JP3661740B2 - 現像装置および現像剤カートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は現像装置および現像剤カートリッジに関し、特に記録用紙上にトナー画像を形成するプリンタ装置、複写機、またはファクシミリ装置等において、現像器内の過剰な現像剤を回収する機能を備えた現像装置および現像剤カートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のプリンタ、ファクシミリ装置、複写機等においては、トナー供給カートリッジ内のトナー残量を透磁率センサ等のセンサで検知し、該トナー供給カートリッジの交換時期を制御パネル上に表示することにより使用者に通知する方式が実施されている。
【0003】
また、トナーの使用量をカウントし、トナー供給カートリッジ内のトナー残量を算出するトナーライフカウンタを持ち、このカウント値からトナー供給カートリッジの交換時期を制御パネル上に表示する方式が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
現在本発明者等が検討している画像形成装置の現像剤カートリッジは、現像剤として平均粒径が6〜11μmの非磁性トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を用いたものである。二成分現像剤は、通常、画像形成が繰り返し行われると、帯電性が低下し、いずれ交換が必要となる。
【0005】
この二成分現像剤を用いる現像剤カートリッジの交換時期を調べるために、前記透磁率センサを用いる方式を採用すると、現像剤カートリッジ内の非磁性トナーと磁性キャリアの混合分布が均一でないために、精度の良いデータが得られないという問題があった。
【0006】
また、前記のトナーライフカウンタを使用した方式では、新品の現像剤カートリッジが装着されたという信号により前記トナーライフカウンタはクリアされるが、例えば一度画像形成装置から取出したカートリッジをそのまま再装着すると、該トナーライフカウンタはリセットされる。そこで、この状態でプリントを継続すると、カートリッジの交換時期が制御パネル上に表示される前に、現像器のトナーが許容量以上に消費され、画像濃度が低くなってしまうという問題がある。この問題を解決するために、実開平1−181047号公報には、カートリッジをカートリッジ収納容器にセットし回転させると、カートリッジに取付けた検知部材(例えば、リム)がセット検知スイッチと係合して折れ、その後は二度とセット検知スイッチと係合できないようにすることを提案している。
【0007】
しかしながら、この公報に記された方式では、前記リムを折るための回転力を得るためにかなり大きな力がいるという問題があった。また該公報に記された方式を、回転装置に複数個の現像器を装着し該回転装置を回転させて潜像担持体上に形成された潜像を多色現像する現像装置に適用すると、電気配線の接続部が複雑になり、信頼性の低下を招くと共に、装置が大型化するという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、前記した従来技術の問題点を除去し、単独の現像器に現像剤を補給するために使用される現像剤カートリッジの場合は勿論、回転装置に装着された複数個の現像器に現像剤を補給するために使用される現像剤カートリッジにおいても、信頼性が高く、かつ装置の大型化を招くことなくその新旧を判別できる現像剤カートリッジおよび現像装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、現像剤を収容する筒状の現像剤収容部と、該現像剤収容部の一端に装着された現像剤回収ボックスとを備えた現像剤カートリッジにおいて、現像器を複数個保持して回転する回転式現像装置の該現像器に着脱可能であって、該現像剤回収ボックスの一部に検知光を通す透明窓を設け、該現像剤回収ボックスの内面であって該透明窓と対向する位置に検知光反射部材を設け、前記検知光反射部材の内面を、その周囲面より突出させた点に第1の特徴がある。また、前記透明窓の内表面の少くとも前記検知光の通過領域に、粘性を持たせた点に第2の特徴がある。
【0011】
前記第1、第2の特徴によれば、新品であるか否かの誤判定を低減または防止した現像剤カートリッジを提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。まず、本発明が適用される装置の一例であるフルカラープリンタ装置の概略の構成を、図1を参照して説明する。
【0013】
図示されているように、感光体1の周囲には、帯電ロール3、露光装置4、現像アセンブリ5、濃度センサ6、転写ロール7、クリーナ装置8が配置されている。前記現像アセンブリ5は、フルカラー現像のための4台の現像装置5Y,5M,5Cおよび5Kからなり、各現像装置は、それぞれ、感光体1上の潜像をイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)および黒(K)のトナーで現像する。各色のトナーを現像する際には、図示しないモータによって現像アセンブリ5を矢印R方向に回転させ、当該色の現像装置が感光体1に当接するように位置合わせされる。感光体1上に現像された各色のトナー像は、転写ロール7によって中間転写体としてのベルト9に順次転写され、4色のトナー像が重ね合わされる。ベルト9はロール10、11、12、および13に張架されている。これらのうち、ロール10は図示しない駆動源に結合されてベルト9を駆動する駆動ロールとして機能し、ロール12は第2転写ロール14のバックロールとして機能する。ベルト9を挟んでロール13と対向する位置には、ベルトクリーナ15が設けられていて、ベルト9上の残留トナーがブレードで掻き落とされる。
【0014】
記録紙カセット16、17から引き出しロール18、19で搬送路に引き出された記録紙は、ロール対20、21、22によってニップ部、つまり第2転写ロール14とベルト9との当接部に給送される。ベルト9上に形成されたトナー像は、このニップ部で記録紙上に転写され、定着装置23で熱定着されてトレイ24またはトレイ25に排出される。
【0015】
感光体1またはベルト9からクリーナ8および15で掻き落とされた廃トナーは廃トナー回収箱26に回収される。特に、ベルトクリーナ15から回収された廃トナーは管27内をオーガ、搬送スクリュー等の搬送手段で廃トナー回収箱26まで搬送される。
【0016】
図2は、前記現像アセンブリ5、すなわち回転式現像装置の一具体例を示す断面図である。回転体30のアーム31には、図示されていない装着具により、現像装置5Y,5M,5Cおよび5Kが実装されている。現像装置5Y,5M,5Cおよび5Kは同構成であるので、現像装置5Yを代表に上げて説明すると、該現像装置5Yは現像器40と現像剤カートリッジ50から構成されている。
【0017】
現像器40内には、紙面に垂直な方向に長状のマグネットロール41と、該マグネットロール41と平行に延びる2本のスパイラルオーガ42、43が配置されている。ここで、マグネットロール41が回転すると、スパイラルオーガ42は該現像器40内に収容されている現像剤44を紙面と垂直な一方向に攪拌しながら搬送し、また、スパイラルオーガ43はスパイラルオーガ42の搬送方向とは逆方向に現像剤44を攪拌しながら搬送して、現像剤44をマグネットロール41に均等に供給する。
【0018】
マグネットロール41は現像剤44に含まれるキャリアを磁力によって吸着して磁気ブラシを形成し、キャリアに吸着したトナーを感光体1に供給する。これにより、感光体1上に形成された静電潜像は顕像化される。
【0019】
現像剤カートリッジ50は紙面に垂直な方向に長状の円筒体容器からなり、新しい現像剤の収容室と劣化した現像剤の回収室とに区分されている。新現像剤収容室には図示されていない供給口が設けられており、該供給口を介して新現像剤を現像器40に導くためのほぼ円筒状のケーシング51と通じている。該ケーシング51内には、スパイラルオーガ52が設置されており、補給される現像剤は該スパイラルオーガ52により供給口53に導かれ、現像器40内に導入される。供給口53の出口には、フラップ54が設けられており、現像装置が位置Dにある時には開いている。
【0020】
現像剤カートリッジ50の劣化現像剤回収室55には周回する回収通路56が設けられており、該回収通路56にはく字状に捻って折り曲げられた排出管57が接続されている。該排出管57の先端の回収口58は現像器40内に位置している。この回収口58は前記供給口53より上流側に向いており、スパイラルオーガ42、43によって攪拌・搬送されて現像器40内を一周した現像剤が該供給口53によって回収されるようになっている。
【0021】
前記した現像装置5Yと同構成の現像装置5K、5C、5Mを有する回転式現像装置は、現像器がD位置にある時にフラップ54は供給口53を解放しており、必要に応じて新現像剤が現像器40内に補給される。現像装置による感光体1上の潜像の現像が終わり、回転体が回転して現像装置がD位置からE位置に来ると、図示されているようにフラップ54は半開きになると共に、回収口58が上を向いて排出管57を搬送される現像剤が逆流せずに、回収通路56の方に流れる。この劣化現像剤は、現像装置がF位置からG位置に至までに回収通路56を通って劣化現像剤回収室へ落とし込まれる。このように、周回する回収通路56を設けることによって、回収される現像剤は現像器40へ逆流することはなくなる。 一方、現像装置がG位置からD位置に至る途中で、現像剤カートリッジ50内に設けられた図示されていないアジテータの作用により新現像剤はケーシング51へと送られ、該ケーシング51内のスパイラルオーガ52により供給口53へと導かれる。この時、フラップ54は再び解放するので、新現像剤は現像器40内に補給される。
【0022】
前記した構成の回転式現像装置には、本発明により、その回転動作範囲外の所定の位置に、該現像剤カートリッジ50が新品であるか否かを検知するための例えば反射型フォトセンサ等からなる新品検知手段60が配置されている。
【0023】
該新品検知手段60は通常の現像時には現像剤カートリッジ50と対向しないが、検知モードに入ると回転体30のアーム31が所定角度回転し、4個の現像剤カートリッジ50のうちの一つが該新品検知手段60と対向する基準位置(ホームポジション)に停止するように構成されている。具体的には、まずY色の現像剤カートリッジが該新品検知手段60と対向して停止させられ、この現像剤カートリッジの検査が終ると回転体30が90度時計方向に回転させられ、次のM色の現像剤カートリッジが検知位置に停止させられて検査が行われる。同様に、C、K色の現像剤カートリッジは、回転体30が90度づつ時計方向に回転させられ検査される。
【0024】
この実施形態では、非接触により現像剤カートリッジを検査できるようにしたので、構造を簡略化することができ、かつ回転式現像装置と本体との電気接点を削除できる。また、複数の現像剤カートリッジを一つの新品検知手段60で行えるようにしたので、該新品検知手段60のハーネス引回しが簡略化でき、また、装置の部品の削減、装置の小形化を達成できる。
【0025】
なお、現像剤カートリッジ50内で長時間の不使用等のために現像剤が固まりかけていたような場合には、この90度毎の停止動作の衝撃により現像剤が攪拌され、現像剤カートリッジ50内の現像剤攪拌部材が大きなトルクを受けて破損するのを防止することができるようになる。
【0026】
次に、該現像剤カートリッジ50の概略の構成について、図3の斜視図と図4の分解斜視図を参照して説明する。現像剤カートリッジ50は、新しい現像剤を収容する収容ケース61と、その一端を封鎖する脱着可能なキャップ62と、収容ケース61から該新しい現像剤を現像装置に供給するための通路の入り口である供給口63と、現像装置から回収された劣化現像剤を取込む取込口72と、該取込口72を通って回収された劣化現像剤を収容する回収ケース71と、該回収ケース71に嵌め込まれる回収ボックス75を有している。回収ボックス75には、図4に示されているように、張出片76が形成されており、該張出片76に穿設された開口77は回収ケース71に回収ボックス75が嵌め込まれた時、取込口72と連通するようになっている。該回収ボックス75には、ハンドル78を有するキャップ79が圧入によりはめ込まれるようになっている。
【0027】
前記供給口63と取込口72の周辺には、周方向に沿って凹状部が形成されており、該凹状部がガイド溝を形成している。このガイド溝には現像剤カートリッジ50の外面に沿って円弧状に湾曲したシャッタ73が周方向へスライド可能に取り付けられている。また、回収ボックス75と回収ケース71の一部を取り囲むように、筒状のスライドカバー81がスライド可能に装着されている。このスライドカバー81はスプリング82でシャッタ73を覆う方向へ付勢されている。
【0028】
このため、現像剤カートリッジ50が回転体30の現像剤カートリッジ装着部に装着されていない時には、シャッタ73は供給口63と取込口72を図示されていない手段からの弾性力により塞ぎ、さらにその上を、スライドカバー81が覆うようになる。
【0029】
一方、該現像剤カートリッジ50が回転体30の現像剤カートリッジ装着部に挿入されると、前記シャッタ73の幅方向に設けられている長溝74が該現像剤カートリッジ装着部に形成された突起と係合し、前記ハンドル78を指で摘んで回すと、現像剤カートリッジ50が回動してシャッタ73が移動し、供給口63と取込口72が開くようにされている。また、スライドカバー81の傾斜した開放端が装置側の図示しないストッパに当り、シャッタ73を露出させる。図3は、現像剤カートリッジ50が現像剤カートリッジ装着部に装着された状態を示している。また、図4のシャッタ73は供給口63と取込口72を覆った状態を示している。
【0030】
次に、現像剤カートリッジ50が新品であるか否かを判定するための、現像剤カートリッジに関する第1の形態について、図3、図4、図5、および図6を参照して説明する。図5は図3をA−A´線で切った断面図、図6はB−B´線で切った断面図である。本形態では、回収ボックス75の容器壁の一部であってキャップ79の底部に近い位置に透明部材で形成された透明窓91が設けられている。また、該回収ボックス75の内壁であって、前記透明窓91と対向する位置に光を反射する反射部材92が設けられている。また、スライドカバー81の一部に開口93が形成されており、前記検知モードに入ると、新品検知手段60、開口93、透明窓91および反射部材92が一直線上に整列するようになっている。
【0031】
新品検知手段60は前記したように例えば反射型フォトセンサ等から構成されているので、劣化した現像剤が回収ボックス75に回収されていない場合には、該新品検知手段60から検知光s1 が出力されると、検知光s1 は透明窓91を通って反射部材92に当り反射し、反射光s2 は該透明窓91を通って新品検知手段60の受光部に入り検出される。新品検知手段60は該反射光s2 の光量が所定のしきい値以上であると、現像剤カートリッジ50が新品であると判断する。逆に現像剤カートリッジ50が新品でない時には、回収された現像剤が回収ボックス75内に溜まり、反射部材92を覆うので反射光が弱まる。このため、前記反射光s2 の光量は該しきい値未満となり、新品でないと判断される。
【0032】
なお、この形態によれば、検知光の光路に対して、前記開口93、透明窓91および反射部材92がずれ、検知光が新品検知手段60の受光部で殆ど又は全く検知されない時には、現像剤カートリッジ50がセット不良であると判定することもできる。
【0033】
また、本形態において、反射部材92を、図5に示されているように、曲面状に形成し、該曲面の仮想円の中心が回収ボックス75の中心Oとほぼ一致するようにすると、現像剤カートリッジ50の回転方向zの位置が多少ずれても、検知光s1 と反射部材92の反射点との位置(角度)は相対的に変わらず、誤検知の可能性を低減できるようになる。
【0034】
次に、現像剤カートリッジ50が新品であるか否かを判定するための、現像剤カートリッジに関する第2の形態を説明する。この形態は、図7に示されているように、新品検知手段60から出た光s1'が透明窓91の表面で反射し、反射光s2'が新品検知手段60に入力して、現像剤カートリッジ50が新品でないにも拘らず新品であると誤検知される恐れを解消するようにしたものである。
【0035】
この形態は、図8に示されているように、前記透明窓91の表面の予定位置、例えば中央部領域に、前記検知光が該外表面で反射して予定の方向に進むのを阻止する手段、例えば光拡散部材94を設けた点に特徴がある。この構成によれば、検知光s1'は光拡散部材94に拡散され反射光s2'とならず、s3'となる。このため、反射光s3'は新品検知手段60の受光部で検知されなくなり、誤検知を防止できるようになる。なお、前記光拡散部材94に代え光吸収部材を設けても良い。また、光拡散部材94としては、透明窓91の表面に形成された凸部、凹部または粗面であっても良いし、該表面に塗布または固着された、他の材料からなる光拡散部材であっても良い。
【0036】
次に、現像剤カートリッジ50が新品であるか否かを判定するための、現像剤カートリッジに関する第3の形態を説明する。この形態は、図9に示されているように、新品検知手段60から出た検知光s1'が透明窓91の内面に付着したトナー(特に、Y色トナー)で反射し、反射光s2'が新品検知手段60に入力して、新品であると誤検知される恐れを解消するようにしたものである。回収ボックス75がY色の現像剤を回収するものである場合には、Y色のトナーが透明窓91の内面に付着すると該内面の反射率が大きくなり、前記した誤検知が起きる恐れが大きくなる。
【0037】
そこで、本形態では、図10、図11に示されているように、検知光s1'が透明窓91の内面で反射して新品検知手段60の受光部に至る経路に、光拡散部材(又は、光吸収部材)95、96を設けた。この構成によれば、透明窓91の内面に付着したトナーで光が反射しても、反射光は新品検知手段60の受光部に届かないので、誤検知を防止できる。
【0038】
次に、現像剤カートリッジ50が新品であるか否かを判定するための、現像剤カートリッジに関する第4の形態を説明する。この形態は、特にY色の現像剤カートリッジ50が新品であるかないかを信頼性高く検知できるようにしたものである。すなわち、該現像剤カートリッジ50の交換時には当然新品であると判定されるが、Y色トナーは光反射率が高いので、該現像剤カートリッジ50が使用されてY色トナーが反射部材92(図5、図6参照)に付着または堆積された後も、新品と誤判定される恐れがある。この形態は、この恐れを低減または防止するようにしたものである。
【0039】
この形態では、図12に示されているように、前記透明窓91の内面91bを粗面にし、かつその粗さは使用するトナーの平均粒径より大きくした。この構成によれば、該内面91bの粗面にY色トナーが効率良く付着するので、検知光s1'と、反射部材92上に存在するトナーによって反射された反射光s2'が共に該粗面を通過することになり、反射光s2'の光量が減衰されるので、誤検知を防止できるようになる。なお、該粗面に付着したトナーにより直接反射する光による誤検知は、透明窓91の表面に、図9〜図11を参照して説明した対策を講じることにより防止できる。
【0040】
次に、本形態の効果を実験的に確かめたので、該実験結果を図13(a) 〜(f) を参照して説明する。
同図(a) は新品検知手段60から出力された検知光をY色現像剤100に直接当てその反射光を受光部で検知した実験例を示し、同図(b) は該実験例の実験結果を示すものである。該(b) 図の横軸はトナーとキャリアとの構成比を現すTC%、縦軸は新品検知手段60の検知光を出力する発光ダイオードに印加する電圧を示している。該横軸の例えば「4」は、トナーが4%、キャリアが96%であることを示している。そして、該(b) 図の棒グラフの区間は、発光ダイオードに印加する電圧が該区間の範囲内であれば、現像剤の有無を正常に判別できることを示している。上記のことは、(d) 図、(f) 図においても同様である。
【0041】
(b) 図において、例えば、横軸のTC%が4%の時には、発光ダイオード印加電圧が2.2〜4.7Vの範囲であればY色の現像剤が存在するかしないかを正常に判別でき、この範囲外であれば正常に判別できないことを示している。すなわち、発光ダイオードに印加する電圧が2.2V以下で、発光ダイオードから発光される光量が少なすぎると受光部の受光量が小さ過ぎて誤検知され、逆に4.7V以上で発光ダイオードから発光される検知光の光量が多過ぎると、Y色現像剤の有無に関係なく、受光部の受光量がしきい値より大きくなって、誤検知されることを示している。なお、Y色トナーが100%の時には、Y色トナーの反射率が反射部材92の反射率に近いので、Y色トナーの有無を正常に判別できる発光ダイオード印加電圧の範囲は非常に狭いことを示している。
【0042】
同図(c) は新品検知手段60から出力された検知光s1 を前記透明窓91を通してY色現像剤100に当てた場合の実験例を示し、同図(d) はその実験結果を示している。該(d) 図から、検知光s1 を透明窓91を通すと、Y色現像剤が存在するかしないかを正常に判別できる発光ダイオード印加電圧の範囲が(b) 図の場合より広がることが分かる。
【0043】
次に、同図(e) は透明窓91の内面に前記粗面91bを形成した場合の実験例を示し、その実験結果である同図(f) から、Y色の現像剤が存在するかしないかを正常に判別できる発光ダイオード印加電圧の範囲が(d) 図の場合よりさらに広がることが分かる。これは、該粗面91bに付着したY色トナーが検知光s1 と反射光s2 を減衰させるためであると考えられる。
【0044】
現像剤カートリッジ50が新品であるか否かを判定するための、現像剤カートリッジに関する本発明の第1実施形態では、透明窓91の内面91bに粘性を持たせ、該透明窓91の内面91bにY色のトナーが付着するようにしている。該粘性を持たせる手段としては、例えば透明な両面テープを使用することができる。この構成によれば、内面91bにY色トナーが効率良く付着するので、検知光s 1' と、反射部材92上に存在するトナーによって反射された反射光s 2' が共にトナーが付着した透明窓を通過することになり、反射光s 2' の光量が減衰されるので、誤検知を防止できるようになる。
【0045】
前記の説明は、Y色の現像剤を収容する現像剤カートリッジについて説明したが、本実施形態はY色以外の現像剤を収容する現像剤カートリッジにも有効であることは明らかである。
【0046】
次に、現像剤カートリッジ50が新品であるか否かを判定するための、現像剤カートリッジに関する第5の形態を説明する。この形態は、図14に示されているように、反射部材92の検知光s1 反射光s2 のなす鋭角の間に、検知光が透過できない光遮蔽部材110を設けた点に特徴がある。この特徴によれば、Y色現像剤がない時には反射光s2 は光遮蔽部材110に影響されずに新品検知手段60の受光部に届くが、Y色現像剤111が存在すると、その表面で反射された光は光遮蔽部材110で遮蔽されることになり、新品検知手段60の受光部に届かなくなる。したがって、誤検知を防止することができるようになる。
【0047】
次に、現像剤カートリッジ50が新品であるか否かを判定するための、現像剤カートリッジに関する第6の形態を説明する。この形態は、図15に示されているように、透明窓91の内面を回収ボックス75の周囲面より凸にした点に特徴がある。この特徴によれば、現像剤カートリッジ50が回転体30の回転によって回転しても、該透明窓91の内面にトナーが付着しにくくなり、誤検知の可能性を低減させることができる。
【0048】
すなわち、操作者が新しい現像剤カートリッジ50を回転体30に装着する時には、新しい現像剤カートリッジ50を装着した後該回転体30を手で回したり、検知モードに入った後に自動的に回動させられたりして、交換された新しい現像剤カートリッジ50が新品検知手段60と対向する位置に担持されるまでには、回転体30は少なくとも1回転以上回転させられることになり、この間に回収現像剤が回収ボックス75に入り、透明窓91の内面に付着することがありうる。そうすると、現像剤カートリッジ50が新品であるに拘らず、旧品と誤検知される恐れが生じるが、透明窓91の内面を回収ボックス75の周囲面より凸にすると、回収現像剤が該透明窓91の内面に付着する可能性を低減することができるようになる。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、図15に示されているように、反射部材92の内面を回収ボックス75の周囲面より、凸にした点に特徴がある。この特徴によれば、現像剤カートリッジ50が回転体30の回転によって回転しても、該反射部材92の内面にトナーが付着しにくくなり、新品を旧品と誤検知する可能性を低減させることができる。
【0050】
次に、現像剤カートリッジ50が一度新品と判定された時には、プリント動作が所定量以上になるまでは、再度新品検知が行われても、トナーライフカウンタをクリアしないようにし、新品検知が誤検知されてもこれがトナーライフカウンタに影響を与えないようにした第7の形態を説明する。これは、一度新品の現像剤カートリッジ50を回転体30に装着し、新品検知でトナーライフカウンタをクリアした後、プリント動作をある程度行ってトナーを消費した場合であっても、再度新品検知をした時に回収ボックス75内への回収現像剤量が少い場合には、新品であると誤検知され、トナーライフカウンタが再度クリアされる恐れがあるからである。なお、該誤検知により、トナーライフカウンタがクリアされると、現像剤カートリッジ50内の現像剤残量とトナーライフカウンタとの相関が取れなくなり、現像剤カートリッジ50の交換の指示を正確に出せなくなるという不具合を生ずる。
【0051】
図16を参照して、本実施形態の機能を説明する。ステップS1では、装置の電源がオンされたか否かが判断される。電源がオンされると必ず検知モードが実行されるので、ステップS2の判断が行われる。なお、検知モードは、電源オンのときに限らず、装置のカバーが開閉された時にも行うことができる。ステップS2の判断が肯定の時には、ステップS3に進んで、トナーライフカウンタをクリアし、ステップS5に進む。ステップS5では、フラグをオンにする。ステップS6ではプリント動作を行い、ステップS7では該プリント動作の進行と同期してトナーライフカウンタをカウントアップする。ステップS8では、電源がオフされたか否かを判断し、この判断が否定の時にはステップS9に進んで、トナーライフカウンタのカウント値が所定値N以上になったか否かが判断される。この判断が否定の時にはステップS2に戻って新品検知がなされたか否かが判断される。この判断が否定の時には、ステップS6に進んで、プリント動作が続行され、これと同期してトナーライフカウンタはカウントアップされる。
【0052】
さて、一旦電源がオフされて再度電源がオンされたとか、電源がオンされている間に前記装置のカバーが開閉された等して、ステップS2の判断が肯定になったとすると、ステップS3に進み、フラグがオンであるか否かの判断が行われる。現在の状態では該フラグはオンされているから、ステップS3の判断は肯定となり、ステップS4、S5をスキップしてステップS6に進む。したがって、トナーライフカウンタのカウント値が所定値Nになるまでは、現像剤カートリッジ50が新品であると誤検知されても、トナーライフカウンタはクリアされない。
【0053】
ステップS6のプリント動作がどんどん行われ、これに応じてトナーライフカウンタがカウントアップされ、ステップS9の判断が肯定になると、ステップS10に進んで、前記フラグがオフにされる。その後、ステップS2で新品検知が行われると、これは正しい新品検知とみなされ、ステップS4でトナーライフカウンタはクリアされる。なお、カウント値が所定値N以上になった時には、回収現像剤量は多くなっており、新品であると誤検知される恐れは殆どないからである。したがって、本実施形態でも、現像剤カートリッジ50が新品であると誤検知された時の問題を回避することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1〜2の発明によれば、新品であるか否かの誤判定を低減または防止した現像剤カートリッジを提供することができ
【0055】
また、請求項2の発明によれば、Y色現像剤カートリッジに対しても、新品であるか否かの判定を信頼性高く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用して好適なプリンタ装置の概略構成図である。
【図2】図1の回転式現像装置の構成を示す図である。
【図3】現像剤カートリッジの概略構成の斜視図である。
【図4】図3の現像剤カートリッジの分解斜視図である。
【図5】図3のA−A´線断面図である。
【図6】現像剤カートリッジが新品であるか否かを判定するための第1の形態を含む、図3のB−B´線断面図である。
【図7】現像剤カートリッジに関する第2の形態を説明する断面図である。
【図8】現像剤カートリッジに関する第2の形態を説明する一部断面図である。
【図9】現像剤カートリッジに関する第3の形態を説明する断面図である。
【図10】現像剤カートリッジに関する第3の形態を説明する一部断面図である。
【図11】現像剤カートリッジに関する第3の形態を説明する一部断面図である。
【図12】現像剤カートリッジに関する第4の形態を説明する一部断面図である。
【図13】第4の形態の効果の説明図である。
【図14】現像剤カートリッジに関する第5の形態を説明する断面図である。
【図15】現像剤カートリッジに関する第6の形態および本発明の第2施形態を説明する断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態の機能を説明するフローチャートである。
Claims (2)
- 現像剤を収容する筒状の現像剤収容部と、該現像剤収容部の一端に装着された現像剤回収ボックスとを備えた現像剤カートリッジにおいて、
現像器を複数個保持して回転する回転式現像装置の該現像器に着脱可能であって、該現像剤回収ボックスの一部に検知光を通す透明窓を設け、該現像剤回収ボックスの内面であって該透明窓と対向する位置に検知光反射部材を設け、前記検知光反射部材の内面を、その周囲面より突出させたことを特徴とする現像剤カートリッジ。 - 現像剤を収容する筒状の現像剤収容部と、該現像剤収容部の一端に装着された現像剤回収ボックスとを備えた現像剤カートリッジにおいて、
現像器を複数個保持して回転する回転式現像装置の該現像器に着脱可能であって、該現像剤回収ボックスの一部に検知光を通す透明窓を設け、該現像剤回収ボックスの内面であって該透明窓と対向する位置に検知光反射部材を設け、前記透明窓の内表面の少くとも前記検知光の通過領域に、粘性を持たせたことを特徴とする現像剤カートリッジ。
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