供情報データベースに記憶するようにしてもよい。
また、前記移動車両はあらかじめ定める運行情報に基づいて運行される移動車両であって、前記運行情報を記憶する運行情報データベースを有し、前記提供情報取得手段は、前記停車場所を前記運行情報データベースに記憶する前記運行情報から取得するようにしてもよい。
ゲートシステムは、停止場所そのものの取得方法として、以上に示す3つの方法の1つを有していても、複数有して併用してもよい。また、ゲートシステムは、これらの方法以外に他の方法を用いても、以上に示す方法を含めて他の方法を併用してもよい。つまり、移動車両が停車する停車場所そのものの情報をゲートシステムが取得できれば、その種類は問わない。
また、ゲートシステムをあらかじめ設置する移動車両であって、移動中の車両本体を停止させる停止手段と、前記停止手段によって停止した車両が確実に停車したかを前記移動車両の駆動輪の停止によって検出する車両停止検出手段と、前記車両停止検出手段が検出した車両停止を示す信号を、前記情報提供システムにおける前記扉部開閉判断手段に出力し、前記扉部とともに前記移動車両の外壁をなす側面または上下面のうち、いずれかをラッピングフィルムで覆った外観を有する移動車両であってもよい。
ゲートシステムを搭載しているか否かを外観からはっきり識別できるように、搭載している移動車両の外観を情報提供システムに対応する移動車両を識別するための外観塗装またはラッピングフィルムで覆うと、対応路線の限定や対応車両の間引きをしても、どの車両に乗ればよいのかを利用者に伝えることができる。なお、ゲートシステム搭載の移動車
両がその外観ではっきり識別できれば、特に方法は問わない。このように移動車両の外観ではっきり識別させることによって対応する路線を限定できたり、対応する移動車両を間引きできたりするということは、導入費用削減に大きな影響を与え、収益の確保にともなって徐々に対応車両を増やしていくことができる。よって、なるべく少ない導入予算で、事業の成長に見合った投資、つまりはサービス事業範囲の規模拡大が可能となる。
また、前記提供情報取得手段は、前記提供情報データベースから前記利用者に対して提供する提供情報がなかった場合には何も取得せず、前記提供情報出力手段は、前記提供情報取得手段が何も提供情報を取得しなかった場合には、何も出力しないようにしてもよい。
以上記載の本発明によれば、人がゲートを通過できるのはゲートが開いているときだけであることに着目して、人の通過の有無に関わらず、ゲートが開いているときだけゲートを通過する人を対象とした情報を、利用者の所持する情報記憶媒体を介して効率よく提供することができる。
以下に、本発明に係る情報提供システムの具体的実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
なお、本実施形態では移動体の例として車両の場合で説明するが、本発明はこのように車両に限定されるものではなく、電車、バス、タクシー、乗用車、飛行機または船舶等を含む概念である。
図1は、従来のゲートと情報の関係を説明するブロック図である。
本発明のコンセプトをより一層明確にするために図1〜6を用いて、従来のゲートと情報の関係をここで説明しておく。同図において、何らかの情報に関与する従来の一般的なゲートとは、パス(通行券)によって通行を許可する、いわゆるパスゲートのことである。パスゲート1は利用者2の通過を情報記録媒体3によって許可し、許可した結果を通過記録として情報記録媒体2に書き込んでいる。具体的には、パスゲート1は駅の自動改札であり、情報記録媒体3は乗車券の替わりに用いるプリペイドカードである。
図2は、図1に示すパスゲートの仕組みを、より具体的に説明する機能ブロック図である。
同図において、パスゲート1には大別して情報記録媒体3の適正/不適正を判定する機能と、適正/不適正の判定結果によってゲート開放可否を指示する機能と、ゲートを開放した場合にはその通過記録を情報記録媒体3に書き込む機能と、情報記録媒体3を出力することによって利用者1に返却する機能がある。情報記録媒体3がプリペイドカードのように料金情報を含む場合には、記録媒体の適正判定機能に加えて、情報記録媒体3に記録される残高の判定が情報記録媒体3の適正/不適正を判定する機能に含まれる。また、ゲート開放可否を指示する機能は、適正/不適正を判定する機能で適正と判定された情報記録媒体3(を所持した利用者2)に対してゲートを開放し、不適正と判定された情報記録媒体3(を所持した利用者2)に対してはゲートを開放せず(閉鎖して、閉鎖したままで)、情報記録媒体3を出力することによって利用者1に返却する。
つまり、パスゲート1にとっての情報記録媒体3は、利用者2を通過させるか否かを判定するための判定材料であり、情報記録媒体に書き込まれる記録とは、その判定結果として通過の記録を情報記録媒体3に書き込んでいるに過ぎなかった。
図3は、図2に示すパスゲートの機能ブロック図に対応するフローチャートである。
同図において、パスゲート1は、情報記録媒体3を受け付けると(ST301)、情報記録媒体3の種別および真贋によって正規のものかどうかを判定し(ST302)、情報記録媒体3が正規のものでなければゲートの閉鎖を指示(利用者2のゲート通過を不許可)し(ST303)、情報記録媒体3の出力(利用者2への返却)を指示して(ST307)、処理を終了する。また、情報記録媒体3が乗車券の替わりに用いられるプリペイドカードのようにパスゲート1の通過に料金が関与する場合には、ST302で情報記録媒体3が正規のものであると判定した後に、情報記録媒体3の残高があるか否かを判定し(ST304)、残高がなければST303へ、残高があればゲートの開放を指示(利用者2のゲート通過を与許可)し(ST305)、情報記録媒体3に通過記録を書き込み(ST306)、通過記録を書き込んだ情報記録媒体3を出力(利用者2への返却)を指示して(ST307)、処理を終了する。
図4は、図1とは別の場合の、従来のゲートと情報の関係を説明するブロック図である。
同図において、何らかの情報に関与する従来の一般的なゲートには図1に示す具体例以外にも、特開1996−018523号公報などに示されるようにパスゲート1を利用者端末5への情報提供のきっかけに用いるものがある。パスゲート1は利用者2の通過を情報記録媒体3によって許可すると同時に、利用者端末5のアドレスを情報記録媒体3から読み取って、情報提供システムサーバ4に利用者2の通過検知に関する情報と利用者端末5のアドレスを送信する。パスゲート1から利用者2の通過検知に関する情報と利用者端末5のアドレスを受信した情報提供システムサーバ4は、受信した情報に基づいてデータベースを検索し、取得した提供情報を利用者端末5に送信する。
パスゲート1によって吸い上げられた利用者2や利用者端末5に関する情報は、情報提供システムサーバ4での処理を経由して利用者端末5に届くので、情報の上り方向に用いるパスゲート1と情報提供システムサーバ4との間における通信手段と、情報の下り方向に用いる情報提供システムサーバ4と利用者端末5との間の通信手段の両方を用意しなければならなかった。元々、その両方が揃っている通信環境では特に問題にはならないが、新たに通信環境(特にパスゲート1との通信環境)を構築しなければならない場合には、その初期投資(導入費用)も多大なものとなる。なぜなら、パスゲート1は利用者2の通過を把握するための入力装置の役割を担うので、必然的に利用者2の行動範囲を一定範囲にわたって網羅しなければならないためである。つまり、情報提供サービスを成り立たせるためには、それなりの場所(範囲)にそれなりの数のパスゲート1を設置しなければならないことになる。
図5は、図4に示すパスゲートの仕組みを、より具体的に説明する機能ブロック図である。
同図において、図1に示すパスゲート1が有する情報記録媒体3の適正/不適正を判定する機能と、適正/不適正の判定結果によってゲート開放可否を指示する機能と、ゲートを開放した場合にはその通過記録を情報記録媒体3に書き込む機能と、情報記録媒体3を出力することによって利用者1に返却する機能の他に、利用者端末5のアドレスを読み取る機能がある。
つまり、パスゲート1にとっての情報記録媒体3は、情報提供システムサーバ4が提供情報を利用者2に送信する送信タイミングと、送信先となる利用者端末5のアドレスの取
得をするためのものであった。
図6は、図5に示すパスゲートの機能ブロック図に対応するフローチャートである。
同図において、パスゲート1は、情報記録媒体3を受け付けると(ST601)、情報記録媒体3の種別および真贋によって正規のものかどうかを判定し(ST602)、情報記録媒体3が正規のものでなければゲートの閉鎖を指示(利用者2のゲート通過を不許可)し(ST603)、情報記録媒体3の出力(利用者2への返却)を指示して(ST609)、処理を終了する。また、情報記録媒体3が乗車券の替わりに用いられるプリペイドカードのようにパスゲート1の通過に料金が関与する場合には、ST602で情報記録媒体3が正規のものであると判定した後に、情報記録媒体3の残高があるか否かを判定し(ST604)、残高がなければST603へ、残高があれば情報記録媒体3から利用者端末5のアドレスを読み取り(ST605)、読み取った利用者端末5のアドレスを情報提供システムサーバ4に送信し(ST606)、ゲートの開放を指示(利用者2のゲート通過を与許可)し(ST607)、情報記録媒体3に通過記録を書き込み(ST608)、通過記録を書き込んだ情報記録媒体3を出力(利用者2への返却)を指示して(ST609)、処理を終了する。
図7は、本発明のコンセプトにおけるゲートの定義を説明する図である。
同図において、開閉する扉部6を有するゲートとは、こちら側とあちら側を開閉する扉部で隔てて、こちら側とあちら側の境界としての役割を果たすものである。人は目に見える扉部6をゲートと称することもあるが、本発明では、開閉する扉部6と扉部の周囲に存在し、扉部6を開閉させる機構を含めてその機能をゲートと称することとする。
ゲートが隔てるこちら側とあちら側の具体例としては、ゲートが部屋の出入り口であれば部屋の内と外(室内と室外)になり、ゲートが建物の出入り口であれば建物の内と外(室内と屋外)になる。また、ゲートが車両の出入り口であれば車両の内と外(車内と車外)になる。これらのどちらがこちら側で、どちらがあちら側であってもよく、利用者2の主観に任せて、利用者2がいる方を便宜上こちら側とすればよい。
よって、人(本発明のゲートシステムの利用者2)が開放された扉(ゲート)を通過するとは、人にとって「扉(ゲート)によって隔たれたこちら側とあちら側の境界を越えること」を意味する。
図8は、ゲートシステムを含む情報提供システム全体図を用いて、本発明の実施形態における第1のコンセプト(第1実施形態)を説明する図である。
同図において、ゲートシステム7は従来のゲート(パスゲート1)とは異なり、情報を吸い上げるのではなく、提供情報DB8に記憶される提供情報を情報記憶媒体9または利用者端末10に対して出力するのみである。つまり、人がゲートを通過できるのはゲートが開いているときだけであることに着目して、人の通過の有無に関わらず、ゲートが開いているときだけゲートを通過する人を対象に情報を提供している。
ゲートシステム7から提供され、情報記憶媒体9に記憶された提供情報は、情報記憶媒体9の記憶領域を介して(情報記憶媒体9を持ち歩く利用者2をキャリアとすることによって)他のシステム11−1に受け渡される。ここで言うところのキャリアとは、利用者2をゲートシステム7から提供される提供情報の運び手にする、という意味である。また、ゲートシステム7から提供され、利用者端末10に送信または記憶された提供情報は、利用者端末10が有する通信機能を用いて(ネットワーク12を介し)他のシステム11
−2に送信される。なお、場合によっては送信先の他のシステム11−2で処理がなされ、その処理結果を利用者端末5は再び受信する。
ゲートシステム7が提供した提供情報の送信に利用者端末10の通信機能を用いることで、ゲートシステム7から他のシステム11−2に情報を送信する通信手段が不要となる。
なお、ここで言うところの提供情報とは、ゲートシステム7から提供され、情報記憶媒体9または利用者端末10の記憶領域に書き込まれる情報のことであり、この提供情報だけで利用者2の所望する目的を満たす場合も、この提供情報だけでは利用者2の所望する目的を満たさない場合もある。提供情報だけでは、利用者2の所望する目的を満たさない場合には、他のシステム11にこの提供情報を受け渡すことにより、またはこの提供情報を受け渡した他のシステム11における処理結果を取得することにより、利用者2の所望する目的を達成させるとよい。利用者2が、他のシステム11における処理結果を得る方法には様々なものがあり、他のシステム11から出力される情報を利用者2自身が見たり、他のシステム11から出力される情報や他のシステム11によって処理された何らかの処理の結果を情報記憶媒体9に記憶したり、利用者端末10で受け取ったりするとよい。利用者端末10で受け取った他のシステム11における処理結果は、利用者端末10の有するHMI出力部を用いて利用者2に出力されてもよい。さらに、他のシステム11によって何らかの処理が、直接利用者2に戻ってこない場合もある。つまり、ゲートシステム7から出力される提供情報が、利用者2の有する情報記憶媒体9または利用者端末10を介して何らかの処理に活用されれば、その活用内容および活用する対象が何であっても構わない。
また、ここで言うところの情報記憶媒体9とは、ゲートシステム7から提供された提供情報を、自ら有する記憶領域に記憶する媒体のことであり、情報記憶媒体9を持ち歩く利用者2にとっては、提供情報を他のシステム11−1に受け渡す媒体の役割を担うものである。情報記憶媒体9として、このような役割を担うものであれば、その種類は問わないが、その具体例としては例えば、RFタグなどと呼ばれる、情報の読み書きが可能なタグや、同様に情報の読み書きが可能なICカードなどである。
さらに、ここで言うところの利用者端末10とは、ゲートシステム7から提供された提供情報を、自ら有する記憶領域に記憶し、同様に自ら有する通信機能を用い、ネットワーク12を介して他のシステム11−2に受け渡す役割を担い、場合によっては、ゲートシステム7から提供された提供情報を受け渡された先である他のシステム11−2によって処理された結果をネットワーク12を介して再び受信する役割を担うものである。利用者端末10は、このような役割を担うものであれば、その種類および通信方法は特に問わない。
図9は、本発明の実施形態におけるゲートシステムのハードブロック図である。
同図において、扉開閉指示(扉制御)部13とは、あらかじめ定める条件や判断ロジックに基づいて扉部6の開閉指示を与える部位である。基づく条件や判断ロジックには、ゲートの存在目的に関して扉部6の開閉判断処理や利用者2に対する安全確認などである。ゲートの存在目的とはそのゲートの存在意義となる利用目的のことであり、その存在目的に関する扉部6の開閉判断処理とは、例えばゲートが部屋や建物の出入り口であれば、いわゆる自動ドアと呼ばれるゲートに相当するので、振動や風などの外乱に影響されずに適正に開閉スイッチが押下されたかを判断する判断処理などが該当する。また、利用者2に対する安全確認とは、例えば扉部6の開放時における扉部6と扉部6が収納される収納部との隙間に人体や衣服が異物として挟み込まれていないかの確認処理であったり、扉部6
の閉鎖時に扉部6自体に利用者2が挟み込まなかったかの確認処理であったりし、万一、挟み込みを検出した場合には、扉部6の停止や戻り動作を実行させる。
演算部14とは、プログラムを実行することによって各機能を駆動、処理するための演算機能を有する部位であり、一般にCPU(中央演算装置)で構成される。メモリ部15とは、演算部14が実行するプログラムの実行エリアの部位である。情報出力部16とは、情報記憶媒体9や利用者端末10に対して提供情報を出力する部位である。通信部17とは、ネットワーク6を介して外部システムとの通信を制御する部位である。DB(データベース)管理部18とは、様々なデータ構造とデータ実体を管理する機能を有する部位である。DB管理部18に管理される処理プログラム19とは、ゲートシステム7の利用目的を達成するために必要なプログラムのことであり、OS(オペレーティングシステム)もここに含まれる。同様に提供情報DB8とは、情報出力部16からゲートシステム7が情報記憶媒体9や利用者端末10に対して提供する情報を記憶するデータベースのことである。同様に運行情報DB20とは、後述するようにゲートが移動車両に設置されたゲートであり、その移動車両が運行情報にしたがってって移動している場合に、その移動車両に関する運行情報を記憶するデータベースである。
図10は、本発明の実施形態における利用者端末のハードブロック図である。
同図において、HMI入出力部21とは、利用者端末10が利用者2と種々のやりとりをするための入出力機能を有する部位である。入力装置としては、例えばテンキーやカナキー、タッチスイッチ、音声入力などが該当し、利用者2の入力が利用者端末10に対して情報を伝達するものなら、その種類は問わない。また出力装置としては、例えばディスプレイ、音声出力装置などが該当し、利用者2に対して利用者端末10から情報を伝達できるものなら、その種類は問わない。演算部22とは、プログラムを実行することによって各機能を駆動、処理するための演算機能を有する部位であり、一般にCPU(中央演算装置)で構成される。メモリ部23とは、利用者端末10の目的を達成するために必要なプログラムを記憶する記憶エリアと演算部22が実行するプログラムの実行エリアの部位である。送受信部24とは、ゲートシステム7や他のシステム11−1などと通信する場合に情報の送受信をする部位である。
図11は、本発明の実施形態におけるゲートシステムの機能ブロック図である。
同図において、ゲートシステム7は、ゲート(見た目には扉部6と同意。以下同様)の開閉を判断する機能と、ゲートの開閉を判断する機能が判断した判断結果に基づいてゲート開放を指示する機能と、ゲートの開閉を判断する機能が判断した判断結果に基づいてゲートの開放(開放の予告)を通知する機能と、ゲートの開放(開放の予告)を通知する機能が通知する開放(開放予告)に応じて提供情報DB8から利用者2に対して提供する情報を取得する機能と、提供する情報を取得する機能が取得した提供情報を利用者2に提供する情報として出力する機能とを有する。
ゲートシステム7から利用者2に対して提供される情報は、ゲートシステム7の機能において利用者2の通過を判定する機能を有さないために、利用者2の通過の有無に関わらず、提供情報が出力される。利用者2は、ゲートが開放時にゲートシステム7から出力される提供情報を情報記憶媒体9または利用者端末10をゲートシステム7の情報出力部16に近づけたり、接続したり、読み込ませたりする自発的行為(自主判断)を介して、情報記憶媒体9または利用者端末10の有する記憶領域に情報を書き込む。
図12は、本発明の実施形態におけるゲートシステムの情報出力部と情報記憶媒体の具体例を示す図である。
同図において、ゲートシステム7の情報出力部16−1はゲート近傍の壁面に設置されており、図例ではカード形状をした情報記憶媒体9−1を利用者2が手に持って情報出力部16−1の近傍にかざすことによって、情報出力部16−1から出力される提供情報を情報記憶媒体9−1が有する記憶領域に書き込ませている。
図13は、図12とは別の場合の、ゲートシステムの情報出力部と情報記憶媒体の具体例を示す図である。
同図において、ゲートシステム7の情報出力部16−2はゲート近傍のフロアの上面に設置されるマット形状をしており、図例では情報記憶媒体9−2が利用者2の履く靴の下面に設置されており、利用者2が履いた靴でマット形状情報出力部16−2を踏むことによって、情報出力部16−2から出力される提供情報を情報記憶媒体9−2が有する記憶領域に書き込ませている。利用者2の靴に設置された情報記憶媒体9−2の位置は、情報出力部16−2から提供情報を安定して取得できる場所ならば、靴の内部や周囲であってもよい。なお、この情報記憶媒体9−2はあらかじめ靴に固定(靴と一体型)されても、靴から取り外し(靴から分離型)が出来るようにしてもよい。
また、情報出力部16は利用者2がゲートを通過するとき、必然的に踏む場所であればよく、階段や乗車口ステップの上面に設置すると図例のようにステップ形状情報出力部16−3になる。なお、このステップ形状情報出力部16−3は、複数の連続するステップに設置してもよい。
図14は、図11とは別の場合の、ゲートシステムの機能ブロック図である。
同図は、図11に示すゲートシステム7の機能ブロック図と比較して、提供する情報を出力する機能における情報出力方法が異なる。同図において、ゲートシステム7は、提供する情報を取得する機能が取得した提供情報を利用者2に提供する情報として出力する機能を有し、開放する扉部6周辺に対して利用者2の通過の有無に関わらず、ゲートを通過する利用者2の有する情報記憶媒体9または利用者端末10に対して提供情報が出力される。情報記憶媒体9または利用者端末10を持った利用者2がゲートを通過することは、ゲートシステム7から出力される提供情報の提供エリア(提供範囲)を通過することを意味し、ゲートシステム7から提供される提供情報を受信した情報記憶媒体9または利用者端末10は、それぞれ有する記憶領域に受信した提供情報を書き込む。
図15は、図14に示すゲートシステムの情報出力部と情報記憶媒体の具体例を示す図である。
同図において、ゲートシステム7の情報出力部16は、指向性を持った提供エリアに提供情報を出力する指向性情報出力部16−4である。指向性出力部16−4については後に詳しく説明する。利用者端末10を持った利用者2が図示されているが、情報記憶媒体9または利用者端末10を持って開放状態の扉部6を通過する利用者2は、ゲートを覆う提供エリアに情報を降り注がせている指向性情報出力部16−4から、ゲートを通過するだけで提供情報を受け取ることができる。
ゲートが開放された状態で指向性情報出力部16−4を用いて情報を提供するゲートシステム7の仕組みは、提供される情報がまるでシャワーのように降り注ぐことからインフォメーション・シャワー・ゲート(Information Shower Gate。略してISG)と呼ぶこととする。
図16は、図11および図14に示す機能ブロック図に対応するゲートシステムの演算部におけるフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、ゲートは開放すべきか否かを判断して(ST1601)、開放すべきと判断した場合には、ゲート開放(開放予告)を提供情報取得機能部に通知してから(ST1602)、扉部に開放を指示する指示情報を出力して(ST1603)、処理を終了する。
図17は、図11および図14に示す機能ブロック図に対応するゲートシステムおよび情報記憶媒体・利用者端末の演算部におけるフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、ゲート開放(開放予告)を受け取ると(ST1701)、ゲート開放に応じてゲートから提供する情報を提供情報DB8から取得し(ST1702)、提供情報DB8から取得した情報を情報出力部16から出力して(ST1703)、処理を終了する。図19に示す機能ブロック図の処理によって、ゲートシステム7の情報出力部16から出力される提供情報はゲート開放の間、出力される。ゲート開放に応じてゲートシステム7の情報出力部16から提供される提供情報を、図11に示すように利用者2による自発的行為によって取得するか、または図14に示すようにゲートを覆うゲートシステム7からの情報が提供される提供エリアを利用者2が通過すること(利用者2は単にゲートを通過しただけ)によって、利用者2の有する情報記憶媒体9または利用者端末10はゲートシステム7の情報出力部16から出力された提供情報を取得すると、取得した提供情報を記憶領域に記憶して(ST1704)、処理を終了する。
図18は、図11および図14に示す機能ブロック図に対応するゲートシステムおよび情報記憶媒体・利用者端末の演算部におけるフローチャートである。
同図は、提供情報DB8から利用者2に対して提供する提供情報がなければ、提供情報取得手段は何も取得せず、提供情報取得手段が何も提供情報を取得しなければ、提供情報出力手段(情報出力部16)は何も出力しない場合の処理を示す。同図において、ゲートシステム7は、ゲート開放(開放予告)を受け取ると(ST1801)、提供情報DB8に利用者2に対して伝える情報があるか否かを判定して(ST1802)、提供する情報がなければそのまま処理を終了し、提供する情報があれば、ゲート開放に応じてゲートから提供するその情報を提供情報DB8から取得し(ST1803)、提供情報DB8から取得した情報を情報出力部16から出力して(ST1804)、処理を終了する。提供する情報がある場合には、図19に示す機能ブロック図の処理によって、ゲートシステム7の情報出力部16から出力される提供情報はゲート開放の間、出力される。ゲート開放に応じてゲートシステム7の情報出力部16から提供される提供情報を、図11に示すように利用者2による自発的行為によって取得するか、または図14に示すようにゲートを覆うゲートシステム7からの情報が提供される提供エリアを利用者2が通過すること(利用者2は単にゲートを通過しただけ)によって、利用者2の有する情報記憶媒体9または利用者端末10はゲートシステム7の情報出力部16から出力された提供情報を取得すると、取得した提供情報を記憶領域に記憶して(ST1805)、処理を終了する。
図19は、図11および図14に示す機能ブロック図に続く、本発明の実施形態におけるゲートシステムの機能ブロック図である。
同図において、ゲートシステム7は、ゲートの開閉を判断する機能と、ゲートの開閉を判断する機能が判断した判断結果に基づいてゲート閉鎖を指示する機能と、ゲートの開閉を判断する機能が判断した判断結果に基づいてゲート閉鎖を確認する機能と、ゲート閉鎖を確認する機能が確認したゲート閉鎖に応じて提供する情報の情報出力部16からの出力
を停止する機能とを有する。これらの機能により、ゲート開放中はゲートシステム7から提供される提供情報が提供され続けることができる。
なお、提供情報DB8に記憶する提供情報の更新は提供する情報の出力を停止した後が好ましく、ゲートシステム7は、提供する情報の情報出力部16からの出力を停止する機能が情報出力の停止をした後に、提供情報DB8に対して提供する情報を更新する機能をさらに有するとよい。これらの機能により、ゲート開放中に提供される情報が変更されることがなくなり、提供情報の矛盾を防ぐことができる。
図20は、図19に示す機能ブロック図に対応するゲートシステムの演算部におけるフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、ゲート閉鎖予告を受け取ると(ST2001)、ゲートが閉鎖されたか否かを判断し(ST2002)、ゲート閉鎖が確認されると、ゲートから提供する情報の出力を停止して(ST2003)、処理を終了する。
図21は、図19に示す機能ブロック図に対応するゲートシステムの演算部におけるフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、提供情報の更新要求を受け取ると(ST2101)、ゲートから提供する情報は出力停止しているか否かを判定し(ST2102)、出力停止を確認すると(提供情報が出力停止されたことを確認すると)更新要求された情報を提供情報DB8に記憶して(ST2103)、処理を終了する。
図22は、本発明の実施形態における扉部の演算部におけるフローチャートである。
同図は、扉部6に演算部がある場合の扉部6の演算部における処理を示すが、ゲートシステム7の演算部によって処理がなされてもよい。同図において、扉部6は、ゲートシステム7からゲート開放の指示を受け取ると(ST2201)、ゲート開放の指示に基づいて扉を開放し(ST2202)、ゲートシステム7からゲート閉鎖の指示を受け取ると(ST2203)、ゲート閉鎖の指示に基づいて扉を閉鎖して(ST2204)、処理を終了する。
図23は、本発明の実施形態における情報記憶媒体の演算部における機能ブロック図である。
同図において、情報記憶媒体9は、ゲートシステム7の情報出力部16から提供される情報を取得する機能と、提供される情報を取得する機能が取得した情報を記憶領域に記憶する機能と、他のシステム11−1から情報出力の要求を受け付ける機能と、他のシステム11−1から要求された情報を記憶領域から取得する機能と、要求された情報を記憶領域から取得する機能が取得した情報を出力する機能とを有する。ゲートシステム7から提供された情報は、情報記憶媒体9の記憶領域を介して、他のシステム11−1に受け渡される。
図24は、図23に示す機能ブロック図に対応する情報記憶媒体および他のシステムの演算部におけるフローチャートである。
同図において、何らかの処理実行のために他のシステム11−1は、情報記憶媒体9がゲートシステム7から受け取った提供情報を情報記憶媒体9に対して要求する(ST2401)。情報記憶媒体9は、他のシステム11−1から要求された情報を記憶領域から取
得し(ST2402)、取得した情報を要求先である他のシステム11−1に対して出力して(ST2403)、処理を終了する。情報記憶媒体9から、要求した情報を取得した他のシステム11−1では、取得した情報に基づいて処理を実行して(ST2404)、処理を終了する。
図25は、本発明の実施形態における利用者端末の演算部における機能ブロック図である。
同図において、利用者端末10は、ゲートシステム7の情報出力部16から提供される情報を取得する機能と、提供される情報を取得する機能が取得した情報をメモリ部23に記憶する機能と、(利用者2の意思によって操作される)HMI入力部から利用者2の指示を受け付ける機能と、受け付けた指示に基づいて他のシステム11−2に送信する情報をメモリ部23から取得する機能と、取得した情報を他のシステム11−2に送信する機能と、他のシステム11−2によって処理された結果を受信する機能と、受信した情報をメモリ部23に記憶する機能とを有する。
なお、図23と同様に他のシステム11−2からの要求に基づいて利用者端末10は、ゲートシステム7から取得した提供情報を送信してもよい。
図26は、図25に示す機能ブロック図に対応する利用者端末および他のシステムの演算部におけるフローチャートである。
同図において、利用者端末10は、ゲートシステム7から取得した提供情報の送信指示を受け付けると(ST2601)、受け付けた指示に基づいてメモリ部23から情報を取得して、他のシステム11−2に取得した情報を送信する(ST2602)。利用者端末10から情報を受信した他のシステム11−2では、受信した情報に基づく処理を実行し(ST2603)、処理した処理結果に基づく情報を利用者端末10に返信して(ST2604)、処理を終了する。他のシステム11−2から処理結果を受信した利用者端末10は、受信した情報をメモリ部23に記憶し(ST2605)、受信した情報に基づく処理を実行して(ST2606)、処理を終了する。
図56は、本発明の実施形態における利用者端末の機能ブロック図である。
同図は、利用者端末2にゲートシステム7から出力される提供情報を取得するプログラムがなかった場合に、有する通信機能を用いて、他のシステム11−2から対応するプログラムをダウンロードする場合である。つまり、利用者端末10にゲートシステム7が出力する提供情報を取得する機能がなければ、対応するプログラムをダウンロードするとよい。同図において、利用者端末10は、HMI入力部を介して利用者2からダウンロードプログラム取得の指示を受け付ける機能と、指示されたダウンロードプログラムを他のシステム11−2に送信する機能と、他のシステム11−2から送信されたダウンロードプログラムを受信する機能と、受信したダウンロードプログラムをメモリ部23に記憶する機能とを有する。さらに、利用者端末10は、ダウンロードプログラムを読み出して実行する機能と、読み出したダウンロードプログラムの実行によってゲートシステム7の出力部16から出力される提供情報を受信する機能と、受信した提供情報をメモリ部23に記憶する機能とを有する。ダウンロードしたプログラムは提供情報を受信するたびに読み出しても、メモリ部23の実行エリアに常駐させておいてもよい。
図57は、図56に示す機能ブロック図に対応する利用者端末および他のシステムの制御部におけるフローチャートである。
同図において、利用者端末10は、ダウンロードプログラム取得の指示を受け付けると(ST5701)、指示されたダウンロードプログラムの取得要求を他のシステム11−2に送信する(ST5702)。利用者端末10からの要求情報を受信した他のシステム11−2では、受信した取得情報に応じてダウンロードするプログラムを記憶部から取得し(ST5703)、取得したダウンロードプログラムを利用者端末10に返信して(ST5704)、処理を終了する。他のシステム11−2からダウンロードプログラムを受信した利用者端末10は、受信したダウンロードプログラムをメモリ部23に記憶し(ST5705)、受信したダウンロードプログラムに基づく処理を実行して(ST5706)、処理を終了する。
図27は、本発明の実施形態におけるゲートシステムを移動車両に用いた場合のコンセプト(第2実施形態)を説明する図である。
同図において、ゲートシステム7は移動車両(移動体)25に設置されており、図例では、停車場所に停車して扉部6(ゲート)が開放されるたびに、それぞれの停車場所におけるゲートとして機能する(役割を担う)。この場合、停車場所に停車してゲートが開放されている間は、利用者2が移動車両25に乗り降りすることができ、移動車両25に乗り降りするための乗車口を通過する利用者2の所持した情報記憶媒体9または利用者端末10に、ゲートシステム7から情報が提供される。
移動車両25が出入り口として有する扉部6−1(ゲート)は、少なくとも停止したときに開放され、移動中に開放されることは乗車している人の安全面から必然的にあり得ない。この必然性に着目して、移動車両25が停車して扉部6−1が開放されたときだけ、その扉部が開放された場所である停車場所に関する情報を利用者2の有する情報記憶媒体9または利用者端末10に提供するようにした。
ITシステムは導入すれば便利なことがわかっていたとしても、一から構築する場合の導入費用の膨大さから二の足を踏む(躊躇してしまう)ことがよくある。特に需要量が見込めないような、利用者人口の少ない場所では、システム導入の障害となっている。本発明のゲートシステムを移動車両25に設置して、移動車両25が停車する停車場所において、それぞれの停車場所におけるそれぞれゲートとすることは、ゲートの数を減らすことに貢献し、システム導入の導入費用を大幅に減らすことができる。
図53は、本発明の実施形態における移動車両のハードブロック図である。
同図は、移動車両25がバスや乗用車などの燃料を燃焼させて動力を得る車両である場合を示す。電車では、燃料供給が電力であり、駆動輪への連結軸などがないなどの違いがあるだけで、本発明に関する基本的構造には大差ない。同図において、移動車両25の操作者(運転者)が減速指示部を操作し、その操作結果が制御部27を介して減速部(ブレーキ)28に伝えられる。減速部28によって駆動輪(タイヤ)29が停止し、駆動輪29が停止したか否かを駆動輪29そのもの、駆動輪29に直結する車軸などからセンシングする車両停止検出部30の検出結果に基づいて、移動車両25が完全に停止した否かが出力される。完全に停止したか否かの判断は、例えば速度が0になって移動車両25が停止した後、一定期間停止状態を維持したら完全に停車したと見なすとよい。
図54は、図53に示すハードブロック図に対応する移動車両の機能ブロック図である。
同図において、移動車両25は、移動車両操作者が操作する減速指示部から操作量を取得する機能と、減速指示部から取得した操作量に基づいて減速部28を制御する機能と、
減速部28によって減速した駆動輪29をセンシングして駆動輪29の完全停止を検出する機能と、その検出結果をゲートシステム7に出力する機能とを有する。
図55は、 図54に示す機能ブロック図に対応する移動車両の制御部におけるフローチャートである。
同図において、移動車両25は、減速指示部が操作されると(ST5501)、減速指示部の操作量に応じて減速部28を制御し、駆動輪が完全に停止したことを確認すると(ST5503)、車両停止を示す信号をゲートシステム7に出力して(ST5504)、処理を終了する。
図28は、図27に示すコンセプトに対応する本発明の実施形態におけるゲートシステムの機能ブロック図である。
同図において、ゲートシステム7は、移動車両25の停止を判断(確認)する機能と、移動車両25の停止を判断(確認)する機能で判断した判断結果に基づいてさらにゲートの開閉を判断する機能と、ゲートの開閉を判断する機能が判断した判断結果に基づいてゲート開放を指示する機能と、ゲートの開閉を判断する機能が判断した判断結果に基づいてゲートの開放(開放の予告)を通知する機能と、ゲートの開放(開放の予告)を通知する機能が通知する開放(開放予告)に応じて提供情報DB8または運行情報DB20から利用者2に対して停車場所に関して提供する情報を取得する機能と、停車場所に関して提供する情報を取得する機能が取得した提供情報を利用者2に提供する情報として出力する機能とを有する。運行情報DB20に記憶する運行情報とは、その移動車両が運行情報にしたがってって移動している場合に、その移動車両に関する運行情報のことである。
ゲートシステム7から利用者2に対して提供される情報は、ゲートシステム7の機能において利用者2の通過を判定する機能を有さないために、利用者2の通過の有無に関わらず、移動車両25が停車する停車場所に関する提供情報が出力される。利用者2は、ゲートが開放時にゲートシステム7から出力される提供情報を情報記憶媒体9または利用者端末10をゲートシステム7の情報出力部16に近づけたり、接続したり、読み込ませたりする自発的行為(自主判断)によって、情報記憶媒体9または利用者端末10の有する記憶領域に情報を書き込む。
図29は、図27に示すコンセプトに対応する本発明の実施形態におけるゲートシステムの機能ブロック図である。
同図は、停車場所に関する情報のうち、停車場所そのものの情報として提供情報DB8と運行情報DB20に記憶する情報の取得に関する。なお、停車場所そのものの情報を用いて、提供される情報が停車場所に関する情報であり、停車場所そのものの情報に付与される情報や、停車場所そのものの情報を例えば検索条件にして導かれる情報は図11または図14に示す機能ブロック図と同様に、提供情報DB8に記憶されている。
同図において、停車場所そのものの情報を取得するには、(1)移動車両25が停車した停車場所を計測する、(2)停車場所に対して最寄りの位置情報タグ(位置情報記憶手段)から場所情報を取得する、(3)移動車両25があらかじめ定められた運行表で運行している運行情報から停車場所を取得する、などの方法がある。(1)において停車場所である、停車した移動車両の現在位置の計測は、例えばGPS(Global Positioning System、全地球測位システム)、PHS(Personal Handy−phone System)などの位置認識技術で十分可能である。
移動車両25が停車した停車場所を計測するゲートシステム7は、停車場所に関する地理上の絶対位置を求める元情報を取得する機能と、取得した元情報から地理上の絶対座標を算出する機能と、地理上の絶対座標を算出する機能によって算出された算出結果に基づいて地図上の場所を判定する機能と、地図上の場所を判定する機能で判定した地図上の場所を停車場所として提供情報DB8に記憶する機能とを有する。ここで言うところの元情報とは、GPSやPHSのシステムから受信する電波信号が相当し、同様に地理上の絶対座標とは、地球上での緯度経度であったり、エリア毎に分割された個々のエリア情報であったりする。
停車場所に対して最寄りの位置情報タグ(位置情報記憶手段)から場所情報を取得するゲートシステム7は、停車場所の最寄りの位置情報タグから場所情報を読み取る機能と、位置情報タグから読み取った位置情報を停車場所として提供情報DB8に記憶する機能とを有する。
移動車両25があらかじめ定められた運行表で運行している運行情報から停車場所を取得するゲートシステム7は、外部のシステムから新たな運行情報を取得する機能と、取得した新たな運行情報によって運行情報DB20に記憶する運行情報を更新する機能とを有する。ゲートシステム7は、更新された運行情報またはあらかじめ記憶する運行情報に基づいて、現在の停車場所や次に停車する停車場所を取得する。
ゲートシステム7は、以上に示す(1)〜(3)の方法のうち1つを有していてもよく、また複数を併用していてもよい。ただし、ゲートシステム7は、移動車両25の停車場所そのものを取得するのに他の方法を用いても、以上に示す方法を含めて併用してもよい。つまり、移動車両25が停車する停車場所そのものの情報をゲートシステム7が取得できれば、その種類は問わない。
図30は、図28に示す機能ブロック図に対応するゲートシステムおよび情報記憶媒体・利用者端末の演算部におけるフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、ゲート開放(開放予告)を受け取ると(ST3001)、ゲート開放に応じてゲートから提供する情報を提供情報DB8および運行情報DB20から取得し(ST3002)、提供情報DB8および運行情報DB20から取得した情報を情報出力部16から出力して(ST3003)、処理を終了する。図19に示す機能ブロック図の処理によって、ゲートシステム7の情報出力部16から出力される提供情報はゲート開放の間、出力される。ゲート開放に応じてゲートシステム7の情報出力部16から提供される提供情報を、図11に示す機能ブロック図と同様に利用者2による自発的行為によって取得するか、または図14に示す機能ブロック図と同様にゲートを覆うゲートシステム7からの情報が提供される提供エリアを利用者2が通過すること(利用者2は単にゲートを通過しただけ)によって、利用者2の有する情報記憶媒体9または利用者端末10はゲートシステム7の情報出力部16から出力された停車場所に関連する提供情報を取得すると、取得した提供情報を記憶領域に記憶して(ST3004)、処理を終了する。
図31は、図29に示す機能ブロック図に対応するゲートシステムの演算部における処理手順を示すフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、移動車両25の停止(停止予告)の通知を受け取ると(ST3101)、停車場所に関する地理上の絶対位置を求める元情報を取得し(ST3102)、取得した元情報から地理上の絶対座標を算出し(ST3103)、算出された地理上の絶対座標に基づいて地図上の場所を判定し(ST3104)、判定した地図
上の場所を停車場所として提供情報DB8に記憶して(ST3105)、処理を終了する。
図32は、図29に示す機能ブロック図に対応するゲートシステムの演算部におけるフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、移動車両25の停止(停止予告)の通知を受け取ると(ST3201)、停車場所の最寄りの位置情報タグから場所情報を読み取り(ST3202)、位置情報タグから読み取った位置情報を停車場所として提供情報DB8に記憶して(ST3203)、処理を終了する。
図33は、図29に示す機能ブロック図に対応するゲートシステムの演算部におけるフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、外部のシステムから新たな運行情報を取得すると(ST3301)、取得した新たな運行情報によって運行情報DB20に記憶する運行情報を更新して(ST3302)、処理を終了する。
図34は、図28とは別の場合の、図27に示すコンセプトに対応する本発明の実施形態におけるゲートシステムの機能ブロック図である。
同図は、次の停車場がその場所に到着する前にわかっている場合である。同図において、ゲートの開閉を判断する機能と、ゲートの開閉を判断する機能が判断した判断結果に基づいてゲート閉鎖を確認する機能と、ゲート閉鎖を確認する機能が確認したゲート閉鎖に応じて次の停車場所を運行情報DB20から取得して、必要であるなら次の停車場所に付与される提供情報を提供情報DB8から取得して停止場所バッファメモリ15−1の内容を書き換える機能と、移動車両25の停止を判断(確認)する機能と、移動車両25の停止を判断(確認)する機能で判断した判断結果に基づいてさらにゲートの開閉を判断する機能と、ゲートの開閉を判断する機能が判断した判断結果に基づいてゲート開放を指示する機能と、ゲートの開閉を判断する機能が判断した判断結果に基づいてゲートの開放(開放の予告)を通知する機能と、ゲートの開放(開放の予告)を通知する機能が通知する開放(開放予告)に応じて停止場所バッファメモリ15−1に記憶されている情報を取得して、利用者2に対して停車場所に関して提供する情報として出力する機能とを有する。
扉部6が閉鎖されると(遅くとも移動車両25が移動を開始すると)、ゲートシステム7からの提供情報の出力は一旦停止するので、このように運行情報などによって次の停車場所があらかじめわかっている場合には、ゲートが閉まってから次に開くまでの間に、次の停車場所で出力する提供情報について、例えばバッファメモリなどを用いて、その内容の書き換え処理をしておくとシステムとして効率がよい。
図35は、図34に示す機能ブロック図に対応するゲートシステムおよび情報記憶媒体・利用者端末の演算部におけるフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、ゲート開放(開放予告)を受け取ると(ST3501)、停車場所に関する情報を停止場所バッファメモリ15−1から取得し(ST3502)、停止場所バッファメモリ15−1から取得した情報を情報出力部16から出力する(ST3503)。ゲート開放に応じてゲートシステム7の情報出力部16から提供される停車場所に関する情報を、図11に示す機能ブロック図と同様に利用者2による自発的行為によって取得するか、または図14に示す機能ブロック図と同様にゲートを覆うゲートシステム7からの情報が提供される提供エリアを利用者2が通過すること(利用者2
は単にゲートを通過しただけ)によって、利用者2の有する情報記憶媒体9または利用者端末10はゲートシステム7の情報出力部16から出力された停車場所に関連する提供情報を取得すると、取得した停車場所に関する情報を記憶領域に記憶して(ST3504)、処理を終了する。さらに、ゲートシステム7は、ゲート閉鎖を確認すると(ST3505)、情報出力部16から出力している提供情報の出力を停止し、次の停車場所を運行情報DB20から取得して、必要であるなら次の停車場所に付与される提供情報を提供情報DB8から取得して停止場所バッファメモリ15−1の内容を書き換えて(ST3506)、処理を終了する。
図36は、図7に示すコンセプト(第1実施形態)に対応する具体例を説明する図である。
同図は、建築物の出入り口に設置されたゲートで、いわゆる自動ドア6−2と呼ばれるゲートであった場合である。同図において、利用者2は、自動ドア6−2手前に設置されたマット形状や自動ドア6−2に設置されたタッチスイッチ形状の自動ドア開閉指示入力部を踏みしめる、または触れることにより自動ドア6−2が開放される。ゲートシステム7は、自動ドア6−2開放に応じて提供情報DB8から取得した提供情報が情報出力部16から出力される。処理フローは図17または図18に示すフローチャートに準ずる。提供情報は特別なものである必要はなく、ゲートシステム7が提供したい情報で構わない。具体的には建築物内で実施されてる特売や催事場に関する情報(内容紹介や場所案内など)であったりするとよい。本発明におけるゲートシステム7は、利用者2の通過に関わらず提供情報を出力しているので、建築物内に関する情報を出力すると、利用者2が建築物内に入ってきた場合には、その情報に興味を示せば誘導されることになり、出て行く場合に興味を持った場合には、出るのを止めて戻ってくることになる。また別の例では、他のシステム11が利用者2がどこを移動したのかを大雑把に把握するために、どのゲートを通過したのかという通過履歴情報をゲートシステム7によって提供することもできる。
図37は、図36とは別の場合の、図7に示すコンセプト(第1実施形態)に対応する具体例を説明する図である。
同図は、多階構造を有する建築物内の階間を移動する移動体であるエレベータそのものを本発明におけるゲートにする場合である。同図において、エレベータが停止した停止階に関する情報を(停止階に停止して)エレベータゲート6−3を開放した間だけ出力する。停止階に停止して、エレベータの扉部6−3が開放されると出力される処理フローは図17または図18に示すフローチャートに準ずるが、エレベータでは、次に停止する停止階がわかるので、図34に示す機能ブロックにおける処理を実行し、処理フローは図35に示すフローチャートに準じてもよい。
エレベータを本発明におけるゲートとして用いると、利用者2がどの階で降りようとも降りた階以外の(降りた時点の利用者2にとって)余分な情報を、利用者2は受け取らずに済むという効果がある。
図38は、図37に示す具体例に対応するゲートシステムおよび情報記憶媒体・利用者端末の演算部におけるフローチャートである。
同図は、提供情報DB8から利用者2に対して提供する提供情報がなければ、提供情報取得手段は何も取得せず、提供情報取得手段が何も提供情報を取得しなければ、提供情報出力手段は何も出力しない場合の処理を示す。同図において、ゲートシステム7は、エレベータゲート開放(開放予告)と同じ意味を有するエレベータ停止(停止予告)を受け取ると(ST3801)、提供情報DB8に利用者2に対して伝える情報があるか否かを判
定して(ST3802)、提供する情報がなければそのまま処理を終了し、提供する情報があれば、エレベータゲート開放に応じてエレベータゲートから提供するその情報を提供情報DB8から取得し(ST3803)、提供情報DB8から取得した情報を情報出力部16から出力して(ST3804)、処理を終了する。提供する情報がある場合には、図19に示す機能ブロック図の処理によって、ゲートシステム7の情報出力部16から出力される提供情報はエレベータゲート開放の間、出力される。エレベータゲート開放に応じてゲートシステム7の情報出力部16から提供される提供情報を、図11に示すように利用者2による自発的行為によって取得するか、または図14に示すようにエレベータゲートを覆うゲートシステム7からの情報が提供される提供エリアを利用者2が通過すること(利用者2は単にエレベータゲートを通過しただけ)によって、利用者2の有する情報記憶媒体9または利用者端末10はゲートシステム7の情報出力部16から出力された提供情報を取得すると、取得した提供情報を記憶領域に記憶して(ST3805)、処理を終了する。
図39は、図38とは別の場合の、図37に示す具体例に対応するゲートシステムおよび情報記憶媒体・利用者端末の演算部におけるフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、エレベータゲート開放(開放予告)と同じ意味を有するエレベータ停止(停止予告)を受け取ると(ST3901)、次の停止階に関する情報を停止場所バッファメモリから取得し(ST3902)、停止場所バッファメモリから取得した情報を情報出力部16から出力する(ST3903)。エレベータゲート開放に応じてゲートシステム7の情報出力部16から提供される停止階に関する情報を、図11に示す機能ブロック図と同様に利用者2による自発的行為によって取得するか、または図14に示す機能ブロック図と同様にエレベータゲートを覆うゲートシステム7からの情報が提供される提供エリアを利用者2が通過すること(利用者2は単にエレベータゲートを通過しただけ)によって、利用者2の有する情報記憶媒体9または利用者端末10はゲートシステム7の情報出力部16から出力された停止階に関連する提供情報を取得すると、取得した停止階に関する情報を記憶領域に記憶して(ST3904)、処理を終了する。さらに、ゲートシステム7は、エレベータゲート閉鎖を確認すると(ST3905)、情報出力部16から出力している提供情報の出力を停止し、次の停止階をエレベータシステムから取得して、必要であるなら次の停止階に付与される提供情報を提供情報DB8から取得して停止場所バッファメモリの内容を書き換えて(ST3906)、処理を終了する。
図40は、図29に示す機能ブロック図における移動車両が停車した停車場所を計測する方法に対応する具体例を示す図である。
同図において、移動車両25は、複数のGPS衛星から停車場所についての地理上の絶対座標(緯度経度)を算出するための元情報を受信している。図例では、移動車両25がバス、電車、乗用車である場合を示し、停車場所にはそれぞれ停留所、停車駅、停車場所が示されている。
図41は、図40に示す具体例におけるゲートシステムおよび情報記憶媒体・利用者端末の演算部におけるフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、移動車両25の停止(停止予告)の通知を受け取ると(ST4101)、停車場所に関する地理上の絶対位置を求める元情報を取得し(ST4102)、取得した元情報から地理上の絶対座標を算出し(ST4103)、算出された地理上の絶対座標に基づいて地図上の場所を判定し(ST4104)、判定した地図上の場所を停車場所として提供情報DB8に記憶する(ST4105)。さらにゲートシ
ステム7は、提供情報DB8に停止情報に関し、利用者2に対して伝える情報があるか否かを判定して(ST4106)、出力すべき情報がなければそのまま処理を終了し、出力すべき情報があれば、ゲート開放に応じてゲートから提供するその情報を提供情報DB8から取得し(ST4107)、提供情報DB8から取得した情報を情報出力部16から出力して(ST4108)、処理を終了する。提供する情報がある場合には、図19に示す機能ブロック図の処理によって、ゲートシステム7の情報出力部16から出力される提供情報はゲート開放の間、出力される。ゲート開放に応じてゲートシステム7の情報出力部16から提供される提供情報を、図11に示すように利用者2による自発的行為によって取得するか、または図14に示すようにゲートを覆うゲートシステム7からの情報が提供される提供エリアを利用者2が通過すること(利用者2は単にゲートを通過しただけ)によって、利用者2の有する情報記憶媒体9または利用者端末10はゲートシステム7の情報出力部16から出力された提供情報を取得すると、取得した提供情報を記憶領域に記憶して(ST4109)、処理を終了する。
図42は、図29に示す機能ブロック図における停車場所に対して最寄りの位置情報タグから場所情報を取得する方法に対応する具体例を示す図である。
同図において、移動車両25である電車車両が停車場所である停車駅のプラットホームに停車しており、停車駅におけるどこのプラットホームであるのかを示すプラットホーム情報を含む位置情報タグ26から位置情報を受け取っている。
駅には複数のプラットホームがある場合が多く、乗り換え情報などを提供する場合には、利用者2に対してどこのプラットホームについてどこのプラットホームに向かわねばならないかなどの情報が提供される。位置情報を位置情報タグ26から受け取ったゲートシステム7は、停車駅情報(プラットホーム情報)を含む位置情報そのままを提供情報として出力する場合も、受け取った位置情報に基づく情報を出力する場合も、位置情報に基づく情報を位置情報に付与して出力する場合もある。
図43は、図42とは別の場合の、図29に示す機能ブロック図における停車場所に対して最寄りの位置情報タグから場所情報を取得する方法に対応する具体例を示す図である。
同図において、移動車両25であるバス車両が停車場所である停留所に停車しており、どこの停留所に止まったかを示す位置情報を、停留所の目印によく用いられる停留所マーカにあらかじめ設置された停留所情報を含む位置情報タグ26から位置情報を受け取っている。位置情報を位置情報タグ26から受け取ったゲートシステム7は、停留所情報を含む位置情報そのままを提供情報として出力する場合も、受け取った位置情報に基づく情報を出力する場合も、位置情報に基づく情報を位置情報に付与して出力する場合もある。
図44は、図42または図43に示す具体例におけるゲートシステムおよび情報記憶媒体・利用者端末の演算部におけるフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、移動車両25の停止(停止予告)の通知を受け取ると(ST4401)、停車場所の最寄りの位置情報タグから場所情報を読み取り(ST4402)、位置情報タグから読み取った位置情報を停車場所として提供情報DB8に記憶する(ST4403)。さらにゲートシステム7は、提供情報DB8に停車場所に関し、利用者2に対して伝える情報があるか否かを判定して(ST4404)、出力すべき情報がなければそのまま処理を終了し、出力すべき情報があれば、ゲート開放に応じてゲートから提供するその情報を提供情報DB8から取得し(ST4405)、提供情報DB8から取得した情報を情報出力部16から出力して(ST4406)、処理を終了する。提
供する情報がある場合には、図19に示す機能ブロック図の処理によって、ゲートシステム7の情報出力部16から出力される提供情報はゲート開放の間、出力される。ゲート開放に応じてゲートシステム7の情報出力部16から提供される提供情報を、図11に示すように利用者2による自発的行為によって取得するか、または図14に示すようにゲートを覆うゲートシステム7からの情報が提供される提供エリアを利用者2が通過すること(利用者2は単にゲートを通過しただけ)によって、利用者2の有する情報記憶媒体9または利用者端末10はゲートシステム7の情報出力部16から出力された提供情報を取得すると、取得した提供情報を記憶領域に記憶して(ST4407)、処理を終了する。
図45は、図29に示す機能ブロック図における移動車両があらかじめ定められた運行表で運行している運行情報から停車場所を取得する方法に対応する具体例を示す図である。
同図において、移動車両25は、あらかじめ定められた運行表で運行しているバス車両であり、第1の停車場所に停車して扉部6−1を開放している間は、第1の停車場所に設置されたゲートとして機能する。同様に、移動車両25は第2の停車場所に停車して扉部6−1を開放している間は、第2の停車場所に設置されたゲートとして機能し、この場合の「移動車両25が停車場所に設置されたゲートとして機能する」とは、「停車場所に停車してゲートを開放している移動車両25と、移動車両25が停車している間だけその停車場所に設置されたゲートと同一の役割である」と同意である。第1の停車場所から第2の停車場所に向かう移動車両25では、運行情報DB20に記憶された運行情報に基づき、第2の停車場所に設置されたゲートの役割として出力される情報に停車場所バッファメモリの内容を書き換えている。
図46は、図45に示す具体例におけるゲートシステムおよび情報記憶媒体・利用者端末の演算部におけるフローチャートである。
同図において、ゲートシステム7は、移動車両25が第1の停車場所に停止する停止(停止予告)の通知を受け取ると(ST4601)、第1の停車場所に関する情報を停止場所バッファメモリから取得し(ST4602)、停止場所バッファメモリから取得した情報を情報出力部16から出力する(ST4603)。ゲート開放に応じてゲートシステム7の情報出力部16から提供される第1の停車場所に関する情報を、図11に示す機能ブロック図と同様に利用者2による自発的行為によって取得するか、または図14に示す機能ブロック図と同様にゲートを覆うゲートシステム7からの情報が提供される提供エリアを利用者2が通過すること(利用者2は単にゲートを通過しただけ)によって、利用者2の有する情報記憶媒体9または利用者端末10はゲートシステム7の情報出力部16から出力された停車場所に関連する提供情報を取得すると、取得した第1の停車場所に関する情報を記憶領域に記憶して(ST4604)、処理を終了する。さらに、ゲートシステム7は、ゲート閉鎖を確認すると(ST4605)、情報出力部16から出力している提供情報の出力を停止し、次に移動車両25が向かう第2の停車場所を運行情報DB20から取得することで第2の停車場所を判定し(ST4606)、取得した第2の停車場所に関する情報と、必要であるなら第2の停車場所に付与される提供情報を提供情報DB8から取得して停止場所バッファメモリの内容を書き換えて(ST4607)、処理を終了する。
図47は、本発明の実施形態におけるゲートシステムを設置した移動車両を用いて、導入費用をさらなる軽減するための具体例を示す図である。
同図において、情報配信サービスの対応路線と非対応路線を利用者が視覚的に識別可能なように示すことで、サービス対応地域を限定して、導入費用をさらに軽減する。具体的
には、対応路線を走る移動車両25−1と非対応路線を走る移動車両25−2のそれぞれの外観特徴によって対応路線を区別するようにしたもので、例えば対応路線を走る移動車両25−1の外観をラッピングするとよい。ここで言うところのラッピングとは、印刷したシールフィルムで移動車両の少なくとも側面、場合によっては上面を覆う(ラッピングする)ことを意味している。
なお、路線毎にラッピングした移動車両は、それぞれの路線の特徴を知覚できるようなデザインや色使いで統一することによって、視覚的に華やかになるだけでなく、単なる行き先だけで識別されていた路線を個性化することが可能になる。
さらに、ラッピング車両は宣伝広告媒体として捉えることもできる。非視覚的な通信媒体を介した情報配信による宣伝広告よりも、視覚的な媒体の方が宣伝広告主にとって感覚的に宣伝広告が実行されているように感じられるため、広告料の支払いに対して積極的となりやすい傾向があり、本発明におけるゲートシステム7を起点とするITサービスに関する広告宣伝媒体としてラッピング車両の経済的価値を高めることができる。ラッピング車両を広告宣伝媒体として用いれば、広告主の導入費用および維持費用(運営費用。ランニングコスト)の負担を軽減させることができる。
図48は、図47とは別の場合の、ゲートシステムを設置した移動車両を用いて、導入費用をさらなる軽減するための具体例を示す図である。
同図において、図47の導入費用軽減策に加えて、(情報配信サービスは路線に設置されたものによるのでなく、路線を走る移動車両25によってもたらされるものであるので)サービス対応路線においてもゲートシステム対応車両25−3の外観をラッピングし、非対応車両25−4の外観をラッピングしなければ、サービス対応地域において、対応する移動車両を間引きできる。対応する移動車両を間引きできるということは、導入費用削減に大きな影響を与え、収益の確保にともなって徐々に対応車両を増やしていくことができる。つまり、すべての車両を対応車両にしなければ導入できないと考えれば多大な導入費用によって導入するか、多大な導入コストに見合わないので諦めるかと言った二者択一の選択肢しか生じないが、前記のように対応移動車両を間引きすることにより柔軟な運用が可能となる。
なお、ラッピング車両毎にテーマや個性を持たせてもよく、路線毎にその特徴を感じさせる統一感を乱さないように、例えば色調は統一しながらデザインを変える、複数の広告の載せ方に工夫を凝らすなどの手法が考えられる。
図49は、本発明の実施形態における情報記憶媒体が「IDタグ」の場合の具体例を示す図である。
同図は情報記録媒体9の具体例であるIDタグの構造を示しており、特開平10−107707号公報の図1および明細書中の「0020」段に記述されている。前記公報において、図1に示すデータキャリア2が本発明の実施形態における情報記憶媒体9に相当し、図中のメモリ16が本発明の実施形態における記憶領域に相当する。さらに、図中の書込/読込制御ユニット1における書込機能が本発明の実施形態における情報出力部16に相当する。
図50は、本発明の実施形態における情報記憶媒体が「ICカード」の場合の具体例を示す図である。
同図は、情報記録媒体9の具体例であるICカードの構造を示しており、特開2000
−123138号公報の図3および明細書中の「0014」段に記述されている。図3に示す非接触ICカードが本発明の実施形態における情報記憶媒体9に相当し、図中の不揮発性メモリ15が記憶領域に相当する。
図51は、本発明の実施形態における指向性情報出力部の具体例を原理で説明する図である。
同図において、指向性出力部16−4はアンテナ1とアンテナ2で構成され、1/2λ(ラムダ、電波の波長)の倍数の間隔で設置する。縦方向ではアンテナ1の電波(電力)とアンテナ2の電波にずれはなく、その合成波は強くなる。同様に横方向では、アンテナ1とアンテナ2の電波に1/2λの位相のずれが生じるために、その合成波は相殺され、斜め方向ではアンテナ1とアンテナ2の電波に√2/2λのずれが生じるために、その合成波は弱くなる。
図52は、本発明の実施形態における指向性情報出力部の具体例を原理で説明する図である。
同図において、図51に示すようにアンテナを構成した指向性出力部16−4の電波強度分布を示す。3次元的に円錐形の電波強度分布が欲しい場合には、図中右側に示すように、例えば4枚の円形パッチアレーアンテナを用いるとよい。
なお、前述のように、本実施形態では、移動体の例として車両を例示したが、本発明はこのような車両に限定されるものではなく、電車、バス、乗用車、タクシーなどの移動車両や、飛行機や船舶、多階構造を有する建築物内の階間を移動するエレベータなどでもよい。
また、エレベータを本発明におけるゲートとして用いると、各階毎に設置しなければならないゲートを、エレベータに集約することができる。さらに、利用者がどの階で降りようとも降りた階以外の(降りた時点の利用者にとって)余分な情報を、利用者は受け取らずに済むという効果がある。
さらに、本発明におけるゲートシステムを移動車両(移動体)に設置すると、例えば、移動車両が停止する停車駅、停留所、停車場所に停車して扉部(ゲート)が開放されるたびに、それぞれの停留所におけるゲートとして機能する(役割を担う)ことができる。
つまり、本発明のゲートシステムを移動車両に設置して、移動車両が停車する停車場所において、それぞれの停車場所におけるそれぞれゲートとすることは、ゲートの数を減らすことに貢献し、システム導入の導入費用を大幅に減らすことができる。ITシステムは導入すれば便利なことがわかっていたとしても、一から構築する場合の導入費用の膨大さから二の足を踏む(躊躇してしまう)ことがよくあるが、特に需要量が見込めないような利用者人口の少ない場所でも、システム導入の障害になりにくいという効果がある。
なお、運行情報などによって次の停車場所があらかじめわかっている場合には、ゲートが閉まってから次に開くまでの間に、次の停車場所で出力する提供情報について、例えばバッファメモリなどを用いて、その内容の書き換え処理をしておくとシステムとして効率がよいという効果が期待できる。
本発明のゲートシステムを移動車両に設置する場合には情報配信サービスは路線に設置されたものによるのでなく、路線を走る移動車両によってもたらされるものであることに着目して、さらに情報配信サービスの対応路線を限定することでサービス対応地域を限定
し、導入費用をさらに軽減することができる。対応路線と非対応路線を人の目ではっきりわかるようにするために、移動車両の外観を例えばラッピングすることで、利用者に無用の混乱を起こさせずに済む。
なお、このように路線毎にラッピングした移動車両は、それぞれの路線の特徴を感じられるようなデザインや色使いで統一していくと、見た目に華やかになるだけでなく、単なる行き先の違いであった路線に個性を吹き込むこともできる。また、ラッピング車両は宣伝広告媒体とすることもできる。なぜなら、目に見えない情報配信による宣伝広告よりも、目に見える媒体の方が宣伝広告主にとって感覚的に宣伝広告しているように感じられるため、広告料を払いやすいとも言われており、本発明におけるゲートシステムを起点とするITサービスに関する広告宣伝媒体としてラッピング車両を活用することができる。ラッピング車両を広告宣伝媒体にうまく使えば、導入費用および維持費用(運営費用。ランニングコスト)の負担を軽減させることができる。
サービス対応路線においてもゲートシステム対応車両の外観をラッピングし、非対応車両の外観をラッピングしなければ、サービス対応地域において、対応する移動車両を間引きできる。対応する移動車両を間引きできるということは、導入費用削減に大きな影響を与え、収益の確保にともなって徐々に対応車両を増やしていくことができる。
さらに、本発明ではゲートと上位システムとは直接通信を行わないため、ゲートを増設しても上位システムの負荷が増大することがなく、ゲートの増設が容易となる利点もある。