自動車には、車両自体、積載物あるいは搭載物に対する盗難を防止するため、種々の盗難防止機能が設けられている。たとえば、自動車のドアおよびイグニッションスイッチには、特定のキーのみが適合し、キーの所持者のみがドアを開閉してイグニッションスイッチを投入し、車両を運転することを可能としている。しかしながら、単に機械的にドアをキーでロックするだけでは充分な盗難防止効果が得られない場合がある。そのため、不正な車両内への侵入が検出されると、警報が発生されるようなアラーム機能が設けられることがある。また、キーを用いると、車両に出入する際にドアのキーシリンダにキーを挿入してロックとアンロックとの操作を行い、車室内ではキーをイグニッション用のキーシリンダに挿入してエンジンスタートのためのイグニッションスイッチ投入操作を行う必要があるので、より利便性を向上させる方法として、キーレスエントリシステムも用いられている。
キーレスエントリシステムでは、携帯可能な送信機から特定の識別コードを含む信号を送信することによって、遠隔的にドアのロック状態を解除してアンロック状態とし、ドアを開けて車室内に入ることを可能にする。また、ドアを開けて車室外に出ると、ドアは自動的にロック状態となり、しかも盗難防止のアラーム機能がセットされ、不法な車室内への侵入を警戒する状態となる。キーレスエントリシステムでは、識別コードを変更する機能も設けられることがある。送信機を紛失したり、同一の識別コードを使い続けるのではなく、途中で変更することによって安全性を一層向上させることができる場合があるからである。
車両盗難防止装置やキーレスエントリ装置やその他の車両制御コンピュータなどについて、ユーザのニーズに対応するため多機能になってきており、それらの設定を変更する必要も生じている。設定のONまたはOFFあるいはモードの切換えなどは、一般的にはスライドスイッチ等を設けて行っている。
キーレスエントリシステムの識別コードの変更に関する先行技術もある(たとえば、特許文献1〜4参照)。特許文献1では、ドアを開けてから閉じ、キースイッチを所定回数ONからOFFとする操作を行うことによって、識別コードの変更が可能となり、ドアを開ければ識別コードの変更モードが終了する先行技術が開示されている。特許文献2には、車両に搭載されているラジオのスイッチやライトスイッチまたはイグニッションスイッチなどの操作スイッチを、通常の操作と異なる方法で所定回数切換え操作することによって、キーレスエントリシステムの識別コードが変更可能となる先行技術が開示されている。特許文献3には、キーレスエントリシステムにつながる複数のスイッチの操作の組合わせで識別コードの変更が可能となる先行技術が開示されている。特許文献4には、車両のドアあるいはトランクドアの一方またはその双方を所定回数開閉操作することによって、識別コードの変更のための条件が満たされる先行技術が開示されている。
また、車両盗難防止のための警戒状態の設定や解除に関連して、ドアを開けたときに警報を発生するような機能を、運転手が車両から退出する際のブレーキ操作に従って開始させる先行技術も開示されている(たとえば、特許文献5参照)。この先行技術では、ドアの開閉角度の検出や、所定の解除コードの入力などの機能と組合わせ、盗難防止機能と利便性とを両立しようとしている。ドアを開けることによって開始可能となる警報状態を、車内を超音波センサで監視しながら、タイマに設定される時間よりも短い時間でドアを閉じてロックすることによって解除する先行技術も開示されている(たとえば、特許文献6参照)。さらに、運転者が運転席のドアを開けて車室内に乗り込むと室内灯が点灯し、車両を走行させるためにパーキングブレーキを解除するか、一定時間が経過すると消灯する先行技術も開示されている(たとえば、特許文献7参照)。
実開平5−69274号公報
特開平5−311935号公報
特開平6−167151号公報
実開平7−21950号公報
特開昭60−229846号公報
特開昭61−24255号公報
特開昭54−55934号公報
設定の切換えのためにスライドスイッチを設けると、構成要素が付加されてコストアップとなる。またスライドスイッチが設けられる制御コンピュータなどは、一般に車両内で隠れた場所に搭載され、ユーザは操作が困難な場所で切換えを行わなければならない。
キーレスエントリシステムの識別コードの変更を、スイッチ操作の組合わせなどによって開始させる先行技術では、通常のスイッチ操作では識別コードの変更を行わないように、スイッチ類の操作回数を大きく設定しなければならない。特許文献5の先行技術を実現するためには、多くの構成を追加しなければならない。特許文献6の先行技術では、盗難防止機能でライトを点灯させて警報とする場合については考慮されていない。
たとえば、車両の利便機能として、運転者がキーレスエントリシステムによって遠隔的にドアをアンロックするとき、室内灯を点灯させて室内へ入りやすくする機能が設けられることがある。運転者がイグニッションスイッチを投入すると、一定時間後に室内灯は消灯するように制御される。
しかし、車両利便機能としては、(1)イグニッションスイッチを投入した際に運転者が乗り込んで運転を開始すると想定し、ドアをロックするように制御する機能が備えられる場合がある。(2)キーレスエントリシステムで遠隔的にドアをアンロックすると、制御コンピュータによってドアカーテシスイッチが開いた状態を作り出すため、電子的にスイッチを制御して室内灯を点灯させる機能が設けられる。(3)点灯させた室内灯は、イグニッションスイッチの投入後あるいは一定時間経過後に消灯させる。(4)キーの車室内閉じ込み防止のために、キーがイグニッションスイッチのキーシリンダに挿入されていて、ドアがロックポジションとなると、その後ドアが開いてから閉じる状態となる際に、キーの車室内閉じ込みと判断し、強制的にドアをアンロックとする機能がある。
上記の各機能が重複して存在すると、次のような不具合が発生する可能性がある。すなわち、イグニッションスイッチ投入によって、(1)の機能が開始され、ドアがロックされると同時に、(2)の機能によって室内灯が点灯され、(3)の機能によって室内灯を消灯させる。すると、(4)の機能の論理が成立し、ドアがアンロックとなってしまう。ドアがアンロックとなると、せっかくの(1)の機能が全く無意味となってしまうため、イグニッションスイッチ投入の前に室内灯などのランプを消灯させる必要がある。
本発明の目的は、多くの盗難防止機能を備える車両で、機能の切換えなどを新たな構成を追加することなく確実に行うことができ、各機能間の調整を図ることができる車両盗難防止装置を提供することである。
本発明は、少なくともロックあるいはアンロックを行うボタンを備えたキーレスエントリ装置の送信機に備わる上記ボタン操作によって発生する信号を受信する受信手段を備え、
イグニッションキーをキーシリンダに挿入して該イグニッションキーにより操作されるイグニッションスイッチおよび前記受信手段からの出力に応答して、盗難防止機能の設定切換え動作を制御する制御手段を備えることを特徴とする車両盗難防止装置である。
本発明に従えば、運転者などがキーレスエントリ装置の送信機に備わる上記ボタンを操作すると、信号が発生して受信手段によって受信される。制御手段は、キーシリンダに挿入されたイグニッションキーによって操作されるイグニッションスイッチおよび受信手段からの出力に応答して、盗難防止機能の設定切換え動作を制御するので、送信機からの信号を受信する受信手段を備える車両では、新たな構成を追加することなく、盗難防止機能の動作を行わせることができる。
さらに本発明は、少なくともロックあるいはアンロックを行うボタンを備えたキーレスエントリ装置の送信機に備わる上記ボタン操作によって発生する信号を受信する受信手段を備え、
イグニッションキーをシリンダに挿入して該イグニッションキーにより操作されるイグニッションスイッチおよび前記受信手段からの出力に応答して、盗難防止機能の切換えモードに移行する制御手段を備えることを特徴とする車両盗難防止装置である。
本発明に従えば、運転者などがキーレスエントリ装置の送信機に備わるロックあるいはアンロックを行うボタンを操作すると、信号が発生して受信手段によって受信される。制御手段は、キーシリンダに挿入されたイグニッションキーによって操作されるイグニッションスイッチおよび受信手段からの出力に応答して、盗難防止機能の盗難防止機能の切換えモードに移行するので、送信機からの信号を受信する受信手段を備える車両では、新たな構成を追加することなく、盗難防止機能を切換えることができる。
さらに本発明は、少なくともロックあるいはアンロックを行うボタンを備えたキーレスエントリ装置の送信機に備わる上記ボタン操作によって発生する信号を受信する受信手段を備え、
イグニッションキーをキーシリンダに挿入して該イグニッションキーにより操作されるイグニッションスイッチが投入され、かつ前記送信機からの信号を前記受信手段が受信したときには、盗難防止機能の設定切換え動作を制御する制御手段を備えることを特徴とする車両盗難防止装置である。
本発明に従えば、キーシリンダに挿入されたイグニッションキーによって操作されるイグニッションスイッチが投入され、キーレスエントリ装置の送信機に備わる上記ボタンへの運転者などの操作で発生する信号を受信手段が受信すると、制御手段は受信手段からの出力に応答して、盗難防止機能の設定切換え動作を制御するので、キーレスエントリ装置を備える車両では、新たな構成を追加することなく、盗難防止機能の動作を行わせることができる。
さらに本発明は、複数の機能を有し、少なくともロックあるいはアンロックを行うボタンを備えたキーレスエントリ装置の送信機に備わる上記ボタン操作によって発生する識別コードを含む信号に応答する車両盗難防止装置であって、
前記信号を受信する受信手段と、
イグニッションキーをキーシリンダに挿入して該イグニッションキーにより操作されるイグニッションスイッチおよび前記受信手段からの出力に応答して、前記機能を切換える制御手段とを具備することを特徴とする車両盗難防止装置である。
本発明に従えば、車両盗難防止装置は複数の機能を有し、識別コードを送信するキーレスエントリ装置の送信機および受信手段を含む。運転者などがキーシリンダに挿入されたイグニッションキーによって操作されるイグニッションスイッチおよび送信機に備わる上記ボタンを操作すれば、制御手段は、イグニッションスイッチおよび受信手段からの出力に応答して機能を切換えるので、新たな構成を追加することなく、盗難防止機の切換えを行うことができる。
また本発明で、前記制御手段は、前記イグニッションスイッチが投入されていると判断された後に、前記有効な識別コードを含む信号が受信されたことに応答して、前記機能を切換えることを特徴とする。
本発明に従えば、イグニッションスイッチが投入された後で、運転者などが有効な識別コードを含む信号を送信して、受信手段にその信号が受信されれば、盗難防止機能を切換えることができる。
また本発明で、前記制御手段は、前記イグニッションスイッチが投入されていないと判断されたとき、または送信機からの有効な識別コードを含む信号を受信していないと判断されるときには、前記機能の切換えを行わないことを特徴とする。
本発明に従えば、イグニッションスイッチが投入されないとき、またはイグニッションスイッチが投入されても有効な識別コードを含む信号が受信されないときは、盗難防止機能の切換えを行わないので、イグニッションスイッチを投入して通常の走行を行っている間での盗難防止機能の切換えを避けることができる。
本発明によれば、キーレスエントリ装置の送信機に対する操作とイグニッションスイッチの操作とを行うことによって、新たな構成を追加することなく、盗難防止機能の設定切換え動作を制御することができる。
さらに本発明によれば、キーレスエントリ装置の送信機に対する操作とイグニッションスイッチの操作とを行うことによって、新たな構成を追加することなく、盗難防止機能の切換えモードに移行させることができる。
さらに本発明によれば、イグニッションスイッチが投入され、キーレスエントリ装置の送信機からの信号を受信手段が受信するようにすれば、新たな構成を追加することなく、盗難防止機能の設定切換え動作を行わせることができる。
さらに本発明によれば、イグニッションスイッチが操作され、キーレスエントリ装置の送信機から識別コードを含む信号を受信手段が受信するようにすれば、新たな構成を追加することなく、盗難防止機能の切換えを行わせることができる。
また本発明によれば、イグニッションスイッチの投入と有効な識別コードを含む信号の受信とで、機能の切換を行うので、切換えを容易に行うことができる。
また本発明によれば、イグニッションスイッチの投入後に、有効な識別コードを含む信号を送信機から送信しないようにすれば、盗難防止機能の切換を避けることができる。
図1は、本発明の基礎となる形態としての車両盗難防止装置1の概略的な電気的構成を示す。制御コンピュータ2内には、中央処理装置(以下「CPU」と略称する)3、読出し専用メモリ(以下「ROM」と略称する)4、読書き可能メモリ(以下「RAM」と略称する)5などが含まれる。CPU3は、ROM4に予め設定されているプログラムに従って動作し、RAM5には制御中のパラメータなどが一時的に記憶され、カウンタなどとしても用いられる。制御コンピュータ2には、時間を計時するタイマ6、キーレスエントリ装置の受信機7、盗難防止装置1に固有の識別コードを記憶する識別コード記憶回路8、出力回路9なども含まれる。出力回路9には、室内灯や前照灯などのライト10、通常は警報用のホーン11、ドアのロックやアンロックを行うアクチュエータ12などが接続される。
受信機7には、アンテナ13を介してキーレスエントリ装置を構成する送信機14からの電波信号が受信される。送信機14にはボタン15が設けられ、ボタン15を押すと識別コードを含む信号が送信される。受信機7によって受信される信号中の識別コードが、識別コード記憶回路8に記憶されている識別コードと一致すると、CPU3は、アクチュエータ12を介してドアのアンロックなどの制御を行う。制御コンピュータ2には、車両が走行中であるか否かを判定する走行判定回路16も含まれる。ブレーキランプ19は、ブレーキペダルを踏むと点灯する。制御コンピュータ2に含まれる入力回路20には、イグニッションスイッチ21、イグニッションキー挿入検出スイッチ22、ドアカーテシスイッチ23、キーアンロックスイッチ24、キーロックスイッチ25、アウトサイドハンドルスイッチ26、ドアロックポジションスイッチ27、パワーウインドスイッチ28、ブレーキスイッチ29およびパーキングブレーキスイッチ30などが接続される。
図2は、本発明の基礎となる第1形態の動作として、ドアのキーシリンダにキーを挿入し、一定時間内にある回数だけアンロック側に回転させることによって、車両盗難防止装置やキーレスエントリ装置やその他の車両制御コンピュータなどに対して、設定のON/OFFなどの切換えを行う動作を示す。ステップa1から動作を開始し、ステップa2ではキーアンロックスイッチ24がONからOFFに変化したか否かを判断する。ONからOFFに変化したときには、ステップa3で、RAM5に設ける回数カウント用のアドレスの内容を1で初期化する。次にステップa4でタイマ6による計時をスタートさせる。次にステップa5では、キーアンロックスイッチ24がONからOFFに変化したか否かを判断する。変化したときには、ステップa6で回数カウント値を増加させる。ステップa7では回数カウント値が設定回数に到達しているか否かを判断する。到達していないとき、あるいはステップa5でONからOFFには変化していないときには、ステップa8でタイマ6の計時時間が設定時間以上となっているか否かを判断する。設定時間に達していなければステップa5に戻る。ステップa7で回数カウント値が設定回数に到達すれば、ステップa9で盗難防止装置としての設定ON/OFFの反転、または切換えモード開始、または送信機コードプログラムミングモードなどの開始を行う。ステップa2で、キーアンロックスイッチ24がONからOFFに変化していないと判断されるとき、またはステップa8でタイマ6の計時時間が設定時間以上となっていると判断されるときは、ステップa10で制御動作を無効とし、それまでに設定されている内容での盗難防止機能として動作を続ける。
図3は、本発明の基礎となる第2形態として、ドアのキーシリンダにキーを挿入し、一定時間内にある回数だけロック側に回転させて、盗難防止機能の設定を行う動作を示す。本基礎形態の動作は図2の基礎形態の動作に類似し、ステップb1〜ステップb10は、ステップa1〜ステップa10とそれぞれ対応する。ただしステップb2およびステップb5では、キーロックスイッチ25がONからOFFに変わるか否かを判断する点が、ステップa2およびステップa5でキーアンロックスイッチ24がONからOFFに変わるか否かを判断する点と異なる。
図4は、本発明の基礎となる第3形態として、ドアのキーシリンダにキーを挿入し、一定時間内にある回数だけアンロック側かつある回数だけロック側に回転させることによって、設定の切換えなどのモードに移行する動作を示す。本基礎形態では、アンロック回数およびロック回数をそれぞれ計数するカウンタをRAM5に設ける。ステップc1から動作を開始し、ステップc2でキーアンロックスイッチ24がONからOFFに変わっているか否かを判断する。変わっているときには、ステップc3でアンロック回数カウンタおよびロック回数カウンタを1に初期化する。なお、ロック回数カウンタは0に初期化する。ステップc4ではタイマ6の計時動作をスタートさせる。ステップc5ではキーアンロックスイッチ24がONからOFFに変わっているか否かを判断する。変わっていると判断されるときには、ステップc6でアンロック回数カウンタのカウントアップを行う。ステップc6が終了したとき、またはステップc5でキーアンロックスイッチ24がONからOFFには変わっていないと判断されるときには、ステップc7でキーロックスイッチ25がONからOFFに変わっているか否かを判断する。変わっていると判断されたときには、ステップc8でロック回数カウンタのカウントアップを行う。ステップc8が終了したとき、またはステップc7でキーロックスイッチ25がONからOFFには変わっていないと判断されるときには、ステップc9で、キーロック回数カウンタが設定回数以上となっているか否かを判断する。設定回数以上となっているときには、ステップc10でキーアンロック回数カウンタが設定回数以上となってるか否かを判断する。ステップc9またはステップc10でキーロック回数カウンタまたはキーアンロック回数カウンタがそれぞれの設定値に達していないと判断されるときには、ステップc11でタイマ6が設定時間以上となっているか否かを判断する。設定時間に達していなければステップc5に戻る。ステップc10でキーアンロック回数カウンタが設定回数以上、すなわちステップc9でのキーロック回数カウンタも設定回数以上となっていると判断されるときには、ステップc12で盗難防止装置の設定のON/OFFの反転、または切換えモード開始、または送信機コードプログラミングモードへの移行などの制御を行う。ステップc2でキーアンロックスイッチ24がONからOFFに変わっていないと判断されるときに、またはステップc11でタイマ6の計時時間が設定時間以上となっていると判断されるときには、ステップc13で設定のON/OFF切換えなどへの移行を無効とし、それまで設定されている状態での盗難防止機能に従う動作を続行する。
図5は、本発明の基礎となる第4形態の動作を示す。ステップd1から動作を開始し、ステップd2ではドアカーテシスイッチ23によって、ドアが開いているか否かを判断する。ドアが開いていると判断されるときには、ステップd3で前述の基礎となる第1形態から第3形態までのように、キーに対して行われる操作が予め定められる条件を満たすか否かで設定のON/OFFもしくは設定切換えモードへの移行、または送信機コードプログラミングモードへの移行などの動作を行う。ステップd2で、ドアが開いていないと判断されるときには、切換え設定のON/OFF反転などのモードへの移行は無効とする。ステップd2では、ドアの開放状態をドアカーテシスイッチ23によって検出しているけれども、トランクリッドやボンネットなどの開放状態を検出するようにしてもよい。
図6は、本発明の基礎となる第5形態として、キーをイグニッション用キーシリンダに挿入しただけで、イグニッションスイッチ21はOFFの状態とし、かつブレーキをある一定時間以上踏み続けることによって、盗難防止装置の設定のON/OFFの切換えなどを行う動作を示す。ステップe1から動作を開始、ステップe2ではイグニッションキー挿入検出スイッチ22によって、キーがキーシリンダに挿入されているか否かを判断する。挿入されているときには、ステップe3でブレーキスイッチ29が一定時間ON状態となっているか否かを判断する。一定時間以上ONと判断されるときには、ステップe4で盗難防止装置の設定ON/OFFの反転、切換えモード開始、あるいは送信機コードプログラミングモードへの移行を行う。ステップe2でキーがキーシリンダに挿入されていないと判断されるとき、またはステップe3で一定時間ブレーキがONとはならないと判断されるときには、ステップe5で切換えへの移行を無効とする。なお、キーをキーシリンダに挿入したまま、イグニッションスイッチ21を投入しないのは、イグニッションスイッチ21を投入してエンジンを動作させながら切換えを行おうとすると、車両の走行状態でのブレーキ操作で切換えモードに移行してしまうおそれがあるからである。
図7は、本発明の基礎となる第6形態として、イグニッション用キーシリンダにキーを挿入し、イグニッションスイッチ21はOFFの状態で、かつブレーキを操作してブレーキスイッチ29を一定時間内にある設定回数以上ONとOFFとを繰り返させることによって、設定ON/OFF反転などのモードへの移行を行う動作を示す。ステップf1で動作を開始し、ステップf2ではキーをキーシリンダに挿入しているか否かをイグニッションキー挿入検出スイッチ22によって判断する。挿入されていると判断されるときには、ステップf3で、ブレーキスイッチ29がONからOFFに変化したか否かを判断する。変化したときにはステップf4でタイマ6をスタートさせ、ステップf5で回数カウンタを1で初期化する。次にステップf6で、ブレーキスイッチ29がONからOFFに変化したか否かを判断する。変化したときにはステップf7で回数カウンタのカウントアップを行う。次にステップf8で回数カウンタが設定回数に達しているか否かを判断する。達していないとき、またはステップf6でブレーキスイッチ29がONからOFFに変わっていないと判断されるときには、ステップf9でタイマ6の計時時間が設定時間以上となっているか否かを判断する。設定時間に達していなければステップf6に戻る。ステップf8で、回数カウンタが設定回数に達していると判断されるときには、ステップf10で、盗難防止機能の設定のON/OFFの反転、切換えモード開始、あるいは送信機コードプログラミングモードへの移行などの制御に移る。ステップf2でキーをキーシリンダに挿入していないと判断されるとき、またはステップf3で、ブレーキがONからOFFに変化していないと判断されるとき、またはステップf9でタイマ6の計時時間が設定時間以上となっていると判断されるとき、ステップf11で設定のON/OFF反転などへの移行を無効とする。
図8は、本発明の基礎となる第7形態として、キーをイグニッション用キーシリンダに挿入し、かつイグニッションスイッチ21を投入し、かつドアを開放してブレーキをある一定時間以上踏み続けることによって、盗難防止装置の設定をON/OFFに反転させる制御などへの移行を行う動作を示す。ステップg1で動作を開始し、ステップg2ではイグニッションキー挿入検出スイッチ22によって、キーがキーシリンダに挿入されているか否かを判断する。挿入されているときには、ステップg3でイグニッションスイッチ21がONとなるように投入されているか否かを判断する。投入されているときには、ステップg4で、ドアカーテシスイッチ23によってドアが開放状態となっているか否かを判断する。開放状態となっていれば、ステップg5でブレーキスイッチ29によって、ブレーキが一定時間以上ONとなっているか否かを判断する。ONとなっていれば、ステップg6で盗難防止装置の設定のON/OFFの反転、切換えモード開始、あるいは送信機コードプログラミングモードへの移行などの制御を行う。ステップg2でキーがキーシリンダに挿入されていないと判断されるとき、ステップg3でイグニッションスイッチ21が投入されていないと判断されるとき、ステップg4でドアが閉じていると判断されるとき、ステップg5でブレーキが一定時間以上ONとはなっていないと判断されるときには、ステップg7で設定のON/OFF反転などへの移行の制御を無効とする。本基礎形態では、イグニッションスイッチ21が投入されている状態で盗難防止装置の設定の切換えなどを行うので、走行中には切換え不可能とするためドアを開放することを条件としている。
図9は、本発明の基礎となる第8形態として、イグニッション用キーシリンダにキーを挿入し、かつイグニッションスイッチ21を投入し、ドアを開放しながらブレーキをある一定時間内にある設定回数以上ONとOFFとを繰り返すことによって、設定のON/OFF反転などのモードへの移行を行う動作を示す。ステップh1から動作を開始し、ステップh2ではイグニッションキー挿入検出スイッチ22によって、キーがキーシリンダに挿入されているか否かを判断する。挿入されていると判断されるときには、ステップh3で、イグニッションスイッチ21が投入されてONとなっているか否かを判断する。ONとなっていると判断されるときには、ステップh4でドアカーテシスイッチ23によって、ドアが開いているか否かを判断する。開いていると判断されるときには、ステップh5でブレーキスイッチ29によって、ブレーキがONからOFFとなっているか否かを判断する。ONからOFFとなっていると判断されるときには、ステップh6で回数カウンタを1で初期化し、ステップh7でタイマ6をスタートさせる。
次にステップh8でブレーキがONからOFFに変化したか否かを判断する。変化したときには、ステップh9で回数カウンタをカウントアップする。ステップh9が終了したとき、次にステップh10で、回数カウンタの内容が設定回数に達しているか否かを判断する。達していないと判断されるとき、またはステップh8でブレーキがONからOFFに変わっていないと判断されるときには、ステップh11でタイマの計時時間が設定時間以上となっているか否かを判断する。タイマの計時時間が設定時間に達していなければステップh8に戻る。ステップh10で、回数カウンタの内容が設定回数に達していると判断されるときには、ステップh12で盗難防止装置の設定のON/OFFの反転、切換えモード開始あるいは送信コードプログラミングモードへの移行などの制御を行う。ステップh2でキーがキーシリンダに挿入されていないと判断されるとき、ステップh3でイグニッションスイッチ21が投入されていないと判断されるとき、ステップh4でドアが開いていないと判断されるとき、ステップh5でブレーキスイッチ29が1回もONからOFFに操作されてはいないと判断されるとき、あるいはステップh11でタイマ6の計時時間が設定時間以上となっていると判断されるときは、ステップh13で設定のON/OFFの反転などへの移行の制御を無効とする。
図8または図9の基礎形態で、ステップg2またはステップh2でキーがキーシリンダに挿入されていることを条件にしているけれども、イグニッションスイッチ21の投入を他の方法で行うことができれば、キーをキーシリンダに挿入することを条件から外すこともできる。またステップg4やステップh4でドアが開いていることを条件としているけれども、これは自動車の走行中には切換え不可能とするためである。
図10は、本発明の実施の一形態としての盗難防止装置31の概略的な電気的構成を示す。図1に示す盗難防止装置1と対応する部分には同一の参照符を付し、重複した説明を省略する。制御コンピユータ32内のCPU33は、ROM34に予め格納されているプログラムに従って動作する。出力回路39に接続されているライト40は、盗難防止機能で点灯される場合もあり、また利便機能として点灯される場合もある。入力回路50には、イグニッションスイッチ21ドアの外側に設けられるアウトサイドハンドルの操作を検出するアウトサイドハンドルスイッチ26、ドアノブの位置を検出するドアロックポジションスイッチ27、ウインドウの開閉の指示のためのパワーウインドスイッチ28、ブレーキ操作に対応するブレーキスイッチ29、パーキングブレーキスイッチ30、ハンドル位置を検出するハンドルチルトポジションスイッチ51、シートの位置を予め記憶されている位置に修正するためのシートメモリスイッチ52、シートの移動を行うためのシートスライド制御スイッチ53、シートベルトの装着を検出するシートベルトバックルスイッチ54、変速機のシフトレバーの位置を検出するシフトポジションスイッチ55、変速機が自動変速機である場合のパーキング位置「P」かバック走行位置「R」かなどを検出するATシフトポジションスイッチ56などが接続される。ブレーキスイッチ29は、ブレーキペダルの操作を検出し、ブレーキペダルを踏むとブレーキランプ19も点灯する。
図11は、本発明の実施の一形態として、イグニッションスイッチの投入時にキーレスエントリ装置の送信機から有効な識別コードを含む信号を受信するときに盗難防止装置の機能を切換えるモードに入る動作を示す。ステップi1から動作を開始し、ステップi2ではイグニッションスイッチ21が投入されているか否かを判断する。投入されていると、ステップi3で、受信機7が有効な識別コードを含む信号を受信しているか否かを判断する。キーレスエントリ装置の送信機14のボタン15を押して、識別コード記憶回路8に記憶されている識別コードを含む信号を送信すると、アンテナ13から受信機7へ有効な識別コードを含む信号が受信され、ステップi4で切換えモードに移行する。ステップi2でイグニッションスイッチ21が投入されていないと判断されるとき、またはステップi3で有効な識別コードを受信しないと判断されるときには、ステップi5でこの動作を無効にする。
図12は、図10に示す本発明の実施の一形態の構成で、第1の参考形態としての動作を示す。本実施形態では、図10の構成で、図1に示す構成に基づく基礎となる第1〜第8形態と同様に、盗難防止装置31としての機能の切換えモードに移行した後で、たとえばATシフトポジションスイッチ56のポジションでモードを選択する動作を示す。ステップj1から動作を開始し、ステップj2では切換えモードになっているか否かを判断する。切換えモードになっていると判断されるときには、ステップj3でATシフトポジションスイッチ56に従ってモード選択を行う。ステップj2で切換えモードになっていないと判断されるときには、本実施形態の動作はステップj4で無効となる。ATシフトポジションスイッチの位置としては、一般的に駐車位置「P」、バック位置「R」、ニュートラル位置「N」、ドライブ位置「D」、ロー位置「L」、などがあり、それぞれの位置に選択用のモードを対応させておく。
モードの選択は、ATシフトポジションスイッチ56の位置ばかりではなく、ドアの開閉によるドアカーテシスイッチ、ブレーキの操作によるブレーキスイッチ29、ドアのロックノブの操作によるドアロックポジションスイッチ27、ドアの外側のノブの操作によるアウトサイドハンドルスイッチ26、パワーウインドウを上下したりロックしたりするスイッチを含むパワーウインドウスイッチ28、パーキングブレーキの操作によるパーキングブレーキスイッチ30などのスイッチを、ONかOFFする回数によってモードを選択するようにすることもできる。
図13は、図10に示す構成で本発明の第2の参考形態としての動作を示す。本参考形態では、運転者が車両を走行中にブレーキ操作を行ってブレーキスイッチ29をONからOFFにすると、その後停車させてドアを開いてから閉じて降車すれば、一定時間後自動的に警戒状態となる動作を示す。ステップk1から動作を開始し、ステップk2では車両が走行中であるか否かを走行検出回路16によって判断する。走行中であると判断されるときには、ステップk3でブレーキスイッチ29がONからOFFに操作されているか否かを判断する。操作されていると判断されるときには、ステップk4で車両が停止しているか否かを判断する。車両が停止していないときには停止するまで判断を繰り返す。車両が停止すると、ステップk5でドアカーテシスイッチ23によりドアが開いて閉じることを検出する。ドアの開閉を検出すると、ステップk6で、一定時間経過するのを待つ。一定時間が経過すると、ステップk7で盗難防止装置としての警戒状態とするためのセキュリティセットを行う。ステップk2で走行中でないと判断されるとき、ステップk3でブレーキに対して操作が行われないと判断されるとき、ステップk5でドアの開から閉への操作が行われないと判断されるとき、ステップk8で警戒状態への制御は無効となる。
図14は、図10の構成で行われる本発明の第3の参考形態の動作を示す。本参考形態では、警報中または警報の自動停止後に、警戒状態を解除する動作を示す。ステップl1から動作を開始し、ステップl2ではアラーム中またはアラームの自動停止後であるか否かを判断する。条件が成立していると判断されるときには、ステップl3でイグニッション用キーシリンダにキーが挿入されているか否かを、イグニッションキー挿入検出スイッチ22によって検出する。キーが挿入されていれば、ステップl4でイグニッションスイッチ21が投入されているか否かを判断する。投入されていると判断されるときには、ステップl5で、ブレーキスイッチ29によって、ブレーキがONからOFFに操作されているか否かを判断する。操作されていると判断されるときには、ステップl6で、回数カウンタを1で初期化し、ステップl7で、タイマ6をスタートさせる。
ステップl8では、ブレーキスイッチ29がONからOFFに変化しているか否かを判断する。変化していると判断されるときには、ステップl9で、回数カウンタのカウントアップを行う。次にステップl10で、回数カウンタの計数値が設定回数に達しているか否かを判断する。設定回数に達していないと判断されるとき、またはステップl8で、ブレーキのONからOFFへの操作が行われないと判断されるときには、ステップl11で、タイマ6の計時時間が設定時間以上となっているか否かを判断する。計時時間が設定時間に達していないと判断されるときには、ステップl8に戻る。ステップl10で、回数カウンタの値が設定回数に達していると判断されるときには、ステップl12で、アラーム状態を停止する。ステップl2でアラーム中またはアラーム自動停止後でないと判断されるとき、ステップl3でキーをキーシリンダに挿入していないと判断されるとき、ステップl4でイグニッションスイッチが投入されていないと判断されるとき、ステップl5でブレーキのONからOFFへの操作を行っていないと判断されるとき、またはステップl11でタイマの計時時間が設定時間以上となっていると判断されるときには、ステップl13で、本参考形態の動作を無効としてアラーム状態を継続する。
図15は、本発明の第4の参考形態として、車両盗難防止装置31で、イグニッションスイッチ21を投入した際に、ドアを自動的にロックし、イグニッションスイッチ(以下、「イグニッションSW」と略称することもある)21の投入を停止した際に、自動的にアンロックする機能を、それぞれON/OFFに設定する動作を示す。ステップm1から動作を開始し、ステップm2ではブレーキをONまたはOFFにする操作を行っているか否かを判断する。操作を行っているときには、ステップm3で、イグニッションスイッチ21をOFFからONにする操作を行っているか否かを判断する。操作を行っていればステップm4でドアをロックする。その後ステップm5で、イグニッションスイッチ21を投入している状態から投入を停止するONからOFFへ変化させているか否かを判断する。変化させていればステップm6でドアをアンロックする。ステップm2で所定のブレーキ操作を行っていないと判断されるとき、ステップm3でイグニッションスイッチ21を投入していないと判断されるとき、ステップm5でイグニッションスイッチ21を投入したままであると判断されるときには、ステップm7で本参考形態の動作を無効とする。