JP3662711B2 - 底目地用ガスケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築用ボード間の目地空間に嵌入され、目地空間をシールする底目地用ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の底目地用ガスケット10は、図3に示すように、建築用ボード1,1間の目地空間Mに嵌入され、目地空間Mを柱部11の左右両側面部に形成された複数のシールリップ部12,13,14(先端リップ12,中間リップ13,後端リップ14)でシールする長尺状(紙面の裏表方向に長く延びる)の底目地タイプのガスケットである。
底目地用ガスケット10が目地空間Mに嵌入されることによってシールリップ部12〜14から建築用ボード1,1の対向する側面に側圧が加わることにより止水効果が得られるようになっている。図3(a)は目地巾L1が最大の場合、図3(b)は目地巾L2が標準の場合、および図3(c)は目地巾L3が最小の場合であり、それぞれ底目地用ガスケット10が嵌入された状態を示すものである。なお、建築用ボード1,1は外壁下地合板1a,1aとその上に設けられた外壁ボード1b,1bからなる。符号2は鉄骨材である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図3(a),(b),(c)に示すように、目地巾にバラツキがある際、底目地タイプのガスケットは特に止水性には問題はなく、施工も簡単であるが、先端部の位置は同一でシールリップ部12〜14の側面に対する弾接面積が変化することから底目地用ガスケット10の外観が著しく異なり見栄えが悪いという不具合がある。すなわち、目地巾L1が最大の場合の底目地用ガスケット10の後端リップ14の湾曲変形の度合いは(図3(a))、目地巾L2が標準の場合(図3(b))よりも小さく、また目地巾L3が最小の場合の底目地用ガスケット10の後端リップ14の湾曲変形の度合いは(図3(c))は、目地巾L2が標準の場合(図3(b))よりも大きいため、建築用ボード1の外側端面と底目地用ガスケット10の後端リップ14までの距離は目地巾の大小に対応して大小の関係がある(S1>S2>S3)。このような理由から、底目地タイプのガスケットは採用されないことがあった。
【0004】
そこで、建築用ボード1の外側端面と底目地用ガスケット10の後端リップ14までの距離を一定にするように底目地用ガスケット10の高さを調整して見栄えをよくするために図4に示すように、先端部に高さ調整用の捨てバリ15を使用したものが知られている。図4の示す例では、目地巾L1が最大の場合には捨てバリ15を2個使用し、目地巾L2が標準の場合には捨てバリ15を1個使用,1個除去し、目地巾L3が最小の場合には捨てバリ15を2個除去して高さを統一したものである。
【0005】
しかしながら、予め目地巾を計算してその目地巾に適した分だけ捨てバリ15を除去することは煩わしく困難であるという問題がある。また、捨てバリ15を除去することによって余分をゴミが発生することになる。
更に一本の目地においてその幅が変化するような場合にはそれに対応した捨てバリ15の使用,除去は非常に困難である。
【0006】
そこで本発明の目的は、特に捨てバリを使用することなく、目地巾が変化しても外観が一定で見栄えのよい底目地用ガスケットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の底目地用ガスケットは、建築用ボード(1,1)間の目地空間(M)に嵌入され、目地空間(M)を柱部(21)の左右両側面部に形成された少なくとも先端リップ(22,22)と後端リップ(25,25)とからなるシールリップ部でシールする長尺状の底目地用ガスケット(20)において、柱部(21)先端に、下側に開口しかつ柱部先端幅よりも左右両側面にそれぞれ左右端部がはみ出しかつ拡開可能な脚部(30)と,脚部(30)の左右端部を節部(30a,30a)として左右端部から左右両側面方向傾め上側にそれぞれ延設された左右一対の先端リップ(22,22)とを設け、前記建築用ボード(1,1)の外側端面と前記後端リップ(25,25)との間には隙間を生じさせないように、脚部(30)の高さを変化させるものであり、目地巾(L3)が標準の場合(L2)よりも小さくなると嵌入時に目地側面に接する先端リップ(22,22)の傾斜角度を節部(30a,30a)を中心に大きくし脚部(30)を拡開させて脚部(30)の高さを低くし、逆に目地巾(L1)が標準の場合(L2)よりも大きくなると先端リップ(22,22)の傾斜角度を節部(30a,30a)を中心に小さくし脚部(30)の拡開を小さくして脚部(30)の高さを高くしたことを特徴とする。
【0008】
また請求項2に記載の底目地用ガスケットは、請求項1に記載の脚部(30)と先端リップ(22,22)とからなる柱部(21)先端の形状は左右対称の断面略Ω状であり、脚部(30)は下側に開口しかつ柱部先端幅よりも左右両側面にそれぞれはみ出して湾曲した拡開可能な半円形状であることを特徴とする。
【0009】
なお、カッコ内の記号は図面に示し後述する発明の実施の形態の対応要素又は対応事項を示す。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、脚部の節部に対して先端リップは左右両側面方向傾め上側に延設されているので、底目地用ガスケットが建築用ボード間の目地空間に嵌入させられると、先ず節部が目地底に当たる。そして先端リップは建築用ボード側面からの側圧を受けるので節部を中心としてその傾斜角度を嵌入前と比較して大きくするように変形する。これにともない脚部は拡開し脚部の高さは低くなる、すなわち底目地用ガスケットの高さ(節部の先端と柱部の後端までの距離)は嵌入前と比較して低くなる。
【0011】
例えば、底目地用ガスケットを建築用ボード間の最小の目地巾を有する目地空間に嵌入すると、先端リップの傾斜角度は節部を中心に標準の目地巾の場合よりも大きくなるので脚部の拡開はより大きくなる。これにより脚部の高さは標準の目地巾の場合よりも低くなり、底目地用ガスケットの高さもより低くなる。このとき、目地巾が狭いと先端リップだけでなく、後端リップも建築用ボード側面からより強い側圧(摩擦抵抗)を受けるので標準の目地巾の場合よりも変形の度合いが大きい。したがって、底目地用ガスケットの高さは低くなるが、後端リップの湾曲変形の度合いが大きくなるので、建築用ボードの外側端面と後端リップとの間には標準の目地巾の場合と同様に隙間を生じないようにすることができる。よって外観上見栄えを特に悪くすることはない。
【0012】
逆に、底目地用ガスケットを建築用ボード間の最大の目地巾を有する目地空間に嵌入すると、先端リップの傾斜角度は節部を中心に標準の目地巾の場合よりも小さくなるので脚部の拡開はより小さくなる。これにより脚部の高さは標準の目地巾の場合よりも高くなり、底目地用ガスケットの高さもより高くなる。このとき、目地巾が広いと先端リップだけでなく、後端リップも建築用ボード側面からより受ける側圧(摩擦抵抗)は弱いので標準の目地巾の場合よりも変形の度合いは小さい。したがって、底目地用ガスケットの高さは高くなるが、後端リップの湾曲変形の度合いが小さくなるので、建築用ボードの外側端面と後端リップとの間には標準の目地巾の場合と同様に隙間を生じないようにすることができ、また端面から後端リップが外に突出することも防止できる。よって外観上見栄えを特に悪くすることはない。
【0013】
このように柱部の先端に設けられた脚部と先端リップとの働きによって目地巾に対応して底目地用ガスケットの高さは自動的に調整され、建築用ボードの外側端面と後端リップとの間には隙間を生じることがないようにされるので捨てバリを使用することなく外観を一定にして見栄えよくすることができる。
【0014】
また請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の作用効果に加えて、脚部と先端リップとからなる柱部先端の形状は左右対称の断面略Ω状であり、脚部は下側に開口しかつ柱部先端幅よりも左右両側面にそれぞれはみ出して湾曲した拡開可能な半円形状であるので、底目地用ガスケットの嵌入時に先端リップを建築用ボード間の側面に押し当てる力が強くなる。よって、一層高いシール効果が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る底目地用ガスケット20について説明する。図1は本実施形態に係る底目地用ガスケット20の一部を示す斜視図であり、図2は図1に示す底目地用ガスケット20が建築用ボード1,1間に嵌入された状態を示す断面図である。図2(a)は底目地用ガスケット20が最大の目地巾L1に嵌入された場合、図2(b)は標準の目地巾L2に嵌入された場合、および図2(c)は最小の目地巾L3に嵌入された場合をそれぞれ示す。
【0016】
底目地用ガスケット20は、図1に示すように、従来例で示した底目地用ガスケット10と同様に長尺状であり、図2に示すように、外壁下地合板1a,1aとその上に設けられた外壁ボード1b,1bからなる建築用ボード1,1間の目地空間Mに嵌入され目地空間Mを柱部21の左右両側面部に形成された左右対称で一対のシールリップ部でシールするようになっている。なお符号5は鉄骨材を示す。
このシールリップ部は、目地空間Mに最先に嵌入される下側の先端リップ22と,その逆の上側の後端リップ25と,および、先端リップ22と後端リップ25との間に設けられた中間リップ23,24と,からなっていて、これらが、一体的に押出成形されて製造されたものである。なお、最上側の後端リップ25の外側には装飾用のカラー材27が貼着されている。
【0017】
柱部21の先端には左右対称で断面略Ω状を構成する上述した先端リップ22と脚部30とが一体形成されている。脚部30は、下側に開口した半円形状であり、しかも柱部先端幅よりも左右両側面にそれぞれはみ出して湾曲した拡開可能な弾力性を有している。つまり、脚部の左右端部は柱部先端幅よりも左右両側面にそれぞれはみ出した位置に形成され、その左右端部を節部30a,30aとして先端リップ22,22が左右端部から左右両側面方向傾め上側に向けてそれぞれ延設されている。
【0018】
本実施形態例においては、底目地用ガスケット20の材質は、全体的にEPDMソリッドゴムなどのゴム様弾性体であり、先端リップ22及び中間リップ23の外壁下地合板1aに接する部分にはEPDMスポンジゴムなどのゴム様弾性体が使用され優れたシール性と脱落防止効果が得られるようになっている。
【0019】
このような底目地用ガスケット20を図2(b)に示すような建築用ボード1,1間の標準の目地巾L2を有する目地空間Mに嵌入すると、先端リップ22,22は傾斜させられているので、節部30a,30aが目地底に当たる。そして先端リップ22,22は建築用ボード1,1側面からの側圧を受けるので節部30a,30aを中心としてその傾斜角度を図1に示した状態よりも大きくするように変形し、これにともない脚部30は、半円形状部を図1に示した状態よりもより拡開するようになっている。これにより脚部30の高さは低くなる、すなわち底目地用ガスケット20の高さ(節部30aが接する鉄骨材5と柱部20の後端までの距離)T2は図1に示した状態よりもやや低くなっている。
【0020】
次に、底目地用ガスケット20を図2(c)に示すような建築用ボード1,1間の最小の目地巾L3を有する目地空間Mに嵌入すると、先端リップ22,22の傾斜角度は節部30a,30aを中心に図2(b)で示した場合よりも大きくなるので脚部30の拡開はより大きくなる。これにより脚部30の高さは図2(b)で示した場合よりも低くなり、底目地用ガスケット20の高さT3はより低くなる。このとき、目地巾が狭いと先端リップ22,22だけでなく、中間リップ23,23,24,24や後端リップ25,25も建築用ボード1,1側面からより強い側圧(摩擦抵抗)を受けるので図2(b)で示した場合よりも変形の度合いが大きい。したがって、底目地用ガスケット20の高さT1は低くなるが、後端リップ25,25の湾曲変形の度合いが大きくなるので、建築用ボード1の外側端面と後端リップ25との間には図2(b)で示した場合と同様に隙間を生じることはないので外観上見栄えを特に悪くすることはない。
【0021】
逆に、底目地用ガスケット20を図2(a)に示すような建築用ボード1,1間の最大の目地巾L1を有する目地空間Mに嵌入すると、先端リップ22,22の傾斜角度は節部30a,30aを中心に図2(b)で示した場合よりも小さくなるので脚部30の拡開はより小さくなる。これにより脚部30の高さは図2(b)で示した場合よりも高くなり、底目地用ガスケット20の高さT1はより高くなる。このとき、目地巾が広いと先端リップ22,22だけでなく、中間リップ23,23,24,24や後端リップ25,25も建築用ボード1,1側面から受ける側圧(摩擦抵抗)は弱いので図2(b)で示した場合よりも変形の度合いは小さい。したがって、底目地用ガスケット20の高さT3は高くなるが、後端リップ25,25の湾曲変形の度合いが小さくなるので、建築用ボード1の外側端面と後端リップ25との間には図2(b)で示した場合と同様に隙間を生じることはなく、また端面から後端リップ25が外に突出することもないので外観上見栄えを特に悪くすることはない。
【0022】
このように柱部21の先端に設けられた脚部30と先端リップ22,22との働きによって目地巾に対応して底目地用ガスケット20の高さは自動的に調整され、建築用ボード1の外側端面と後端リップ25との間には隙間を生じることがないようにされるので捨てバリを使用することなく外観を一定に見栄えよくすることができる。また、さらにその得られる最適のガスケット高さは、必要以上の力で底面に向かって挿入しようとしても節部30aと先端リップ22の摩擦力と反力により高さが変化することがない。
【0023】
本実施形態例では、脚部30と先端リップ22,22とからなる柱部先端の形状を左右対称の断面略Ω状とし、脚部30は下側に開口しかつ柱部先端幅よりも左右両側面にそれぞれはみ出して湾曲した拡開可能な半円形状にしたが、脚部は、下側に開口しかつ柱部先端幅よりも左右両側面にそれぞれ左右端部がはみ出しかつ拡開可能であればよく、脚部と先端リップとからなる柱部先端の形状は、例えば左右対称の断面略W状とするものでもよい。
ただし、本実施形態例のように脚部30を拡開可能な半円形状にすることによって嵌入時に先端リップ22,22を建築用ボード1,1間の側面に押し当てる力を強くすることができるので一層高いシール性を得られる。
【0024】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、柱部の先端に設けられた脚部と先端リップとの働きによって目地巾に対応して底目地用ガスケットの高さは自動的に調整され、建築用ボードの外側端面と後端リップとの間には隙間を生じることがないようにされるので従来使用していた捨てバリを使用することなく外観を一定にして見栄えよくすることができる。
したがって、捨てバリの施工や除去作業に時間を採られることなく、また除去によりゴミが発生することもない。更に一本の目地において幅が変化するような場合であっても、その変化に対応して底目地用ガスケットの高さが調整されるので簡単に外観を一定にすることができる。
【0025】
また請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の作用効果に加えて、脚部と先端リップとからなる柱部先端の形状は左右対称の断面略Ω状であり、脚部は下側に開口しかつ柱部先端幅よりも左右両側面にそれぞれはみ出して湾曲した拡開可能な半円形状であるので、底目地用ガスケットの嵌入時に先端リップを建築用ボード間の側面に押し当てる力が強くなる。よって、一層高いシール効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る底目地用ガスケット20の一部を示す斜視図である。
【図2】図1に示す底目地用ガスケット20が建築用ボード1,1間に嵌入された状態を示す断面図であり、(a)は最大の目地巾L1の場合、(b)は標準の目地巾L2の場合、および(c)は最小の目地巾L3の場合をそれぞれ示す。
【図3】従来例に係る底目地用ガスケット10が建築用ボード1,1間に嵌入された状態を示す断面図であり、(a)は最大の目地巾L1の場合、(b)は標準の目地巾L2の場合、および(c)は最小の目地巾L3の場合をそれぞれ示す。
【図4】図3に示す底目地用ガスケット10に捨てバリ15を使用し、建築用ボード1,1間に嵌入された状態を示す断面図であり、(a)は最大の目地巾L1の場合、(b)は標準の目地巾L2の場合、および(c)は最小の目地巾L3の場合をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 建築用ボード
1a 外壁下地合板
1b 外壁ボード
2 鉄骨材
5 鉄骨材
10 底目地用ガスケット
11 柱部
12 先端リップ
13 中間リップ
14 後端リップ
15 捨てバリ
20 底目地用ガスケット
21 柱部
22 先端リップ
23,24 中間リップ
25 後端リップ
27 カラー材
30 脚部
30a 節部
M 目地空間
L1,L2,L3 目地巾
Claims (2)
- 建築用ボード間の目地空間に嵌入され、目地空間を柱部の左右両側面部に形成された少なくとも先端リップと後端リップとからなるシールリップ部でシールする長尺状の底目地用ガスケットにおいて、
前記柱部先端に、下側に開口しかつ柱部先端幅よりも左右両側面にそれぞれ左右端部がはみ出しかつ拡開可能な脚部と,該脚部の左右端部を節部として該左右端部から左右両側面方向傾め上側にそれぞれ延設された左右一対の先端リップとを設け、
前記建築用ボードの外側端面と前記後端リップとの間には隙間を生じさせないように、前記脚部の高さを変化させるものであり、
目地巾が標準の場合よりも小さくなると嵌入時に目地側面に接する前記先端リップの傾斜角度を節部を中心に大きくし前記脚部を拡開させて脚部の高さを低くし、逆に目地巾が標準の場合よりも大きくなると先端リップの傾斜角度を節部を中心に小さくし脚部の拡開を小さくして脚部の高さを高くしたことを特徴とする底目地用ガスケット。 - 前記脚部と先端リップとからなる柱部先端の形状は左右対称の断面略Ω状であり、脚部は下側に開口しかつ柱部先端幅よりも左右両側面にそれぞれはみ出して湾曲した拡開可能な半円形状であることを特徴とする請求項1に記載の底目地用ガスケット。
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