JP3661122B2 - 光電気変換回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路装置における光電気変換回路に係り、特に高感度・高速のディジタル回路のインターフェースに整合性の良い光電気変換回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の光電気変換回路の回路構成例を図9に示す。この回路は一端がグランドに接続された負荷抵抗RL1と、カソードがその負荷抵抗RL1の他端に接続されアノードがバイアス端子1に接続された受光素子としてのフォトダイオードPDとからなり、当該フォトダイオードPDのカソードに出力端子2が接続された構成を有する。バイアス端子1には負のバイアス電圧Vbが印加される。
【0003】
本回路の動作について図10を用いて説明する。図10において横軸は時間であり、縦軸は出力端子2での電圧値である。フォトダイオードPDでは入射された光信号の強度に応じて光電流Ipが生成されるため、負荷抵抗RL1の抵抗値と光電流Ipの電流値の積に対応する電圧が出力端子2に出力される。なお、図10では入力光信号強度に応じて出力電圧▲1▼、▲2▼、▲3▼の変化の様子を時間軸を少しづつづらせて表している。
【0004】
光通信用受信回路においては、入力される光信号が微弱であるため、出力端子2の後段には電気回路による増幅器が接続され、所望の電圧まで増幅されるのが一般的である。本回路構成おいて、広帯域動作を保証するためには負荷抵抗RL1の値を小さくする必要があり、一般に低インビーダンス型の光電気変換回路と呼ばれている(例えば、K.Pederotti,"High Speed Circuits for Lightwave Communication, "International Journal of High Speed Electronics and Systems,vol.9,no.2,pp.1-34,1998.)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
光受信器を構成する場合、光電気変換回路の後段には電圧信号を増幅する目的で電圧増幅器が接続されるのが一般的である。また、近年では高飽和出力のフォトダイオードを用い、光電気変換回路の出力側が高速のディジタル回路に直結される受信器構成も提案されている(例えば、Y.Miyamoto,et.al.,"40Gbit/s highsensivity optical receiver with uni-traveling-carrier photodiode acting as decision IC driver,"IEE Electron. Lett.,vol.34,no.2,pp.214-215,1998.)。
【0006】
いずれの構成においても、光受信回路では広帯域/高感度特性が要求され、これを実現するためには光電気変換回路、電圧増幅器の双方に対して広帯域/高利得特性が要求される。
【0007】
ここで、光電気変換回路の後段に接続される増幅器の電圧利得を一定とすると、光電気変換回路の出力レベルと増幅器の入力レベルの整合性が高感度化を実現する上での鍵となる。
【0008】
例えば、図10において、後段回路のしきい値レベルをVtとすると、出力信号▲2▼の場合はそのしきい値Vtと一致しており正常動作となる。出力信号▲1▼の場合はしきい値Vtに達していないため信号を増幅できない。つまり、高感度動作が阻害されることとなる。一方、出力信号▲3▼の場合は後段回路のしいき値レベルVtと光電気変換回路の出力信号の中心レベルがづれているため、後段回路の波形歪みが受信器のマージンに影響をおよぼす。
【0009】
このように従来の回路構成においては、フォトダイオードPDのバイアス条件による暗電流の変動を利用して出力ハイレベルの微調整は可能であるものの、高感度化を目的としてバイアス電圧により出力信号レベルを調節することは困難である。このように従来では、高感度の光電気変換回路を実現することは困難であった。
【0010】
また、一般に、光電気変換回路の後段に接続された増幅器の入力電圧レベル(しきい値レベル)はその増幅器の回路構成に依存する。例えばFETデバイスを用いた単相入力の増幅器の場合、そのレベルはFETのしきい値レベルに依存する。さらに、超高速ディジタル回路については、そのインターフェースは先の増幅器の場合とは大きく異なる。このように種類の異なるインターフェースに対応可能な高感度の光電気変換回路構成が望まれる。
【0011】
本発明は以上のような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部調整あるいは自動調整により出力レベルを後段回路のインターフェースへの整合可能な回路構成とすることにより、高感度化を実現した光電気変換回路を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1の発明は、一端がグランドに接続された第1の抵抗と、該第1の抵抗の他端にカソードが接続されアノードが第3の抵抗の一端に接続されたフォトダイオードと、該フォトダイオードに並列に接続された第2の抵抗と、2つの入出力端子を有するレベルシフト回路を具備し、前記フォトダイオードのカソードおよびアノードが前記レベルシフト回路の2つの入力端子に各々接続され、前記第3の抵抗の他端にバイアス端子が接続され、レベルシフト回路の2つの出力端子から出力信号を取り出すよう構成した。
【0014】
の発明は、第1の発明において、前記フォトダイオードの極性を反転して接続して構成した。
【0015】
の発明は、第の発明において、前記レベルシフト回路の出力段として、レベルシフト量が互いに異なる2つのソースフォロア回路を用いた。
【0016】
の発明は、一端が高電位電源端子に接続された第1および第2の抵抗と、ゲート端子にバイアス端子が共通接続され、ソース端子が共通接続された第1および第2のトランジスタと、前記共通接続のソース端子にカソードが接続されたフォトダイオードとを具備し、前記第1および第2の抵抗の他端が前記第1および第2のトランジスタのドレイン端子に個々に接続され、前記第1のトランジスタのドレイン端子に出力端子が接続され、前記第2のトランジスタのドレイン端子にレファレンス出力端子が接続され、該レファレンス出力端子と前記高電位電源端子との間に容量が接続され、フォトダイオードのアノードに低電位電源端子が接続されているよう構成した。
【0017】
の発明は、第の発明において、前記高電位電源端子と第1および第2の抵抗の共通接続点との間にダイオードを挿入することにより出力電圧レベルをシフトさせるように構成した。
【0018】
の発明は、第の発明において、前記第1および第2のトランジスタをバイポーラトランジスタとし、前記ゲート端子をベース端子に、前記ソース端子をエミッタ端子に、前記ドレイン端子をコレクタ端子に置換した。
【0019】
の発明は、第の発明において、前記高電位電源端子を低電位電源端子に置換し、前記低電位電源端子を高電位電源端子に置換し、前記第1、第2のトランジスタおよび前記フォトダイオードの極性を反転した。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明では、第1に、フォトダイオードに並列に抵抗を挿入することにより、当該抵抗と負荷抵抗との分圧によって光電気変換回路の出力レベルを設定する。これにより、出力レベルは外部から印加されるバイアス電圧によって後段回路の最適レベルに制御することが可能となる。第2に、第1の構成に加えてフォトダイオードのアノードに直列に負荷抵抗を付加し、さらにレベルシフト回路を接続することにより、差動信号を出力する構成とする。これにより、電圧利得を2倍に向上することができ、かつ差動出力とすることによりノイズマージンを向上することができる。後者においては、フォトダイオードにベース接地のトランジスタ対を接続することにより光電流を2分岐し、片方の出力を用いてレファレンス電圧を発生させる。このレファレンス電圧は入力される光信号の強度によらず常に出力信号の中心レベルを発生し、外部からの調整無しに自動的に後段の回路動作に最適な信号レベルを出力する。
【0021】
[第1の実施形態]
図1は本発明による第1の実施形態の光電気変換回路の回路図である。この回路は一端がグランドに接続された負荷抵抗RL1と、カソードに当該負荷抵抗RL1の他端が接続されアノードがバイアス端子1に接続されたフォトダイオードPDと、当該フォトダイオードPDに並列に接続された抵抗Rpdからなり、フォトダイオードPDのカソードに出力端子2が接続された構成を有する。バイアス端子1には負のバイアス電圧Vbが印加される。
【0022】
本回路の動作について図2を用いて説明する。図2において横軸は時間であり、縦軸は出力端子での電圧値である。フォトダイオードPDでは入射された光信号の強度に比例して光電流Ipが生成される。出力端子2には負荷抵抗RL1の抵抗値と光電流Ipの電流値の積に対応する電圧振幅が出力される。
【0023】
次に、本発明による回路の出力信号レベルについて考察する。出力信号のハイレベルV_highは、バイアス端子1のバイアス電圧をVbとすると、
V_high=Vb・RL1/(RL1+Rpd) (1)
のように、負荷抵抗RL1と抵抗Rpdによる分圧値で決定されることになる。このとき、フォトダイオードPDにかかるバイアス電圧Vpdは、
Vpd=Vb・Rpd/(RL1+Rpd) (2)
となる。
【0024】
一方、出力信号のローレベルV_lowは光電流をIpとすると、
V_low=V_high−RL1・Ip (3)
となる。よって出力信号の中心レベルV_centerは、
Figure 0003661122
となる。
【0025】
以上のことから明らかなように、出力信号の中心レベルはバイアス電圧Vbによって調整可能であり、入力光電流が小さい場合においても後段回路のしきい値レベルに整合させることが可能となる。図2では光信号強度が小さい場合(図中▲1▼)と大きい場合(図中▲2▼)の2通りについて、その違いを明らかにするため、出力電圧▲1▼、▲2▼の変化の様子を時間軸を少しづらせて表している。式(4)にもあるように光強度が大きい場合にはバイアス電圧Vbを小さくすることにより後段回路のしきい値レベルに調整することが可能であることがわかる。なお、回路設計においては、光電流量、出力インターフェースレベルを十分考慮して負荷抵抗RL1や抵抗Rpdの値を決定する必要がある。
【0026】
このように、本実施形態によれば光電気変換回路の出力レベルを外部バイアス電位Vbを調整することによって、後段回路のしきい値レベルに整合させることが可能である。このことによって、従来の光電気変換回路に比較して高感度な受信器を構成することが可能となる。
【0027】
なお、本実施形態ではバイアス電圧Vbが負の例について説明したが、フォトダイオードPDのアノードとカソードを反対に接続し、つまり極性を反転し、バイアス電圧Vbを正にした場合であっても同様の作用効果を得ることができることはいうまでも無い。
【0028】
[第2の実施形態]
図3は本発明による第2の実施形態の光電気変換回路の回路図である。この回路は一端がグランドに接続された負荷抵抗RL1と、カソードに当該抵抗RL1の他端が接続されアノードが別の負荷抵抗RL2の一端に接続されたフォトダイオードPDと、当該フォトダイオードPDに並列に接続された抵抗Rpdと、2つの入力端子および2つの出力端子を有するレベルシフト回路3からなり、フォトダイオードPDのカソードおよびアノードがレベルシフト回路3の2つの入力端子に接続され、負荷抵抗RL2の他端にバイアス端子1が接続され、レベルシフト回路3の2つの出力端子2a,2bから出力信号を取り出す構成を有する。バイアス端子1には負のバイアス電圧Vbが印加される。
【0029】
本回路の動作について図4を用いて説明する。図4において横軸は時間であり、縦軸は出力端子での電圧値である。フォトダイオードPDでは入射された光信号の強度に応じて光電流Ipが生成されるため、ノードAには負荷抵抗RL1の抵抗値と光電流Ipの電流値の積に対応する電圧振幅が出力され、ノードBには負荷抵抗RL2の抵抗値と光電流Ipの電流値の積に対応する電圧振幅が出力される。負荷抵抗RL、RL2の値が同一の場合は、図4にあるようにノードA,Bでの出力振幅は同一となり、出力レベルが異なるものの極性は互いに反転状態にある。
【0030】
ノードA,Bの信号はレベルシフト回路3に入力される。このレベルシフト回路3はノードA,Bの信号の中心レベル差が同一レベルとなるように双方の信号のDCレベルをシフト制御する回路である。よって図4にあるように出力端子2a,2bからは電圧中心レベルの一致した完全な差動信号が出力されることになる。
【0031】
本発明による回路の出力信号レベルについて考察する。ノードAのハイレベルV_highAは、バイアス端子1のバイアス電圧をVbとすると、
V_highA=Vb・RL1/(RL1+RL2+Rpd) (5)
のように、抵抗RL1,RL2,Rpdによる分圧値で決定されることになる。このとき、フォトダイオードPDにかかるバイアス電圧Vpdは、
Vpd=Vb・Rpd/(RL1+RL2+Rpd) (6)
となる。一方、ノードAのローレベルV_lowAは光電流をIpとすると、
V_lowA=V_highA−RL1・Ip (7)
となる。よってノードAの中心レベルV_centerAは、
Figure 0003661122
となる。
【0032】
他方、ノードBのローレベルV_lowBは、
V_lowB=Vb(RL1+Rpd)/(RL1+RL2+Rpd) (9)
のように、これも抵抗RL1,RL2,Rpdによる分圧値で決定されることになる。ノードBのハイレベルV_highBは、
V_highB=V_lowB+RL2・Ip (10)
となり、ノードBの中心レベルV_centerBは、
Figure 0003661122
となる。
【0033】
以上のことから明らかなように、ノードA,Bの各々の中心レベルはともにバイアス電圧Vbによって調整可能である。さらに、レベルシフト回路3におけるレベル補償量は式(8)と式(11)の差分に相当し、負荷抵抗RL1、RL2を同一の値とした場合には、
V_shit=−Vb・Rpd/(2・RL1+Rpd)−RL1・Ip (12)
となる。
【0034】
以上の式から明らかなように、入力される光信号の強度によってその必要なレベルシフト補償量は変動することとなる。このとき、レベルシフト回路3において、レベルシフト量を入力される光信号の強度に応じて制御する方法が最良であるが、それが不可能な場合においても式(12)にあるように、バイアス電圧Vbによってシフト量の制御が可能である。実際の回路設計においては、光電流量や出力インターフェースレベルを十分考慮して抵抗RL1、RL2、Rpdの値を決定する必要がある。
【0035】
図5に図3に示したレベルシフト回路3としてソースフォロア回路を適用した例を示す。図5のレベルシフト回路3においてDT,DCは入力端子、QC,QTは出力端子、4はVSSの電源端子、XF1〜XF4はトランジスタ、XD1〜XD6はダイオードである。図3の回路に示したように、本レベルシフト回路3は2入力2出力の構成を有する。出力端子QT側のソースフォロア回ではダイオード3段分(XD1〜XD3)のレベルシフトが、出力端子QC側のソースフォロア回路ではダイオード1段分(XD6)のレベルシフトが実現される。このように、ダイオードの挿入段数を各々異なる数に設定することにより、所望のレベルシフト補償量を実現し、差動信号を取り出すことが可能となる。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば光電気変換回路において単相の光信号から差動電気信号への変換が可能となる。このことにより、光電気変換回路の後段回路の構成を同一とした場合において、図1に示した実施形態の回路に比較して2倍の電圧利得が確保でき、さらなる高感度化が実現できる。
【0037】
なお、本実施形態ではバイアス電圧Vbが負の例について説明したが、フォトダイオードPDのアノードとカソードを反対に接続し、つまり極性を反転し、バイアス電圧Vbを正にした場合であっても同様の作用効果を得ることができることはいうまでも無い。
【0038】
[第3の実施形態]
図6は本発明による第3の実施形態の光電気変換回路の回路図である。本回路は一端がグランドに接続された負荷抵抗RL3,RL4と、ゲートがバイアス端子1に共通接続され各々のソース端子が共通接続されたトランジスタXF11,XF12と、当該共通ソース端子にカソードが接続されたフォトダイオードPDとからなり、負荷抵抗RL3,RL4の他端が各々トランジスタXF11,XF12のドレイン端子に接続され、トランジスタXF11のドレインに出力端子2が接続され、トランジスタXF12のドレインにレファレンス出力端子5が接続され、当該レファレンス出力端子5とグランドとの間に容量Cpが接続され、フォトダイオードPDのアノードにVSSの電源端子4が接続された構成を有する。バイアス端子1には負のバイアス電圧Vbが印加される。
【0039】
本回路構成は、通常のトランジスタによる差動回路の電流源トランジスタの部分をフォトダイオードPDに置換して、差動出力の片側に容量Cpを接続した構成と等価である。
【0040】
次に回路の動作について説明する。フォトダイオードPDでは入力された光信号の強度に応じて光電流Ipが生成される。本光電流Ipはゲート接地トランジスタXF11,XF12を介して分配される。両トランジスタXF11,XF12のゲート幅が等しい場合には、負荷抵抗RL3,RL4に流れる電流は等しく、Ip/2となる。フォトダイオードPDに加わるバイアス電圧は、トランジスタXF11,XF12のゲートであるバイアス端子1を介して外部から与えられる。結果として、トランジスタXF11,XF12のソース電位と電源端子4の電位の差分がフォトダイオードPDに加わることとなる。
【0041】
図7において、横軸は時間であり、縦軸は出力端子2およびレファレンス出力端子5での電圧値である。今、負荷抵抗RL3、RL4の値が同一であり、トランジスタXF11,XF12のゲート幅は共に等しいとする。負荷抵抗RL3は、フォトダイオードPDに入射された光信号の強度に応じて光電流Ip/2が流れるため、出力端子2には抵抗値RL3の抵抗値と光電流Ip/2の電流値の積に対応する電圧振幅が出力される。一方、負荷抵抗RL4においては、光電流Ip/2が流れるものの並列に接続された容量Cpによって出力電圧が積分されるために、その容量値が十分大きい場合は一定の電位をレファレンス出力端子5に出力することになる。
【0042】
ここで、入力光信号のマークとスペースの割合が等しい時には、出力端子2に現れる出力信号のハイレベルとローレベルの中間の電位が、レファレンス出力端子5から出力されることになる。この様子を図7では入力される光信号の強度に応じて出力電圧▲1▼,▲2▼,▲3▼の変化の様子を時間軸を少しづらせて表している(図中の出力電圧▲1▼,▲2▼,▲3▼の順で光強度は大きくなる。)。
【0043】
以上の説明から明らかなように、レファレンス出力端子5から出力される電位は、入力される光信号の強度に応じて変動するものの、その値は常に出力端子2から出力される信号の中間レベルとなる。すなわち、後段に接続される回路が差動回路である場合、そのレファレンス電位が光入力強度に応じて自動的に設定されることになり、前記した従来技術、第1、および第2の実施形態において必要とされてきた外部からのバイアス調整を一切必要としない。さらに、本回路構成は超高速ディジタル回路で一般的に使用されている縦積み回路構成と同等であるため、回路構成上の整合性に優れている。本光電気変換回路の後段には電圧増幅のためのソースフォロア回路、あるいは差動増幅器が直接接続可能であり、受光素子とトランジスタを同一基板上に作製する場合において非常に有効である。
【0044】
図8に本実施形態による光電気変換回路に差動増幅器を接続した例を示す。ここでは、図6に示した光電気変換回路の基本回路に、レベルシフトダイオードDX11〜DX16、電流源トランジスタXF13からなるレベルシフト回路を付加することによって、光電気変換回路の出力が差動増幅器の動作可能な入力レベルへの整合を実現している。差動増幅器は、トランジスタXF21〜XF27、ダイオードXD21〜XD27、負荷抵抗RL5,RL6からなる。6,7は出力端子である。
【0045】
動作については、出力端子2の信号のハイレベルがグランドレベルからダイオードのオン電圧の3倍低く設定されることを除いて図7に示したものと同様である。この場合、次段の差動増幅回路の動作可能な入力レベル範囲が十分に広いために、光信号強度に伴うレファレンス出力レベルの変動を十分吸収することが可能であり、広いダイナミックレンジを確保することができる。
【0046】
以上の例からもわかるように本実施形態の光電気変換回路では、入力される光信号の強度変動に対して外部からの調整無しに最適レベルの設定が可能なため、高感度且つダイナミックレンジの広い光受信器を実現できる。
【0047】
本実施形態ではトランジスタとしてFETを例に説明したが、パイポーラトランジスタを用いた場合においても同様の効果が得られることは言うまでもない。この場合、ゲートがベースに、ソースがエミッタに、ドレインがコレクタに置き換わる。また、受信器にとって最適な出力信号振幅あるいはレファレンス出力電位を実現するためのトランジスタのゲート幅やエミッタ面積と負荷抵抗の値の組み合わせは様々であり、上記の例で説明したものに限られないことは明らかである。さらに、トランジスタの耐圧保護のためにダイオードを挿入した場合においても同等の効果が得られることは言うまでも無い。
【0048】
また、本実施形態では高電位電源をグランド、低電位電源をVSSとしたが、高電位電源をVDD、低電位電源をグランドとしても全く同様に動作する。また、フォトダイオード、シフト用ダイオード、およびトランジスタの極性を各々反転し、高電位電源と低電位電源を逆にし、バイアス電圧Vbを正の電圧にしても同様に動作する。
【0049】
【発明の効果】
以上述べてきたように本発明によれば、後段回路のしきい値レベルに整合する出力レベルを外部調整あるいは自動調整にて出力可能な光電気変換回路を実現でき、光受信器の高感度化が実現可能となるため実施効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の光電気変換回路の回路図である。
【図2】 図1の回路の動作説明用の波形図である。
【図3】 本発明の第2の実施形態の光電気変換回路の回路図である。
【図4】 図3の回路の動作説明用の波形図である。
【図5】 図3の回路におけるレベルシフト回路の具体例の回路図である。
【図6】 本発明の第3の実施形態の光電気変換回路の回路図である。
【図7】 図6の回路の動作説明用の波形図である。
【図8】 図6の回路の発展例の回路図である。
【図9】 従来の光電気変換回路の回路図である。
【図10】 図9の回路の動作説明用の波形図である。
【符号の説明】
1:バイアス端子、2:出力端子、3:レベルシフト回路、4:電源端子、5:レファレンス端子、6,7:差動出力端子
PD:フォトダイオード
RL1〜RL6:負荷抵抗、Rpd:抵抗
XF1〜XF4、XF11〜XF13、XF21〜XF27:トランジスタ
XD1〜XD6,XD11〜XD17,XD21〜XD27:ダイオード

Claims (7)

  1. 一端がグランドに接続された第1の抵抗と、該第1の抵抗の他端にカソードが接続されアノードが第3の抵抗の一端に接続されたフォトダイオードと、該フォトダイオードに並列に接続された第2の抵抗と、2つの入出力端子を有するレベルシフト回路を具備し、前記フォトダイオードのカソードおよびアノードが前記レベルシフト回路の2つの入力端子に各々接続され、前記第3の抵抗の他端にバイアス端子が接続され、レベルシフト回路の2つの出力端子から出力信号を取り出すことを特徴とする光電気変換回路。
  2. 請求項1において、
    前記フォトダイオードの極性を反転して接続したことを特徴とする光電気変換回路。
  3. 請求項1において、
    前記レベルシフト回路の出力段として、レベルシフト量が互いに異なる2つのソースフォロア回路を用いたことを特徴とする光電気変換回路。
  4. 一端が高電位電源端子に接続された第1および第2の抵抗と、ゲート端子にバイアス端子が共通接続され、ソース端子が共通接続された第1および第2のトランジスタと、前記共通接続のソース端子にカソードが接続されたフォトダイオードとを具備し、前記第1および第2の抵抗の他端が前記第1および第2のトランジスタのドレイン端子に個々に接続され、前記第1のトランジスタのドレイン端子に出力端子が接続され、前記第2のトランジスタのドレイン端子にレファレンス出力端子が接続され、該レファレンス出力端子と前記高電位電源端子との間に容量が接続され、フォトダイオードのアノードに低電位電源端子が接続されていることを特徴とする光電気変換回路。
  5. 請求項4において、
    前記高電位電源端子と第1および第2の抵抗の共通接続点との間にダイオードを挿入することにより出力電圧レベルをシフトさせるようにしたことを特徴とする光電気変換回路。
  6. 請求項において、
    前記第1および第2のトランジスタをバイポーラトランジスタとし、前記ゲート端子をベース端子に、前記ソース端子をエミッタ端子に、前記ドレイン端子をコレクタ端子に置換したことを特徴とする光電気変換回路。
  7. 請求において、
    前記高電位電源端子を低電位電源端子に置換し、前記低電位電源端子を高電位電源端子に置換し、前記第1、第2のトランジスタおよび前記フォトダイオードの極性を反転したことを特徴とする光電気変換回路。
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