JP3661809B2 - エプロン付き浴槽 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽の側面を覆うエプロンを備えたエプロン付き浴槽に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
据置式浴槽においては浴室の洗い場床の高さがそれぞれ異なるため、浴槽の側面を覆ったエプロン下部と洗い場床面との間にかなり大きな隙間を生じることが度々あって体裁上好ましくないばかりか、石鹸などの小物が落ちたり、入浴時に足が入ったりして危険となるなどの問題が往々にしてあり、また、隙間寸法も一定ぜずエプロン長さを合せるのに大きな課題があったため、従来、その対策として、図4(a)及び図4(a)中のA−A断面図である図4(b)に示すように、浴槽11におけるエプロン12の下部に外側からカバー13を固定する構造で、エプロン12の裏側に位置して上下可動な固定片15によりカバー13の取付高さ位置を調整することによって、エプロン12下部と洗い場床との間の隙間をなくすようにした構造(例えば、実公昭57−1832号公報参照)のものや、上下に分割して形成したエプロンを、設置場所でのエプロン高さに合わせて上下のエプロンを結合して一体化するようにした構造(実開平4−69081号公報参照)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術で述べたもののうち前者の図4に示したエプロン12の下部に外側からカバー13を固定する構造にあっては、隙間を覆うためのカバー13がエプロン12の外側(表面側)から取付けられるため、カバー13全体が表面側に現われるとともに、カバー13を取付けるための螺子16も露出するので、いかにも便宜的な部品の付加という外観を呈して商品イメージが欠ける上、固定片15の可動寸法は、エプロン12の下部に設けた切欠き寸法内に限られるため、カバー13自体の取付位置の調節代が少なく、加えて、構造が複雑で製作に手間がかかるという問題点を有していた。
また、後者の設置場所でのエプロン高さに合わせて上下のエプロンを結合一体化するようにした構造のものにおいては、上方側のエプロンの下部裏面部分に下方側のエプロンを螺子等の止め具あるいは接着により結合するものであり、上下のエプロンを一体化するための止め具等が表面側に露出して外観を損なうなどの不都合はないものの、止め具により一体化する場合には上方側のエプロン下部裏面部分を下方側のエプロンを固定するために厚肉に形成する必要があるため、上方側のエプロン自体がプラスチックの場合には表面側のひけの問題があり、また、接着による結合では設置現場での接着作業が面倒となる問題点を有していた。
【0004】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたもので、エプロン下部と洗い場床面との隙間を、外観を損なうことなく簡単な構造で且つ調整代を多くして覆うことができるとともに、設置現場での取付け作業が容易なエプロン付き浴槽を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明におけるエプロン付き浴槽は、上部が浴槽上部の屈曲部に嵌着され、下部が前記浴槽下部に取付けた支持具に係止された係止具を介して支持されるエプロンと、該エプロンの下方に装着され、該エプロンの下端と洗い場床面との隙間寸法に合わせてその取付け位置が上下動される小エプロンとを備えてなるエプロン付き浴槽であって、前記エプロンの裏面下部に螺子受け具を固定し、該螺子受け具と前記係止具との間に前記小エプロンを介在させて前記係止具を前記螺子受け具に螺子止め固定して前記小エプロンを前記エプロンの裏側から取付けてなるものである。
【0006】
そして、エプロンの裏面側に螺子受け具が容易、且つ正確な取付け寸法に螺子固定できるように、エプロンの裏面下部にリブを突出して形成し、このリブに螺子受け具を螺着固定するようにするのが好ましい。
【0007】
また、浴槽を設置する現地で小エプロンを螺着するための孔開け時において、隙間に応じて孔開け位置を決める際の目安となるように、小エプロンの裏面側には、孔開け位置を示す罫書きや凹凸等の標を表示するのがより好ましい。
【0008】
さらには、浴槽を設置する現地で小エプロンの最も適した位置の孔に螺着できるように、予め小エプロンの縦方向且つ等間隔に複数個の螺着用孔を設けたり、小エプロンの螺着位置の調整が無段階でできて施工が容易となるように、小エプロン螺着用に縦方向の長孔を設けるようにすることもできる。
【0009】
そして、本発明におけるエプロン付き浴槽においては、小エプロンがエプロンの裏側から取付けられているため、小エプロンの上端はエプロンの裏に隠れるとともに小エプロンを螺着した螺子も裏側に位置されるので外側からは見えず、小エプロンは段差のある一体的なエプロンのような印象を与えて外観を損ねることがない。
また、小エプロンを、エプロンの裏面に固定した螺子受け具と浴槽下部に取付けた支持具に係止された係止具との間に介在させて、この係止具を螺子受け具に螺子止め固定することにより取付けており、結果的に小エプロンと係止具を同一の螺子で共締めするので、エプロン下部と洗い場床面との隙間寸法に合わせてその取付け位置を上下動して調整した後固定することになる小エプロンの固定位置とは関係なしに、係止具は一定高さに固定できるとともに支持具の寸法と取付け位置も常に一定で変える必要がない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るエプロン付き浴槽の実施形態について、図1乃至図3に基づいて詳細に説明する。
図1(a)は本発明によるエプロン付き浴槽の一実施例を示す一部切欠き斜視図、図1(b)は図1(a)のエプロン付き浴槽を洗い場床面高さが高い浴室に設置した場合の例を示す要部断面図、図1(c)は図1(a)のエプロン付き浴槽を洗い場床面高さが低い浴室に設置した場合の例を示す要部断面図、図2は本発明のエプロン付き浴槽におけるエプロン裏面側の構造を示す一部切欠き斜視図である。
【0011】
図1において、浴槽1の側面を覆うSMC(シートモールディングコンパウンド)成形品からなるエプロン2は、上部が浴槽1における上部の屈曲部1aの裏面側に脱着自在に嵌着され、下部については後述するが浴槽1の下部に取付けた支持具6に係止された係止具5を介して支持されるようになっている。
そして、このエプロン2の下方に、図1(b)及び(c)に示すエプロン2下端と浴室における洗い場床面7との間に生じる隙間寸法L部分を覆うための真空成形品からなる小エプロン3が、前記エプロン2の裏側から隙間寸法Lに合わせた位置に螺着固定して装着されることになるが、この小エプロン3を固定するために、螺子孔を設けた金属板などからなる図2に示す平面略コの字形状の螺子受け具4を、予めエプロン2の裏面下部に螺着固定する。螺子受け具4自体のエプロン2裏面側への固定に際しては図2に示すようにエプロン2の裏面側に、一個の螺子受け具4につき2本のリブ2aが裏側に向けて突出形成されており、この2本のリブ2aの外側にコの字形状の螺子受け具4を嵌合しリブ2aの側面から螺着して取付け固定する。
次ぎに図1に示すように、前記エプロン2の下部を支持するために浴槽1下部に取付けた支持具6に係止された係止具5と前記エプロン2の裏面側に螺着固定した螺子受け具4との間に前記小エプロン3を位置させ、隙間寸法Lに応じて小エプロン3の取付け位置を上下動して高さ調整し小エプロン3の固定位置を決めた後、螺子受け具4の螺子孔に係止具5側から、係止具5と小エプロン3とを同一の螺子で共締め螺着することにより、前記エプロン2の下部の支持と小エプロン3の取付け固定が同時に完了する。
【0012】
なお、図1(a)及び(b)に示すエプロン2の上部を浴槽1の屈曲部1aに嵌着した状態での係止具5側からの螺子止め作業が困難な場合には、前記のように小エプロン3の固定位置を決め、エプロン2に対する小エプロンの固定位置を小エプロン3部分に印を入れた後、エプロン2における上部の浴槽1との嵌合を外してエプロン2、小エプロン3、及び支持具6から外した係止具5とを一旦浴槽1の外に取り出して、エプロン2に固定された螺子受け具4の螺子孔に係止具5と小エプロン3とを同一の螺子で共締め螺着して小エプロン3を所定の位置に固定した後、エプロン2の上部を浴槽1の屈曲部1a裏面側に差し込んで嵌着し、係止具5部分を浴槽1下部に取付けられた支持具6に係止することにより取付ける。
なお、エプロン2は係止具5を介して浴槽1の下部に取付けられた支持具6に支持させるため、図1(a)及び(b)中に示す小エプロン3の下端と洗い場床面7との間の隙間寸法bとして5mm程度をとっておくようにすれば、エプロン全体の着脱操作が行い易くなる。
【0013】
そして、螺子受け具4の螺子孔に係止具5と小エプロン3とを同一の螺子で共締め螺着する構造であり、図1(b)及び(c)中に示す(a+b)の洗い場床面7から小エプロン3の取付け固定高さ寸法に関係なく、浴槽設置床8から係止具5の螺着位置までの寸法(a+b+c)は一定であるため、支持具6と係止具5の寸法及び位置関係は変える必要がない。
【0014】
次ぎに、小エプロン3には係止具5側から螺子を通してエプロン2に固定された螺子受け具4の螺子孔に螺着するための螺子貫通孔を設ける必要があり、この小エプロン3への螺子貫通孔の孔開け作業を浴槽を設置する現地で行う場合は、図3(a)に示すように、予め小エプロン3の裏面側に、孔開け位置を示す罫書き線や小エプロン3の成形と同時に形成した凹凸等による標3aを表示するようにすると現地での孔開け作業に便利であり、この場合さらに、図1(a)及び(b)中に示す浴槽設置床8から洗い場床面7までの高さ寸法cと小エプロン3の孔開け位置寸法aとの換算表を作成しておけば、作業者は現地で前記cの寸法を計るだけで小エプロンの孔開け位置を決めることができるようになる。
【0015】
また、上記設置現地での孔開け作業に代えて図3(b)に示すように、予め工場内で小エプロン3に複数個の螺着用孔3bを縦方向に等間隔に加工を施すようにすれば現地での孔開けは不要となり、この場合、小エプロン3の取付け高さの調整は無段階調整とならないが、螺着用孔3bのピッチを10mm程度とすれば図1(b)及び(c)中に示す小エプロン3の下端と洗い場床面7との間の隙間寸法bは使用上大きな問題とはならない。なお、この場合に不要となった小エプロン3における螺着用孔3bには、図3(c)に示すように突起部9aを備えたキャップ9を作成してその突起部9aを嵌着し、キャップ9の不要な部分をカットできるようにするとよく、キャップ9自体はエプロン2下部の段差の蔭に位置するため目立たず、外観を損なうこともない。
【0016】
さらには、図3(d)に示すように、小エプロン3に縦方向の長孔3cを設けるようにすれば、小エプロン3の取付け高さを無段階調整できるようになる。
【0017】
【発明の効果】
本発明によるエプロン付き浴槽は、エプロン裏面下部に固定した螺子受け具と浴槽下部に取付けた支持具に係止された係止具との間に小エプロンを介在させ、係止具を螺子受け具に螺子止め固定することにより小エプロンをエプロンの裏側から取付けているため、小エプロンの上端部分はエプロンの裏側に隠れるとともに小エプロンを固定するための螺子も裏側に位置されるので表面側にこれらが露出せず、小エプロンは段差のある一体的な印象を与えて外観イメージを損なうことがないとともに、係止具と小エプロンとを同一の螺子で共締めできることにより、隙間寸法に合わせ上下移動調整される小エプロンの固定位置に関係なく係止具は一定高さに固定でき、さらに、この係止具を係止する支持具の寸法と取付け位置も常に一定で変える必要がなく、さらには、小エプロンの固定はエプロン裏面側に固定した螺子受け具部分への機械的な螺子止め作業であるから、エプロン表面側のひけや面倒な接着作業となっていた従来技術における問題点が解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示し、(a)はエプロン付き浴槽の一部切欠き斜視図、(b)は(a)の要部断面図(洗い場高さが高い場合の例)、(c)は(a)の要部断面図(洗い場高さが低い場合の例)である。
【図2】本発明のエプロン付き浴槽におけるエプロン裏面側の構造を示す一部切欠き斜視図である。
【図3】(a)、(b)及び(d)はそれぞれ本発明のエプロン付き浴槽における小エプロンの実施例を示す裏面図、(c)は(b)の小エプロンに使用するキャップの実施例を示す斜視図である。
【図4】従来例によるエプロン付き浴槽を示し、(a)は一部切欠き斜視図、(b)は(a)中におけるA−A部分断面図である。
【符号の説明】
1…浴槽 1a…屈曲部
2…エプロン 2a…リブ
3…小エプロン 3a…標
3b…螺着用孔 3c…長孔
4…螺子受け具 5…係止具
6…支持具 7…洗い場床面
8…浴槽設置床 9…キャップ
9a…突起部 10…螺子
11…浴槽 12…エプロン
13…カバー 14…サポート具
15…固定片 16…螺子
Claims (5)
- 上部が浴槽上部の屈曲部に嵌着され、下部が前記浴槽下部に取付けた支持具に係止された係止具を介して支持されるエプロンと、該エプロンの下方に装着され、該エプロンの下端と洗い場床面との隙間寸法に合わせてその取付け位置が上下動される小エプロンとを備えてなるエプロン付き浴槽であって、前記エプロンの裏面下部に螺子受け具を固定し、該螺子受け具と前記係止具との間に前記小エプロンを介在させて前記係止具を前記螺子受け具に螺子止め固定して前記小エプロンを前記エプロンの裏側から取付けてなることを特徴とするエプロン付き浴槽。
- エプロンの裏面下部に突出してリブを形成し、該リブに螺子受け具を螺着固定してなる請求項1記載のエプロン付き浴槽。
- 小エプロンの裏面側に、該小エプロンの螺着用孔開け位置を示す標を表示してなる請求項1又は2記載のエプロン付き浴槽。
- 小エプロンに、該小エプロンの螺着用孔を縦方向且つ等間隔に複数個設けてなる請求項1又は2記載のエプロン付き浴槽。
- 小エプロンに、該小エプロン螺着用の縦方向の長孔を設けてなる請求項1又は2記載のエプロン付き浴槽。
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