JP3662787B2 - プレキャストコンクリート部材の製造システム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレキャストコンクリート部材を大量生産するシステムに好適なプレキャストコンクリート部材の製造システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
プレキャストコンクリート部材を量産する製造システムでは、コンクリートを型枠に打ち込んでから部材として脱型するまでの所要時間は通常15〜20時間で、1日1サイクルの工程で製造しているものが多い。
【0003】
このような製造システムにおいては、型枠を各工程に搬送する製造ラインが必要であり、極めて長大な敷地、大掛かりな搬送設備を必要とし、更には広大な養生そうを確保する必要もある。
【0004】
また、近年、より生産性を高めるため、1日2サイクルの生産方式をとる場合もあり、このような場合には更なる広大な敷地を必要とすると共に、コンクリートの打込みから脱型までの所要時間を5〜7時間程度にする必要がある。
【0005】
プレキャストコンクリート部材を量産するシステムおいて、敷地面積を最小限に抑えるための製造システムが、例えば特開平5−208409号公報に開示されている。この製造システムにおいては、配筋の敷き込み工程やコンクリート投入工程等を行う作業場と養生室とを同一敷地の上下階に重ねると共に、コンクリートが打ち込まれた型枠を多数積み上げた状態で養生室に搬送することにより、全作業と養生を同時進行させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平5−208409号公報に開示された製造装置で特筆される点として、型枠を多数積み上げた状態で養生室に搬送することにより、プレキャストコンクリート部材の量産システムおける養生室の最小化を実現していることがある。
【0007】
しかしながら、型枠自体を多数積み上げた状態で養生する場合、養生室内の温度調節等を行ったとしても上下型枠周囲の温度及び湿度に分布が生じ易く、一定品質のプレキャストコンクリート部材が得ることが難しくなる。
【0008】
また、プレキャストコンクリート部材の製造で最も多く行われている促進養生の方法として常圧蒸気養生があるが、かかる常圧蒸気養生法は、単層に配置した多数のプレキャストコンクリート部材を養生する場合には比較的均一に保温できる点で優れているものの、上記のように型枠自体を多数積み上げた状態で養生する場合にはその優位性も失われることとなり、逆に気密性が良くないと極めて熱効率が悪いという欠点のみが残ってしまうことになる。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑み、プレキャストコンクリート部材の量産システムおける養生室の敷地面積を最小化しつつ、一定品質のプレキャストコンクリート部材を安定して製造できる養生方法及び製造システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく成された本発明の構成は以下の通りである。
【0014】
本発明のプレキャストコンクリート部材の製造システムは、正面及び背面に昇降可能な断熱シートを有し、コンクリート投入後の複数の型枠を所定の間隔を置いて上下多段に収容する養生ブロックの複数が断熱壁を介して左右に連続した構成の養生室と、該養生室の正面側から該養生室の各段に該型枠を搬入する搬入装置と、該養生室の背面側から該養生室の各段の該型枠を搬出する搬出装置とを備えている一方、前記搬出装置により前記養生室の背面側からから搬出された前記型枠を前記養生室の正面側の前記搬入装置へと順次搬送して循環させる搬送手段を有すると共に、該搬送手段により搬送されてきた前記型枠に対し、脱型、清掃及び脱型剤の吹き付けを施す脱型,型枠清掃及び脱型剤吹き付けエリアと、配筋の敷き込みを行う配筋敷き込みエリアと、コンクリートを投入するコンクリート投入エリアとを有する製造ラインが、前記養生室を囲むように配置されていると共に、前記養生室が各段に温度調節用の放熱器と湿度調節用の加湿装置と温度センサー及び湿度センサーとを有し、これらのセンサーからの信号に基づき、前記放熱器及び加湿装置が制御されることを特徴としているものである。
【0015】
本発明の製造システムによれば、プレキャストコンクリート部材の量産システムおける製造ライン及び養生室を極めてコンパクトに配置できると共に、全作業と養生を同時進行させることができる。
【0016】
また、上記本発明のプレキャストコンクリート部材の製造システムは、前記養生室の各段に温度センサー及び湿度センサーを設け、これらのセンサーからの信号に基づき、前記放熱器及び加湿装置を制御する。これにより、養生室の各段に収納された型枠周囲の温度及び湿度を適正な範囲内に容易に制御することができ、極めて品質一定なプレキャストコンクリート部材を安定して生産することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態例を図面を参照して説明するが、本発明はこれらの形態例に限定されるものではない。
【0018】
図1乃至図3は本発明の養生方法を説明するための養生室を示しており、図1は養生室の正面図、図2は図1中のA−A断面図、図3は図1中のB−B断面図である。
【0019】
本例の養生室1は、5つの養生ブロック2a〜2eが断熱壁3を介して左右に連続した構成を有している。各養生ブロック2a〜2eには、所定の間隔を置いて主梁4及び支持梁5が設けられており、この支持梁5上にコンクリート投入後の型枠9を載置することができる。また、支持梁5には、養生室1の正面側から搬入された型枠9を、背面側に移動させることができるローラ(不図示)が取り付けられており、各段に2枚の型枠9を収容できるようになっている。
【0020】
即ち、本例の養生室1の各養生ブロック2a〜2eには、上下5段に型枠9を収容することができ、この各段には図示するように2枚の型枠9をそれぞれ収容することができ、全部で50枚の型枠9を同時に養生することが可能である。
【0021】
尚、本例では上下5段に型枠9を収容するものとしているが、この段数には特に制限はなく、例えば10段を超えて収容することも十分可能である。
【0022】
また、養生室1の天井面及び床面には断熱パネル6が敷き込まれており、更に養生室1の正面及び背面には巻取装置によって昇降可能な断熱シート(不図示)が設けられており、養生室全体は十分な断熱(保温)が施されている。
【0023】
さらに、各養生ブロック2a〜2eには、各段毎に温度及び湿度を調節することができるように放熱器7と加湿装置8が設けられている。
【0024】
本発明の養生方法においては、上記のように断熱施工された養生室1の各段にコンクリート投入後の型枠9が収容される。尚、詳しくは後述するが、型枠9は製造ライン中の搬送装置によって搬送することができる台板9aを有している。
【0025】
上記のように型枠を多段に配置した状態で養生する場合、従来の一般的な常圧蒸気養生法では上下段において特に温度に分布が生じ易く、プレキャストコンクリート部材を均一に保温することができない。
【0026】
そこで本発明においては、各養生ブロックの各段毎に放熱器7による温度調節を行い、各段に収納された各型枠周囲の温度を個別に調節することによって、各プレキャストコンクリート部材の養生温度の均一化を図っている。尚、本例の放熱器7は、これに接続する配管7aに蒸気を適宜供給し放熱するものであるが、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明における温度調節手段である放熱器7は、蒸気によって直接加熱する常圧蒸気養生法のような加湿を伴うものではない。一方、セメントの水和反応は長期にわたり、特に初期材齢中に乾燥が進み水分が不足すると、強度の伸びがなくなり、十分な強度が得られない。このため、本発明においては、上記温度調節手段の他に加湿装置8を併用することにより、適正な湿潤状態に調節できるようにしているものである。
【0028】
尚、本例の加湿装置8は、これに接続する配管に温水(自由に温度設定可)を適宜供給しノズルより噴霧するものであるが、これに限定されるものではない。
【0029】
放熱器7による温度調節は、例えば各段の放熱器7に接続する配管7aに設けた流量制御バルブ(不図示)によって行うことができる。また、加湿装置8による湿度調節も、同様なバルブによって行うことができる。
【0030】
また、各型枠周囲の温度及び湿度を適正な範囲内に精度よく制御するために、各養生ブロックの各段に温度センサー及び湿度センサーを設け、これらのセンサーからの信号に基づいて、例えば上記バルブの開度を個別に自動制御して放熱器7及び加湿装置8を自動制御することが望ましい。
【0031】
以上説明した本発明の養生方法においては、各段に収納された各型枠周囲の温度及び湿度を個別に調節することができるため、養生ブロックの各段は必ずしも仕切る必要はなく、空間的に連続していても良い。
【0032】
次に、本発明のプレキャストコンクリート部材の製造システムについて説明する。
【0033】
図4は、本発明のプレキャストコンクリート部材の製造システムの要部を模式的に示した平面図であり、図1乃至図3に示したような養生室1が中央部に配置されている。尚、本例では、養生室1は7つの養生ブロックで構成されている。
【0034】
図4中、11a〜11eは下型枠9(台板9aに載せられている)を間欠的に移動させる搬送手段、12a〜12bは方向転換手段、13は養生室1の正面側に配置された搬入装置、14は養生室1の背面側に配置された搬出装置である。
【0035】
搬送手段11a〜11e及び方向転換手段12a〜12bによって下型枠9を循環させる製造ライン中には、配筋敷き込みエリア15、コンクリート投入エリア16、表面仕上げ及び前養生エリア17、脱型,型枠清掃及び脱型剤吹き付けエリア18が配置されている。
【0036】
先ず、清掃及び脱型剤の吹き付け等を完了した型枠9には、エリア15において配筋の敷き込み及びインサート等の付属品が取り付けられる。その後、型枠9は搬送手段11a、方向転換手段12a、搬送手段11b、方向転換手段12b及び搬送装置11cを介してエリア16に順次搬送される。
【0037】
エリア16の上方には、主レール19及び副レール20によって前後左右に移動できるコンクリート投入器21が配置されており、ここで型枠9にコンクリートが投入される。また、搬送手段11cには加振器(不図示)が設置されており、コンクリート投入中及び投入後に型枠9を適宜加振できるようになっている。
【0038】
エリア17においては、必要に応じて型枠9の加振、表面仕上げ及び前養生がなされる。そして、型枠9は方向転換装置12c及び搬送手段11dを介して搬入装置13に搬送される。
【0039】
搬入装置13は昇降装置を備え、型枠9を養生室1の各段の所定の高さまで持ち上げることができると共に、型枠9を養生室1内に搬入することができる。また、搬入装置13は、養生室1の正面に沿って図中の矢印方向に移動することができ、各養生ブロックに順次型枠9を搬入する。尚、型枠搬入時には、養生室1の正面を覆う断熱シートは巻き上げられている。
【0040】
養生室1に搬入された型枠9は、前述の支持梁5に取り付けられているローラの駆動によって養生室1の背面側に移され、各段には2枚の型枠9が収容される。
【0041】
そして、各養生ブロックの各段毎に放熱器7による温度調節と、加湿装置8による湿度調節を行って、所定時間養生する。尚、この温度及び湿度調節は、制御室において遠隔制御することができる。
【0042】
養生を終えた型枠9は搬出装置14に搬出される。この搬出装置14は、搬入装置13と同様の構造を有し、養生室1の背面に沿って図中の矢印方向に移動することができ、各養生ブロックから順次型枠9を搬出する。尚、型枠搬出時には、養生室1の背面を覆う断熱シートは巻き上げられている。
【0043】
搬出装置14によって搬送手段11eに送り出された型枠9は、方向転換装置12dを介して搬送手段11aに搬送され、エリア18において脱型クレーン(不図示)によってプレキャストコンクリート部材の脱型が行われる。
【0044】
プレキャストコンクリート部材は、脱型クレーンによってそのまま所定の位置まで移され貯蔵・出荷される。また、脱型を終えた型枠9は、エリア18において清掃及び脱型剤の吹き付け工程を経てエリア15に戻され、製造システム内を循環する。
【0045】
このように本発明のプレキャストコンクリート部材の製造システムでは、型枠9を多段に収納する養生室1の正面及び背面にそれぞれ搬入手段13及び搬出手段14を配置すると共に、養生室1を囲むように製造ラインを配置して型枠9を循環させることにより、プレキャストコンクリート部材の量産システムおける製造ライン及び養生室をコンパクトに配置できると共に、全作業と養生を同時進行させることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果を奏する。
(1)本発明の養生方法によれば、養生室の最小化を実現できると共に、養生室の各段に収納された型枠周囲の温度及び湿度を適正な範囲内で均一化することができ、安定して品質均一なプレキャストコンクリート部材を生産することができる。
(2)本発明の製造システムによれば、製造ライン及び養生室を極めてコンパクトに配置できると共に、全作業と養生を同時進行させることができ、特に、本発明の養生方法を製造システムに組み込むことにより、一定品質のプレキャストコンクリート部材を安定して量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の養生方法に係る養生室の正面図である。
【図2】本発明の養生方法に係る養生室の立断面図である。
【図3】本発明の養生方法に係る養生室の一部を示す平断面図である。
【図4】本発明のプレキャストコンクリート部材の製造システムの要部を模式的に示した平面図である。
【符号の説明】
1 養生室
2a〜2e 養生ブロック
3断熱壁
4 主梁
5 支持梁
6 断熱パネル
7 放熱器
7a 配管
8 加湿装置
9 型枠
9a 台板
11a〜11e 下型枠を間欠的に移動させる搬送手段
12a〜12b 方向転換手段
13 養生室の正面側に配置された搬入装置
14 養生室の背面側に配置された搬出装置
15 配筋敷き込みエリア
16 コンクリート投入エリア
17 表面仕上げ及び前養生エリア
18 脱型,型枠清掃及び脱型剤吹き付けエリア
19 主レール
20 副レール
21 コンクリート投入器
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレキャストコンクリート部材を大量生産するシステムに好適なプレキャストコンクリート部材の製造システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
プレキャストコンクリート部材を量産する製造システムでは、コンクリートを型枠に打ち込んでから部材として脱型するまでの所要時間は通常15〜20時間で、1日1サイクルの工程で製造しているものが多い。
【0003】
このような製造システムにおいては、型枠を各工程に搬送する製造ラインが必要であり、極めて長大な敷地、大掛かりな搬送設備を必要とし、更には広大な養生そうを確保する必要もある。
【0004】
また、近年、より生産性を高めるため、1日2サイクルの生産方式をとる場合もあり、このような場合には更なる広大な敷地を必要とすると共に、コンクリートの打込みから脱型までの所要時間を5〜7時間程度にする必要がある。
【0005】
プレキャストコンクリート部材を量産するシステムおいて、敷地面積を最小限に抑えるための製造システムが、例えば特開平5−208409号公報に開示されている。この製造システムにおいては、配筋の敷き込み工程やコンクリート投入工程等を行う作業場と養生室とを同一敷地の上下階に重ねると共に、コンクリートが打ち込まれた型枠を多数積み上げた状態で養生室に搬送することにより、全作業と養生を同時進行させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平5−208409号公報に開示された製造装置で特筆される点として、型枠を多数積み上げた状態で養生室に搬送することにより、プレキャストコンクリート部材の量産システムおける養生室の最小化を実現していることがある。
【0007】
しかしながら、型枠自体を多数積み上げた状態で養生する場合、養生室内の温度調節等を行ったとしても上下型枠周囲の温度及び湿度に分布が生じ易く、一定品質のプレキャストコンクリート部材が得ることが難しくなる。
【0008】
また、プレキャストコンクリート部材の製造で最も多く行われている促進養生の方法として常圧蒸気養生があるが、かかる常圧蒸気養生法は、単層に配置した多数のプレキャストコンクリート部材を養生する場合には比較的均一に保温できる点で優れているものの、上記のように型枠自体を多数積み上げた状態で養生する場合にはその優位性も失われることとなり、逆に気密性が良くないと極めて熱効率が悪いという欠点のみが残ってしまうことになる。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑み、プレキャストコンクリート部材の量産システムおける養生室の敷地面積を最小化しつつ、一定品質のプレキャストコンクリート部材を安定して製造できる養生方法及び製造システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく成された本発明の構成は以下の通りである。
【0014】
本発明のプレキャストコンクリート部材の製造システムは、正面及び背面に昇降可能な断熱シートを有し、コンクリート投入後の複数の型枠を所定の間隔を置いて上下多段に収容する養生ブロックの複数が断熱壁を介して左右に連続した構成の養生室と、該養生室の正面側から該養生室の各段に該型枠を搬入する搬入装置と、該養生室の背面側から該養生室の各段の該型枠を搬出する搬出装置とを備えている一方、前記搬出装置により前記養生室の背面側からから搬出された前記型枠を前記養生室の正面側の前記搬入装置へと順次搬送して循環させる搬送手段を有すると共に、該搬送手段により搬送されてきた前記型枠に対し、脱型、清掃及び脱型剤の吹き付けを施す脱型,型枠清掃及び脱型剤吹き付けエリアと、配筋の敷き込みを行う配筋敷き込みエリアと、コンクリートを投入するコンクリート投入エリアとを有する製造ラインが、前記養生室を囲むように配置されていると共に、前記養生室が各段に温度調節用の放熱器と湿度調節用の加湿装置と温度センサー及び湿度センサーとを有し、これらのセンサーからの信号に基づき、前記放熱器及び加湿装置が制御されることを特徴としているものである。
【0015】
本発明の製造システムによれば、プレキャストコンクリート部材の量産システムおける製造ライン及び養生室を極めてコンパクトに配置できると共に、全作業と養生を同時進行させることができる。
【0016】
また、上記本発明のプレキャストコンクリート部材の製造システムは、前記養生室の各段に温度センサー及び湿度センサーを設け、これらのセンサーからの信号に基づき、前記放熱器及び加湿装置を制御する。これにより、養生室の各段に収納された型枠周囲の温度及び湿度を適正な範囲内に容易に制御することができ、極めて品質一定なプレキャストコンクリート部材を安定して生産することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態例を図面を参照して説明するが、本発明はこれらの形態例に限定されるものではない。
【0018】
図1乃至図3は本発明の養生方法を説明するための養生室を示しており、図1は養生室の正面図、図2は図1中のA−A断面図、図3は図1中のB−B断面図である。
【0019】
本例の養生室1は、5つの養生ブロック2a〜2eが断熱壁3を介して左右に連続した構成を有している。各養生ブロック2a〜2eには、所定の間隔を置いて主梁4及び支持梁5が設けられており、この支持梁5上にコンクリート投入後の型枠9を載置することができる。また、支持梁5には、養生室1の正面側から搬入された型枠9を、背面側に移動させることができるローラ(不図示)が取り付けられており、各段に2枚の型枠9を収容できるようになっている。
【0020】
即ち、本例の養生室1の各養生ブロック2a〜2eには、上下5段に型枠9を収容することができ、この各段には図示するように2枚の型枠9をそれぞれ収容することができ、全部で50枚の型枠9を同時に養生することが可能である。
【0021】
尚、本例では上下5段に型枠9を収容するものとしているが、この段数には特に制限はなく、例えば10段を超えて収容することも十分可能である。
【0022】
また、養生室1の天井面及び床面には断熱パネル6が敷き込まれており、更に養生室1の正面及び背面には巻取装置によって昇降可能な断熱シート(不図示)が設けられており、養生室全体は十分な断熱(保温)が施されている。
【0023】
さらに、各養生ブロック2a〜2eには、各段毎に温度及び湿度を調節することができるように放熱器7と加湿装置8が設けられている。
【0024】
本発明の養生方法においては、上記のように断熱施工された養生室1の各段にコンクリート投入後の型枠9が収容される。尚、詳しくは後述するが、型枠9は製造ライン中の搬送装置によって搬送することができる台板9aを有している。
【0025】
上記のように型枠を多段に配置した状態で養生する場合、従来の一般的な常圧蒸気養生法では上下段において特に温度に分布が生じ易く、プレキャストコンクリート部材を均一に保温することができない。
【0026】
そこで本発明においては、各養生ブロックの各段毎に放熱器7による温度調節を行い、各段に収納された各型枠周囲の温度を個別に調節することによって、各プレキャストコンクリート部材の養生温度の均一化を図っている。尚、本例の放熱器7は、これに接続する配管7aに蒸気を適宜供給し放熱するものであるが、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明における温度調節手段である放熱器7は、蒸気によって直接加熱する常圧蒸気養生法のような加湿を伴うものではない。一方、セメントの水和反応は長期にわたり、特に初期材齢中に乾燥が進み水分が不足すると、強度の伸びがなくなり、十分な強度が得られない。このため、本発明においては、上記温度調節手段の他に加湿装置8を併用することにより、適正な湿潤状態に調節できるようにしているものである。
【0028】
尚、本例の加湿装置8は、これに接続する配管に温水(自由に温度設定可)を適宜供給しノズルより噴霧するものであるが、これに限定されるものではない。
【0029】
放熱器7による温度調節は、例えば各段の放熱器7に接続する配管7aに設けた流量制御バルブ(不図示)によって行うことができる。また、加湿装置8による湿度調節も、同様なバルブによって行うことができる。
【0030】
また、各型枠周囲の温度及び湿度を適正な範囲内に精度よく制御するために、各養生ブロックの各段に温度センサー及び湿度センサーを設け、これらのセンサーからの信号に基づいて、例えば上記バルブの開度を個別に自動制御して放熱器7及び加湿装置8を自動制御することが望ましい。
【0031】
以上説明した本発明の養生方法においては、各段に収納された各型枠周囲の温度及び湿度を個別に調節することができるため、養生ブロックの各段は必ずしも仕切る必要はなく、空間的に連続していても良い。
【0032】
次に、本発明のプレキャストコンクリート部材の製造システムについて説明する。
【0033】
図4は、本発明のプレキャストコンクリート部材の製造システムの要部を模式的に示した平面図であり、図1乃至図3に示したような養生室1が中央部に配置されている。尚、本例では、養生室1は7つの養生ブロックで構成されている。
【0034】
図4中、11a〜11eは下型枠9(台板9aに載せられている)を間欠的に移動させる搬送手段、12a〜12bは方向転換手段、13は養生室1の正面側に配置された搬入装置、14は養生室1の背面側に配置された搬出装置である。
【0035】
搬送手段11a〜11e及び方向転換手段12a〜12bによって下型枠9を循環させる製造ライン中には、配筋敷き込みエリア15、コンクリート投入エリア16、表面仕上げ及び前養生エリア17、脱型,型枠清掃及び脱型剤吹き付けエリア18が配置されている。
【0036】
先ず、清掃及び脱型剤の吹き付け等を完了した型枠9には、エリア15において配筋の敷き込み及びインサート等の付属品が取り付けられる。その後、型枠9は搬送手段11a、方向転換手段12a、搬送手段11b、方向転換手段12b及び搬送装置11cを介してエリア16に順次搬送される。
【0037】
エリア16の上方には、主レール19及び副レール20によって前後左右に移動できるコンクリート投入器21が配置されており、ここで型枠9にコンクリートが投入される。また、搬送手段11cには加振器(不図示)が設置されており、コンクリート投入中及び投入後に型枠9を適宜加振できるようになっている。
【0038】
エリア17においては、必要に応じて型枠9の加振、表面仕上げ及び前養生がなされる。そして、型枠9は方向転換装置12c及び搬送手段11dを介して搬入装置13に搬送される。
【0039】
搬入装置13は昇降装置を備え、型枠9を養生室1の各段の所定の高さまで持ち上げることができると共に、型枠9を養生室1内に搬入することができる。また、搬入装置13は、養生室1の正面に沿って図中の矢印方向に移動することができ、各養生ブロックに順次型枠9を搬入する。尚、型枠搬入時には、養生室1の正面を覆う断熱シートは巻き上げられている。
【0040】
養生室1に搬入された型枠9は、前述の支持梁5に取り付けられているローラの駆動によって養生室1の背面側に移され、各段には2枚の型枠9が収容される。
【0041】
そして、各養生ブロックの各段毎に放熱器7による温度調節と、加湿装置8による湿度調節を行って、所定時間養生する。尚、この温度及び湿度調節は、制御室において遠隔制御することができる。
【0042】
養生を終えた型枠9は搬出装置14に搬出される。この搬出装置14は、搬入装置13と同様の構造を有し、養生室1の背面に沿って図中の矢印方向に移動することができ、各養生ブロックから順次型枠9を搬出する。尚、型枠搬出時には、養生室1の背面を覆う断熱シートは巻き上げられている。
【0043】
搬出装置14によって搬送手段11eに送り出された型枠9は、方向転換装置12dを介して搬送手段11aに搬送され、エリア18において脱型クレーン(不図示)によってプレキャストコンクリート部材の脱型が行われる。
【0044】
プレキャストコンクリート部材は、脱型クレーンによってそのまま所定の位置まで移され貯蔵・出荷される。また、脱型を終えた型枠9は、エリア18において清掃及び脱型剤の吹き付け工程を経てエリア15に戻され、製造システム内を循環する。
【0045】
このように本発明のプレキャストコンクリート部材の製造システムでは、型枠9を多段に収納する養生室1の正面及び背面にそれぞれ搬入手段13及び搬出手段14を配置すると共に、養生室1を囲むように製造ラインを配置して型枠9を循環させることにより、プレキャストコンクリート部材の量産システムおける製造ライン及び養生室をコンパクトに配置できると共に、全作業と養生を同時進行させることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果を奏する。
(1)本発明の養生方法によれば、養生室の最小化を実現できると共に、養生室の各段に収納された型枠周囲の温度及び湿度を適正な範囲内で均一化することができ、安定して品質均一なプレキャストコンクリート部材を生産することができる。
(2)本発明の製造システムによれば、製造ライン及び養生室を極めてコンパクトに配置できると共に、全作業と養生を同時進行させることができ、特に、本発明の養生方法を製造システムに組み込むことにより、一定品質のプレキャストコンクリート部材を安定して量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の養生方法に係る養生室の正面図である。
【図2】本発明の養生方法に係る養生室の立断面図である。
【図3】本発明の養生方法に係る養生室の一部を示す平断面図である。
【図4】本発明のプレキャストコンクリート部材の製造システムの要部を模式的に示した平面図である。
【符号の説明】
1 養生室
2a〜2e 養生ブロック
3断熱壁
4 主梁
5 支持梁
6 断熱パネル
7 放熱器
7a 配管
8 加湿装置
9 型枠
9a 台板
11a〜11e 下型枠を間欠的に移動させる搬送手段
12a〜12b 方向転換手段
13 養生室の正面側に配置された搬入装置
14 養生室の背面側に配置された搬出装置
15 配筋敷き込みエリア
16 コンクリート投入エリア
17 表面仕上げ及び前養生エリア
18 脱型,型枠清掃及び脱型剤吹き付けエリア
19 主レール
20 副レール
21 コンクリート投入器
Claims (1)
- 正面及び背面に昇降可能な断熱シートを有し、コンクリート投入後の複数の型枠を所定の間隔を置いて上下多段に収容する養生ブロックの複数が断熱壁を介して左右に連続した構成の養生室と、該養生室の正面側から該養生室の各段に該型枠を搬入する搬入装置と、該養生室の背面側から該養生室の各段の該型枠を搬出する搬出装置とを備えている一方、
前記搬出装置により前記養生室の背面側からから搬出された前記型枠を前記養生室の正面側の前記搬入装置へと順次搬送して循環させる搬送手段を有すると共に、該搬送手段により搬送されてきた前記型枠に対し、脱型、清掃及び脱型剤の吹き付けを施す脱型,型枠清掃及び脱型剤吹き付けエリアと、配筋の敷き込みを行う配筋敷き込みエリアと、コンクリートを投入するコンクリート投入エリアとを有する製造ラインが、前記養生室を囲むように配置されていると共に、前記養生室が各段に温度調節用の放熱器と湿度調節用の加湿装置と温度センサー及び湿度センサーとを有し、これらのセンサーからの信号に基づき、前記放熱器及び加湿装置が制御されることを特徴とするプレキャストコンクリート部材の製造システム。
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