JP3661239B2 - グロメット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の貫通穴にワイヤハーネスを挿通した状態で取り付けるグロメットに関し、詳しくは、グロメットの取付作業性を改善できるようにするものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用のワイヤハーネスでは、図5(A)(B)に示すように、車体1の貫通穴2を貫通させてワイヤハーネスW/Hを配索する場合、ゴム製のグロメット3の小径部3aにワイヤハーネスW/Hを挿通させ、この状態でグロメット3を室内4側から室外5側に向けて貫通穴2に挿入し、室外側よりグロメット3を引っ張って引き出し、大径部3bの外周に設けた係止凹部3dを貫通穴2の内縁に係止することにより、グロメット3を車体1の貫通穴2に取り付けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記グロメット3を車体1の貫通穴2に取り付ける際は、図6(A)のように、小径部3aは貫通孔2にスムーズに挿入されるが、該小径部3aに連続する大径部3bの円錐状部3cが、図6(B)のように、貫通穴2の内縁に接触する。
このとき、ゴム製の円錐状部3cの外周接触部分の摩擦係数が大きいため、室外5側からグロメット3を引っ張って室外5方向へ引き出しているが、その時、大きな引き抜く力を要する。さらに、図6(C)のように、さらにグロメット3を引っ張ると、弾力に抗して円錐状部3cが縮径されるから、引き抜く力もさらに大きくなり、引き抜き作業性が悪くなる。
【0004】
上記各引き抜き作業性を向上させるために、大径部3aの円錐状の外周接触部面に潤滑油を塗布する場合もあるが、塗布工程が必要であると共に、潤滑油に埃が付着し易すいと共に、潤滑油が他の部材に付着する問題があり、さらに、人手によるため塗布厚みが一定しない問題もある。
【0005】
また、グロメット3の装着作業時、円錐状部を押圧しながら引き出した後、図6(D)のように、大径部3bの開口端側に設けた係止凹部3dを貫通穴2の内縁に係合して、グロメット3が貫通穴2に取り付けられる。
このとき、引き抜き力が大きく、かつ、グロメット3がゴムからなる弾性体であるため、大径部3bの係止凹部3dが貫通穴2の内縁に確実に係合したことの節度感が得にくく、取り付けが不完全になることがある。
【0006】
さらに、通常は、上記のように室内側から挿入したグロメット3を室外側から引っ張って引き出しているが、室外側に引き出し用のスペースが無いときは、グロメット3の大径部3bを室内4側から押し込むこともある。その場合、図6(E)に示すように、大径部3bや係止凹部3dが変形して貫通穴2の内縁に噛み込み、外周凹部3dが貫通穴2の内縁に係合できないことがある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、グロメットの引き抜きや押し込み作業性が良好になることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、ワイヤハーネスを挿通させる小径部と、該小径部と連続する大径部とを備え、該大径部の開口端側の外周に設けた係止凹部を車体貫通孔の周縁に係止させる弾性体からなるグロメットにおいて、
車体装着時に貫通孔内周面に接触する大径部の外周面で該大径部の傾斜角度を変えて、この貫通穴内周面との接触位置から上記係止凹部に至る大径部外周面に厚肉部と薄肉部とが一体成形され、
上記厚肉部の外周面に摩擦係数が小さい平滑材が貼着または一体成形されていることを特徴とするグロメットを提供している。
【0009】
上記構成とすると、グロメットの大径部の外周面の厚肉部の外周面に貼着またはインサートモールドで一体成形した平滑材により摩擦係数が小さくなっているため、グロメットを車体の貫通穴の挿入する時、挿入抵抗が小さくなり、グロメットの引き抜きや押し込み力が小さくなる。
【0010】
また、本発明は、ワイヤハーネスを挿通させる小径部と、該小径部と連続する大径部とを備え、該大径部の開口端側の外周に設けた係止凹部を車体貫通孔の周縁に係止させる弾性体からなるグロメットにおいて、
車体装着時に貫通孔内周面に接触する大径部の外周面で該大径部の傾斜角度を変えて、この貫通穴内周面との接触位置から上記係止凹部に至る大径部外周面に厚肉部と薄肉部とが一体成形され、
上記厚肉部と薄肉部とを周方向に交互に設けられいるグロメットを提供している。
【0011】
これら薄肉部と、薄肉としていない厚肉部との面積比率は約50%ずつとすることが好ましい。
【0012】
上記構成とすると、グロメットの大径部の外周面に設けた薄肉部は、グロメット挿入時に貫通孔の内周面に非接触となり、その分だけ摩擦係数も小さくなり、よって、引き抜きや押し込み力が小さくなる。
【0013】
削除
【0014】
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【0015】
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【0016】
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【0017】
さらに、本発明のグロメットでは、上記大径部の開口端面より上記係止凹部の位置を越えて小径側へと延在する小孔を所定の角度間隔をあけて形成し、該小孔に剛性を有するピンが押し込まれている構成としても良い。
【0018】
削除
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、ゴム製のグロメット7は、ワイヤハーネスW/Hを挿通させる小径部7aと、係止凹部7dを外周に設けた大径部7bとを備えている。該大径部7bの外周面は、小径部7a側より大径部開口端側に向かって円錐形状に拡径しており、開口端側に隣接して上記係止凹部7dを設けている。
【0020】
上記グロメット7を車体1の貫通穴2に挿通する時、貫通穴2の内周面に接触して弾力に抗して縮径される大径部7bの外周面には、図1(A)(D)に示すように接触点より傾斜角度を変えて、係止凹部7dより小径側7aにかけた範囲S(円錐状部7cを除く)に、等角度間隔(例えば、15度置き…幅としては5〜10mm程度)で、薄肉部7h(上記の例では12個)を形成し、該薄肉部7hは貫通孔2の内周面に接触しないようにしている。
【0021】
該薄肉部7hの間の厚肉部7gの外面には、例えば塩化ビニールのような平滑材8(図1(A)中でクロスハッチングで示す)を接着剤を介して貼着している。なお、貼着する代わりに、インサートモールドで一体成形してもよい。
【0022】
なお、上記薄肉部7hを設けずに、厚肉部7gとしたままで、外周面に平滑材8を貼着あるいは一体成形してもよい。あるいは、薄肉部7hを形成しただけでも摩擦係数が少なくなるので、厚肉部7gの外面に平滑材を貼着あるいは一体成形しなくてもよい。
【0023】
上記薄肉部7hの分布は図1(A)に示す分布に限定されず、円形凹部を点在させても良いし、また、円周方向に螺旋状に連続させて形成してもよい。しかしながら、同一周方向に円環形状に薄肉部を設けると、係止凹部7dに近似して該薄肉部に貫通孔が当接した位置で係止されたと間違う恐れがあるため、円環形状とせずに周方向のいずれかの部分において厚肉部を残しておくことが必要である。
【0024】
さらに、グロメット7には、図1(B)(D)に示すように、上記大径部7bの開口端面より、底部側にかけて、内周面より突出部7jを90度間隔をあけて設け、各突出部7jに開口端側より小孔7iを穿設している。小孔7iの深さは、開口端より係止凹部7dの形成位置を越えて小径部7a側へと延在させている。なお、小孔7iを設けた突出部7jは所要の間隔、例えば、180度間隔をあけて設けてもよい。
【0025】
該各小孔7iには、図2及び図4に示すように、大径部7bの端面の形状a[図1(B)参照]に合わせたフランジ部9aを有する剛性を有する合成樹脂製のピン9をそれぞれ押し込んでいる。各小孔7iには係止凹部7dに隣接した小径側の位置に拡径部7kを設ける一方、各ピン9には、挿入状態において、小径側から係止凹部7dに向かって円錐状に拡径する突起9bを設け、該突起9bを拡径部7kに圧入している。
なお、ピン9は、突起9bを設けていないものであってもよい。その場合には、小孔7iには拡径部7kを設けていない。
【0026】
上記構成からなるグロメット7によれば、グロメット7を室内5側より小径部7aを挿入して、車体1の貫通穴2の挿入する時、大径部7bの厚肉部7gが貫通穴2の内周面に接触すると、厚肉部7gは、平滑材8により摩擦係数が小さくなっているため、室外5側からの引き出す場合には引き抜き力を低減できる。一方、室内4側からの押し込む場合も、押し込み力を低減できる。
また、大径部7bの外周面には薄肉部7hが設けられているため、この薄肉部7hの分だけ摩擦係数が小さくなり、この点からも引き抜き力や押し込み力が小さくなる。
【0027】
一方、グロメット7の大径部7bを室内4側から押し込む時は、剛性のピン9を大径部7bに挿入しているため、係止凹部7dがつぶれるように大径部7bの外周部が変形しにくいから、係止凹部7dに貫通穴2を確実に係止できる。また、ピン9の突起9bにより、大径部7bの係止凹部7dが貫通穴2に係合するまでは、押し込み力が除々に増加し、係合すると同時に、押し込み力が急激に減少する。これにより、係止凹部7dに貫通孔2が係止した節度感を与えることができる。
【0028】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のグロメットでは、大径部の厚肉部の外周面に平滑材を貼着あるいは一体成形しているため、グロメットを車体の貫通穴の挿入する時、大径部の厚肉部の外周面の摩擦係数が小さいなり、引き抜き力や押し込み力を小さくでき、引き抜きや押し込み作業性を改善できる。しかも、従来のような潤滑油を塗布する必要がないから、塗布工程が不要になり、塗布に起因する諸問題も無くなる。
【0029】
また、本発明のグロメットでは、大径部の外周に車体貫通孔と非接触となる薄肉部を設けているため、グロメットを車体の貫通穴の挿入する時、薄肉部の面積分だけ摩擦係数が小さいから、引き抜きや押し込み力が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のグロメットであり、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は背面図、(D)は断面図である。
【図2】 ピンの斜視図である。
【図3】 グロメットを車体の貫通穴に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図4】 グロメットの小孔とピンの取付部分を示す断面図である。
【図5】 従来のグロメットであり、(A)は車体に取り付ける状態を示す斜視図、
(B)は取付状態を示す断面図である。
【図6】 (A)、(B)、(C)、(D)、(E)は従来のグロメットの問題を説明するための断面図である。
【符号の説明】
W/H ワイヤハーネス
1 車体
2 貫通穴
7 グロメット
7a 小径部
7b 大径部
7d 外周凹部
7g 厚肉部
7h 薄肉部
7i 小孔
8 平滑材
9 ピン
9b 突起
Claims (4)
- ワイヤハーネスを挿通させる小径部と、該小径部と連続する大径部とを備え、該大径部の開口端側の外周に設けた係止凹部を車体貫通孔の周縁に係止させる弾性体からなるグロメットにおいて、
車体装着時に貫通孔内周面に接触する大径部の外周面で該大径部の傾斜角度を変えて、この貫通穴内周面との接触位置から上記係止凹部に至る大径部外周面に厚肉部と薄肉部とが一体成形され、
上記厚肉部の外周面に摩擦係数が小さい平滑材が貼着または一体成形されていることを特徴とするグロメット。 - ワイヤハーネスを挿通させる小径部と、該小径部と連続する大径部とを備え、該大径部の開口端側の外周に設けた係止凹部を車体貫通孔の周縁に係止させる弾性体からなるグロメットにおいて、
車体装着時に貫通孔内周面に接触する大径部の外周面で該大径部の傾斜角度を変えて、この貫通穴内周面との接触位置から上記係止凹部に至る大径部外周面に厚肉部と薄肉部とが一体成形され、
上記厚肉部と薄肉部とを周方向に交互に設けられいるグロメット。 - 上記接触位置から係止凹部に至る厚肉部のグロメット軸線に対する傾斜角度は、接触位置から小径筒部に至る傾斜角度より小さい角度としている請求項1または請求項2に記載のグロメット。
- 上記接触位置から係止凹部に至る薄肉部の外周面は、上記係止凹部の底面と略同一位置としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のグロメット。
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