JP3661540B2 - フラット型ヒートパイプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラット型ヒートパイプに関し、特に、コスト的に有利なフラット型ヒートパイプに関する。
【0002】
【従来の技術】
演算処理装置のような発熱する電子部品等を冷却するために、水等の凝縮性の作動液を内部に収容したフラット型ヒートパイプがノート型パーソナルコンピュータ等の電子機器において多用されており、さらには、各種の熱関連機器においても広く活用されている。
【0003】
図6の(a)は、従来のフラット型ヒートパイプの構成を示したもので、21および22は上下の金属板、23は金属板21および22によって挟持されるブレージングシートを示し、金属板21および22との間で作動液を収容する中空室を形成するための凹部24を有し、さらに、凹部24の間を連通するための通路25を形成した凸部26を有している。金属板21、22とブレージングシート23は、互いの合わせ目をろう付け等により接合され、これによって所定のフラット型ヒートパイプを構成する。
【0004】
図6の(b)は、ブレージングシート23と、金属板21および22の位置決めの構成を示す。ブレージングシート23の所定の個所に設けた孔27に金属板22に形成された突起部28を係合させることによって相互に位置決めするもので、金属板21の側も同様の構成を有する。以上のように構成されるフラット型ヒートパイプによれば、構成が堅固であり、フラット面による熱交換効率も高く、特に、電子機器用ヒートパイプとして好適である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のフラット型ヒートパイプによると、金属板21、22とブレージングシート23を確実に接合するためには、互いにフリーな関係にあるこれらの構成部材を位置決めするための孔27と突起部28の形成が必須であり、このため、これらを形成するためのコスト増を余儀なくされる。
【0006】
従って、本発明の目的は、構成部材の位置決めのために孔や突起部の形成を必要としないコスト的に有利なフラット型ヒートパイプを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、内部に中空室を有する箱体より構成され、前記中空室に作動液を収容するフラット型ヒートパイプにおいて、
前記箱体は、断面コの字型等の位置合わせ用の基準面を有する金属板と、前記基準面に基づいて前記金属板と組み合わされることにより前記金属板との間で前記中空室を形成し、前記中空室を密閉するように前記金属板との間をろう付け等によって接合された枠体より構成されることを特徴とするフラット型ヒートパイプを提供するものである。
【0008】
上記の金属板としては、薄い肉厚のものを使用することが好ましく、その場合、中空室の中には、金属板の強度を補うために中空室内部の上下面と接触させて波形の補強材を収容することが好ましい。また、この補強材としては、その表面に多数の微小溝を有することが好ましく、このような補強材を使用するときには、微小溝の毛細管作用によって作動液の循環性を高めることができ、従って、これによりヒートパイプとしての性能を向上させることができる。
【0009】
同様の効果を得るために、金属板と波形の補強材の間にメッシュ材を介在させる構成も好ましく、このようにするときには、メッシュ材の浸透性により作動液の循環が良好になるとともに、作動液の偏在が防止されるようになり、その結果、局部的な熱が作用したとき、ヒートパイプ全面に亙る良好な均熱性を確保できるようになる。
【0010】
互いに組み合わされることによって相互の位置関係が決められる金属板と枠体の関係をさらに安定化させるため、金属板の側面に突部を形成する構成は有意義である。側面に突部を形成する結果、金属板と組み合わされる枠体の側部が、この突部によって位置決めされることになり、その結果、自動溶接のような強い外力が作用する方法によって金属板と枠体を接合するとき、作業を安定化させる効果を生む。
【0011】
なお、金属板の側面に形成される突部は、前述した従来のフラット型ヒートパイプにおける孔と突起部に比ぺれば、形成が格段に容易であり、従って、これによるコスト増は、極小の範囲内に収めることができる。
【0012】
互いに組み合わされて箱体を構成した金属板と枠体を貫いて貫通孔を設ける構成は、ヒートパイプの実用性を高めるうえにおいて有意義である。この貫通孔は、中空室に連通しないように形成され、たとえば、電子機器等の取り付け対象への固定、あるいは本ヒートパイプへの演算処理装置等の取り付けの際に利用され、これによりヒートパイプとしての利便性を向上させる。
【0013】
枠体は、多くの場合、金属の板材を打ち抜くことによって作られるが、金属棒を曲げ加工することによって製作してもよい。金属板と枠体の接合は、ろう付けによって行うのが好ましく、その場合、ろう付け材としては、フラックスを要しないことと低温接合性によって特徴づけられるJIS Z3264 Bcup−5を使用することが好ましい。金属板と枠体の接合をろう付けによらずにTIGあるいはレーザ等によって行うことは可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるフラット型ヒートパイプの実施の形態を説明する。
図1の(a)において、1は断面コの字型に加工された金属板、2は金属の板材より長方形の形状に打ち抜かれた枠体を示す。金属板1には、コの字型に加工されることによって位置合わせ用の基準面3が形成されており、一方、枠体2は、金属板1のコの字型の内幅と密接する厚さを有しているとともに、長方形の一方の短辺に金属管4を備えている。
【0015】
図1の(b)は、コの字型の金属板1と枠体2の組み合わせ状態を示し、金属板1と枠体2は、金属板1の基準面3によって互いに位置合わせされている。金属板1と枠体2の合わせ目5と、金属板1、枠体2および金属管4の間の隙間6は、ろう付けにより接合され、これによって内部に中空室7を有する箱体8が形成されている。
【0016】
以上の構成のフラット型ヒートパイプによれば、コの字型の金属板1の基準面3によって金属板1と枠体2の相互の位置関係が決められるため、従来のヒートパイプのように位置決めのための孔や突起部を形成する必要がなく、従って、低コストのもとにフラット型ヒートパイプを構成することができる。
【0017】
また、この実施の形態のように金属板1をコの字型に加工する場合には、枠体2がコの字型の中に収容されるため、基準面3による位置合わせ作用は、より安定した確実なものとなる。なお、たとえば、L字型の2枚の板の組み合わせ、あるいはL字型の板と平板の組み合わせによりコの字型にするとともに、これらによって基準面3に相当する部分を形成した金属板を使用することは可能である。
【0018】
図2は、本発明の他の実施の形態を示す。図1のフラット型ヒートパイプとの違いは、図1における枠体2が4辺を有する長方形であったのに対して、4辺のうちの長辺の一辺を省略し、その部分を先端にしてコの字型の金属板1に組み合わされるとともに、金属管4を、金属管4の外径の分だけ短くした一方の短辺の先端に位置させて金属板1と組み合わせた点にある。
【0019】
図1の場合と同じく、コの字型の金属板1の基準面3と枠体2による相互位置付けに基づいて金属板1と枠体2の合わせ目、およびこれらと金属管4の隙間がろう付けされ、これにより箱体の内部に金属板1と枠体2による所定の中空室7が形成される。
なお、図1および図2のいずれの場合も、金属管4より中空室7に作動液(図示せず)が注入され、その後、中空室7内が真空に引かれた状態で金属管4の端部を封止することによって所定のヒートパイプの機能が与えられる。
【0020】
図3は、本発明のさらに他の実施の形態を示す。図1において、コの字型に加工された金属板1の側面に突部9を形成したもので、コの字型の金属板1の中に挿入される枠体2は、この突部9によって位置決めされることになり、従って、金属板1と枠体2の合わせ目、およびこれらと金属管4を自動溶接により接合する場合に、金属板1と枠体2の相互位置関係を外力より保護することができ、この結果、自動溶接作業が安定化するとともに、これによる組立性の向上を図ることができる。
【0021】
図4の(a)は、本発明の他の実施の形態を示し、中空室7に波形の補強材10を収容した例である。補強材10は、中空室7の内部の上下面と接触しており、これによりコの字型に加工された金属板1を補強する。金属板1の厚さは、薄肉に構成するほど熱的に有利であり、補強材10の存在は、この構成を可能にする。
【0022】
図4の(b)は、図4の(a)の構成を発展させたフラット型ヒートパイプを示す。波形の補強材10の表面に多数の微小溝11を形成したもので、微小溝11の毛細管現象を利用することによって、中空室7内における作動液の循環を向上させることができる。
【0023】
図4の(c)は、図4の(a)の構成を別の形で発展させたヒートパイプを示し、波形の補強材10と金属板1の間にメッシュ材12を介在させた構成を有する。メッシュ材12を介在させる結果、メッシュ材12が有する浸透性が作動液の偏在を防止するように作用し、その結果、たとえば、金属板1に局部的な熱が作用したとき、ヒートパイプ全体の均熱性を保持することができる。
【0024】
図5は、本発明のさらに他の実施の形態を示す。互いに組み合わされて接合された金属板1と枠体2を貫くようにして貫通孔13を形成したもので、この貫通孔13は、取り付け対象へのボルトナット等によるヒートパイプの固定、あるいはヒートパイプへの演算処理装置等の取り付けを容易にする。
【0025】
貫通孔13は、以上のようにヒートパイプの利便性を向上させるうえにおいて有効であり、その形成に際しては、中空室7と連通しないように、たとえば、その内面における金属板1と枠体2の合わせ目がろう付け等によって接合される。14は貫通孔13を形成するために枠体2に設けられた膨出部を示す。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるフラット型ヒートパイプによれば、断面コの字型等の位置合わせ用の基準面を有する金属板と枠体を金属板の基準面に基づいて組み合わせ、これらの合わせ目をろう付け等により接合することによってフラット型ヒートパイプを構成するため、従来のフラット型ヒートパイプにおけるような位置合わせのための孔や突起部を形成する必要がなく、従って、コスト的に有利なフラット型ヒートパイプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるフラット型ヒートパイプの実施の形態を示す説明図であり、(a)は金属板と枠体の関係を示し、(b)は金属板と枠体を組み合わせた構成を示す。
【図2】本発明によるフラット型ヒートパイプの他の実施の形態を示す説明図。
【図3】本発明によるフラット型ヒートパイプのさらに他の実施の形態を示す説明図。
【図4】本発明によるフラット型ヒートパイプの実施の形態を示す説明図であり、(a)〜(c)は、中空室に波形の補強材を収容する形態のそれぞれ異なる実施の態様を示す。
【図5】本発明によるフラット型ヒートパイプの他の実施の形態を示す説明図。
【図6】従来のフラット型ヒートパイプを示す説明図であり、(a)は構成部材を示し、(b)は構成部材の相互位置決め構造を示す。
【符号の説明】
1 金属板
2 枠体
3 基準面
4 金属管
5 合わせ目
6 隙間
7 中空室
8 箱体
9 突部
10 補強材
11 微細溝
12 メッシュ材
13 貫通孔
14 膨出部

Claims (6)

  1. 内部に中空室を有する箱体より構成され、前記中空室に作動液を収容するフラット型ヒートパイプにおいて、
    前記箱体は、断面コの字型等の位置合わせ用の基準面を有する金属板と、前記基準面に基づいて前記金属板と組み合わされることにより前記金属板との間で前記中空室を形成し、前記中空室を密閉するように前記金属板との間をろう付け等によって接合された枠体より構成されることを特徴とするフラット型ヒートパイプ。
  2. 前記中空室は、その内部の上下面と接触させて波形の補強材を収容していることを特徴とする請求項1項記載のフラット型ヒートパイプ。
  3. 前記波形の補強材は、その表面に多数の微小溝を有することを特徴とする請求項2項記載のフラット型ヒートパイプ。
  4. 前記波形の補強材は、前記中空室の内部の上下面との間にメッシュ材を介在させていることを特徴とする請求項2項記載のフラット型ヒートパイプ。
  5. 前記金属板は、前記枠体を所定の位置に設定するための突部を側面に有することを特徴とする請求項1項記載のフラット型ヒートパイプ。
  6. 前記箱体は、前記金属板と前記枠体を貫いて形成され、かつ前記中空室と連通していない貫通孔を有することを特徴とする請求項1項記載のフラット型ヒートパイプ。
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