JP3661179B2 - 高減衰材料組成物 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高減衰材料組成物に関し、更に詳しくは、音響ルームの遮音壁、建築構造体の遮音間仕切り、車両の防音壁等に適用される振動や騒音を吸収する制振材・防音材として好適な高減衰材料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の高減衰材料組成物は、その材料特性として典型的な粘弾性挙動を呈するものであり、その材料微小部が何等かの原因で振動すると、夫々の材料微小部に、複素正弦歪(ε)が発生し、これにより複素正弦応力(σ)が発生する。複素弾性係数(E)は、次式に示したように、これらの比をとったものである。
複素弾性係数(E)=複素正弦応力(σ)/複素正弦歪(ε
【0003】
この複素弾性係数(E)の実数部は、材料の弾性的な性質に係る貯蔵弾性係数(E’)と定義され、その虚数部は、材料の粘性的な性質に係る損失弾性係数(E”)と定義される。減衰特性を示す損失正接(tanδ)は、次式に示したように、これらの比をとったものである。
損失正接(tanδ)=損失弾性係数(E”)/貯蔵弾性係数(E’)
【0004】
この損失正接(以下、単に「tanδ」とする。)は、防音・制振特性を決定する因子の一つであり、この値が高いほど力学的エネルギーを電気或いは熱エネルギーとして吸収・放出して、優れた吸音性や制振性等の機械特性を示すことが知られている。従来、高減衰材料組成物のtanδとして求められていた値は、0.5以上である。
【0005】
この従来の要求特性を満たした高減衰材料組成物として、例えば、高分子系複合材料が知られている。この高分子系複合材料はポリマーアロイをベースポリマーとしており、これに充填剤(マイカ等)や可塑剤を添加し、所定の製造工程を経て得られたものである。この場合に、ベースポリマーとしては各種ゴム、高分子樹脂材料の他に、エラストマー樹脂材料等が用いられている。
【0006】
また、本出願人は先に出願した特願平9−362125号により、極性側鎖を有するベースポリマーに、第2級アミン、第3級アミン及び含窒素複素環より選ばれた塩基を1分子中に2個以上含む塩基性物質を配合したものを提案している。具体的には、ベースポリマーとして塩素化ポリエチレンを用い、これに添加剤として、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド等を配合したもので、tanδピークが1.0を超えており、一応の成果が得られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の高減衰材料組成物は、要求特性(tanδ≧0.5)を超える減衰性を発現しているが、経時的変化によりtanδが低下してしまうものとなっているという問題がある。すなわち、配合されている減衰性付与剤がブリード現象(染み出し)を起こしたり、結晶として析出したりすることによって、tanδが著しく低下してしまうというものである。
【0008】
高減衰材料組成物が高い減衰性を発揮できるのは、ベースポリマーと減衰性付与剤との間に働く相互作用によるものであるが、この相互作用を長期にわたって維持させるためには、ベースポリマー中に減衰性付与剤を均一に分散させ、しかも、その均一な分散状態を長期にわたって維持させる必要がある。
【0009】
これに対して、上述した従来から知られる減衰材料は、高分子のベースポリマーに低分子の減衰性付与剤を単に配合したものなので、成形直後では減衰性付与剤が均一に分散しているが、一方で経時的変化とともに、低分子(減衰性付与剤)の運動及び高分子(ベースポリマー)のセグメント運動により低分子と高分子との相分離が起こり、結晶化したり表面へ拡散しブリード現象を起こしたりするものとなっており、長期にわたって均一な分散を維持することが困難であった。
【0010】
また、低分子の減衰性付与剤を用いた場合、長期にわたり成形直後の状態を維持することが難しくなっているが、代わりに大きな分子量の減衰性付与剤を用いるとその流動を防ぐことができるので長期にわたって成形直後の状態を保つことができる。しかしその反面、大きな分子量の減衰性付与剤を用いた場合の成形直後の状態ではベースポリマー中に均一に分散させることが難しく、ベースポリマーと減衰性付与剤との適切な相互作用を得られていないことから減衰材料としての機能が劣るものとなってしまう。
【0011】
そこで、このような従来の減衰材料の問題点、つまり低分子の減衰性付与剤が流動しやすく、経時変化の大きな要因になっていたことを解決するためには、減衰性付与剤に分子量の大きなものを用い、この大きな分子量の減衰性付与剤をベースポリマー中に均一に分散させて適切な相互作用を得られるようにする必要がある。
【0012】
また更に、減衰材料の減衰特性(tanδ)は温度に依存して発現しているが、従来の減衰材料は、このピーク温度が目的の温度環境より離れているため、その環境において減衰材料が有する減衰性能を十分に発揮できないという問題点がある。この目的の温度環境の中でも特に使用頻度が高いと思われる室温付近(20℃前後)にピーク温度を有するものが求められている。
【0013】
更に現在求められている減衰材料としては、上述したようなピーク温度を室温付近に有するだけでなく、幅広い温度領域で要求特性を超える減衰性を発揮できるものが求められている。図1に示したグラフは減衰性能(tanδ)の温度依存性を示したものであるが、このように広い温度領域で要求特性を超える減衰性を発揮できれば、幅広い温度環境において使用できるものとなり、大変実用性の高いものとなる。
【0014】
しかしながら、従来の減衰材料は図2に示したグラフのように、そのピークが尖鋭状になっており、仮にピーク温度が室温付近にあったとしても、そのピーク温度から僅かに離れた温度では減衰性能が著しく低下してしまうことから、実用性に欠けるものとなっている。
【0015】
この温度領域が狭いことの原因としては、減衰性付与剤とベースポリマーとの間に働く相互作用が単一であることによるものである。複数の相互作用を得るために複数の減衰性付与剤を配合する技術も提案されてはいるものの、経時変化を抑制するためには大きな分子量の減衰性付与剤を用いねばならず、複数の大きな分子量の減衰性付与剤をベースポリマー中に均一に分散させることは一層困難なものとなっている。
【0016】
本発明の解決しようとする課題は、経時的変化が少なく、しかもピーク温度を室温付近に有し、かつ幅広い温度領域で高い減衰性能を発揮することのできる高減衰材料組成物を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の高減衰材料組成物は、極性側鎖を有するベースポリマーに、ポリエチレンイミン系化合物よりなる減衰性付与剤を1種又は2種以上含有させたことを要旨とするものである。
【0018】
この場合に、「極性側鎖を有するベースポリマー」としては、塩素化ポリエチレン或いはポリ塩化ビニルを単独で、又は併用して配合したものを用いる。これらの材料は、他の極性側鎖を有するベースポリマーの中でも特に減衰性が良いことが確認されている。
【0019】
「減衰性付与剤」である「ポリエチレンイミン系化合物」はカチオン性を有することから、これを含有した上記高減衰材料組成物は、相互侵入高分子網目構造を形成し、高分子網目状の結合状態が共有結合で結ばれることなく、3次元的に互いに入り組み重なり合った構造をなしているので、減衰性を付与するポリエチレンイミン系化合物が、長期にわたりベースポリマー中に均一に分散させられ、高い減衰性が長期にわたって発現される。
【0020】
更に、上記したポリエチレンイミン系化合物は分子中に第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンを1:2:1の割合で有するものであるから、これらのアミンがそれぞれベースポリマーと相互作用し、ベースポリマーとの間に複数の相互作用を得ることができるので、幅広い温度領域で減衰性が得られることになる。
【0021】
そして、上記減衰性付与剤として用いたポリエチレンイミン系化合物の好適な分子量としては800〜750,000の範囲が望ましい。この範囲より小さい場合は、経時変化を起こす傾向にある。また、この範囲より大きいと、分散しにくいため減衰性能が低下する傾向にある。また更に、この減衰性付与剤の水溶液濃度は、40重量%以上100重量%未満であることが望ましい。この範囲より小さいと、十分な減衰性を付与できない傾向にある。
【0022】
更に、上記高減衰材料組成物、ポリ(N−ビニルアセトアミド)或いはポリアリルアミン塩酸塩を単独で、又は併用して配合しても良い。これらを配合する、各種形状への射出成形、押出し成形等における材料の加工性が良くなる。
【0023】
上記構成を有する高減衰材料組成物によれば、塩素化ポリエチレン及び/又はポリ塩化ビニルよりなる極性側鎖を有するベースポリマーに、ポリエチレンイミン系化合物よりなる減衰性付与剤を含有させることにより、相互侵入高分子網目構造が形成され、ポリエチレンイミン系化合物とベースポリマーとの相互作用により、長期にわたって成形直後の状態を維持できるものとなるので、高い減衰性を発現し、しかも経時的変化の少ないものとなる。
【0024】
また、この高減衰材料組成物に、ポリ(N−ビニルアセトアミド)及び/又はポリアリルアミン塩酸塩を含有させたものでは、更に材料の加工性も良くなることから、生産性が良くなり、生産コストの低廉化により、一層実用性の高いものとなる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。初めに表1は、ベースポリマーとして塩素化ポリエチレンを用い、これに減衰性付与剤として各種のポリエチレンイミン系化合物を配合したもの(本発明品−実施例1〜3)と、減衰性付与剤を配合していないもの(比較品−比較例1)との比較を示している。
【0026】
【表1】
Figure 0003661179
【0027】
この表1において本発明品の実施例1は、ベースポリマーとしての塩素化ポリエチレン(昭和電工(株)製:商品名「エラスレン401A」)100重量部(以下、単に「phr」と表記する。)に対して、減衰性付与剤としては、分子量が1,300のポリエチレンイミン(BASF社(株)製:商品名「G20waterfree」)を50phr配合し、実施例2については、分子量が2,000のポリエチレンイミン(BASF社(株)製:商品名「PR8515」)を50phr配合し、実施例3については、分子量が25,000のポリエチレンイミン(BASF社(株)製:商品名「WF」)を50phr配合している。このときのポリエチレンイミン系化合物の水溶液濃度は98〜99重量%と濃縮系のものである。
【0028】
次に、実施例品及び比較品による供試材の製作手順について説明すると、まず初めに、上述したベースポリマーである塩素化ポリエチレン100phrに、本発明品の場合には、各実施例の配合成分である減衰性付与剤であるポリエチレンイミンを配合し、これを室温で約15〜20分程度、2本ロールで混練する。次に、この混練材料を熱プレス機により所定の型枠内において、170℃で10分程度溶融プレス成形する。そして更に、0℃の温度条件下、これに130kgf/cmの面圧を掛けて冷却プレス成形し、2mm厚さのシート状に成形する。
【0029】
次に、このように製作された本発明品(実施例1〜3)及び比較品(比較例1)の供試材について、プレス成形直後、及び3ヶ月経過後のtanδのピーク値及びそのtanδがピーク値を示す温度等を測定した。この測定には、株式会社レオロジ社製のスペクトロメータを用い、その測定条件としては、周波数が100Hz(一定)の振動を与え、その供試材の歪量が0.05%(一定)に保たれた状態での温度とtanδの相関関係を調べたものである。
【0030】
その測定結果は、表1に示したように、実施例1〜3のいずれについても、プレス直後において、比較品より高いtanδを発現しており、3ヶ月経過後においても、そのtanδ保持率は99〜101%という値を示して、全く減衰性が低下していないことを示している。つまり、本実施例品1〜3はいずれも長期にわたって高い減衰性能を発揮できるものであることが分かる。
【0031】
また、tanδのピーク値を示すピーク温度についても比較品の場合には常温よりも稍低い温度域にtanδのピーク温度があるのに対して、本実施例品1〜3はいずれもそのtanδのピーク温度が室温付近(20℃前後)にあり、更にプレス直後におけるtanδ>0.5を発現する温度領域についても比較品に比べて本実施例品1〜3はいずれも幅広い温度域でtanδ>0.5を発現することが分かり、室温環境を中心とした幅広い温度領域で高い減衰性能を発現する優れたものとなっている。
【0032】
更に本発明品の実施例1〜3間の比較を行ったときに、減衰性付与剤であるポリエチレンイミン化合物の分子量が小さ過ぎても大き過ぎてもtanδの値が低下する傾向にあり、本実施例1〜3の比較では、実施例2のポリエチレンイミンの分子量が2,000程度のものにおいて最も高いtanδの値を示していることも分かる。
【0033】
以上のことから、本発明品である実施例1〜3と比較品である比較例1に対する総合評価としては、表1に示した通り、高いtanδを発現し、経時変化が少なく、幅広い温度領域(40℃以上)で減衰性を発現するものとなっている本実施例1〜3は全て極めて優れている(◎印)と評価し、比較例1はtanδがあまり高くなく、そのピーク温度が室温環境から離れていることから、不良(×印)と評価した。
【0034】
次の表2は、表1に示した減衰性付与剤であるポリエチレンイミン化合物の水溶液濃度が50〜60重量%に希釈されて低いものを採用し、更にその分子量も表1の場合よりも更に多段階にわたって選択したものについて示したものである。
【0035】
【表2】
Figure 0003661179
【0036】
表2に示されるように、本発明品の実施例4では、ベースポリマーである「エラスレン401A」100phrに対して、減衰性付与剤として、分子量が800のポリエチレンイミン(BASF社(株)製:商品名「FC」)を50phr配合し、実施例5は分子量が1,300のポリエチレンイミン(BASF社(株)製:商品名「G20」)を50phr配合し、実施例6は分子量が2,000のポリエチレンイミン(BASF社(株)製:商品名「G35」)を50phr配合し、実施例7は分子量が5,000のポリエチレンイミン(BASF社(株)製:商品名「G100」)を50phr配合し、実施例8は分子量が25,000のポリエチレンイミン(BASF社(株)製:商品名「HF」)を50phr配合し、実施例9は分子量が750,000のポリエチレンイミン(BASF社(株)製:商品名「P」)を50phrそれぞれ配合している。
【0037】
表2に示した測定結果について説明すると、本発明品の実施例4〜9はいずれも成形直後において比較例1よりも高いtanδを発現しており、3ヶ月経過後においても、そのtanδ保持率は98%〜101%となっており、長期にわたって高い減衰性能を発揮できるものとなっている。また、tanδのピーク温度も室温付近(20℃前後)にあり、更にプレス直後のtanδ>0.5を発現する温度領域も、いずれも比較品よりは幅広い温度域でtanδ>0.5を発現したものとなっている。
【0038】
また、本発明品のこれら実施例4〜9間の比較においては、減衰性付与剤であるポリエチレンイミン化合物の分子量が2000程度において最も高いtanδを示し、それよりも分子量が小さくなるにつれて、また大きくなるにつれてtanδの値が低下する傾向にあることが分かる。また、プレス直後のtanδ>0.5を発現する温度領域についても、実施例6、7、8では比較的広い温度範囲でtanδ>0.5を発現しており、この表2の結果から、減衰性付与剤であるポリエチレンイミン系化合物の適切な分子量の範囲は800〜750,000であり、更に望ましくは1,500〜25,000の範囲内であるといえる。尚、本発明品である実施例4〜9の総合評価は表2に記載されている通りである。
【0039】
また、減衰性付与剤であるポリエチレンイミン系化合物の水溶液濃度が表1に記載の濃縮系のもの(98〜99重量%)と、表2に記載の希釈系のもの(50〜60重量%)とを比較してみると、tanδの値及びtanδ保持率については、どちらもほぼ変わらない値を示しているが、tanδのピーク温度が濃縮系の方は20℃より稍高いところにあるのに対し、希釈系の方は20℃より稍低いところにあり、またプレス直後のtanδ>0.5の温度域も濃縮系の方が稍広範囲であることから、材料設計を行う場合には、これらの点も考慮して行うことが望まれている。
【0040】
次に、表3に記載した実施内容について説明すると、これは更に材料の加工性を上げるために、ポリ(N−ビニルアセトアミド)又はポリアリルアミン塩酸塩を配合したものである。すなわち、表3に示されるように、本発明品の実施例10は、極性側鎖を有するベースポリマーとして塩素化ポリエチレン「エラスレン401A」100phrに対して、減衰性付与剤であるポリエチレンイミン「G35」を50phr配合し、これに更にポリ(N−ビニルアセトアミド)(昭和電工(株)製:商品名「GE−191」)を5phr配合している。
【0041】
【表3】
Figure 0003661179
【0042】
また、本発明品の実施例11は極性側鎖を有するベースポリマーとして塩素化ポリエチレン「エラスレン401A」100phrに対して、減衰性付与剤であるポリエチレンイミン「G35」を少し多めの120phr配合し、これに更にポリアリルアミン塩酸塩(日東紡績(株)製:商品名「PAA−HCl−10S」)を20phr配合している。
【0043】
表3に示した測定結果について説明すると、実施例10及び11のいずれもプレス直後において比較例1よりも高いtanδの値を発現し、更に3ヶ月経過後においてもtanδの低下をきたすことなく、tanδ保持率はいずれも102%であって、長期にわたって減衰性能を発揮できるものとなっている。また、tanδのピーク値を示すピーク温度も室温付近(20℃前後)にあり、tanδ>0.5を発現する温度領域についても幅広いものとなっており、常温近辺の広範囲で減衰性能を発揮できるものとなっている。
【0044】
更に、そして何よりも実施例10及び11のものは、前述した本発明の実施例1〜9のものと比べて、供試材を製作するときの材料の加工性が大変良く、金型への充填性や射出成形或いは押出し成形時の生産性の向上が期待されるものである。以上のことを総括して、本実施例10及び11はともに極めて優れている(◎印)と評価されるものである。
【0045】
以上、各実施例について順に説明したが、本発明に係る高減衰材料組成物は、塩素化ポリエチレン及び/又はポリ塩化ビニルよりなる極性側鎖を有するベースポリマーに、減衰性付与剤としてポリエチレンイミン系化合物を配合し、或いは更にポリ(N−ビニルアセトアミド)及び/又はポリアリルアミン塩酸塩を配合することによって、高い減衰性能を長期にわたり安定して発現でき、更に常温付近を中心として幅広い温度領域でその減衰性能を得ることができ、また材料の加工性も良くなるという特長を有するものである。
【0046】
本発明は、上記した実施例に何等限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、減衰性付与剤であるポリエチレンイミン系化合物について、その分子量が800〜750,000であって、かつその水溶液濃度が40重量%以上100重量%未満のものであれば、前述したように良好な結果が得られる。上記実施例で用いたポリエチレンイミン系化合物の1分子中における第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンの配合割合は1:2:1の割合でなければならないということではなく、ベースポリマーと減衰性付与剤との間に複数の相互作用が得られれば良い
【0047】
【発明の効果】
本発明に係る高減衰材料組成物によれば、塩素化ポリエチレン及び/又はポリ塩化ビニルよりなる極性側鎖を有するベースポリマーに減衰性付与剤として比較的大きな分子量のポリエチレンイミン系化合物を含有させることによって、その減衰性付与剤であるポリエチレンイミン系化合物がベースポリマー中に均一に分散し、しかも長期にわたってこの均一な分散状態を維持できるものとなっていることから、ブリード現象或いは材料の結晶化を起こすこともなく、長期にわたり安定して高い減衰性能を発現できるものとなる。また、その高い減衰性能を発現できる温度領域も常温付近を中心とした幅広いものである。更に、この減衰材料組成物にポリ(N−ビニルアセトアミド)及び/又はポリアリルアミン塩酸塩を配合すれば、材料の加工性も良くなり、生産性の向上により製品コストの低廉化も図れ、この材料を音響ルームの遮音壁、建築構造体の遮音間仕切り、車両の防音壁等、幅広い分野に適用することは、産業上極めて有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る高減衰材料組成物の減衰性能(tanδ)の温度依存性を示した図である。
【図2】 従来の高減衰材料組成物の減衰性能(tanδ)の温度依存性を示した図である。

Claims (3)

  1. 塩素化ポリエチレン及び/又はポリ塩化ビニルよりなる極性側鎖を有するベースポリマーにポリエチレンイミン系化合物よりなる減衰性付与剤を1種又は2種以上含有させたことを特徴とする高減衰材料組成物。
  2. 前記ポリエチレンイミン系化合物は、分子量が800〜750,000であって、かつ水溶液濃度が40重量%以上100重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載される高減衰材料組成物。
  3. 更に、ポリ(N−ビニルアセトアミド)及び/又はポリアリルアミン塩酸塩を含有させたことを特徴とする請求項1又は2に記載される高減衰材料組成物。
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