JP3663324B2 - 付加硬化型シリコーンゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、十分な保存性及び迅速な硬化性を兼ね備えた1液性又は2液性の付加硬化型シリコーンゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
白金又は白金化合物を硬化触媒とした付加硬化型シリコーンゴム組成物は、硬化性に優れ、また材料としてもミラブルタイプ、液状タイプのいずれにも適応可能であるため、種々の用途に使用されている。特に液状タイプは、接着剤、型取り材、LIMS材料等として有用である。いずれのタイプも組成物を混合及び/又は加熱することにより、架橋反応が促進され、ゴム硬化物を得ることができる。
【0003】
1液タイプの場合は、組成物の保存性(使用するまでの保存時間)を確保するため、通常、硬化制御剤(即ち、ヒドロシリル化反応制御剤)が配合されているので、その硬化には加熱を必要とする。この場合、硬化促進のためには高温加熱が望ましいが、何らかの理由で高温加熱できない場合は、低温で長時間加熱するほかない。長時間加熱が不都合であるときは、2液タイプを使用せざるを得ない。従って、1液タイプでは十分な保存性を有すると共に、低温でも短時間で硬化できることが望まれる。
2液タイプの場合も十分な保存性を有すると共に、低温で短時間に硬化できることが望ましい。
【0004】
そこで両タイプについて従来十分な保存性と迅速な硬化性とをバランス良く兼ね備えた硬化性組成物を得るべく種々の検討が行われてきた。特に1液タイプについては、硬化制御剤として、ビニル含有シロキサン、燐化合物、窒素化合物、アセチレンアルコール等を用いて種々検討されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、1液タイプ及び2液タイプのいずれの場合も十分な保存性と迅速な硬化性とをバランス良く兼ね備えた付加硬化型シリコーンゴム組成物は未だ得られていない。
従って本発明の目的は、十分な保存性と迅速な硬化性とがバランス良く兼ね備わった付加硬化型シリコーンゴム組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的を達成する手段として、
(A)平均組成式(1):R1 aR2 bSiO(4-a-b)/2(式中、R1は脂肪族不飽和結合を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、R2はアルケニル基を表し、aは1.40〜2.00の数であり、bは0.0001〜0.5の数であって、且つa及びbはa+b=1.90〜2.04を満足する。)で示される、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン、
(B)平均組成式(2):R3 cHdSiO(4-c-d)/2(式中、R3は脂肪族不飽和結合を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、cは0.70〜2.0の数であり、dは0.005〜1.0の数であり、且つc及びdはc+d=0.8〜3.0を満足する。)で示される、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)白金系触媒、及び
(D)40℃以上の融点を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物
を含有してなる付加硬化型シリコーンゴム組成物を提供する。
【0007】
本発明の組成物は、更に必要に応じて(E)アセチレンアルコール化合物又は該化合物のアルコール性水酸基(C−OH)がシランもしくはシロキサンにより変性された化合物を含有することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
<(A)オルガノポリシロキサン>
成分(A)のオルガノポリシロキサンは、平均組成式(1):
R1 aR2 bSiO(4-a-b)/2で示される、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有するもので、ベースポリマーとして使用される。このオルガノポリシロキサンの分子構造については特に制限はなく、直鎖状、分岐状、環状或いは三次元網状構造のいずれであってもよく、また、単一のシロキサン単位からなる重合体又は2種以上のシロキサン単位からなる共重合体であってもよいが、通常は分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖され、主鎖が実質的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる、直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが一般的である。また、分子中のアルケニル基は分子主鎖末端のケイ素原子及び分子鎖途中のケイ素原子のいずれに結合したものであっても、また、この両方に結合したものであってもよいが、硬化物の物性等の点から、少なくとも分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するものであることが好ましい。
【0009】
平均組成式(1)において、R1は同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8の、脂肪族不飽和結合を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基を表す。R1の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;及びこれらの炭化水素基の水素原子の少なくとも一部がフッ素原子、臭素原子、塩素原子等のハロゲン原子;ニトリル基等で置換された置換炭化水素基、例えばトリフルオロプロピル基、クロロメチル基、シアノエチル基等が挙げられる。これらの中では合成の容易さや化学的安定性の点から全てメチル基であることが好ましい。特性上必要な場合は、メチル基の一部がフェニル基又はトリフルオロプロピル基で置換されていてもよい。R2はアルケニル基を表す。R2の具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の、通常、炭素数が2〜6程度のものが挙げられるが、好ましくはビニル基及びアリル基であり、合成の容易さや化学的安定性の点からビニル基が更に好ましい。aは1.40〜2.00、好ましくは1.8〜2.00の数であり、bは0.0001〜0.5、好ましくは0.001〜0.1の数であって、且つa及びbはa+b=1.90〜2.04、好ましくは1.95〜2.02を満足する。
【0010】
このオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、得られる硬化物の可撓性及び組成物の作業性の点で、通常10cSt(センチストークス)以上、好ましくは50〜5,000,000cSt、より好ましくは100〜1,000,000cStの範囲である。
【0011】
成分(A)のオルガノポリシロキサンの代表的な例としては、メチルビニルシロキサン環状重合体、メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・モノメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、式:R1 3SiO1/2(但し、 R1は平均組成式(1)におけるR1と同じ意味を有する。以下同様。)で示されるシロキサン単位と式:R1 2R2SiO1/2(但し、 R2は平均組成式(1)におけるR2と同じ意味を有する。以下同様。)で示されるシロキサン単位と式:R1 2SiO2/2で示されるシロキサン単位と少量の式:SiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノポリシロキサン共重合体、R1 3SiO1/2単位とR1 2R2SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなるオルガノポリシロキサン共重合体、R1 2R2SiO1/2単位とR1 2SiO2/2と少量のSiO4/2単位とからなるオルガノポリシロキサン共重合体、R1R2SiO2/2単位と少量のR1SiO3/2単位及び/又はR2SiO3/2単位とからなるオルガノポリシロキサン共重合体、及び下記構造式:
【0012】
【化1】
で示されるオルガノポリシロキサンなどが挙げられる。
これらのアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、1種単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0013】
<(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン>
成分(B)のオルガノハイドロジエンポリシロキサンは、分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するものであり、平均組成式(2):R3 cHdSiO(4-c-d)/2で示されるもので、成分(B)中のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)が、後述する成分(D)の白金系触媒の存在下に成分(A)中のケイ素原子に結合したアルケニル基と付加反応して、三次元網状構造を与える架橋剤として機能する。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造については特に制限はなく、直鎖状、分岐状、環状及び三次元網状構造のいずれであってもよい。例えば、SiH基を有するシロキサン単位のみからなる重合体であっても、或いはSiH基を有するシロキサン単位と、トリオルガノシロキシ単位、ジオルガノシロキサン単位、モノオルガノシロキサン単位及び式:SiO4/2で示されるシロキサン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種との共重合体であってもよい。また、重合度についても特に制限はないが、成分(A)との相溶性や合成の容易さ等の点からケイ素原子の数が3〜300個、特に4〜150個のものが好適である。
【0014】
平均組成式(2)において、R3は同一でも異なってもよく、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8程度の、脂肪族不飽和結合を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基を表す。R3の具体例としては、平均組成式(1)のR1において例示したものと同じものが例示され、合成の容易さや化学的安定性の点から全てメチル基であることが好ましい。特性上必要な場合は、メチル基の一部がフェニル基又はトリフルオロプロピル基で置換されていてもよい。cは0.70〜2.0、好ましくは0.9〜2.0の数であり、dは0.005〜1.0、好ましくは0.01〜1.0の数であり、且つc及びdはc+d=0.8〜3.0、好ましくは1.0〜2.5を満足する。
【0015】
このような成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの代表的な例としては、メチルハイドロジェンシロキサン環状重合体、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH3)3SiO1/2単位と(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C6H5)SiO3/2単位とからなる共重合体、(CH3)HSiO2/2単位と(CH3)SiO3/2単位及び/又はHSiO3/2単位とからなる共重合体、及び下記構造式:
【0016】
【化2】
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンなどが挙げられる。
成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは1種単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0017】
成分(B)の配合量は高密度オルガノハイドロジェンポリシロキサン(主鎖がメチルハイドロジェンシロキサン単位の繰り返しだけからなるオルガノハイドロジェンポリシロキサン)を含めて成分(A)に含有されるアルケニル基1個当たり、成分(B)のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)の数、成分(B)以外のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが存在する場合はオルガノハイドロジェンポリシロキサン全体に存在するケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)の数は、組成物の硬化性、硬化時の非発泡性、硬化物の強度、硬化物の物性の経時安定性などの観点から0.4〜10個となるような量が好ましく、1.2〜5.0個となるような量がより好ましい。
【0018】
<(C)白金系触媒>
成分(C)の白金系触媒は、成分(A)のアルケニル基、即ち不飽和脂肪族基含有オルガノポリシロキサンと成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応を促進するための触媒で、公知のものが使用できる。具体的には白金ブラック;塩化白金酸;塩化白金酸のアルコール変性物;塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレンアルコール類等との錯体等が例示される。なお、触媒の配合量は有効量であり、希望する硬化速度に応じて適宜増減すればよいが、具体的には、組成物に対して白金金属換算で通常0.1〜2,OO0ppm、好ましくは1〜200ppmの範囲である。
【0019】
なお、組成物の用途を考慮した場合、腐食性成分の混入は避けなければならないこともある。その場合は白金系触媒も塩素イオンフリーとする必要があり、白金系触媒は塩素イオンが5ppm以下の0価の白金錯体が好ましい。このような白金錯体の具体例としては、米国特許3,715,334、米国特許3,775,452、米国特許3,814,730等に記載されるビニルシロキサンと白金との錯体が挙げられる。
【0020】
<(D)(メタ)アクリル酸エステル化合物>
本明細書では、(メタ)アクリル酸エステル化合物とは、アクリル酸エステル化合物及びメタクリル酸エステル化合物を包含する意味で使用される。
成分(D)の(メタ)アクリル酸エステル化合物は、本発明の組成物に十分な保存性と迅速な硬化性を付与するために必要な成分で、好ましくは分子中にオルガノシロキサン構造を有さないものであり、また40℃以上、通常は40〜180℃、好ましくは60〜150℃の融点を有するものが使用される。
【0021】
本発明者は、前記(A)〜(C)成分とこの(メタ)アクリル酸エステル化合物(即ち、アクリル酸エステル化合物及び/又はメタクリル酸エステル化合物。以下同様。)を組み合わせると、該化合物は加熱によりシロキサン成分に溶解し、意外にも白金系触媒の活性が高められて組成物の硬化速度が高まることを見出した。しかも、該(メタ)アクリル酸エステル化合物は融点が40℃以上であるので常温ではシロキサン成分に溶解していないため、白金系触媒の活性は高められることなく、組成物の安定性、即ち保存性が得られる。こうして、本発明の組成物は十分な保存性と迅速な硬化性とがバランス良く兼ね備えたものとなった。
以上のような効果を発揮する(メタ)アクリル酸エステル化合物は、融点が40℃以上のものであれば、特に限定されないが、分子中に
【0022】
【化3】
等の、1〜4個の芳香族環(例えば、フェニレン環など)、特に1〜2個の芳香族環を含有し、かつ構造中にエーテル性酸素原子、ケイ素原子又はフッ素原子を含有してもよい炭素原子数12〜30個程度で、1〜4価の、好ましくは2価の炭化水素構造のものが好ましい。特に下記一般式(3):
【0023】
【化4】
(式中、R4は水素原子又はメチル基を表し、Xは1〜4個の芳香族環を含有し、構造中に酸素原子、ケイ素原子及びフッ素原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を含有してもよい炭素数6〜30、好ましくは12〜20の2価の炭化水素基を表し、aは1〜6の整数、好ましくは2〜4の整数を表す。)
で示されるものが挙げられる。なお、一般式(3)におけるXの具体例としては、上記例示した芳香族環が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては下記のものが挙げられる。
【0024】
【化5】
【0025】
これらの(メタ)アクリル酸エステル化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。その配合量は、成分(A)のオルガノポリシロキサン100重量部に対し、通常0.0001〜5重量部、好ましくは0.001〜3重量部、より好ましくは0.01〜1重量部である。
【0026】
<(E)アセチレンアルコール化合物又はその誘導体>
本発明の組成物には、任意成分として必要に応じて成分(E)のアセチレンアルコール化合物又はそのシランもしくはシロキサンによる変性化合物を配合することができる。この成分(E)は、硬化制御剤(白金系触媒に対する反応抑制剤)として機能するもので、特に長期間の保存性を必要とする場合に添加することが望ましい。
【0027】
アセチレンアルコール化合物は、エチニル基と水酸基が同一分子内に存在するものであればよいが、エチニル基と水酸基は同一炭素原子に結合していることが好ましい。その具体例としては下記のような化合物が挙げられる。
【0028】
【化6】
またアセチレンアルコール化合物のシラン又はシロキサンによる変性化合物は、アセチレンアルコールの水酸基がSi−O−C結合に転換された形でシランもしくはシロキサン部分と結合したものである。例えば下記のような化合物が挙げられる。
【0029】
【化7】
【0030】
成分(E)の配合量は所望の保存性を得る有効量である。具体的には、成分(A)のオルガノポリシロキサン100重量部に対し、0〜3重量部でよく、通常0.001〜3重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
【0031】
硬化制御剤としては、従来、アセチレンアルコール化合物以外にも、ビニル基含有ポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート類、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール又はそれらの混合物等が知られているが、これら硬化制御剤の中でも特に本発明で特定した(E)成分は前記(D)成分との組み合わせで、十分な保存性と迅速な硬化性とをバランス良く発揮させる。
【0032】
<その他の任意成分>
本発明の組成物には、以上の成分(A)〜(E)の他に、更にヒュームドシリカ、沈降シリカなどの補強性シリカ充填剤;石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム等の非補強性充填剤;コバルトブルーのような無機顔料、有機染料等の着色剤;酸化セリウム、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、ベンガラ、酸化チタン、カーボンブラック等の耐熱性・難燃性向上剤等の添加剤を本発明の効果を妨げない量で配合することができる。また導電安定性を付与する目的で粉状、ウイスカー状、又はストラクチャーの発達した、カーボンブラック、グラファイト等を配合することも可能である。
【0033】
<用途>
本発明の組成物は、電気電子部品周辺や車載用部品周辺に使用される接着剤、型取り剤、シリコーンゴム成型品等の材料(LIMS等)として有用である。
【0034】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げるが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、Me,Viはそれぞれメチル基、ビニル基を意味する。
〔実施例1〜10、比較例1〜6〕
下記成分を表1及び表2に示す処方に従って混合して、1液性の付加硬化型シリコーンゴム組成物を調製し、各組成物の保存性及び硬化性を下記試験方法で評価した。その結果も表1及び表2に示す。
・アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
V-Sx 1
式: ViMe2Si-O-(-SiMe2-O-)400-SiMe2Viで示されるビニル基含有オルガノポリシロキサン(25℃での粘度:5,050cSt)
V-Sx 2
式: ViMe2Si-O-(-SiMe2-O-)800-(-SiMeVi-O-)12-SiMe2Viで示されるビニル基含有オルガノポリシロキサン(25℃での粘度:510,000cSt)
・オルガノハイドロジェンポリシロキサン
H-Sx
式:Me3Si-O-(-SiMe2-O-)15-(-SiMeH-O-)20-SiMe3で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(25℃での粘度:46cSt)
・白金系触媒
白金の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金金属として0.5重量%含有)
・硬化制御剤
【0035】
【化8】
・(メタ)アクリル酸エステル化合物
【0036】
【化9】
【0037】
<試験方法>
・保存試験
組成物を100mlの密閉ガラス瓶中に5℃又は25℃で置き、粘度の数値が調製直後の値の2倍に達するまでの日数を求め、これにより保存性評価の指標とする。
・硬化試験
レオメータを用いて、組成物を80℃又は100℃で加熱し、加熱開始から硬化開始に至るまでの時間(T10)を測定する。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
本発明の付加硬化型シリコーンゴム組成物は、良好な保存性と迅速な硬化性とをバランス良く兼ね備えている。そのため、作業性が高く生産性の向上に大きく寄与するものと期待される。
Claims (3)
- (A)平均組成式(1):R1 aR2 bSiO(4-a-b)/2(式中、R1は脂肪族不飽和結合を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、R2はアルケニル基を表し、aは1.40〜2.00の数であり、bは0.0001〜0.5の数であって、且つa及びbはa+b=1.90〜2.04を満足する。)で示される、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン、
(B)平均組成式(2):R3 cHdSiO(4-c-d)/2(式中、R3は脂肪族不飽和結合を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、cは0.70〜2.0の数であり、dは0.005〜1.0の数であり、且つc及びdはc+d=0.8〜3.0を満足する。)で示される、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)白金系触媒、
(D)下記一般式(3):
で示される、40℃以上の融点を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、及び
(E)硬化制御剤
を含有してなる付加硬化型シリコーンゴム組成物。 - 前記(E)硬化制御剤がアセチレンアルコール化合物又は該化合物のアルコール性水酸基がシランもしくはシロキサンにより変性された化合物である請求項1記載の付加硬化型シリコーンゴム組成物。
- 請求項1又は2に記載の組成物を硬化させることにより得られる硬化物。
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