JP3661348B2

JP3661348B2 - 動力付窓開閉装置

Info

Publication number: JP3661348B2
Application number: JP08828697A
Authority: JP
Inventors: 秀典石原; ツトム斉藤; 猛田中; 昇柘植; 知之菊田
Original assignee: Asmo Co Ltd
Current assignee: Asmo Co Ltd
Priority date: 1996-06-13
Filing date: 1997-04-07
Publication date: 2005-06-15
Anticipated expiration: 2017-04-07
Also published as: JPH1061318A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力付窓開閉装置に関するもので、特に、車両窓に使用して異物の挟み込みを未然に防止することができる動力付窓開閉装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、パワーウインドウ（動力付窓開閉装置）を装備した車両の増加とともに、パワーウインドウの閉作動中に、窓ガラスと窓枠との間に指等の異物を挟み込んでしまうという事故が増加している。
この事故を防止する手段として、例えば特願平７−４１３７号公報では、窓枠周縁に配設したコードスイッチ等の外力を感知する感知手段と、窓ガラスを移動駆動させるモータ３に通電する電流値（以下、モータ電流と略す。）を検出する手段と、これらを制御する制御装置とからパワーウインドウを構成している。
【０００３】
そして、感知手段によって感知される外力が所定値を越え、かつ、モータ電流が所定値を越えたときに、窓ガラスと窓枠との間に異物が挟み込まれたものとみなして、パワーウインドウの閉作動を中断するものである。
なお、コードスイッチの一般的な構造は、例えば特開平７−９６７４０号公報に記載のように、対向する一対の導電部材をゴム製の弾性部材を介在させて両導電部材間に空隙を形成するとともに、両導電部材を前記弾性部材に固着したものである。そして、外力の作用とともに前記弾性部材が弾性変形してゆき、その外力が所定値を越えて両導電部材が接触して通電可能状態となった時に、信号を発するものである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コードスイッチが、例えば弾性部材の経年変化や導電部材の表面に発生した絶縁性の酸化被膜等により、外力を正確に検出することができなくなるといった不具合が発生した場合に、特願平７−４１３７号公報に記載のパワーウインドウでは、異物の挟み込みを十分に防止することができない。
【０００５】
本発明は、上記点に鑑み、コードスイッチ等の感知手段に発生する不具合を考慮した異物挟み込み防止機構を有するパワーウインドウを提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を用いる。
請求項１、２に記載の発明では、感知手段（７）によって検出された外力が第１所定値（Ｎ₁）を越えた場合と、外力検出手段（８、９）によって検出された外力が第２所定値（Ｎ₂）を越えた場合とのうち少なくとも一方の場合に、窓体（４）の移動を中止させる。さらに、感知手段（７）が、窓枠（２）に作用する外力を感知することができるか否かを判定し、外力を感知することができない状態になったと判定したときに、異常信号（５２ａ）を発する判定手段（５２）と、判定手段（５２）が前記異常信号（５２ａ）を発したときに、警告を発する警告手段（１３）とを備えることを特徴とする。
【０００７】
これにより、外力検出手段（８、９）によって検出された外力が第２所定値（Ｎ₂）を越えた場合には、窓体（４）の移動を中止させるので、感知手段（７）に不具合が発生した場合であっても、異物挟み込みを防止することができる。さらに、判定手段（５２）によって、感知手段（７）の不具合の有無を判定することができる。
【０００８】
したがって、感知手段（７）に不具合が発生した場合に、感知手段（７）の修理等の対策を速やかに行うことができるので、動力付窓開閉装置の安全性を高めることができる。なお、請求項１に記載の発明では、第１所定値（Ｎ1 ）は、第２所定値（Ｎ2 ）より小さい値であり、かつ、判定手段（５２）は、外力検出手段（８、９）が、第２所定値（Ｎ2 ）を越える外力を検出したときに、異常信号（５２ａ）を発することを特徴とする。
【０００９】
また、請求項２に記載の発明では、判定手段（５２）は、外力検出手段（８、９）が、第２所定値（Ｎ 2 ）より大きい値の第３所定値（Ｎ 3 ）を越える外力を検出したときに、異常信号（５２ａ）を発するものであり、外力検出手段（８、９）によって検出された外力のうち、第３所定値（Ｎ3 ）を越えた回数（ｎ）が所定回数（ｎ0 ）を越えたときに、第３所定値（Ｎ3 ）を、所定回数（ｎ0）以下のときにおける第３所定値（Ｎ3 ）の値より小さくすることを特徴とする。なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施の形態について説明する。図１は、本実施形態に係る異物挟み込み防止装置付きのパワーウインドウ（動力付窓開閉装置）の全体構成を示しており、１は車両ドアであり、２は窓枠である。車両ドア１内には、窓枠２によって形成される窓開口３内で移動（昇降）する窓ガラス（窓体）４と、この窓ガラス４を昇降させる駆動モータ（窓体駆動手段）５が配設されている。なお、６は、駆動モータ５の駆動力を窓ガラス４に伝達するレギュレータであり、窓ガラス４は、このレギュレータ６を介して昇降させられている。
【００１１】
また、車両ドア１の窓枠２の内周縁のうち前辺２ａから上辺２ｂに渡って、窓枠２に作用する外力を感知する窓枠センサ（感知手段）７が配設されており、この窓枠センサ７からのセンサ信号７ａがＯＲゲート５１および後述する判定手段５２に入力されている。
この窓枠センサ７は、例えば可撓性を有する絶縁性ゴムチューブの、対向する内周面にチューブ長手方向へ導電ゴム製の電極を設けた周知のもので、第１所定値Ｎ₁を越える外力が作用するとゴムチューブが変形して対向電極が接触導通して出力信号を発するものである。
【００１２】
また、駆動モータ５には、駆動モータ５の回転数を検出する回転数センサ８が配設されており、この回転数センサ８からのセンサ信号８ａは、駆動モータ５の回転数の変化に基づいて駆動モータ５の負荷を演算する負荷検出装置９に入力されている。そして、負荷検出装置９は、駆動モータ５の負荷が第２所定値Ｎ₂を越えたときに負荷検出信号９ａをＯＲゲート５１および判定手段５２に向けて発する。
【００１３】
つまり、本実施形態では、窓ガラス４に外力が作用すると、駆動モータ５の回転数が変化するとともに、駆動モータ５の負荷が変化する点に着目して、回転数センサ８と負荷検出手段９とによって、窓ガラス４に作用する外力を検出する外力検出手段を構成している。
なお、第１所定値Ｎ₁は、第２所定値Ｎ₂より小さい値となるように設定されており、本実施形態では、第１所定値Ｎ₁は、窓枠２に作用する外力で約１０Ｎであり、第２所定値Ｎ₂は、窓ガラス４に作用する外力に換算してで約５０Ｎである（図２参照）。
【００１４】
そして、ＯＲゲート５１の出力信号５１ａはＡＮＤゲート５３に入力し、ＡＮＤゲート５３の出力信号５３ａは、後述するコントロール回路１０へ入力している。コントロール回路１０は、乗員が窓ガラス４の昇降を指示する操作スイッチ１１の指令信号１１ａおよび出力信号５３ａに基づいて駆動モータ５の駆動制御を行うモータ駆動回路１２を制御するとともに、窓ガラス４を閉作動（上昇作動）させるときには、閉作動信号１２ａをＡＮＤゲート５３に向けて出力する。
【００１５】
さらに、コントロール回路１０は、窓ガラス４が閉作動中に、センサ信号７ａおよび負荷検出信号９ａのうち、少なくとも一方の信号が発せられたときに、窓ガラス４の作動を反転させるようにモータ駆動回路１２を制御する。
なお、モータ駆動回路１２は、図示されていないバッテリから電力を得て駆動モータ５を駆動するとともに、バッテリの直流電圧の極性を適宜切り替えて駆動モータ５の正転ないし逆転を制御している。
【００１６】
次に、判定手段５２について述べる。
判定手段５２は、窓枠センサ７が窓枠２に作用する外力を感知することができるか否か（窓枠センサ７の不具合の有無）の判定をするとともに、外力を感知することができない状態になったと判定したときに、異常信号５２ａを発するものである。以下に、判定手段５２が行う判定の手法について説明する。
【００１７】
すなわち、第１所定値Ｎ1 は、第２所定値Ｎ2 より小さい値となるように設定されているので、窓枠センサ７に不具合が無い状態であれば、異物の挟み込みが発生した場合には、必ず、窓枠センサ７からのセンサ信号７ａによって、窓ガラス４は反転するはずである。したがって、窓枠センサ７に不具合が無い状態であれば、負荷検出装置９は負荷検出信号９ａを発生しない。
【００１８】
換言すれば、窓枠センサ７に不具合が発生している状態とは、図３の図表（マトリックス）に示すように、負荷検出装置９より負荷検出信号９ａが発せられた状態、つまり、負荷検出装置９が、第２所定値Ｎ₂を越える外力を検出した状態である。
なお、判定手段５２により窓枠センサ７に不具合が発生していると判定されたときは、判定手段５２はブザーや警告灯等の警告手段１３に向けて異常信号５２ａを発し、これを受けて警告手段１３は、車両乗員に向けて警告を発する。
【００１９】
次に、本実施形態の特徴を述べる。
本実施形態によれば、窓枠センサ７に不具合が発生した場合であっても、負荷検出装置９から発せられる負荷検出信号９ａにより異物挟み込みを防止することができるとともに、窓枠センサ７の不具合の有無を判定することができる。したがって、窓枠センサ７に不具合が発生した場合に、窓枠センサ７の修理等の対策を速やかに行うことができるので、異物挟み込み防止装置付きのパワーウインドウの安全性を高めることができる。
【００２０】
ところで、異物挟み込みが発生していない通常状態においても、窓枠２内を摺動する際の摩擦抵抗などにより、駆動モータ５の負荷は変動している。このため、駆動モータ５の負荷を検出する際のしきい値である第２所定値Ｎ₂が、この変動幅より小さい場合には、フィルタ回路等を設けて負荷変動を補正しなければ、駆動モータ５の負荷を正確に検出することができない。
【００２１】
これに対して本実施形態によれば、上述のように、第１所定値Ｎ₁は、第２所定値Ｎ₂より小さいので、異物の挟み込みの有無は、主に窓枠センサ７によって検出される。したがって、駆動モータ５の負荷を検出する際のしきい値である第２所定値Ｎ₂を大きくすることができるので、フィルタ回路等を設けて負荷変動を補正する必要がなくなり、パワーウインドの製造原価低減を図ることができる。
【００２２】
ところで、上述の実施形態では、駆動モータ５の回転数に基づいて駆動モータ５の負荷を検出することにより外力検出手段を構成していたが、駆動モータ５に通電する電流値を計測して駆動モータ５の負荷を検出し、これにより、外力検出手段としてもよい。また、乗員に向けて警告を発する前もしくは発した後に、さらに、以下のａ）〜ｂ）のような新たな制御（図１の信号５２ｂ）を駆動モータ５に加えてもよい。
【００２３】
ａ）窓枠センサ７の不具合が発生した車両ドア１でのオートアップを禁止する。なお、オートアップとは、操作スイッチ１１を１回操作することによって自動的に窓ガラス４を上昇させることをいう。ｂ）窓枠センサ７の不具合が発生した車両ドア１以外の車両ドアでのパワーウインドウの操作を禁止する。
【００２４】
また、駆動モータ５の負荷が第２所定値Ｎ 2 より大きい値の第３所定値Ｎ 3 を越えたときに、判定手段５２が窓枠センサ７に不具合が発生していると判定し、駆動モータ５の負荷が第３所定値Ｎ3を越える回数ｎが所定回数ｎ0 を越えたときに、第３所定値Ｎ3を現状の値（回数ｎが所定値以下のときの値）より小さくしてもよい。図４は、それを実施する際のブロック図を示しており、９１は回転数センサ８からのセンサ信号８ａに基づいて駆動モータ５の回転数の変化率を演算する回転速度演算回路である。９４は第２所定値Ｎ2 に相当する第１基準電圧Ｅ1を発生する電源であり、９２は、駆動モータ５の負荷に相当する回転速度演算回路９１の演算値と第１基準電圧Ｅ1 との大小を比較する第１比較回路である。
【００２５】
また、９５は第２所定値Ｎ₂より高いしきい値である第３所定値Ｎ₃に相当する第２基準電圧Ｅ₂を発生する電源であり、９６は第２所定値Ｎ₂より低いしきい値である第４所定値Ｎ₄に相当する第３基準電圧Ｅ₃（Ｅ₃＜Ｅ₁＜Ｅ₂）を発生する電源である。そして、９３は回転速度演算回路９１の演算値と、電圧選択回路９７により選択された基準電圧（第２基準電圧Ｅ₂および第３基準電圧Ｅ₃のいずれか）との大小を比較する第２比較回路である。
【００２６】
また、９８は、第２比較回路９３により回転速度演算回路９１の演算値が第２基準電圧Ｅ2 を越えたときの回数ｎを数える計数手段を有するとともに、その数えた回数ｎが所定回数ｎ0 （本実施形態では、１回）を越えたときに、電圧選択回路９７を作動させる、フリップフロップのごとき記憶回路である。なお、記憶回路９８は、回数ｎが所定回数ｎ0 以下のときには電圧選択回路９７に第２基準電圧Ｅ2 を選択させ、一方、回数ｎが所定回数ｎ0 を越えたときには電圧選択回路９７に第３基準電圧Ｅ3 を選択させる。つまり、この例では、電圧選択回路９７および記憶回路９８により、駆動モータ５の負荷が第３所定値Ｎ3 まで達する回数ｎが所定回数ｎ0 を越えたときに、第３所定値Ｎ3 を現状の値より小さくする制御手段を構成している。
【００２７】
なお、上述の実施形態では、異物鋏込みが発生したとみなされたときには、駆動モータ５を反転させたが、本発明は異物鋏込みが発生したとみなされたときには、駆動モータ５を停止させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るパワーウインドウの全体ブロック構成図である。
【図２】外力（駆動モータの負荷）と時間との関係を示すグラフである。
【図３】判定手段の判定手法を示す図表である。
【図４】本発明の変形例に係るパワーウインドウの全体ブロック構成図である。
【符号の説明】
１…車両ドア、２…窓枠、３…窓開口、４…窓ガラス（窓体）、
５…駆動モータ（窓体駆動手段）、６…レギュレータ、
７…窓枠センサ（感知手段）、８…回転数センサ、
９…負荷検出装置、１０…コントロール回路、
１１…操作スイッチ、１２…モータ駆動回路、５２…判定手段。

Claims

窓枠（２）によって形成される窓開口（３）内で移動する窓体（４）と、
前記窓体（４）を移動させて前記窓開口（３）を開閉する窓体駆動手段（５、１２）と、
前記窓体（４）に作用する外力を検出する外力検出手段（８、９）と、
前記窓枠（２）に作用する外力を感知する感知手段（７）と、
前記感知手段（７）によって検出された外力が第１所定値（Ｎ1 ）を越えた場合と、前記外力検出手段（８、９）によって検出された外力が第２所定値（Ｎ2）を越えた場合とのうち少なくとも一方の場合に、前記窓体駆動手段（５、１２）に向けて前記窓体（４）の移動を中止する中止指令信号（５１ａ）を発する指令手段（５１）と、
前記感知手段（７）が、前記窓枠（２）に作用する外力を感知することができるか否かを判定し、外力を感知することができない状態になったと判定したときに、異常信号（５２ａ）を発する判定手段（５２）と、
前記判定手段（５２）が前記異常信号（５２ａ）を発したときに、警告を発する警告手段（１３）とを備え、
前記第１所定値（Ｎ 1 ）は、前記第２所定値（Ｎ 2 ）より小さい値であり、
前記判定手段（５２）は、前記外力検出手段（８、９）が、前記第２所定値（Ｎ 2 ）を越える外力を検出したときに、前記異常信号（５２ａ）を発することを特徴とする動力付窓開閉装置。
窓枠（２）によって形成される窓開口（３）内で移動する窓体（４）と、
前記窓体（４）を移動させて前記窓開口（３）を開閉する窓体駆動手段（５、１２）と、
前記窓体（４）に作用する外力を検出する外力検出手段（８、９）と、
前記窓枠（２）に作用する外力を感知する感知手段（７）と、
前記感知手段（７）によって検出された外力が第１所定値（Ｎ 1 ）を越えた場合と、前記外力検出手段（８、９）によって検出された外力が第２所定値（Ｎ 2 ）を越えた場合とのうち少なくとも一方の場合に、前記窓体駆動手段（５、１２）に向けて前記窓体（４）の移動を中止する中止指令信号（５１ａ）を発する指令手段（５１）と、
前記感知手段（７）が、前記窓枠（２）に作用する外力を感知することができるか否かを判定し、外力を感知することができない状態になったと判定したときに、異常信号（５２ａ）を発する判定手段（５２）と、
前記判定手段（５２）が前記異常信号（５２ａ）を発したときに、警告を発する警告手段（１３）とを備え、
前記判定手段（５２）は、前記外力検出手段（８、９）が、前記第２所定値（Ｎ 2 ）より大きい値の第３所定値（Ｎ 3 ）を越える外力を検出したときに、前記異常信号（５２ａ）を発するものであり、
前記外力検出手段（８、９）によって検出された外力のうち、前記第３所定値（Ｎ 3 ）を越えた回数（ｎ）が所定回数（ｎ 0 ）を越えたときに、前記第３所定値（Ｎ 3 ）を、前記所定回数（ｎ 0 ）以下のときにおける前記第３所定値（Ｎ 3 ）の値より小さくする制御手段（９７、９８）を有することを特徴とする動力付窓開閉装置。