JP3663574B2 - 橋脚耐震補強の水中施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中に立設された橋脚を耐震補強するための橋脚耐震補強の水中施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
阪神大震災以降、鉄筋コンクリート(以下、RCという)橋脚の耐震性を高めるために、耐震補強の需要が増大している。現在、このような耐震補強の方法としては、繊維と樹脂を組み合わせた工法、鋼板巻き立て工法等が多く採用されている。
【0003】
ところで、耐震補強の対象となるRC橋脚は、陸上にとどまらず、水中に立設されたものに対しても補強を施す必要が生じる場合がある。従来、水中の橋脚を鋼板巻き立て工法により補強する場合、例えば、図4や図5に示すような施工方法が用いられていた。
【0004】
図4は、橋脚1の周囲を鋼板矢板2を用いて仮締切する場合の例であり、この場合、橋脚1の周囲をドライアップした後に、橋脚1に補強鋼板3を巻き立て、さらに、橋脚1と補強鋼板3との間にモルタルM等を充填することにより耐震補強が行われる。
【0005】
一方、図5は、橋脚1の周囲に補強鋼板3を巻き建てた後に、補強鋼板3に設けられた注入孔4にホース5を接続し、ホース5に接続されたポンプPを用いて、補強鋼板3と橋脚1との間に水中不分離性のモルタルを充填する場合の例である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図4および図5に示した耐震補強は以下のような問題点を有していた。
図4の工法においては、橋脚1を鋼板矢板2を用いて仮締切するために、工期、工費が非常にかかるものとなり、また、地盤の性質および水深により鋼板矢板2の建て込み等の作業が複雑になっていた。また、鋼板矢板2を用いることから、船舶の航行の障害となる場合があった。
【0007】
また、図5の工法においては、水と直接接触する部分のモルタルに品質劣化が生じ、品質管理が困難であり、また、モルタルの漏洩による河川の水質汚濁による環境問題が発生する懸念があった。さらに、モルタル打設の際のホース5の取り付け等にダイバーによる作業が必要であり、このことが、工期の長期化やコストアップの原因となっていた。
【0008】
このような事情に鑑み、本発明においては、施工が容易であり、工費の低減および工期の短縮化を図ることが可能であるとともに、船舶の航行障害や水質汚染等の問題の生じない橋脚耐震補強の水中施工方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明においては以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1記載の橋脚耐震補強の水中施工方法は、水中に立設された橋脚を耐震補強するための施工方法であって、
前記橋脚の周囲を囲むように、鋼板を、その少なくとも下部が水中に没した状態で配置するとともに、前記鋼板の下端と前記橋脚との間に止水材を打設することにより、前記橋脚と前記鋼板との間の水域を、前記鋼板の外側に位置する水域に対して水密に区画し、
前記橋脚と前記鋼板との間の水を排出して前記橋脚と前記鋼板との間の空間をドライアップし、
しかる後に、前記橋脚と前記鋼板との間に充填材を充填することを特徴としている。
【0010】
このような構成により、この施工方法においては、鋼板矢板を利用する必要が無く、また、充填材が直接水と接触することがない。さらに、水中の作業が必要とならない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である橋脚10の耐震補強方法の一工程を示す図である。
橋脚10は、RC構造の橋脚であり、水中に立設された構成となっている。橋脚10の周囲には、補強鋼板11が巻き建てられている。補強鋼板11は、平面視略コ字状に形成された一対の鋼板組立体12,12を、橋脚10に対して両側方から配置することにより橋脚10を囲むように一体化したものであり、図2に示すように、鋼板組立体12,12の端縁12a、12aに設けられた噛み合わせ継手13,13を互いに嵌合させてボルト14で締め付けることにより一体化されている。この噛み合わせ継手13,13は、機械的にほとんど隙間のない構造となっており、止水性が保たれている。また、補強鋼板11の下端11aは、図3に拡大して示すように、橋脚10に向かって折り曲げられており、補強鋼板11の下端11aと橋脚10との間には、水硬性急結モルタル(止水材)15が打設されている。このような構成により補強鋼板11と橋脚10との間の空間は、補強鋼板の外側に位置する空間に対して、水密に区画されている。
【0012】
ここでは、橋脚10の耐震補強を以下のように行うことしている。すなわち、まず、橋脚10に補強鋼板11を巻き建てる。この際、補強鋼板11の下端11aは、あらかじめ図3に示したように折り曲げておくこととする。
【0013】
次に、補強鋼板11の下端11aと橋脚10との間に、水硬性急結モルタル15を打設する。これにより、補強鋼板11と橋脚10との間の水域を、補強鋼板11の外側に位置する水域に対して水密に区画する。
【0014】
次に、橋脚10と補強鋼板11との間の水を、図示しないホースとポンプとを用い吸引・排出することにより、橋脚10と補強鋼板11との隙間をドライアップする。
【0015】
そして、橋脚10と補強鋼板11との間に、モルタルの注入管16(図1参照)を配置し、橋脚10と補強鋼板11との間の空間に、気中使用の充填モルタル(充填材)を下部より落下分離の無いように充填することにより、橋脚10の耐震補強が完成する。
【0016】
上述の橋脚10の耐震補強方法(橋脚耐震補強の水中施工方法)においては、従来と異なり、鋼板矢板を用いる必要がないため、地盤条件や水深等により工事が複雑なものとなることが無く、施工の簡易化および工期の短縮化を図ることができる。また、鋼板矢板が船舶の航行の支障となることがない。
また、この耐震補強方法においては、モルタル(充填材)が直接水と接触することがないために、施工にあたって、モルタルの漏洩による水質汚染等が生じることが無く、環境面でも優れている。さらに、モルタルが水と接触しないために、モルタルの品質劣化がおこりにくく、品質管理が容易であるとともに、従来において廃棄していた劣化したモルタルを廃棄する必要が無くなり、廃棄コストを削減することができる。また、橋脚10や補強鋼板11の内側に海藻類が付着することを抑制できるため、補強鋼板11とモルタル、あるいはモルタルと橋脚10との間の付着性状を改善することができる。さらに、ダイバー等による水中の作業が必要でないために、工事の簡素化、省力化を図ることができる。
また、この耐震補強方法によれば、陸上部の施工と同様にモルタルを充填することができるため、陸上と同等の品質の構造物を得ることができる。
【0017】
以上において、本発明の一実施の形態を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、必要に応じて他の構成を採用するようにしてもよい。
例えば、図2に示した噛み合わせ継手13,13間に水中硬化性エポキシ樹脂を塗布するようにしてもよく、この場合には、より確実な止水性を得ることができる。
【0018】
また、上記実施の形態においては、補強鋼板11の下端11aと橋脚10との間に水硬性急結モルタル15が止水材として打設されていたが、これに代えて、水中硬化性エポキシ樹脂等の樹脂材を用いるようにしてもよい。
【0019】
さらに、上記実施の形態においては、補強鋼板11と橋脚10との間にモルタルを充填するようにしていたが、これに代えて、コンクリートやセメントミルク、等を充填するようにしてもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の橋脚耐震補強の水中施工方法によれば、鋼板矢板を用いる必要がないため、地盤条件や水深等により工事が複雑なものとなることが無く、施工の簡易化および工期の短縮化を図ることができる。また、鋼板矢板が船舶の航行の支障となることがない。また、この方法においては、モルタルが直接水と接触することがないために、施工にあたって、モルタルの漏洩による水質汚染等が生じることが無く、環境面でも優れている。さらに、モルタルが水と接触しないことから、モルタルの品質劣化がおこりにくく、品質管理が容易であるとともに、従来において廃棄していた劣化したモルタルを廃棄する必要が無くなり、廃棄コストを削減することができる。また、橋脚や鋼板の内側に海藻類が付着することを抑制できるため、鋼板とモルタル、あるいはモルタルと橋脚との間の付着性状を改善することができる。さらに、ダイバー等による水中の作業が必要でないために、工事の簡素化、省力化を図ることができる。また、この方法によれば、陸上部の施工と同様にモルタルを充填することができるため、陸上と同等の品質の構造物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を模式的に示す図であって、橋脚耐震補強の水中施工方法の一工程を示す立断面図である。
【図2】 図1に示した補強鋼板において用いられる噛み合わせ継手の拡大平断面図である。
【図3】 図1における補強鋼板下端付近の拡大立断面図である。
【図4】 本発明の従来の技術の一例を示す図であって、橋脚の耐震補強の一工程を示す立断面図である。
【図5】 同、他の例を示す橋脚の耐震補強の一工程を示す立断面図である。
【符号の説明】
10 橋脚
11 補強鋼板
11a 下端
15 水硬性急結モルタル
Claims (1)
- 水中に立設された橋脚を耐震補強するための施工方法であって、
前記橋脚の周囲を囲むように、鋼板を、その少なくとも下部が水中に没した状態で配置するとともに、前記鋼板の下端と前記橋脚との間に止水材を打設することにより、前記橋脚と前記鋼板との間の水域を、前記鋼板の外側に位置する水域に対して水密に区画し、
前記橋脚と前記鋼板との間の水を排出して前記橋脚と前記鋼板との間の空間をドライアップし、
しかる後に、前記橋脚と前記鋼板との間に充填材を充填することを特徴とする橋脚耐震補強の水中施工方法。
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