JP3660751B2 - ポリビニルアルコール系樹脂粉末に含まれる有機溶剤の除去法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリビニルアルコール系樹脂に含まれる有機溶剤を効率良く低減させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ酢酸ビニル系樹脂を常法によってケン化して得られるポリビニルアルコールは多量の有機溶剤(メタノール等)を含有しており、これを何らかの手段を用いて除去する必要がある。かかる目的のために種々の乾燥手段が用いられるが、ポリビニルアルコール粉体を多量の加熱された不活性ガスによって流動化状態をもたらしながら乾燥するいわゆる流動乾燥方法を採用するのが最も効果的である。
【0003】
しかしながら、かかる流動乾燥方法は、多量のガスを用いるので、乾燥が進むにつれ、排ガス中の有機溶剤の含有量が非常に低くなって該有機溶剤の回収が困難となるという問題を生ずる。しかも流動乾燥方法であってもあるいは他の乾燥方法であっても、一般に乾燥の初期段階は急速に行われるが、揮発分が少なくなるに従って次第に乾燥速度が低下するので、完全にポリビニルアルコール中に含まれる有機溶剤を除去しようとするとその乾燥に極めて長時間を要し、工業的に不利である。
【0004】
その点の改良として水蒸気を有する加熱ガスで乾燥させる方法が試みられている。例えば特公昭52−17070号公報にはポリビニルアルコールと水蒸気を含有する加熱ガスを同じ方向(併流)で流して、乾燥させる方法が開示され、又特開昭51−58489号公報には、タテ型乾燥機を用いてポリビニルアルコールと水蒸気を含有する加熱ガスを逆方向(交流)で流して、乾燥させる方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公昭52−17070号公報開示技術では、有機溶剤の除去効果は認められるものの、溶剤除去効率を上げるため水蒸気の含有量を上げると、ポリビニルアルコールが一部溶解し、ブロック化が起こりやすくなるという欠点があった。又特開昭51−58489号公報開示技術では、ポリビニルアルコール中の残存溶剤の量が1.5重量%以下とならず、又乾燥時間を短くするため水蒸気の含有量を上げると、ポリビニルアルコールが一部溶解し、ブロック化が起こりやすくなるという欠点があった。近年地球環境改善の為、樹脂中の溶剤の低減、樹脂の物流過程での安全性などの観点から更なる残存溶剤の低減が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の問題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ポリビニルアルコール系樹脂(以下PVAと略記する)粉末及び含水ガスを塔上部入口より併流で連続的に供給して、塔内部に該PVA粉末の充填層を形成せしめながら、該PVA粉末中の有機溶剤と含水ガス中の水分を置換させると共に塔底部出口より含水PVA粉末と有機溶剤ガスを連続的に取り出すことによりPVA粉末中含まれる有機溶剤を除去するに当たり、下記(1)及び(2)式を満足するPVA粉末の有機溶剤除去法を用いると、PVA粉末中の残存溶剤の量が1.5重量%以下となり、又その後の乾燥工程において、乾燥時間を短くすることができるため水蒸気の含有量を上げでも、PVAが一部溶解し、ブロック化が起こらず、更には透明性に優れたPVAが得られることを見出し本発明を完成するに到った。
ug/up≧100・・・(1)
ug:含水ガスの空塔速度(m/sec)
up:PVA粉末の移動速度(m/sec)
1≦△CS/△CH≦2・・・(2)
△CS:塔上部入口と塔底部出口のガス中の溶剤含有量(重量%)の差
△CH:塔上部入口と塔底部出口のガス中の水分含有量(重量%)の差
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のPVA粉末に用いるPVAとしてはポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールいずれでもよく、ポリビニルアルコールとしてはポリ酢酸ビニル系樹脂を常法によってケン化して得られるものであればいずれでも良い。
【0008】
変性ポリビニルアルコールとしては、酢酸ビニルと共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合して得られた共重合体や、ポリビニルアルコールを後変性したものが挙げられる。
【0009】
酢酸ビニルと共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
【0010】
又後変性の方法としては、ポリビニルアルコールをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化したものが挙げられる。
【0011】
又該PVA粉末の粒径としては特に制限はないが、後述する水蒸気による有機溶剤の置換を容易にするため、PVA粉末を微粉粉砕機で1000〜2000μmにするのが好ましく、更に好ましくは1000〜1500μmである。1000μm未満の場合には充填層中でのPVA粉末の移動速度が遅くなると同時に、推積効率が損なわれ、2000μmを越えると水蒸気との接触効率が悪化するので好ましくない。
【0012】
更に本発明の実施対象となるPVA粉末に含有される有機溶剤含有量としては20〜40重量%程度が好ましく、該含有量が40重量%を越えると含水ガスと接触せしめる際にPVA粉末がブロック化を起こし易く、又20重量%未満では、本発明の乾燥効果が少なく好ましくない。かかる範囲に調整する方法としては、40重量%を越える(通常は40〜50重量%程度)有機溶剤を含むPVA粉末を窒素、炭酸ガス等のガスの吹き込みによって該含有量20〜40重量%になるまで80〜150℃で乾燥を行う等の方法が挙げられ、より具体的には、流動反応装置などに用いられる公知の流動装置、特に多孔板からなる棚段を2段以上設けた棚段塔において、底部又は底部に近い側面から先端を底部に向けて挿入された加熱ガス吹込口から該加熱ガスにPVA粉末を同伴せしめて吹込むことにより、上記棚段の最下段から順次上段に該粉末の流動層を形成せしめながら乾燥を行い、塔上部に達したPVA粉末をガス流より分離し、有機溶剤含有量20〜40重量%のPVA粉末を得る方法が例示できる。
【0013】
本発明では、上記の該PVA粉末をまず塔上部から連続的に供給して該空塔内に充填層を形成せしめる一方、該塔底部より連続的に取り出すことによって充填層高をたえず一定に保ちつつ、しかも該塔上部からは、水蒸気を含む含水ガスを送り込んで、充填PVAと接触せしめつつ該PVA粉末と併流で下方へ移動させるのである。
【0014】
PVA粉末の仕込み方法としては、PVA粉末の定量的な仕込みができれば、特に制限はない。
空塔中のPVAの該充填層高として好ましくは0.5m以上である。充填層高が0.5m未満の時はPVAと水蒸気との接触効率の悪化により有機溶剤の除去効率が落ち好ましくない。
【0015】
PVA粉末は空塔上部より該PVAの充填層高が上記の範囲になるように供給され、その時のPVA粉末の移動速度upとして好ましくは1.0×10-3〜2.0×10-3m/sec、更に好ましくは1.0×10-3〜1.5×10-3m/secである。移動速度upが1.0×10-3m/sec未満の時は長時間の乾燥が必要となり好ましくなく、移動速度upが2.0×10-3m/secを越えるとPVAと水蒸気の接触効率が悪くなり好ましくない。
【0016】
更に該PVA粉末と併流で塔上部より供給される含水ガス(以後塔上部の含水ガスという)としては水蒸気等の水分を含んだ窒素、炭酸ガス等の不活性ガスが用いられる。
【0017】
かかる塔上部の含水ガス中の水分含有量として好ましくは20〜50重量%である。塔上部の含水ガス中の水分含有量が20重量%未満の時は有機溶剤の除去効果が少なく、50重量%を越えるとPVA粉末がブロック化を起こし好ましくない。
【0018】
含水ガスには単に水のみならず、若干量の有機溶剤も含有されることも可能であり、かかる有機溶剤含有量として好ましくは30重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。有機溶剤を含有させる場合は、特に本発明を実施した後に塔底部から排出される多量の有機溶剤含有ガスをスクラバー等で有機溶剤を除去して、導入含水ガスとしてリサイクル使用することが多い。
この場合塔上部入口の含水ガス中の溶剤含有量が30重量%を越えるとPVA粉末の有機溶剤の除去が妨げられ好ましくない。
【0019】
かかる塔上部の含水ガスは塔内でPVA粉末と接触しながら、含水ガス中の水分がPVA粉末中の有機溶剤と置換されて、有機溶剤含有量が増加して塔底部より、塔外に排出される。
塔底部出口より排出される含水ガスは有機溶剤含有量30〜50重量%、水分含有量10〜20重量%となっており、スクラバーにより有機溶剤含有量5〜15重量%、水分含有量1〜2重量%の含水ガスに調整されて再度塔上部より供給されて循環使用することができる。
【0020】
含水ガスの温度は、水蒸気飽和温度より5〜10℃高温が好ましい。該温度が10℃より高い場合にはPVA粉末に乾燥が起こってしまい、水蒸気との接触効果が不十分となり、又5℃未満の場合は水蒸気の凝縮により、PVA粉末が一部溶解してブロック化するので好ましくない。
含水ガスの空塔速度ugとして好ましくは0.1〜1.5m/sec、更に好ましくは0.15〜1.0m/secである。空塔速度ugが0.1m/sec未満の時は水蒸気との接触効率が不十分となり好ましくなく、空塔速度ugが1.5m/secを越えるとPVAの充填層高の維持が困難となり好ましくない。
【0021】
本発明では該PVA中に含まれる有機溶剤を上記の設備を用いて、除去するにあたり、含水ガスの空塔速度ugとポリビニルアルコール系樹脂粉末の移動速度upをコントロールし、しかも塔上部入口と塔底部出口のガス中の溶剤含有量の差△CSと塔上部入口と塔底部出口のガス中の水分含有量の差△CHをコントロールすることが最大の特徴であり、その詳細について以下に述べる。
【0022】
まず含水ガスの空塔速度ugとポリビニルアルコール系樹脂の移動速度upの比ug/upは100以上にコントロールすることが必要で、好ましくは200≦ug/up≦700である。ug/up<100の場合、PVAの溶解性が悪くなり本発明の目的を達成することができない。
ug/upを調整する方法としては、上記のug及びupの好ましい速度範囲よりug/upがかかる範囲に入るように任意に調整すればよく、具体的にはガス流量を仕込みPVA量に対して増量する、塔底部に円筒状空塔を半分にした半円筒状の堰を設ける、PVA粉末の平均粒径を1000〜2000μmとする等いずれの方法でもよい。
【0023】
本発明においては、塔上部入口と塔底部出口の含水ガス中の溶剤含有量の差△CS(重量%)と塔上部入口と塔底部出口の含水ガス中の水分含有量の差△CH(重量%)の比、△CS/△CHを、1.0≦△CS/△CH≦2.0であることも必要であり、好ましくは1.2≦△CS/△CH≦1.9、更に好ましくは1.4≦△CS/△CH≦1.9である。△CS/△CH<1.0の場合PVAが一部溶解し、ブロック化するので好ましくなく、△CS/△CH>2.0の場合PVAが着色したり、PVAの溶解性が悪くなり本発明の目的を達成することができない。
【0024】
△CS/△CHを調整する方法はスクラバーの能力を増強し、含水ガス中の有機溶剤含量を15重量%以下にする、塔底部に円筒状空塔を半分にした半円筒状の堰を設ける、PVA粉末の平均粒径を1000〜2000μmとする等いずれの方法でもよい。
塔底部に堰を設ける方法としては棚段の最下段付近、塔底部にPVAの流れを遮る、堰を設けることが好ましく、具体的には、塔の形状と同じ幅のジャマ板を塔の下部に立ててスクリューフィーダーに供給されるPVAが一定量に保たれるように設けるのが好ましい。
【0025】
塔上部入口と塔底部出口の含水ガス中の溶剤含有量の差△CSとして好ましくは20〜40重量%、更に好ましくは25〜35重量%である。塔上部入口と塔底部出口のガス中の溶剤含有量の差△CSが20重量%未満の時は長時間の乾燥を必要とするので好ましくなく、40重量%を越えると着色及び溶解性の悪化など、PVA粉末の品質の低下を起こすので好ましくない。
塔上部入口と塔底部出口の含水ガス中の水分含有量の差△CHとして好ましくは10〜25重量%、更に好ましくは15〜20重量%である。塔上部入口と塔底部出口のガス中の水分溶剤含有量の差△CHが10重量%未満の時は有機溶剤の除去効率が悪くなり好ましくなく、25重量%を越えるとPVA粉末が一部溶解してブロック化するので好ましくない。
【0026】
上記PVA粉末とガス体の取り出しについては、PVA粉末の定量的な取り出しができて、ガス体ぬき出し口があれば良く、特に制限はないが、例えば上記空塔底部にスクリューフィーダーや撹拌機を内蔵する横型槽などを設けるかあるいはロータリーバルブによる排出を行うなどの方法が挙げられる。なお上記スクリューフィーダーを用いる場合は、スクリュー羽根の形を適当に選定することによって、輸送と同時にPVA粉末の解砕を行うようにするのが好ましい。
【0027】
上記方法によって得られるPVA粉末は有機溶剤が10重量%以下になり、水分を5〜15重量%含むので、しばしば高度乾燥などで問題となる有機溶剤や静電気発生による爆発の危険はまったくない。かかる利点は次の乾燥工程において少量の水分を乾燥除去した後の製品においても同様であり、貯蔵や取扱いの際に、上記の如く危険は全くない。しかも上記工程を経たPVA粉末は次の乾燥工程における乾燥速度を大幅に向上し得て、短時間高度乾燥が容易である。
【0028】
しかしてかかるPVAを任意の含水率になるまで乾燥するにあたっては、公知の乾燥方法を任意に採用し得るが、乾燥温度は110〜130℃で乾燥時間は30分〜5時間が好ましい。なおかかる後乾燥においても前記の如き流動乾燥方法を用いることができる。又該乾燥においては加熱雰囲気あるいは加熱ガスとして、窒素、炭酸ガス、空気などが用いられる。かくして得られたPVAは有機溶剤が1.5重量%以下に除去された高度乾燥品である上に、上記工程中に均一な水蒸気加熱処理を受けて透明となり、美しい外観を有し、その溶解時の分散性が良好であるという優れた性能を有する。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、実施例中「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準である。
【0030】
実施例1
多孔板を有する流動乾燥装置を用いて、該塔底部より、有機溶剤含有量65%のPVA(ケン化度88モル%、重合度1700)粉末を1800kg/hr(樹脂分)の割合で仕込みながら、120℃に加熱した窒素ガスを600Nm3/hrの割合で吹込んで乾燥を行った。塔内での滞留時間は30分間であった。搭上部より取り出されたPVA粉末の有機溶剤含有量は25%、水分含有量0%であった。
次いで得られた該PVAを粉末粉砕機で1800μmにまで粉砕し、円筒状空塔の上部より1800kg/hrで送入し、更に同上部入口より、120℃に加熱された水蒸気/窒素(容量比4/7)の含水ガス(水分含有量32%、有機溶剤含有量7%)を550Nm3/hrの割合で送入し、空塔中のPVAの充填層高は1.4mにし、それを塔底部に設けたスクリューフィーダーの回転数をコントロールして維持しながら、30分間の接触滞留させた。PVA粉末に接触後の塔底部出口から排出された含水ガス(有機溶剤含量44%、水分含有量10%)はスクラバーに送られ、有機溶剤含量7%まで脱溶剤され、水蒸気を水分含有量32重量%になるまで添加し塔上部入口に仕込むことにより循環させた。
【0031】
又塔底部に設けたスクリューフィーダーにて有機溶剤の除去されたPVA粉末を1800kg/hrで連続的に取出した。
円筒状空塔の塔底部にはPVAの流れを遮る、堰を設けた。堰は円筒状空塔を半分にした半円筒状で空塔の下にスクリューフィーダーの流れの方向を堰止めた形で乾燥機の直径の1/3まで覆い、塔の中心から塔の直径分だけ、塔にはかまをはかせた形状としてスクリューフィーダーに供給されるPVA粉末が一定量に保たれるように設けた。
【0032】
この際の含水ガスの空塔速度ugは0.30m/sec、PVA粉末の移動速度upは1.4×10-3m/secで、ug/up=214であった。
塔上部入口のガス中の溶剤含有量は7.0%、塔底部出口のガス中の溶剤含有量は44%で、塔上部入口と塔底部出口のガス中の溶剤含有量の差△CSは37%であった。塔上部入口のガス中の水分含有量は32%、塔底部出口のガス中の水分含有量は10%で、塔上部入口と塔底部出口のガス中の溶剤含有量の差△CHは22%となるので、△CS/△CH=1.7となった。
得られたPVA粉末は120℃で2時間流動乾燥し、有機溶剤含有量が1.3%、水分含有量が2.6%で、ブロック化せず、平均粒径1800μmの透明な粉末状であった。
【0033】
比較例1
実施例1で含水ガスの空塔速度ugを0.1m/hrを変更した以外は同様に実施した。
【0034】
比較例2
実施例1で△CHを74%に変更し、△CS/△CH=0.5とした以外は同様に実施した。
【0035】
比較例3
実施例1で△CSを23%に、△CHを9%に変更し、△CS/△CH=2.5とした以外は同様に実施した。
【0036】
実施例2
実施例1で水蒸気/窒素の含水ガスを1100m3/hrの割合で送入し、ugを0.60m/sec、ug/up=429とした以外は同様に実施した。
【0037】
比較例4
実施例1で塔底部より、90℃に加熱された水蒸気/窒素(容量比4/7)の含水ガス(水分含有量32%)を600m2/hrの割合で送入し、△CHは74%、△CS/△CH=0.5とした以外は同様に実施した。
【0038】
実施例3
実施例1でPVAの平均粒径を1200μmに変更した以外は同様に実施した。
【0039】
実施例4〜7
表1に示すPVAを用いて、ug、△CS、△CHを表2に示す如く変化させて実施例1と同様に実施した。実施例及び比較例で得られたPVAの性状を表3に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】
本発明では、含水ガスの空塔速度とPVA粉末の移動速度の比を規定し、更に塔上部と塔底部のガス中の溶剤含有量の差と塔上部と塔底部のガス中の水分含有量の差の比を規定しているので、残存溶剤を1.5重量%以下に低減でき、しかもブロック化せず、透明な粉末状のPVAが得られる。
Claims (3)
- ポリビニルアルコール系樹脂粉末及び含水ガスを塔上部入口より併流で連続的に供給して、塔内部に該ポリビニルアルコール系樹脂粉末の充填層を形成せしめながら、該ポリビニルアルコール系樹脂粉末中の有機溶剤と含水ガス中の水分を置換させると共に塔底部出口より含水ポリビニルアルコール系樹脂粉末と有機溶剤含有ガスを連続的に取り出すことによりポリビニルアルコール系樹脂粉末中に含まれる有機溶剤を除去するに当たり、下記(1)及び(2)式を満足することを特徴とするポリビニルアルコール系樹脂粉末に含まれる有機溶剤の除去法。
ug/up≧100・・・(1)
ug:含水ガスの空塔速度(m/sec)
up:ポリビニルアルコール系樹脂粉末の移動速度(m/sec)
1≦△CS/△CH≦2・・・(2)
△CS:塔上部入口と塔底部出口の含水ガス中の溶剤含有量(重量%)の差
△CH:塔上部入口と塔底部出口の含水ガス中の水分含有量(重量%)の差 - 塔底部に堰を設けたことを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系樹脂粉末に含まれる有機溶剤の除去法。
- ポリビニルアルコール系樹脂粉末の平均粒径が1000〜2000μmであることを特徴とする請求項1あるいは2記載のポリビニルアルコール系樹脂粉末に含まれる有機溶剤の除去法。
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