JP3659577B2 - クラッタ抑圧装置およびクラッタ抑圧方法 - Google Patents

クラッタ抑圧装置およびクラッタ抑圧方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、レーダの分野に関するものであり、特に、偏波を用いてクラッタを抑圧するクラッタ抑圧装置およびクラッタ抑圧方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は例えば特公昭63−503405号公報に記載された従来のクラッタ抑圧装置構成を示すブロック図である。図6において、501は送信機、502は送受切換器、503は偏波制御器、504は複数偏波送受信アンテナ、505は受信機、506はスイッチ、507は送受信偏波同一型最適偏波選択手段、508は表示器である。
【0003】
図7は、従来の技術の動作内容を説明するための図である。次に動作について説明する。この従来の技術は、電磁波のベクトル的な性質を利用して、クラッタと目標のエコーを分離するものである。目標への入射波や、目標からの散乱波は、Maxwellの方程式の記述に明らかなように、本来空間内のベクトルとして表現される。
【0004】
特に、目標が自由空間中で十分遠方に存在する場合には、これらの電磁波は平面波とみなすことができることから、電界(磁界)を進行方向に直交した平面上の二次元ベクトルとして取り扱うことができる。平面波におけるこれら電界(磁界)ベクトルの時間変化の様子は、波の偏り、つまり、いわゆる偏波の概念として理解、分類されている。電磁波をベクトルで表現した場合には、観測対象の散乱特性も、レーダ断面積(Radar Cross Section:RCS)のようなスカラー値ではなく、散乱行列(Scattering Matrix)として表現される。
【0005】
このような従来の技術では、クラッタの散乱行列を得るためのテスト観測モードと、テスト観測モードで得られたクラッタの散乱行列をもとに、クラッタの電力を抑圧して、目標の観測を行う実観測モードの二つの観測モードがある。
【0006】
そして、時刻t,位置ベクトルrrにおける周波数f,波数ベクトルkkの平面波EE(rr、t)は次式のように表される。
【0007】
【数1】
Figure 0003659577
【0008】
ここで、EE0は複素の電界ベクトルであり、垂直方向(vertical :v)の電界成分Evと水平方向(horizontal :h)の電界成分Ehを用いて次式のように表すことができる。
【0009】
【数2】
Figure 0003659577
【0010】
ここで、ρは次式で表される。
【0011】
【数3】
Figure 0003659577
【0012】
式(3)におけるAv ej δ vは、両成分に共通に作用するので、結局、ベクトル[ 1,ρ ]T (Tは転置)がその平面波の偏波状態(polarization state)を特徴づけることになる。そこで、[1,ρ]Tのユークリッドノルムを1とするベクトルEEJを次式で定義する。
【0013】
【数4】
Figure 0003659577
【0014】
ここで*は共役を表す。以下では、式(4)の電界ベクトルの表現形式をJones- Vector形式と呼ぶことにする。
目標への入射波の偏波状態、すなわち送信アンテナの偏波状態をJones-Vector形式の複素電界ベクトルEEtで表現する。この場合の散乱波の複素電界ベクトルEEsは次式で与えられる。
【0015】
【数5】
Figure 0003659577
【0016】
上式において、[S]は観測対象の散乱特性を表す散乱行列(scattering matrix)であり次式で表される。
【0017】
【数6】
Figure 0003659577
【0018】
ここで、
Svvは入射波の偏波がVの時の散乱波のV成分、
Svhは入射波の偏波がHの時の散乱波のV成分、
Shvは入射波の偏波がVの時の散乱波のH成分、
Shhは入射波の偏波がHの時の散乱波のH成分
を表す。
【0019】
この散乱波を、その偏波状態がJones-Vector形式の複素電界ベクトルEErで与えられる受信アンテナで受信した場合の受信電圧Vsは次式で与えられる。
【0020】
【数7】
Figure 0003659577
【0021】
よって、この場合の受信電力Psは次のように表される。
【0022】
【数8】
Figure 0003659577
【0023】
ここで、送信アンテナと受信アンテナの偏波状態が等しい場合、すなわち、
【0024】
【数9】
Figure 0003659577
【0025】
で、かつ、送信アンテナと受信アンテナがモノスタティックで構成されている場合、すなわち、
【0026】
【数10】
Figure 0003659577
【0027】
の場合を想定する。この場合簡単なマトリックス演算により、ρが次式を満足する場合に、受信電力Psがゼロになることが分かる。
【0028】
【数11】
Figure 0003659577
【0029】
すなわち、クラッタの散乱行列[Su]の要素が観測等により既知であれば、式(11)でρを決定し、これを式(4)に代入して得られる複素電界ベクトルを送受信アンテナの偏波状態にすることで、クラッタ電力を抑圧して、目標の散乱行列[Sd]に関する電力を得ることができる。従来の技術では、以上に述べた原理で動作する。
【0030】
以下、図6に従い、具体的な処理の内容を説明する。送信機501で生成した広帯域パルスを送受切換器502、偏波制御器503を介して複数偏波送受信アンテナ504から観測対象に照射し、観測対象によって散乱されたエコーを複数偏波送受信アンテナ504、偏波制御器503、送受切換器502を介して受信機505で受信して、受信信号をスイッチ506に送る。この信号はスイッチ506の状態により、表示器508、または送受信偏波同一型最適偏波選択手段507に送られる。
【0031】
次に、偏波制御器503、スイッチ506、及び送受信偏波同一型最適偏波選択手段507の動作原理について説明する。この従来の技術においては、試験観測モードと実観測モードの二つの観測モードを時分割で切り換えて観測を行う。まず試験観測モードでは、クラッタの散乱行列を測定する。そのため、偏波制御器503ではVV偏波、VH偏波、HH偏波を観測するように、送受信の偏波を切り換える。例えば複数偏波送受信アンテナが水平ダイポールアンテナと垂直ダイポールアンテナで構成されている場合には、垂直ダイポールアンテナを用いて送信して、エコーを垂直アンテナで受信することでSvvを、水平ダイポールアンテナで受信することでShvを得ることができる。同様に、水平ダイポールアンテナを用いて送信して、エコーを垂直アンテナで受信することでSvhを、水平ダイポールアンテナで受信することでShhを得ることができる。これにより得られたクラッタの散乱行列[Sc]はスイッチ506を介して送受信偏波同一型最適偏波選択手段507に送られる。
【0032】
送受信偏波同一型最適偏波選択手段507では、前述の式(11)でρを決定し、この値を式(4)に代入して送受信アンテナの偏波状態EEを決定し、これを偏波制御器503に送る。偏波制御器503では、送受信アンテナの偏波状態がEEになるように制御する。
【0033】
次に、実観測モードに移る。実観測モードでは、偏波制御器503で制御された偏波状態で、観測対象に送信波を照射し、同じ偏波状態でそのエコーを受信する。偏波制御器503で定められた偏波状態は、クラッタの電力を抑圧する偏波状態を満足することから、理想的にはクラッタ電力を完全に抑圧して、目標の電力分布のみを得ることができる。
【0034】
散乱特性が完全に固定されたクラッタの場合には、これ以降実観測モードを続けることで、クラッタを効果的に抑圧した状態の観測を保持することができるが、特に海面クラッタのような場合時間と共に散乱特性が変化することも考えられることから、適当な時間間隔で再び試験観測モードに移行して送受信アンテナの偏波状態を補正する。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の装置では、以下の問題点がある。
1. 送信偏波と受信偏波を等しく設定するため、クラッタの電力を完全に抑圧するためには送受信偏波が等しいという条件を満たす送受信偏波を選択し、受信電力を計算すると、目標の散乱行列とクラッタの散乱行列の関係によっては目標の電力まで大幅に抑圧してしまう場合があるので問題であった。
【0036】
2.モノスタティック構成でしか実現できないので、例えばステルス目標のように送信および受信アンテナの位置が同じ場合の反射を下げるように構成された目標の検出性能を向上するという目的でよく用いられるバイスタティック構成をとることができないので、耐ステルス性能が劣化する問題があった。
【0037】
3.また、クラッタの偏波特性が各分解能セルごとに異なる場合に、これを考慮することができないので、検出性能が劣化する問題があった。
【0038】
4.さらに、クラッタあるいは目標の偏波特性が時間的に変化する場合について考慮されていない、すなわち対応していない問題があった。
【0039】
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、分布が完全にコヒーレントではないクラッタについて抑圧を可能とし、また、クラッタの散乱の主要な偏波特性に関してのみ抑圧することを可能とするクラッタ抑圧装置およびクラッタ抑圧方法を得ることを目的とする。
【0040】
【課題を解決するための手段】
この発明のクラッタ抑圧装置は、互いに直交する偏波特性を有する二つのアンテナと、二つのアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させ、観測対象の散乱ベクトルを収集する偏波切換器と、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルを格納する観測散乱ベクトルデータベースと、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルから主要な散乱ベクトルを抽出し、蓄積するクラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段と、観測散乱ベクトルデータベースに格納された観測散乱ベクトルから、クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段において蓄積されているクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧手段と、クラッタ主要成分抑圧手段によって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出手段とを有するクラッタ抑圧装置において、クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段は、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルを蓄積するクラッタ散乱ベクトルデータベースと、クラッタ散乱ベクトルデータベースから、主要な散乱ベクトルを抽出する主要散乱ベクトル抽出手段と、抽出された主要な散乱ベクトルを蓄積するクラッタ主要散乱ベクトルデータベースとを有し、主要散乱ベクトル抽出手段は、アンテナがモノスタティック構成である場合に、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に2個を主要散乱ベクトルとして出力し、アンテナがモノスタティック構成でない場合に、固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に3個を主要散乱ベクトルとして出力し、クラッタ主要成分抑圧手段は、観測散乱ベクトルを、複数個のクラッタの主要な散乱ベクトルの張る空間に直交する空間に射影することによって観測散乱ベクトルから、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を抑圧する。
【0042】
また、互いに直交する偏波特性を有する二つのアンテナと、二つのアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させ、観測対象の散乱ベクトルを収集する偏波切換器と、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルを格納する観測散乱ベクトルデータベースと、観測散乱ベクトルデータベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルから、主要な散乱ベクトルを抽出することで、クラッタの主要な散乱ベクトルを抽出する主要散乱ベクトル抽出手段と、観測散乱ベクトルデータベースに格納された観測散乱ベクトルから、クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段において蓄積されているクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧手段と、クラッタ主要成分抑圧手段によって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出手段とを有するクラッタ抑圧装置において、主要散乱ベクトル抽出手段は、アンテナがモノスタティック構成である場合に、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に2個を主要散乱ベクトルとして出力し、アンテナがモノスタティック構成でない場合に、固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に3個を主要散乱ベクトルとして出力し、クラッタ主要成分抑圧手段は、観測散乱ベクトルを、複数個のクラッタの主要な散乱ベクトルの張る空間に直交する空間に射影することによって観測散乱ベクトルから、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を抑圧する。
【0049】
また、この発明のクラッタ抑圧方法は、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルから主要な散乱ベクトルを抽出するクラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップと、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルに対して、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップにおいて抽出されたクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧ステップと、クラッタ主要成分抑圧ステップによって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出ステップとを有するクラッタ抑圧方法において、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップは、アンテナがモノスタティック構成である場合に、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に2個を主要散乱ベクトルとして出力し、アンテナがモノスタティック構成でない場合に、固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に3個を主要散乱ベクトルとして出力する
【0050】
さらに、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップは、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルからクラッタ主要散乱ベクトルを抽出する代わりに、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルの主要な散乱ベクトルを抽出することで、クラッタ主要散乱ベクトルを抽出する。
【0056】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1のクラッタ抑圧装置構成を示すブロック図である。図2は本実施の形態の動作内容を説明するための図である。図1において、1は偏波切換器、2は観測散乱ベクトルデータベース、3はクラッタ主要成分抑圧手段、4Aはクラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段、5は全電力算出手段、9は第一偏波送受信アンテナ、10は第二偏波送受信アンテナ、41はクラッタ散乱ベクトルデータベース、42は主要散乱ベクトル抽出手段、43はクラッタ主要散乱ベクトルデータベースである。また、501は送信機、502は送受切換器、505は受信機、及び508は表示器である。
【0057】
まず、用語の定義を行う。式(6)で定義した散乱行列(scattering matrix) [S]を式(12)のように列ベクトルYYで表現したものを、散乱特性を表すベクトルという意味で「散乱ベクトル(scattering vector)」 と呼ぶ。散乱行列と散乱ベクトルが含む情報は等しいが、以下ではもっぱら散乱ベクトルを用いる。なお、式(12)では、式(6)で用いていた水平偏波(h)、垂直偏波(v)の代わりに、互いに直交する二つの偏波状態を第一偏波(1)および、 第二偏波(2)と呼んで送受偏波の組み合わせを表現している。レーダがモノスタティック構成の場合は、式(10)の関係が成立するので、上記散乱ベクトルを式(13)のように定義することも可能である。また、レーダがモノスタティック構成の場合、上記散乱ベクトルを式(14)のように定義することによってS12、 S21成分に含まれる雑音成分を低減することも可能である。散乱ベクトルを式(13)、式(14)のように3次元ベクトルとして定義した場合は、以下の処理で用いられる散乱ベクトルはすべて同様に3次元であり、式(18)において定義される共分散行列も3行3列の行列となることは言うまでもない。
【0058】
【数12】
Figure 0003659577
【0059】
また、散乱ベクトルYYのベクトルノルムの二乗 ||YY||2を、ここでは 「全電力」と呼ぶ。これは、式(15)に明らかなように、||YY||2が4つの偏波チャネルのパワーの総和であることからきている名称である。
【0060】
【数13】
Figure 0003659577
【0061】
次に、図1を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。まず、送信機501で生成した広帯域パルスを、送受切換器502を介して偏波切換器1に送る。偏波切換器1では、第一偏波送受信アンテナ9と第二偏波送受信アンテナ10のうちの第一偏波送受信アンテナ9に送信信号を送る。
【0062】
ここで、第一偏波送受信アンテナ9と第二偏波送受信アンテナ10は、偏波特性が互いに直交するアンテナの組である。例えば垂直偏波と水平偏波の組や、右旋円偏波と左旋円偏波の組などが上記の直交する二種類の偏波特性として良く知られている。
【0063】
第一偏波送受信アンテナ9から送信された信号は観測対象によって散乱される。これを、第一偏波送受信アンテナ9および第二偏波送受信アンテナ10を介して偏波切換器1に送る。これらの信号は送受切換器502を介して、それぞれ受信機505に送られる。受信機で復調された信号は観測対象の反射強度S11、S12の形で、観測散乱ベクトルデータベース2に保存される(ここで、Sijは、第j偏波送受信アンテナで送信して第i偏波送受信アンテナで受信された反射強度を表す。同様に、送信機501で生成した広帯域パルスを、送受切換器502を介して偏波切換器1に送り、これを第二偏波送受信アンテナ10から目標に照射して同様の処理を繰り返すことにより、観測対象の電界反射強度S21、S22を得る。これを同様に観測散乱ベクトルデータベース2に保存する。第一偏波送受信アンテナ9と第二偏波送受信アンテナ10の各時刻の動作モードについて図2に示している。図中のインターバルが、散乱ベクトルを得るのに要する処理のひとまとめである。
【0064】
上記の観測の結果は、観測散乱ベクトルデータベース2に、式(16)に示すような観測対象に関する各分解能セルkごとの散乱ベクトルYYkとして格納される。
【0065】
【数14】
Figure 0003659577
【0066】
クラッタ散乱ベクトルデータベース41には、同様にして事前に観測したクラッタのみの散乱ベクトルの分布YYum
【0067】
【数15】
Figure 0003659577
【0068】
が格納されている。クラッタのみの散乱ベクトルの分布YYumは事前の観測の他に、理論計算などから得ることも可能であることは言うまでもない。なお、理論計算(例えば、GTD: Geometrical Theory of Diffraction等)からYYumを得る場合は、後に式(18)で定義する共分散行列が予め求められるため、式(18)の処理を行う代わりに、その共分散行列を用いることも可能である。
【0069】
一般に散乱ベクトルは空間方向に変動し、その分布は一般にコヒーレントではない。すなわち、散乱ベクトルの4つの各要素が互いにある相関を持ちつつも、それぞれ別に分布する(例えば多次元正規分布などに従う)。しかし、従来の技術では、散乱ベクトルの分布がコヒーレントでない場合を扱うことは出来ない。次に説明する主要散乱ベクトル抽出手段42はこの問題を解決するために導入される。
【0070】
主要散乱ベクトル抽出手段42、はクラッタ散乱ベクトルデータベース41に格納されたクラッタのみの散乱ベクトルの分布 YYumから、クラッタの主要な散乱ベクトルYYuを主成分分析の手法によって抽出する手段である。ここでは主要散乱ベクトル抽出手段42の動作について説明する。
まず、YYumの共分散行列[Cu]を次式のように求める。
【0071】
【数16】
Figure 0003659577
【0072】
式(19)に示すように、上記の共分散行列[Cu]を固有値分解して、固有値λi(i=1,2,3,4)と対応する固有ベクトルVVi(i=1,2,3,4)を求める。(ただし、λ1の値はλ2以上、λ2はλ3以上、λ3はλ4以上を満たす。)
【0073】
【数17】
Figure 0003659577
【0074】
すると最大の固有値λ1に対応する固有ベクトルVV1が、クラッタ散乱ベクトルYYumの主成分、すなわち主要な散乱ベクトルYYuであり、これが主要散乱ベクトル抽出手段42の出力である。クラッタ主要散乱ベクトルデータベース43には主要散乱ベクトル抽出手段42の出力であるクラッタの主要散乱ベクトルYYu(=VV1) が格納される。この主要散乱ベクトル抽出手段42の動作は、すなわち、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルから主要な散乱ベクトルを抽出するクラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップS1である。
【0075】
次に、クラッタ主要成分抑圧手段3は、式(20)によって、観測散乱ベクトルデータベース2に保存されている各レンジ毎の観測散乱ベクトルYYk(k=1、2、…、K)を、クラッタ主要散乱ベクトルデータベース43に格納されたクラッタの主要散乱ベクトルYYuに直交する空間に射影し、観測散乱ベクトルに含まれるクラッタの主要散乱ベクトルYYuの成分を抑圧した散乱ベクトルYYsk(k=1、2、…、K)を求める。このクラッタ主成分抑圧手段3の動作は、すなわち、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルに対して、上述クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップS1において抽出されたクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧ステップS2である。
【0076】
【数18】
Figure 0003659577
【0077】
さらに、全電力算出手段5は、式(21)によって、クラッタ主要成分抑圧手段3から出力されたクラッタの主要散乱ベクトルYYuの成分を抑圧した散乱ベクトルYYsk(k=1、2、…、K)の全電力Psk(k=1、2、…、K)を求める。この全電力算出手段5の動作は、すなわち、上述のクラッタ主要成分抑圧ステップS2によって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出ステップS3である。
【0078】
【数19】
Figure 0003659577
【0079】
散乱ベクトルYYsk(k=1、2、…、K)は、クラッタの主要散乱ベクトルYYuの成分が除かれたものであるので、式(21)によって得られる全電力Psk(k=1、2、…、K)も、クラッタの主要な成分が除かれた全電力である。この全電力を表示器508によって表示すると、クラッタの電力が抑圧された電力分布を観測することができる。
【0080】
なお、上記クラッタの主要散乱ベクトルYYuを、YYu=VV1 で定義する代わりに、式(22)によって定義してもかまわない。また、散乱ベクトルを式(13)あるいは式(14)によって定義した場合は、式(23)によって定義すれば良い。すなわち、主要散乱ベクトル抽出手段42は、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、この共分散行列を固有値分解し、該固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、最大固有値に対応する固有ベクトルを主要散乱ベクトルとして抽出する替わりに、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、この共分散行列を固有値分解し、該固有値分解の結果得られる固有ベクトルを対応する固有値で重み付けして加算したものを主要散乱ベクトルとして抽出してもかまわない。
【0081】
【数20】
Figure 0003659577
【0082】
式(22)の定義を用いることによって、主成分VV1のみではなく、VV2、VV3、VV4の情報をクラッタの主要散乱ベクトルに含めることが可能である。
【0083】
本実施の形態をとると、クラッタと目標の散乱ベクトルの主要な成分を抽出するので、その分布が完全にコヒーレントではないクラッタについても適用が可能である。また、クラッタの受信電力をゼロにする送受信偏波の組み合わせを求めて受信電力を計算してクラッタを抑圧するかわりに、観測された散乱ベクトルから、クラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧した後に全電力を求める処理を行うので、クラッタの散乱の主要な偏波特性に関してのみ抑圧することが可能である。また、本実施の形態は、バイスタティックの構成に適用することも可能である。
【0084】
すなわち、本実施の形態のクラッタ抑圧装置は、互いに直交する偏波特性を有する二つのアンテナ9,10と、二つのアンテナ9,10のうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させ、観測対象の散乱ベクトルを収集する偏波切換器1と、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルを格納する観測散乱ベクトルデータベース2と、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルから主要な散乱ベクトルを抽出し、蓄積するクラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段4Aと、観測散乱ベクトルデータベース2に格納された観測散乱ベクトルから、クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段4Aにおいて蓄積されているクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧手段3と、クラッタ主要成分抑圧手段3によって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出手段5とを有する。そのため、クラッタの電力が抑圧された電力分布を観測することができ、また、クラッタと目標の散乱ベクトルの主要な成分を抽出するので、その分布が完全にコヒーレントではないクラッタについても適用が可能である。
【0085】
また、クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段4Aは、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルを蓄積するクラッタ散乱ベクトルデータベース41と、クラッタ散乱ベクトルデータベース41から、主要な散乱ベクトルを抽出する主要散乱ベクトル抽出手段42と、抽出された主要な散乱ベクトルを蓄積するクラッタ主要散乱ベクトルデータベース43とを有する。そのため、容易な方法によって、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルから主要な散乱ベクトルを抽出し蓄積することができる。
【0086】
また、主要散乱ベクトル抽出手段42は、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、最大固有値に対応する固有ベクトルをクラッタの主要な散乱ベクトル抽出する。そのため、主要な散乱ベクトルを確実に抽出することができる。
【0087】
また、主要散乱ベクトル抽出手段42は、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルを対応する固有値で重み付けして加算したものをクラッタの主要な散乱ベクトル抽出する。そのため、主要な散乱ベクトルを確実に抽出することができる。
【0088】
また、クラッタ主要成分抑圧手段3は、観測散乱ベクトルを、クラッタの主要な散乱ベクトルに直交する空間に射影することによって観測散乱ベクトルから、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を抑圧する。そのため、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を確実に抑圧することができる。
【0089】
また、本実施の形態のクラッタ抑圧方法は、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルから主要な散乱ベクトルを抽出するクラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップS1と、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルに対して、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップS1において抽出されたクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧ステップS2と、クラッタ主要成分抑圧ステップS2によって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出ステップS3とを有する。そのため、クラッタの電力が抑圧された電力分布を観測することができ、また、クラッタと目標の散乱ベクトルの主要な成分を抽出するので、その分布が完全にコヒーレントではないクラッタについても適用が可能である。
【0090】
また、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップS1は、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、最大固有値に対応する固有ベクトルを主要散乱ベクトルとして抽出する。そのため、主要な散乱ベクトルを確実に抽出することができる。
【0091】
また、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップS1は、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルを対応する固有値で重み付けして加算したものを主要散乱ベクトルとして抽出する。そのため、主要な散乱ベクトルを確実に抽出することができる。
【0092】
さらに、クラッタ主要成分抑圧ステップS2は、観測散乱ベクトルを、クラッタの主要な散乱ベクトルに直交する空間に射影することによって観測散乱ベクトルから、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を抑圧する。そのため、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を確実に抑圧することができる。
【0093】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2のクラッタ抑圧装置構成を示すブロック図である。図3において、4Bはクラッタ時間方向主要散乱ベクトル抽出蓄積手段、44は複数ヒットクラッタ主要散乱ベクトルデータベース、30は複数ヒット観測散乱ベクトルデータベースである。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0094】
本実施の形態の構成は、図1に示した実施の形態1の構成のうち、観測散乱ベクトルデータベース2を複数ヒット観測散乱ベクトルデータベース30で、クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段4Aをクラッタ時間方向主要散乱ベクトル抽出蓄積手段4Bで置き換えたものである。
【0095】
複数ヒット観測散乱ベクトルデータベース30は複数ヒットt=1,2,・・・,Tにおける観測値を蓄えておくデータベースである。蓄えられるデータは時系列であるから、式(12)において空間方向の座標を表すk=1,2,・・・,Kを時系列のヒット番号t=1,2,・・・,Tで置き換える。その後は、実施の形態1と全く同様な処理を行う。このようにすることにより、クラッタあるいは目標の散乱ベクトルが時間とともに変動するような場合においても、実施の形態1と同様な処理を適用することが可能となる。
【0096】
次に、クラッタ時間方向主要散乱ベクトル抽出蓄積手段4Bの動作について説明する。複数ヒットクラッタ主要散乱ベクトルデータベース44には、事前の複数ヒットのクラッタの観測値が蓄積される。このクラッタに関する時系列データを用いて主要散乱ベクトル抽出手段42によってクラッタの主要散乱ベクトルを求める。主要散乱ベクトル抽出手段42においては、式(17)、式(18)において、実施の形態1では空間方向の座標を表すm=1,2,・・・,Mを時間系列を表すものと読み替え、その他は全く同様な動作で時間的に変動するクラッタの主要散乱ベクトルを求める。
【0097】
本実施の形態をとることによって、ある地点をある時間に渡って観測した時系列データに対して、実施の形態1と同様な効果を得ることが可能となる。
【0098】
すなわち、本実施の形態のクラッタ抑圧装置は、観測散乱ベクトルデータベース30および、クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段4Aは、それぞれ複数ヒット分の散乱ベクトルを格納する。そのため、ある地点を所定の時間に渡って観測した時系列データに対して、クラッタの電力が抑圧された電力分布を観測することができ、また、クラッタと目標の散乱ベクトルの主要な成分を抽出するので、その分布が完全にコヒーレントではないクラッタについても適用が可能である。
【0099】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3のクラッタ抑圧装置構成を示すブロック図である。図5は本実施の形態の処理を説明するための図である。図4において、42は観測散乱行列データベース2に格納された観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルから、主要な散乱ベクトルを抽出することで、クラッタの主要な散乱ベクトルを抽出する主要散乱ベクトル抽出手段である。
【0100】
本実施の形態は、実施の形態1における、事前の観測値(クラッタ散乱ベクトルデータベース41)からクラッタの主要な散乱ベクトルを抽出する部分(クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップS1)を、実観測で得られた観測値、すなわち、観測散乱ベクトルデータベース2から、抽出する構成としたものである。すなわち、本実施の形態における主要散乱ベクトル抽出手段42においては、YYumの共分散行列[Cu]を次のように近似的に求める。
【0101】
【数21】
Figure 0003659577
【0102】
図5に示すように、実観測で観測される散乱ベクトルは、ターゲットの散乱ベクトルも含むものであるが、観測したシーンの多くの部分をクラッタの成分が占める場合は、式(24)で求められた共分散行列を用いて主成分分析を行うことにより、クラッタの主要な散乱ベクトルYYuをほぼ正確に抽出することができる。抽出されたクラッタの主要な散乱ベクトルYYuは、クラッタ主要成分抑圧手段3に送られる。後段の処理は実施の形態1と同様である。
【0103】
本実施の形態をとることによって、実施の形態1の効果に加えて、実施の形態1においては必要であったクラッタ散乱ベクトルの事前の観測あるいは事前の理論計算を省くことが可能となる。
【0104】
なお、本実施の形態において、観測散乱ベクトルデータベース2を図3に示した複数ヒット観測散乱ベクトルデータベース30で置き換えることにより、時系列のデータに対して用いることができることは言うまでもない。
【0105】
このようなことから、本実施の形態のクラッタ抑圧装置は、互いに直交する偏波特性を有する二つのアンテナ9,10と、二つのアンテナ9,10のうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させ、観測対象の散乱ベクトルを収集する偏波切換器1と、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルを格納する観測散乱ベクトルデータベース2と、観測散乱ベクトルデータベース2に格納された観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルから、主要な散乱ベクトルを抽出することで、クラッタの主要な散乱ベクトルを抽出する主要散乱ベクトル抽出手段42と、観測散乱ベクトルデータベース2に格納された観測散乱ベクトルから、クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段4Aにおいて蓄積されているクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧手段3と、クラッタ主要成分抑圧手段3によって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出手段5とを有する。そのため、クラッタ散乱ベクトルの事前の観測あるいは事前の理論計算を省くことが可能となるとともに、分布が完全にコヒーレントではないクラッタについても適用が可能である。
【0106】
また、本実施の形態のクラッタ抑圧方法は、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップS1は、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルからクラッタ主要散乱ベクトルを抽出する代わりに、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルの主要な散乱ベクトルを抽出することで、クラッタ主要散乱ベクトルを抽出する。そのため、クラッタ散乱ベクトルの事前の観測あるいは事前の理論計算を省くことが可能となるとともに、分布が完全にコヒーレントではないクラッタについても適用が可能である。
【0107】
実施の形態4.
実施の形態1において、主要散乱ベクトル抽出手段42は、式(19)に示す固有値分解の結果得られる上述の固有ベクトルVVi(i=1,2,3,4)のうち、最大の固有値λ1に対応する固有ベクトルVV1を主要な散乱ベクトルとして出力する。しかし、主要散乱ベクトル抽出手段42の出力する主要な散乱ベクトルとしてはこれに限られるものではない。
【0108】
すなわち、主要散乱ベクトル抽出手段42は、二番目に大きな固有値λ2に対応する固有ベクトルVV2を主要な散乱ベクトルとして出力する構成にしても良い。加えて、三番目に大きな固有値λ3に対応する固有ベクトルVV3も主要な散乱ベクトルとして出力する構成にしても良い。なお、以下では主要散乱ベクトル抽出手段42は、VV1とVV2をクラッタの主要散乱ベクトルとして出力する場合を説明する。
【0109】
このとき、クラッタ主要散乱ベクトルデータベース43には主要散乱ベクトル抽出手段42の出力であるクラッタの主要散乱ベクトルYYu1(=VV1), YYu2(=VV2)
が格納される。
【0110】
次に、クラッタ主要成分抑圧手段3は、式(25)によって、観測散乱ベクトルデータベース2に保存されている各レンジ毎の観測散乱ベクトルYYk(k=1,2,…,K)を、クラッタ主要散乱ベクトルデータベース43に格納されたクラッタの主要散乱ベクトルYYu1, YYu2の張る空間に直交する空間に射影し、観測散乱ベクトルに含まれるクラッタの主要散乱ベクトルYYu1, YYu2の成分を抑圧した散乱ベクトルYYsk(k=1,2,…,K)を求める。
【0111】
【数22】
Figure 0003659577
【0112】
その後の全電力算出手段5、表示器508の動作は実施の形態1と同様である。また、主要散乱ベクトル抽出手段42が、VV1とVV2に加え、VV3を出力する場合についても、クラッタ主要成分抑圧手段3の動作は以上と同様であり、この場合は、式(25)のかわりに式(26)を用いる。
【0113】
【数23】
Figure 0003659577
【0114】
ただし、レーダがモノスタティック構成の場合は、主要散乱ベクトル抽出手段42は、VV3を出力する構成はとらない。
【0115】
本実施の形態をとることによって、クラッタの実施の形態1をとった場合に比べ、クラッタの受信電力をより低減することができる。
【0116】
なお、本実施の形態において、観測散乱ベクトルデータベース2を図3に示した複数ヒット観測散乱ベクトルデータベース30で置き換えることにより、時系列のデータに対して用いることができることは言うまでもない。
【0117】
すなわち、本実施の形態のクラッタ抑圧装置は、主要散乱ベクトル抽出手段42は、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に複数個をクラッタの主要な散乱ベクトルとして抽出し、クラッタ主要成分抑圧手段3は、観測散乱ベクトルを、複数個のクラッタの主要な散乱ベクトルの張る空間に直交する空間に射影することによって観測散乱ベクトルから、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を抑圧する。そのため、クラッタの電力が抑圧された電力分布を観測することができるとともに、クラッタの受信電力をより低減することができる。
【0118】
また、主要散乱ベクトル抽出手段42は、アンテナがモノスタティック構成である場合に、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に2個を主要散乱ベクトルとして出力し、アンテナがモノスタティック構成でない場合に、固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に3個を主要散乱ベクトルとして出力する。そのため、クラッタの受信電力をより確実に低減することができる。
【0119】
また、本実施の形態のクラッタ抑圧方法は、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップS1は、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に複数個をクラッタの主要な散乱ベクトルとして抽出し、クラッタ主要成分抑圧ステップS2は、観測散乱ベクトルを、複数個のクラッタの主要な散乱ベクトルの張る空間に直交する空間に射影することによって観測散乱ベクトルから、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を抑圧する。そのため、クラッタの電力が抑圧された電力分布を観測することができるとともに、クラッタの受信電力をより低減することができる。
【0120】
さらに、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップS1は、アンテナがモノスタティック構成である場合に、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に2個を主要散乱ベクトルとして出力し、アンテナがモノスタティック構成でない場合に、固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に3個を主要散乱ベクトルとして出力する。そのため、クラッタの受信電力をより確実に低減することができる。
【0121】
【発明の効果】
この発明のクラッタ抑圧装置は、互いに直交する偏波特性を有する二つのアンテナと、二つのアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させ、観測対象の散乱ベクトルを収集する偏波切換器と、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルを格納する観測散乱ベクトルデータベースと、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルから主要な散乱ベクトルを抽出し、蓄積するクラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段と、観測散乱ベクトルデータベースに格納された観測散乱ベクトルから、クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段において蓄積されているクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧手段と、クラッタ主要成分抑圧手段によって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出手段とを有する。そのため、クラッタの電力が抑圧された電力分布を観測することができ、また、クラッタと目標の散乱ベクトルの主要な成分を抽出するので、その分布が完全にコヒーレントではないクラッタについても適用が可能である。
【0122】
また、クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段は、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルを蓄積するクラッタ散乱ベクトルデータベースと、クラッタ散乱ベクトルデータベースから、主要な散乱ベクトルを抽出する主要散乱ベクトル抽出手段と、抽出された主要な散乱ベクトルを蓄積するクラッタ主要散乱ベクトルデータベースとを有する。そのため、容易な方法によって、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルから主要な散乱ベクトルを抽出し蓄積することができる。
【0123】
また、互いに直交する偏波特性を有する二つのアンテナと、二つのアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させ、観測対象の散乱ベクトルを収集する偏波切換器と、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルを格納する観測散乱ベクトルデータベースと、観測散乱ベクトルデータベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルから、主要な散乱ベクトルを抽出することで、クラッタの主要な散乱ベクトルを抽出する主要散乱ベクトル抽出手段と、観測散乱ベクトルデータベースに格納された観測散乱ベクトルから、クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段において蓄積されているクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧手段と、クラッタ主要成分抑圧手段によって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出手段とを有する。そのため、クラッタ散乱ベクトルの事前の観測あるいは事前の理論計算を省くことが可能となるとともに、分布が完全にコヒーレントではないクラッタについても適用が可能である。
【0124】
また、観測散乱ベクトルデータベースおよび、クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段は、それぞれ複数ヒット分の散乱ベクトルを格納する。そのため、ある地点を所定の時間に渡って観測した時系列データに対して、クラッタの電力が抑圧された電力分布を観測することができ、また、クラッタと目標の散乱ベクトルの主要な成分を抽出するので、その分布が完全にコヒーレントではないクラッタについても適用が可能である。
【0125】
また、主要散乱ベクトル抽出手段は、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、最大固有値に対応する固有ベクトルをクラッタの主要な散乱ベクトル抽出する。そのため、主要な散乱ベクトルを確実に抽出することができる。
【0126】
また、主要散乱ベクトル抽出手段は、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルを対応する固有値で重み付けして加算したものをクラッタの主要な散乱ベクトル抽出する。そのため、主要な散乱ベクトルを確実に抽出することができる。
【0127】
また、クラッタ主要成分抑圧手段は、観測散乱ベクトルを、クラッタの主要な散乱ベクトルに直交する空間に射影することによって観測散乱ベクトルから、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を抑圧する。そのため、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を確実に抑圧することができる。
【0128】
また、主要散乱ベクトル抽出手段は、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に複数個をクラッタの主要な散乱ベクトルとして抽出し、クラッタ主要成分抑圧手段は、観測散乱ベクトルを、複数個のクラッタの主要な散乱ベクトルの張る空間に直交する空間に射影することによって観測散乱ベクトルから、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を抑圧する。そのため、クラッタの電力が抑圧された電力分布を観測することができるとともに、クラッタの受信電力をより低減することができる。
【0129】
また、主要散乱ベクトル抽出手段は、アンテナがモノスタティック構成である場合に、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に2個を主要散乱ベクトルとして出力し、アンテナがモノスタティック構成でない場合に、固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に3個を主要散乱ベクトルとして出力する。そのため、クラッタの受信電力をより確実に低減することができる。
【0130】
また、この発明のクラッタ抑圧方法は、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルから主要な散乱ベクトルを抽出するクラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップと、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルに対して、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップにおいて抽出されたクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧ステップと、クラッタ主要成分抑圧ステップによって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出ステップとを有する。そのため、クラッタの電力が抑圧された電力分布を観測することができ、また、クラッタと目標の散乱ベクトルの主要な成分を抽出するので、その分布が完全にコヒーレントではないクラッタについても適用が可能である。
【0131】
また、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップは、事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルからクラッタ主要散乱ベクトルを抽出する代わりに、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルの主要な散乱ベクトルを抽出することで、クラッタ主要散乱ベクトルを抽出する。そのため、クラッタ散乱ベクトルの事前の観測あるいは事前の理論計算を省くことが可能となるとともに、分布が完全にコヒーレントではないクラッタについても適用が可能である。
【0132】
また、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップは、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、最大固有値に対応する固有ベクトルを主要散乱ベクトルとして抽出する。そのため、主要な散乱ベクトルを確実に抽出することができる。
【0133】
また、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップは、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルを対応する固有値で重み付けして加算したものを主要散乱ベクトルとして抽出する。そのため、主要な散乱ベクトルを確実に抽出することができる。
【0134】
さらに、クラッタ主要成分抑圧ステップは、観測散乱ベクトルを、クラッタの主要な散乱ベクトルに直交する空間に射影することによって観測散乱ベクトルから、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を抑圧する。そのため、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を確実に抑圧することができる。
【0135】
また、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップは、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に複数個をクラッタの主要な散乱ベクトルとして抽出し、クラッタ主要成分抑圧ステップは、観測散乱ベクトルを、複数個のクラッタの主要な散乱ベクトルの張る空間に直交する空間に射影することによって観測散乱ベクトルから、クラッタの主要な散乱ベクトル成分を抑圧する。そのため、クラッタの電力が抑圧された電力分布を観測することができるとともに、クラッタの受信電力をより低減することができる。
【0136】
さらに、クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップは、アンテナがモノスタティック構成である場合に、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、共分散行列を固有値分解し、固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に2個を主要散乱ベクトルとして出力し、アンテナがモノスタティック構成でない場合に、固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に3個を主要散乱ベクトルとして出力する。そのため、クラッタの受信電力をより確実に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1のクラッタ抑圧装置構成を示すブロック図である。
【図2】 実施の形態2の動作内容を説明するための図である。
【図3】 この発明の実施の形態2のクラッタ抑圧装置構成を示すブロック図である。
【図4】 この発明の実施の形態3のクラッタ抑圧装置構成を示すブロック図である。
【図5】 実施の形態3の処理を説明するための図である。
【図6】 従来のクラッタ抑圧装置構成を示すブロック図である。
【図7】 従来の技術の動作内容を説明するための図である。
【符号の説明】
1 偏波切換器、2 観測散乱ベクトルデータベース、3 クラッタ主要成分抑圧手段、30 複数ヒット観測散乱ベクトルデータベース、4A クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段、4B クラッタ時間方向主要散乱ベクトル抽出蓄積手段、41 クラッタ散乱ベクトルデータベース、42 主要散乱ベクトル抽出手段、43 クラッタ主要散乱ベクトルデータベース、44 複数ヒットクラッタ主要散乱ベクトルデータベース、5 全電力算出手段、9 第一偏波送受信アンテナ、10 第二偏波送受信アンテナ、501 送信機、502 送受切換器、503 偏波制御器、505 受信機、508 表示器。

Claims (4)

  1. 互いに直交する偏波特性を有する二つのアンテナと、
    上記二つのアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させ、観測対象の散乱ベクトルを収集する偏波切換器と、
    観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルを格納する観測散乱ベクトルデータベースと、
    事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルから主要な散乱ベクトルを抽出し、蓄積するクラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段と、
    上記観測散乱ベクトルデータベースに格納された上記観測散乱ベクトルから、上記クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段において蓄積されているクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧手段と、
    上記クラッタ主要成分抑圧手段によって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出手段と
    を有するクラッタ抑圧装置において、
    上記クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段は、
    事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルを蓄積するクラッタ散乱ベクトルデータベースと、
    上記クラッタ散乱ベクトルデータベースから、主要な散乱ベクトルを抽出する主要散乱ベクトル抽出手段と、
    抽出された主要な散乱ベクトルを蓄積するクラッタ主要散乱ベクトルデータベースと
    を有し
    上記主要散乱ベクトル抽出手段は、
    アンテナがモノスタティック構成である場合に、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、上記共分散行列を固有値分解し、上記固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に2個を主要散乱ベクトルとして出力し、
    アンテナがモノスタティック構成でない場合に、上記固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に3個を主要散乱ベクトルとして出力し、
    上記クラッタ主要成分抑圧手段は、上記観測散乱ベクトルを、上記複数個のクラッタの主要な散乱ベクトルの張る空間に直交する空間に射影することによって上記観測散乱ベクトルから、上記クラッタの主要な散乱ベクトル成分を抑圧する
    ことを特徴とするクラッタ抑圧装置。
  2. 互いに直交する偏波特性を有する二つのアンテナと、
    上記二つのアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させ、観測対象の散乱ベクトルを収集する偏波切換器と、
    観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルを格納する観測散乱ベクトルデータベースと、
    上記観測散乱ベクトルデータベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルから、主要な散乱ベクトルを抽出することで、クラッタの主要な散乱ベクトルを抽出する主要散乱ベクトル抽出手段と、
    上記観測散乱ベクトルデータベースに格納された上記観測散乱ベクトルから、上記クラッタ主要散乱ベクトル抽出蓄積手段において蓄積されているクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧手段と、
    上記クラッタ主要成分抑圧手段によって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出手段と
    を有するクラッタ抑圧装置において、
    上記主要散乱ベクトル抽出手段は、
    アンテナがモノスタティック構成である場合に、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、上記共分散行列を固有値分解し、上記固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に2個を主要散乱ベクトルとして出力し、
    アンテナがモノスタティック構成でない場合に、上記固有ベクトルのうち、対応する固 有値の大きいものから順に3個を主要散乱ベクトルとして出力し、
    上記クラッタ主要成分抑圧手段は、上記観測散乱ベクトルを、上記複数個のクラッタの主要な散乱ベクトルの張る空間に直交する空間に射影することによって上記観測散乱ベクトルから、上記クラッタの主要な散乱ベクトル成分を抑圧する
    ことを特徴とするクラッタ抑圧装置。
  3. 事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルから主要な散乱ベクトルを抽出するクラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップと、
    観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルに対して、上記クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップにおいて抽出されたクラッタの主要な散乱ベクトルの成分を抑圧するクラッタ主要成分抑圧ステップと、
    上記クラッタ主要成分抑圧ステップによって得られるクラッタ主要成分抑圧後の散乱ベクトルの全電力を算出する全電力算出ステップと
    を有するクラッタ抑圧方法において、
    上記クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップは、
    アンテナがモノスタティック構成である場合に、入力された散乱ベクトルの共分散行列を算出し、上記共分散行列を固有値分解し、上記固有値分解の結果得られる固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に2個を主要散乱ベクトルとして出力し、
    アンテナがモノスタティック構成でない場合に、上記固有ベクトルのうち、対応する固有値の大きいものから順に3個を主要散乱ベクトルとして出力する
    ことを特徴とするクラッタ抑圧方法。
  4. 上記クラッタ主要散乱ベクトル抽出ステップは、上記事前の観測あるいは理論計算により得られたクラッタの散乱ベクトルから上記クラッタ主要散乱ベクトルを抽出する代わりに、観測対象の各分解能セルごとの観測散乱ベクトルの主要な散乱ベクトルを抽出することで、上記クラッタ主要散乱ベクトルを抽出する
    ことを特徴とする請求項3に記載のクラッタ抑圧方法。
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