JP3662762B2 - 振動締固め機の移動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、舗装路面の締固めなどに使用される振動締固め機に装着されて、締固め作業時以外の機体移動時に使用される移動装置であって、それらのうち、締固め作業時には機体から取り外しておいて、締固め作業時以外の移動時に輾圧板の下面に取り付けて機体の移動に使用する機体分離型の移動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、舗装路面の締固めなどに使用される振動締固め機は、エンジンから回転を伝えられる起振体により輾圧板を振動させて路面を締固めるものであるため、機体の側面には移動用としての車輪が備えられておらず、締固め作業時以外における作業現場での機体移動や、トラック等運搬車輛への積み降ろしなどの際には、機体を別途用意された移動装置の上に乗せて移動し、締固め作業時には機体から取り外しておくものが一般的であり、一部のものとして、機体の後部に予め車輪を一体に取り付けておき、締固め作業時には車輪を輾圧板より上方に回動して格納し、締固め作業時以外の移動時には車輪を輾圧板の下面へ回動して機体の移動に使用するものが知られている。
【0003】
前記の移動装置のうち、締固め作業時には機体から取り外しておいて、締固め作業時以外の移動時に輾圧板の下面に取り付けて機体の移動に使用する機体分離型の移動装置としては、例えば、図8に示すように、両端に車輪20を軸着した軸21の外周に軸21よりも長さの短い外筒22を嵌め込み、この外筒22の両端には、夫々先端にフック23を有する一対のアーム24を、一方のアーム24は基端部が外筒22に固着され、他方のアーム24は、基端部に設けたリング25が車輪20との間にスプリング26を介装するようにして、軸21に回転自在に嵌合されるようにした構造のものが広く知られている。
【0004】
この移動装置を機体に装着する際には、リング25を設けた他方のアーム24を、スプリング26が圧縮されるように車輪20の方向へ押し付けて両方のアーム24のフック23の間隔を広げ、この状態で両方のフック23を機体27の両側に予め設けられた止め孔28に嵌め込むことで、前記スプリング26の戻し力により両方のフック23が止め孔28内に装着されるようにした後、図9のように両方のアーム24を止め孔28を中心に回動して、両端の車輪20を輾圧板29の下面に配置させる。
【0005】
一方、移動装置のうち、機体の後部に予め車輪を一体に取り付けたものとしては、例えば、実開平3−13305号の締固め機のように、機体の後部下方に車輪を突設したものであるとか、実開昭53−109305号や実開昭57−123807号の締固め機のように、機体の後部下方にアームを介して車輪を回動可能に軸着して、締固め作業時には車輪アームを上方へ引き上げてハンドルと一体に固定しておき、締固め作業時以外の移動の際には、車輪アームを機体の下面方向へ回動して車輪を輾圧板の下面に嵌め込むようにしたものが知られている。
【0006】
【発明が解決すべき課題】
上記の移動装置のうち、機体分離型の移動装置は、締固め作業時に車輪を機体から取り外しておくので、車輪が締固め作業に障害を与えないという利点を有するが、従来の機体分離型の移動装置では、前述のように、車軸外筒22の両端に設ける一対のアーム24のうち、一方のアーム24の基端部がリング25により車軸20及び外筒22に対して回転自在に軸着されているので、締固め作業時のように機体から取り外された状態においては、夫々のアーム24が常に同じ位置を保持することなく、一方のアーム24が車軸20を中心に勝手に回転してしまい、取り扱いが不便であると共に、回転する側のアーム24の車軸20に対する軸着状態が強度不足になって破損し易いという問題を有している。
【0007】
また、上記の機体分離型の移動装置では、回転する側のアーム24の基端部リング25をスプリング26により常に内側方向へ押し付けているので、車輪を機体へ取り付けたり取り外す際に、スプリング26により内側方向へ押し付けているアーム24を外側へ押し広げてフック23を止め孔28に差し込んだり,外したりしなければならず、着脱のための作業に手間がかかるという煩わしさを有している。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来における振動締固め機の機体分離型移動装置の上記のような問題点を解消するために、車軸外筒の両端に突設される左右の機体取り付けアームが同じ方向へ固定突出されていて、機体から分離した時の取り扱いが便利であると共に、スプリング等の補助手段を用いることなく機体への取り付け取り外しが簡便に行えるようにした振動締固め機の移動装置の提供を目的としたものである。
【0009】
本発明の振動締固め機の移動装置は、そのための具体的手段として、振動締固め機の作業時以外の移動時に機体へ装着する機体分離型の振動締固め機の移動装置であって、輾圧板の下面に配置される車軸の両端に車輪が軸着されると共に、前記車軸の外周に車軸とは回転自在な外筒を有し、前記外筒上の両端部に輾圧板の後端方向へ向けて左右一対のアームが突設されていて、前記アームの先端外側には輾圧板の後部両側上面に突設した係止具へ両側から嵌め込むことのできる左右一対のフックを備え、前記外筒の両端部には、前記左右のフックがフック輾圧板上の前記係止具へ係止された状態において、輾圧板の両側面外側に嵌め込まれる左右一対の固定係止板が突設されていることを特徴とする。
【0010】
外筒上の両端部における左右一対のアームの先端外側に設けられる左右一対のフックは、一方のフックを輾圧板上の一方の係止具へ係合することで、他方のフック先端が他方の係合具の外側に位置し、外筒を横移動することで両側のフックが輾圧板上の両側の係止具に係合されるような間隔に配置されていることが好ましい。
【0011】
外筒上の両端部における左右一対のアームの先端には、輾圧板の後端傾斜面に沿って湾曲した傾斜状の立ち上り部を有しており、この傾斜状立ち上り部の先端に設けられるフックが、車輪を輾圧板の下面に配置したとき、前記傾斜状立ち上り部とフック先端との間に輾圧板の後端傾斜面エッジが嵌まり込むような形状と向きとをもって突設されていることが好ましい。
【0012】
また、左右一対のアームの先端外側に設けられる左右一対のフックを係合するための輾圧板の後部両側上面の係止具としては、輾圧板の後部両側面上に突設された機体持ち上げ用の把手を利用することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る振動締固め機の移動装置の構成を、図面に示す実施例について説明すると、図1に示すように、この振動締固め機は、エンジン1の回転により作動する起振体2と、前記起振体2の作動により路面に締固め振動が与えられる輾圧板3と、機体の両側中央部下方から斜め上方へ突設された操作用ハンドル4とからなっており、前記輾圧板3の後部下面に機体分離型の移動装置9が着脱可能に取り付けられている。
【0014】
締固め機における操作用ハンドル4の下端は、エンジンベース6の両側面中央下部に突設された軸5に回転可能に軸着されていると共に、下端の軸着部5より上方部分がエンジンベース6の側面に設けられた嵌込み型の固定具7に着脱可能に嵌合されることで固定されており、必要に応じ、ハンドル4を前記固定具7から引き離して軸着部5を中心に反対側へ回動して、固定具7の反対側に設けた防振ゴム8の上に支持することで、機体の反対側からも操作できるようになっている。
【0015】
輾圧板3の両側面における前部と後部上方には、前記移動装置9を装着するための係止具10が設けられている。この係止具10としては、移動装置9に設けられた後述のフックなどを嵌め込んで係止することができるような側面に孔の開いたものであればよく、この実施例では、棒材をコの字形に折り曲げることで輾圧板3の側面上方に突設した機体持ち上げ用の把手を兼用している。
【0016】
また、機体分離型の移動装置9は、図1及び図2に示すように、輾圧板3の下面に配置される両端に車輪12を軸着した車軸11と、前記車軸11の外周に回転自在に嵌込まれた外筒13と、この外筒13上の両端部から輾圧板3の後端方向へ向けて突設された左右一対のアーム14と、前記アーム14の先端外側に設けられた前記輾圧板3の後部係止具10へ嵌め込まれる左右一対のフック15と、前記外筒13の両端部に設けられた輾圧板3の両側面外側に嵌め込まれる左右一対の固定係止板16とから構成されている。
【0017】
外筒13上の両端部から輾圧板3の後端方向へ向けて突設された左右一対のアーム14は、図1に示すように、車軸外筒13及び車輪12とを輾圧板3の下面方向へ回動した状態において、外筒13上から輾圧板3の下面に沿って後部方向へ伸びるように突出されていて、先端に前記輾圧板3の後端傾斜面3aに沿って折り曲げられた傾斜状立ち上り部14aを有しており、これらの傾斜状立ち上り部14aの先端外側に前記輾圧板3上の後部係止具10へ嵌め込まれるための左右一対のフック15を備えている。
【0018】
前記フック15は、図2乃至図4に示すように、機体の背面から見て、傾斜状立ち上り部14aの先端下面から輾圧板3の両側方向へ向けて水平に突出するように設けられたバー15aの先端をコの字状に折り曲げることで形成されており、図1に示すように、車輪12を輾圧板3の下面に配置したとき、前記傾斜状立ち上り部14aの上面とフック先端15bとの間に輾圧板3における後端傾斜面3aのエッジ3bが嵌まり込むような形状と向きとを有するように設けられている。
【0019】
また、左右のフック15は、図3に示すように、一方のフック先端15bを輾圧板3上の後部係止具10へ十分に嵌め込んだ時に、他方のフック先端15bが対応する輾圧板3上の後部係止具10の外側に位置するような間隔に設定されていて、図4のように、先に嵌め込まれた一方のフック先端15bを外側方向へ僅かに横移動して戻すことで、両方のフック15が夫々の後部係止具10に均等に係合するようになっている。
【0020】
一方、前記外筒13上における前記車輪12の内側には、輾圧板3の両側面外側へ嵌まり込むための間隔をおいて前記左右一対の固定係止板16が設けられており、図4に示すように、左右のフック15が左右の後部係止具10内に均等に嵌め込まれた状態で、図1及び図5のように、車輪12及び外筒13を輾圧板3の下面方向へ回動することで、これらの固定係止板16の間に輾圧板3の両側面が嵌まり込み、左右のフック15が左右の後部係止具10から外れることなく、移動装置9の横方向への移動を確実に阻止できるようになっている。
【0021】
本発明の移動装置9は上記のような構造からなり、締固め作業の際には輾圧板3の後部から取り外されて図示外の場所に保管されており、締固め作業が終了して機体を現場から移動する際に輾圧板3の後部に装着される。移動装置9の取り付けに際しては、図6に示すように、輾圧板3の後部に、移動装置9を左右の固定係止板16と左右のフック15とが下向きとなるように配置して、図3及び図4に示すように、まず、一方のフック15を輾圧板3上の係止具10へ嵌め込むことで、他方のフック先端15bを対応する輾圧板3上の係止具10の外側に臨ませてから、移動装置9を僅かに横方向へ戻すことで、両方のフック15を夫々の後部係止具10に均等に係合する。
【0022】
次いで、図7のように、機体の後部を上方へ持ち上げて、アーム14と車輪12とを輾圧板3の後部下面方向へ回動し、図1のように、アーム14と外筒13との上に輾圧板3の後部下面を載置する。その時、図4のように、左右のフック15が左右の係止具10に均等に係合されていれば、図5のように、左右の固定係止板16の間に輾圧板3の両側面が嵌合され、移動装置9は輾圧板3に対して左右にずれ動くことなく安定よく載置されるので、操作ハンドル4を押し下げて車輪12上に機体を支えれば、車輪12により機体を移動することができる。
【0023】
前記とは逆に、移動装置9を輾圧板3の下面から取り外して、締固め作業を開始する場合には、図1の状態から、図7のように機体の後部を上方へ持ち上げて、移動装置9を輾圧板3の後部外側へ回動し、図6のように輾圧板3の後部で、左右の固定係止板16と左右のフック15とが下向きとなるように配置することで輾圧板3を接地させ、その状態で図3のように、一方のフック15を係止具10から外すように操作すれば、両方のフック15を係止具10から外せるので、機体から簡単に取り外すことができる。
【0024】
【発明の効果】
この発明の移動装置9では、車軸11の外側に嵌合する外筒13の両端に、左右のアーム14が同方向に固定状態で突設されているので、夫々のアーム14が別々に回転することがなく、機体から取り外された状態での持ち運び、保管などに際して取り扱い易い構造とすることができる。
【0025】
また、この移動装置9では、アーム14の先端に設ける一方のフック15を輾圧板3上の一方の係止具10に嵌め込んでから、横方向へ移動して他方のフック15を輾圧板3上の他方の係止具10に嵌め込むように、夫々のフック15を係止具10に均等に係合すれば、車輪12で輾圧板3を支えた状態で左右の固定係止板16の間に輾圧板3の両側面を嵌合することができ、移動装置9を従来のこの種の装置のようにスプリングなどの補助手段を用いることなく輾圧板3に確実、かつ安定よく固定して、機体をきわめて安全に移動することができる。
【0026】
さらに、この移動装置9では、機体へ装着する際に、該移動装置9を輾圧板3の後部に下向きに配置して、フック15を輾圧板3上の係止具10に嵌め込んでから、輾圧板3の後部を上方に持ち上げて輾圧板3の下面に回動するだけの操作でたり、また、取り外しの際には輾圧板3の後部を上方に持ち上げた状態で移動装置を輾圧板3の後部外方へ回動するだけの操作でたりるので、従来のこの種の装置のようなスプリングを圧縮してアームを着脱操作するものに比較して着脱操作が簡単で、しかも堅牢な構造とすることができる。
【0027】
また、図8及び図9に示すような従来の移動装置では、両方のアーム24の先端に設けたフック23を機体27の両側に予め設けられた止め孔28内に嵌込むため、機体に予めフック23を挿着するための止め孔28を設けておくことが必要であったが、本発明の移動装置ではアーム14の先端に設けたフック15を輾圧板3の後部上方に設けた把手を兼ねる係止具10に挿着できるので、機体に移動装置の装着用専用止め孔28を設ける必要がなく、しかも把手を兼ねる係止具10が輾圧板3上の前後に設けられていて、操作ハンドル4が下端の軸5を中心に機体の後方と前方とに回動できるような構造となっていれば、移動装置を輾圧板3の後部にかぎらず前方にも取り付けることができ、この種の移動装置として幅広く使用できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る振動締固め機の移動装置を機体に装着した状態を示す側面図。
【図2】移動装置の構成を示す斜視図。
【図3】移動装置を機体へ装着する行程を示す部分平面図。
【図4】移動装置を機体へ装着するための次の行程を示す部分平面図。
【図5】図1のV−V線における部分断面図。
【図6】移動装置を機体へ装着する行程を示す部分側面図。
【図7】移動装置を機体へ装着するための次の行程を示す部分側面図。
【図8】従来のこの種の移動装置の構成を示す平面図。
【図9】図8の移動装置を機体に取り付けた状態の側面図。
【符号の説明】
1:エンジン
2:起振体
3:輾圧板
3a:輾圧板後端傾斜面
3b:輾圧板後端エッジ
4:ハンドル
5:軸
6:エンジンベース
7:ハンドル固定具
8:防振ゴム
9:移動装置
10:係止具
11:車軸
12:車輪
13:外筒
14:アーム
14a:傾斜状立ち上り部
15:フック
15a:バー
16:固定係止板
Claims (4)
- 振動締固め機の作業時以外の移動時に機体へ装着する機体分離型の振動締固め機の移動装置であって、輾圧板の下面に配置される車軸の両端に車輪が軸着されると共に、前記車軸の外周に車軸とは回転自在な外筒を有し、前記外筒上の両端部に輾圧板の後端方向へ向けて左右一対のアームが突設されていて、前記アームの先端外側には輾圧板の後部両側上面に突設した係止具へ両側から嵌め込むことのできる左右一対のフックを備え、前記外筒の両端部には、前記左右のフックが輾圧板上の前記係止具へ係止された状態において、輾圧板の両側面外側に嵌め込まれる左右一対の固定係止板が突設されていることを特徴とする振動締固め機の移動装置。
- 外筒上の両端部における左右一対のアームの先端外側に設けられる左右一対のフックが、一方のフックを輾圧板上の一方の係止具へ係合することで、他方のフック先端が他方の係止具の外側に位置し、外筒を横方向へ移動することで両側のフックが輾圧板上の両側の係止具に係合される間隔に配置されている請求項1の振動締固め機の移動装置。
- 外筒上の両端部における左右一対のアームの先端に、輾圧板の後端傾斜面に沿って湾曲する傾斜状立ち上り部を有し、この傾斜状立ち上り部の先端に設けられるフックが、車輪を輾圧板の下面に配置したときに、前記傾斜状立ち上り部とフック先端との間に輾圧板の後端傾斜面エッジが嵌まり込むよう形状と向きとをもって突設されている請求項1の振動締固め機の移動装置。
- 左右一対のアームの先端外側に設けられる左右一対のフックを係合するための輾圧板の後部両側上面の係止具が、輾圧板の後部両側面上に突設された機体持ち上げ用の把手である請求項1または2の振動締固め機の移動装置。
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