JP3663629B2 - 電気化学的水素流量制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学的水素流量制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水素ガスを電極活性物質とする燃料電池が、既に社会に提供されている。燃料電池は、環境負荷が少ないエネルギーとして、その今後の発達が注目されており、水素ガスを如何に制御するかが、燃料電池の普及の技術面より見た一つの焦点となっている。
【0003】
将来は社会に水素ガスが広範囲に普及し、例えば、各家庭に水素ガスが直接配達され、容易に直接の入手が可能となることが予想される。現在のところ、水素ガスの流量制御には、浮式流量計が多用されているが、この方式は誤差が大きいので、より正確な水素流量制御装置が重要となってくる。
【0004】
一方、水素ガスの流量を電気的に制御する方法としては、従来から、浮式流量制御装置の誤差を電気的に読み取り、微調整をしながら水素ガスの流量を制御する方法が採用されている。しかしながら、この方法では、装置は大型化してしまうので、個人が容易に水素ガスを制御することができるパーソナルユースという観点からは、従来の水素流量制御装置は適当ではない。
【0005】
これを改善する技術として、プロトン伝導体を利用して水素ガスをプロトンに転化させることによって、水素量を電気量として制御する方法が提案されており、これによれば、より正確に水素ガスの流量を制御することができる。
【0006】
従来のプロトン導電体としては、室温付近で運転が可能であるポリテトラフルオロエチレンなどを基材とする陽プロトン交換膜、例えば固体高分子プロトン導電性膜(例えばデュポン社製のナフィオン)等が知られている。
【0007】
図6は、プロトン伝導体として固体高分子プロトン導電性膜を用いた従来の水素ガス制御装置の断面を拡大して示す図で、同図において、51は約0.2mmの厚みを有する固体高分子プロトン導電性膜としての、例えばナフィオン、52は白金等の触媒を担持した陽極のガス拡散性電極、53は陽極52と同様の触媒を担持した陰極のガス拡散性電極、54は陽極52側のガス流路、55は陰極53側のガス流路、56は陽極52側の金属集電体、57は陰極53側の金属集電体である。
【0008】
以下、この装置の動作原理について説明する。水素ガスがガス拡散性電極52側のガス流路54に供給されると、この水素ガスは、ガス拡散性電極52上で電子を失い、下記式(1)に従ってH3O+イオンを生成する。
H2+2H2O→2e-+2H3O+…式(1)
【0009】
次いで、上記発生したH3O+イオンは、固体高分子プロトン導電性膜51中の水を伴って、電圧を駆動力として、他方のガス拡散性電極53まで進み、このガス拡散性電極53上で電子を受け取り、下記式(2)に従って再び水素ガスに転化される。
2e-+2H3O+→H2+2H2O…式(2)
【0010】
なお、ガス拡散性電極53上で生成した水素ガスは、固体高分子プロトン導電性膜51を通ることができず、電圧によるイオンの移動力は大きい。また、金属集電体56及び57が各ガス拡散性電極52及び53に電圧を印加すると共に、ガス拡散性電極52、53及び固体高分子プロトン導電性膜51を機械的に補強する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図6に示したような、従来の電気化学的な水素ガス流量制御装置で使用されている固体高分子プロトン導電性膜51、例えばナフィオンは、充分なプロトン導電性が得られる動作温度が80〜100℃であるため、動作温度に起因するような不都合は生じない。
【0012】
しかしながら、プロトン導電性を維持するためには、プロトン導電性膜51に十分な水分が必要であり、また上述したように、H3O+イオンが膜中を移動する際に、水分も一緒に移動するため、陽極52にも水分を補給する必要があった。このために、従来の水素ガス流量制御装置は大規模な加湿装置などを設置する必要があり、装置の大型化は避けられない。
【0013】
また、装置自体に大量の水を含ませる必要があると共に、上記式(2)に示したように、陰極53側で水素ガスが発生すると同時に、水も発生してしまい、陰極53側で発生する水素ガスはかなり多くの水分を含有しているので、水素ガス発生量の制御が困難である。
【0014】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、室温、無加湿雰囲気下で動作することができ、軽量かつコンパクト化が可能である電気化学的水素流量制御装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、プロトン(H+)を生成する第1極と、前記第1極で発生した前記プロトンを水素ガスに転化する第2極と、これらの両極間に挟持されたプロトン伝導性固体電解質膜とからなる電気化学セルと;前記第2極側に所定量の水素ガスを発生させる水素流量制御部と;を有し、前記プロトン伝導性固体電解質膜が、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体からなる、電気化学的水素流量制御装置に係わるものである。
【0016】
ここで、前記「プロトン解離性の基」とは、プロトンが電離により離脱し得る官能基を意味し、また「プロトンの解離」とは、電離によりプロトンが官能基から離れることを意味する。
【0017】
本発明によれば、前記プロトン伝導性固体電解質膜が、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体からなり、かつ前記水素流量制御部を有するので、装置を動作させる際に、ナフィオン等の固体高分子プロトン導電性膜を用いた従来の装置のように水分を補給する必要はなく、乾燥雰囲気下及び室温下で優れたプロトン伝導性を示し、正確に水素ガスの流量を制御することができる。従って、上述した加湿装置などを設ける必要はなく、装置の軽量化及びコンパクト化が可能である。
【0018】
また、加湿をせずに、乾燥雰囲気下で装置を動作させるので、前記フラーレン誘導体からなる前記プロトン伝導性固体電解質膜の寿命の向上を図ることができる。
【0019】
さらに、加湿を必要としないのに加えて、前記第2極側にて発生する水素ガスは、ほとんど水分を含まない状態にあるので、前記水素流量制御部によって水素ガス発生量の制御を容易かつ正確に行うことが可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置は、前記第1極の前記プロトン伝導性固体電解質膜が配されていない面側に水素ガスが供給され、前記水素流量制御部より前記第1極及び前記第2極に所定の電流が与えられ、前記水素ガスが、前記第1極にて前記電流量に対応した量の前記プロトンに電気分解され、この発生した前記プロトンを前記プロトン伝導性固体電解質膜を通して前記第2極へ移動させ、前記第2極で前記プロトンを再び水素ガスに転化することにより、前記第2極側にて一定量の水素ガスを得ることが望ましい。
【0021】
即ち、本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置は、前記プロトン伝導性固体電解質膜に電圧を印加すると、前記第1極で発生した前記プロトンは前記プロトン伝導性固体電解質膜内で電圧の印加方向と逆向きに移動し、移動した前記プロトンは前記第2極側の前記プロトン伝導性固体電解質膜の表面で水素ガスに再び転化される。
【0022】
このようにして生じる水素ガス量は、前記プロトン伝導性固体電解質膜における下記式(3)で表される通電量によって決まるため、前記水素流量制御部を用いて前記プロトン伝導性固体電解質膜における通電量を制御することによって、水素ガスの発生量(流量)を制御することができる。
【0023】
E=E0+(RT/2F)×ln(P2/P1)+ir…式(3)
(但し、上記式(3)において、E0は水素ガスのイオン化電位、Rは気体定数、Tは温度、Fはファラデー定数、P1は前記第1極側の水素ガス圧力、P2は前記第2極側の水素ガス圧力、iは電流、rは電気抵抗である。)
【0024】
ここで前記両極にかかる電圧について内訳を見ると、右辺第1項のイオン化電位E0はほぼ0Vに等しく、第2項はいわゆるネルンスト加電圧であり、この加電圧は前記両極のガス圧力で決まるが、両極のガス圧力が1気圧の時、0Vである。そして、第3項の抵抗は膜抵抗が主なものであり、全電圧の大半を占めている。
【0025】
例えば、この時の水素流量(S(ml/min))は、下記式(4)のように示される。
【0026】
S=(i/193000)×22400×60…式(4)
(但し、上記式(4)において、
1A・s=1C、
2F=193000C/mol、
H2(1モル)=22400ml、
である。)
【0027】
図1は、本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置の概略断面図である。
【0028】
本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置1は、電気化学セル2と、水素流量制御部3と、ガス流路4及び5とから構成されている。
【0029】
電気化学セル2は、白金等の触媒を担持した前記第1極としての陽極のガス拡散性電極6と、白金等の触媒を担持した前記第2極としての陰極のガス拡散性電極7と、これらの両極間に挟持されたプロトン伝導性固体電解質膜8と、陽極6側の金属集電体9と、陰極7側の金属集電体10とから構成されている。即ち、陽極6と、陰極7との間に膜状のプロトン伝導性固体電解質膜8が挟持されている、メンブレン(薄膜)と電極の多層膜(MEA膜:Membrane & electroassembly)である。
【0030】
前記多層膜の作製方法としては、例えば、前記フラーレン誘導体を原料としたプロトン伝導性固体電解質膜8、同材料を多孔性の膜に含浸させてなるプロトン伝導性固体電解質膜8、又は同材料をバインダーと共に混合してなるプロトン伝導性固体電解質膜8の両面に、前記触媒を担持させたガス拡散性電極6及び7を重ねてプレスすることにより、プロトン伝導性の固体電解質膜8とガス拡散電極6、7とからなる前記多層膜(MEA膜)を作製することができる。なお、MEA膜の面積は、例えば12cm2である。
【0031】
プロトン伝導性固体電解質膜8は、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなる前記フラーレン誘導体からなり、例えば約0.03mmの厚みを有している。また、その両面に触媒層が設けられていることが好ましく、前記触媒層を設けることによって、水素の電気化学的な分解の効率をより良好にし、一層プロトン発生効率の向上を図ることが可能である。
【0032】
ガス拡散性電極6、7は、耐熱性を有し、できるだけ表面積の大きいこと、また表面に担持された前記触媒を介してプロトン伝導性固体電解質膜8と電極6、7が全面にわたって密着可能であること、プロトン伝導性固体電解質膜8に密着できるように、ある程度の柔軟性を有すること、更に活性化電極であることが好ましい。
【0033】
従って、陽極6及び陰極7は、多孔性又はメッシュ状であることが好ましく、例えばカーボンファイバーや多孔質カーボンを材料として、これらをシート状にし、プロトン伝導性固体電解質膜8と密着する側に、活性な触媒を担持させることによって、作製することができる。また、このようなシート状電極材には、心材として金属線を編んで作った網状のものを入れたり、貼り付けることも可能である。金属心材を入れたり、貼り付けることにより、電極自体の導電性が向上し、全面にわたり均一な電流分布が期待できる。
【0034】
前記触媒は、例えば白金や酸化ルテニウム、酸化イリジウム等の微粒子であることが望ましく、また銀など他の電極物質でも本目的の反応が進行するものであってもよい。
【0035】
ガス拡散性電極6、7への前記触媒の担持は通常の方法でよく、例えば、炭素粉末の表面に前記触媒物質又はその前駆体を担持し、それに加熱などの処理を加えて、触媒粒子を形成し、それを電極面にフッ素樹脂と共に焼き付ける方法でもよく、また前記触媒物質を担持していない電極体を予め作製し、その後に前記触媒物質の前駆体、例えば塩化白金酸と塩化ルテニウム酸の混合水溶液、又はブチルアルコール溶液を塗布液として、これを電極面に塗布した後、水素を含有する還元雰囲気中で、200から350℃で焼成することにより、白金とルテニウムの合金を電極表面に形成できる。
【0036】
また、電気化学セル2は、プロトン伝導性固体電解質膜8と、ガス拡散性電極6、7とが交互に積層されて一体構造に形成されていてもよく、この場合は、より高い水素発生率を容易に得られるという効果がある。
【0037】
水素流量制御部3は、陽極6及び陰極7に所定の電流を供給し、陽極6にて前記電流量に対応した量の前記プロトンを発生させることにより、陰極7側で発生させる水素ガスの発生量の制御を行う。なお、水素流量制御部3は、電極6、7に流れる電流を制御するものであるので、電流値が任意に変化可能な、可変定電流源であればどのような制御方式であってもよい。
【0038】
本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置1は、プロトン伝導性固体電解質膜8に電圧を印加すると、陽極6側のガス流路4に供給された水素ガスが、陽極6上でプロトンに分離され、このプロトンはプロトン伝導性固体電解質膜8内で電圧の印加方向と逆向きに移動し、移動したプロトンは陰極7側のプロトン伝導性固体電解質膜8の表面で水素ガスに再び転化され、陰極7側のガス流路5へと流れる。陰極7側のガス流路5には、所定量の窒素ガス又は水素ガスが供給されており、陰極7側で発生した水素ガスは前記窒素ガス又は水素ガスと共に、吸引ポンプ11によって陰極7側のガス流路5に設けられたガスクロマトグラフィー12へと流れ、このガスクロマトグラフィー12を用いて定量分析される。
【0039】
このようにして生じる水素ガス量は、プロトン伝導性固体電解質膜8における上記式(3)で表される通電量によって決まるため、水素流量制御部3を用いてプロトン伝導性固体電解質膜8における通電量を制御することによって、水素ガスの発生量(流量)を制御することができる。
【0040】
以下に、水素ガスの発生メカニズムについて説明する。
【0041】
陽極6側の水素ガス流路4に供給された水素ガスは、ガス拡散性電極6上で電子を失い、下記式(5)に従ってプロトンを生成する。
H2→2e-+2H+…式(5)
【0042】
陽極6にて生成したプロトンは、電圧を駆動力として、プロトン伝導性固体電解質膜8を通過してガス拡散性電極7まで進み、ガス拡散性電極7上で電子を受け取ることで、下記式(6)に従って再び水素ガスに転化される。
2H++2e-→H2…式(6)
【0043】
この反応における望ましい温度域は−50℃から300℃であり、更に望ましくは−40℃から160℃である。
【0044】
ガス拡散性電極7上で生成した水素ガスは、プロトン伝導性固体電解質膜8を通ることができず、電圧によるイオンの移動力は大きい。
【0045】
また、金属集電体9、10が各ガス拡散性電極6、7に電圧を印加すると共に、ガス拡散性電極6、7及びプロトン伝導性固体電解質膜8を機械的に補強する役目を持つ。この金属集電体9及び10の材質は特に限定されないが、耐熱性、耐食性を有する金属からなることが望ましく、例えば、チタンメッシュ表面に酸化ルテニウムなどの導電性の安定な導電性酸化物を被覆したものなどが好ましく用いられる。
【0046】
本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置1によれば、プロトン伝導性固体電解質膜8が、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなる前記フラーレン誘導体からなり、かつ水素流量制御部3を有するので、装置1を動作させる際に、ナフィオン等の固体高分子プロトン導電性膜を用いた従来の装置のように水分を補給する必要はなく、乾燥雰囲気下及び室温下で優れたプロトン伝導性を示し、正確に水素ガスの流量を制御することができる。従って、上述した加湿装置などを設ける必要はなく、装置1の軽量化及びコンパクト化が可能である。
【0047】
また、加湿をせずに、乾燥雰囲気下で装置1を動作させるので、前記フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性固体電解質膜8の寿命の向上を図ることができる。
【0048】
さらに、加湿を必要としないのに加えて、陰極7側にて発生する水素ガスは、ほとんど水分を含まない状態にあるので、水素流量制御部3によって水素ガス発生量の制御を容易かつ正確に行うことが可能である。
【0049】
また、本発明に基づく装置1によれば、無加湿雰囲気下で動作する前記フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性固体電解質膜8を使用するので、電気化学セル2の陽極6側のガス流路4に空気を送り込み、水の電解電圧1.23V以上の電圧を印加することによって、空気中に含まれる水蒸気成分を分解し、水素ガスを製造し、水素流量制御することもできる。この場合において、陽極6及び陰極7では下記式(7)及び(8)に示される反応が起こる。
【0050】
陽極反応:H2O→2H++1/2O2+2e-(1.23V)…式(7)
陰極反応:2H++2e-→H2(0.0V)…式(8)
(トータル:H2O→H2+1/2O2)
【0051】
なお、理論分解電圧は1.23Vであるが、実際にはこれに電極過電圧、電気抵抗などが加わって、電解電圧は1.5Vから2V程度になる。この方法によれば、水の電気化学分解による水素製造流量制御機能を有する軽量かつコンパクトな電気化学的水素流量制御装置を実現することができる。
【0052】
ここで、水素流量制御部3は着脱可能な構造であってもよく、水素流量制御部3をはずした状態では、本発明に基づく装置1は例えば燃料電池としても使用可能となり得る。この場合は、陰極7側のガス流路5の窒素ガス又は水素ガスに代えて、酸素ガスを供給すればよい。
【0053】
前記プロトン解離性の基の導入対象となる母体としての前記フラーレン分子は、球殻状クラスター分子Cm(mはCmが球殻状構造を形成し得る自然数。)であれば特に限定しないが、通常はC36、C60、C70、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96などから選ばれるフラーレン分子の単体、若しくはこれらの2種類以上の混合物が好ましく用いられる。
【0054】
これらのフラーレン分子は、1985年に炭素のレーザーアブレーションによるクラスタービームの質量分析スペクトル中に発見された(Kroto, H.W.; Heath, J.R.; O'Brien, S.C.; Curl, R.F.; Smalley, R.E. Nature 1985. 318,162.)。実際にその製造方法が確立されるのは更に5年後のことで、1990年に炭素電極のアーク放電法による製造法が見出され、それ以来、フラーレンは炭素系半導体材料等として注目されてきた。
【0055】
図2に示す如く、フラーレン分子に複数の水酸基を付加した構造を持つフラレノール(Fullerenol)は、1992年にChiangらによって最初に合成例が報告された(Chiang, L.Y.; Swirczewski, J.W.; Hsu, C.S.; Chowdhury, S.K.; Cameron, S.; Creegan, K., J. Chem. Soc, Chem. Commun. 1992, 1791)。
【0056】
そうしたフラレノールを図3(A)に概略図示するように凝集体とし、近接し合ったフラレノール分子(図中、○はフラーレン分子を示す。)の水酸基同士に相互作用が生じるようにすれば、この凝集体はマクロな集合体として高いプロトン伝導特性(換言すれば、フラレノール分子のフェノール性水酸基からのH+の解離性)を発揮することができる。
【0057】
本実施の形態によれば、上記フラレノール以外に例えば複数の−OSO3H基をもつフラーレンの凝集体を前記プロトン伝導性固体電解質膜として用いることもできる。OH基がOSO3H基と置き換わった図3(B)に示すようなポリ水酸化フラーレン、即ち硫酸水素エステル化フラレノールは、やはりChiangらによって1994年に報告されている(Chiang, L.Y.; Wang, L.Y.; Swirczewski, J.W.; Soled, S.; Cameron, S., J. Org. Chem. 1994, 59, 3960)。硫酸水素エステル化されたフラーレンには、ひとつの分子内にOSO3H基のみを含むものもあるし、或いはこの基と水酸基をそれぞれ複数、持たせることも可能である。
【0058】
上述したフラレノール及び硫酸水素エステル化フラレノールを多数凝集させた時、どれがバルクとして示すプロトン伝導性は、分子内に元々含まれる大量の水酸基やOSO3H基に由来するプロトンが移動に直接関わるため、乾燥雰囲気下においても、継続的に使用することができる。
【0059】
また、これらの分子の基体となっているフラーレンは特に求電子性の性質を持ち、このことが酸性度の高いOSO3H基のみならず、水酸基等においても水素イオンの電離の促進に大きく寄与していると考えられ、優れたプロトン伝導性を示す。また、一つのフラーレン分子中にかなり多くの水酸基及びOSO3H基等を導入することができるため、伝導に関与するプロトンの、伝導体の単位体積あたりの数密度が非常に多くなるので、実質的な伝導率を発現する。
【0060】
上記フラレノール及び硫酸水素エステル化フラレノールは、その殆どが、フラーレンの炭素原子で構成されているため、重量が軽く、変質もし難く、また汚染物質も含まれていない。フラーレンの製造コストも急激に低下しつつある。資源的、環境的、経済的にみて、フラーレンは他のどの材料にもまして、理想に近い炭素系材料であると考えられる。
【0061】
さらに、上記プロトン解離性の基は、前述した水酸基やOSO3H基に限定する必要はない。
【0062】
即ち、この解離性の基は式−XHで表され、Xは2価の結合手を有する任意の原子若しくは原子団であればよい。更には、この基は式−OH又は−YOHで表され、Yは2価の結合手を有する任意の原子若しくは原子団であればよい。
【0063】
具体的には、上記プロトン解離性の基としては、上記−OH、−OSO3H以外に−COOH、−SO3H、−OPO(OH)2、−C6H4−SO3Hのいずれかが好ましい。
【0064】
本発明に使用可能な上記フラレノール等を合成するには、フラーレン分子の粉末に対し、例えば酸処理や加水分解等の公知の処理を適宜組み合わせて施すことにより、フラーレン分子の構成炭素原子に所望の基を導入することができる。
【0065】
そして、得られる上記フラーレン誘導体を塗布や蒸着法により膜状に形成して、前記電気化学セルの前記プロトン伝導性固体電解質膜に利用することができる。
【0066】
前記プロトン伝導性固体電解質膜が実質的にフラーレン誘導体のみからなるか、或いは結合剤によって結着されていてもよい。
【0067】
前記プロトン伝導性固体電解質膜が、実質的にフラーレン誘導体のみからなる場合、上記フラーレン誘導体を加圧成形してなる膜状の前記プロトン伝導性固体電解質膜として用いることができる。結合剤によって結着されている上記フラーレン誘導体を、前記プロトン伝導性固体電解質膜として用いる場合、上記結合剤によって強度の十分な前記プロトン伝導性固体電解質膜を形成できる。
【0068】
上記結合剤として使用可能な高分子材料としては、公知の成膜性を有するポリマーの1種又は2種以上が用いられる。このような構成のプロトン伝導性固体電解質膜も、上記フラーレン誘導体のみからなるプロトン伝導性固体電解質膜と同様のプロトン伝導性を発揮することができる。
【0069】
しかも、フラーレン誘導体単独の場合と違って、高分子材料に由来する成膜性が付与されており、フラーレン誘導体の粉末圧縮成形品に比べ、強度が大きく、かつガス透過防止能を有する柔軟な前記プロトン伝導性薄膜(厚みは通常300μm以下)として用いることができる。
【0070】
なお、前記高分子材料としては、プロトンの伝導性をできるだけ阻害(フラーレン誘導体との反応による)せず、成膜性を有するものなら、特に限定はしない。通常は、電子伝導性を持たず、良好な安定性を有するものが用いられ、その具体例を挙げると、ポリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール等があり、これらは次に述べる理由からも、好ましい高分子材料である。
【0071】
まず、ポリテトラフルオロエチレンが好ましいのは、他の高分子材料に比べ、少量の配合量で強度のより大きな薄膜を容易に成膜できるからである。この場合の配合量は、3重量%以下、好ましくは0.5〜1.5重量%と少量ですみ、薄膜の厚みは通常、100μmから1μmまでと薄くできる。
【0072】
また、ポリフッ化ビニリデンやポリビニルアルコールが好ましいのは、より優れたガス透過防止能を有するプロトン伝導性薄膜が得られるからである。この場合の配合量は5〜15重量%の範囲とするのがよい。
【0073】
ポリフルオロエチレンにせよ、ポリフッ化ビニリデンやポリビニルアルコールにせよ、それらの配合量が上述したそれぞれの範囲の下限値を下回ると、成膜に悪影響を及ぼすことがある。
【0074】
本実施の形態の各フラーレン誘導体が結合剤によって結着されてなる前記プロトン伝導性固体電解質膜の薄膜を得るには、加圧成形や押出し成形をはじめ、公知の成膜法を用いればよい。
【0075】
なお、本発明に基づく装置は、取り扱い、小型化の点からは、前記ガス透過性電極と前記プロトン伝導性固体電解質膜としてのフラーレン誘導体とが、物理的に十分な強度を有する、フレキシブルなシート状であることが好ましい。
【0076】
前記電気化学セルは、大気中で良好に機能することができるため、動作時の温度、湿度等の調整を行わなくても、効率的に水素ガスを製造し、流量制御することができる。
【0077】
また、フラレノール等のフラーレン分子を構成する炭素原子に前記プロトン解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体を前記プロトン伝導性固体電解質膜の構成材料として使用するので、H3O+イオン伝導体であるナフィオンを用いた場合と違い、加湿装置等を設置する必要はなく、乾燥状態において好適に機能し、前記プロトン伝導性固体電解質膜の長寿命化を図ることができる。
【0078】
H3O+イオン伝導体であるナフィオンを用いた場合、水素ガスの製造と共に、水も発生してしまうため、除湿装置を必要とするのに対して、本実施の形態は、発生する水素ガスが水分を含まないので、除湿装置等がなくても、水素ガスの製造を可能とし、正確な水素ガスの流量制御を行うことができる。
【0079】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0080】
実施例1
まず、前記フラーレン誘導体を用いて前記プロトン伝導性固体電解質膜を形成し、図1に示すような電気化学的水素流量制御装置1を作製した。
【0081】
そして、室温及び乾燥雰囲気下で、陰極7側のガス流路5に窒素ガスを流し、ガス流路5の内部を窒素ガスで置換した。次いで、陽極6側のガス流路4を介して、陽極6の電極表面に水素ガスを50ml/minの速度で供給しながら両電極間に0〜1Aの電流を流した。供給された水素ガスは陽極6側でプロトンに分離され、このプロトンはフラーレン系プロトン伝導性固体電解質膜8内を通過し、陰極7上で再び水素ガスに転化され、陰極7側のガス流路5の窒素ガス中に排出された。このときの陰極7側のガス流路5における窒素ガス中の水素分圧変化をガスクロマトグラフィー12を用いて測定した。結果を図4に示す。
【0082】
図4より明らかなように、0〜1Aの電流を流した時、水素分圧の上昇速度は電流に比例している。また、プロトン伝導性固体電解質膜8を通過したプロトン量の理論値は、プロトン伝導性固体電解質膜8を流れた電流量をもとに、プロトン伝導性固体電解質膜8を流れる電流が全てプロトンの移動によるものとして算出できる。従って、製造された水素ガスの理論モル量mはファラデーの法則から電流Iと時間tの積分で表され、下記式(9)のように示される。
【0083】
【数1】
(但し、上記式(9)において、mは水素ガスの理論モル量、Iは電流、tは時間、Fはファラデー定数である。)
【0084】
上記式(9)に従って得られた透過水素量の実測値と理論値とを比較した結果、フラーレン系プロトン伝導性固体電解質膜8はいずれも、100%に近い電流効率を有することが示された。即ち、フラーレン系プロトン伝導性固体電解質膜8を透過したプロトン量の実測値と、電流値から算出した透過プロトン量の理論値とはほぼ一致した。
【0085】
実施例2
まず、前記フラーレン誘導体を用いて前記プロトン伝導性固体電解質膜を形成し、図1に示すような電気化学的水素流量制御装置1を作製した。
【0086】
そして、室温及び乾燥雰囲気下で、陰極7及び陽極6側のガス流路4及び5に窒素ガスを流し、ガス流路4及び5の内部を窒素ガスで置換した。次いで、陽極6側のガス流路4を介して、陽極6の電極表面に水素ガスを50ml/minの速度で供給し、0.2Aの電流を供給した。このときの陰極7側の水素ガス、窒素ガス、水の濃度変化を測定した。なお、この時の印加電圧は変化していない。結果を図5に示す。
【0087】
図5より明らかなように、陰極7側で発生した水素ガスに対する水分の量は、24時間で1%以下であった。
【0088】
以上より明らかなように、本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置1によれば、陰極7側で生じる水素ガス量は、プロトン伝導性固体電解質膜8における上記式(3)で表される通電量によって決まるため、水素流量制御部3を用いてプロトン伝導性固体電解質膜8における通電量を制御することによって、水素ガスの発生量(流量)を制御することができる。
【0089】
また、プロトン伝導性固体電解質膜8が、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなる前記フラーレン誘導体からなり、かつ水素流量制御部3を有するので、装置1を動作させる際に、ナフィオン等の固体高分子プロトン導電性膜を用いた従来の装置のように水分を補給する必要はなく、乾燥雰囲気下及び室温下で優れたプロトン伝導性を示し、正確に水素ガスの流量を制御することができる。従って、上述した加湿装置などを設ける必要はなく、装置1の軽量化及びコンパクト化が可能である。
【0090】
また、加湿をせずに、乾燥雰囲気下で装置1を動作させるので、前記フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性固体電解質膜8の寿命の向上を図ることができる。
【0091】
さらに、加湿を必要としないのに加えて、陰極7側にて発生する水素ガスは、ほとんど水分を含まない状態にあるので、水素流量制御部3によって水素ガス発生量の制御を容易かつ正確に行うことが可能である。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、前記プロトン伝導性固体電解質膜が、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体からなり、かつ前記水素流量制御部を有するので、装置を動作させる際に、ナフィオン等の固体高分子プロトン導電性膜を用いた従来の装置のように水分を補給する必要はなく、乾燥雰囲気下及び室温下で優れたプロトン伝導性を示し、正確に水素ガスの流量を制御することができる。従って、上述した加湿装置などを設ける必要はなく、装置の軽量化及びコンパクト化が可能である。
【0093】
また、加湿をせずに、乾燥雰囲気下で装置を動作させるので、前記フラーレン誘導体からなる前記プロトン伝導性固体電解質膜の寿命の向上を図ることができる。
【0094】
さらに、加湿を必要としないのに加えて、前記第2極側にて発生する水素ガスは、ほとんど水分を含まない状態にあるので、前記水素流量制御部によって水素ガス発生量の制御を容易かつ正確に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による電気化学的水素流量制御装置の概略断面図である。
【図2】本実施の形態に使用可能なフラーレン誘導体の一例であるポリ水酸化フラーレンの構造図である。
【図3】同、フラーレン誘導体の例を示す模式図である。
【図4】本実施例による電流と水素分圧の関係を示すグラフである。
【図5】同、時間による水素ガス、窒素ガス及び水の濃度変化を示すグラフである。
【図6】従来例による水素流量制御装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1…電気化学的水素流量制御装置、2…電気化学セル、3…水素流量制御部、
4、5…ガス流路、6…(陽極)ガス拡散性電極、
7…(陰極)ガス拡散性電極、8…プロトン伝導性固体電解質膜、
9、10…金属集電体、11…吸引ポンプ、12…ガスクロマトグラフィー
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学的水素流量制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水素ガスを電極活性物質とする燃料電池が、既に社会に提供されている。燃料電池は、環境負荷が少ないエネルギーとして、その今後の発達が注目されており、水素ガスを如何に制御するかが、燃料電池の普及の技術面より見た一つの焦点となっている。
【0003】
将来は社会に水素ガスが広範囲に普及し、例えば、各家庭に水素ガスが直接配達され、容易に直接の入手が可能となることが予想される。現在のところ、水素ガスの流量制御には、浮式流量計が多用されているが、この方式は誤差が大きいので、より正確な水素流量制御装置が重要となってくる。
【0004】
一方、水素ガスの流量を電気的に制御する方法としては、従来から、浮式流量制御装置の誤差を電気的に読み取り、微調整をしながら水素ガスの流量を制御する方法が採用されている。しかしながら、この方法では、装置は大型化してしまうので、個人が容易に水素ガスを制御することができるパーソナルユースという観点からは、従来の水素流量制御装置は適当ではない。
【0005】
これを改善する技術として、プロトン伝導体を利用して水素ガスをプロトンに転化させることによって、水素量を電気量として制御する方法が提案されており、これによれば、より正確に水素ガスの流量を制御することができる。
【0006】
従来のプロトン導電体としては、室温付近で運転が可能であるポリテトラフルオロエチレンなどを基材とする陽プロトン交換膜、例えば固体高分子プロトン導電性膜(例えばデュポン社製のナフィオン)等が知られている。
【0007】
図6は、プロトン伝導体として固体高分子プロトン導電性膜を用いた従来の水素ガス制御装置の断面を拡大して示す図で、同図において、51は約0.2mmの厚みを有する固体高分子プロトン導電性膜としての、例えばナフィオン、52は白金等の触媒を担持した陽極のガス拡散性電極、53は陽極52と同様の触媒を担持した陰極のガス拡散性電極、54は陽極52側のガス流路、55は陰極53側のガス流路、56は陽極52側の金属集電体、57は陰極53側の金属集電体である。
【0008】
以下、この装置の動作原理について説明する。水素ガスがガス拡散性電極52側のガス流路54に供給されると、この水素ガスは、ガス拡散性電極52上で電子を失い、下記式(1)に従ってH3O+イオンを生成する。
H2+2H2O→2e-+2H3O+…式(1)
【0009】
次いで、上記発生したH3O+イオンは、固体高分子プロトン導電性膜51中の水を伴って、電圧を駆動力として、他方のガス拡散性電極53まで進み、このガス拡散性電極53上で電子を受け取り、下記式(2)に従って再び水素ガスに転化される。
2e-+2H3O+→H2+2H2O…式(2)
【0010】
なお、ガス拡散性電極53上で生成した水素ガスは、固体高分子プロトン導電性膜51を通ることができず、電圧によるイオンの移動力は大きい。また、金属集電体56及び57が各ガス拡散性電極52及び53に電圧を印加すると共に、ガス拡散性電極52、53及び固体高分子プロトン導電性膜51を機械的に補強する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図6に示したような、従来の電気化学的な水素ガス流量制御装置で使用されている固体高分子プロトン導電性膜51、例えばナフィオンは、充分なプロトン導電性が得られる動作温度が80〜100℃であるため、動作温度に起因するような不都合は生じない。
【0012】
しかしながら、プロトン導電性を維持するためには、プロトン導電性膜51に十分な水分が必要であり、また上述したように、H3O+イオンが膜中を移動する際に、水分も一緒に移動するため、陽極52にも水分を補給する必要があった。このために、従来の水素ガス流量制御装置は大規模な加湿装置などを設置する必要があり、装置の大型化は避けられない。
【0013】
また、装置自体に大量の水を含ませる必要があると共に、上記式(2)に示したように、陰極53側で水素ガスが発生すると同時に、水も発生してしまい、陰極53側で発生する水素ガスはかなり多くの水分を含有しているので、水素ガス発生量の制御が困難である。
【0014】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、室温、無加湿雰囲気下で動作することができ、軽量かつコンパクト化が可能である電気化学的水素流量制御装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、プロトン(H+)を生成する第1極と、前記第1極で発生した前記プロトンを水素ガスに転化する第2極と、これらの両極間に挟持されたプロトン伝導性固体電解質膜とからなる電気化学セルと;前記第2極側に所定量の水素ガスを発生させる水素流量制御部と;を有し、前記プロトン伝導性固体電解質膜が、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体からなる、電気化学的水素流量制御装置に係わるものである。
【0016】
ここで、前記「プロトン解離性の基」とは、プロトンが電離により離脱し得る官能基を意味し、また「プロトンの解離」とは、電離によりプロトンが官能基から離れることを意味する。
【0017】
本発明によれば、前記プロトン伝導性固体電解質膜が、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体からなり、かつ前記水素流量制御部を有するので、装置を動作させる際に、ナフィオン等の固体高分子プロトン導電性膜を用いた従来の装置のように水分を補給する必要はなく、乾燥雰囲気下及び室温下で優れたプロトン伝導性を示し、正確に水素ガスの流量を制御することができる。従って、上述した加湿装置などを設ける必要はなく、装置の軽量化及びコンパクト化が可能である。
【0018】
また、加湿をせずに、乾燥雰囲気下で装置を動作させるので、前記フラーレン誘導体からなる前記プロトン伝導性固体電解質膜の寿命の向上を図ることができる。
【0019】
さらに、加湿を必要としないのに加えて、前記第2極側にて発生する水素ガスは、ほとんど水分を含まない状態にあるので、前記水素流量制御部によって水素ガス発生量の制御を容易かつ正確に行うことが可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置は、前記第1極の前記プロトン伝導性固体電解質膜が配されていない面側に水素ガスが供給され、前記水素流量制御部より前記第1極及び前記第2極に所定の電流が与えられ、前記水素ガスが、前記第1極にて前記電流量に対応した量の前記プロトンに電気分解され、この発生した前記プロトンを前記プロトン伝導性固体電解質膜を通して前記第2極へ移動させ、前記第2極で前記プロトンを再び水素ガスに転化することにより、前記第2極側にて一定量の水素ガスを得ることが望ましい。
【0021】
即ち、本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置は、前記プロトン伝導性固体電解質膜に電圧を印加すると、前記第1極で発生した前記プロトンは前記プロトン伝導性固体電解質膜内で電圧の印加方向と逆向きに移動し、移動した前記プロトンは前記第2極側の前記プロトン伝導性固体電解質膜の表面で水素ガスに再び転化される。
【0022】
このようにして生じる水素ガス量は、前記プロトン伝導性固体電解質膜における下記式(3)で表される通電量によって決まるため、前記水素流量制御部を用いて前記プロトン伝導性固体電解質膜における通電量を制御することによって、水素ガスの発生量(流量)を制御することができる。
【0023】
E=E0+(RT/2F)×ln(P2/P1)+ir…式(3)
(但し、上記式(3)において、E0は水素ガスのイオン化電位、Rは気体定数、Tは温度、Fはファラデー定数、P1は前記第1極側の水素ガス圧力、P2は前記第2極側の水素ガス圧力、iは電流、rは電気抵抗である。)
【0024】
ここで前記両極にかかる電圧について内訳を見ると、右辺第1項のイオン化電位E0はほぼ0Vに等しく、第2項はいわゆるネルンスト加電圧であり、この加電圧は前記両極のガス圧力で決まるが、両極のガス圧力が1気圧の時、0Vである。そして、第3項の抵抗は膜抵抗が主なものであり、全電圧の大半を占めている。
【0025】
例えば、この時の水素流量(S(ml/min))は、下記式(4)のように示される。
【0026】
S=(i/193000)×22400×60…式(4)
(但し、上記式(4)において、
1A・s=1C、
2F=193000C/mol、
H2(1モル)=22400ml、
である。)
【0027】
図1は、本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置の概略断面図である。
【0028】
本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置1は、電気化学セル2と、水素流量制御部3と、ガス流路4及び5とから構成されている。
【0029】
電気化学セル2は、白金等の触媒を担持した前記第1極としての陽極のガス拡散性電極6と、白金等の触媒を担持した前記第2極としての陰極のガス拡散性電極7と、これらの両極間に挟持されたプロトン伝導性固体電解質膜8と、陽極6側の金属集電体9と、陰極7側の金属集電体10とから構成されている。即ち、陽極6と、陰極7との間に膜状のプロトン伝導性固体電解質膜8が挟持されている、メンブレン(薄膜)と電極の多層膜(MEA膜:Membrane & electroassembly)である。
【0030】
前記多層膜の作製方法としては、例えば、前記フラーレン誘導体を原料としたプロトン伝導性固体電解質膜8、同材料を多孔性の膜に含浸させてなるプロトン伝導性固体電解質膜8、又は同材料をバインダーと共に混合してなるプロトン伝導性固体電解質膜8の両面に、前記触媒を担持させたガス拡散性電極6及び7を重ねてプレスすることにより、プロトン伝導性の固体電解質膜8とガス拡散電極6、7とからなる前記多層膜(MEA膜)を作製することができる。なお、MEA膜の面積は、例えば12cm2である。
【0031】
プロトン伝導性固体電解質膜8は、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなる前記フラーレン誘導体からなり、例えば約0.03mmの厚みを有している。また、その両面に触媒層が設けられていることが好ましく、前記触媒層を設けることによって、水素の電気化学的な分解の効率をより良好にし、一層プロトン発生効率の向上を図ることが可能である。
【0032】
ガス拡散性電極6、7は、耐熱性を有し、できるだけ表面積の大きいこと、また表面に担持された前記触媒を介してプロトン伝導性固体電解質膜8と電極6、7が全面にわたって密着可能であること、プロトン伝導性固体電解質膜8に密着できるように、ある程度の柔軟性を有すること、更に活性化電極であることが好ましい。
【0033】
従って、陽極6及び陰極7は、多孔性又はメッシュ状であることが好ましく、例えばカーボンファイバーや多孔質カーボンを材料として、これらをシート状にし、プロトン伝導性固体電解質膜8と密着する側に、活性な触媒を担持させることによって、作製することができる。また、このようなシート状電極材には、心材として金属線を編んで作った網状のものを入れたり、貼り付けることも可能である。金属心材を入れたり、貼り付けることにより、電極自体の導電性が向上し、全面にわたり均一な電流分布が期待できる。
【0034】
前記触媒は、例えば白金や酸化ルテニウム、酸化イリジウム等の微粒子であることが望ましく、また銀など他の電極物質でも本目的の反応が進行するものであってもよい。
【0035】
ガス拡散性電極6、7への前記触媒の担持は通常の方法でよく、例えば、炭素粉末の表面に前記触媒物質又はその前駆体を担持し、それに加熱などの処理を加えて、触媒粒子を形成し、それを電極面にフッ素樹脂と共に焼き付ける方法でもよく、また前記触媒物質を担持していない電極体を予め作製し、その後に前記触媒物質の前駆体、例えば塩化白金酸と塩化ルテニウム酸の混合水溶液、又はブチルアルコール溶液を塗布液として、これを電極面に塗布した後、水素を含有する還元雰囲気中で、200から350℃で焼成することにより、白金とルテニウムの合金を電極表面に形成できる。
【0036】
また、電気化学セル2は、プロトン伝導性固体電解質膜8と、ガス拡散性電極6、7とが交互に積層されて一体構造に形成されていてもよく、この場合は、より高い水素発生率を容易に得られるという効果がある。
【0037】
水素流量制御部3は、陽極6及び陰極7に所定の電流を供給し、陽極6にて前記電流量に対応した量の前記プロトンを発生させることにより、陰極7側で発生させる水素ガスの発生量の制御を行う。なお、水素流量制御部3は、電極6、7に流れる電流を制御するものであるので、電流値が任意に変化可能な、可変定電流源であればどのような制御方式であってもよい。
【0038】
本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置1は、プロトン伝導性固体電解質膜8に電圧を印加すると、陽極6側のガス流路4に供給された水素ガスが、陽極6上でプロトンに分離され、このプロトンはプロトン伝導性固体電解質膜8内で電圧の印加方向と逆向きに移動し、移動したプロトンは陰極7側のプロトン伝導性固体電解質膜8の表面で水素ガスに再び転化され、陰極7側のガス流路5へと流れる。陰極7側のガス流路5には、所定量の窒素ガス又は水素ガスが供給されており、陰極7側で発生した水素ガスは前記窒素ガス又は水素ガスと共に、吸引ポンプ11によって陰極7側のガス流路5に設けられたガスクロマトグラフィー12へと流れ、このガスクロマトグラフィー12を用いて定量分析される。
【0039】
このようにして生じる水素ガス量は、プロトン伝導性固体電解質膜8における上記式(3)で表される通電量によって決まるため、水素流量制御部3を用いてプロトン伝導性固体電解質膜8における通電量を制御することによって、水素ガスの発生量(流量)を制御することができる。
【0040】
以下に、水素ガスの発生メカニズムについて説明する。
【0041】
陽極6側の水素ガス流路4に供給された水素ガスは、ガス拡散性電極6上で電子を失い、下記式(5)に従ってプロトンを生成する。
H2→2e-+2H+…式(5)
【0042】
陽極6にて生成したプロトンは、電圧を駆動力として、プロトン伝導性固体電解質膜8を通過してガス拡散性電極7まで進み、ガス拡散性電極7上で電子を受け取ることで、下記式(6)に従って再び水素ガスに転化される。
2H++2e-→H2…式(6)
【0043】
この反応における望ましい温度域は−50℃から300℃であり、更に望ましくは−40℃から160℃である。
【0044】
ガス拡散性電極7上で生成した水素ガスは、プロトン伝導性固体電解質膜8を通ることができず、電圧によるイオンの移動力は大きい。
【0045】
また、金属集電体9、10が各ガス拡散性電極6、7に電圧を印加すると共に、ガス拡散性電極6、7及びプロトン伝導性固体電解質膜8を機械的に補強する役目を持つ。この金属集電体9及び10の材質は特に限定されないが、耐熱性、耐食性を有する金属からなることが望ましく、例えば、チタンメッシュ表面に酸化ルテニウムなどの導電性の安定な導電性酸化物を被覆したものなどが好ましく用いられる。
【0046】
本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置1によれば、プロトン伝導性固体電解質膜8が、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなる前記フラーレン誘導体からなり、かつ水素流量制御部3を有するので、装置1を動作させる際に、ナフィオン等の固体高分子プロトン導電性膜を用いた従来の装置のように水分を補給する必要はなく、乾燥雰囲気下及び室温下で優れたプロトン伝導性を示し、正確に水素ガスの流量を制御することができる。従って、上述した加湿装置などを設ける必要はなく、装置1の軽量化及びコンパクト化が可能である。
【0047】
また、加湿をせずに、乾燥雰囲気下で装置1を動作させるので、前記フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性固体電解質膜8の寿命の向上を図ることができる。
【0048】
さらに、加湿を必要としないのに加えて、陰極7側にて発生する水素ガスは、ほとんど水分を含まない状態にあるので、水素流量制御部3によって水素ガス発生量の制御を容易かつ正確に行うことが可能である。
【0049】
また、本発明に基づく装置1によれば、無加湿雰囲気下で動作する前記フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性固体電解質膜8を使用するので、電気化学セル2の陽極6側のガス流路4に空気を送り込み、水の電解電圧1.23V以上の電圧を印加することによって、空気中に含まれる水蒸気成分を分解し、水素ガスを製造し、水素流量制御することもできる。この場合において、陽極6及び陰極7では下記式(7)及び(8)に示される反応が起こる。
【0050】
陽極反応:H2O→2H++1/2O2+2e-(1.23V)…式(7)
陰極反応:2H++2e-→H2(0.0V)…式(8)
(トータル:H2O→H2+1/2O2)
【0051】
なお、理論分解電圧は1.23Vであるが、実際にはこれに電極過電圧、電気抵抗などが加わって、電解電圧は1.5Vから2V程度になる。この方法によれば、水の電気化学分解による水素製造流量制御機能を有する軽量かつコンパクトな電気化学的水素流量制御装置を実現することができる。
【0052】
ここで、水素流量制御部3は着脱可能な構造であってもよく、水素流量制御部3をはずした状態では、本発明に基づく装置1は例えば燃料電池としても使用可能となり得る。この場合は、陰極7側のガス流路5の窒素ガス又は水素ガスに代えて、酸素ガスを供給すればよい。
【0053】
前記プロトン解離性の基の導入対象となる母体としての前記フラーレン分子は、球殻状クラスター分子Cm(mはCmが球殻状構造を形成し得る自然数。)であれば特に限定しないが、通常はC36、C60、C70、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96などから選ばれるフラーレン分子の単体、若しくはこれらの2種類以上の混合物が好ましく用いられる。
【0054】
これらのフラーレン分子は、1985年に炭素のレーザーアブレーションによるクラスタービームの質量分析スペクトル中に発見された(Kroto, H.W.; Heath, J.R.; O'Brien, S.C.; Curl, R.F.; Smalley, R.E. Nature 1985. 318,162.)。実際にその製造方法が確立されるのは更に5年後のことで、1990年に炭素電極のアーク放電法による製造法が見出され、それ以来、フラーレンは炭素系半導体材料等として注目されてきた。
【0055】
図2に示す如く、フラーレン分子に複数の水酸基を付加した構造を持つフラレノール(Fullerenol)は、1992年にChiangらによって最初に合成例が報告された(Chiang, L.Y.; Swirczewski, J.W.; Hsu, C.S.; Chowdhury, S.K.; Cameron, S.; Creegan, K., J. Chem. Soc, Chem. Commun. 1992, 1791)。
【0056】
そうしたフラレノールを図3(A)に概略図示するように凝集体とし、近接し合ったフラレノール分子(図中、○はフラーレン分子を示す。)の水酸基同士に相互作用が生じるようにすれば、この凝集体はマクロな集合体として高いプロトン伝導特性(換言すれば、フラレノール分子のフェノール性水酸基からのH+の解離性)を発揮することができる。
【0057】
本実施の形態によれば、上記フラレノール以外に例えば複数の−OSO3H基をもつフラーレンの凝集体を前記プロトン伝導性固体電解質膜として用いることもできる。OH基がOSO3H基と置き換わった図3(B)に示すようなポリ水酸化フラーレン、即ち硫酸水素エステル化フラレノールは、やはりChiangらによって1994年に報告されている(Chiang, L.Y.; Wang, L.Y.; Swirczewski, J.W.; Soled, S.; Cameron, S., J. Org. Chem. 1994, 59, 3960)。硫酸水素エステル化されたフラーレンには、ひとつの分子内にOSO3H基のみを含むものもあるし、或いはこの基と水酸基をそれぞれ複数、持たせることも可能である。
【0058】
上述したフラレノール及び硫酸水素エステル化フラレノールを多数凝集させた時、どれがバルクとして示すプロトン伝導性は、分子内に元々含まれる大量の水酸基やOSO3H基に由来するプロトンが移動に直接関わるため、乾燥雰囲気下においても、継続的に使用することができる。
【0059】
また、これらの分子の基体となっているフラーレンは特に求電子性の性質を持ち、このことが酸性度の高いOSO3H基のみならず、水酸基等においても水素イオンの電離の促進に大きく寄与していると考えられ、優れたプロトン伝導性を示す。また、一つのフラーレン分子中にかなり多くの水酸基及びOSO3H基等を導入することができるため、伝導に関与するプロトンの、伝導体の単位体積あたりの数密度が非常に多くなるので、実質的な伝導率を発現する。
【0060】
上記フラレノール及び硫酸水素エステル化フラレノールは、その殆どが、フラーレンの炭素原子で構成されているため、重量が軽く、変質もし難く、また汚染物質も含まれていない。フラーレンの製造コストも急激に低下しつつある。資源的、環境的、経済的にみて、フラーレンは他のどの材料にもまして、理想に近い炭素系材料であると考えられる。
【0061】
さらに、上記プロトン解離性の基は、前述した水酸基やOSO3H基に限定する必要はない。
【0062】
即ち、この解離性の基は式−XHで表され、Xは2価の結合手を有する任意の原子若しくは原子団であればよい。更には、この基は式−OH又は−YOHで表され、Yは2価の結合手を有する任意の原子若しくは原子団であればよい。
【0063】
具体的には、上記プロトン解離性の基としては、上記−OH、−OSO3H以外に−COOH、−SO3H、−OPO(OH)2、−C6H4−SO3Hのいずれかが好ましい。
【0064】
本発明に使用可能な上記フラレノール等を合成するには、フラーレン分子の粉末に対し、例えば酸処理や加水分解等の公知の処理を適宜組み合わせて施すことにより、フラーレン分子の構成炭素原子に所望の基を導入することができる。
【0065】
そして、得られる上記フラーレン誘導体を塗布や蒸着法により膜状に形成して、前記電気化学セルの前記プロトン伝導性固体電解質膜に利用することができる。
【0066】
前記プロトン伝導性固体電解質膜が実質的にフラーレン誘導体のみからなるか、或いは結合剤によって結着されていてもよい。
【0067】
前記プロトン伝導性固体電解質膜が、実質的にフラーレン誘導体のみからなる場合、上記フラーレン誘導体を加圧成形してなる膜状の前記プロトン伝導性固体電解質膜として用いることができる。結合剤によって結着されている上記フラーレン誘導体を、前記プロトン伝導性固体電解質膜として用いる場合、上記結合剤によって強度の十分な前記プロトン伝導性固体電解質膜を形成できる。
【0068】
上記結合剤として使用可能な高分子材料としては、公知の成膜性を有するポリマーの1種又は2種以上が用いられる。このような構成のプロトン伝導性固体電解質膜も、上記フラーレン誘導体のみからなるプロトン伝導性固体電解質膜と同様のプロトン伝導性を発揮することができる。
【0069】
しかも、フラーレン誘導体単独の場合と違って、高分子材料に由来する成膜性が付与されており、フラーレン誘導体の粉末圧縮成形品に比べ、強度が大きく、かつガス透過防止能を有する柔軟な前記プロトン伝導性薄膜(厚みは通常300μm以下)として用いることができる。
【0070】
なお、前記高分子材料としては、プロトンの伝導性をできるだけ阻害(フラーレン誘導体との反応による)せず、成膜性を有するものなら、特に限定はしない。通常は、電子伝導性を持たず、良好な安定性を有するものが用いられ、その具体例を挙げると、ポリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール等があり、これらは次に述べる理由からも、好ましい高分子材料である。
【0071】
まず、ポリテトラフルオロエチレンが好ましいのは、他の高分子材料に比べ、少量の配合量で強度のより大きな薄膜を容易に成膜できるからである。この場合の配合量は、3重量%以下、好ましくは0.5〜1.5重量%と少量ですみ、薄膜の厚みは通常、100μmから1μmまでと薄くできる。
【0072】
また、ポリフッ化ビニリデンやポリビニルアルコールが好ましいのは、より優れたガス透過防止能を有するプロトン伝導性薄膜が得られるからである。この場合の配合量は5〜15重量%の範囲とするのがよい。
【0073】
ポリフルオロエチレンにせよ、ポリフッ化ビニリデンやポリビニルアルコールにせよ、それらの配合量が上述したそれぞれの範囲の下限値を下回ると、成膜に悪影響を及ぼすことがある。
【0074】
本実施の形態の各フラーレン誘導体が結合剤によって結着されてなる前記プロトン伝導性固体電解質膜の薄膜を得るには、加圧成形や押出し成形をはじめ、公知の成膜法を用いればよい。
【0075】
なお、本発明に基づく装置は、取り扱い、小型化の点からは、前記ガス透過性電極と前記プロトン伝導性固体電解質膜としてのフラーレン誘導体とが、物理的に十分な強度を有する、フレキシブルなシート状であることが好ましい。
【0076】
前記電気化学セルは、大気中で良好に機能することができるため、動作時の温度、湿度等の調整を行わなくても、効率的に水素ガスを製造し、流量制御することができる。
【0077】
また、フラレノール等のフラーレン分子を構成する炭素原子に前記プロトン解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体を前記プロトン伝導性固体電解質膜の構成材料として使用するので、H3O+イオン伝導体であるナフィオンを用いた場合と違い、加湿装置等を設置する必要はなく、乾燥状態において好適に機能し、前記プロトン伝導性固体電解質膜の長寿命化を図ることができる。
【0078】
H3O+イオン伝導体であるナフィオンを用いた場合、水素ガスの製造と共に、水も発生してしまうため、除湿装置を必要とするのに対して、本実施の形態は、発生する水素ガスが水分を含まないので、除湿装置等がなくても、水素ガスの製造を可能とし、正確な水素ガスの流量制御を行うことができる。
【0079】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0080】
実施例1
まず、前記フラーレン誘導体を用いて前記プロトン伝導性固体電解質膜を形成し、図1に示すような電気化学的水素流量制御装置1を作製した。
【0081】
そして、室温及び乾燥雰囲気下で、陰極7側のガス流路5に窒素ガスを流し、ガス流路5の内部を窒素ガスで置換した。次いで、陽極6側のガス流路4を介して、陽極6の電極表面に水素ガスを50ml/minの速度で供給しながら両電極間に0〜1Aの電流を流した。供給された水素ガスは陽極6側でプロトンに分離され、このプロトンはフラーレン系プロトン伝導性固体電解質膜8内を通過し、陰極7上で再び水素ガスに転化され、陰極7側のガス流路5の窒素ガス中に排出された。このときの陰極7側のガス流路5における窒素ガス中の水素分圧変化をガスクロマトグラフィー12を用いて測定した。結果を図4に示す。
【0082】
図4より明らかなように、0〜1Aの電流を流した時、水素分圧の上昇速度は電流に比例している。また、プロトン伝導性固体電解質膜8を通過したプロトン量の理論値は、プロトン伝導性固体電解質膜8を流れた電流量をもとに、プロトン伝導性固体電解質膜8を流れる電流が全てプロトンの移動によるものとして算出できる。従って、製造された水素ガスの理論モル量mはファラデーの法則から電流Iと時間tの積分で表され、下記式(9)のように示される。
【0083】
【数1】
(但し、上記式(9)において、mは水素ガスの理論モル量、Iは電流、tは時間、Fはファラデー定数である。)
【0084】
上記式(9)に従って得られた透過水素量の実測値と理論値とを比較した結果、フラーレン系プロトン伝導性固体電解質膜8はいずれも、100%に近い電流効率を有することが示された。即ち、フラーレン系プロトン伝導性固体電解質膜8を透過したプロトン量の実測値と、電流値から算出した透過プロトン量の理論値とはほぼ一致した。
【0085】
実施例2
まず、前記フラーレン誘導体を用いて前記プロトン伝導性固体電解質膜を形成し、図1に示すような電気化学的水素流量制御装置1を作製した。
【0086】
そして、室温及び乾燥雰囲気下で、陰極7及び陽極6側のガス流路4及び5に窒素ガスを流し、ガス流路4及び5の内部を窒素ガスで置換した。次いで、陽極6側のガス流路4を介して、陽極6の電極表面に水素ガスを50ml/minの速度で供給し、0.2Aの電流を供給した。このときの陰極7側の水素ガス、窒素ガス、水の濃度変化を測定した。なお、この時の印加電圧は変化していない。結果を図5に示す。
【0087】
図5より明らかなように、陰極7側で発生した水素ガスに対する水分の量は、24時間で1%以下であった。
【0088】
以上より明らかなように、本発明に基づく電気化学的水素流量制御装置1によれば、陰極7側で生じる水素ガス量は、プロトン伝導性固体電解質膜8における上記式(3)で表される通電量によって決まるため、水素流量制御部3を用いてプロトン伝導性固体電解質膜8における通電量を制御することによって、水素ガスの発生量(流量)を制御することができる。
【0089】
また、プロトン伝導性固体電解質膜8が、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなる前記フラーレン誘導体からなり、かつ水素流量制御部3を有するので、装置1を動作させる際に、ナフィオン等の固体高分子プロトン導電性膜を用いた従来の装置のように水分を補給する必要はなく、乾燥雰囲気下及び室温下で優れたプロトン伝導性を示し、正確に水素ガスの流量を制御することができる。従って、上述した加湿装置などを設ける必要はなく、装置1の軽量化及びコンパクト化が可能である。
【0090】
また、加湿をせずに、乾燥雰囲気下で装置1を動作させるので、前記フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性固体電解質膜8の寿命の向上を図ることができる。
【0091】
さらに、加湿を必要としないのに加えて、陰極7側にて発生する水素ガスは、ほとんど水分を含まない状態にあるので、水素流量制御部3によって水素ガス発生量の制御を容易かつ正確に行うことが可能である。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、前記プロトン伝導性固体電解質膜が、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体からなり、かつ前記水素流量制御部を有するので、装置を動作させる際に、ナフィオン等の固体高分子プロトン導電性膜を用いた従来の装置のように水分を補給する必要はなく、乾燥雰囲気下及び室温下で優れたプロトン伝導性を示し、正確に水素ガスの流量を制御することができる。従って、上述した加湿装置などを設ける必要はなく、装置の軽量化及びコンパクト化が可能である。
【0093】
また、加湿をせずに、乾燥雰囲気下で装置を動作させるので、前記フラーレン誘導体からなる前記プロトン伝導性固体電解質膜の寿命の向上を図ることができる。
【0094】
さらに、加湿を必要としないのに加えて、前記第2極側にて発生する水素ガスは、ほとんど水分を含まない状態にあるので、前記水素流量制御部によって水素ガス発生量の制御を容易かつ正確に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による電気化学的水素流量制御装置の概略断面図である。
【図2】本実施の形態に使用可能なフラーレン誘導体の一例であるポリ水酸化フラーレンの構造図である。
【図3】同、フラーレン誘導体の例を示す模式図である。
【図4】本実施例による電流と水素分圧の関係を示すグラフである。
【図5】同、時間による水素ガス、窒素ガス及び水の濃度変化を示すグラフである。
【図6】従来例による水素流量制御装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1…電気化学的水素流量制御装置、2…電気化学セル、3…水素流量制御部、
4、5…ガス流路、6…(陽極)ガス拡散性電極、
7…(陰極)ガス拡散性電極、8…プロトン伝導性固体電解質膜、
9、10…金属集電体、11…吸引ポンプ、12…ガスクロマトグラフィー
Claims (9)
- プロトン(H+)を生成する第1極と、前記第1極で発生した前記プロトンを水素ガスに転化する第2極と、これらの両極間に挟持されたプロトン伝導性固体電解質膜とからなる電気化学セルと;前記第2極側に所定量の水素ガスを発生させる水素流量制御部と;を有し、前記プロトン伝導性固体電解質膜が、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体からなる、電気化学的水素流量制御装置。
- 前記第1極の前記プロトン伝導性固体電解質膜が配されていない面側に水素ガスが供給され、前記水素流量制御部より前記第1極及び前記第2極に所定の電流が与えられ、前記水素ガスが、前記第1極にて前記電流量に対応した量の前記プロトンに電気分解され、この発生した前記プロトンを前記プロトン伝導性固体電解質膜を通して前記第2極へ移動させ、前記第2極で前記プロトンを再び水素ガスに転化することにより、前記第2極側にて一定量の水素ガスを得る、請求項1に記載した電気化学的水素流量制御装置。
- 前記電気化学セルが、前記プロトン伝導性固体電解質膜と、触媒を担持したガス拡散性電極とからなり、前記プロトン伝導性固体電解質膜の両側に配された前記第1極及び前記第2極との多層膜で形成されている、請求項1に記載した電気化学的水素流量制御装置。
- 前記プロトン伝導性固体電解質膜と、前記ガス拡散性電極とが、交互に積層されて一体構造に形成されている、請求項3に記載した電気化学的水素流量制御装置。
- 前記水素流量制御部が着脱可能である、請求項1に記載した電気化学的水素流量制御装置。
- 前記プロトン解離性の基が、−XH(Xは2価の結合手を有する任意の原子若しくは原子団、Hは水素原子である。)である、請求項1に記載した電気化学的水素流量制御装置。
- 前記プロトン解離性の基が、−OH又は−YOH(Yは2価の結合手を有する任意の原子若しくは原子団である。)である、請求項6に記載した電気化学的水素流量制御装置。
- 前記プロトン解離性の基が、−OH、−OSO3H、−COOH、−SO3H、−OPO(OH)2、−C6H4−SO3Hのいずれかより選ばれる基である、請求項7に記載した電気化学的水素流量制御装置。
- 前記フラーレン分子が、球殻状炭素クラスター分子Cm(mはCmが球殻状構造を形成し得る自然数。)である、請求項1に記載した電気化学的水素流量制御装置。
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