JP3662908B2 - タイヤ金型用石膏鋳型の乾燥方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤを鋳造によって成形するためのタイヤ金型を石膏鋳造法によって作製する場合における石膏鋳型の乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤを成形するタイヤ金型は、複数に分割された金型ピースを組み付けることにより形成されており、タイヤ形状を幅方向に2分割することにより構成される上下分割型(2ピースモールド)と、半径方向(円周方向)に7〜13程度に分割することにより構成される上下一体型(セクショナルモールド)との2種類のタイヤ成形用金型が使用されている。
【0003】
いずれの金型においても、鋭い角を有した凹ブロック形状部分やサイプ金属薄板などの薄肉凸形状部分を多数有していることから、機械加工による製造が不向きであり、このため、鋳造によって製造されている。鋳造においては、鋳型が崩壊性を有し、アンダーカット等の複雑応への自由度が高く、鋳型での組立加工を簡易に行うことができ、金型の分割形状を略一体形状で鋳造でき、かつ、寸法精度が高い上、鋳型コストが低いメリットがあることから石膏鋳造法が用いられている。
【0004】
図17は、石膏鋳造法によって2ピースモールドを作製する手順を示す。まず、(a)に示すように石膏、樹脂などを用いてタイヤの原形(マスターモデル)1を機械加工で作製し、(b)で示すようにシリコーンゴムなどによって原形1を反転した母型(ゴム型)2を作製する。そして、(c)で示すように母型2を上下に分割した鋳型3を石膏によって反転作製し、この鋳型(石膏鋳型)3を焼成乾燥した後、(d)で示すように複数角度で切断し、(e)で示すように組み立ててリング状の鋳型4とする。そして、この鋳型4を鋳枠5で囲み、鋳枠5内にアルミニウム合金等の合金溶湯6を充填して鋳造することにより鋳物とし、この鋳物に対して不要部分の除去のための機械加工を行い、その後、(g)で示すように型合わせを行ってタイヤ成形用のタイヤ金型7とする。
【0005】
図18は、石膏鋳造法によってセクショナルモールドを作製する手順を示し、図17と同ように、(a)で示すタイヤの原形1を反転した(b)の母型(ゴム型)2を作製した後、(c)及び(d)で示すように石膏によって鋳型(石膏鋳型)3を作製し、(e)で示すように組み立てて鋳型4とする。その後は、図17と同ように、アルミニウム合金等の鋳造金属による鋳造を行い、鋳物を型合わせして(f)で示すタイヤ金型7とする。
【0006】
一方、タイヤの外周面に対して溝を形成する場合、タイヤ金型の金型本体に対し、溝を形成するための骨部を鋳出しによって突出するように形成するが、厚さが2〜3mm程度以下の肉薄の骨部(サイプ)では、強度不足となるため、金型本体の金属材料よりも強度の大きな材料からなる金属薄板を用い、この金属薄板を鋳包みすることによって金型本体に付与することがなされている。例えば、金型本体がアルミニウム合金の場合には、高強度の金属薄板として鉄系合金やニッケル系合金が用いられる。これらの金属は、タイヤを構成するゴムと融着することがないと共に、アルミニウム合金の鋳包みの際に溶損しないためである。
【0007】
図19は、金属薄板を鋳包みによって金型本体に付与する手順を示す。まず、(a)で示すように、金属薄板に対応したモデル用金属薄板10を原形1に設置した状態で、反転して(b)で示す母型(ゴム型)2を作製し、この母型2に(c)で示すように金属薄板11を差し入れる。そして、(d)で示すように石膏によって母型2を反転して鋳型4を作製する際に、金属薄板11を鋳型(石膏鋳型)4に移し換える。このとき、金属薄板11はその一部が鋳型4から露出しており、この状態の鋳型4に対して鋳造を行うことにより金属薄板11を金型本体12に鋳包む。鋳包まれた金属薄板11は(e)で示すように、その一部が金型本体12から露出しており、この露出部分でタイヤの外周面に溝を形成することができる。
【0008】
以上のような石膏鋳型は、石膏スラリーを母型2に流し込んで所定の形状に成形するが、そのままでは鋳造に用いることができない。このため、成形された石膏鋳型を乾燥して水分を除去することがなされている。この乾燥は、熱風加熱炉内で行われるが、石膏鋳型として使用可能となるまでに通常、1〜3日の長い時間を必要としている。
【0009】
このように石膏鋳型の乾燥に長い時間を必要とするのは、石膏鋳型の熱伝導性が低く、かつ石膏鋳型が乾燥時に変態する収縮特性を有しているために乾燥割れが発生し易いためであり、これを防ぐ必要上、昇温,降温を緩やかに行い、かつ必要最低限近傍の温度(180〜230℃)で石膏鋳型の中心部まで確実に熱が届くように長時間に渡って加熱状態をキープしなければならないからである。
【0010】
通常の鋳造鋳型用の石膏材料は、α石膏に種々の耐火材を混合した状態となっており、これを適量の水に散布して攪拌し、型内などに流し込み放置しておくことにより凝結反応が進行してスラリー状から固体状に変化する。このままの状態では、硬化した石膏鋳型内に水が多量に含まれているため、鋳造に用いることができないことから、乾燥により水分を除去する必要がある。この乾燥工程における石膏の水分状態は、表1に示すような状態に区分分けされる。すなわち、表1に示すように、パウダー(石膏材料)を水に分散させることにより生型となり、この生型から遊離水(余剰水)を除去することにより二水石膏となり、以下、乾燥が進行するにつれて半水石膏、III型無水石膏、II型無水石膏となるものである。
【0011】
【表1】
また、石膏材料(パウダー)は水と混練されることにより、分子構造の中に水を取り込む(結晶水)ので、鋳造用の鋳型として用いるためには、この結晶水をも除去する必要がある。鋳造に使用可能な石膏鋳型の状態は、上述のIII型無水石膏以降であるが、約180℃を下回る大気中で放置すると、速やかに再吸湿して半水石膏の状態に戻る特性も有している。このため、石膏鋳型を用いて鋳造する場合は、鋳造直前まで約180℃以上の雰囲気温度内で保持しておく必要がある。以上のことから、実用可能となる石膏鋳型の乾燥は、III型無水石膏となるまで結晶水を除去することである。なお、II型無水石膏まで乾燥しても良いが、ここまで乾燥する場合には、寸法変化が大きく割れやすい上、余計な熱エネルギーと乾燥時間を要するため実用的とはならないものである。
【0012】
以上の石膏鋳型の乾燥時間を短縮するため、従来では、マイクロウェーブを用いて石膏鋳型を加熱することが行われている(非特許文献1参照)。
【0013】
【非特許文献1】
刊行物「鋳物」第49巻 第2号、1976年、82〜87頁
論文「マイクロ波による石こう鋳型の急速乾燥法」
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マイクロウェーブを用いた従来の石膏鋳型の乾燥では、次のような問題点を有している。
【0015】
(1) 市販の鋳造用の石膏材料では、誘電体損失が小さいためにIII型無水石膏まで充分に乾燥することが難しい。
【0016】
(2) マイクロウェーブ加熱だけで強引に乾燥すると、鋳型割れを発生しやすい。
【0017】
(3)誘電体損失の大きい黒鉛粉やFe3O4粉を石膏材に混入することにより、これらの問題を解決できるが、鋳型としての耐熱性が劣化したり、鋳造時に溶湯と反応し鋳造欠陥を生じ易いなどの問題が存在する。
【0018】
(4)遊離水を含んだ石膏鋳型をマイクロウェーブで加熱すると、鋳型内に含まれているアルカリ金属系の添加剤や不純物が、遊離水と共に加熱初期に鋳型中心部から鋳型表面に移動して濃縮されやすい。これにより、鋳型表面に析出物が出る場合が有り、鋳型の表面欠陥となりやすい。
【0019】
(5)鋳型にサイプのための金属薄板(ブレード)が埋め込まれている場合、これを起点に放電を起しやすく、鋳型が局所的に溶損する不具合を生じる。
【0020】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、市販の鋳造用の石膏鋳型材料に何ら添加材を加えることなく、マイクロウェーブ乾燥を用いて石膏鋳型の乾燥時間を短縮することが可能な乾燥方法を提供することを目的とする。また、本発明は、マイクロウェーブ加熱の際に、石膏鋳型に割れが発生することのない乾燥方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、マイクロウェーブ加熱を用いても、石膏鋳型の表面に析出物が生じることのない乾燥方法を提供することを目的とする。また、さらに本発明は、石膏鋳型にサイプブレード等の金属薄板が包れた状態でマイクロウェーブ加熱を行っても放電による鋳型損傷を防止することが可能な乾燥方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明のタイヤ金型用石膏鋳型の乾燥方法は、タイヤ金型を鋳造によって作製するために用いる石膏鋳型の乾燥方法であって、石膏スラリーの母型への流し込みによって成形された石膏鋳型に対しマイクロウェーブ加熱を行って遊離水のみを除去した後、加熱雰囲気内での加熱を行って結晶水を除去することを特徴とする。
【0022】
請求項1の発明では、石膏鋳型から遊離水だけが除去されるようにマイクロウェーブ加熱を行い、その後は、通常の加熱雰囲気内での加熱を行うため、マイクロウェーブによる強引な乾燥が必要以上に継続することがなく、鋳型割れの発生を防止することができる。このため、誘電体損失の大きな添加材を加える必要がなくなる。また、遊離水をマイクロウェーブ加熱によって除去するため、乾燥時間を短縮することができる。
【0023】
請求項2の発明は、請求項1記載のタイヤ金型用石膏鋳型の乾燥方法であって、石膏材料を石膏スラリーとするための調合条件と、母型からの脱型直後の重量と、マイクロウェーブ加熱直前の石膏鋳型の重量とに基づいて除去すべき遊離水の重量を算出し、算出した遊離水重量に基づいてマイクロウェーブ加熱の出力及び時間を決定することを特徴とする。
【0024】
請求項2の発明では、除去すべき遊離水の重量を予め算出し、その後に、石膏材料に応じたマイクロウェーブ加熱を行うため、過剰なマイクロウェーブ加熱を防止することができる。このため、石膏鋳型に割れが発生することを確実に防止することができる。
【0025】
請求項3の発明は請求項1または2記載のタイヤ金型用石膏鋳型の乾燥方法であって、前記石膏鋳型を発泡増量5%以上の発泡石膏を用いて成形することを特徴とする。
【0026】
このように5%以上の発泡増量の石膏鋳型とし、この石膏鋳型に対してマイクロウェーブ加熱を行うことにより、析出物が発生することを防止することができる。これにより、表面欠陥のない石膏鋳型を作製することができる。
【0027】
請求項4の発明は、請求項1または2記載のタイヤ金型用石膏鋳型の乾燥方法であって、前記石膏鋳型に包れた金属薄板の石膏鋳型内への包れ側または露出側に電気伝導性の線材を取り付け、この線材をアース接続した状態で前記マイクロウェーブ加熱を行うことを特徴とする。
【0028】
請求項4の発明では、金属薄板をアースした状態でマイクロウェーブ加熱を行うため、放電が起きることがなくなり、鋳型の局所的な溶損を防止することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明を具体的に説明する前に、石膏鋳型の調合及びその乾燥の一般的な手法を説明する。
【0030】
市販されている鋳造用の石膏材料を用いて石膏鋳型を作製する場合、まず重量比率で石膏パウダー100部に対して30〜100部の水(室温〜40℃)を混合してスラリー化し、母型(ゴム型)に流し込むことで行われる。このときの石膏パウダーと水の調合比率が混水率であり、この混水率を管理することにより、作製される石膏鋳型の強度や寸法特性を安定化させることが一般的に行われている。このようにして作製された石膏鋳型の乾燥は、従来より熱風乾燥等の外熱方式で行われるが、その乾燥状態管理には、次の2つの方法が用いられている。
【0031】
(1)重量減少確認法
石膏パウダー中の石膏分の比率がX重量%、混水率をY重量%として、石膏パウダーZ(kg)を用いて調合された石膏鋳型は次のような重量特性を有する。
【0032】
a.石膏鋳型(生型)総重量…WW=(1+Y/100)・Z (kg)
b.石膏鋳型(生型)中の結晶水・遊離水の重量
CaSO4・1/2H2O(分子量:136+9=145)の(X/100)・Z(kg)がCaSO4・2H2O(分子量:136+36=172)に変態することから、結晶水として取り込まれる水の重量WC(kg)は、
145:(172−145)=(X/100)・Z:WC から求められる。従って、WC≒0.1862・(X/100)・Z(kg)となる。
【0033】
石膏鋳型中で遊離水として存在している水の重量 WF(kg)は、
WF≒(Y/100)・Z−0.1862・(X/100)・Z
として表わされる。市販されている鋳造用の石膏鋳型材料は、通常、X=30〜80重量%,Y=30〜80重量%が殆どである。
【0034】
この生型をIII型無水石膏(CaSO4(III))まで乾燥させると、乾燥後の石膏鋳型の重量は、次のようになる。
【0035】
c.III型無水石膏状態での重量 WIII(kg)は、CaSO4 III(分子量136)から、
145:136=(X/100)・Z:WIII により求められ、WIII≒0.9379・(X/100)・Zとなる。
この重量減少確認法における石膏鋳型の乾燥状態は、乾燥後の重量WDと生型重量WWを用いて次の式で表わされる減水率Rで判断される。
【0036】
R(%)={(WW−WD)/WW}×100
重量減少確認法では、この減水率R(%)がIII型無水石膏に完全に変態したときの理論値、
(WW−WIII)/WW×100={0.9379・(X/100)・Z}/{(1+Y/100)・Z}×100=(0.9379・X)/(100+Y)×100
に近い数値になっていれば、乾燥完了と見なすものである。
【0037】
(2)鋳型中心温度確認法
石膏鋳型の乾燥が結晶水除去という変態を伴うことを利用した方法であり、結晶水除去が行われている間は、該当反応が進行する理論温度で鋳型温度が変化しない現象を利用するものである。
【0038】
図1は、この特性図を示す。石膏鋳型の内部で最も熱が伝わるのが遅れる部位(中心部)に熱電対等の温度測定器具を差し込み、鋳型乾燥時の温度−時間変化を観測すると、図1のような温度履歴となる。同図において、曲線Aが乾燥炉内の加熱雰囲気温度(Max.180〜230℃)、曲線Bが鋳型中心温度であり、遊離水が除去されている状態では、約100℃の温度が継続し(B1部分)、二水石膏から半水石膏への変態状態では、約120℃の温度が継続し(B2部分)、半水石膏からIII型無水石膏への変態状態では、約180℃の温度が継続する(B3部分)する3段階で温度が変化する。そして、 鋳型中心温度が、3つの階段状の段階を経た後、温度上昇を開始していれば、鋳型中心部までIII型無水石膏への変態が完了していることが判る。この方法は、石膏鋳型の乾燥状態を精度良く確認できる方法である。
【0039】
この方法では、各変態段階で必要とされる乾燥時間を次のように定義する。
【0040】
▲1▼遊離水除去に必要な乾燥時間:TF(hr)
▲2▼二水石膏から半水石膏に変態するのに必要な乾燥時間:T2 → 1/2(hr)
▲3▼半水石膏からIII型無水石膏に変態するのに必要な乾燥時間:T1/2 →O III(hr)
その条件の雰囲気温度の乾燥炉内で必要な石膏鋳型の乾燥時間TTOTALは、TTOTAL=TF+T2 → 1/2+T1/2 →O III+{冷却時間(4〜12hr)}となる。
【0041】
なお、一般的な傾向として、TF>T2 → 1/2>T1/2 →O III の関係が成り立つものである。
【0042】
[第1実施形態]
この実施形態では、石膏鋳型に対しマイクロウェーブ加熱を行って遊離水のみを除去し、その後、加熱雰囲気内での加熱を行って結晶水を除去するものである。
【0043】
本発明者は、市販の石膏材を用いて作製した石膏鋳型をマイクロウェーブ加熱する際に、どの時点で鋳型割れの不具合が発生するかを確認実験した。その結果、鋳型中心温度が100℃を超えた時点、即ち遊離水除去が完了した時点で、その発生確率が急増することを確認した。
【0044】
表2〜表5及び図2〜図5は、商品名「ハイドロパーム(以下、H.P.)」(USジプサム(社)製)の発泡石膏材を62.5重量%、商品名「G・6」(ノリタケジプサム(社)製)の非発泡石膏材を37.5重量%の割合で混合したパウダーを混水率70重量%で調合し、攪拌時にスラリー中に空気を巻き込ませ(すなわち発泡させ)、体積増量率35〜50体積%で発泡増量させたものを母型(ゴム型)に流し込み、約50分の放置後、脱型した生型をマイクロウェーブ加熱したときの結果を示す。表2は重量4.75kgの生型、表3は重量5.70kgの生型、表4は重量7.45kgの生型、表5は重量6.12kgの生型に対する加熱処理である。また、図2は表2、図3は表3、図4は表4、図5は表5をグラフ化したものであり、各図において、(a)はマイクロウェーブ(M/W)処理時間−減衰率曲線、(b)はマイクロウェーブ(M/W)処理時間−鋳型中心温度である。
【0045】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
この実験におけるマイクロウェーブ加熱は、所定の時間に区切り、断続的に行い、その間に鋳型重量(重量減少量)と鋳型中心温度を測定してデータを採取した(マイクロウェーブ加熱出力は1500W,周波数は2450MHz)。表2では鋳型の中心温度が163℃、表3では100℃、表4では101℃、表5では177℃のときに鋳型割れが確認されている。図2〜図5において、矢印がこの鋳型割れを確認した時点を示している。
【0046】
以上のデータから、鋳型中心温度が100℃を超えた時点、即ち遊離水除去完了時点で鋳型の割れが急増している。すなわち、石膏鋳型をマイクロウェーブ加熱する際には、鋳型中の遊離水を除去することに限定した使用を行うことにより、鋳型割れを生ずることのない乾燥を行うことができるものである。第1実施形態では、これに基づいて、石膏鋳型の遊離水除去まではマイクロウェーブ加熱を用いて急速に乾燥し、残りの結晶水は従来方式の外熱式の加熱炉(熱風乾燥炉など)で加熱・除去することにより、鋳型を割ることなく、乾燥時間を短縮することを可能としたものである。
【0047】
表6は、表2〜表5における4種類の鋳型を用いて、マイクロウェーブ(M/W)加熱の有無の条件分けをして、室温から200℃まで2hrで昇温した後、200℃でキープする条件の熱風乾燥を行い、結晶水完全除去に必要な時間TTOTAL(hr)がどのように変化するかを調べた結果を示す。なお、表6における乾燥完了の判断は、鋳型中心温度確認法によって行った。表6に示すように、いずれの石膏鋳型も、乾燥後に割れが発生がしていないと共に、遊離水除去に限定してマイクロウェーブ加熱を行うことにより、鋳型のトータル乾燥に要する時間を大幅に低減することが可能となっている。
【0048】
【表6】
[第2実施形態]
この実施形態では、第1実施形態をベースとし、さらに、石膏材料を石膏スラリーとするための調合条件と、母型からの脱型直後の重量と、マイクロウェーブ加熱直前の石膏鋳型の重量とに基づいて除去すべき遊離水の重量を算出し、算出した遊離水重量に基づいてマイクロウェーブ加熱の出力及び時間を決定するものである。すなわち、この実施形態では、石膏材料の含水率や石膏スラリーへの調合さらには、マイクロウェーブ加熱までの条件に基づいてマイクロウェーブ加熱の終了時点を予め設定するものである。
【0049】
本発明者は、数多くの石膏鋳型についてマイクロウェーブ加熱実験を行い、必要なマイクロウェーブ加熱時間を石膏鋳型の生型重量から定量的に精度高く予測できることを見出した。
【0050】
すなわち、本発明者は上述した、「H.P.」発泡石膏材62.5重量%に対し「G・6」非発泡石膏材を37.5重量%の比率で混合したパウダーを混水率70重量%で調合し、攪拌時にスラリー中に空気を巻き込ませ(すなわち発泡させ)、体積増量率35〜50体積%で発泡増量させたものを母型に流し込み、約50分の放置後、脱型して生型とし、この生型をマイクロウェーブ加熱する実験を繰り返した。マイクロウェーブ加熱は、所定の時間に区切って断続的に行い、その間に鋳型重量(重量減少量)を測定した(マイクロウェーブ加熱出力は1500W及び3000Wの2水準,周波数2450MHz)。
【0051】
図6は、このように石膏鋳型をマイクロウェーブ加熱した場合における加熱時間−減水量(鋳型から飛散した水分の重量)の関係を示し、全体でS字型曲線となっている。同図における「区間I」は石膏鋳型全体を100℃まで昇温させるための予熱区間であり、「区間II」は石膏鋳型の遊離水が大気中に飛散(蒸発)していく区間であり、「区間III」は結晶水除去が行われる区間である。この実施形態では、石膏鋳型の遊離水を除去する区間である「区間II」の最終点を予測するものである。
【0052】
「区間II」では、概ね線形となっているところから、M/W加熱時間と減水率とを一次関数として取り扱うことができる。表7及び表8は、上述した調合によって作製した各種重量の鋳型に基づいた「区間II」のデータを示す。
【0053】
【表7】
【表8】
表7及び表8のデータの中で、減水率実測値(重量%){=(減水量kg)/(生型重量kg)×100}を目的変数とし、マイクロウェーブ加熱時間TM/W(min)、同マイクロウェーブ出力α(W)、生型重量 W(kg)を説明変数とした多変量解析(重回帰分析)を行うと、図7が得られ、図7に基づいて次のような減水率予測値が得られる。なお、これは、上述した「H.P.」及び「G・6」の調合の場合に得られるものである。
【0054】
{減水率予測値(重量%)}=−3.207153+0.504314・TM/W−1.456602・W+0.006821・α
ここで、重相関係数:0.879、決定係数(寄与率):0.7726である。
【0055】
このように石膏鋳型に対するマイクロウェーブ加熱時のデータの内、区間IIのデータに基づき、減水率を目的変数とし、マイクロウェーブ加熱時間とその出力値及びマイクロウェーブ加熱した石膏鋳型の生型重量を説明変数として多変量解析することにより、鋳型を割ることなく遊離水だけを除去できるマイクロウェーブ加熱時間を予測することが可能となる。
【0056】
区間IIの最終点での減水率は、使用した石膏材と、その調合条件(混水率)によって異なるものであり、上述した重量減少確認法での記述を参照すると、次のようにして求められる。
【0057】
{区間IIの最終点での減水率(重量%)}= WF/WW ×100
={(Y/100)・Z−0.1862・(X/100)・Z}/{(1+Y/100)・Z}=(Y−0.1862・X)/(100+Y)
上式において、
X : 鋳型に使用した石膏材パウダー中の石膏分比率(重量%)
Y : 鋳型を作製するのに設定した混水率(重量%)
Z : 鋳型を作製するのに使用した石膏材パウダーの重量(kg)
この実施形態においては、X=約65重量%,Y=70重量%であるところから、
解析データでの区間IIの最終点での減水率=34.1(重量%)となる。
【0058】
この34.1%(または、さらに鋳型割れを起こり難くしたい場合はこれより小さな値)を上記減水率予測式に代入して、TM/Wを求めることにより、生型重量W(kg)の石膏鋳型を出力α(W)のマイクロウェーブによる加熱時間を算出することができ、石膏鋳型を割らずに急速乾燥することが可能となる。
【0059】
なお、実際の石膏鋳型は、硬化完了時には『凝結発熱』しており、40〜60℃程度の温度となっていることが多い。このため、硬化直後から、僅かながら水分が蒸発している。
【0060】
上述した減水率予測式の生型重量は、石膏鋳型を母型から脱型した直後の数値(鋳型を調合した時の総重量)であり、その後の自己発熱による自然減水量が考慮されていない。
【0061】
マイクロウェーブ加熱によって遊離水の急速除去を行う場合、僅かな重量誤差がマイクロウェーブ加熱設定時間に影響を与え、過剰な時間設定となって、結果的に鋳型が割れる可能性が有るため、この自己発熱による自然減水量を考慮する必要がなる。
【0062】
このためには、石膏鋳型の脱型直後重量 WW0に加えて、M/W加熱直前重量WW1を測定し、この差分(WW0−WW1)をM/W乾燥までの間に自発的に飛散した減水量とする。即ち、この実施形態においては、
{区間IIの最終点での減水率(重量%)}={WF−(WW0−WW1)}/WW0×100={WF/WW0×100}−{(WW0−WW1)/WW0×100=34.1%−{(WW0−WW1)/WW0×100}
として扱い、これを上述したM/W加熱時間予測式の左辺に代入し、TM/Wを求める。この場合、予測式のWには、WW0を代入する。
【0063】
なお、マイクロウェーブの出力設定,鋳型材料として用いる石膏の種類の差やその調合条件の差によって、マイクロウェーブ加熱時の減水量特性は異なるが、上述した基本構成は共通するものである。表9〜表13は、石膏材料として上記「G・6」を用い非発泡で石膏鋳型を作製し、マイクロウェーブ加熱を行った際のM/W加熱時間に対する減水量を測定したものである。表9は65重量%の混水率で作製した3.685kgの生型の場合、表10は同混水率の3.5lkgの生型の場合、表11は同混水率の2.29kgの生型の場合、表12は50重量%の混水率で作製した3.79kgの生型の場合のデータを示す。図8〜図12はこれらをグラフ化したものであり、図8は表9に、図9は表10に、図10は表11に、図11は表12に、図12は表13にそれぞれ対応している。これらの図に示すように、非発泡の石膏鋳型の場合も、「区間II」では、略直線となっており、発泡の石膏鋳型と同様に一次関数として取り扱うことが可能となっている。
【0064】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
[第3実施形態]
この実施形態では、マイクロウェーブ加熱で石膏鋳型に発生する不具合としての割れに加えて、石膏鋳型表面への析出物の発生(凸状欠陥の発生)を防止するものである。
【0065】
すなわち、タイヤ金型鋳造用に用いる石膏材料の中には、種々の水溶性の添加剤が加えられおり、石膏鋳型の状態でも、これらの添加剤は遊離水に溶け込んだ状態で存在している。この添加剤としては、凝結時間調整剤や凝結膨張抑止剤、発泡剤などがあり、これに類する不純物も含まれるものである。このような石膏鋳型に対して内部加熱も行うマイクロウェーブ加熱を行うと、鋳型の内部から沸騰した水が水蒸気となって鋳型表面側に移動しようとする際に、表面側の鋳型によって再び冷却され、液体の状態に戻り、あたかも鋳型から水が染み出てきたような状態となる。このような現象が起こると、上述した水溶性の添加剤及び/又は不純物が、鋳型表面側で濃縮され、全ての遊離水が鋳型から取り除かれた後に、これらの濃縮成分が鋳型表面に固体として析出したような状態となる。これにより、鋳型表面への析出物欠陥(凸状欠陥)となり、このままの状態で鋳造すると、鋳物(即ちタイヤ金型)に凹欠陥として現われてタイヤ金型の表面の不具合となるため、この石膏鋳型表面への析出物の発生(凸状欠陥の発生)を防止する必要がある。かかる現象は、鋳型内部からも加熱を行うマイクロウェーブ加熱を用いた場合に特に顕著に発生する。
【0066】
これに対し、本発明者は、石膏鋳型を意図的に発泡させて、鋳型の通気性を向上させることにより、この問題を解決したものである。具体的には、石膏スラリーを作製する際に、大気中から空気を巻き込ませることにより発泡石膏鋳型とするものであり、より具体的には、発泡増量5%以上の発泡石膏を用いて石膏鋳型を成形するものである。
【0067】
図13は、本発明者が作製した発泡石膏を用いた石膏鋳型20を示す。この石膏鋳型20は、セクショナルモールドタイプにおける1セクター分を構成し、図13における数値は、mmである。表14は、この石膏鋳型10を作製する石膏材料や発泡・非発泡、混水率及び発泡増量を数字別に示し、その結果を併記してある。表14における石膏スラリーの撹拌は、特開2000−233980号公報に記載されるように円筒容器内でのゴム円板の回転によって行った。また、マイクロウェーブ加熱後の析出物有無の評価は、石膏鋳型の意匠面を縦に5分割、横に10分割し、合計で50区画に区分けし、析出物が発生した区画数をカウントするとにより行った。表14における「マイクロウェーブ加熱後の析出物有無」欄における括弧内の数値は、(析出物が発生した区画数)/(全区画数)である。
【0068】
表14から、この実施形態のように発泡増量5%以上の発泡石膏を用いて石膏鋳型を成形することにより、析出物の発生を効果的に防止することが可能となっている。
【0069】
【表14】
[第4実施形態]
この実施形態では、石膏鋳型にステンレス鋼などの金属薄板であるブレードが包れた石膏鋳型をマイクロウェーブ加熱する際の放電現象を防止するものである。金属薄板が包れた石膏鋳型をマイクロウェーブ加熱すると、遊離水が除去されるにつれて、金属薄板を起点として放電現象が発生する。この放電現象は、マイクロウェーブの出力値が大きいほど、また金属薄板が近い距離で隣接しているほど発生しやすく、放電現象が起きると、石膏鋳型における該当部分が溶損したり、熱分解して、鋳型としての形状を損ねる。
【0070】
図14及び図15は、かかる放電現象を防止するための構造を示す。これらの図において、石膏鋳型21には、ブレードとしての金属薄板22が包れている。この石膏鋳型21はマイクロウェーブ(M/W)加熱機のテーブル23上に設置された状態でマイクロウェーブ加熱が行われる。
【0071】
図14においては、金属薄板22における石膏鋳型21からの露出部分に、銅線等の電気伝導性の線材24が接続され、図15においては、石膏鋳型21に包れている金属薄板22の埋設部分に電気伝導性の線材24が接続されている。線材24と金属薄板22との接続は、電気伝導性のクリップ25を用いることにより簡単に行うことができる。これに限ることなく、線材24を金属薄板22に溶接しても良い。
【0072】
いずれの図においても線材24の引き出し部分は、アース26に接続されている。これにより、マイクロウェーブ加熱時の放電をアース26に流すことができ、金属薄板22における放電現象を防止することができる。従って、放電に基づく石膏鋳型21の溶損や熱分解が起こることがなく、石膏鋳型21としての良好な形状を保持することが可能となる。
【0073】
【実施例】
実施例1及び2では、発泡石膏材料「H.P.」を62.5重量%、非発泡石膏材料を37.5重量%の割合で混合したパウダーを用い、このパウダーに対し混水率70重量%で水を調合して撹拌した。撹拌時には、スラリー中に空気を巻き込ませることにより、体積増量率40体積%で発泡増量させた。図16は、以上により作製された石膏鋳型21を示し、その意匠面には金属薄板22が包れている。寸法数値はmmである。この石膏鋳型21は、約36deg分であり、石膏鋳型21を連結することにより構成される鋳型全体には、合計で67枚の金属薄板22が約3mm間隔で包れている。金属薄板22としては、板厚0.3mmのSUS304を用いた。
【0074】
(実施例1)
この実施例では、脱型直後生型重量(WW0)4.51kgの石膏鋳型21(発泡増量は約42体積%)を6個作製した。石膏鋳型21を作成した後、石膏鋳型21に包れた金属薄板22周辺に付着した石膏材を取り除いた後、金属薄板22の鋳型21から露出している側に対して直径(φ)0.6mmの純銅線をクリップ固定することにより結線した。この一連の作業完了後の鋳型重量(WW1)は4.30kgとなっていた。
【0075】
まず、鋳型の自発的減水量の考慮することなく、第2実施形態における式
{減水率予測値(重量%)}=−3.207153+0.504314・TM/W−1.456602・W+0.006821・αを用い、同式のWに脱型直後の生型重量(WW0=4.51kg)を代入し、目的の減水率(上記予測式の左辺)に、遊離水除去限界の理論値である34%を代入し、マイクロウェーブ出力を3000Wとして、マイクロウェーブ処理時間を計算した。その結果、約42分の加熱時間となった。なお、上式において、 W は生型重量(脱型直後重量)(kg)、TM/Wはマイクロウェーブ加熱時間(min)、αはマイクロウェーブ出力 (W)である。
【0076】
そして、作製した石膏鋳型6個の内の2個を、この数値に基づき、3000W出力で42分のマイクロウェーブ加熱を行った(なお、一個ずつ個別にマイクロウェーブ加熱を行った)。この際、金属薄板22間を結線した銅線は、アースした状態でマイクロウェーブ加熱した。
【0077】
その結果、ブレードの放電現象は発生しなかったが、2個の内の一つの鋳型に割れが発生した。このとき、マイクロウェーブ加熱後の減水率は、2個とも約36.8%で、石膏材の遊離水除去限界の理論値である34.1%をオーバーしていた。これは、脱型後の鋳型の大気中放置による自発的減水量を考慮しなかったために、鋳型が割れたものである。
【0078】
(実施例2)
この実施例では、マイクロウェーブ加熱の目的とする減水率に対し、自発的減水量(WW0−WW1)を考慮した。すなわち、{目的の減水率(重量%)}=34.1% −{(WW0−WW1)/WW0×100}=34.1% −(4.51−4.30)/4.51×100=29.4% とした。そして、第2実施形態における式
{減水率予測値(重量%)}=−3.207153+0.504314・TM/W−1.456602・W+0.006821・α
の左辺に29.4%を代入し、WとしてWW0=4.51kgを代入し、αとして3000Wを代入してマイクロウェーブ加熱時間を計算した。その結果、加熱時間は約37分となった。
【0079】
残り4個の鋳型の内の2個を、この数値に基づき、3000W出力で37分のマイクロウェーブ加熱を行った(なお、一個ずつ個別にマイクロウェーブ加熱を行った)。この際、金属薄板22間を結線した銅線は、アースした状態でマイクロウェーブ加熱した。
【0080】
その結果、ブレードの放電現象も鋳型に割れも発生せず、遊離水除去ができた。また、マイクロウェーブ加熱後の減水率は、2個とも約34%で、目的の減水率となっていた。すなわち、この実施例では、脱型後の鋳型の大気中放置による自発的減水量を考慮することにより、マイクロウェーブ加熱による急速乾燥が可能となったものである。
【0081】
(比較例1)
この比較例1では、残りの2個の鋳型も、実施例2と同ような条件でマイクロウェーブ加熱した。この場合、最後の2個は、金属薄板22間に結線した銅線を外し、アース接続しない状態でマイクロウェーブ加熱した。その結果、2個の鋳型のいずれもが、加熱時間の最終段階(約30分ほど経過した時点)で、金属薄板22に放電現象が発生した。
【0082】
なお、比較例1では、所定の加熱時間のマイクロウェーブ処理が終了した時点で、鋳型の状態を確認したところ、鋳型割れが発生することなく、減水率も約34%と乾燥状態に問題はなかった反面、それぞれの鋳型で3箇所、2箇所の放電現象による鋳型溶損が確認され、形状損傷で不良となっていた。
【0083】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、石膏鋳型から遊離水だけが除去されるようにマイクロウェーブ加熱を行うため、強力な乾燥が必要以上に継続することがなく、鋳型割れの発生を防止することができ、誘電体損失の大きな添加材を加える必要がなくなると共に、乾燥時間を短縮することができる。
【0084】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、除去すべき遊離水の重量を算出して石膏材料に応じたマイクロウェーブ加熱を行うため、過剰なマイクロウェーブ加熱を防止することができ、石膏鋳型に割れが発生することを確実に防止することができる。
【0085】
請求項3の発明によれば、請求項1及び2の発明の効果に加えて、マイクロウェーブ加熱の際に析出物が発生することを防止することができ、表面欠陥のない石膏鋳型を作製することができる。
【0086】
請求項4の発明によれば、請求項1及び2の発明の効果に加えて、マイクロウェーブ加熱の際に、放電が起きることがなく、鋳型の局所的な溶損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】石膏鋳型を加熱して乾燥する際における鋳型中心温度確認法での時間と温度との関係を示す特性図である。
【図2】(a)は表2に対応したマイクロウェーブ加熱時間と減水量との特性図、(b)はマイクロウェーブ加熱時間と鋳型中心温度との特性図である。
【図3】(a)は表3に対応したマイクロウェーブ加熱時間と減水量との特性図、(b)はマイクロウェーブ加熱時間と鋳型中心温度との特性図である。
【図4】(a)は表5に対応したマイクロウェーブ加熱時間と減水量との特性図、(b)はマイクロウェーブ加熱時間と鋳型中心温度との特性図である。
【図5】(a)は表6に対応したマイクロウェーブ加熱時間と減水量との特性図、(b)はマイクロウェーブ加熱時間と鋳型中心温度との特性図である。
【図6】第2実施形態におけるマイクロウェーブ加熱時間と減水量との関係を示す特性図である。
【図7】第2実施形態における減水率の予測値を算出するための特性図である。
【図8】表9に対応したマイクロウェーブ加熱量との減水量との関係を示す特性図である。
【図9】表10に対応したマイクロウェーブ加熱量との減水量との関係を示す特性図である。
【図10】表11に対応したマイクロウェーブ加熱量との減水量との関係を示す特性図である。
【図11】表12に対応したマイクロウェーブ加熱量との減水量との関係を示す特性図である。
【図12】表13に対応したマイクロウェーブ加熱量との減水量との関係を示す特性図である。
【図13】石膏鋳型の一例の斜視図である。
【図14】第4実施形態に用いるマイクロウェーブ加熱時の断面図である。
【図15】第4実施形態に用いるマイクロウェーブ加熱時の別の断面図である。
【図16】実施例1及び2に用いる石膏鋳型の断面図である。
【図17】石膏鋳造法によって2ピースモールドを作製する手順を示す断面図である。
【図18】石膏鋳造法によってセクショナルモールドを作製する手順を示す断面図である。
【図19】金属薄板を鋳包みによって金型本体に付与する手順を示す断面図である。
【符号の説明】
21 石膏鋳型
22 金属薄板
24 線材
Claims (4)
- タイヤ金型を鋳造によって作製するために用いる石膏鋳型の乾燥方法であって、
石膏スラリーの母型への流し込みによって成形された石膏鋳型に対しマイクロウェーブ加熱を行って遊離水のみを除去した後、加熱雰囲気内での加熱を行って結晶水を除去することを特徴とするタイヤ金型用石膏鋳型の乾燥方法。 - 石膏材料を石膏スラリーとするための調合条件と、母型からの脱型直後の重量と、マイクロウェーブ加熱直前の石膏鋳型の重量とに基づいて除去すべき遊離水の重量を算出し、算出した遊離水重量に基づいてマイクロウェーブ加熱の出力及び時間を決定することを特徴とする請求項1記載のタイヤ金型用石膏鋳型の乾燥方法。
- 前記石膏鋳型を発泡増量5%以上の発泡石膏を用いて成形することを特徴とする請求項1または2記載のタイヤ金型用石膏鋳型の乾燥方法。
- 前記石膏鋳型に包れた金属薄板の石膏鋳型内への包れ側または露出側に電気伝導性の線材を取り付け、この線材をアース接続した状態で前記マイクロウェーブ加熱を行うことを特徴とする請求項1または2記載のタイヤ金型用石膏鋳型の乾燥方法。
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