JP3663865B2 - 帳票処理装置及び記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種帳票等の表の作成処理を行う帳票処理装置及び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、納品書、請求書、注文書、帳簿等の帳票の作成は、表計算処理(帳票処理)プログラムを備えたコンピュータシステムで行われる。このようなコンピュータシステムにより行われる帳票の作成処理は、基本的に帳票フォーマットの作成処理とその後のデータ入力処理との二つの処理に分けられる。
帳票ファーマットの作成処理においては、多数のセルから構成される帳票のレイアウトを作成するとともに、各セルの属性、すなわち、テキスト、数値、関数(数式)等の属性を定義する。また、属性がテキストでかつ帳票の項目名(例えば、帳票を注文伝票とした場合には、商品名、単価、数量、合計等)を入力すべきセルに項目名を入力し、属性が数式のセルには数式データを入力する。これらの操作により帳票フォーマットが完成する。
【0003】
そして、データ入力処理においては、例えば、各項目名に対応するデータ、すなわち、実際の個々の製品の商品名、単価、数量等を示すデータを入力することになる。また、データ入力処理においては、データの入力とともにコンピュータシステムが、数式のセルにおいて、数式に基づく演算処理を行い数値を求め、これをセルに格納する。
【0004】
以上のような帳票処理によれば、データ入力処理において、データの入力により数式の演算が自動的に行われるとともに、各データが保存されるので、帳票の作成を極めて省力化することができるが、帳票フォーマットの作成には、かなりの手間がかかっていた。
特に、既存の帳票の制定用紙と同一の規格の帳票をプリンタから出力させるようにする際に、制定用紙と同一のレイアウトを有する帳票フォーマットを作成するのに手間がかかっていた。
【0005】
そこで、従来、例えば、特開平1−243174公報に示すように、既存の制定用紙をイメージ入力し、入力されたイメージデータに基づいて帳票のレイアウトを行うことにより、帳票フォーマットの作成を省力化することが行われている。
また、上記公報の発明においては、帳票フォーマットの作成において、帳票の各セルの配置位置等のレイアウトが決定した段階で、コンピュータの操作に不慣れなユーザ用に、各セルに割り当てられる属性や数式をキーボードを用いて対話的に入力するのではなく、各セルに対する属性や処理の仕方(数式等)を用紙に手書きし、この用紙をOCR(optinal character recognition)の機能により、コンピュータに読み取らせるようにすることが行われている。
【0006】
すなわち、上記公報の帳票処理装置を含むシステムによれば、操作者が、予め、例えば、帳票フォーマット登録用制定用紙、フィールド属性定義シート、データ処理定義シートに必要事項を記入し、これをコンピュータシステムのイメージリーダに読み取らせることにより、帳票フォーマットが作成されるようになっており、キーボード操作をほとんど必要としないものとなっている。
【0007】
上記帳票フォーマット登録用制定用紙とは、既存の制定用紙のセルに対応する各欄(データフィールド)に、属性識別情報と呼ばれる符号(例えば、アルファベット)を記入されるものである。これにより、各セルに符号が付された状態となる。また、異なるセルでも属性が同じ場合には、同じ符号が付されることになる。
なお、ここでの属性とは、テキスト、数値、関数といった大まかなものではなく、例えば、商品名、商品コード、単価、数量、金額、合計といった帳票で用いられる項目名のようなものである。
【0008】
上記フィールド属性定義シートとは、上記属性識別情報と上記属性とを対応づけたデータテーブルのようなものである。
上記データ処理定義シートとは、上記属性に対して処理を定義づけるものであり、例えば、金額という属性には、単価に数量を乗算する数式が定義され、合計という属性に対しては、金額を全て合算するSUM(金額)といった関数が割り付けられるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の従来例においては、既に使用している伝票等の帳票に基づいて帳票フォーマットを作成できるとともに、各セルに属性や該属性に基づく処理を設定する際に、キーボードを用いる必要がほとんどなく、上述のような用紙やシートに手書きで記入することで設定が行えるようになっており、キーボードに不慣れなユーザにおいては、帳票フォーマットを作成する処理を容易なものとすることが可能である。
【0010】
しかし、上述のような帳票フォーマットの作成方法では、実際にかかる手間自体は、キーボードを用いた場合よりかえって多くなっており、上述のような用紙やシートにおいて、項目数や処理の種類が多い場合には、手書きによる記入が極めて煩雑なものとなり、入力に非常に時間がかかることになる。
【0011】
本発明の課題は、帳票処理装置において帳票フォーマット作成時に操作者が帳票データの各セルに対してその属性やその処理方法等を入力しなくとも、帳票フォーマットを作成できるようにすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、複数のセルからなる帳票のセルに配置される文字列と、上記文字列に対応するセルと他のセルとの関連を示す関連付け名称と、他のセルに格納される数値を用いた数式とを対応づけて記憶する関連辞書と、上記帳票の帳票イメージから抽出された罫線の状態及び上記帳票イメージから認識された認識文字の配列により、縦の罫線の間に上下に連続して配置される複数のセルを縦方向のグループとする縦方向グループ化手段と、上記帳票イメージから抽出された罫線の状態及び上記帳票イメージから認識された認識文字の配列により、横の罫線の間に左右に連続して配置される複数のセルを横方向のグループとする横方向グループ化手段と、上記縦方向グループ化手段により縦方向のグループとされた複数のセル及び上記横方向グループ化手段により横方向のグループとされた複数のセルから、各セルの帳票イメージから認識された認識文字と上記関連辞書に記憶された関連付け名称とを比較して対応する演算結果セルを判別し、この演算結果セルに上記関連辞書に記憶された数式を割り付ける数式割付手段と、を具備し、上記帳票のイメージを読み取り、読み取った帳票イメージから罫線を抽出すると共に、文字を認識することにより、帳票の縦方向及び横方向の構造を認識して数式を割り付けるセルを判別し、判別されたセルに数式を割り付けるようにしたことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態の第一例の帳票処理装置を図面を参照して説明する。
図1は、第一例の帳票処理装置の概略構成を示すものである。
図1に示すように、第一例の帳票処理装置は、基本的に表計算処理を行うためのコンピュータシステムであり、キーボード等を備えた入力装置1と、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやLCD(liquid crystal display)等のディスプレイを備えた表示装置2と、印字を行うためのプリンタ3と、画像入力用のイメージリーダ4と、それぞれ記憶手段となる記憶媒体5を備えた記憶装置6及びRAM(random access memory)7と、演算処理を行うCPU(central processing unit)8とを有するものであり、また、各装置1〜8はバスライン9により接続されている。
【0022】
上記入力装置1は、例えば、上記キーボードとマウス等のポインティングデバイスとを備えたものであり、テキストコードと座標位置とを入力するためのものである。
上記表示装置2は、作成中もしくは作成された帳票を表示するためのものであり、周知の各種ディスプレイを用いることができる。
上記プリンタ3は、作成された帳票を印字するためのものであり、周知の各種プリンタを用いることができる。
【0023】
上記イメージリーダ4は、これから作成しようとする帳票の既存の制定用紙をイメージデータとして入力するためのものであり、周知の各種イメージスキャナを用いることができる。
上記記憶装置6は、プログラムやデータ等が記憶されている記憶媒体5を有し、この記憶媒体5は磁気的・光学的記憶媒体、もしくは半導体メモリで構成されている。この記憶媒体5は記憶装置6に固定的に設けたもの、もしくは着脱自在に装着するものであり、この記憶媒体5には、後述する処理を行う帳票処理プログラムが他のデータやプログラムと共に記憶される。
【0024】
また、上記記憶媒体5に記憶されるプログラムやデータ等は、通信回線等を介して接続された他の機器から受信して記憶する構成にしても良く、さらに、通信回線等を介して接続された他の機器側に上記記憶媒体5を備えた記憶装置6を設け、この記憶媒体5に記憶されているプログラムやデータを通信回線を介して使用する構成としても良い。
【0025】
また、記憶装置6の記憶媒体5には、図2に示すように各データが記憶されている。すなわち、記憶媒体5においては、イメージデータメモリ5aとして、上記イメージリーダ4により読み取られた既存の帳票のイメージデータが格納され、罫線情報メモリ5bとして、上記帳票のイメージデータから罫線の配置位置を示すデータを抽出して得られた罫線情報が格納され、認識文字メモリ5cとして、上記帳票のイメージデータに含まれる文字のイメージをOCR機能によりテキストコードに変換した認識文字データが格納され、関連辞書5dとして、後述するように帳票に記載される項目名などの文字列と対応してセルの属性等のデータが記憶された辞書が格納され、セル領域メモリ5eとして、各セルのセル名と属性等のデータを対応させたデータテーブルが格納されている。
【0026】
そして、上記関連辞書5dは、図3に示すように、既存の帳票に一般的に記載される文字列と、該文字列に従属する帳票データ上のセルの属性と、上記文字列に従属するセルのうちの数式が格納されるセルもしくは、数式に用いられる数値が格納されるセルに割り付けられる関連付け名称(関連付け)と、該関連付け名称に基づいて決められる他の各セルとの関係(他のセルに格納された数値を用いた演算方法を示す演算情報が登録される項目)とを対応づけて登録したデータテーブル状のものであり、文字列を入力することにより、該文字列に対応するセルの属性、関連付け名称及び他の各セルとの関係(演算情報)を読み出すことができるようになったものである。
【0027】
上記文字列とは、基本的には、手書きにより書き込まれる既存の帳票に、手書きにより記入する前に記載されている文字列であり、帳票の項目名を示す文字列である。例えば、図6に示す既存の手書き用の納品書aには、品名、数量、単価といったような文字列が記入前に印刷された状態となっており、上記文字列とはこのような文字列である。
なお、関連辞書5dには、このような文字列をなるべく多く網羅するように多くの文字列が格納されていることが好ましい。なお、上記文字列は、必ずしも、既存の帳票に印刷されたものに限られずに、表データにおいて、項目名として用いられる文字列でも良い。
【0028】
上記属性とは、上記文字列に対応するセルに格納されるデータが数値データなのか文字データなのかを示すものである。なお、この一例の属性としての数値は、数値自体が直接入力されるセルと、他のセルとの関係に基づいて数値データが演算されるセル、すなわち、数式が格納されるセルとの両方を含むものである。なお、数値が直接入力されるセルの属性を数値とし、数値が演算により求められるセルの属性を数式もしくは関数として、属性を分けても良い。
【0029】
上記関連付け名称とは、例えば、上記文字列の意味や内容を示すものであると同時に、上記文字列に対応するセルと他のセルとの関連を示すためのものである。さらに、関連付け名称は、数式が格納されるセルもしくは数式に用いられる数値が格納されるセルに割り付けられるものである。
また、関連辞書5dにおいて、各セルとの関係の項目の演算情報と対応している関連付け名称が付けられたセルは、数式が格納されるセルであり、上記関連付け名称と演算情報とを対応づけたデータが、数式に用いられる数値が格納されるセルと、数式が格納されるセルとを他のセルから判別するための判別情報となっている。
【0030】
例えば、図3に示すように、文字列が金額であれば、その意味も金額となり、関連付け名称は金額とされる。なお、ここでいう金額とは、納品書やその他の伝票等の帳票に記載される金額であり、基本的には、単価と数量とを乗算したものを示すものである。
従って、関連付け名称が金額とされたセルには、後述するように関連付け名称が単価及び数量とされたセルが関連付けられていることを示している。また、関連辞書5dにおいては、金額に対応して各セルとの関係に演算情報が登録されているので、関連付け名称が金額とされたセルは、数式が格納されるセルである。さらに、文字列が合計の項における各セルとの関係に金額セルの数値合計という記載があり、金額という関連付け名称が付けられたセルは、数式に用いられる数値が格納されるセルでもある。
【0031】
また、同様に、文字列が合計であれば、該文字列の帳票(具体的には図6で示す納品書)上での意味は、金額の項目に記入された数値の合計を示すものであり、上記文字列に対応するセルの関連付け名称は合計金額とされるとともに、上記セルには関連付け名称が上記金額とされたセルが関連付けられていることを示すものである。また、上記合計金額に対応して演算情報が登録されているので、合計金額という関連付け名称が付けられたセルは、数式が格納されるセルである。また、消費税額及び税込合計金額という文字列に対応する演算情報に合計金額という関連付け名称があり、合計金額という関連付け名称が付けられたセルは、数式に用いられる数値が格納されるセルでもある。
【0032】
また、同様に、数量、単価、税率という文字列に対応するそれぞれのセルの関連付け名称は、文字列の意味や内容から関連付け名称がそれぞれ数量、単価、税率とされることになる。また、数量、単価、税率という関連付け名称に対応して演算情報が登録されていないので、これらの関連付け名称が付けられたセルには、数式が格納されることがなく、数式に用いられる数値が格納されることになる。
なお、関連付け名称が対応して登録されていない文字列に従属するセルは、他のセルと関連しないセルであり、数式が格納されることも、数式に用いられる数値が格納されることもないものである。
【0033】
上記各セルとの関係に登録される演算情報は、基本的に、該演算情報に対応するセルに格納される数式を、それぞれ関連付け名称を項とする加減乗除のように、関連付け名称を用いた演算方法として示すものである。
例えば、関連付け名称が金額のセルに対応する各セルとの関係は、金額が単価に数量を乗算したものであることから数量*単価とされる。また、同様に、関連付け名称が消費税額のセルに対応する各セルとの関係は、消費税額が合計金額に税率を乗算したものであることから合計金額*税率とされ、関連付け名称が税込合計金額のセルに対応する各セルとの関係は、税込合計金額が合計金額に消費税額を加算したものであることから合計金額+消費税額となる。
【0034】
なお、各セルとの関係は、必ずしも上述のような式の形式で表される必要はなく、例えば、関連付け名称が合計金額のセルに対応する各セルとの関係は、合計金額が金額を全て加算したものであることから各セルとの関係を、金額セルの数値合計としている。すなわち、各セルとの関係は、最終的に数式が格納されるセルの数式を後述するように確定できるものならば良い。
【0035】
なお、上記帳票上に印刷される文字列は、内容や意味が同じでも、違う文字列が用いられる場合があり、例えば、数量と同じ内容や意味の文字列として、数、個数、QTY等といった文字列が用いられたり、単価と同じ内容や意味の文字列として、単価@や税抜き単価等の文字列が用いられる場合がある。そこで、関連辞書5dにおいては、同じ内容や意味を有する文字列をグループ化しておき、グループ毎に属性、関連付け名称及び演算情報を登録するようにしても良い。
【0036】
このようにすれば、関連辞書5dのデータ数を大きく増やすことなく、関連辞書5dの対応可能な既存の帳票の種類を容易に増やすことができる。
また、関連辞書5dは、新たな文字列とそれに対応する属性、関連付け名称及び各セルとの関係のデータをユーザが登録可能となっていることが好ましく、このようにすれば、関連辞書5dに登録されていない文字列が帳票で用いられる場合に容易に対応することができる。
【0037】
上記セル領域メモリ5eとは、図4に示すように、後述する帳票処理により設定された各セルのセル名と、上記属性と、上記関連付け名称と、グループ情報と、数式とを対応づけて登録したデータテーブルである。
上記セル名(セル番号)とは、ここでは、横方向(行方向)に並んだセルに上から下に順番にA、B、C…といったアルファベット(行番号)を付け、縦方向(列方向)に並んだセルに左から右に順番に1、2、3…といった連番(列番号)を付け、これら列番号と行番号とをセル毎に合わせて示したものであり、例えば、図8に示すように各セルにセル名が付されることになり、一番上のセルのうちの一番左よりのセルのセル名がA1となり、上から五番目で左から3番目のセルのセル名がE3となる。
【0038】
上記属性及び関連付け名称は、上述のものである。
また、上記グループ情報とは、基本的に、行の先頭のセルに続いて行方向に並んだ各セルのセル名と、列の先頭のセルに続いて列方向に並んだ各セルのセル名とであり、行の先頭のセルと列の先頭のセルに付されるものであるが、後述する処理により決められるものである。
上記数式とは、上記演算情報に基づいて決められるものであり、演算情報においては、関連付け名称を用いた演算方法として示されていたものを、各セルに関連付け名称が割り付けられた段階で、関連付け名称をセル名(セル番号)に変換し、セル名を用いた数式に変換したものである。なお、関連辞書5dの演算情報から数式を導き出す方法については後述の帳票処理において説明する。
【0039】
上記RAM7は、後述するようにCPU8により処理される帳票処理プログラムや、その処理に係わるデータを一時的に格納するメモリエリアを形成する。
上記CPU8は、記憶装置6の記憶媒体5に記憶されている帳票処理プログラムをRAM7に展開して後述する帳票処理を行うものである。
すなわち、CPU8は、既存の帳票をイメージリーダ4で読み取ることにより得られたイメージデータから罫線を抽出し、抽出された罫線に基づいて帳票データの各セルをレイアウトして割り当るとともに、上記イメージデータから文字を抽出し、該文字を示すイメージから文字認識処理を行ってテキストデータ(認識文字)を得るようになっている。
【0040】
そして、CPU8は、上述のように各セルが割り当てられた帳票データに、上記認識文字の配置位置のデータに基づいて認識文字を文字列として割り付けるようになっている。
そして、CPU8は、上記文字列が割り付けられた帳票データにおいて、関連辞書5dに登録されたデータに基づき、各セルに属性を割り付けるようになっているとともに、数式が格納されるセルを判別し、該セルに数式を割り付けるようになっている。
【0041】
次に、上述のような第一例の帳票処理装置による帳票処理について、図5のフローチャートと、他の図面とを参照して説明する。
なお、帳票処理は、上述の帳票処理プログラムに基づいて行われるものであり、帳票処理を説明することにより、帳票処理プログラムを説明する。
まず、例えば、図6に示す既存の紙の納品書(帳票用紙)aのイメージをイメージリーダ4により読み取り、読み取られた納品書aのイメージデータを記憶装置6の記憶媒体5のイメージデータメモリ5aに格納する(ステップS1)。
【0042】
次に、イメージデータメモリ5aから納品書aのイメージデータを読み出し、該イメージデータから図7に示すように罫線データbを抽出する(ステップS2)。すなわち、各罫線の配置位置を求め、これを記憶装置6の記憶媒体5の罫線情報メモリ5bに格納する。なお、この際には罫線の配置位置だけではなく、罫線の太さも読み取るようになっている。
次に、図8に示すように、各罫線の配置位置から帳票データの各セルを割り当てる(ステップS3)。すなわち、各セルの配置位置とサイズとを決定して、セルのレイアウトされた帳票データcが求められることになる。
【0043】
この際には、既存の紙の帳票上の各記入欄に帳票データの各セルが対応して配置されることになるが、上記記入欄は、必ずしも、その上下左右が罫線に囲まれた状態となっていないので、基本的には、横の罫線の上側に、罫線の端から端までセルが配置されるものとし、横の罫線の端から端までの間に、縦の罫線がある場合には、上記セルを縦の罫線の位置で二つに分割するものとなっている。これにより、セルの配置が決定されるとともに、セルの左右幅が決定される。
【0044】
また、上記横の罫線の上にさらに横の罫線がある場合は、セルの上下幅を二本の上下の横の罫線の間隔と同じものとし、セルの左右幅及び上下幅が決定されることにより、セルのサイズが決定されることになる。なお、上記横の罫線の上側に、横の罫線が無い場合には、例えば、予め決められた上下幅とするものとしても良いし、上記セルの位置に予め文字列がある場合には、文字列の上下幅より所定長さだけ長い長さを上下幅としても良い。また、上下に複数の横の罫線があり、かつ、一番上の罫線が他の罫線より太い場合には、その罫線上にセルを形成しないものとしても良い。
また、セルの配置が決定した段階で各セルに上述の行番号と列番号とからなるセル名(セル番号)を付ける。
なお、このようにして得られた帳票データcも記憶装置6に記憶される。また、作成された帳票データcのセルの配置に誤りがある場合には、入力装置1からの指示により訂正可能となっている。
【0045】
一方、上記イメージデータから文字を抽出し、これを周知のOCR機能により認識する(ステップS4)。すなわち、イメージデータ上の文字をテキストデータに変換する。なお、この際には、イメージデータ上の文字を単にテキストデータに変換するだけではなく、テキストデータに関連付けて文字の配置位置、文字の大きさといったデータも読み取る必要がある。そして、一つの単語や、一つのセンテンスとして文字列を構成する各テキストデータと、各テキストデータの配置位置と、各テキストデータのフォントのサイズとが記憶装置6の記憶媒体5の認識文字メモリ5cに格納される。
なお、文字の書体も読み取れる場合には、書体も読み取ることが好ましい。
【0046】
そして、図9は、認識された文字を再び読み取られた配置位置に読み取られた大きさで配置されたイメージdを示すものである。
なお、この例においては、抽出された罫線のデータに基づいて、セルを割り当てるものとしたが、罫線のデータと認識された文字の配置とからセルを割り当てるものとしても良い。
【0047】
次いで、認識された文字を再び読み取られた配置位置に読み取られた大きさで配置された図9に示すイメージdと、各セルの配置位置とサイズとを決定して得られた図8に示すセルがレイアウトされた帳票データcとを結び付ける(ステップS5)。すなわち、帳票データcに、認識された文字を入力する。この際には、各セルと配置位置が一致する認識文字は、位置が一致するセルに格納する。また、セルの位置と配置位置が一致しない認識文字は、背景の文字として割り付けられる。
【0048】
従って、図10に示すように、上記イメージdと帳票データcとを結び付けることにより得られた帳票データeにおいては、イメージdに配置された認識文字の文字列のうちの、レイアウトされたセルと配置位置が一致する文字列がセルに格納された状態となっている。
次に、上述のように各セルに格納された文字列に基づいて、関連辞書5dを参照し、セルの属性と、関連付け名称及び各セルとの関係を判別する(ステップS6)。
【0049】
なお、この段階では、実際に各セルに対して属性等を割り付けるのではなく、上記文字列毎に、セルの属性と、関連付け名称及び各セルとの関係とが割り付けられる。また、上述の文字列が格納されたセル自体は、数字以外の文字列が入力された段階でその属性が文字とされるので、関連辞書5d上において、文字列に対応する属性が割り付けられるものではない。
【0050】
次いで、罫線の状態及び認識文字の配列により縦方向に各セルをグループ化する(ステップS7)。例えば、図10に示す帳票データにおいて、二本の縦の罫線の間に上下に連続して配置される複数のセル、すなわち、左右幅が同じで、かつ、左右の配置位置が一致し、かつ、上下に連続して配置される複数のセルが、一つのグループとされる。
従って、図10においては、D1〜M1までの縦の列で配置されたセル、D2〜M2までの縦の列で配置されたセル、D3〜M3までの縦の列で配置されたセル、D4〜M4までの縦の列で配置されたセル、D5〜M5までの縦の列で配置されたセルがそれぞれグループとされる。
【0051】
さらに、例えば、各グループにおいて、グループ内の各セルに文字列が格納されているか否かが判定され、さらに、文字列が格納されているセルがあった場合に、文字列が格納されたセルに続いて、文字列が格納されていない空白のセルがあるか否かが判定される。そして、上述のグループ内において、文字列が格納されたセルに続く空白のセルが、文字列に従属する従属グループとされる。
【0052】
そして、図10においては、上述のように D1〜M1のグループからD5〜M5のグループまで、5つの縦方向のグループがグループ化されるとともに、各縦のグループにおいては、それぞれ先頭のセルに文字列が格納され、その後に空白のグループが配置されるので、各グループのうちの文字列が格納された先頭のセルを除く部分が、従属グループとされる。
なお、D1〜M1のグループには、最後のセルであるM1のセルに文字列が配置されているが、その後に空白のセルがないので、M1の下に縦の従属グループはないものとされる。
【0053】
また、ここで、グループ化に際して罫線の太さを参考にするものとしても良く、例えば、図6に示すように、C1〜C3の横の行と、D1〜D5の横の行との間に対応する罫線が太くされ、L1〜L5の横の行と、M1〜M5の横の行との間に対応する罫線が太くされている場合に、これらの太い二本の罫線の間において、上述のように、二本の縦の罫線の間に上下に連続して配置される複数のセルが一つのグループとされるようにしても良い。
この場合には、上述の各従属グループからセル名にMが含まれるセルが除かれることになる。
【0054】
次いで、罫線の状態及び認識文字の配列により横方向に各セルをグループ化する(ステップS8)。例えば、縦方向のグループ化と略同様に、図10に示す帳票データにおいて、二本の横の罫線の間に上下に連続して配置される複数のセル、すなわち、上下幅が同じで、かつ、上下の配置位置が一致し、かつ、左右に連続して配置される複数のセルが、一つのグループとされる。
【0055】
従って、図10においては、C1〜C3までの横の列で配置されたセル、D1〜D5までの横の列で配置されたセル、E1〜E5までの横の列で配置されたセル、F1〜F5までの横の列で配置されたセル、G1〜G5までの横の列で配置されたセル、H1〜H5までの横の列で配置されたセル、I1〜I5までの横の列で配置されたセル、J1〜J5までの横の列で配置されたセル、K1〜K5までの横の列で配置されたセル、L1〜L5までの横の列で配置されたセル、M1〜M5までの横の列で配置されたセルがそれぞれグループとされる。
【0056】
また、ここで、全てのセルに文字列が格納され、空白のセルが無いグループは、グループとしないものとする。すなわち、C1〜C3のグループと、D1〜D5のグループは、グループを解除する。なお、上記縦方向のグループ化においても、全てのセルに文字列が格納されたグループがあった場合には、そのグループはグループ化を解除する。
さらに、例えば、各グループにおいて、グループ内の各セルに文字列が格納されているか否かが判定され、さらに、文字列が格納されているセルがあった場合に、文字列が格納されたセルに続いて、文字列が格納されていない空白のセルがあるか否かが判定される。そして、上述のグループ内において、文字列が格納されたセルに続く空白のセルが、従属グループとされる。
【0057】
図10いおいては、M2〜M5のグループが従属グループとされる。ここで、縦の従属グループと横の従属グループとがセル名にMを含むセルで重なるので、例えば、縦の従属グループからセル名にMを含むセルを除くものとする。
なお、帳票データに含まれるセルのうちのA1、A2及びB1は、独立して存在するので、それぞれ、縦にも横にもグループ化されない独立のセルとして扱われる。さらに、C1〜C3については、上述のように全て文字列が格納されているので、横方向にグループ化されることがなく、かつ、縦方向に続く空白のセルがないので、縦方向のグループに属することもないので、独立したセルとして扱われる。
【0058】
なお、上記グループ化の方法は、一例であり、他の方法を用いても良く、例えば、まず、文字列が格納されているセルを求め、該セルに続いて空白のセルが縦方向もしくは横方向に沿って配置される場合に、これらのセルのグループを上記従属グループとするものとしても良い。
また、上記グループ化においては、図6に示す納品書aを例にとって説明したが、基本的に、グループ化の方法は、縦横に配置されたセルにおいて、縦方向に並んだ各列のセルがそれぞれ縦のグループとされ、横方向に並んだ各行のセルがそれぞれ横のグループとされ、かつ、文字列が格納されたセルの後に、横方向もしくは縦方向に空白のセルが続く場合に、これらの空白のセルが従属グループとされるものである。
【0059】
なお、罫線の太さが違うような場合に、他の罫線と異なる罫線が用いられている部分で従属グループを区切るものである。また、上述のように設けられた各グループに含まれるセル名を示すグループ情報は、記憶装置6の記憶媒体5のセル領域メモリ5eに格納される。なお、この際には、グループの先頭のセルに、該セルに続く同じグループのセル名が登録されるようになっており、例えば、図4に示すようにD1〜M1までの縦方向のグループの先頭のセルであるD1のセルに、グループ情報として、E1〜M1までのセルが登録される、また、E1〜E5までの横方向のグループの先頭のセルであるE1のセルには、グループ情報としてE2〜E5までのセルが登録される。なお、図4においては、従属グループの情報が図示されていないが、実際には従属グループの情報もセル領域メモリ5eに登録されている。
【0060】
次に、上述のようなセルのグループ化の結果に基づいて、上述の関連辞書5dから参照して各文字列に割り付けられた属性、関連付け名称とを各セルに割り付ける。そして、各セル毎に割り付けられたデータを、記憶装置6の記憶媒体5のセル領域メモリ5eに格納する(ステップS9)。
例えば、セル名がA1及びA2のセルには、図10に示すように、文字列である年月日及びNo.がそれぞれ格納されているので、それぞれ属性が文字となるが、ここでは、A1及びA2は、グループ化されていない独立したセルであり、従属するセルが無いので、上記文字列に基づいて図3に示す、関連辞書5dを参照して得られた属性である数値が割り当てられることになる。
そして、セルに元々格納された文字列は、実際にセルに格納されるデータではなく、背景の文字として登録される。また、年月日及びNo.には、関連付け名称が関連辞書5dにないので、セルに属性だけを割り付けることになる。
【0061】
また、同様に、B1、C1〜C3のセルにおいても、文字列が格納されているにも係わらず、グループ化されておらず、従属する空白のセルがないので、セルに格納された文字列が、背景の文字とされ、セルには別のデータが格納されることになる。そして、関連辞書5dから文字列に基づいて検索されたデータに基づいて、様が格納されていたセルB1には、属性として文字が割り付けられ、税込合計金額が格納されていたセルC1には、属性として数値が割り付けられるとともに、関連付け名称として税込合計金額が割り付けられ、税率が格納されていたセルC2には、属性として数値が割り付けられるとともに、関連付け名称として税率が割り付けられ、消費税額が格納されていたセル3には、属性として数値が割り付けられるとともに、関連付け名称として消費税額が割り付けられる。
【0062】
また、品名、摘要がそれぞれ格納されたセルD1、D5には、E1〜L1、E5〜L5の縦の従属グループが従属している。従って、品名もしくは摘要に従属するE1〜L1、E5〜L5までの従属グループに属するセルに、関連辞書5dにおいて、品名、摘要に対応する属性として文字が割り付けられる。すなわち、文字列が格納された独立したセルの場合とは異なり、文字列が格納されるとともに従属グループのセルが従属するセルにおいては、関連辞書5dにおいて、上記文字列に対応する属性及び関連付け名称が、文字列が格納されたセルに続く従属グループに属するセルに割り付けられるようになっている。
【0063】
なお、品名や摘要という文字列が格納された先頭のセルは、文字列が格納されることにより属性がそのまま文字とされる。
また、同様に、それぞれ、数量、単価、金額が格納されたセルD2、D3、D4には、縦のE2〜L2、E3〜L3、E4〜L4の従属グループが従属している。従って、文字列が格納されたD2、D3、D4に続くE2〜L2、E3〜L3、E4〜L4までの従属グループに属するセルに、関連辞書5dにおいて、数量、単価、金額に対応する属性として数値が割り付けられる。なお、セルD2、D3、D4は、文字列が格納されているので、属性がそのまま文字とされる。
【0064】
また、E2〜L2、E3〜L3、E4〜L4の従属グループに属するセルには、関連辞書5dにおいて、数量、単価、金額に対応する関連付け名称として、それぞれ、数量、単価、金額が割り付けられる。
また、合計が格納されたセルM1には、横のM2〜M5の従属グループが従属している。従って、M2〜M5の従属グループに属するセルに、関連辞書5dにおいて、合計に対応する属性及び関連付け名称として、数値及び合計金額が割り付けれることになるが、ここでは、合計の関連付け名称が合計金額となっており、該関連付け名称が、関連辞書5dの各セルとの関係に示されるように関連付け名称が金額とされたセルとだけ関連するので、関連データが金額とされたセルE4〜L4を含むグループ(D4〜M4)に含まれるM4だけに、属性として数値が割り付けられ、関連付け名称として合計金額が割り付けられる。なお、M2、M3及びM5のセルには、属性を割り付けないものとしても良いし、属性として数値を割り付けるものとしても良い。
【0065】
次に、各セルに割り付けられた関連付け名称と関連辞書5dとに基づいて、演算結果を割り当てる演算結果セル、すなわち、数式が格納されるセルを判別する(ステップS10)。
例えば、関連辞書5dには、今回の帳票データで用いられた関連付け名称のうちの各セルとの関係の演算情報に対応付けられている関連付け名称として、金額、合計金額、消費税額、税込合計金額が登録されている。
【0066】
そして、図4に示すセル領域メモリ5eに示されるように、関連付け名称として、金額、合計金額、消費税額、税込合計金額が割り付けられたセルは、E4〜L4、M4、C3、C1となり、これらのセルが数式が格納される演算結果セルとなる。
次いで、これらの演算結果セルに数式を展開し、該数式をセルに対応してセル領域メモリ5eに格納する(ステップS11)。
【0067】
例えば、E4〜L4のセルにおいては、上述のように関連付け名称が金額とされ、関連辞書5dにおいて、金額に対応する各セルとの関係が数量*単価とされている。
従って、E4〜L4には、関連付け名称が数量のセルに格納される数値に関連付け名称が単価のセルに格納される数値を乗算する数式が格納されることになる。
【0068】
ここで、関連付け名称が数量とされるセルは、E2〜L2であり、関連付け名称が単価とされるセルは、E3〜L3であり、それぞれの関連付け名称に複数のセルが対応している。
このような場合には、基本的に同じグループ内に属するセル同士で演算を行うようになっており、関連付け名称が金額とされたE4のセルには、同じ横のグループに属する関連付け名称が数量とされたE2と、関連付け名称が単価とされたE3とで演算を行う数式が格納されることになり、実際には、E2*E3といった数式が格納される。
【0069】
同様に、関連付け名称が金額とされたF4、G4、H4、I4、J4、K4、L4には、それぞれ同じグループ内に属するセルで、且つ、関連付け名称が数量、単価とされたセル同士を演算させる式として、F2*F3、G2*G3、H2*H3、I2*I3、J2*J3、K2*K3、L2*L3が格納される。
【0070】
また、M4のセルは、関連付け名称が合計金額とされ、関連辞書5dにおいて、合計金額に対応する各セルとの関係が、金額セルの数値合計となっているので、関連付け名称が金額のセルに格納される数値が合計されることになる。
そして、関連付け名称が金額とされたセルは、E4〜L4までのセルであり、これらのセルに格納される数値が合計されることになるので、M4に格納される数式は合計の関数式であるSUMを用いて、SUM(E4:L4)という数式が格納される。
【0071】
また、C3のセルは、関連付け名称が消費税額とされ、関連辞書5dにおいて、消費税額に対応する各セルとの関係が、合計金額*税率となっているので、関連付け名称が合計金額のセルに格納される数値に、関連付け名称が税率のセルに格納された数値を乗算することになる。
そして、関連付け名称が合計金額とされたセルは、M4のセルであり、関連付け名称が税率とされたセルは、C2のセルなので、M4のセルに格納された数値に、C2のセルに格納された数値を乗算することになる。
従って、消費税額とされたC3のセルに、M4*C2という数式が格納されることになる。
【0072】
また、C1のセルは、関連付け名称が税込合計金額とされ、関連辞書5dにおいて、税込合計金額に対応する各セルとの関係の演算情報が、合計金額+消費税額となっているので、関連付け名称が合計金額のセルに格納される数値に、関連付け名称が消費税額のセルに格納された数値を加算することになる。
【0073】
そして、関連付け名称が合計金額とされたセルは、M4のセルであり、関連付け名称が消費税額とされたセルは、C3のセルでなので、M4のセルに格納された数値に、C2のセルに格納された数値を乗算することになる。従って、消費税額とされたC3のセルに、M4+C3という数式が格納されることになる。
【0074】
そして、演算結果セルに数式が割り付けられると表示装置2の表示画面上においては、図11に示すように、帳票データfにおいて演算結果セルに数式が表示された状態となる(ステップS12)。
また、これにより帳票フォーマットを作成する処理が終了することになるが、実際に帳票を作成する際には、上述の帳票データの空白のセルに必要事項を入力するデータ入力処理を行なった後に、帳票データを印刷することになる。
【0075】
なお、図12の帳票データgは、図11に示される表示装置2の表示画面上の帳票データfをデータを入力せずに印字したものであり、各罫線の配置、罫線の太さ、フォントの大きさがイメージリーダ4で読み取られた既存の紙の帳票に基づいて再現されるようになっている。
また、図12の帳票データgにおいては、演算結果セルに数式を表示させるようにして印刷されているが、実際に使用される納品書として帳票データgを印字する場合には、数式は表示されないものとなっている。
【0076】
以上のように、上記帳票処理装置による帳票処理によれば、既存の紙の帳票をイメージ入力した後には、文字の誤認式の訂正や、その他の訂正を必要としないかぎり、自動的にセルに格納するデータを入力するだけの状態となる。すなわち、各セルの属性が決められるとともに、数式が格納されるセルに数式が格納されて、帳票フォーマットが完成した状態となる。
【0077】
従って、オペレータにより帳票フォーマットの設定を行う必要がなく、オペレータの操作を大幅に省力化することができる。
また、帳票フォーマットの作成処理には、基本的に、表計算プログラムについての専門知識が必要であるが、その部分が上記帳票処理方法によりコンピュータで自動処理可能となり、誰でもが簡単に既存の紙の帳票から帳票フォーマットを作成することが可能となる。
【0078】
次に、本発明の実施の形態の第二例の帳票処理装置を説明する。
第二例の帳票処理装置においては、本発明をイメージリーダ4を用いずに、キーボード、マウス等を有する入力装置1を用いた帳票フォーマットの作成処理に応用したものである。
そして、第二例の帳票処理装置は、基本的に、図1に示される第一例の帳票処理装置と同一のものであるが、第二例の帳票処理装置は、イメージリーダ4を必ずしも必要とせず、第一例の帳票処理装置からイメージリーダ4を除いたものとしても良い。
【0079】
また、第二例においては、上述のようにイメージリーダ4が用いられないので、CPU8において、イメージリーダ4により読み取られた紙の帳票のイメージデータから罫線を抽出してその配置位置や太さのデータを読み取ったり、イメージデータ上の文字を認識したりする必要がなく、第二例においてCPU8がイメージデータを用いた認識処理の機能を持たなくても良い。
【0080】
なお、ここでは、第2例の帳票処理装置は、基本的に、第一例の帳票処理装置と同様なものが用いられるものとしてその説明を省略する。
以下に、第二例の帳票処理装置による帳票処理プログラムを用いた帳票処理方法について説明する。
まず、帳票処理装置においては、従来のいわゆる表計算処理プログラムと同様の処理が行われることになり、縦横のセルからなる帳票データにオペレータがデータを入力する状態となる。
【0081】
この際に、表示装置2の表示画面には、左端側に縦に個々の行を示す行番号が表示され、上端側に横に個々の列を示す列番号(ここでは、数字ではなくアルファベットが用いられている)が表示されている。
すなわち、印刷時のフォーマットが決められる前の状態の帳票データが表示されている。
【0082】
例えば、この状態で、オペレータが、帳票で用いられる項目名を入力することになる。
例えば、図13(A)に示すように、帳票データhに、名称、規格、QTY(数量)、単価、金額、備考、合計といった項目名を入力する。
ここまでは、基本的に従来の表計算処理プログラムを用いた表の作成と同様の処理となる。
【0083】
次いで、項目名を入力した後に、例えば、図13(B)に示すように、帳票データiにおいて、演算処理に関係するセルを指定する。ここでは、QTY(数量)、単価、金額及び合計という項目名を指定して選択する。
なお、ここでは、合計という項目名が入力されたセルではなく、合計という項目名が入力されたセルと同じ行で、かつ、金額と同じ列のセルを指定しているが、これは、合計が金額の合計を示すものであり、QTYや単価の合計を示すものではないことを示すものである。
【0084】
なお、合計は、図13(D)に示す関連辞書5dの抜粋5d1において、金額の列の数値合計であり、特に上述のセルを指定しなくとも、合計という項目名が入力されたセルを指定しても良い。
また、ここで用いられる関連辞書5dには、図3に示す関連辞書5dのデータの他に図13(d)の関連辞書5dの抜粋5d1に示されるようなデータが登録されている。
ここで、上記第一例の帳票処理のステップS6以降と同様の処理を開始するようになっており、例えば、帳票処理の開始を命令することにより、項目名として入力された文字列に基づいて関連辞書5dを参照し、セルの属性や他のセルとの関連付けを判別する。
【0085】
ここでは、例えば、図3に示す関連辞書5d及び関連辞書5dの抜粋5diに示すように、金額という文字列に従属するセルの関連付け名称が金額とされるとともに各セルとの関係がQTY*単価とされ、単価という文字列に従属するセルの関連付け名称が単価とされる。
【0086】
また、例えば、QTY(数量)という文字列に従属するセルの関連付け名称がQTYとされ、合計という文字列に従属するセルの関連付け名称が合計金額とされるとともに各セルとの関係が金額の列の数値合計とされている。
次に、第一例のステップS8及びステップS9と同様に、セルのグループ化の処理が行われる。
【0087】
例えば、QTY、単価及び金額という文字列が先頭のセルに入力された各列のセルがそれぞれグループ化されるとともに、横の各行のセルがグループ化される。
また、ここで、先頭のセルに合計という文字列が入力された横(行)のグループとQTY、単価及び金額という文字列が入力された縦(列)のグループとが重なるので、QTY、単価及び金額のグループのうちのこれら文字列に従属する従属グループをそれぞれC2〜C10、D2〜D10、E2〜E10とし、合計に従属する従属グループをB11〜F11とするものとする。
【0088】
そして、上記一例のステップS9の処理と同様に、属性、関連付け名称、グループ情報をセル領域メモリ5eに設定する。
すなわち、各セルに数値、文字等の属性が従属グループ毎に割り付けられる。たとえば、QTY、単価及び金額のそれぞれの従属グループに属性としてそれぞれ数値が割り付けられ、関連付け名称としてそれぞれQTY、単価、金額が割り付けられる。
【0089】
また、合計の従属グループとして、B11〜F11のうちの金額の列であるE11に属性として数値が割り付けられ、関連付け名称として合計金額が割り付けられる。これは、E11が金額の列と合計の行の交点となるセルであり、かつ、合計が関連辞書5dにおいて金額の列の数値合計とされているからである。
【0090】
そして、上記第一例と同様にステップS10の処理を行い、関連辞書5dにおいて、各セルとの関係の演算情報と対応して登録された関連付け名称が割り付けられたセル、ここでは、関連付け名称として金額及び合計金額が割り付けられたセル(E2〜E10、E11)が数式が格納される演算結果セルとされる。
【0091】
そして、上記第一例と同様にステップS11の処理を行い、上記演算結果セルに数式を割り付けることになる。
例えば、図13(C)の帳票データjに示すように、E2〜E10の関連付け名称が金額とされたセルは、各セルとの関係のデータがQTY*単価とされているので、上記第一例の場合と同様に同一行の関連付け名称がQTYとされたセルと、関連付け名称が単価とされたセルとにそれぞれ格納された数値を乗算する数式、例えば、C2*D2、C3*D3、C4*D4、…が格納される。
【0092】
従って、上記第二例の帳票処理においては、第一例のように、既存の紙の帳票のイメージを読み込んで帳票データを作成する場合ではなく、コンピュータ上において最初から帳票データを作成する場合においても、各セルに属性や数式をオペレータが割り付ける必要がなく、項目名を入力するだけで、属性や数式が各セルに割り付けられるので、帳票データの作成を含むいわゆる表計算処理において、オペレータの操作を大幅に省力化することができる。さらに、第二例においては、帳票データ上の指定された範囲のセルにおいて、上記帳票処理を行うことができるので、大きな帳票データなどにおいて、必要の箇所だけ上述のような帳票処理を行うことができ、処理時間の短縮を図ることができる。
なお、上記帳票処理装置においては、上記数式以外の処理として、他のデータファイルからデータを取り出すような処理も定義できるようになっているものとしても良く、例えば、商品名や単価といった文字列に従属するセルに対する処理として商品データファイルから商品コードに対応する商品名や単価を読み出すようにする処理を定義できるようにしても良い。
【0093】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の帳票処理装置によれば、帳票データに項目名となる文字列を入力するだけで、数式を格納すべきセルに数式が格納されてしまうので、帳票フォーマットの作成処理において、オペレータの数式を入力する操作を省力化することができる。また、帳票フォーマットの作成処理において、数式を入力する操作は、少なくとも表計算処理の基礎的知識を必要とするので、表計算処理においてデータ入力しかしたことがない者にとっては、難しい操作となるが、この操作が帳票処理装置により自動処理されてしまうので初心者にも容易に帳票フォーマットの作成を行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の第一例の帳票処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第一例の帳票処理装置の記憶装置に記憶されるデータを説明するための図面である。
【図3】第一例の帳票処理装置の記憶装置に記憶される関連辞書を説明するための図面である。
【図4】第一例の帳票処理装置の記憶装置に記憶されるセル領域メモリを説明するための図面である。
【図5】第一例の帳票処理装置による帳票処理を説明するための図面である。
【図6】第一例の帳票処理装置によりイメージデータとして読み込まれる帳票を示す図面である。
【図7】第一例の帳票処理装置に読み込まれた帳票のイメージデータから抽出される罫線データを示す図面である。
【図8】第一例の帳票処理装置に読み込まれた帳票のイメージデータから作成される帳票データを示す図面である。
【図9】第一例の帳票処理装置に読み込まれた帳票のイメージデータから認識される文字の配置イメージを示す図面である。
【図10】第一例の帳票処理装置により作成されるとともに文字列が入力された帳票データを示す図面である。
【図11】第一例の帳票処理装置により作成されるとともに数式が入力された帳票データを示す図面である。
【図12】第一例の帳票処理装置から出力される帳票を示す図面である。
【図13】第二例の帳票処理装置による帳票処理を説明するための帳票データを示す図面である。
【符号の説明】
1 入力装置(指定手段)
4 イメージリーダ(イメージ読取手段)
6 記憶装置(判別情報記憶手段)
8 CPU(従属セル判別手段、セル判別手段、数式割付手段、認識手段、帳票データ作成手段)
Claims (1)
- 複数のセルからなる帳票のセルに配置される文字列と、上記文字列に対応するセルと他のセルとの関連を示す関連付け名称と、他のセルに格納される数値を用いた数式とを対応づけて記憶する関連辞書と、
上記帳票の帳票イメージから抽出された罫線の状態及び上記帳票イメージから認識された認識文字の配列により、縦の罫線の間に上下に連続して配置される複数のセルを縦方向のグループとする縦方向グループ化手段と、
上記帳票イメージから抽出された罫線の状態及び上記帳票イメージから認識された認識文字の配列により、横の罫線の間に左右に連続して配置される複数のセルを横方向のグループとする横方向グループ化手段と、
上記縦方向グループ化手段により縦方向のグループとされた複数のセル及び上記横方向グループ化手段により横方向のグループとされた複数のセルから、各セルの帳票イメージから認識された認識文字と上記関連辞書に記憶された関連付け名称とを比較して対応する演算結果セルを判別し、この演算結果セルに上記関連辞書に記憶された数式を割り付ける数式割付手段と、
を具備し、
上記帳票のイメージを読み取り、読み取った帳票イメージから罫線を抽出すると共に、文字を認識することにより、帳票の縦方向及び横方向の構造を認識して数式を割り付けるセルを判別し、判別されたセルに数式を割り付けるようにしたことを特徴とする帳票処理装置。
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