JP3663432B2 - 皮膜形成装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、異常グロー放電下におけるスパッタリング効果を利用して、使用目的に応じて材料表面に求められる性能を有する皮膜を材料表面に被覆する装置に関するものであり、さらに詳しくは、本発明は、装置内部を減圧にすることによって生じる吸引力でターゲットを装置の所定位置に固定し、かつ陽極管の内側だけで異常グロー放電を生じさせてスッパタリングすることにより、装置の簡素化、低コスト化及び操作性の向上化等を図り、1torrから15torrの範囲での動作を可能とし、また、ターゲットをその形状及び組成に係わりなく使用することを可能とする新しいタイプの皮膜形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
市販されているスパッタリングを利用して材料表面に皮膜を被覆する装置は、通常10-1torrオーダーから10-4torrオーダーの範囲のアルゴンガス雰囲気下で動作させるため、真空ポンプは、ロータリーポンプとともに拡散ポンプ又はターボポンプを使用しなければならないという欠点がある。また、従来の方法では、皮膜材料であるターゲットは、市販されている装置で異なるが、例えば直径が8インチ、5インチといった決まったサイズの円板状のものしか使用できない欠点がある。また、従来の装置では、ターゲットは皮膜を被覆するチャンバー内の所定の位置に固定して使用しなければならないため、ターゲットの交換には手間がかかるという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、従来の装置のように10-1torrオーダーから10-4torrオーダーの範囲にする必要がなく、また、皮膜材料であるターゲットの形状及び組成に制約されることがなく、しかも、装置の簡素化、低コスト化及び操作性の向上等を可能とし、また、ターゲットの交換の簡便化を可能とする新しい装置を開発することを目標として鋭意研究を積重ねた結果、装置内部を減圧することによって生じる吸引力でターゲットを装置の陰極側の所定位置に固定すること、また、装置内部の圧力より陽極と陰極の間隙の部分の圧力を低くすること等により所期の目的が達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ターゲットを装置に固定するために金具等を使用せず装置内部を減圧にすることによって生じる吸引力でターゲットを装置の陰極側の所定位置に固定し、装置内を大気圧にすることによってターゲット交換ができるとともに、さらにセラミックス(12)に設けたゴムパッキン溝(10)より広い面積の平面を有しかつ電気伝導性があれば、ターゲットとして使用でき、さらにチャンバー蓋の中心で装置のチャンバー側約1cmの位置で測定したアルゴンガス圧力が1torrから15torrの範囲で皮膜を被覆できる安価で操作が簡単な新しいタイプの皮膜形成装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、以下のような構成が採用される。
(1)皮膜を被覆する基材及びターゲットを装置に固定し、陽極と陰極の間に直流電圧をかけ、ターゲットをスパッタリングさせ、基材表面に皮膜を形成する装置であって、装置内部に雰囲気ガスを導入するガス導入口、装置内部のガスを排気する排気口(4)、陽極及び陰極間の間隙部分のガスを排気する排気口(8)、陽極と陰極の間を絶縁する絶縁体を具備すると共に、上記2つの別々に設けた排気口から排気して装置内部を減圧にすることによって生じる吸引力でターゲットを上記装置の陰極側の所定位置に固定し、上記2つの別々に設けた排気口から真空ポンプで排気して、装置内部の圧力より陽極と陰極の間隙の部分の圧力を低くした状態で、陽極と陰極間に直流電圧を印加して、ターゲットと陽極間で異常グロー放電を生じさせてスッパタリングを起こして、装置内部にセットされた基材表面に皮膜を被覆するようにしたことを特徴とする皮膜形成装置。
(2)ターゲットを上記装置の陰極側の所定位置に固定されているセラミックスを介して、固定する前記(1)記載の皮膜形成装置。
(3)チャンバー蓋の中心で装置のチャンバー側1cmの位置で測定した雰囲気ガス圧力が1torrから15torrの範囲で、陽極と陰極間に直流電圧を印加して、ターゲットと陽極間で放電させることによって基材の表面に皮膜を被覆する前記(1)記載の皮膜形成装置。
(4)セラミックスに設けたゴムパッキン溝に固定したゴムパッキンを介してターゲットを固定する前記(2)記載の皮膜形成装置。
(5)陽極管がターゲットに0.3mm以下の距離まで近づいた構造であり、陰極側に固定されているセラミックスと陽極の間隙及び絶縁体と陽極の間隙が0.3mm以下の構造である前記(2)記載の皮膜形成装置。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の装置を使用して基材に皮膜を形成する方法であって、装置内部の圧力より、陰極側に固定されているセラミックスと陽極の間隙及び絶縁体と陽極の間隙の部分の圧力を排気口(8)から排気して、装置内部の圧力より陽極と陰極の間隙の部分の圧力を低くすることによって、装置の陽極管の内側だけで異常グロー放電を生じさせてスッパタリングし、基材表面に皮膜を被覆する方法。
【0005】
【発明の実施の形態】
続いて、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の皮膜形成装置は、ターゲットを装置に固定するために金具等を使用せず装置内部を減圧にすることによって生じる吸引力でターゲットを装置に固定し、装置内を大気圧にすることによりターゲットは容易に取りはずしができ、ターゲットの交換に手間がかからない。さらにセラミックス(12)に設けたゴムパッキン溝(10)より広い面積の平面を有しかつ電気伝導性がある材料であれば、ターゲットとして使用でき、ターゲットとして大きさや形状に係わりなく使用できる。本発明の装置は、チャンバー蓋の中心で装置のチャンバー側1cmの位置で測定したアルゴンガス圧力が1torrから15torrの範囲で皮膜を被覆するために、陽極管(16)がターゲット(15)に0.3mm以下の距離の間隙(17)まで近づいた構造を特長としており、陰極側に固定されているセラミックス(12)と陽極(3)の間隙(17)及び絶縁体のテフロン(9)と陽極(3)の間隙(17)を0.3mm以下の構造とすること、及び排気口(8)から真空ポンプで排気することによってセラミックス(12)と陽極管(16)の間隙及びターゲットと陽極管距離(18)の部分の圧力をチャンバー内圧力より低くすることによって、陽極管−ターゲット、セラミックス−陽極管、テフロン−陽極の部分での放電を抑え、陽極管(16)の内側だけで異常グロー放電を生じさせてターゲットをスパッタし、材料(13)表面に皮膜を被覆するものである。
上記のようにすることによって、本装置はチャンバー蓋の中心で装置のチャンバー側1cmの位置で測定したアルゴンガス圧力が1torrから15torrの範囲で動作するので1torr以下の真空を必要としないので、真空漏れに対する対策が軽減されるし、保守も容易であって、かつ装置内を減圧にするための真空ポンプとして、ロータリーポンプを2台使用するだけで、拡散ポンプやターボポンプが不要であるため安価である。
【0006】
本発明では、ターゲットは装置内を減圧にすることによって生じる吸引力で装置の陰極側所定位置に固定するため、ターゲットの交換は装置内を大気圧にすることにより容易にできる。ターゲットは、図3のゴムパッキン溝(10)より広い面積の平面があれば、ゴムパッキン溝中のゴムパッキンとターゲットの間からの空気の進入がないので、電気伝導性を有していれば、形状や組成に係わりなく使用することができる。本皮膜形成装置で陽極と陰極の間隙(17)及びターゲットと陽極管距離(18)を0.3mm以下にすることと、陽極と陰極の間隙(17)及びターゲットと陽極管距離(18)の部分を排気口(8)からロータリーポンプで排気することによって、チャンバー蓋の中心で装置のチャンバー側約1cmのところで測定したアルゴンガス圧力が1torrから15torrの範囲であっても、ターゲットと陽極管距離(18)の部分では、放電せずに陽極管内だけで放電が発生する。放電させる際は排気口(4)及び排気口(8)の両排気口から排気した状態であることが必要である。これによって従来の装置のように10-1torrオーダーから10-4torrオーダーの範囲にする必要がない。以上のように、本発明は、上記欠点のない図1に示した全体構造の皮膜形成装置を提供するものである。
【0007】
陽極(2)及び陰極(11)の材料はステンレス鋼又は炭素鋼又は真鍮又はこれら合金が好適なものとして例示されるが、これらに限らず、これらより融点が高く、かつ引っ張り強度の大きくかつ電気電導性のある材料であればよい。
絶縁体(9)は直流電圧2000V以上の破壊電圧を有するとともに、ターゲットを装置に取り付け、装置内を真空状態にした時に変形しない強度及び1000℃までの耐熱性及び真空漏れのない材料であれば、セラミックス以外ガラスでもよい。
皮膜を被覆する材料(13)及び材料ホルダー(6)は電気的に陽極及び陰極と絶縁されていなければならない。
陽極及び陰極及びターゲットを皮膜被覆中冷却する必要がある。図1にはターゲットを陰極に接触させて冷却する方法を示したが、これ以外の方法としてターゲット(15)に冷却を目的とした金属や通水したゴム容器等を接触させ冷却する方法、空気や窒素等のガスを吹き付けて冷却する方法があるが、ターゲットが冷却すればどのような方法でもよい。
陽極管(16)の内部形状を図3に示したが、陽極管の内部形状は図3において縦方向が10mm以下で、横方向が300mm以下であればよい。
これまで報告されている装置では、スパッタする陽極管の内部形状は直径4.8mmから8mmの範囲の円形のものだけであり、本発明の装置のように図3に示した円形以外の陽極管内部形状ではない。本発明では、円形以外の形状でもスパッタし皮膜形成に利用できるようにしたが、従来、そのような例はない。
【0008】
本発明の装置は、チャンバー蓋(1)を開いて、試料ホルダー(7)に材料(13)を取り付け、ターゲットから所定の距離になるようにチャンバー内に固定する。その後、チャンバー蓋(1)を取り付ける。この状態で、雰囲気ガス導入口(5)から雰囲気ガスとするアルゴンを導入し、排気口(4)及び(8)から、ロータリーポンプで排気する。この状態でターゲットを所定の位置に固定し、チャンバー内の雰囲気を完全にアルゴン雰囲気とした後、陽極(3)と陰極(11)間に直流電圧をかけ、ターゲットをスパッタリングさせ、試料表面にターゲット材料の皮膜を被覆する。
【0009】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は当該実施例にによって何ら限定されるものではない。下記の実施例においては、雰囲気ガス導入口(5)からアルゴンガスを導入し、排気口(4)及び(8)からロータリーポンプで排気し、ターゲットを固定した。
実施例1
純銅をターゲットとして用い、皮膜被覆条件はアルゴンガス圧力が8torr、直流電圧が800V、皮膜被覆時間が300秒、皮膜被覆材料を真鍮として皮膜を被覆したところ、約1.2μmの皮膜が真鍮の表面に被覆された。
【0010】
実施例2
排気口(4)から20l/minロータリーポンプ及び排気口(8)から150l/minロータリーポンプで排気しながらガス導入口から200ml/minのアルゴンガスを導入すると、ターゲットとして使用したサイズが直径60mmで厚さ15mmの純銅ターゲットは陰極と電気的に導通した状態で装置に固定されていたが、ロータリーポンプを停止して装置内部を大気圧にすることによって、上記ターゲットは容易に装置から取り外すことができた。
【0011】
実施例3
排気口(4)から20l/minロータリーポンプ及び排気口(8)から150l/minロータリーポンプで排気しながらガス導入口から200ml/minのアルゴンガスを導入すると、縦約50mmで横約45mmで厚さ約20mmの大きさで、表面が凹凸している炭素鋼の縦50mmで横約45mmの面を研磨装置で表面を平面に研磨すると、炭素鋼とセラミックスに設けられたゴムパッキン溝中のゴムパッキン間で真空の漏れがなく、ターゲットとして使用できた。
【0012】
【発明の効果】
本発明の皮膜形成装置により、次のような効果が奏される。
(1)ターゲットの交換が容易に実施可能であり、ターゲット交換に要する時間が短くなる。
(2)セラミックスに設けたゴムパッキン溝より広い面積の平面を有しかつ電気伝導性があるものであれば、ターゲットとしてその形状や組成に係わりなく使用できる。
(3)さらに1torrから15torrの範囲のガス圧力下で皮膜を被覆できるので、ロータリーポンプ以外に高価なターボポンプや拡散ポンプを併用する必要がなく装置が安価である。
(4)本発明の装置は、1torrから15torrの範囲で動作するので1torr以下の真空を必要としない。
(5)真空に対する対策が軽減され、保守も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の皮膜形成装置の断面図である。
【図2】図1における陽極管近傍の拡大図である。
【図3】図1の陽極管周辺をターゲットのない状態で図1の下の方から見た図である。
【符号の説明】
1 チャンバー蓋
2 ゴムパッキン溝
3 陽極
4 排気口
5 ガス導入口
6 試料ホルダー
7 試料ホルダー固定ねじ
8 排気口
9 絶縁体(テフロン)
10 ゴムパッキン溝
11 陰極
12 セラミックス
13 基材(被処理材)
14 冷却水出入口
15 ターゲット
16 陽極管
17 間隙
18 ターゲットと陽極管距離
19 図1での切断面。
【発明が属する技術分野】
本発明は、異常グロー放電下におけるスパッタリング効果を利用して、使用目的に応じて材料表面に求められる性能を有する皮膜を材料表面に被覆する装置に関するものであり、さらに詳しくは、本発明は、装置内部を減圧にすることによって生じる吸引力でターゲットを装置の所定位置に固定し、かつ陽極管の内側だけで異常グロー放電を生じさせてスッパタリングすることにより、装置の簡素化、低コスト化及び操作性の向上化等を図り、1torrから15torrの範囲での動作を可能とし、また、ターゲットをその形状及び組成に係わりなく使用することを可能とする新しいタイプの皮膜形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
市販されているスパッタリングを利用して材料表面に皮膜を被覆する装置は、通常10-1torrオーダーから10-4torrオーダーの範囲のアルゴンガス雰囲気下で動作させるため、真空ポンプは、ロータリーポンプとともに拡散ポンプ又はターボポンプを使用しなければならないという欠点がある。また、従来の方法では、皮膜材料であるターゲットは、市販されている装置で異なるが、例えば直径が8インチ、5インチといった決まったサイズの円板状のものしか使用できない欠点がある。また、従来の装置では、ターゲットは皮膜を被覆するチャンバー内の所定の位置に固定して使用しなければならないため、ターゲットの交換には手間がかかるという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、従来の装置のように10-1torrオーダーから10-4torrオーダーの範囲にする必要がなく、また、皮膜材料であるターゲットの形状及び組成に制約されることがなく、しかも、装置の簡素化、低コスト化及び操作性の向上等を可能とし、また、ターゲットの交換の簡便化を可能とする新しい装置を開発することを目標として鋭意研究を積重ねた結果、装置内部を減圧することによって生じる吸引力でターゲットを装置の陰極側の所定位置に固定すること、また、装置内部の圧力より陽極と陰極の間隙の部分の圧力を低くすること等により所期の目的が達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ターゲットを装置に固定するために金具等を使用せず装置内部を減圧にすることによって生じる吸引力でターゲットを装置の陰極側の所定位置に固定し、装置内を大気圧にすることによってターゲット交換ができるとともに、さらにセラミックス(12)に設けたゴムパッキン溝(10)より広い面積の平面を有しかつ電気伝導性があれば、ターゲットとして使用でき、さらにチャンバー蓋の中心で装置のチャンバー側約1cmの位置で測定したアルゴンガス圧力が1torrから15torrの範囲で皮膜を被覆できる安価で操作が簡単な新しいタイプの皮膜形成装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、以下のような構成が採用される。
(1)皮膜を被覆する基材及びターゲットを装置に固定し、陽極と陰極の間に直流電圧をかけ、ターゲットをスパッタリングさせ、基材表面に皮膜を形成する装置であって、装置内部に雰囲気ガスを導入するガス導入口、装置内部のガスを排気する排気口(4)、陽極及び陰極間の間隙部分のガスを排気する排気口(8)、陽極と陰極の間を絶縁する絶縁体を具備すると共に、上記2つの別々に設けた排気口から排気して装置内部を減圧にすることによって生じる吸引力でターゲットを上記装置の陰極側の所定位置に固定し、上記2つの別々に設けた排気口から真空ポンプで排気して、装置内部の圧力より陽極と陰極の間隙の部分の圧力を低くした状態で、陽極と陰極間に直流電圧を印加して、ターゲットと陽極間で異常グロー放電を生じさせてスッパタリングを起こして、装置内部にセットされた基材表面に皮膜を被覆するようにしたことを特徴とする皮膜形成装置。
(2)ターゲットを上記装置の陰極側の所定位置に固定されているセラミックスを介して、固定する前記(1)記載の皮膜形成装置。
(3)チャンバー蓋の中心で装置のチャンバー側1cmの位置で測定した雰囲気ガス圧力が1torrから15torrの範囲で、陽極と陰極間に直流電圧を印加して、ターゲットと陽極間で放電させることによって基材の表面に皮膜を被覆する前記(1)記載の皮膜形成装置。
(4)セラミックスに設けたゴムパッキン溝に固定したゴムパッキンを介してターゲットを固定する前記(2)記載の皮膜形成装置。
(5)陽極管がターゲットに0.3mm以下の距離まで近づいた構造であり、陰極側に固定されているセラミックスと陽極の間隙及び絶縁体と陽極の間隙が0.3mm以下の構造である前記(2)記載の皮膜形成装置。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の装置を使用して基材に皮膜を形成する方法であって、装置内部の圧力より、陰極側に固定されているセラミックスと陽極の間隙及び絶縁体と陽極の間隙の部分の圧力を排気口(8)から排気して、装置内部の圧力より陽極と陰極の間隙の部分の圧力を低くすることによって、装置の陽極管の内側だけで異常グロー放電を生じさせてスッパタリングし、基材表面に皮膜を被覆する方法。
【0005】
【発明の実施の形態】
続いて、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の皮膜形成装置は、ターゲットを装置に固定するために金具等を使用せず装置内部を減圧にすることによって生じる吸引力でターゲットを装置に固定し、装置内を大気圧にすることによりターゲットは容易に取りはずしができ、ターゲットの交換に手間がかからない。さらにセラミックス(12)に設けたゴムパッキン溝(10)より広い面積の平面を有しかつ電気伝導性がある材料であれば、ターゲットとして使用でき、ターゲットとして大きさや形状に係わりなく使用できる。本発明の装置は、チャンバー蓋の中心で装置のチャンバー側1cmの位置で測定したアルゴンガス圧力が1torrから15torrの範囲で皮膜を被覆するために、陽極管(16)がターゲット(15)に0.3mm以下の距離の間隙(17)まで近づいた構造を特長としており、陰極側に固定されているセラミックス(12)と陽極(3)の間隙(17)及び絶縁体のテフロン(9)と陽極(3)の間隙(17)を0.3mm以下の構造とすること、及び排気口(8)から真空ポンプで排気することによってセラミックス(12)と陽極管(16)の間隙及びターゲットと陽極管距離(18)の部分の圧力をチャンバー内圧力より低くすることによって、陽極管−ターゲット、セラミックス−陽極管、テフロン−陽極の部分での放電を抑え、陽極管(16)の内側だけで異常グロー放電を生じさせてターゲットをスパッタし、材料(13)表面に皮膜を被覆するものである。
上記のようにすることによって、本装置はチャンバー蓋の中心で装置のチャンバー側1cmの位置で測定したアルゴンガス圧力が1torrから15torrの範囲で動作するので1torr以下の真空を必要としないので、真空漏れに対する対策が軽減されるし、保守も容易であって、かつ装置内を減圧にするための真空ポンプとして、ロータリーポンプを2台使用するだけで、拡散ポンプやターボポンプが不要であるため安価である。
【0006】
本発明では、ターゲットは装置内を減圧にすることによって生じる吸引力で装置の陰極側所定位置に固定するため、ターゲットの交換は装置内を大気圧にすることにより容易にできる。ターゲットは、図3のゴムパッキン溝(10)より広い面積の平面があれば、ゴムパッキン溝中のゴムパッキンとターゲットの間からの空気の進入がないので、電気伝導性を有していれば、形状や組成に係わりなく使用することができる。本皮膜形成装置で陽極と陰極の間隙(17)及びターゲットと陽極管距離(18)を0.3mm以下にすることと、陽極と陰極の間隙(17)及びターゲットと陽極管距離(18)の部分を排気口(8)からロータリーポンプで排気することによって、チャンバー蓋の中心で装置のチャンバー側約1cmのところで測定したアルゴンガス圧力が1torrから15torrの範囲であっても、ターゲットと陽極管距離(18)の部分では、放電せずに陽極管内だけで放電が発生する。放電させる際は排気口(4)及び排気口(8)の両排気口から排気した状態であることが必要である。これによって従来の装置のように10-1torrオーダーから10-4torrオーダーの範囲にする必要がない。以上のように、本発明は、上記欠点のない図1に示した全体構造の皮膜形成装置を提供するものである。
【0007】
陽極(2)及び陰極(11)の材料はステンレス鋼又は炭素鋼又は真鍮又はこれら合金が好適なものとして例示されるが、これらに限らず、これらより融点が高く、かつ引っ張り強度の大きくかつ電気電導性のある材料であればよい。
絶縁体(9)は直流電圧2000V以上の破壊電圧を有するとともに、ターゲットを装置に取り付け、装置内を真空状態にした時に変形しない強度及び1000℃までの耐熱性及び真空漏れのない材料であれば、セラミックス以外ガラスでもよい。
皮膜を被覆する材料(13)及び材料ホルダー(6)は電気的に陽極及び陰極と絶縁されていなければならない。
陽極及び陰極及びターゲットを皮膜被覆中冷却する必要がある。図1にはターゲットを陰極に接触させて冷却する方法を示したが、これ以外の方法としてターゲット(15)に冷却を目的とした金属や通水したゴム容器等を接触させ冷却する方法、空気や窒素等のガスを吹き付けて冷却する方法があるが、ターゲットが冷却すればどのような方法でもよい。
陽極管(16)の内部形状を図3に示したが、陽極管の内部形状は図3において縦方向が10mm以下で、横方向が300mm以下であればよい。
これまで報告されている装置では、スパッタする陽極管の内部形状は直径4.8mmから8mmの範囲の円形のものだけであり、本発明の装置のように図3に示した円形以外の陽極管内部形状ではない。本発明では、円形以外の形状でもスパッタし皮膜形成に利用できるようにしたが、従来、そのような例はない。
【0008】
本発明の装置は、チャンバー蓋(1)を開いて、試料ホルダー(7)に材料(13)を取り付け、ターゲットから所定の距離になるようにチャンバー内に固定する。その後、チャンバー蓋(1)を取り付ける。この状態で、雰囲気ガス導入口(5)から雰囲気ガスとするアルゴンを導入し、排気口(4)及び(8)から、ロータリーポンプで排気する。この状態でターゲットを所定の位置に固定し、チャンバー内の雰囲気を完全にアルゴン雰囲気とした後、陽極(3)と陰極(11)間に直流電圧をかけ、ターゲットをスパッタリングさせ、試料表面にターゲット材料の皮膜を被覆する。
【0009】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は当該実施例にによって何ら限定されるものではない。下記の実施例においては、雰囲気ガス導入口(5)からアルゴンガスを導入し、排気口(4)及び(8)からロータリーポンプで排気し、ターゲットを固定した。
実施例1
純銅をターゲットとして用い、皮膜被覆条件はアルゴンガス圧力が8torr、直流電圧が800V、皮膜被覆時間が300秒、皮膜被覆材料を真鍮として皮膜を被覆したところ、約1.2μmの皮膜が真鍮の表面に被覆された。
【0010】
実施例2
排気口(4)から20l/minロータリーポンプ及び排気口(8)から150l/minロータリーポンプで排気しながらガス導入口から200ml/minのアルゴンガスを導入すると、ターゲットとして使用したサイズが直径60mmで厚さ15mmの純銅ターゲットは陰極と電気的に導通した状態で装置に固定されていたが、ロータリーポンプを停止して装置内部を大気圧にすることによって、上記ターゲットは容易に装置から取り外すことができた。
【0011】
実施例3
排気口(4)から20l/minロータリーポンプ及び排気口(8)から150l/minロータリーポンプで排気しながらガス導入口から200ml/minのアルゴンガスを導入すると、縦約50mmで横約45mmで厚さ約20mmの大きさで、表面が凹凸している炭素鋼の縦50mmで横約45mmの面を研磨装置で表面を平面に研磨すると、炭素鋼とセラミックスに設けられたゴムパッキン溝中のゴムパッキン間で真空の漏れがなく、ターゲットとして使用できた。
【0012】
【発明の効果】
本発明の皮膜形成装置により、次のような効果が奏される。
(1)ターゲットの交換が容易に実施可能であり、ターゲット交換に要する時間が短くなる。
(2)セラミックスに設けたゴムパッキン溝より広い面積の平面を有しかつ電気伝導性があるものであれば、ターゲットとしてその形状や組成に係わりなく使用できる。
(3)さらに1torrから15torrの範囲のガス圧力下で皮膜を被覆できるので、ロータリーポンプ以外に高価なターボポンプや拡散ポンプを併用する必要がなく装置が安価である。
(4)本発明の装置は、1torrから15torrの範囲で動作するので1torr以下の真空を必要としない。
(5)真空に対する対策が軽減され、保守も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の皮膜形成装置の断面図である。
【図2】図1における陽極管近傍の拡大図である。
【図3】図1の陽極管周辺をターゲットのない状態で図1の下の方から見た図である。
【符号の説明】
1 チャンバー蓋
2 ゴムパッキン溝
3 陽極
4 排気口
5 ガス導入口
6 試料ホルダー
7 試料ホルダー固定ねじ
8 排気口
9 絶縁体(テフロン)
10 ゴムパッキン溝
11 陰極
12 セラミックス
13 基材(被処理材)
14 冷却水出入口
15 ターゲット
16 陽極管
17 間隙
18 ターゲットと陽極管距離
19 図1での切断面。
Claims (6)
- 皮膜を被覆する基材及びターゲットを装置に固定し、陽極と陰極の間に直流電圧をかけ、ターゲットをスパッタリングさせ、基材表面に皮膜を形成する装置であって、装置内部に雰囲気ガスを導入するガス導入口、装置内部のガスを排気する排気口(4)、陽極及び陰極間の間隙部分のガスを排気する排気口(8)、陽極と陰極の間を絶縁する絶縁体を具備すると共に、上記2つの別々に設けた排気口から排気して装置内部を減圧にすることによって生じる吸引力でターゲットを上記装置の陰極側の所定位置に固定し、上記2つの別々に設けた排気口から真空ポンプで排気して、装置内部の圧力より陽極と陰極の間隙の部分の圧力を低くした状態で、陽極と陰極間に直流電圧を印加して、ターゲットと陽極間で異常グロー放電を生じさせてスッパタリングを起こして、装置内部にセットされた基材表面に皮膜を被覆するようにしたことを特徴とする皮膜形成装置。
- ターゲットを上記装置の陰極側の所定位置に固定されているセラミックスを介して、固定する請求項1記載の皮膜形成装置。
- チャンバー蓋の中心で装置のチャンバー側1cmの位置で測定した雰囲気ガス圧力が1torrから15torrの範囲で、陽極と陰極間に直流電圧を印加して、ターゲットと陽極間で放電させることによって基材の表面に皮膜を被覆する請求項1記載の皮膜形成装置。
- セラミックスに設けたゴムパッキン溝に固定したゴムパッキンを介してターゲットを固定する請求項2記載の皮膜形成装置。
- 陽極管がターゲットに0.3mm以下の距離まで近づいた構造であり、陰極側に固定されているセラミックスと陽極の間隙及び絶縁体と陽極の間隙が0.3mm以下の構造である請求項2記載の皮膜形成装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置を使用して基材に皮膜を形成する方法であって、装置内部の圧力より、陰極側に固定されているセラミックスと陽極の間隙及び絶縁体と陽極の間隙の部分の圧力を排気口(8)から排気して、装置内部の圧力より陽極と陰極の間隙の部分の圧力を低くすることによって、装置の陽極管の内側だけで異常グロー放電を生じさせてスッパタリングし、基材表面に皮膜を被覆する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05275298A JP3663432B2 (ja) | 1998-02-18 | 1998-02-18 | 皮膜形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP05275298A JP3663432B2 (ja) | 1998-02-18 | 1998-02-18 | 皮膜形成装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11229134A JPH11229134A (ja) | 1999-08-24 |
JP3663432B2 true JP3663432B2 (ja) | 2005-06-22 |
Family
ID=12923640
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP05275298A Expired - Lifetime JP3663432B2 (ja) | 1998-02-18 | 1998-02-18 | 皮膜形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3663432B2 (ja) |
-
1998
- 1998-02-18 JP JP05275298A patent/JP3663432B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11229134A (ja) | 1999-08-24 |
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