JP3662401B2 - 絶縁材料及びその製造方法、フッ素化フラーレン含有膜の製造方法、並びに半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

絶縁材料及びその製造方法、フッ素化フラーレン含有膜の製造方法、並びに半導体装置及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素化フラーレンからなる絶縁材料及びその製造方法、及びフッ素化フラーレン含有膜の製造方法、並びに、前記フッ素化フラーレンからなる絶縁材料又は前記フッ素化フラーレン含有膜を用いる半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSI(Large Scale Integration :大規模集積回路)の高性能化が続けられており、その大規模集積化や高速化などが図られている。これを実現するために配線パターンの微細化の検討が精力的に進められている。
【0003】
例えば、集積度に関しては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)について、すでに記憶容量が64Mbitの製品が量産体制にあり、研究開発段階では1Gbit製品の試作も行われている。
【0004】
また、高速化に関して、例えばCPU(Central Processing Unit :中央処理装置)では、すでに処理速度が200〜300Mbpsの製品が量産されており、将来的には1Gbps製品が主流になると考えられている。
【0005】
このような大規模集積化及び高速化を実現するためには、配線パターンの微細化が必要であって、例えば、デザインルール0.25μmの製品が量産されつつあり、研究開発段階では0.1μmがテーマになりつつある。
【0006】
このような動向に従って、半導体基板、特に、シリコンウエハに対して横方向(水平方向)への微細化が進められている。しかしながら、配線抵抗を増大させないためには、縦方向(垂直方向)の寸法を今以上に減らすことは困難である。
【0007】
例えば、図10は、一般的な半導体装置の一部概略断面図であり、シリコン基板52上にSiO2 層53を介して金属配線54が設けられており、金属配線の配線間絶縁膜として例えばSiO2 からなる絶縁材料51が満たされている半導体装置50であるが、配線パターンの微細化に伴って、その配線構造は、ウエハに対して縦方向(垂直方向)に深い溝のある、アスペクト比(b/a)の大きなものになってくる。
【0008】
このようにアスペクト比(b/a)が大きくなると、配線54−54’間の容量が増大して、デバイスの高速動作に大きな障害となっており、いわゆる配線による信号遅延が生じる傾向にある。
【0009】
一般に、配線による信号遅延は、配線抵抗Rと配線間容量Cとの積CR(CR時定数)に比例する。即ち、CR時定数を下げるには抵抗Rを小さくすることが考えられるが、抵抗Rを小さくすると、供給される電流が増え、消費電力が増大して実用的なデバイスが作れないという問題があった。
【0010】
近年、このような背景から、配線間容量Cを小さくするのがLSI開発における重要なテーマとなっている。
【0011】
また、配線間容量Cは、次の式A
C=εε0 S/d・・・式A
で表される(但し、εは比誘電率、ε0 は真空の誘電率、Sは配線の断面積、dは電極間距離である)。従って、配線間容量を小さくするために、技術的には、電極間絶縁材料の比誘電率εを小さくすることが重要である。
【0012】
現在、配線間に充填される絶縁材料としては、SiO2 が主に用いられており、その比誘電率εは3.9〜4.0が一般的である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、集積回路の高集積化や配線パターンの縮小化に伴って、配線による遅延がデバイス全体の信号遅延の支配的要因になっている。
【0014】
すなわち、デバイスの遅延時間Tは、
T=(バルクの遅延時間)+(配線による遅延)
で表され、配線パターンの縮小化によってバルクの遅延時間は短くなっているのに対し、配線による遅延が益々増大し、クロック周波数数百MHz動作のロジックデバイスでは、配線による遅延の方が大きな問題となっている。
【0015】
上述したように、配線による遅延は、配線抵抗Rと配線間容量Cとの積CRに比例する。従って、金属配線パターンが微細化されて配線間のアスペクト比が大きくなる場合、配線の膜厚を薄くすると抵抗Rが大きくなるので膜厚を厚くしなければならないが、そうすると逆に配線間容量Cが大きくなる。
【0016】
そこで、最近では、配線間容量をいかに小さくするかが半導体装置開発上の重要なテーマとなっており、比誘電率εの小さい絶縁材料の開発が盛んに行われている。
【0017】
次に、下記表Aに、デバイスの高周波化とそれを実現するための比誘電率低下の目標値を示したロードマップの一例を示す。
Figure 0003662401
【0018】
現在、配線間に充填される絶縁物は主にSiO2 系のガラスが用いられており、比誘電率εは4.0程度である。これに対して、フッ素を添加したSiOFの検討が行われているが、比誘電率εは3.0〜3.5程度と比較的優れているものの耐湿性に問題があり実用化されていない。
【0019】
また、C−F系のフッ化炭素膜やシリコン系有機物などが提案されていて、比誘電率εが2.5程度の値も得られており、かなりの配線間容量の低下が期待されているが、C−F系のフッ化炭素膜やシリコン系有機物は耐熱性が低く(約400℃程度)、LSIの後処理で必要とされている500℃以上の環境下では使用できないといった課題が残されている。
【0020】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、比誘電率の小さな絶縁材料及びその製造方法、並びにフッ素化フラーレン含有膜の製造方法を提供することにある。
【0021】
また、本発明の他の目的は、配線間容量が小さく、処理速度の高速化が可能な半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、Cn (但し、nは幾何学的に球状化合物を形成し得る整数である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体をフッ素化したフッ素化フラーレン(以下、同様)が比誘電率が小さく、優れた絶縁材料として機能することを見出した。
【0023】
すなわち、本発明は、Cn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に、フッ素原子が結合してなるフッ素化フラーレンからなる絶縁材料(以下、本発明の絶縁材料と称する。)に係るものである。
【0024】
本発明の絶縁材料によれば、フラーレン分子又はその重合体がフッ素化されたフッ素化フラーレンを絶縁材料として用いるので、絶縁性に優れた比誘電率の小さい絶縁材料を提供することができる。
【0025】
これは、フラーレン分子又はその重合体の周りに存在する自由電子(π電子)がフッ素原子(又はフッ素ラジカル)と結合することで、電場或いは磁場中で分極が起こりにくくなり、誘電率が低下することによるものと考えられる。また、フラーレン分子又はその重合体における球状構造の内部は誘電率の低い真空状態であり、さらに、これがフッ素原子(又はフッ素ラジカル)と結合することで、フラーレン分子又はその重合体における炭素−炭素間の結合距離が延び、フラーレン分子又は重合体における真空体積が増大して誘電率が一層低くなることによるものと考えられる。
【0026】
なお、本発明における絶縁材料とは、比誘電率εが1.0〜4.0であって、かつ、比抵抗ρが十分大きな(特に、ρ=1012Ω−cm以上)ものである。
【0027】
また、本発明は、本発明の絶縁材料を再現性良く製造する第1の方法として、フッ素原子含有ガスの存在下でCn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子をガス状で供給しながらプラズマを発生させ、前記フッ素原子含有ガスから脱離したフッ素原子(又はフッ素ラジカル:以下、同様)を前記フラーレン分子又はその重合体に結合する、フッ素化フラーレンからなる絶縁材料の製造方法(以下、本発明の絶縁材料の第1製造方法と称する。)を提供するものである。
【0028】
一般に、フラーレン分子やその重合体は、フリーラジカルとの反応性に極めて優れた化合物であり、本発明の絶縁材料の第1製造方法によれば、プラズマを用いて前記フッ素原子含有ガスから前記フッ素原子を脱離させているので、プラズマパワーやフッ素原子含有ガスの分圧などを変化させることにより、フッ素化フラーレンにおけるフッ素化率を適宜調節することもできる。なお、前記フッ素化率とは、フラーレン分子やその重合体に対するフッ素原子の付加率を示すものである(以下、同様)。このフッ素化率が大きくなるほど、比誘電率が小さくなる傾向にある。
【0029】
また、本発明の絶縁材料の第1製造方法によれば、前記フラーレン分子をガス状で供給しながらそのフッ素化を行っているので、ガス状のフラーレン分子とフッ素原子とが十分に反応して、さらに、十分にフッ素化された、全体的に均質の絶縁材料を得ることができる。
【0030】
また、フラーレン分子の構造が保持されたままフッ素化されるので、その球状構造内部の誘電率の低い真空状態が保持され、従って、比誘電率の小さなフッ素化フラーレンからなる絶縁材料を得ることができる(以下、同様)。
【0031】
なお、本発明の絶縁材料の第1製造方法において、例えばフラーレン分子のフッ素化を行う場合、一部、フラーレン分子が重合してフラーレン重合体が生成する可能性があるが、プラズマの作用下では、フラーレン分子の重合よりもフッ素原子の付加反応が優先して、フッ素化フラーレン分子を効率よく得ることが可能である。
【0032】
また、本発明は、本発明の絶縁材料及びフッ素化フラーレン含有膜を再現性良く製造する第2の方法として、フッ素原子含有ガスの存在下で加熱し、前記フッ素原子含有ガスからフッ素原子を脱離させて、Cn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に結合する、フッ素化フラーレンからなる絶縁材料又はフッ素化フラーレン含有膜の製造方法(以下、本発明の絶縁材料の第2製造方法と称する。)を提供するものである。
【0033】
本発明の絶縁材料の第2製造方法によれば、熱エネルギーの作用下で前記フッ素原子含有ガスからフッ素原子を脱離させており、フッ素原子含有ガスの分圧や加熱温度などを変化させることによって、得られるフッ素化フラーレンのフッ素化率を適宜調節することができる。
【0034】
ここで、前記フッ素化フラーレン含有膜とは、その一部又は全部にフッ素化フラーレンを含有する薄膜であり、膜全体がフッ素化フラーレンで構成されていなくてもよく、例えば、フッ素化フラーレンを表面に含有するフラーレン薄膜であってよい(以下、同様)。
【0035】
なお、本発明の絶縁材料の第2製造方法において、フッ素化フラーレンの原料であるフラーレン分子又はその重合体は、特に固相状態のものであり、例えば薄膜、或いは粉末状態であってよい。いずれも場合にも、フラーレン分子又はその重合体とフッ素原子とが接触する面(即ち、接触面)でのフッ素化が特に効率良く進行する。特に、原料となるフラーレン分子又はその重合体を粉末として、本法に供する場合、得られる物質から、昇華等の精製手段によりフッ素化フラーレンを分離、精製して、高純度のフッ素化フラーレンを得ることができる。
【0036】
さらに、本発明は、本発明の絶縁材料及びフッ素化フラーレン含有膜を再現性良く製造する第3の方法として、フッ素原子含有ガスをプラズマ化し、前記フッ素原子含有ガスから脱離させたフッ素原子をCn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に結合する、絶縁材料又はフッ素化フラーレン含有膜の製造方法(以下、本発明の絶縁材料の第3製造方法と称する。)を提供するものである。
【0037】
本発明の絶縁材料の第3製造方法によれば、プラズマの作用下で、前記フッ素原子含有ガスから脱離させたフッ素原子を前記フラーレン分子又はその重合体に結合しており、フッ素原子含有ガスの分圧やプラズマパワーなどを変化させることによって、得られるフッ素化フラーレンのフッ素化率を適宜調節することができる。
【0038】
なお、本発明の絶縁材料の第3製造方法において、フッ素化フラーレンの原料となるフラーレン分子又はその重合体は、特に固相状態のものであり、例えば薄膜、或いは粉末状態であってよい。上述した場合と同様に、いずれも場合にも、フラーレン分子又はその重合体とフッ素原子とが接触する面(即ち、接触面)でのフッ素化が特に効率良く進行する。例えば、薄膜として形成されている前記フラーレン分子又はその重合体を本法に基づいてフッ素化を行うと、特に、その表面部分に比誘電率の小さなフッ素化フラーレン構造を有し、内部に比誘電率の大きなフラーレン薄膜を有するといった比誘電率の異なる重層構造を形成することができる。
【0039】
また、本発明は、Cn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に、フッ素原子が結合してなるフッ素化フラーレンからなる絶縁材料、又はこのフッ素化フラーレンを表面領域に有するフラーレン膜が用いられている、半導体装置(以下、本発明の半導体装置と称する。)を提供するものである。
【0040】
本発明の半導体装置によれば、前記フラーレン分子又はその重合体にフッ素原子が結合してなるフッ素化フラーレンからなる絶縁材料、又はこのフッ素化フラーレンを表面領域に有するフラーレン膜が用いられており、特に前記フッ素化フラーレンからなる絶縁材料は比誘電率が小さいので、例えば、これを配線間絶縁膜として用いた場合、配線間容量が小さく、信号遅延が抑えられ、情報処理速度の高速な半導体装置を構成できる。
【0041】
また、本発明の半導体装置におけるフッ素化フラーレンからなる絶縁材料、又はこのフッ素化フラーレンを表面領域に有するフラーレン膜は、前記比誘電率が小さいことに加えて、段差被覆性、接着性、耐熱性、耐湿性などに優れた膜となり得る。
【0042】
また、本発明は、本発明の半導体装置を再現性良く製造する第1の方法として、フッ素原子含有ガスの存在下でCn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子をガス状で供給しながらプラズマを発生させ、前記フッ素原子含有ガスから脱離したフッ素原子を前記フラーレン分子又はその重合体に結合させて半導体基体上にフッ素化フラーレンを生成する、半導体装置の製造方法(以下、本発明の半導体装置の第1製造方法と称する。)を提供するものである。
【0043】
本発明の半導体装置の第1製造方法によれば、プラズマの作用下で前記フッ素原子含有ガスから前記フッ素原子を脱離させているので、プラズマパワーやフッ素原子含有ガスの分圧などを変化させることにより、フッ素化フラーレンのフッ素化率を適宜調節でき、ひいては、得られるフッ素化フラーレンからなる絶縁材料の比誘電率等を適宜調節することができる。
【0044】
また、前記フラーレン分子を気化しながらそのフッ素化を行うと同時に、フッ素化フラーレンの半導体基体上への成膜を行っているので、気化したフラーレン分子とフッ素原子とが十分に反応してフッ素化率の高いフッ素化フラーレンが得られ、かつ、全体的に均質な膜を得ることができる。
【0045】
また、本発明は、本発明の半導体装置を再現性良く製造する第2の方法として、フッ素化フラーレン膜又はフッ素化フラーレン含有膜を半導体基体上に形成するに際し、フッ素原子含有ガスの存在下で加熱し、前記フッ素原子含有ガスからフッ素原子を脱離させて、Cn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に結合し、フッ素化フラーレン又は前記フッ素化フラーレン含有膜を生成する、半導体装置の製造方法(以下、本発明の半導体装置の第2製造方法と称する。)を提供するものである。
【0046】
本発明の半導体装置の第2製造方法によれば、加熱下、即ち、熱エネルギーの作用下で前記フッ素原子含有ガスからフッ素原子を脱離させており、フッ素原子含有ガスの分圧や加熱温度などを変化させることによって、得られるフッ素化フラーレンのフッ素化率を適宜調節し、十分にフッ素化されたフッ素化フラーレン膜又はフッ素化フラーレン含有膜を得ることができる。
【0047】
なお、前記フッ素化フラーレンは、フッ素化フラーレン膜を含むものであり、フッ素化フラーレン膜としては、フッ素化フラーレンがそのまま若しくは精製されたものを用いることができる(以下、同様)。
【0048】
即ち、例えば、半導体基体上に直接に設けられたフラーレン膜に対してフッ素原子を作用させてフッ素化フラーレン膜を形成することもできるが、本法に基づき前記フッ素化フラーレンを別途得て、これを例えば塗布法等の手段によって半導体基体上にフッ素化フラーレン膜を設けることもできる。
【0049】
さらに、本発明は、本発明の半導体装置を再現性良く製造する第3の方法として、フッ素化フラーレン膜又はフッ素化フラーレン含有膜を半導体基体上に形成するに際し、フッ素原子含有ガスをプラズマ化し、前記フッ素原子含有ガスから脱離させたフッ素原子をCn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に結合して、フッ素化フラーレン又は前記フッ素化フラーレン含有膜を生成する、半導体装置の製造方法(以下、本発明の半導体装置の第3製造方法と称する。)を提供するものである。
【0050】
本発明の半導体装置の第3製造方法によれば、プラズマの作用下で、前記フッ素原子含有ガスから脱離させたフッ素原子を前記フラーレン分子又はその重合体に結合させているので、フッ素原子含有ガスの分圧やプラズマパワーなどを変化させることによって、得られるフッ素化フラーレンのフッ素化率、ひいては比誘電率等を適宜調節し、十分にフッ素化されたフッ素化フラーレン膜又はフッ素化フラーレン含有膜を得ることができる。
【0051】
即ち、例えば、半導体基体上に直接に設けられたフラーレン膜に対してプラズマの存在下でフッ素原子を作用させてフッ素化フラーレン膜を形成することもできる。
【0052】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に用いるフラーレン分子又はその重合体について説明する。
【0053】
フラーレンは、C60〔図12(A)参照〕やC70〔図12(B)参照〕等からなる球状炭素分子の総称で、1985年に炭素のレーザーアブレーションによるクラスタービームの質量分析スペクトル中に発見された(Kroto,H.W.; Heath.J.R.; O'Brien,S.C.; Curl,R.F.; Smalley,R.E., Nature 1985,318,162参照)。
【0054】
実際にフラーレンの合成法が確立されたのは、5年後の1990年になってからであり、炭素電極のアーク放電法によるフラーレン(C60)の製造方法が発見されて以来、フラーレンは炭素系半導体材料として注目されてきた(Kratschmer,W.; Fostiropoulos,K; Huffman,D.R. Chem.Phys.Lett.1990,170,167. 及び Kratschmer,W.; Lamb,L.D.; Fostiropoulos,K; Huffman,D.R. Nature 1990,347,354. 参照)。
【0055】
フラーレン分子は、真空下或いは減圧下において容易に気化できることから、蒸着薄膜を作製し易い材料である。しかしながら、一般に、フラーレン分子間にはファン・デル・ワールス(van-der-Waals) 力しか働かないため、得られる蒸着薄膜は脆弱である。
【0056】
これに対して、プラズマ重合等の手法によるフラーレン重合体(フラーレンポリマー)の製造方法が提唱されている(N.Takahashi, H.Dock, N.Matsuzawa, M.Ata J.Appl.Phys.74(1993)5790 、M.Ata, N.Takahashi, K.Nojima, J.Phys.Chem.98(1994)9960及び M.Ata, K.Kurihara, N.Takahashi, J.Phys.Chem.B,101(1997)5 参照)。
【0057】
この方法に基づく実際のプロセスでは、図示省略するが、例えば、真空容器内で0.5〜1Pa程度のアルゴンガス雰囲気中、モリブデンボートの抵抗加熱によりフラーレンを気化させ、13.56Hzの高周波プラズマを照射することによってフラーレン重合薄膜が得られる。なお、前記高周波プラズマ以外にも、例えばマイクロ波やDCプラズマ等を照射することによってフラーレン重合薄膜を得ることもできる。
【0058】
この際、基板温度300℃以下で重合薄膜を形成することができるが、これ以上の基板温度では薄膜の付着量が低下することがある。また、このような非平衡プラズマによる薄膜形成の際の基板温度は、特にコントロールしなくても、例えば100Wのプラズマパワーで70℃を越えることはない。
【0059】
この方法の利点は、フラーレン気化以前に、基板表面を例えばアルゴンプラズマでエッチングできることから接合面での膜の密着性が良いこと、広範囲に均一な膜が得られること、プラズマパワーを任意にコントロールできること等が挙げられる。また、アルゴンの様な単原子分子は、プラズマ中で寿命の長い準安定状態となり、この緩和過程でフラーレン分子が励起されることから、フラーレン分子間の重合効率が良いという利点もある。さらに、重合体形成と基板への成膜とを同時に行うことができ、蒸着膜への光照射による重合体形成の際に見られるような体積歪みによるクラックの発生もない。
【0060】
一般に、π軌道とσ軌道とが直交する平面共役化合物では、電子励起一重項状態1(π−π* ) と電子励起三重項状態3(π−π* ) との間のスピン遷移は禁制であり、振電相互作用によりσ軌道が混ざる場合に許容となる。
【0061】
60分子の場合には、p共役系の非平面性によりπ軌道とσ軌道とがミキシングすることから、1(π−π* ) −3(π−π* ) 間のスピン−軌道相互作用による項間交差が可能となり、C60分子の高い光反応性がもたらされる。
【0062】
即ち、上述した高周波プラズマを利用したフラーレン重合薄膜の製造方法によれば、C60、C70、C76、C78、C80、C82、C84等のフラーレン分子、或いはその混合物を減圧下で蒸発させてプラズマ照射を行うが、雰囲気ガスをアルゴン等の不活性ガスとした場合には、一般に、図13(A)に示す〔2+2〕環状付加構造(特にシクロブタン環)の重合構造から、図13(B)に示すC116 の重合構造に見られるような導電性の重合構造へと構造緩和する。
【0063】
つまり、図13(B)に示す如きC116 のような重合構造は、そのクロスリンク構造が導電性の向上に寄与することから、C60分子等のモノマーに比べて誘電率は大きくなる。
【0064】
このように、雰囲気ガスがアルゴン等の不活性ガスの場合、そのプラズマ中でフラーレン分子同士が重合を起こすが、雰囲気ガスが有機系ガス等の場合は、プラズマの作用により前記有機系ガス等の分解が生じる。特に、含フッ素有機化合物の分解が起きると、水素やフッ素などが原子(又はラジカル)の状態で浮遊する。
【0065】
ところで、フラーレンは、ラジカルスポンジと呼ばれるように、フリーラジカルとの付加反応性に極めて優れている(Krusic,P.J.; Wasserman,E.; Parkinson,B.; Holler,E.; Keizer,P.N.; Morton,J.R.; Preston,K.F. J.Am.Chem.Soc.1991,113,6274. 、Morton,J.R.; Preston,K.F.; Krusic,P.J.; Hill,S.A.; Wasserman,E. J.Phys.Chem.1992,96,3576. 、Keizer,P.N.; Morton,J.R.; Preston,K.F. J.Chem.Soc.,Chem.Commun,1992,1259. 、Krusic,P.J.; Wasserman,E.; Keizer,P.N.; Morton,J.R.; Preston,K.F. Science,1991,254,1183.、Morton,J.R.; Preston,K.F.; Krusic,P.J.; Hill,S.A.; Wasserman,E. J.Am.Chem.Soc.1992,114,5454.、McWeen,J.R.; McKay,R.G.; Larsenm,B.S. J.Am.Chem.Soc.1992,114,4412.、McElvany,S.W.; Callahan,J.H.; Ross,M.M.; Lamb,L.D.; Huffman,D.R. Science,1993,260,1632参照)。
【0066】
即ち、プラズマ中に浮遊する原子状水素や原子状フッ素等は、フリーラジカルの状態であり、これらは容易にフラーレンに付加し、付加体を形成する。
【0067】
例えば、C60の場合、球状分子の周りには60個のπ電子が自由に動き回っている。また、分子の対称性から、この分子の双極子モーメントはゼロである。しかしながら、これらの自由電子は電場或いは磁場により容易に分極し、一般に、低誘電材料にはならない。
【0068】
これに対し、付加反応によってフラーレン分子のπ電子をラジカルとの結合電子とすることで低誘電化を図ることができる。
【0069】
さらに、最も誘電率が低い場は真空であるが、フラーレン分子の中空が真空であることも、その低誘電化を図るうえで有用である。また、フラーレン分子とフリーラジカルとの付加反応は、弱く共役した二重結合の両端部(即ち、二重結合性の小さい部分)で優先的に起きるが、付加構造ではさらに炭素−炭素原子間の結合距離が延び、分子内部の真空体積がさらに増加して誘電率の低下に寄与するものと考えられる。ちなみに、フラーレンの比重は結晶状態で約1.7程度であり、同じく結晶炭素であるダイヤモンドの比重(約4.0)のおおよそ半分の値である。本発明に基づくフッ素化フラーレンの分子構造モデルを図2に例示する。但し、このようなものに限定されるものではない。
【0070】
実際には、例えばC60分子の場合、その比誘電率εが3.9程度であるのに対し、本発明に基づくフッ素化フラーレン(C60n )では比誘電率εは2.9程度となる。また、比抵抗ρは1012Ω−m以上であり、半導体装置に用いる絶縁材料として実用上、完全な絶縁膜となりうる。
【0071】
次に、図11を参照に炭素電極(グラファイト電極)のアーク放電法によるフラーレンの製造方法例、及びその精製方法例を説明する。
【0072】
一対の高純度グラファイト製の対向電極56、57からなるカーボンアーク部を有する真空容器58内に基板55を配し、容器58中のガス(特に空気)62を図示省略した真空ポンプ(又は分子ターボポンプ)で排気した後、不活性ガス(例えばヘリウム、アルゴン等)60をガス導入口61から導入して、容器58の内圧をほぼ真空状態に調節する。
【0073】
次いで、グラファイト製の高純度カーボン棒の端部を対向させ、電源59から所定の電圧及び電流を印加し、カーボン棒(対向電極)56及び57の端部をアーク放電状態にして、この状態を所定時間維持する。
【0074】
この間に、カーボン棒56及び57は気化し、容器58内の内部に設けられた基板55上にフラーレンを含むスス状の物質が析出する。そして容器58を冷却した後、スス状の物質が付着した基板55を取り出し、基板55上に形成されたフラーレンを含むスス状の物質を得る。
【0075】
このように、前記アーク放電法では、通常、直流電源に接続された炭素電極(或いはグラファイト棒)が、ヘリウム等の不活性ガスが満たされているチャンバー(真空容器)内に設置され、この放電に際して気化した炭素原子が再結合する過程でC60分子やC70分子からなるフラーレンが生成する。
【0076】
ここで得られる物質は、多くはススとしてチャンバーの内壁などに付着する。一般に、このススはC60分子やC70分子などの種々のフラーレンを含んでおり、フラーレンスーツと称されている。これらのスス(以下、フラーレンスーツと称する。)は、適切な条件下では、約10%若しくはそれ以上のフラーレンを含むことがある。
【0077】
また、通常、C60分子やC70分子等の単体フラーレンは、このフラーレンスーツから、トルエンや二硫化炭素などのπ電子系の有機溶媒で抽出されるが、この抽出液を蒸発させた段階で得られるフラーレンは粗製フラーレンを称されるものであり、C60やC70の他、C76、C78、C80、C82、C84等のいわゆる高次フラーレンを含む混合物である。
【0078】
さらに、この混合物(粗製フラーレン)から、例えば、カラムクロマトグラフィーにより、単体C60分子や単体C70分子を分離精製可能である。なお、単体C60分子や単体C70分子は、さらに昇華等の手段を用いることで高純度の単体分子として得ることが可能である。
【0079】
次に、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0080】
まず、本発明の絶縁材料について説明する。
【0081】
本発明の絶縁材料においては、前記フラーレン分子又はその重合体に複数の前記フッ素原子が付加結合していることが望ましい。フラーレン分子又はその重合体に結合するフッ素原子数が多くなるほど(即ちフッ素化率が大きくなるほど)比誘電率が小さくなる傾向がある。
【0082】
即ち、本発明の絶縁材料によれば、Cn m (但し、nは前記したものと同様であり、mはフラーレン分子又はフラーレン重合体に付加し得るフッ素原子数である。)で表されるフッ素化フラーレンにおいて、前記mは特に2以上の値を取ることができる。特に、比誘電率を考慮すると、例えばC60m におけるmは、12以上とすることが望ましく、さらに30〜60が望ましい。
【0083】
また、前記フラーレン分子は、C60分子及び/又はC70分子であることが望ましい。もちろん、いわゆる高次フラーレンと称される他のフラーレン分子(例えばC76、C78、C80、C82、C84など)を使用してもよく、また、少なくとも2種のフラーレン分子からなる混合物を用いてもよい。もちろん、これらのフラーレン分子が重合したフラーレン重合体を用いてもよい。
【0084】
次に、本発明の絶縁材料の第1製造方法を説明する。
【0085】
本発明の絶縁材料の第1製造方法においては、前記プラズマを高周波の印加による高周波プラズマとすることが望ましい。もちろん、前記プラズマとして直流プラズマやマイクロ波によるプラズマ等の他のプラズマ発生方法も使用できるが、特に、プラズマ発生密度が高いことから、高周波プラズマを用いることが望ましい。
【0086】
また、前記フッ素原子含有ガスとしては、Cx y z (但し、x、y及びzは、フッ素原子を含有する化合物を形成し得る整数であって、yは0でもよい。)で表される化合物を使用することが望ましい。前記化合物としては、例えば、脂肪族フッ化炭化水素などが挙げられる。
【0087】
前記化合物において炭素及びフッ素原子数は特に限定されないが、分子量が比較的小さく、気化が容易なものが特に好ましい。このようなフッ素原子含有ガスを反応室内に導入し、前記高周波プラズマを発生させることで、フッ素が原子の状態で生成する。このフッ素原子は反応活性で、気化されたフラーレン分子と容易に付加反応を起こす。また、前記フッ素原子含有ガスとしては、フッ素ガス、或いはヘリウム、アルゴン等の不活性ガスに希釈したフッ素ガスを導入してもよい。
【0088】
さらに、前記フッ素原子含有ガスとして含フッ素脂肪族飽和(又は不飽和)炭化水素を使用することができ、含フッ素脂肪族飽和炭化水素を使用することが好ましい。前記含フッ素脂肪族飽和炭化水素としては、例えば、C2 6 などが使用でき、前記含有フッ素脂肪族不飽和炭化水素としては、例えばC2 4 などが使用できる。この他、前記フッ素原子含有ガスとして、フロンガス又は代替フロンガスも使用可能である。
【0089】
また、前記高周波プラズマの放電パワーを50〜100Wとすることが望ましい。但し、数百Wの放電パワーをかけてフラーレン分子の骨格が分解するような状況になっても、低誘電のフッ化炭素を得ることは可能である。
【0090】
なお、前記高周波の周波数は、電子の揺らぎがイオンの揺らぎに追随しない、いわゆる非平衡プラズマを生成できるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、周波数13.56Hzの高周波を採用できる。
【0091】
また、前記高周波プラズマは圧力(特に、フッ素原子含有ガスの分圧)が0.5Torr以下のもとで発生させることが望ましい。前記フッ素原子含有ガスの分圧を上げすぎると、フッ素原子とフラーレン分子との付加反応が効率的に起きないことがある。
【0092】
また、前記フラーレン分子としてC60分子及び/又はC70分子を使用することが望ましい。上述したように、他のフラーレン分子(例えばC76、C78、C80、C82、C84など)を使用してもよく、また、少なくとも2種のフラーレン分子からなる混合物を用いてもよい。
【0093】
次に、本発明の絶縁材料の第2製造方法を説明する。
【0094】
本発明の絶縁材料の第2製造方法においては、前記加熱の温度を150〜400℃とすることが望ましい。この反応温度が150℃未満であると、フッ素化反応が不十分となることがある。また、400℃を越えると、フラーレン骨格が分解するおそれがある。この時の反応温度は、180〜250℃がさらに好ましい。また、フッ素化反応時間は例えば24時間がよい。
【0095】
また、前記フッ素原子含有ガスをフッ素ガス(F2 ガス)又はフッ素含有不活性ガスとして供給することが望ましい。前記不活性ガスとしては、例えはアルゴンガス、ヘリウムガス等を挙げることができる。
【0096】
さらに、前記フッ素原子含有ガスによりフッ素化されたフッ素化フラーレン分子は真空昇華によって精製することができる。本発明の絶縁材料の第2製造方法においては、特に、前記フラーレン分子又はその重合体とフッ素原子との接触面にてフッ素化フラーレンが効率よく生成する。そこで、真空昇華等の手法に基づき、フッ素化されたフラーレンとフッ素化されていない若しくはフッ素化が不十分なフラーレンとを分離、精製して、十分にフッ素化されたフッ素化フラーレンを高純度で得ることができる。
【0097】
また、前記フラーレン分子としては、C60分子及び/又はC70分子を使用することが望ましい。もちろん、他のフラーレン分子(例えばC76、C78、C80、C82、C84など)を使用してもよく、また、少なくとも2種のフラーレン分子からなる混合物を用いてもよい。さらに、C60分子の重合体及び/又はC70分子の重合体を用いてもよい。
【0098】
次に、本発明の絶縁材料の第3製造方法を説明する。
【0099】
本発明の絶縁材料の第3製造方法においては、前記プラズマを高周波の印加による高周波プラズマとすることが望ましい。上述したように、前記プラズマの発生方法として直流プラズマ等の他のプラズマ発生方法も使用できるが、特に、プラズマ発生密度が高いことから、高周波プラズマを用いることが望ましい。
【0100】
また、前記フッ素原子含有ガスとしては、Cx y z (但し、x、y及びzは、フッ素原子を含有する化合物を形成し得る整数であって、yは0でもよい。)で表される化合物を使用することが望ましい。
【0101】
前記化合物における炭素及びフッ素原子数は特に限定されないが、分子量が比較的小さく、気化が容易なものが特に好ましい。このようなフッ素原子含有ガスを反応室内に導入し、前記高周波プラズマを発生させることで、フッ素が原子の状態で生成する。このフッ素原子は反応活性で、原料フラーレン分子又はその重合体と容易に付加反応を起こす。また、前記フッ素原子含有ガスとしては、フッ素ガス、或いはヘリウム、アルゴン等の不活性ガスに希釈したフッ素ガスを導入してもよい。
【0102】
さらに、前記フッ素原子含有ガスとして含フッ素脂肪族飽和炭化水素を使用することが好ましい。前記含フッ素脂肪族飽和炭化水素としては、例えばC2 6 等、上述したものと同様の含フッ素脂肪族飽和炭化水素を使用できる。
【0103】
また、前記フラーレン分子としては、C60分子及び/又はC70分子を使用することが望ましい。もちろん、他のフラーレン分子(例えばC76、C78、C80、C82、C84など)を使用してもよく、また、少なくとも2種のフラーレン分子からなる混合物を用いてもよい。さらに、C60分子の重合体及び/又はC70分子の重合体を用いてもよい。
【0104】
次に、本発明の半導体装置について説明する。
【0105】
まず、本発明の半導体装置の構成例を図6に示す。即ち、シリコン基板32上にSiO2 層33を介して所定パターンに形成された金属配線34を有する半導体基体上に、配線間絶縁膜としてフッ素化フラーレン31を設けることができる。
【0106】
即ち、本発明の半導体装置においては、本発明の各絶縁材料の製造方法に基づいて得られる前記絶縁材料を、上述したように、配線間の絶縁膜として用いることができる。また、多層配線構造の半導体装置における層間絶縁膜として用いてもよい。さらに、素子領域を分離するためのアイソレーション膜として用いることもできる。
【0107】
また、本発明の半導体装置においては、前記フラーレン分子に複数の前記フッ素原子が付加結合していることが望ましい。上述したように、フラーレン分子又はその重合体に結合するフッ素原子数が多くなるほど比誘電率が小さくなる傾向があり、配線間容量も小さくなって、デバイスの高速動作が可能となる。
【0108】
次に、本発明の半導体装置の第1製造方法について説明する。
【0109】
本発明の半導体の第1製造方法においては、前記半導体基体として、シリコン基板上に所定パターンの配線が設けられた基体を用いることができる。
【0110】
また、前記フラーレン分子を気化する前に、前記半導体基体を高周波プラズマで処理(例えばエッチング)することが望ましい。即ち、予め基体表面にアルゴンプラズマ等によってエッチングなどを施すことにより、その接合面での膜と基体との密着性が向上する。
【0111】
また、前記フッ素化フラーレンは、上述したように、配線間の絶縁膜として堆積することができる。また、多層配線構造の半導体装置における層間絶縁膜として堆積することもできる。さらに、素子領域を分離するためのアイソレーション膜として用いることもできる。
【0112】
また、前記プラズマを高周波の印加による高周波プラズマとすることが望ましい。もちろん、前記プラズマとして直流プラズマ等の他のプラズマ発生方法も使用できるが、特に、プラズマ発生密度が高いことから、高周波プラズマを用いることが望ましい。
【0113】
また、前記フッ素原子含有ガスとして、Cx y z (但し、x、y及びzは、フッ素原子を含有する化合物を形成し得る整数であって、yは0でもよい。)で表される化合物を使用することが望ましい。
【0114】
前記化合物における炭素及びフッ素原子数は特に限定されないが、分子量が比較的小さく、気化が容易なものが特に好ましい。上述したように、このようなフッ素原子含有ガスを反応室内に導入し、前記高周波プラズマを発生させることで、フッ素が原子の状態で生成する。このフッ素原子は反応活性で、気化されたフラーレン分子と容易に付加反応を起こす。また、前記フッ素原子含有ガスとしては、フッ素ガス、或いはヘリウム、アルゴン等の不活性ガスに希釈したフッ素ガスを導入してもよい。
【0115】
さらに、前記フッ素原子含有ガスとして含フッ素脂肪族飽和炭化水素を使用することが好ましい。前記含フッ素脂肪族飽和炭化水素としては、例えばC2 6 などの上述したと同様のものを使用できる。
【0116】
また、前記高周波プラズマの放電パワーを50〜100Wとすることが望ましい。但し、数百Wの放電パワーをかけてフラーレン分子の骨格が分解するような状況になっても、低誘電のフッ化炭素類を得ることは可能である。
【0117】
なお、前記高周波の周波数は、電子の揺らぎがイオンの揺らぎに追随しない、いわゆる非平衡プラズマを生成できるものであれば、特に限定されるものではない。
【0118】
また、前記高周波プラズマは圧力(特に、フッ素原子含有ガスの分圧)が0.5Torr以下で発生させることが望ましい。前記フッ素原子含有ガスの分圧を上げすぎると、フッ素原子とフラーレン分子との付加反応が効率的に起きないことがある。
【0119】
また、前記フラーレン分子としてC60分子及び/又はC70分子を使用することが望ましい。上述したように、他のフラーレン分子(例えばC76、C78、C80、C82、C84など)を使用してもよく、また、少なくとも2種のフラーレン分子からなる混合物を用いてもよい。
【0120】
次に、本発明の半導体装置の第2製造方法を説明する。
【0121】
本発明の半導体装置の第2製造方法によれば、前記半導体基体として、シリコン基板上に所定パターンの配線が設けられた基体を用いることができる。
【0122】
また、上述したと同様の理由で、前記加熱を温度150〜400℃、さらには180〜250℃で行うことが望ましい。
【0123】
また、前記フッ素原子含有ガスをフッ素ガス(F2 ガス)又はフッ素含有不活性ガスとして供給することが望ましい。前記不活性ガスとしては、例えはアルゴンガス、ヘリウムガス等を挙げることができる。
【0124】
さらに、前記フッ素原子含有ガスによりフッ素化されたフッ素化フラーレン分子は真空昇華によって精製することができる。本発明の半導体装置の第2製造方法においては、本発明の絶縁材料の第2製造方法に述べたように、特に、前記フラーレン分子又はその重合体とフッ素原子との接触面にてフッ素化フラーレンが効率よく生成する。そこで、真空昇華等の手法に基づき、フッ素化されたフラーレンとフッ素化されていない若しくはフッ素化が不十分なフラーレンとを分離、精製して、フッ素化フラーレンを高濃度で得て、これを絶縁膜に供することもできる。
【0125】
さらに、精製されたフッ素化フラーレンを溶媒に溶解して、この溶液(フッ素化フラーレン溶液)を塗布することによって半導体基体上にフッ素化フラーレン膜を形成することができる。
【0126】
即ち、半導体基板上の金属配線パターンが微細化されるにつれ、配線間の溝の中に絶縁材料が均一に充填されるか否かが重要なテーマとなっているが、前記フッ素化フラーレン溶液を用いた塗布法(例えばスピンコーティング法)によれば、狭い溝でも十分にフッ素化フラーレンからなる絶縁材料を前記溝に充填でき、被覆性の良いフッ素化フラーレン膜を得ることができる。
【0127】
なお、前記溶媒としては、π電子系の有機溶媒を用いることができる。一般に、フラーレン分子類は、二硫化炭素、トルエン、ベンゼン、オルトジクロロベンゼン等のπ電子系を有する極性の低い溶媒にしか溶解せず、n−ヘキサン等の脂肪族系溶媒に対する溶解度さえ極めて低い。前記フッ素化フラーレンも上述したπ電子系を有する極性の低い溶媒に溶解させることができる。
【0128】
また、前記フラーレン分子としては、C60分子及び/又はC70分子を使用することが望ましい。もちろん、他のフラーレン分子(例えばC76、C78、C80、C82、C84など)を使用してもよく、また、少なくとも2種のフラーレン分子からなる混合物を用いてもよい。さらに、例えば、C60分子の重合体及び/又はC70分子の重合体を使用してもよい。
【0129】
また、前記フッ素化フラーレン膜は、上述したと同様に、配線間の絶縁膜として形成することができる。また、多層配線構造の半導体装置における層間絶縁膜として用いることもできる。さらに、素子領域を分離するためのアイソレーション膜として用いることもできる。
【0130】
次に、本発明の半導体装置の第3製造方法を説明する。
【0131】
本発明の半導体装置の第3製造方法においては、前記半導体基体として、シリコン基板上に所定パターンの配線が設けられた基体を用いることができる。
【0132】
また、前記プラズマを高周波の印加による高周波プラズマとすることが望ましい。もちろん、前記プラズマとして直流プラズマ等の他のプラズマ発生方法も提供できるが、特に、プラズマ発生密度が高いことから、高周波プラズマを用いることが望ましい。
【0133】
また、前記フッ素原子含有ガスとしては、Cx y z (但し、x、y及びzは、フッ素原子を含有する化合物を形成し得る整数であって、yは0でもよい。)で表される化合物を使用することが望ましい。
【0134】
前記化合物における炭素及びフッ素原子数は特に限定されないが、分子量が比較的小さく、気化が容易なものが特に好ましい。このようなフッ素原子含有ガスを反応室内に導入し、前記高周波プラズマを発生させることで、フッ素が原子の状態で生成する。このフッ素原子は反応活性で、原料フラーレン分子又はその重合体と容易に付加反応を起こす。また、前記フッ素原子含有ガスとしては、フッ素ガス、或いはヘリウム、アルゴン等の不活性ガスに希釈したフッ素ガスを導入してもよい。
【0135】
さらに、前記フッ素原子含有ガスとして含フッ素脂肪族飽和炭化水素を使用することが好ましい。前記含フッ素脂肪族飽和炭化水素としては、例えばC2 6 等、上述したと同様の含フッ素脂肪族飽和炭化水素を使用できる。
【0136】
また、前記フラーレン分子としては、C60分子及び/又はC70分子を使用することが望ましい。もちろん、他のフラーレン分子(例えばC76、C78、C80、C82、C84など)を使用してもよく、また、少なくとも2種のフラーレン分子からなる混合物を用いてもよい。さらに、例えば、C60分子の重合体及び/又はC70分子の重合体を使用してもよい。
【0137】
また、前記フッ素化フラーレン膜は、上述したと同様に、配線間の絶縁膜として形成することができる。また、多層配線構造の半導体装置における層間絶縁膜として用いることもできる。さらに、素子領域を分離するためのアイソレーション膜として用いることもできる。
【0138】
次に、本発明の半導体装置の第1〜第3製造方法に使用できる成膜装置を図1を参照に説明する。
【0139】
図1に示す装置は、ガス排出口9とガス導入口7とを有する真空容器10内に、高周波プラズマ発生用の電極4、5と、原料となるフラーレンを配し、この飛翔源となる容器3とを有する装置である。また、図示省略するが、容器10を加熱可能な加熱手段が配されている。
【0140】
まず、本発明の半導体装置の第1製造方法によれば、フラーレン分子のサンプルを容器3に封入し、真空容器(ベルジャー)10内の所定位置に設置して、この真空容器10を真空状態とする。
【0141】
次いで、再度、図示省略した分子ターボポンプにより真空排気を行い、フッ素化ガスとして例えばC2 6 等のフッ素原子含有ガス6を導入し、真空容器10の内圧を所定圧力に設定する。
【0142】
次いで、抵抗加熱用電源12から所定の電圧を供給し、抵抗加熱法により容器3内に配されているフラーレン分子を徐々に気化し、これをガス状にて供給しながら(図中矢印2)、さらに、高周波電源11から所定の放電パワーを印加して、フッ素原子含有ガスからフッ素原子(図中矢印13)を脱離させ、これを気化したフラーレン分子2に結合させると同時に、半導体基板1上にフッ素化フラーレンの成膜を行うことができる。
【0143】
なお、本装置で本発明の絶縁材料の第1製造方法を実施することもでき、その場合は、前記半導体基体1の代わりに、所定の基体を配することで、この基体上にフッ素化フラーレンからなる絶縁材料を得ることができる。
【0144】
次に、本発明の半導体装置の第2製造方法によれば、まず、フッ素化の前段階として、例えば、真空容器10内で0.5〜1Pa程度のアルゴンガス雰囲気中、容器3の抵抗加熱により、容器3に配されたフラーレンを気化させ、半導体基体1上にフラーレン蒸着薄膜を設けることができる。なお、この際、例えば13.56MHzの高周波プラズマを照射することによって、半導体基体1上にフラーレン重合薄膜を作製できる。
【0145】
次いで、図示省略した加熱手段により真空容器10を所定温度に加熱し、導入したフッ素原子含有ガスからフッ素原子を脱離せしめ、所定時間保持することにより、半導体基板1に設けられているフラーレン蒸着薄膜若しくはフラーレン重合薄膜に前記フッ素原子が結合し、フッ素化フラーレン膜又はフッ素化フラーレン含有膜が得られる。
【0146】
次に、本発明の半導体装置の第3製造方法によれば、上述した本発明の半導体装置の第2製造方法と同様に、フッ素化の前段階として、半導体基板1上にフラーレン蒸着薄膜若しくはフラーレン重合薄膜を作製することができる。そして、高周波電源11を動作させて所定放電パワーのプラズマを発生せしめ、真空容器10内に導入したフッ素原子含有ガスからフッ素原子を脱離させ、これを前記フラーレン蒸着薄膜若しくはフラーレン重合薄膜に結合させて、フッ素化フラーレン膜又はフッ素化フラーレン含有膜を得ることができる。
【0147】
次に、本発明の絶縁材料の第2製造方法及び第3製造方法に使用できるフラーレン分子又はフラーレン重合体のフッ素化装置を図5について説明する。
【0148】
図5に示す装置は、真空容器18内に、原料フラーレンを配する容器17と、高周波プラズマを発生する電極21、22を有する装置である。なお、図示省略するが、真空容器18の外部又は内部には、容器18を加熱するための加熱手段が配されている。また、真空容器18には、導入するフッ素原子含有ガスを閉じ込めることができるように、ガス導入口及びガス排出口にそれぞれ弁23及び24が設けられている。
【0149】
まず、本発明の絶縁材料の第2製造方法によれば、真空容器10内に、フッ素原子含有ガスを封入し、図示省略した加熱手段によって真空容器10内を所定温度に加熱する。すると、フッ素原子含有ガスから脱離したフッ素原子が、容器17内に配されているフラーレン分子若しくはフラーレン重合体15と結合し、フッ素化フラーレンからなる絶縁材料が得られる。
【0150】
また、本発明の絶縁材料の第3製造方法によれば、真空容器10内に、フッ素原子含有ガスを封入し、例えば高周波電源19を動作させて、電極21、22間に高周波を発生させそのプラズマの作用により、フッ素原子含有ガスからフッ素原子を脱離せしめ、これを容器17内に配されているフラーレン分子若しくはフラーレン重合体15と結合させてフッ素化フラーレンからなる絶縁材料を得ることができる。
【0151】
なお、本発明の絶縁材料の第2製造方法及び第3製造方法においては、真空容器10内に導入するフッ素原子含有ガスは、密封状態にして所定時間保持してもよいし、流通させながら所定時間保持してもよい。また、これらの方法の場合、特に、原料フラーレンとフッ素原子含有ガスから脱離したフッ素原子とが接触する面で、フッ素化フラーレンが効率よく生成する。
【0152】
なお、前記原料フラーレンの形態は、上述したように、粉末状態であってもよいし、或いは薄膜状態であってもよい。用途に適した形態の原料フラーレンを用いることができる。
【0153】
以上、本発明を好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、上述した形態に限定されるものではない。
【0154】
例えば、本発明の半導体装置において、所定形状の配線が設けられた半導体基板上に、本発明に基づくフッ素化フラーレンを成膜するに際し、まず、他種の絶縁膜を成膜してから、前記フッ素化フラーレンを成膜することができる。また、フッ素化フラーレンからなる絶縁材料のみを用いて絶縁膜を形成することも十分に可能であるが、例えば、半導体基体上にある程度の厚みで前記フッ素化フラーレンからなる絶縁膜を成膜し、その後、SiO2 膜等をスピンコート法等により成膜しても構わない。
【0155】
また、本発明の絶縁材料は、前記半導体装置以外にも適用することができ、電気絶縁を必要とする分野で、必要な比誘電率の絶縁材料を用いることが可能である。
【0156】
【実施例】
以下、本発明を実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0157】
実施例1
図1に示す装置を用い、シリコン基板上にフッ素化フラーレン薄膜を形成した。なお、図1に示す装置は、上述したように、ガス排出口9とガス導入口7とを有する真空容器10内に、高周波プラズマ発生用の電極4、5と、原料となるフラーレンを配し、これの飛翔源となる容器3とを有する装置である。
【0158】
まず、純度99.999%の昇華C60サンプルをモリブデン製の容器3に封入し、真空容器(ベルジャー)10内の所定位置に設置して、この真空容器10を真空状態とした。その後、ガス導入口7からアルゴンガス6を導入し、プラズマパワー50Wで5分間、シリコン基板1の表面をエッチングした。
【0159】
次いで、再度、図示省略した分子ターボポンプにより真空排気を行い、フッ素化ガスとしてC2 6 ガス6を導入し、真空容器10の内圧が0.05Torrとなるようにその流速を設定した。
【0160】
次いで、抵抗加熱用電源12から所定の電圧を供給し、抵抗加熱法によりモリブデン容器3内に配されているC60分子を徐々に気化させ(図中矢印2)、さらに、高周波電源11からプラズマパワー50Wの高周波を印加して、C2 6 ガスからフッ素原子(図中矢印13)を脱離させ、これを気化したフラーレン分子2に結合させると同時に、シリコン基板1上にフッ素化フラーレンの成膜を行った。
【0161】
得られた薄膜を飛行時間型質量分析計(TOF−MS)で質量分析した。その測定結果を図4に示す。
【0162】
図4から、得られた薄膜中には、C60分子が少量ではあるが残存していること、また、フッ素化フラーレンC60n が存在しており、特に、分子量1100付近のC6020程度のフッ素化フラーレンが高確率で存在していること〔図中(A)〕、さらに、高分子量領域のピークの分離が明瞭ではなく、C2 6 のフラグメントのC60への付加体も存在することが明らかである。なお、図中(a)に現れているピークがC60Fであり、その他、図中(b)のピークはC602 、図中(c)のピークはC603 、図中(d)のピークはC604 、図中(e)のピークはC605 、図中(f)のピークはC606 である。もちろん、その他のフッ素化フラーレンのピークも得られていることが分かる。
【0163】
次に、本実施例の手法に基づき、所定パターンの金属配線が設けられている半導体基板上に、フッ素化フラーレンからなる絶縁材料の成膜を行った。得られた半導体装置の概略を図6に示す。即ち、シリコン基板32上にSiO2 層33からなる絶縁層を介してアルミニウム配線が設けられている半導体基板上に、フッ素化フラーレンからなる絶縁膜31を設けることができた。
【0164】
また、図6に示した半導体装置におけるCV特性(C−Vカーブ)を図3に示す。この特性より、前記式Aに基づいて、下記の式A’の如く、得られた薄膜の比誘電率εは2.9と評価できた(以下、同様)。但し、電極間距離d=0.28μm、配線間容量C=72pF、真空の誘電率ε0 =8.85×10-12 、配線の断面積S=0.5×0.5mmである。
Figure 0003662401
【0165】
また、得られた薄膜の比抵抗ρも合わせて測定した。その結果、比抵抗ρは1012Ω−m以上であり、実用上完全な絶縁膜であった(以下の各実施例の薄膜も同様)。
【0166】
なお、前記容量Cと比抵抗ρは、図示省略するが、フッ素化フラーレン薄膜が設けられたシリコン基板を金属板(基板側)と1mmφ中のアルミニウム電極(フッ素化フラーレン薄膜上)とではさみ、これら両電極間に直流可変電源と交流電源と容量電流計とを直列接続した回路にて測定した。
【0167】
さらに、同様にして、所定パターンの金属配線40が設けられている半導体基板43(配線間隔x1 =500nm、配線の高さy1 =500nm、アスペクト比=1)を配し、フッ素化フラーレン膜42の成膜を行った。得られたフッ化フラーレン薄膜を有する半導体基板43の概略断面図を図7に示す。図7より、被覆性良くフッ化フラーレン膜が成膜できていることがわかる。なお、図7に示した半導体装置においては、アモルファスシリコン(α−Si)41がフッ素化フラーレン膜42の下地層として、膜厚20nmで設けられている(図8及び図9も同様)。
【0168】
また、このフッ素化フラーレン膜に関し、SiO2 層との接着性をテストしたが、全く問題なく、強固に密着していることが分かった。
【0169】
さらに、別途シリコン基板上に設けた厚さ0.2μm程度のフッ素化フラーレン膜に約20Vの電圧を印加し、絶縁性のテストを行った。流れた電流は0.01pA以下であって、LSI等の半導体装置に用いる絶縁膜として十分使用できるものであった。
【0170】
また、同様にして、配線間の距離を大きくした半導体基板44(配線間隔x2 =1.50μm、配線の高さy2 =500nm、アスペクト比=3)を配し、フッ素化フラーレン膜42の成膜を行った。得られたフッ素化フラーレン薄膜42を有する半導体基板44の概略断面図を図8に示す。これより、被覆性良くフッ化フラーレン膜が成膜できていることがわかる。
【0171】
実施例2
純度99.9%のC70昇華サンプルを用い、実施例1と同様に、シリコン基板上にフッ素化フラーレン膜を成膜した。
【0172】
図示省略するが、得られた薄膜のTOF−MS測定結果から、C7018が最も高確率で存在していることが示唆された。また、得られた薄膜の比誘電率εは3.0であった。
【0173】
実施例3
60分子及びC70分子の混合物の昇華サンプルを用いて、実施例1と同様に、シリコン基板上にフッ素化フラーレン膜を成膜した。得られた薄膜の比誘電率εは2.9であった。
【0174】
実施例4
成膜時のプラズマパワーを100Wとした以外は、実施例1と同様に、シリコン基板上にフッ素化フラーレン膜を成膜した。
【0175】
この場合には、C60フラーレン分子に対するフッ素原子の付加反応の効率が実施例よりも向上しており、得られた薄膜のTOF−MS測定結果から、分子量1200付近のC6025が最も高確率で存在していた。また、得られた薄膜の比誘電率εは2.8であった。
【0176】
実施例5
成膜時のC2 6 ガスの流量を調節して真空容器内の圧力を0.1Torrとした以外は、実施例1と同様に、シリコン基板上にフッ素化フラーレン膜を成膜した。
【0177】
得られた薄膜のTOF−MS測定結果から、C6026が最も高確率で存在しており、フラーレン分子に対するフッ素原子の付加反応が効率的に起きていることが示唆された。また、得られた薄膜の比誘電率εは2.8であった。
【0178】
実施例6
成膜時のC2 6 ガスの流量を調節して真空容器内の圧力を0.5Torrとした以外は、実施例1と同様に、シリコン基板上にフッ素化フラーレン膜を成膜した。
【0179】
得られた薄膜のTOF−MS測定結果から、C6012付近にそのピークがあり、C2 6 の分圧を上げ過ぎると、フラーレン分子に対するフッ素原子の付加反応がやや落ちることが示唆された。また、得られた薄膜の比誘電率εは3.3であった。
【0180】
実施例7
図1に示した装置を用い、所定形状の配線が設けられたシリコン基板上に、フラーレン重合薄膜を形成し、その後、フラーレン重合薄膜に対するフッ素化を試みた。
【0181】
まず、純度99.999%の昇華C60サンプルをモリブデン製の容器3に封入し、真空容器(ベルジャー)10内の所定位置に設置して、この真空容器10を真空状態とした。
【0182】
次いで、この真空容器10内にガス導入口7からアルゴンガス6を流入し、真空容器10の内圧が0.05Torrとなるようにその流速を設定した。
【0183】
次いで、プラズマパワー80Wで高周波プラズマを点灯させ、この状態で、抵抗加熱によりモリブデン容器3内に配されているC60分子を徐々に気化させ(図中矢印2)、シリコン基板上にフラーレン重合薄膜(アルゴンプラズマ重合薄膜)の成膜を行った。
【0184】
次に、C60分子の気化を停止させた後、アルゴンガスの代わりにフッ素ガスを導入し、内圧0.5Torr、プラズマパワー50Wで、前記フラーレン重合薄膜のフッ素化を試みた。
【0185】
得られたフッ素化フラーレン重合薄膜(フッ素化フラーレン含有膜)の表面や内部におけるフッ素化の効率をTOF−MSで評価したところ、その表面のみからフッ素化フラーレン重合体のスペクトルが観測され、重合薄膜の内部では、フッ素化はほとんど進行していないことがわかった。なお、得られたフッ素化フラーレン重合薄膜(フッ素化フラーレン含有膜)の比誘電率εは4.5であった。
【0186】
実施例8
図5に示した装置を用い、実施例1で用いた高純度C60分子を、アルゴンガスに体積濃度10%で希釈したフッ素ガス中に、温度200℃、20時間保持し、フッ素化フラーレンの粉末を得た。
【0187】
次いで、このフッ素化フラーレンの粉末を400℃での真空昇華によって精製し、フッ素化フラーレンを未反応のフラーレン分子から分離した。
【0188】
得られたフッ素化フラーレンの微結晶は、特にその表面(即ち、フッ素ガスとの接触面)において効率良くフッ素化されており、TOF−MS測定結果によれば、C6036付近にその最大ピークが得られた。なお、得られた化合物の比誘電率εは2.7であった。
【0189】
さらに、このフッ素化フラーレンをオルトジクロロベンゼンに溶解して、所定パターンの配線40が設けられている半導体基板(配線間隔x3 =500nm、配線の高さy3 =500nm、アスペクト比1)上に滴下し、真空中で乾燥させたところ、図9に示すように、このような狭い溝にも十分に充填し、段差被覆性よくフッ素化フラーレン膜を成膜できたことがわかった。
【0190】
実施例9
図5に示した装置を用い、真空容器10内をほぼ真空にして、実施例1で用いたものと同様の高純度C60分子をボート内に配し、その抵抗加熱によって、シリコン基板上にC60蒸着膜を作製した。
【0191】
次いで、この真空容器内にC2 6 ガスを導入し、C2 6 ガスの分圧が0.05Torr、プラズマパワーが50Wの環境下で、15分間、前記C60蒸着膜のフッ素化を行った。
【0192】
得られた薄膜(フッ素化フラーレン含有膜)の比誘電率εは3.0であった。
【0193】
実施例10
フッ素化ガスとしてC2 4 を用いた以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板上にフッ素化フラーレン膜を成膜した。なお、このガスは、炭素−炭素間に二重結合を有するパーフルオロエチレンである。
【0194】
得られた薄膜のTOF−MS測定結果から、C60に対するC2 4 のフラグメント付加体が多量に存在していることが示された。
【0195】
また、得られた薄膜の比誘電率εは3.2であった。従って、フッ素化ガスとして、実施例1で使用したC2 6 ガス(飽和化合物)の方が、フッ素化効率に優れていることが示された。
【0196】
比較例1
2 6 ガスによるフッ素化を行わない以外は実施例1と同様にして、シリコン基板上にC60蒸着膜を成膜した。得られたC60蒸着膜の比誘電率εは3.9であった。
【0197】
比較例2
60分子およびC70分子の混合物のみからなる蒸着薄膜を作製し、比誘電率の測定を行った。なお、前記混合物中、C60分子とC70分子との混合比は特に設定しなかったが、原料のフラーレンスーツから昇華処理を行ったサンプルのうち、C60分子の割合はほぼ91%、C70分子は8%程度であって、C76以上の高次フラーレンの割合は1%以下の痕跡程度であった。得られた混合物の蒸着薄膜の比誘電率εは4.0であった。
【0198】
比較例3
実施例7と同様にして、シリコン基板上にC60のフラーレン重合薄膜を作製した。ただし、成膜条件は、アルゴン分圧0.05Torr、プラズマパワー50Wである。得られたフラーレン重合薄膜の比誘電率εは4.9であった。
【0199】
比較例4
成膜条件を、アルゴン分圧0.05Torr、プラズマパワー100Wとした以外は、比較例3と同様にして、シリコン基板上にC60のフラーレン重合薄膜を作製した。得られたフラーレン重合薄膜の比誘電率εは5.3であった。
【0200】
比較例5
成膜条件を、アルゴン分圧0.1Torr、プラズマパワー100Wとした以外は、比較例3と同様にして、シリコン基板上にC60のフラーレン重合薄膜を作製した。得られたフラーレン重合薄膜の比誘電率εは5.3であった。
【0201】
比較例6
成膜条件を、アルゴン分圧0.01Torr、プラズマパワー100Wとした以外は、比較例3と同様にして、シリコン基板上にC60のフラーレン重合薄膜を作製した。得られたフラーレン重合薄膜の比誘電率εは5.2であった。
【0202】
【発明の作用効果】
本発明の絶縁材料によれば、フラーレン分子又はその重合体がフッ素化されたフッ素化フラーレンを絶縁材料として用いるので、絶縁性に優れ比誘電率の小さな絶縁材料を提供することができる。
【0203】
本発明の絶縁材料の第1製造方法によれば、フッ素原子含有ガスの存在下でCn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子をガス化しながらプラズマを発生させ、前記フッ素原子含有ガスから脱離したフッ素原子を前記フラーレン分子又はその重合体に結合するので、プラズマパワーやフッ素原子含有ガスの分圧などを変化させることにより、フッ素化フラーレンにおけるフッ素化率を容易に調節することもできる。また、前記フラーレン分子を気化しながらそのフッ素化を行っているので、気化したフラーレン分子とフッ素原子とが十分に反応し、十分にフッ素化された、全体的に均質の絶縁材料を得ることができる。
【0204】
本発明の絶縁材料の第2製造方法によれば、フッ素原子含有ガスの存在下で加熱し、前記フッ素原子含有ガスからフッ素原子を脱離させて、Cn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に結合して、フッ素化フラーレン又はフッ素化フラーレン含有膜を作成するので、フッ素原子含有ガスの分圧や加熱温度などを変化させることによって、得られるフッ素化フラーレン又はフッ素化フラーレン含有膜におけるフッ素化率を容易に調節することができる。また、真空昇華等の後処理を施すことで、十分にフッ素化されたフッ素化フラーレンを高純度で得ることができる。
【0205】
本発明の絶縁材料の第3製造方法によれば、フッ素原子含有ガスをプラズマ化し、前記フッ素原子含有ガスから脱離させたフッ素原子をCn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に結合し、フッ素化フラーレン又はフッ素化フラーレン含有膜を作成するので、フッ素原子含有ガスの分圧やプラズマパワーなどを変化させることによって、得られるフッ素化フラーレン又はフッ素化フラーレン含有膜におけるフッ素化率を容易に調節することができる。
【0206】
本発明の半導体装置によれば、Cn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に、フッ素原子が結合してなるフッ素化フラーレンからなる絶縁材料、又はこのフッ素化フラーレンを表面領域に有するフラーレン膜が用いられており、特に前記フッ素化フラーレンからなる絶縁材料は比誘電率が小さいので、例えば、これを配線間絶縁膜として用いた場合、配線間容量が小さく、信号遅延が抑制された、情報処理速度の高速な半導体装置を構成できる。
【0207】
本発明の半導体装置の第1製造方法によれば、フッ素原子含有ガスの存在下でCn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子をガス状で供給しながらプラズマを発生させ、前記フッ素原子含有ガスから脱離したフッ素原子を前記フラーレン分子又はその重合体に結合させて、半導体基体上にフッ素化フラーレンを生成するので、プラズマパワーやフッ素原子含有ガスの分圧などを変化させることにより、フッ素化フラーレンにおけるフッ素化率を容易に調節し、ひいては、比誘電率等を容易に調節することができる。さらに、気化したフラーレン分子とフッ素原子とを反応させており、その反応が十分に進行して全体的に均質な膜を得ることができる。
【0208】
本発明の半導体装置の第2製造方法によれば、フッ素化フラーレン膜又はフッ素化フラーレン含有膜を半導体基体上に形成するに際し、フッ素原子含有ガスの存在下で加熱し、前記フッ素原子含有ガスからフッ素原子を脱離させて、Cn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に結合し、フッ素化フラーレン又はフッ素化フラーレン含有膜を生成しており、フッ素原子含有ガスの分圧や加熱温度などを変化させることによって、得られるフッ素化フラーレンのフッ素化率を容易に調節することができる。また、得られたフッ素化フラーレンを精製し、このフッ素化フラーレンを例えば塗布法等の手段によって半導体基体上にフッ素化フラーレン膜を設けることもできる。
【0209】
本発明の半導体装置の第3製造方法によれば、フッ素化フラーレン膜又はフッ素化フラーレン含有膜を半導体基体上に形成するに際し、フッ素原子含有ガスをプラズマ化し、前記フッ素原子含有ガスから脱離させたフッ素原子をCn (但し、nは前記したものと同様である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に結合してフッ素化フラーレン又はフッ素化フラーレン含有膜を生成しており、フッ素原子含有ガスの分圧やプラズマパワーなどを変化させることによって、得られるフッ素化フラーレンのフッ素化率、ひいては比誘電率等を容易に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置及び絶縁材料の製造方法に使用できる薄膜形成装置である。
【図2】本発明に基づくフッ素化フラーレンの分子構造の一例を示すモデル図(A)及び(B)である。
【図3】実施例1に基づくフッ素化フラーレンからなる絶縁膜のC−Vカーブを示すグラフである。
【図4】同、質量スペクトルを示すグラフである。
【図5】本発明の絶縁材料及び半導体装置の製造方法に使用できるフラーレン分子又はその重合体のフッ素化装置である。
【図6】本発明に基づくフッ素化フラーレンを半導体絶縁材料として用いた場合の一例を示す要部概略図断面図である。
【図7】同、フッ素化フラーレンを半導体基板上に成膜した場合のサンプル構造を示す要部概略断面図である。
【図8】同、フッ素化フラーレンを半導体基板上に成膜した場合の他のサンプル構造を示す要部概略図断面図である。
【図9】同、フッ素化フラーレンを半導体基板上に塗布法によって成膜した場合のサンプル構造を示す要部概略図断面図である。
【図10】一般的な半導体装置の要部概略断面図である。
【図11】アーク放電法に基づくフラーレンの製造装置である。
【図12】C60分子の分子構造(A)及びC70分子の分子構造(B)を示すモデル図である。
【図13】〔2+2〕環状付加C602量体の分子構造(A)及びC116 分子の分子構造(B)を示すモデル図である。
【符号の説明】
1、55…基板、2、16…フッ素原子、3、17…容器、
4、5、21、22、59…電極、6、60…導入ガス、
7、61…ガス導入口、8、62…排出ガス、9、63…ガス排出口、
10、58…真空容器、11、19…高周波電源、
12…抵抗加熱用電源、15…フラーレン、18…恒温室、
23、24…開閉弁、31、42、42’…フッ素化フラーレン、
32、46、52…シリコン基板、33、53…SiO2
34、40、54…金属配線、35、43、44、45、50…半導体装置、
41…アモルファスシリコン、51…絶縁材料、
56、57…グラファイト電極

Claims (50)

  1. n (但し、nは幾何学的に球状化合物を形成し得る整数である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に、フッ素原子が結合してなるフッ素化フラーレンからなる絶縁材料。
  2. 前記フラーレン分子又はその重合体に複数の前記フッ素原子が付加結合している、請求項1に記載した絶縁材料。
  3. 前記フラーレン分子がC60分子及び/又はC70分子である、請求項1に記載した絶縁材料。
  4. フッ素原子含有ガスの存在下でCn (但し、nは幾何学的に球状化合物を形成し得る整数である。)で表されるフラーレン分子をガス状で供給しながらプラズマを発生させ、前記フッ素原子含有ガスから脱離したフッ素原子を前記フラーレン分子又はその重合体に結合する、絶縁材料の製造方法。
  5. 前記プラズマを高周波の印加による高周波プラズマとする、請求項4に記載した絶縁材料の製造方法。
  6. 前記フッ素原子含有ガスとして、Cx y z (但し、x、y及びzは、フッ素原子を含有する化合物を形成し得る整数であって、yは0でもよい。)で表される化合物を使用する、請求項4に記載した絶縁材料の製造方法。
  7. 前記フッ素原子含有ガスとして含フッ素脂肪族飽和炭化水素を使用する、請求項6に記載した絶縁材料の製造方法。
  8. 前記高周波プラズマの放電パワーを50〜100Wとする、請求項5に記載した絶縁材料の製造方法。
  9. 前記高周波プラズマを圧力0.5Torr以下で発生させる、請求項5に記載した絶縁材料の製造方法。
  10. 前記フラーレン分子としてC60分子及び/又はC70分子を使用する、請求項4に記載した絶縁材料の製造方法。
  11. フッ素原子含有ガスの存在下で加熱し、前記フッ素原子含有ガスからフッ素原子を脱離させて、Cn (但し、nは幾何学的に球状化合物を形成し得る整数である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に結合する、絶縁材料又はフッ素化フラーレン含有膜の製造方法。
  12. 前記加熱の温度を150〜400℃とする、請求項11に記載した絶縁材料又はフッ素化フラーレン含有膜の製造方法。
  13. 前記フッ素原子含有ガスをフッ素ガス又はフッ素含有不活性ガスとして供給する、請求項11に記載した又はフッ素化フラーレン含有膜の製造方法。
  14. 前記フッ素原子含有ガスによりフッ素化されたフッ素化フラーレン分子を真空昇華によって精製する、請求項11に記載した絶縁材料又はフッ素化フラーレン含有膜の製造方法。
  15. 前記フラーレン分子としてC60分子及び/又はC70分子を使用する、請求項11に記載した絶縁材料又はフッ素化フラーレン含有膜の製造方法。
  16. フッ素原子含有ガスをプラズマ化し、前記フッ素原子含有ガスから脱離させたフッ素原子をCn (但し、nは幾何学的に球状化合物を形成し得る整数である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に結合する、絶縁材料又はフッ素化フラーレン含有膜の製造方法。
  17. 前記プラズマを高周波の印加による高周波プラズマとする、請求項16に記載した絶縁材料又はフッ素化フラーレン含有膜の製造方法。
  18. 前記フッ素原子含有ガスとして、Cx y z (但し、x、y及びzは、フッ素原子を含有する化合物を形成し得る整数であって、yは0でもよい。)で表される化合物を使用する、請求項16に記載した絶縁材料又はフッ素化フラーレン含有膜の製造方法。
  19. 前記フッ素原子含有ガスとして含フッ素脂肪族飽和炭化水素を使用する、請求項18に記載した絶縁材料又はフッ素化フラーレン含有膜の製造方法。
  20. 前記フラーレン分子としてC60分子及び/又はC70分子を使用する、請求項16に記載した絶縁材料又はフッ素化フラーレン含有膜の製造方法。
  21. n (但し、nは幾何学的に球状化合物を形成し得る整数である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に、フッ素原子が結合してなるフッ素化フラーレンからなる絶縁材料、又はこのフッ素化フラーレンを表面領域に有するフラーレン膜が用いられている、半導体装置。
  22. 前記絶縁材料が配線間の絶縁膜として用いられる、請求項21に記載した半導体装置。
  23. 前記絶縁材料が層間絶縁膜として用いられる、請求項22に記載した半導体装置。
  24. 前記フラーレン分子に複数の前記フッ素原子が付加結合している、請求項21に記載した半導体装置。
  25. フッ素原子含有ガスの存在下でCn (但し、nは幾何学的に球状化合物を形成し得る整数である。)で表されるフラーレン分子をガス状で供給しながらプラズマを発生させ、前記フッ素原子含有ガスから脱離したフッ素原子を前記フラーレン分子又はその重合体に結合させて半導体基体上にフッ素化フラーレンを生成する、半導体装置の製造方法。
  26. 前記半導体基体として、シリコン基板上に所定形状の配線が設けられた基体を用いる、請求項25に記載した半導体装置の製造方法。
  27. 前記フラーレン分子を気化する前に、前記基体を高周波プラズマで処理する、請求項25に記載した半導体装置の製造方法。
  28. 前記フッ素化フラーレンを配線間の絶縁膜として堆積する、請求項26に記載した半導体装置の製造方法。
  29. 前記絶縁材料を層間絶縁膜として堆積する、請求項28に記載した半導体装置の製造方法。
  30. 前記プラズマを高周波の印加による高周波プラズマとする、請求項25に記載した半導体装置の製造方法。
  31. 前記フッ素原子含有ガスとして、Cx y z (但し、x、y及びzは、フッ素原子を含有する化合物を形成し得る整数であって、yは0でもよい。)で表される化合物を使用する、請求項25に記載した半導体装置の製造方法。
  32. 前記フッ素原子含有ガスとして含フッ素脂肪族飽和炭化水素を使用する、請求項31に記載した半導体装置の製造方法。
  33. 前記高周波プラズマの放電パワーを50〜100Wとする、請求項30に記載した半導体装置の製造方法。
  34. 前記高周波プラズマを圧力0.5Torr以下で発生させる、請求項30に記載した半導体装置の製造方法。
  35. フッ素化フラーレン膜又はフッ素化フラーレン含有膜を半導体基体上に形成するに際し、フッ素原子含有ガスの存在下で加熱し、前記フッ素原子含有ガスからフッ素原子を脱離させて、Cn (但し、nは幾何学的に球状化合物を形成し得る整数である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に結合し、フッ素化フラーレン又は前記フッ素化フラーレン含有膜を生成する、半導体装置の製造方法。
  36. 前記半導体基体として、シリコン基板上に所定形状の配線が設けられた基体を用いる、請求項35に記載した半導体装置の製造方法。
  37. 前記加熱の温度を150〜400℃とする、請求項35に記載した半導体装置の製造方法。
  38. 前記フッ素原子含有ガスをフッ素ガス又はフッ素含有不活性ガスとして供給する、請求項35に記載した半導体装置の製造方法。
  39. 前記フッ素原子含有ガスによりフッ素化されたフッ素化フラーレンを真空昇華によって精製する、請求項35に記載した半導体装置の製造方法。
  40. 前記精製されたフッ素化フラーレンを溶媒に溶解し、この溶液を塗布法によって半導体基体上に塗布し、フッ素化フラーレン膜を形成する、請求項39に記載した半導体装置の製造方法。
  41. 前記溶媒としてπ電子系の有機溶媒を用いる、請求項40に記載した半導体装置の製造方法。
  42. 前記フッ素化フラーレン膜を配線間の絶縁膜として形成する、請求項35に記載した半導体装置の製造方法。
  43. 前記フッ素化フラーレン膜を層間絶縁膜として形成する、請求項42に記載した半導体装置の製造方法。
  44. フッ素化フラーレン膜又はフッ素化フラーレン含有膜を半導体基体上に形成するに際し、フッ素原子含有ガスをプラズマ化し、前記フッ素原子含有ガスから脱離させたフッ素原子をCn (但し、nは幾何学的に球状化合物を形成し得る整数である。)で表されるフラーレン分子又はその重合体に結合してフッ素化フラーレン又は前記フッ素化フラーレン含有膜を生成する、半導体装置の製造方法。
  45. 前記半導体基体として、シリコン基板上に所定形状の配線が設けられた基体を用いる、請求項44に記載した半導体装置の製造方法。
  46. 前記プラズマを高周波の印加による高周波プラズマとする、請求項44に記載した半導体装置の製造方法。
  47. 前記フッ素原子含有ガスとして、Cx y z (但し、x、y及びzは、フッ素原子を含有する化合物を形成し得る整数であって、yは0でもよい。)で表される化合物を使用する、請求項44に記載した半導体装置の製造方法。
  48. 前記フッ素原子含有ガスとして含フッ素脂肪族飽和炭化水素を使用する、請求項47に記載した半導体装置の製造方法。
  49. 前記フッ素化フラーレン膜を配線間の絶縁膜として形成する、請求項44に記載した半導体装置の製造方法。
  50. 前記フッ素化フラーレン膜を層間絶縁膜として形成する、請求項49に記載した半導体装置の製造方法。
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