JP3661279B2 - 光学式変位測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体の基準位置からの変位を三角測量法を用いて光学的に測定する光学式変位測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は、この種の光学式変位測定装置の従来例を示す回路ブロック図である。この光学式変位測定装置は、投光素子たるレーザダイオード1と、レーザダイオード1からの光を細く絞って光ビームを形成する投光レンズ2とによって投光手段を構成し、この光ビームを物体Aの表面に照射して物体Aの表面に投光スポットを形成し、物体A表面での反射光を受光レンズ3に通して収束させ、投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて受光素子であるPSD(Postion Sensitive Device)4から出力される位置信号を用いて演算手段において三角測量法に基づく演算を行うことにより、基準位置からの物体Aの変位を測定するように構成されている。なお、基準位置にPSD4を配置した場合にはPSD4から物体Aまでの距離を求めることができる。受光素子であるPSD4は、受光面に対する受光スポットの位置に応じて信号値の比の決まる一対の位置信号(電流信号)を出力する。なお、各位置信号の信号値はPSD4における受光量に応じて増減する。いま、一対の位置信号の信号値がI1 ,I2 であるときに、両信号を用いて変位に相当する値を求めるとすると、PSDに流れる全電流IはI1 +I2 であり、I1 ,I2 は受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まるから、(I1 −I2 )/(I1 +I2 )ないしこの形に類似した演算が必要になることが知られている。
【0003】
図11に示した従来構成をさらに詳しく説明すると、レーザダイオード1は駆動回路5により発振器6の発振周期に同期して駆動されており、レーザダイオード1からの光は発振器6の発振周期に同期して変調されている。PSD4から出力される一対の電流信号の位置信号I1 ,I2 は、位置信号I1 ,I2 を各別に切り換えるスイッチ回路191 に入力される。
【0004】
スイッチ回路191 は、タイミング回路10から出力され、駆動回路5を通じてレーザダイオード1を発光させる発振器6の原発振信号(変調信号)の1周期毎に反転する制御信号t1 (図12(g)参照)により切り換えられるものであり、(電流信号を電圧信号に変換する)電流電圧変換回路(以下、I/V変換回路と称す)7に入力される位置信号を選択するようになっている。つまり、図12(a),(b)に示すような位置信号の原信号(電流信号)I1 ,I2 がスイッチ回路191 において選択されることにより、I/V変換回路7には図12(c)に示すような1つの信号Iが入力される(すなわち、一対の位置信号I1 ,I2 が時系列的に混合されて入力される)。ここで、図12(a),(b)に示すI1 ,I2 は、I1 =I2 である。I/V変換回路7では上記混合された位置信号Iを電圧信号に変換し、増幅器8へ出力する。増幅器8は入力された電圧信号を適当なレベルにまで増幅する(図12(d)に増幅器8の出力信号Vaを示す)。
【0005】
増幅器8の出力信号(電圧信号)Vaは同期検波回路9に入力される。同期検波回路9は、タイミング回路10から出力される検波タイミング信号t2 (図12(e)参照)によって電圧信号Vaを同期検波し、信号Vbを出力する(図12(f)参照)。ここで、上記検波タイミング信号t2 は変調信号(発振器6の原発振信号)の周期と一致させてある。なお、この同期検波回路9において、信号が持つ直流成分誤差(オフセット誤差等)は排除される。
【0006】
同期検波回路9にて検波された信号Vbは、演算部12に入力される。
演算部12では、スイッチ回路192 によって出力される先の積分回路からなるローパスフィルタ(LPF)111 ,112 が選択され切り換えられるようになっている。すなわち、スイッチ回路192 はスイッチ回路191 と同様にタイミング回路10からの制御信号t1 により切り換えられるから、結局、スイッチ回路191 において混合された位置信号I1 ,I2 が一対の脈流信号Vd1 ,Vd2 に分離されることになる(図12(h),(i)参照)。また、スイッチ回路192 から出力される各脈流信号Vd1 ,Vd2 は、後段のLPF111 ,112 によって平滑され、ノイズ分が除去されて加算器13及び減算器14にそれぞれ入力される。さらに、これら加算器13と減算器14の出力が除算器15に入力され、最終的に除算器15の出力(アナログ出力)が演算部12の出力となる。すなわち、演算部12においては、LPF111 ,112 から出力される各位置信号(電圧信号)をV1 ,V2 としたとき、(V1 −V2 )/(V1 +V2 )という上述した変位を求めるための演算を行っているに他ならない。よって、この演算部12のアナログ出力に基づいて物体Aの変位を求めることができるのである。
【0007】
以上説明したように、この装置では、レーザダイオード1の変調信号(発振器6の原発振信号)の一周期毎に切り換わるスイッチ回路191 により、一対の位置信号I1 ,I2 のうちで次段に出力される信号を切り換え、これによって両位置信号I1 ,I2 を時系列的に混合するとともに、後段のスイッチ回路192 において上記変調信号の一周期毎に次段に出力される信号を選択し切り換えることで混合された信号を分離するようにして、I/V変換回路7、増幅器8及び同期検波回路9の回路群を1系統にして信号処理を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際の装置では、例えば、レーザダイオード1からの光自身にノイズが発生しており、そのノイズのためにPSD4の出力である位置信号I1 ,I2 それぞれが図13(a),(b)に示すように振幅変調されている。このため、上記構成の装置では、増幅器8から図13(c)に示すような出力信号(電圧信号)Vaが出力され、この電圧信号Vaが同期検波回路9にて、タイミング回路10から出力される検波タイミング信号t2 (図13(d)参照)によって検波され、同期検波回路9から図13(e)に示すような信号Vbが出力される。そして、スイッチ回路192 は、スイッチ回路191 と同様にタイミング回路10からの制御信号t1 (図13(f)参照)により切り換えられるから、結局、スイッチ回路191 において混合された位置信号I1 ,I2 が図13(g),(h)に示すような最大値の異なる脈流信号Vd1 ,Vd2 に分離される。その結果、I1 =I2 の時には理想的にはVd1 =Vd2 となり(V1 −V2 )/(V1 +V2 )=0になるべきにもかかわらず、実際にはVd1 >Vd2 となってしまい、(V1 −V2 )/(V1 +V2 )は零にならず、変位に誤差が発生してしまう。つまり、上記構成の装置では、ノイズの影響によってPSD4の出力である位置信号が振幅変調されると、物体Aの変位に誤差が生じてしまうので測定精度が低下するという不具合があった。ここで、この種の装置は、通常、測距範囲の1万分の1以上の分解能を有しているため、僅かな変位の揺らぎが問題となる。
【0009】
したがって、上記構成の装置では、発振器6、駆動回路5、レーザダイオード1自身、等がノイズを有しており、このノイズに起因して、PSD4から出力される位置信号I1 ,I2 に同相のノイズが発生すると測定される変位(や距離)に測定誤差が生じるとともに分解能が低下してしまうという不具合があった。特に、スイッチ回路191 の切り換えのために使われる制御信号により受光側の信号が変調されるという不具合があった。
【0010】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、受光手段からの一対の位置信号に同相のノイズが存在する場合に求められる変位の測定誤差を低減することができる光学式変位測定装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、適宜周期で変調された光ビームを物体に照射して前記物体の表面に投光スポットを形成する投光手段と、前記投光手段から照射された光の前記物体表面での反射光を受光光学系に通して収束させ前記投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まる一対の位置信号を出力する受光手段と、前記各位置信号同士の減算及び加算をして求めたそれぞれの信号を出力する第1の演算部と、前記第1の演算部の各出力信号のいずれかを前記光ビームの変調周期の1周期毎に切り換えて選択的に出力する第1のスイッチ回路と、前記第1のスイッチ回路の出力信号を前記光ビームの変調周期に同期して検波する同期検波手段と、前記同期検波手段の出力信号に基づいて前記物体の基準位置からの変位を演算する第2の演算部とを備えて成ることを特徴とするものであり、前記各位置信号は前記第1の演算部で減算及び加算が行われるから、前記各位置信号に同相のノイズが存在しても、前記第1の演算部での減算により前記ノイズが除去され、その結果、前記第2の演算部から出力される変位の誤差を低減することができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、第2の演算部が、第1のスイッチ回路に同期するように切り換えられ同期検波手段の出力信号を減算信号及び加算信号に分離してそれぞれ出力する第2のスイッチ回路と、前記減算信号を積分して積分値を出力する第1の積分回路と、前記加算信号を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値を前記第2の積分回路の積分値で除算してその除算値を出力する除算器とを有するので、前記除算器の出力が変位に相当する値になる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、第2の演算部が、同期検波手段の出力信号の信号値を平均化して第1の位置信号を出力する第1の手段と、前記同期検波手段の出力信号のうち位置信号同士を減算した信号に対応する部分を反転した出力信号を平均化して第2の位置信号を出力する第2の手段と、前記同期検波手段の出力信号から減算信号を取り出す第3の手段と、前記第1の手段の出力を積分してその積分値を出力する第1の積分回路と、前記第2の手段の手段の出力を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記減算信号を積分してその積分値を出力する第3の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値と前記第2の積分回路の出力値に光学的非線形性を補正するための所定定数を乗じた値とを加算して出力する加算器と、前記第3の積分回路の出力値を前記加算器の出力値で除算してその除算値を出力する除算器とを有するので、光学的非線形性を補正した変位に相当する値が除算器から出力される。
【0014】
請求項4の発明は、上記目的を達成するために、適宜周期で変調された光ビームを物体に照射して前記物体の表面に投光スポットを形成する投光手段と、前記投光手段から照射された光の前記物体表面での反射光を受光光学系に通して収束させ前記投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まる第1、第2の位置信号を出力する受光手段と、前記各位置信号同士の減算及び加算をして求めたそれぞれの信号を出力する第1の演算部と、前記第1の演算部の各出力信号のいずれかを前記光ビームの変調周期の1周期毎に切り換えて選択的に出力するスイッチ回路と、スイッチ回路の出力信号をスイッチ回路が切り換わるタイミング信号と位相が略90度異なるタイミング信号で同期検波する同期検波手段と、前記同期検波手段の出力信号に基づいて前記物体の基準位置からの変位を演算する第2の演算部とを備えて成ることを特徴とするものであり、前記各位置信号に同相のノイズが存在しても、前記第1の演算部での減算により前記ノイズが除去され、その結果、前記第2の演算部から出力される変位の誤差を低減することができる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、第2の演算部が、同期検波手段の出力信号のうち位置信号同士を減算した信号に対応する部分をスイッチ回路が切り換わるタイミング信号と同じタイミング信号で反転・抽出することで第1の位置信号から第2の位置信号を減算した減算信号を出力する第1の手段と、同期検波手段の出力信号を平均化して第2の位置信号を出力する第2の手段と、第1の手段の出力を積分してその積分値を出力する第1の積分回路と、前記第2の手段の出力を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値と前記第2の積分回路の出力値とを加算することにより第3の出力値を求め且つ前記第2の積分回路の出力値に光学的非線形性を補正するための所定定数を乗じた値と前記第3の出力値とを加算して出力する加算器と、前記第1の積分回路の出力値を前記加算器の出力値で除算してその除算値を出力する除算器とを有するので、光学的非線形性を補正した変位に相当する値が前記除算器から出力される。
【0016】
請求項6の発明は、上記目的を達成するために、適宜周期で変調された光ビームを物体に照射して前記物体の表面に投光スポットを形成する投光手段と、前記投光手段から照射された光の前記物体表面での反射光を受光光学系に通して収束させ前記投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まる第1、第2の位置信号を出力する受光手段と、前記第1の位置信号から前記第2の位置信号を減算した信号及び前記第1の位置信号を出力する第1の演算部と、前記第1の演算部の出力信号のいずれかを前記光ビームの変調周期の1周期毎に切り換えて選択的に出力するスイッチ回路と、前記スイッチ回路の出力信号を前記スイッチ回路が切り換わるタイミング信号が略90度異なるタイミング信号で同期検波する同期検波手段と、前記同期検波手段の出力信号に基づいて前記物体の基準位置からの変位を演算する第2の演算部とを備えて成ることを特徴とするものであり、前記各位置信号に同相のノイズが存在しても、前記第1の演算部での減算により前記ノイズが除去され、その結果、前記第2の演算部から出力される変位の誤差を低減することができる。
【0017】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、第2の演算部が、同期検波手段の出力信号のうち位置信号同士を減算した信号に対応する部分を第1のスイッチ回路が切り換わるタイミング信号と同じタイミング信号で反転・抽出することで第1の位置信号から第2の位置信号を減算した減算信号を出力する第1の手段と、同期検波手段の出力信号を平均化して第2の位置信号を出力する第2の手段と、第1の手段の出力を積分してその積分値を出力する第1の積分回路と、前記第2の手段の出力を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値と前記第2の積分回路の出力値とを加算することにより第3の出力値を求め且つ前記第2の積分回路の出力値に光学的非線形性を補正するための所定定数を乗じた値と前記第3の出力値とを加算して出力する加算器と、前記第1の積分回路の出力値を前記加算器の出力値で除算してその除算値を出力する除算器とを有するので、前記除算器の出力が光学的非線形性を補正した変位に相当する値が前記除算器から出力される。
【0018】
請求項8の発明は、上記目的を達成するために、適宜周期で変調された光ビームを物体に照射して前記物体の表面に投光スポットを形成する投光手段と、前記投光手段から照射された光の前記物体表面での反射光を受光光学系に通して収束させ前記投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まる第1、第2の位置信号を出力する受光手段と、前記第1の位置信号から前記第2の位置信号を減算した信号及び前記第2の位置信号を出力する第1の演算部と、前記第1の演算部の出力信号のいずれかを前記光ビームの変調周期の1周期毎に切り換えて選択的に出力するスイッチ回路と、前記スイッチ回路の出力信号を前記光ビームの変調周期に同期して検波する同期検波する同期検波手段と、前記同期検波手段の出力信号に基づいて前記物体の基準位置からの変位を演算する第2の演算部とを備えて成ることを特徴とするものであり、前記各位置信号に同相のノイズが存在しても、前記第1の演算部での減算により前記ノイズが除去され、その結果、前記第2の演算部から出力される変位の誤差を低減することができる。
【0019】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、第2の演算部が、同期検波手段の出力信号をスイッチ回路が切り換わるタイミング信号で抽出することにより第2の位置信号及び減算信号を出力する手段と、前記手段から出力された減算信号を積分してその積分値を出力する第1の積分回路と、前記手段から出力された第2の位置信号を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値と前記第2の積分回路の出力値とを加算することにより第3の出力値を求め且つ前記第2の積分回路の出力値に光学的非線形性を補正するための所定定数を乗じた値と前記第3の出力値とを加算して出力する加算器と、前記第1の積分回路の出力値を前記加算器の出力値で除算してその除算値を出力する除算器とを有するので、前記除算器の出力が光学的非線形性を補正した変位に相当する値が前記除算器から出力される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1に本実施形態の光学式変位測定装置(以下、装置と略称する)の回路ブロック図を示す。本装置は、PSD4の一対の位置信号I1 ,I2 を、それぞれ各別にI/V変換回路71 ,72 にて電圧信号Va1 ,Va2 に変換し、第1の演算部20にて電圧信号Va1 ,Va2 の和(Va1 +Va2 )及び差(Va1 −Va2 )を各別に出力し、スイッチ回路191 にて第1の演算部20の各出力(Va1 +Va2 ,Va1 −Va2 )をそれぞれ各別に切り換えてスイッチ回路191 の出力を増幅器8に入力している点に特徴があり、第2の演算部12は加算器13及び減算器14を持たない。
【0021】
以下、本装置の動作について説明する。
PSD4から出力される位置信号(電流信号)I1 ,I2 は、それぞれ各別にI/V変換回路71 ,72 において電圧信号Va1 ,Va2 に変換される。なお、本実施形態では、位置信号I1 ,I2 が図2(a),(b)(図13(a),(b)と同じ)に示すようにノイズの影響で振幅変調されている場合について図2を参照しながら説明する。
【0022】
各I/V変換回路71 ,72 からの位置信号Va1 ,Va2 は第1の演算部20にて減算及び加算が行われて、第1の演算部20からVa1 −Va2 ,Va1 +Va2 の信号がそれぞれ出力されてスイッチ回路191 に入力される。スイッチ回路191 は、タイミング回路10から出力され、駆動回路5を通じてレーザダイオード1を発光させる発振器6の原発振信号の1周期毎に反転する制御信号t1 (図2(f)参照)により切り換えられるので、信号Va1 −Va2 ,Va1 +Va2 に基づいて図2(c)に示すような1つの出力信号(電圧信号)Vaが出力される。ここで、スイッチ回路191 からの電圧信号Vaが図2(c)に示すような信号になるのは、Va1 −Va2 の値が略零だからである。
【0023】
増幅器8は、スイッチ回路191 から入力された電圧信号Vaを適当レベルにまで増幅する。増幅器8にて増幅された電圧信号は同期検波回路9に入力される。同期検波回路9は、従来例と同様にタイミング回路10から出力される検波タイミング信号t2 (図2(d)参照)によって電圧信号Vaを同期検波し、信号Vdを出力する(図2(e)参照)。ここで、検波タイミング信号t2 は発振器6の原発振信号の周期と一致させてある。
【0024】
同期検波回路9にて検波された信号Vdは、第2の演算部12に入力される。第2の演算部12では、スイッチ回路192 によって出力先の積分回路からなるローパスフィルタ(以下、LPFと称す)111 ,112 が選択され切り換えられるようになっている。すなわち、スイッチ回路192 はスイッチ回路191 と同様にタイミング回路10からの制御信号t1 により切り換えられるから、結局、スイッチ回路191 において混合された信号Va1 −Va2 ,Va1 +Va2 が図2(g),(h)に示すような一対の信号Vd1 −Vd2 ,Vd1 +Vd2 に分離されることになる。スイッチ回路192 から出力される各信号Vd1 −Vd2 (I1 =I2 の場合は、略零),Vd1 +Vd2 (脈流信号)は、それぞれ後段の積分回路からなるLPF111 ,112 によって積分されて直流成分(積分値)として取り出されて除算器15に入力される。すなわち、第2の演算部12においては、LPF111 ,112 から出力される各電圧信号をV1 −V2 ,V1 +V2 としたとき、(V1 −V2 )/(V1 +V2 )という除算処理が行われ、物体Aの基準位置からの変位を示すアナログ信号が出力される。ここで、基準位置にPSD4を配置している場合には、PSD4から物体までの変位(又は距離)を示すアナログ信号が出力される。
【0025】
上記構成によれば、図11に示した従来構成の不具合を回避することができる。すなわち、本装置では、一対の位置信号を、スイッチ回路191 により混合して1つの信号にする前に、2つの位置信号の減算を行うので、PSD4から出力される位置信号I1 ,I2 の同相ノイズを除去することができ、従来構成よりも求められる距離や変位の誤差(測距誤差)を低減できる。また、従来構成よりも距離や変位の誤差を低減することができるから、分解能の低下を防ぐことができる。なお、本装置は、信号の減算及び加算に至るまでの回路数が従来構成よりも少なく、スイッチ回路の数も少ないので、スイッチ動作の時間的遅れによる誤差の発生やスイッチングノイズによる誤差の発生を低減できるので、従来構成よりも測距精度の低下を抑えることができる。
【0026】
本実施形態では、PSD4の出力I1 ,I2 がI1 =I2 の場合について説明したが、I1 >I2 ,I1 <I2 いずれの場合においても従来構成に比べて、距離や変位の誤差(測距誤差)を低減でき、分解能の低下を防ぐことができる。
ところで、この種の装置において、PSD4の出力I1 ,I2 がI1 =I2 となるのは、光学的測距範囲の中央を意味するが、特に高精度な変位測定を要求する場合、物体Aを測距範囲の中央近辺に設置することが行われる。これは、PSD4の直線性の良い部分を使用し、また、測距範囲の中央で投光ビームのビーム径を小さくすることにより、投光ビームが有限の大きさを持つことによる誤差の発生を抑えることができるので、光学的な誤差の発生が起こりにくいからである。このため、測距範囲の中央で変位の誤差を小さくできることは特に重要である。
【0027】
また、本実施形態ではスイッチ回路191,192の切換タイミング(制御信号t1の周期)は、図2(f)に示すようにレーザダイオード1を発光させる変調信号(発振器6の原発振信号)の一周期毎としているが、前記変調信号の周期の整数倍周期毎とすることで制御信号t1の周期を長くすることにより、スイッチ回路191,192の切換時に発生するノイズの位置信号への影響を抑制し、このようなノイズによる誤差の発生を防止することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、第1の演算部20及び第2の演算部12が電圧入力となっているので、I/V変換回路71 ,72 を必要としているが、電流入力・出力の演算部を用いれば、I/V変換回路71 ,72 は不要となる。
(実施形態2)
図3に本実施形態の装置の回路ブロック図を示す。本装置は、実施形態1の装置と比較して第2の演算部の構成が異なり、第2の演算部12において距離を求める演算式が実施形態1の装置と異なる。第2の演算部12から出力されるアナログ信号は、光学的非線形性を補正する時に用いられる演算式(V1 −V2 )/(V1 +k×V2 )で求められる値となる。ここで、V1 ,V2 はそれぞれLPF111 ,112 の出力信号であり、kは光学的非線形性を補正するための定数である。この演算式を用いることにより、物体Aの表面の反射率や受光量の総和にかかわらず(特開昭63−108218号公報で提案されている装置と同様に)PSD4の出力信号I1 ,I2 を正規化して物体までの変位(又は距離)に対応する信号が得られる。
【0029】
以下、本装置の動作について説明する。
本実施形態では、位置信号I1 ,I2 が図4(a),(b)に示すように大きさの異なる場合について図4を参照しながら説明する。各I/V変換回路71 ,72 からの電圧信号Va1 ,Va2 は第1の演算部20にて減算及び加算が行われて、第1の演算部20からVa1 −Va2 ,Va1 +Va2 の信号がそれぞれ出力されてスイッチ回路191 に入力される。スイッチ回路191 は、タイミング回路10から出力され、駆動回路5を通じてレーザダイオード1を発光させる発振器6の原発振信号の1周期毎に反転する制御信号t1 (図4(f)参照)により切り換えられるので、信号Va1 −Va2 ,Va1 +Va2 に基づいて図4(c)に示すような1つの電圧信号Vaが出力される。ここで、電圧信号Vaが図4(c)に示すような信号になるのは、Va1 +Va2 >Va1 −Va2 だからである。増幅器8は、スイッチ回路191 から入力された電圧信号Vaを適当レベルにまで増幅する。増幅器8にて増幅された電圧信号Vaは同期検波回路9に入力される。同期検波回路9は、タイミング回路10から出力される検波タイミング信号t2 (図4(d)参照)によって電圧信号Vaを同期検波した信号Vd(図4(e)参照)を第2の演算部12へ出力する。ここで、検波タイミング信号t2 は発振器6の原発振信号の周期と一致させてある。
【0030】
第2の演算部12の演算回路21では、同期検波回路9にて検波された信号Vdに基づいて3つの信号Vd1 −Vd2 ,Vd1 ,Vd2 の信号を出力する。すなわち、演算回路21では、まず、検波タイミング信号t2 による同期検波回路9の出力信号Vd(図4(e))を平均化することで第1の位置信号に対応する出力信号Vd1 が得られ、出力信号Vdのうち位置信号I1 ,I2 の減算を行った部分に対応する部分をタイミング信号t1 で反転することで図4(g)に示すような信号Vd’を得て、信号Vd’を平均化(LPFで積分)することで第2の位置信号に対応する出力信号Vd2 を得ている。また、例えば、Vd1 からVd2 を減算することで信号Vd1 −Vd2 (図4(h)参照)を得ている。ここで、演算回路21の各出力Vd1 −Vd2 ,Vd1 ,Vd2 はそれぞれ積分回路からなるLPF111 ,112 ,113 にて積分されて直流成分(積分値)として取り出される。
【0031】
そして、加算器13にて、LPF112 ,113 の出力信号に基づいてVd1 +k×Vd2 という演算が行わる。すなわち、演算部12においては、LPF112 ,113 から出力される信号をV1 ,V2 とし、加算器13から出力される信号をV1 +k×V2 、LPF111 から出力される信号をV1 −V2 としたとき(V1 −V2 )/(V1 +k×V2 )という演算処理が行われ物体Aまでの変位(や距離)を示すアナログ信号が出力される。
上記構成によれば、図11に示した従来構成の不具合を回避することができる。すなわち、本装置では、一対の位置信号を、スイッチ回路191 により混合して1つの信号にする前に、2つの位置信号の減算を行うので、PSD4から出力される位置信号I1 ,I2 の同相ノイズを除去することができ、従来構成よりも求められる距離や変位の誤差(測距誤差)を低減できる。また、従来構成よりも距離や変位の誤差を低減することができるから、分解能の低下を防ぐことができる。なお、本装置は、信号の減算及び加算に至るまでの回路数が従来構成よりも少なく、スイッチ回路の数も少ないので、スイッチ動作の時間的遅れによる誤差の発生やスイッチングノイズによる誤差の発生を低減できるので、従来構成よりも測距精度の低下を抑えることができる。
【0032】
(実施形態3)
図5に本実施形態の装置の回路ブロック図を示す。本装置は、実施形態1の装置と比較して同期検波回路9に供給されるタイミング信号及び第2の演算部12の構成が異なり、第2の演算部12において距離を求める演算式が実施形態1の装置と異なる。第2の演算部12から出力されるアナログ信号は、実施形態2と同様に光学的非線形性を補正する時に用いられる演算式(V1−V2)/(V1+k×V2)で求められる値となる。なお、他の構成及びその基本的な動作(図6(a)〜(c)及び図6(f)参照)については図3に示した実施形態2と共通である(図4(a)〜(c)及び図4(f)参照)から説明は省略する。ここで、本装置では、同期検波回路9に提供されるタイミング信号t3が、図6(f)に示す制御信号t1と比べて位相が略90度異なるので、同期検波回路9の出力信号Vdが図6(e)のような波形になる。ここで、制御信号t1は、実施形態2で述べたように、タイミング回路10から出力され、駆動回路5を通じてレーザダイオード1を発光させる発振器6の原発振信号の1周期毎に反転する信号である。
【0033】
第2の演算部12の演算回路21では、同期検波回路9にて検波された信号(位置信号)VdをLPFで平均化(積分)することでVd2 を、信号Vdの差演算部分をタイミング信号t1 で反転・抽出することで図6(g)に示すような信号Vd1 −Vd2 を得て、Vd1 −Vd2 ,Vd2 をそれぞれLPF111 ,112 へ出力する。LPF111 ,112 では、それぞれVd1 −Vd2 ,Vd2 が積分されて直流成分(積分値)として取り出される。
【0034】
そして、加算器13にてLPF111 ,112 の出力信号に基づいてVd1 +k×Vd2 という演算が行わる。すなわち、演算部12においては、加算器13から出力される位置信号をV1 +k×V2 、LPF111 から出力される位置信号をV1 −V2 としたとき(V1 −V2 )/(V1 +k×V2 )という演算処理が行われ物体Aまでの距離を示すアナログ信号が出力される。
【0035】
上記構成によれば、図11に示した従来構成の不具合を回避することができる。すなわち、本装置では、一対の位置信号を、スイッチ回路191 により混合して1つの信号にする前に、2つの位置信号の減算を行うので、PSD4から出力される位置信号I1 ,I2 の同相ノイズを除去することができ、従来構成よりも求められる距離や変位の誤差(測距誤差)を低減できる。また、従来構成よりも距離や変位の誤差を低減することができるから、分解能の低下を防ぐことができる。なお、本装置は、信号の減算及び加算に至るまでの回路数が従来構成よりも少なく、スイッチ回路の数も少ないので、スイッチ動作の時間的遅れによる誤差の発生やスイッチングノイズによる誤差の発生を低減できるので、従来構成よりも測距精度の低下を抑えることができる。
【0036】
(実施形態4)
図7に本実施形態の装置の回路ブロック図を示す。本装置の基本構成は実施形態3の装置(図5参照)と略同じであり、第1の演算部20で行われる演算及びその出力信号が異なる。すなわち、本装置の第1の演算部20は、減算器のみを有しており、I/V変換回路71 ,72 からの位置信号Va1 ,Va2 とした時、Va1 −Va2 ,Va1 を出力する。このため、PSD4から出力される位置信号I1 ,I2 が実施形態3と同様に、図8(a),(b)のような信号の場合、スイッチ回路19の出力信号Vaは、図8(c)に示すような波形になる。
【0037】
その他の構成及び動作は実施形態3と略同じなので、説明を省略するが、上記構成によれば、図11に示した従来構成の不具合を回避することができる。すなわち、本装置では、一対の位置信号を、スイッチ回路191 により混合して1つの信号にする前に、2つの位置信号の減算を行うので、PSD4から出力される位置信号I1 ,I2 の同相ノイズを除去することができ、従来構成よりも求められる距離や変位の誤差(測距誤差)を低減できる。また、従来構成よりも距離や変位の誤差を低減することができるから、分解能の低下を防ぐことができる。なお、本装置は、信号の減算及び加算に至るまでの回路数が従来構成よりも少なく、スイッチ回路の数も少ないので、スイッチ動作の時間的遅れによる誤差の発生やスイッチングノイズによる誤差の発生を低減できるので、従来構成よりも測距精度の低下を抑えることができる。

【0038】
(実施形態5)
図9に本実施形態の装置の回路ブロック図を示す。本装置の基本構成は実施形態3の装置(図5参照)と略同じであり、第1の演算部20で行われる演算及びその出力信号が異なる。すなわち、本装置の第1の演算部20は、減算器のみを有しており、I/V変換回路71 ,72 からの位置信号Va1 ,Va2 とした時、Va1 −Va2 ,Va2 を出力する。このため、PSD4から出力される位置信号I1 ,I2 が実施形態3と同様に、図10(a),(b)のような信号の場合、スイッチ回路19の出力信号(電圧信号)Vaは、図10(c)に示すような波形になる。
【0039】
ここで、本装置では、同期検波回路9に提供されるタイミング信号t2 (図10(d)参照)が従来例と同じであり、同期検波回路9の出力信号(電圧信号)Vdが図6(e)のような波形になる。
第2の演算部12の演算回路21では、同期検波回路9にてタイミング信号t2 で検波された信号Vdをタイミング信号t1 (図10(f)参照)で抽出することで図10(g)に示すような信号Vd2 及び図10(h)に示すような信号Vd−Vd2 を得て、信号Vd−Vd2 ,Vd2 をそれぞれLPF111 ,112 へ出力する。LPF111 ,112 では、それぞれVd1 −Vd2 ,Vd2 が積分されて直流成分(積分値)として取り出される。そして、加算器13にてLPF111 ,112 の出力信号に基づいてVd1 +k×Vd2 という演算が行わる。すなわち、演算部12においては、加算器13から出力される信号をV1 +k×V2 、LPF111 から出力される信号をV1 −V2 としたとき(V1 −V2 )/(V1 +k×V2 )という演算処理が行われ物体Aまでの距離を示すアナログ信号が出力される。
【0040】
その他の構成及び動作は実施形態3と略同じなので、説明を省略するが、上記構成によれば、図11に示した従来構成の不具合を回避することができる。すなわち、本装置では、一対の位置信号を、スイッチ回路191 により混合して1つの信号にする前に、2つの位置信号の減算を行うので、PSD4から出力される位置信号I1 ,I2 の同相ノイズを除去することができ、従来構成よりも求められる距離や変位の誤差(測距誤差)を低減できる。また、従来構成よりも距離や変位の誤差を低減することができるから、分解能の低下を防ぐことができる。なお、本装置は、信号の減算及び加算に至るまでの回路数が従来構成よりも少なく、スイッチ回路の数も少ないので、スイッチ動作の時間的遅れによる誤差の発生やスイッチングノイズによる誤差の発生を低減できるので、従来構成よりも測距精度の低下を抑えることができる。
【0041】
なお、実施形態2乃至実施形態5では、演算部12で(V1 −V2 )/(V1 +k×V2 )という演算処理を行うのに、増幅器や抵抗器を必要としないが、従来は(V1 −V2 )/(V1 +k×V2 )の演算を行うために増幅器や抵抗器が必要であった。このため、従来例と比べて、増幅器や抵抗器のばらつきによる演算誤差が無く、測距精度の低下がない。また、前記増幅器や抵抗器が温度特性や周波数特性を有することにより発生していた演算誤差を無くすことができるので、測距精度が向上する。
【0042】
【発明の効果】
請求項1の発明は、適宜周期で変調された光ビームを物体に照射して前記物体の表面に投光スポットを形成する投光手段と、前記投光手段から照射された光の前記物体表面での反射光を受光光学系に通して収束させ前記投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まる一対の位置信号を出力する受光手段と、前記各位置信号同士の減算及び加算をして求めたそれぞれの信号を出力する第1の演算部と、前記第1の演算部の各出力信号のいずれかを前記光ビームの変調周期の1周期毎に切り換えて選択的に出力する第1のスイッチ回路と、前記第1のスイッチ回路の出力信号を前記光ビームの変調周期に同期して検波する同期検波手段と、前記同期検波手段の出力信号に基づいて前記物体の基準位置からの変位を演算する第2の演算部とを備えているので、前記各位置信号は前記第1の演算部で減算及び加算が行われるから、前記各位置信号に同相のノイズが存在しても、前記第1の演算部での減算により前記ノイズが除去され、その結果、前記第2の演算部から出力される変位の誤差を低減することができるという効果がある。
【0043】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、第2の演算部が、第1のスイッチ回路に同期するように切り換えられ同期検波手段の出力信号を減算信号及び加算信号に分離してそれぞれ出力する第2のスイッチ回路と、前記減算信号を積分して積分値を出力する第1の積分回路と、前記加算信号を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値を前記第2の積分回路の積分値で除算してその除算値を出力する除算器とを有するので、前記除算器の出力が変位に相当する値になるという効果がある。
【0044】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、第2の演算部が、同期検波手段の出力信号の信号値を平均化して第1の位置信号を出力する第1の手段と、前記同期検波手段の出力信号のうち位置信号同士を減算した信号に対応する部分を反転した出力信号を平均化して第2の位置信号を出力する第2の手段と、前記同期検波手段の出力信号から減算信号を取り出す第3の手段と、前記第1の手段の出力を積分してその積分値を出力する第1の積分回路と、前記第2の手段の手段の出力を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記減算信号を積分してその積分値を出力する第3の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値と前記第2の積分回路の出力値に光学的非線形性を補正するための所定定数を乗じた値とを加算して出力する加算器と、前記第3の積分回路の出力値を前記加算器の出力値で除算してその除算値を出力する除算器とを有するので、光学的非線形性を補正した変位に相当する値が除算器から出力されるという効果がある。
【0045】
請求項4の発明は、適宜周期で変調された光ビームを物体に照射して前記物体の表面に投光スポットを形成する投光手段と、前記投光手段から照射された光の前記物体表面での反射光を受光光学系に通して収束させ前記投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まる第1、第2の位置信号を出力する受光手段と、前記各位置信号同士の減算及び加算をして求めたそれぞれの信号を出力する第1の演算部と、前記第1の演算部の各出力信号のいずれかを前記光ビームの変調周期の1周期毎に切り換えて選択的に出力するスイッチ回路と、スイッチ回路の出力信号をスイッチ回路が切り換わるタイミング信号と位相が略90度異なるタイミング信号で同期検波する同期検波手段と、前記同期検波手段の出力信号に基づいて前記物体の基準位置からの変位を演算する第2の演算部とを備えているので、前記各位置信号に同相のノイズが存在しても、前記第1の演算部での減算により前記ノイズが除去され、その結果、前記第2の演算部から出力される変位の誤差を低減することができるという効果がある。
【0046】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、第2の演算部が、同期検波手段の出力信号のうち位置信号同士を減算した信号に対応する部分をスイッチ回路が切り換わるタイミング信号と同じタイミング信号で反転・抽出することで第1の位置信号から第2の位置信号を減算した減算信号を出力する第1の手段と、同期検波手段の出力信号を平均化して第2の位置信号を出力する第2の手段と、第1の手段の出力を積分してその積分値を出力する第1の積分回路と、前記第2の手段の出力を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値と前記第2の積分回路の出力値とを加算することにより第3の出力値を求め且つ前記第2の積分回路の出力値に光学的非線形性を補正するための所定定数を乗じた値と前記第3の出力値とを加算して出力する加算器と、前記第1の積分回路の出力値を前記加算器の出力値で除算してその除算値を出力する除算器とを有するので、光学的非線形性を補正した変位に相当する値が前記除算器から出力されるという効果がある。
【0047】
請求項6の発明は、適宜周期で変調された光ビームを物体に照射して前記物体の表面に投光スポットを形成する投光手段と、前記投光手段から照射された光の前記物体表面での反射光を受光光学系に通して収束させ前記投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まる第1、第2の位置信号を出力する受光手段と、前記第1の位置信号から前記第2の位置信号を減算した信号及び前記第1の位置信号を出力する第1の演算部と、前記第1の演算部の出力信号のいずれかを前記光ビームの変調周期の1周期毎に切り換えて選択的に出力するスイッチ回路と、前記スイッチ回路の出力信号を前記スイッチ回路が切り換わるタイミング信号が略90度異なるタイミング信号で同期検波する同期検波手段と、前記同期検波手段の出力信号に基づいて前記物体の基準位置からの変位を演算する第2の演算部とを備えているので、前記各位置信号に同相のノイズが存在しても、前記第1の演算部での減算により前記ノイズが除去され、その結果、前記第2の演算部から出力される変位の誤差を低減することができるという効果がある。
【0048】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、第2の演算部が、同期検波手段の出力信号のうち位置信号同士を減算した信号に対応する部分を第1のスイッチ回路が切り換わるタイミング信号と同じタイミング信号で反転・抽出することで第1の位置信号から第2の位置信号を減算した減算信号を出力する第1の手段と、同期検波手段の出力信号を平均化して第2の位置信号を出力する第2の手段と、第1の手段の出力を積分してその積分値を出力する第1の積分回路と、前記第2の手段の出力を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値と前記第2の積分回路の出力値とを加算することにより第3の出力値を求め且つ前記第2の積分回路の出力値に光学的非線形性を補正するための所定定数を乗じた値と前記第3の出力値とを加算して出力する加算器と、前記第1の積分回路の出力値を前記加算器の出力値で除算してその除算値を出力する除算器とを有するので、前記除算器の出力が光学的非線形性を補正した変位に相当する値が前記除算器から出力されるという効果がある。
【0049】
請求項8の発明は、適宜周期で変調された光ビームを物体に照射して前記物体の表面に投光スポットを形成する投光手段と、前記投光手段から照射された光の前記物体表面での反射光を受光光学系に通して収束させ前記投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まる第1、第2の位置信号を出力する受光手段と、前記第1の位置信号から前記第2の位置信号を減算した信号及び前記第2の位置信号を出力する第1の演算部と、前記第1の演算部の出力信号のいずれかを前記光ビームの変調周期の1周期毎に切り換えて選択的に出力するスイッチ回路と、前記スイッチ回路の出力信号を前記光ビームの変調周期に同期して検波する同期検波する同期検波手段と、前記同期検波手段の出力信号に基づいて前記物体の基準位置からの変位を演算する第2の演算部とを備えているので、前記各位置信号に同相のノイズが存在しても、前記第1の演算部での減算により前記ノイズが除去され、その結果、前記第2の演算部から出力される変位の誤差を低減することができるという効果がある。
【0050】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、第2の演算部が、同期検波手段の出力信号をスイッチ回路が切り換わるタイミング信号で抽出することにより第2の位置信号及び減算信号を出力する手段と、前記手段から出力された減算信号を積分してその積分値を出力する第1の積分回路と、前記手段から出力された第2の位置信号を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値と前記第2の積分回路の出力値とを加算することにより第3の出力値を求め且つ前記第2の積分回路の出力値に光学的非線形性を補正するための所定定数を乗じた値と前記第3の出力値とを加算して出力する加算器と、前記第1の積分回路の出力値を前記加算器の出力値で除算してその除算値を出力する除算器とを有するので、前記除算器の出力が光学的非線形性を補正した変位に相当する値が前記除算器から出力されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示す回路ブロック図である。
【図2】同上の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】実施形態2を示す回路ブロック図である。
【図4】同上の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】実施形態3を示す回路ブロック図である。
【図6】同上の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】実施形態4を示す回路ブロック図である。
【図8】同上の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】実施形態5を示す回路ブロック図である。
【図10】同上の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】従来例を示す回路ブロック図である。
【図12】同上の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図13】同上の動作を説明するための他のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 レーザダイオード
4 PSD
6 発振器
7 電流電圧変換回路(I/V変換回路)
8 増幅器
9 同期検波回路
10 タイミング回路
111 ,112 ローパスフィルタ(LPF)
12 第2の演算部
191 ,192 スイッチ回路
20 第1の演算部
A 物体
1 ,I2 位置信号

Claims (9)

  1. 適宜周期で変調された光ビームを物体に照射して前記物体の表面に投光スポットを形成する投光手段と、前記投光手段から照射された光の前記物体表面での反射光を受光光学系に通して収束させ前記投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まる一対の位置信号を出力する受光手段と、前記各位置信号同士の減算及び加算をして求めたそれぞれの信号を出力する第1の演算部と、前記第1の演算部の各出力信号のいずれかを前記光ビームの変調周期の1周期毎に切り換えて選択的に出力する第1のスイッチ回路と、前記第1のスイッチ回路の出力信号を前記光ビームの変調周期に同期して検波する同期検波手段と、前記同期検波手段の出力信号に基づいて前記物体の基準位置からの変位を演算する第2の演算部とを備えて成ることを特徴とする光学式変位測定装置。
  2. 第2の演算部は、第1のスイッチ回路に同期するように切り換えられ同期検波手段の出力信号を減算信号及び加算信号に分離してそれぞれ出力する第2のスイッチ回路と、前記減算信号を積分して積分値を出力する第1の積分回路と、前記加算信号を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値を前記第2の積分回路の積分値で除算してその除算値を出力する除算器とを有することを特徴とする請求項1記載の光学式変位測定装置。
  3. 第2の演算部は、同期検波手段の出力信号の信号値を平均化して第1の位置信号を出力する第1の手段と、前記同期検波手段の出力信号のうち位置信号同士を減算した信号に対応する部分を反転した出力信号を平均化して第2の位置信号を出力する第2の手段と、前記同期検波手段の出力信号から減算信号を取り出す第3の手段と、前記第1の手段の出力を積分してその積分値を出力する第1の積分回路と、前記第2の手段の手段の出力を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記減算信号を積分してその積分値を出力する第3の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値と前記第2の積分回路の出力値に光学的非線形性を補正するための所定定数を乗じた値とを加算して出力する加算器と、前記第3の積分回路の出力値を前記加算器の出力値で除算してその除算値を出力する除算器とを有することを特徴とする請求項1記載の光学式変位測定装置。
  4. 適宜周期で変調された光ビームを物体に照射して前記物体の表面に投光スポットを形成する投光手段と、前記投光手段から照射された光の前記物体表面での反射光を受光光学系に通して収束させ前記投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まる第1、第2の位置信号を出力する受光手段と、前記各位置信号同士の減算及び加算をして求めたそれぞれの信号を出力する第1の演算部と、前記第1の演算部の各出力信号のいずれかを前記光ビームの変調周期の1周期毎に切り換えて選択的に出力するスイッチ回路と、スイッチ回路の出力信号をスイッチ回路が切り換わるタイミング信号と位相が略90度異なるタイミング信号で同期検波する同期検波手段と、前記同期検波手段の出力信号に基づいて前記物体の基準位置からの変位を演算する第2の演算部とを備えて成ることを特徴とする光学式変位測定装置。
  5. 第2の演算部は、同期検波手段の出力信号のうち位置信号同士を減算した信号に対応する部分をスイッチ回路が切り換わるタイミング信号と同じタイミング信号で反転・抽出することで第1の位置信号から第2の位置信号を減算した減算信号を出力する第1の手段と、同期検波手段の出力信号を平均化して第2の位置信号を出力する第2の手段と、第1の手段の出力を積分してその積分値を出力する第1の積分回路と、前記第2の手段の出力を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値と前記第2の積分回路の出力値とを加算することにより第3の出力値を求め且つ前記第2の積分回路の出力値に光学的非線形性を補正するための所定定数を乗じた値と前記第3の出力値とを加算して出力する加算器と、前記第1の積分回路の出力値を前記加算器の出力値で除算してその除算値を出力する除算器とを有することを特徴とする請求項4記載の光学式変位測定装置。
  6. 適宜周期で変調された光ビームを物体に照射して前記物体の表面に投光スポットを形成する投光手段と、前記投光手段から照射された光の前記物体表面での反射光を受光光学系に通して収束させ前記投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まる第1、第2の位置信号を出力する受光手段と、前記第1の位置信号から前記第2の位置信号を減算した信号及び前記第1の位置信号を出力する第1の演算部と、前記第1の演算部の出力信号のいずれかを前記光ビームの変調周期の1周期毎に切り換えて選択的に出力するスイッチ回路と、前記スイッチ回路の出力信号を前記スイッチ回路が切り換わるタイミング信号が略90度異なるタイミング信号で同期検波する同期検波手段と、前記同期検波手段の出力信号に基づいて前記物体の基準位置からの変位を演算する第2の演算部とを備えて成ることを特徴とする光学式変位測定装置。
  7. 第2の演算部は、同期検波手段の出力信号のうち位置信号同士を減算した信号に対応する部分を第1のスイッチ回路が切り換わるタイミング信号と同じタイミング信号で反転・抽出することで第1の位置信号から第2の位置信号を減算した減算信号を出力する第1の手段と、同期検波手段の出力信号を平均化して第2の位置信号を出力する第2の手段と、第1の手段の出力を積分してその積分値を出力する第1の積分回路と、前記第2の手段の出力を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値と前記第2の積分回路の出力値とを加算することにより第3の出力値を求め且つ前記第2の積分回路の出力値に光学的非線形性を補正するための所定定数を乗じた値と前記第3の出力値とを加算して出力する加算器と、前記第1の積分回路の出力値を前記加算器の出力値で除算してその除算値を出力する除算器とを有することを特徴とする請求項6記載の光学式変位測定装置。
  8. 適宜周期で変調された光ビームを物体に照射して前記物体の表面に投光スポットを形成する投光手段と、前記投光手段から照射された光の前記物体表面での反射光を受光光学系に通して収束させ前記投光スポットの像として形成された受光スポットの位置に応じて信号値の比が決まる第1、第2の位置信号を出力する受光手段と、前記第1の位置信号から前記第2の位置信号を減算した信号及び前記第2の位置信号を出力する第1の演算部と、前記第1の演算部の出力信号のいずれかを前記光ビームの変調周期の1周期毎に切り換えて選択的に出力するスイッチ回路と、前記スイッチ回路の出力信号を前記光ビームの変調周期に同期して検波する同期検波する同期検波手段と、前記同期検波手段の出力信号に基づいて前記物体の基準位置からの変位を演算する第2の演算部とを備えて成ることを特徴とする光学式変位測定装置。
  9. 第2の演算部は、同期検波手段の出力信号をスイッチ回路が切り換わるタイミング信号で抽出することにより第2の位置信号及び減算信号を出力する手段と、前記手段から出力された減算信号を積分してその積分値を出力する第1の積分回路と、前記手段から出力された第2の位置信号を積分してその積分値を出力する第2の積分回路と、前記第1の積分回路の出力値と前記第2の積分回路の出力値とを加算することにより第3の出力値を求め且つ前記第2の積分回路の出力値に光学的非線形性を補正するための所定定数を乗じた値と前記第3の出力値とを加算して出力する加算器と、前記第1の積分回路の出力値を前記加算器の出力値で除算してその除算値を出力する除算器とを有することを特徴とする請求項8記載の光学式変位測定装置。
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