JP3663442B2 - 化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、UVBからUVAまでの広い領域での紫外線遮蔽作用を有し、日光の日焼けによる紅斑や黒化を防止することのできる化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、日焼けを防止する化粧料として、サンスクリーン剤やファンデーション等が知られており、これらの化粧料中には紫外線を遮蔽する物質として、紫外線吸収剤や紫外線遮蔽剤が配合されている。このうち、紫外線遮蔽剤として一般的に用いられているものとして、平均粒径が0.03〜0.05μmの微粒子酸化チタンがある。また本願出願人は先に、平均粒径が0.01〜0.10μmの球状微粒子酸化チタンと、短径が0.005〜0.02μm、長径が0.01〜0.10μmの針状(紡錘状)微粒子酸化チタンを組み合わせて配合することにより、紫外線防止効果の高い化粧料を得ている(特願平5−340571号)。
【0003】
しかしながら、このような微粒子酸化チタンは、粒子サイズが小さいために化粧料中では単一粒子の状態での分散が難しく、そのため実際にはかなりの凝集体として存在している。また、化粧料中に比較的粒径の大きい金属酸化物が配合されている場合には、その金属酸化物を母核として凝集物を容易に形成し、本来発揮される紫外線防止効果は著しく低下してしまう。特に固型ファンデーションにおいては、その構成成分が粉末と油との練成物であるために、微粒子状の粉末は比較的大きな粒径の粉末を母核として容易に凝集してしまい、上記の傾向は特に顕著なものとなる。従って、化粧料中に微粒子酸化チタンを配合しても期待する紫外線防止効果は得られ難く、たとえ配合量を増加させても紫外線防止効果は上がらず、肌への感触が悪くなったり、仕上りが粉っぽくなるなどの欠点が目立ってくる。
【0004】
さらに、微粒子酸化チタンは、290nmないし320nmの領域のUVBについての遮蔽効果を有してはいるものの、320nmないし400nmの領域のUVAの遮蔽効果については不十分であり、近年問題となっているUVAによる皮膚障害を防ぐことができないという欠点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の微粒子酸化チタンの欠点を克服すべく、新しい微粒子酸化チタンの粒子設計を行った。すなわち、酸化チタンの光散乱と紫外線防止効果の粒子径依存性について、Mie理論(P.Stamatakis et al.,J.Coatings Teck.,62(10),95(1990))に基づいて、理論計算を行った。その結果では、300nmの波長では、0.03〜0.06μmの粒径が最も遮蔽効果が高く、350nmでは、0.08μmの粒径が最適であり、400nmでは0.12μmの粒径が最適であった。さらに化粧料中での粉体間の凝集を低下させるべく粒子形状の効果を検証した結果、球状よりも紡錘状の粒子が分散性が高く、紫外線遮蔽効果が高いことを見い出した。従って、本発明者らは、長径がUVAを遮蔽する最適粒径である0.10μm前後で、短径がUVBを遮蔽する最適粒径である0.03〜0.06μmの紡錘状の微粒子酸化チタンの設計を行った。そして、本発明者らは、粒子設計に忠実に合成された微粒子酸化チタンが、化粧料中の比較的粒径の大きい金属酸化物の影響を受けにくく、分散性に優れていることから、従来になくUVBからUVAまでの広い範囲の紫外線を遮蔽する効果が高いことを見い出した。
【0006】
すなわち本発明は、平均短径が0.03〜0.06μm、平均長径が0.08〜0.12μmで、アスペクト比(長径/短径)が2〜4である紡錘状微粒子酸化チタンを配合してなることを特徴とする化粧料である。
【0007】
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明に用いられる紡錘状微粒子酸化チタンは、結晶型がルチル型で、平均短径が0.03〜0.06μm、好ましくは0.03〜0.04μmであり、平均長径が0.08〜0.12μm、好ましくは0.09〜0.10μmのものである。平均短径および平均長径がこれより小さいと、上記した理由から各波長での紫外線遮蔽効果は弱くなり、大きいと、可視光領域での透明性が著しく損われ、サンスクリーンやファンデーションの仕上りが白っぽくなるなど悪影響が見られてくる。また、アスペクト比(長径/短径)は2〜4である。アスペクト比がこれより小さい場合、あるいは大きい場合には、UVB、UVAのうちのどちらかの遮蔽能力が劣るようになり、両方共に良好に遮蔽することは困難になる。これは、紫外線防止に関する酸化チタンの粒子設計の結果では、Mie理論等に基づいた各波長における吸収または散乱する最適粒子径は300nmでは0.03〜0.04μmで、400nmでは、0.12μm付近なので、アスペクト比に換算した場合、アスペクト比が3前後の紡錘径の酸化チタンが300〜400nmの広い領域で、UVBおよびUVAを遮蔽する能力に優れているためであると考えられる。
【0008】
さらに、紡錘状微粒子酸化チタンには従来行われているいかなる表面処理を施しても構わない。配合する剤型に応じて、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、デキストリン脂肪酸エステル、ラウロイルリジン、フッ素、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、水酸化アルミニウム、ポリオール、アミン、アルカノールアミン、ポリマーのケイ素化合物、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、界面活性剤などの表面処理を施すことにより、化粧料中により分散し、安定して存在していることが好ましい。
【0009】
本発明に係る紡錘状微粒子酸化チタンは、化粧料中に0.5〜70.0重量%、好ましくは2.0〜40.0重量%の範囲で使用できる。
【0010】
本発明の紡錘状微粒子酸化チタンの製造方法としては、従来から知られている硫酸法を用いることができる。即ち、原鉱石のイルメナイトを濃硫酸に溶解させた後、鉄をFeSO4 として除去する。分離した硫酸チタニルを加水分解し、得られた含水酸化チタンを洗浄後、400〜900℃で仮焼し、粉砕することで、紡錘状微粒子酸化チタンを粉末として得る。この焼成工程において、含水酸化チタンの水分を高温でゆっくり蒸散させ粒子の成長を促進させる。生成した粒子はある一定の大きさを保ち、ほぼ均等な紡錘状の形状を示すようになる。
【0011】
本発明の紡錘状微粒子酸化チタンは、前記したように、比較的大きな粒径の金属酸化物と併用しても凝集することがなく、所期の紫外線防止効果を保持できるものである。したがって、本発明の化粧料は、顔料用の粉末、特に金属酸化物を必須成分として配合する化粧料、例えば固型ファンデーションや乳化ファンデーションとした場合に特に効果的である。
【0012】
かくして、本発明によれば、平均短径が0.03〜0.06μm、平均長径が0.08〜0.12μmで、アスペクト比(長径/短径)が2〜4である紡錘状微粒子酸化チタンと、平均粒子径が0.2μm以上の金属酸化物とを配合してなる化粧料が提供される。
【0013】
ここで、平均粒子径が0.2μm以上の金属酸化物としては、例えば、酸化チタン,酸化ニオブ,二酸化ケイ素,酸化アルミニウム,酸化亜鉛,酸化ハフニウム,酸化トリウム,酸化スズ,酸化タリウム,酸化ジルコニウム,酸化ベリリウム,酸化コバルト,酸化カルシウム,酸化マグネシウム,酸化モリブデン等の金属酸化物、含水酸化チタン,含水酸化ニオブ,含水二酸化ケイ素,含水酸化アルミニウム,含水酸化亜鉛,含水酸化ハフニウム,含水酸化トリウム,含水酸化スズ,含水酸化タリウム,含水酸化ジルコニウム,含水酸化ベリリウム,含水酸化コバルト,含水酸化カルシウム,含水酸化マグネシウム,含水酸化モリブデン等の金属酸化物の水和物が挙げられる。
【0014】
平均粒子径が0.2μm以上の金属酸化物のうち、特に好ましいのは、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄または酸化セリウム、およびそれらの水和物である。
【0015】
平均粒子径が0.2μm以上の金属酸化物の配合量は、全ての化粧料において、1.0〜40.0重量%であることが望ましい。
【0016】
本発明の化粧料には、上記した以外の粉末を配合することができる。かかる粉末としては、タルク、カオリン、雲母、セリサイト、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、硫酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ゼオライト、窒化硼素、セラミックパウダー等の無機粉末、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、四弗化エチレンパウダー、微結晶セルロース等の有機粉体、二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色系顔料、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、等の無機紫色系顔料、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、群青、紺青等の無機青色系顔料、二酸化チタン被覆マイカ、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、、着色二酸化チタン被覆マイカ等のパール顔料、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号、ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料等が挙げられる。
【0017】
さらに、本発明の化粧料は、従来公知の平均短径0.005〜0.02μm、平均長径0.01〜0.1μmの針状微粒子酸化チタンを更に配合することにより、UVBからUVAまでの広い領域での紫外線を遮蔽せしめ、より高い効果の日焼け止め化粧料とすることができる。この場合、針状微粒子酸化チタンの使用量は、0.5〜50.0重量%であり、1.0〜30.0重量%が好ましい。
【0018】
本発明の化粧料の剤型としては、特に限定されないが、固型ファンデーション状、パウダー状、油性スティック状、W/OまたはO/Wエマルジョン状等が一般的である。特に固型ファンデーションや油性スティックファンデーションは、粉体とオイル、ワックスとの混練物であるため、従来の微粒子酸化チタンでは凝集してしまい、期待した効果が得られにくいので、本発明の紡錘状微粒子酸化チタンの配合は非常に効果的である。
【0019】
本発明の化粧料の他の成分は、紡錘状微粒子酸化チタンをその目的を奏する程度に化粧料中に含ませ得るものである限り、一般の化粧料の成分をそのまま使用できる。このような成分としては、例えば高級アルコール、ラノリン誘導体、蛋白誘導体やポリエチレングリコールの脂肪酸エステル系オイル、シリコーン系オイル、パラフィン系オイル、フッ素系オイル等の油性成分、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の保湿剤成分、油溶性高分子物質、水溶性高分子物質、イオン交換水、アルコール、防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、酸化防止剤、色素及び香料等が挙げられる。
【0020】
【実施例】
次に、本発明を実施例をもって詳細に説明する。但し、本発明はこれにより限定されるものではない。配合量は重量%である。
【0021】
実施例1、比較例1,2
次の表1に記載の配合組成よりなる固型ファンデーションを後記する方法によって調製した。
紫外線防止効果の測定は、本願出願人が米国のFDAによって規定された測定によるSPF値(in vivo)と非常に近似したSPF値(in vitro)が得られる測定法(特願平5−239875号)を開発し、それによって評価を行った。さらに、UVAについては、日本化粧品工業連合会の紫外線専門委員会で規定された、UVAにより惹起される肌の黒化の防止指標となるPFA(Protection Factor of UVA)測定で得られるPFA値(in vivo)に相関の高い測定法(in vitro)によって評価した。その結果を図1および図2に示す。
【0022】
図1および図2からわかるように、本発明の化粧料は、顔料として0.2μm以上の酸化チタン等の金属酸化物を含有しているため、従来紫外線遮蔽剤として用いられてきた粒子サイズの小さい微粒子酸化チタンを用いた比較例1,2の化粧料よりも、UVA、UVBのいずれに対しても高い紫外線防止効果を示し、特にこの効果はUVA領域において顕著である。
【0023】
(製法)
(1)から(11)までの粉末部を均一にヘンシェルミキサーで混合した後、(12)から(16)までの油分部を滴下し、ヘンシェルミキサーで混合する。パルペライザーで粉砕した後、金属または樹脂の中皿にのせて圧縮成型し、固型ファンデーションとする。
【0024】
【表1】
【0025】
*1:(A) ルチル結晶型,平均粒径0.03μm。
((A)の球状微粒子酸化チタンの粒子構造を表す電子顕微鏡写真(×15万)を図11に示す。)
*2:(B) ルチル結晶型,平均短径0.008μm、平均長径0.03μm。
((B)の針状微粒子酸化チタンの粒子構造を表す電子顕微鏡写真(×15万)を図12に示す。)
*3:(C) ルチル結晶型,平均短径0.04μm、平均長径0.1μm。
((C)の紡錘状微粒子酸化チタンの粒子構造を表す電子顕微鏡写真(×15万)を図10に示す。)
【0026】
実施例2、比較例3
次の表2に記載の配合組成よりなる油性スティックファンデーションを後記する方法によって調製し、実施例1と同様にして紫外線防止効果を測定した。その結果を図3および図4に示す。
図3および図4からわかるように、本発明の化粧料は、顔料として0.2μm以上の金属酸化物を含有し、従来紫外線遮蔽剤として用いられてきた粒子サイズの小さい微粒子酸化チタンを用いた比較例3の化粧料よりも、UVA、UVBのいずれに対しても高い紫外線防止効果を示し、特にこの効果はUVA領域において顕著である。
【0027】
(製法)
(1)から(5)までを85℃で加熱溶解し、これに十分に混合粉砕された(6)から (14)までを攪拌しながら添加、混合する。つぎにコロイドミルで磨砕粉砕する。脱気後、70℃で容器に流し込み冷却する。
【0028】
【表2】
【0029】
実施例3,4、比較例4
次の表3に記載の配合組成よりなるO/W乳化型サンスクリーンクリームを後記する方法によって調製し、実施例1と同様にして紫外線防止効果を測定した。その結果を図5および図6に示す。
図5および図6からわかるように、本発明の化粧料は、従来紫外線遮蔽剤として用いられてきた粒子サイズの小さい微粒子酸化チタンを用いた比較例4の化粧料よりも、UVA、UVBのいずれに対しても高い紫外線防止効果を示し、特にこの効果はUVA領域において顕著である。
【0030】
(製法)
(1)から(6)の油相部を70℃で加熱攪拌し、(7)から(11)までを70℃で完全溶解した水相部に(12)を(13)または(14)の粉末部を攪拌混合した。次に、油相部を水相部に混合し、ホモミキサーにて乳化する。乳化物を熱交換器にて30℃まで冷却した後、容器に充填する。
【0031】
【表3】
【0032】
*4:(D) ルチル結晶型,平均短径0.01μm、平均長径0.07μm。
【0033】
実施例5、比較例5
次の表4に記載の配合組成よりなるW/O乳化型ファンデーションを後記する方法によって調製し、実施例1と同様にして紫外線防止効果を測定した。その結果を図7および図8に示す。
【0034】
図7および図8からわかるように、本発明の化粧料は、顔料として0.2μm以上の金属酸化物を含有し、従来紫外線遮蔽剤として用いられてきた粒子サイズの小さい微粒子酸化チタンを用いた比較例5の化粧料よりも、UVA、UVBのいずれに対しても高い紫外線防止効果を示し、特にこの効果はUVA領域において顕著である。
【0035】
(製法)
(1)〜(9)までの油相部を70℃で加熱攪拌し、(10)〜(16)の粉末部を分散混合する。その中に、(17),(18)の水相部を添加しながらホモミキサーで乳化し、熱交換器で30℃まで冷却した後、容器に充填する。
【0036】
【表4】
【0037】
実施例6〜7、比較例6〜7
次の表6に記載の配合組成よりなるW/O乳化型サンスクリーン剤を後記する方法によって調製し、下記の方法で使用性(ざらつき感)を評価した。また、実施例1と同様にして紫外線防止効果を測定した。それらの結果を併せて表6に示す。
【0038】
表6からわかるように、本発明の紡錘状微粒子酸化チタンは、従来の針状微粒子酸化チタンに比べて、0.2μm以上の顔料用の金属酸化物(酸化チタン)が配合されていない場合には、UVAの防御効果を示すPFA値は高いが、UVBの防御効果を示すSPF値は低い。しかし、顔料用の酸化チタンが配合された場合には、紡錘状微粒子酸化チタンは針状微粒子酸化チタンを加えた時よりもSPF値およびPFA値がいずれも高い値となる。このとき針状微粒子酸化チタンは、顔料用の酸化チタンを加えた場合に凝集を起こし、オーダードミックスチャーのような状態に近くなり、本来のUVB防御効果が発揮されにくくなる。
【0039】
また、顔料用の酸化チタンと針状微粒子酸化チタンを共に配合した比較例7では使用した時にざらつき感があり、使用性がよくないのに対し、紡錘状微粒子酸化チタンを使用した場合には、顔料用の酸化チタンを共に配合しても良好な使用感が保持されることが分かる。
【0040】
(使用性の評価方法)
20名の女性専門パネルを用いて各実施例の製品と、比較例の製品を肌に塗布した際のざらつき感を表5の基準に基づき官能評価した。
【0041】
【表5】
─────────────────────────────────
評価項目 1 2 3 4 5
─────────────────────────────────
ざらつき感 ない ややない 普通 ややある ある
─────────────────────────────────
【0042】
(評価結果の表示)
◎:4.5以上
○:3.5以上,4.5未満
△:2.5以上,3.5未満
×:1.5以上,2.5未満
××:1.5未満
【0043】
(製法)
(1)〜(4)を混合し、油相部とする。(5)を分散させた後、(6)〜(8)を添加し、分散させる。(9),(13)を50℃で溶解させ、(10),(11),(12)を加えて水相部とする。油相部に水相部を添加し、ホモミキサーにて乳化する。乳化物を容器に充填する。
【0044】
【表6】
【0045】
実施例8〜11、比較例8〜11
次の表7、表8に記載の配合組成よりなる固型ファンデーションを後記する方法によって調製し、実施例1と同様にして紫外線防止効果を測定した。その結果を図9に示す。
【0046】
図9から分かるように、本発明の紡錘状微粒子酸化チタンは顔料用の酸化チタンの影響を受けずにUVBを防御し、本来UVA防御能を有する顔料用酸化チタンがUVAを防御するにしたがって、SPF値が向上している。(UVAはUVBの紅斑反応に相乗的に作用し、光増強反応を示すことが知られている。したがって、UVAを防御することによっても、SPF値は向上する。)
しかし、針状微粒子酸化チタンは、顔料用の酸化チタンの影響を受け、凝集を起こすことから、酸化チタンの配合量と共にますますUVBの防御効果が低下する。従って、顔料用酸化チタンがUVAをいくら防御したとしても、SPF値は徐々に低下してしまう結果となる。
【0047】
(製法)
(1)〜(11)の粉末部を均一にヘンシェルミキサーで混合した後、(12)〜(18)の油分部を添加し、ヘンシェルミキサーで一定時間混合する。パルペライザーで粉砕した後、篩を通し、金属または樹脂の中皿にのせて圧縮成型し、固型ファンデーションとする。
【0048@
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る紡錘状微粒子酸化チタンを配合してなる化粧料はUVBおよびUVAの広い紫外線領域でその防止効果を有し、紫外線により惹起される紅斑や黒化を同時に防ぐことができるものである。更に、本発明の微粒子酸化チタンは顔料用の酸化チタンや金属酸化鉄と共に配合しても凝集を生じることがないため、これを配合する化粧料はざらつき感がなく、滑らかな感触の製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる紡錘状微粒子酸化チタンの配合量とSPF値との関係を従来例と比較して示す図である。
【図2】本発明で用いられる紡錘状微粒子酸化チタンの配合量とPFA値との関係を従来例と比較して示す図である。
【図3】本発明で用いられる紡錘状微粒子酸化チタンの配合量とSPF値との関係を従来例と比較して示す図である。
【図4】本発明で用いられる紡錘状微粒子酸化チタンの配合量とPFA値との関係を従来例と比較して示す図である。
【図5】本発明で用いられる紡錘状微粒子酸化チタンの配合量とSPF値との関係を従来例と比較して示す図である。
【図6】本発明で用いられる紡錘状微粒子酸化チタンの配合量とPFA値との関係を従来例と比較して示す図である。
【図7】本発明で用いられる紡錘状微粒子酸化チタンの配合量とSPF値との関係を従来例と比較して示す図である。
【図8】本発明で用いられる紡錘状微粒子酸化チタンの配合量とPFA値との関係を従来例と比較して示す図である。
【図9】本発明で用いられる紡錘状微粒子酸化チタンの配合量とSPF値との関係を従来例と比較して示す図である。
【図10】本発明の紡錘状微粒子酸化チタンの粒子構造を表す図面に代る電子顕微鏡写真(×15万)である。
【図11】従来の球状微粒子酸化チタンの粒子構造を表す図面に代る電子顕微鏡写真(×15万)である。
【図12】従来の針状微粒子酸化チタンの粒子構造を表す図面に代る電子顕微鏡写真(×15万)である。
Claims (3)
- 平均短径が0.03〜0.06μm、平均長径が0.08〜0.12μmで、アスペクト比(長径/短径)が2〜4である紡錘状微粒子酸化チタンを配合してなることを特徴とする日焼け止め化粧料。
- 平均短径が0.03〜0.06μm、平均長径が0.08〜0.12μmで、アスペクト比(長径/短径)が2〜4である紡錘状微粒子酸化チタンと、平均粒子径が0.2μm以上の金属酸化物とを配合してなることを特徴とする日焼け止め化粧料。
- 金属酸化物が酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄または酸化セリウムである請求項2記載の日焼け止め化粧料。
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