JP3663575B2 - 強誘電体膜の改質方法及び容量素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、強誘電体膜の改質方法及び容量素子の製造方法に関するものであり、特に、2Tr+2C型或いは1Tr+1C型のFeRAM(Ferroelectric RAM)に用いられる強誘電体膜のヒステリシス特性やリーク特性等の電気的特性を改善する方法に特徴のある強誘電体膜の改質方法及び容量素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種の情報を記録するためにDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ)、或いは、FLASH(フラッシュ・メモリ)等の半導体記憶装置が用いられている。この内、DRAMは読出、書込の速度が速く、また、耐用年数が長いという特長を有するが、揮発性であるため、リフレッシュ動作が必要となり、そのために、常に電源電圧とつながっていなくてはならない。
【0003】
また、SRAMは、電源電圧につなげている限りメモリ内容は消えず、且つ、読出及び書込の速度が速いという特長があるが、セル面積が大きくDRAMの3〜4倍を要し、高集積化に向かないという問題がある。
【0004】
一方、FLASHは、不揮発性メモリであるため、リフレッシュ動作を必要としないが、書込速度が遅く、且つ、耐用年数が短いという問題がある。例えば、書込速度がDRAMの100n秒程度に対して、1〜10m秒を要し、また、耐用年数は、DRAMの1015回に対して、105 回程度と大幅に短くなる。
【0005】
近年、この様な問題を全て解決するメモリとして、即ち、リフレッシュ動作の必要がなく、動作速度が速く、且つ、耐用年数の長いメモリとして強誘電体メモリ(FeRAM:Ferroelectric RAM)が注目されている。
【0006】
このFeRAMは、強誘電体膜の分極特性を利用した不揮発性メモリであるためリフレッシュ動作を必要とせず、また、書込及び読出速度がDRAMと同程度であり、且つ、耐用年数も1012回以上とFLASHより長いという特長がある。
【0007】
このFeRAMに用いられる強誘電体膜材料としては、PZT(PbZrx Ti1-x O3 )やPLZT(LaドープPZT)等のPbを含むペロブスカイト酸化物、或いは、SBT等のBi系層状ペロブスカイト酸化物が使用されている。この様な強誘電体キャパシタに用いる強誘電体薄膜は、スパッタ法やゾル−ゲル(Sol−Gel)法等によって形成されているので、図5を参照して従来の強誘電体薄膜の形成フローを説明する。
【0008】
図5参照
まず、下地絶縁膜上に、下部電極を形成したのち、スパッタ法やゾル−ゲル法等によってアモルファス状態の強誘電体薄膜を形成し、次いで、酸素雰囲気中で500〜800℃、例えば、700℃程度の温度で熱処理することによって結晶化して分極反転が可能な多結晶状のペロブスカイト構造とし、最後に上部電極を形成することによって、強誘電体キャパシタの基本構成が完成する。
【0009】
この様に、結晶化工程において高温の酸素アニールを行う必要があるので、下部電極及び上部電極としては、高温の酸素雰囲気中でも酸化しない、或いは、酸化しても電気伝導性が損なわれないPt,Ru,Ir等の白金族、或いは、RuO2 ,IrO2 等の白金族の酸化物が使用されている。
【0010】
次に、図6を参照して、この様な強誘電体キャパシタを用いたFeRAMの製造工程の一例を説明する。
図6参照
図6はFeRAMの概略的断面図であり、まず、n型シリコン基板21の所定領域にp型ウエル領域22を形成するとともに、n型シリコン基板21を選択酸化することによって素子分離酸化膜23を形成したのち、素子形成領域にゲート酸化膜24を介してゲート電極25を形成し、ゲート電極25をマスクとしてAs等のイオンを注入することによってn- 型LDD(Lightly Doped Drain)領域26を形成する。 次いで、全面にSiO2 膜等を堆積させ、異方性エッチングを施すことによってサイドウォール27を形成したのち、再び、As等をイオン注入することによってn+ 型ドレイン領域28及びn+ 型ソース領域29を形成する。
【0011】
次いで、厚いSiO2 膜等からなる第1層間絶縁膜30を形成したのち、素子分離酸化膜23上の第1層間絶縁膜30上に、スパッタリング法によって密着性改善層としてのTi膜31を堆積させ、引き続いて、Ti膜31上にPt下部電極32を形成する。
【0012】
次いで、スパッタ法を用いてアモルファス状のスパッタPZT膜を堆積させたのち、700〜800℃の大気圧酸素雰囲気中において低速加熱長時間熱処理を行うことによって、スパッタPZT膜をペロブスカイト酸化物として結晶化させることによって、結晶化したPZT膜33とする。
【0013】
次いで、所定の面積の開口を有するメタルマスクを用いたマスクスパッタリング法を用いてPZT膜33上にPt上部電極34を形成したのち、大気圧酸素雰囲気中において500〜650℃で30分間程度の熱処理を行なってPZT膜33が受けた損傷を回復し、最後に、全面に新たに第2層間絶縁膜35を形成したのち、n+ 型ソース領域29とPt上部電極34とを接続する接続電極36を設けるとともに、Pt下部電極31に接続する接地電極37及びn+ 型ドレイン領域28に接続するビット線38を形成することによってFeRAMの1メモリセルの基本構造が完成する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この様なPZT膜の形成プロセスの場合には、次の様な問題がある。即ち、FeRAMの高集積化・高性能化の要請に伴って強誘電体キャパシタ部の強誘電体膜を薄膜化する必要があるが、PZT膜を150nm以下に薄膜化した場合に、リーク電流が増加してしまい、良好なヒステリシス特性が得られなくなるという問題がある。
【0015】
この様なPZT膜におけるリーク電流は、一般的にPZTの酸素欠陥、Pb欠陥に起因する不純物準位や可動イオンに左右されるために、リーク電流を低減するためには結晶欠陥の少ないものが理想とされる。しかし、150nm以下の膜厚の場合には、各種の成膜方法で成膜されたアモルファス状態のPZT膜は、欠陥を生じやすい状態にある。
【0016】
例えば、PZT薄膜に対してArスパッタリングを施した場合、PZT薄膜中のPb−O結合が切れて金属Pbになることが報告されている(必要ならば、Mater.Res.Soc.Symp.Procc.,vol.200,pp.267−274,1990参照)。
【0017】
この金属Pbは、PZT薄膜中を容易に移動できるため、結晶化アニール工程中にPZT薄膜、特に、電極界面近傍にPb欠損が生じてしまうことが容易に推測できる。このPZT膜の膜厚が厚ければ、PZT表面の欠陥部分が膜全体に占める割合が少なくなるため、リークに対するマージンが向上するが、薄膜化した場合には、反対にこのマージンが低下することになる。
【0018】
なお、高誘電率膜であるCVD−Ta2 O5 における酸素空孔や残留カーボンの除去を行う目的で、結晶化後に600℃以下の温度における改質処理を行うことが提案(必要ならば、特開平10−135233号公報参照)されている。
【0019】
例えば、
▲1▼O3 を含むガス雰囲気中におけるアニール処理、
▲2▼H2 O2 を含むエアゾルを噴射しながらのアニール処理、或いは、
▲3▼H2 O2 溶液の塗布後のアニール処理
が提案されているが、これらの改質処理は、結晶化後の処理であり、PZT膜の場合には、結晶化アニール工程においてPb−O結合欠陥等の欠陥がすでに発生しているので、PZT膜に適用しても改質効果は期待できない。
【0020】
一方、FeRAMにおいては、図6から明らかなように、厚い第1層間絶縁膜30及び第2層間絶縁膜35を形成したのち、スルーホールを形成し、AlやTiN等を用いてトランジスタ部と強誘電体キャパシタ部とを接続する配線を形成しているが、強誘電体キャパシタ部の膜厚が厚いとトランジスタ部に形成するスルーホールのアスペクト比が大きくなるため、電極配線層の形成が困難になるという問題がある。
【0021】
したがって、FeRAMの高集積化のためには、強誘電体キャパシタを構成するPZT膜を薄膜化することが望まれる。また、3V以下の低電圧動作の要求により、ヒステリシスの抗電圧Vc 、即ち、分極反転が生ずるのに必要な最低の電圧を小さくすることが必須となるが、膜質が一定ならば、膜厚減少に伴って抗電圧Vc も小さくなるので、この観点からも薄膜化が望まれる。
しかし、PZT膜を薄膜化した場合には、上述のリーク電流が増加してしまい、良好なヒステリシス特性が得られなくなるという問題がある。
【0022】
したがって、本発明は、アモルファス状態の強誘電体膜における結合欠陥の発生を防止し、或いは、欠陥を修復することによって膜質を飛躍的に改善することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理的構成を示すプロセスフローであり、この図1を参照して本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
(1)本発明は、強誘電体膜の改質方法に関し、アモルファス状態の強誘電体膜を成膜したのち、過酸化水素水を用いた酸化処理を行い、次いで、酸化処理後の強誘電体膜を熱処理して結晶化することを特徴とする。
【0024】
この様に、結晶化工程前のアモルファス状態の強誘電体膜に対して過酸化水素水を用いた酸化処理を行うことによって、強誘電体膜を構成する金属元素の遊離による欠陥の発生を抑制することができ、それによって、結晶化後の強誘電体膜の電気的特性を向上することができる。
【0027】
(2)また、本発明は、上記(1)において、過酸化水素水の濃度が、20容量%以上であることを特徴とする。
【0028】
この様に、過酸化水素水として、20容量%以上の過酸化水素水を用いることによって、アモルファス状態の強誘電体膜の表面における結合欠陥の発生を効果的に抑制することができる。
なお、100容量%の場合には、純粋な過酸化水素(H2 O2 )となる。
【0029】
(3)また、本発明は、上記(1)または(2)において、結晶化後の強誘電体膜が、Pbを含むペロブスカイト酸化物であることを特徴とする。
【0030】
この様なアモルファス状態における結合欠陥は、PZT等のPbを含む酸化物において顕著であり、結晶化後に強誘電体特性を示すためには、結晶化後の強誘電体膜が、ペロブスカイト構造である必要がある。
なお、結晶化後の強誘電体膜が、パイロクロア構造の場合には良好な強誘電体特性を示さない。
【0031】
(4)また、本発明は、容量素子の製造方法において、白金族、白金族の酸化物、或いは、これらの積層構造のいずれかからなる下部電極上に、アモルファス状態のPbを含む酸化物を成膜したのち、過酸化水素水処理を行い、次いで、過酸化水素処理したPbを含む酸化物を熱処理して結晶化してPbを含むペロブスカイト酸化物としたのち、上部電極を形成することを特徴とする。
【0032】
この様に、上記(1)乃至(3)の強誘電体膜の改質方法を容量素子、即ち、強誘電体キャパシタの製造工程に適用することによって、リーク電流が少なく良好なヒステリシス特性を有する強誘電体キャパシタを製造することができ、また、その際には、下部電極としては、酸化を防止し、或いは、酸化後にも電気伝導性を損なわないために、白金族(Pt,Ru,Ir)、白金族の酸化物(RuO2 ,IrO2 )、或いは、これらの積層構造(Pt/IrO2 等)のいずれかを用いることが望ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】
ここで、まず、図2及び図3を参照して、本発明の第1の実施の形態を説明するが、まず、図2を参照して本発明の第1の実施の形態の製造工程を説明し、次いで、図3を参照して、本発明の第1の実施の形態の結晶化PZT膜の特性の説明図である。
図2(a)参照
まず、シリコン基板(図示せず)の表面を熱酸化して、厚さが、例えば、500nmの下地SiO2 膜11を形成したのち、この下地SiO2 膜11上に、スパッタリング法を用いて、厚さ20nmのTi膜12及び厚さ200nmのPt下部電極13を順次堆積させて、強誘電体キャパシタの下部電極とする。
【0034】
次いで、Pb1.1 Zr0.53Ti0.47O3 組成で直径が50mmの円板をターゲットとして用いて、ArとO2 の流量比がAr:O2 =8:2のプロセスガスを流して0.02Torrとした状態で、50WのRFパワーを印加して室温において、膜厚が70nm及び110nmのスパッタPZT膜14を成膜する。
このスパッタPZT膜14は、成膜した状態においてはアモルファス状態である。
【0035】
図2(b)参照
次いで、これらのスパッタPZT膜14の表面に、室温(24℃)において、濃度が20〜100容量%の過酸化水素水15を塗布し、1秒後に除去する。
この際の濃度としては、20容量%、30容量%、50容量%、100容量%を採用した。
【0036】
図2(c)参照
次いで、500〜800℃、例えば、650℃の大気圧酸素雰囲気中において30分間の熱処理を行うことによって、スパッタPZT膜14をペロブスカイト酸化物として結晶化させて結晶化PZT膜16とする。
【0037】
次いで、図示しないものの、直径0.2〜0.5mmの開口を有するメタルマスクを用いたマスクスパッタリング法を用いて結晶化PZT膜16上に、厚さが、例えば、200nmのPt上部電極を形成し、次いで、500℃の大気圧酸素雰囲気中において30分間の熱処理を行うことによって、Pt上部電極の堆積工程において、結晶化PZT膜16が受けた損傷を回復させることによって、強誘電体キャパシタの基本構成が完成する。
【0038】
この様にして形成した結晶化PZT膜16の表面を反射顕微鏡を用いて観察したところ、欠陥は殆ど見られなかったが、比較のために過酸化水素水処理を行わずに結晶化した場合には、数μm程度の大きさの凸状の欠陥が多数観測された。
【0039】
図3(a)参照
図3(a)は、過酸化水素水処理における過酸化水素濃度と欠陥密度の関係を示した図であり、比較のために、過酸化水素水処理を行わずに結晶化した場合、及び、0容量%、即ち、純水、及び、10容量%の濃度の過酸化水素水処理を行った場合の結果も合わせて示している。
図から明らかなように、過酸化水素濃度を20容量%以上にした場合に、欠陥密度の低減効果は明らかである。
【0040】
図3(b)参照
図3(b)は、結晶化PZT膜のヒステリシス特性の説明図であり、過酸化水素水処理を行わない場合には、リーク電流が多いためにヒステリシスが膨らんでいるが、30容量%の濃度の過酸化水素水処理を行った場合には、リーク電流が少なく、シャープなヒステリシスとなっているのが分かる。
【0041】
この様に、アモルファス状のスパッタPZT膜を成膜後、過酸化水素水を用いた酸化処理を行うことによって、Pb−O結合欠陥等の欠陥の発生を抑制することができ、それによってリーク電流を低減することができるので、良好なヒステリシス特性を有する強誘電体キャパシタを形成することができる。
【0042】
次に、下部電極として、Pt/IrO2 の積層構造を用いた本発明の第2の実施の形態を説明するが、下部電極の構造以外は上記の第1の実施の形態と同様であるので図示は省略する。
まず、シリコン基板の表面を熱酸化して、厚さが、例えば、500nmの下地SiO2 膜を形成したのち、この下地SiO2 膜上に、スパッタリング法を用いて、厚さ50nmのIrO2 膜及び厚さ150nmのPt下部電極を順次堆積させて、強誘電体キャパシタの下部電極とする。
【0043】
以降は、上記の第1の実施の形態と同様に、Pb1.1 Zr0.53Ti0.47O3 をターゲットとして用いて、ArとO2 の流量比がAr:O2 =8:2のプロセスガスを流して0.02Torrとした状態で、50WのRFパワーを印加して室温において、膜厚が70nm及び140nmのスパッタPZT膜を成膜する。
【0044】
次いで、これらのスパッタPZT膜の表面に、室温(24℃)において、濃度が20〜100容量%の過酸化水素水を塗布し、1秒後に除去したのち、500〜800℃、例えば、650℃の大気圧酸素雰囲気中において30分間の熱処理を行うことによって、スパッタPZT膜をペロブスカイト酸化物として結晶化させて結晶化PZT膜とする。
【0045】
次いで、直径0.2〜0.5mmの開口を有するメタルマスクを用いたマスクスパッタリング法を用いて結晶化PZT膜上に、厚さが、例えば、200nmのPt上部電極を形成し、次いで、500℃の大気圧酸素雰囲気中において30分間の熱処理を行うことによって、Pt上部電極の堆積工程において、結晶化PZT膜が受けた損傷を回復させることによって、強誘電体キャパシタの基本構成が完成する。
【0046】
図4(a)参照
図4(a)は、比較のために140nmの膜厚に形成したスパッタPZT膜を過酸化水素水処理を行うことなく結晶化アニールを行った場合の結晶化PZT膜のヒステリシス特性を示す図であり、膜厚が140nmの場合には、酸化処理を行わなくとも良好な特性が得られている。
【0047】
図4(b)参照
図4(b)も、比較のために70nmの膜厚に形成したスパッタPZT膜を過酸化水素水処理を行うことなく結晶化アニールを行った場合の結晶化PZT膜のヒステリシス特性を示す図であり、欠陥密度が増加することによって、リーキーなキャパシタとなってしまうことが理解される。
【0048】
図4(c)参照
図4(c)は、70nmの膜厚に形成したスパッタPZT膜を30容量%の濃度の過酸化水素水によって酸化処理を行った場合の結晶化PZT膜のヒステリシス特性を示す図であり、良好なヒステリシス特性が得られている。
なお、図においては、印加電圧を2V,3V,5Vの3つの電圧にした場合のヒステリシス特性を示している。
【0049】
この第2の実施の形態においても、過酸化水素水による酸化処理を行うことによって、PZT膜を薄膜化した場合にも、Pb−O結合欠陥等の欠陥が低減してリークパスが少なくなるのでリーク電流が減少し、且つ、良好なヒステリシス特性が得られることが確認された。
【0050】
以上、本発明の各実施の形態を説明してきたが、本発明は各実施の形態に示した構成に限られるものでなく、各種の変更が可能である。
例えば、上記の各実施の形態においては、強誘電体膜としてPZTを用いているが、PZTに限られるものではなくPZ,PT,PLZT等のPbを含むペロブスカイト酸化物一般にも適用されるものである。
【0051】
また、Pbを含むペロブスカイト酸化物以外にも、SBT等の下記の一般式
(Bi2 O2 )2+(An-1 Bn O3n+1)2-
但し、A=Bi,Pb,Ba,Sr,Ca,Na、
B=Ti,Ta,Nb,W,Mo,Fe,Co,Cr、
n=1〜5
で表されるBi系層状ペロブスカイト酸化物においても、BiがPbを含むペロブスカイト酸化物におけるPbと同様の振る舞いをするので、この様なBi系層状ペロブスカイト酸化物に対しても、結晶化アニール工程前に酸化処理を行うことが効果的である。
【0052】
また、上記の各実施の形態の説明においては、PZT膜をスパッタ法によって成膜しているが、ゾル−ゲル法或いはMOCVD法によって成膜したPZT膜にも適用されるものであり、いずれにしても、結晶化アニール工程の前に酸化処理すれば良い。
【0053】
また、過酸化水素水による酸化処理は、過酸化水素水の塗布に限られるものではなく、スパッタPZT膜を成膜したシリコン基板を過酸化水素水中に漬けることによって接触させても良いものであり、さらには、過酸化水素を含むエアゾルを噴霧しても良いものである。
【0055】
また、上記の各実施の形態においては、下部電極として、Pt或いはPt/IrO2 を用いているが、高温の酸素雰囲気中の結晶化処理工程において酸化しない物質或いは酸化しても電気伝導性を損なわない物質であれば良く、例えば、Ru,Ir,或いは、RuO2 等を用いても良いものである。
即ち、白金族(Pt,Ru,Ir)、白金族の酸化物(RuO2 ,IrO2 )、或いは、これらの積層構造(Pt/IrO2 等)のいずれかを用いることが望ましい。
【0056】
また、上記の実施の形態の説明においては、2Tr+2C型の強誘電体メモリの情報蓄積キャパシタを前提として説明しているが、1Tr+1C型の強誘電体メモリの情報蓄積キャパシタにも適用されるものであり、さらに、この様な強誘電体メモリ用のキャパシタに限られるものではなく、通常の半導体集積回路装置における容量の大きな微小キャパシタとして、或いは、他の電子デバイスのキャパシタとしても適用されるものである。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、結晶化アニール工程前のアモルファス状の強誘電体膜に対して酸化処理を行っているので、強誘電体膜を薄膜化した場合も良好な特性が得られ、それによって、強誘電体キャパシタに用いる強誘電体膜の薄膜化が可能になり、ひいては、FeRAMの高集積化、高性能化、高信頼性化が可能になり、ロジック回路混載置FeRAMの実現に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の製造工程の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の結晶化PZT膜の特性の説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の結晶化PZT膜の特性の説明図である。
【図5】従来の強誘電体薄膜の形成フローを示す図である。
【図6】従来のFeRAMの概略的断面図である。
【符号の説明】
11 下地SiO2 膜
12 Ti膜
13 Pt下部電極
14 スパッタPZT膜
15 過酸化水素水
16 結晶化PZT膜
21 n型シリコン基板
22 p型ウエル領域
23 素子分離酸化膜
24 ゲート酸化膜
25 ゲート電極
26 n- 型LDD領域
27 サイドウォール
28 n+ 型ドレイン領域
29 n+ 型ソース領域
30 第1層間絶縁膜
31 Ti膜
32 Pt下部電極
33 PZT膜
34 Pt上部電極
35 第2層間絶縁膜
36 接続電極
37 接地電極
38 ビット線
Claims (4)
- アモルファス状態の強誘電体膜を成膜したのち、過酸化水素水を用いた酸化処理を行い、次いで、酸化処理後の強誘電体膜を熱処理して結晶化することを特徴とする強誘電体膜の改質方法。
- 上記過酸化水素水の濃度が、20容量%以上であることを特徴とする請求項1記載の強誘電体膜の改質方法。
- 上記結晶化後の強誘電体膜が、Pbを含むペロブスカイト酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の強誘電体膜の改質方法。
- 白金族、白金族の酸化物、或いは、これらの積層構造のいずれかからなる下部電極上に、アモルファス状態のPbを含む酸化物を成膜したのち、過酸化水素水処理を行い、次いで、過酸化水素処理したPbを含む酸化物を熱処理して結晶化してPbを含むペロブスカイト酸化物としたのち、上部電極を形成することを特徴とする容量素子の製造方法。
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