JP3798577B2 - レーダ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレーダ装置に係り、特に偏波を用いてクラッタを抑圧するレーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置として、例えば特願昭62−503644号公報に開示されるものが知られている。図16は、上記文献に従って構成したレーダ装置のブロック構成図である。図16において、501は送信機、502は送受切換器、503は偏波制御器、504は複数偏波送受信アンテナ、505は受信機、506はスイッチ、507は送受信偏波同一型最適偏波選択回路、508は表示器を表す。
【0003】
図17は、従来の技術の処理内容を説明するための図である。以下、図16および図17を参照して、従来のレーダ装置の動作について説明する。 従来のレーダ装置は、電磁波のベクトル的な性質を利用して、クラッタと目標のエコーとを分離するものである。目標への入射波や、目標からの散乱波は、Maxwellの方程式の記述より明らかなように、本来空間内のベクトルとして表現される。特に、目標が自由空間中で十分遠方に存在する場合には、これらの電磁波は平面波とみなすことができることから、その電界(磁界)は、進行方向に直交した平面上の二次元ベクトルとして取り扱うことができる。
【0004】
平面波におけるこれら電界(磁界)ベクトルの時間変化の様子は、波の偏り、つまり、いわゆる偏波の概念として理解、分類されている。電磁波をベクトルで表現した場合には、観測対象の散乱特性も、レーダ断面積(Radar Cross Section : RCS)のようなスカラー値ではなく、散乱行列(Scattering Matrix)として表現される。
【0005】
上記の従来の技術では、クラッタの散乱行列を得るためのテスト観測モードと、テスト観測モードで得られたクラッタの散乱行列をもとに、クラッタの電力を抑圧して、目標の観測を行う実観測モードの二つの観測モードがある。時刻t,位置ベクトルrrにおける、周波数f,波数ベクトルkkの平面波EE(rr,t)は、次式のように表される。
【0006】
【数1】
【0007】
ここで、EE0は複素の電界ベクトルであり、垂直方向(vertical : v)の電界成分Evと水平方向(horizontal : h)の電界成分Ehとを用いて次式のように表すことができる。
【0008】
【数2】
【0009】
ここで、ρは次式で表される。
【0010】
【数3】
【0011】
式(2)におけるAv ej δ vは、両成分に共通に作用するので、結局、ベクトル[ 1,ρ ]T(Tは転置行列を表す)がその平面波の偏波状態(polarization state)を特徴づけることになる。そこで、[1,ρ]Tのユークリッドノルムを1とするベクトルEEJを次式で定義する。
【0012】
【数4】
【0013】
ここで“*”は共役を表す。以下では、式(4)の電界ベクトルの表現形式をJones Vector形式と呼ぶことにする。
目標への入射波の偏波状態、すなわち送信アンテナの偏波状態をJones Vector形式の複素電界ベクトルEEtで表現した場合、散乱波の複素電界ベクトルEEsは次式で与えられる。
【0014】
【数5】
【0015】
上式において、[S]は観測対象の散乱特性を表す散乱行列(scattering matrix)であり次式で表される。
【0016】
【数6】
【0017】
ここで、Svvは入射波の偏波がVの時の散乱波のV成分、Svhは入射波の偏波がVの時の散乱波のH成分、Shvは入射波の偏波がHの時の散乱波のV成分、Shhは入射波の偏波がHの時の散乱波のH成分を表す。
【0018】
偏波状態がJones Vector形式の複素電界ベクトルEErで与えられる受信アンテナで、上記の散乱波EEsを受信した場合の受信電圧Vsは次式で与えられる。
【0019】
【数7】
【0020】
よって、この場合の受信電力Psは次のように表される。
【0021】
【数8】
【0022】
ここで、送信アンテナと受信アンテナの偏波状態が等しく、すなわち、
【0023】
【数9】
【0024】
の関係が成立し、かつ、送信アンテナと受信アンテナがモノスタティックで構成されている、すなわち、
【0025】
【数10】
【0026】
の関係が成立する場合を想定する。簡単なマトリックス演算を行うことにより、このような状況下では、ρが次式を満足する場合に受信電力Psがゼロになることが分かる。
【0027】
【数11】
【0028】
従って、クラッタの散乱行列[Su]の要素が観測等により既知であれば、それらの要素を式(11)に代入してρを決定し、そのρを式(4)に代入して複素電界ベクトルを求め、その復素電界ベクトルを送受信アンテナの偏波状態にすることで、クラッタ電力を抑圧して、目標の散乱行列[Sd]に関する電力を得ることができる。
【0029】
従来のレーダ装置は、以上に述べた原理で動作する。
以下、図16に従い、具体的な処理の内容を説明する。送信機501で生成された広帯域パルスは、送受切換器502、偏波制御器503を介して複数偏波送受信アンテナ504から観測対象に照射される。観測対象によって散乱されたエコーは、複数偏波送受信アンテナ504、偏波制御器503、送受切換器502を介して受信機505で受信され、その結果生成された受信信号がスイッチ506に送信される。この信号はスイッチ506の状態により、表示器508、または送受信偏波同一型最適偏波選択回路507に送られる。
【0030】
次に、偏波制御器503、スイッチ506、及び送受信偏波同一型最適偏波選択回路507の動作原理について説明する。この従来の技術においては、試験観測モードと実観測モードの二つの観測モードを時分割で切り換えて観測を行う。まず試験観測モードでは、クラッタの散乱行列が測定される。そのため、偏波制御器503ではVV偏波、VH偏波、HH偏波が観測されるように、送受信の偏波が切り換えられる。
【0031】
例えば複数偏波送受信アンテナ504が水平ダイポールアンテナと垂直ダイポールアンテナで構成されている場合には、垂直ダイポールアンテナを用いて送信波を送信し、そのエコーを垂直アンテナで受信することでSvvを、そのエコーを水平ダイポールアンテナで受信することでSvhを得ることができる。同様に、送信波を水平ダイポールアンテナを用いて送信し、そのエコーを垂直アンテナで受信することでShvを、そのエコーを水平ダイポールアンテナで受信することでShhを得ることができる。
【0032】
これにより得られたクラッタの散乱行列[Sc]はスイッチ506を介して送受信偏波同一型最適偏波選択回路507に送られる。送受信偏波同一型最適偏波選択回路507では、前述の式(11)でρを決定し、この値を式(4)に代入して送受信アンテナの偏波状態EEを決定し、これを偏波制御器503に送る。偏波制御器503では、送受信アンテナの偏波状態をEEとするための制御が行われる。
【0033】
次に、実観測モードに移る。実観測モードでは、偏波制御器503によって上記の如く制御された偏波状態で観測対象に送信波が照射され、同じ偏波状態でそのエコーが受信される。偏波制御器503で定められた偏波状態は、クラッタの電力を抑圧する偏波状態を満足することから、理想的にはクラッタ電力を完全に抑圧して、目標の電力分布のみを得ることができる。
【0034】
散乱特性が完全に固定されたクラッタの場合には、これ以降実観測モードを続けることで、クラッタを効果的に抑圧した状態の観測を保持することができるが、特に海面クラッタのような場合時間と共に散乱特性が変化することも考えられることから、適当な時間間隔で再び試験観測モードに移行して送受信アンテナの偏波状態を補正する。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の装置では、以下に示すような問題がある。
1.クラッタの散乱行列のみに着目しているので、目標の散乱行列とクラッタの散乱行列との組み合わせによっては、目標の電力まで大幅に抑圧してしまい、耐雑音性能の面で問題になる。
【0036】
2.送信偏波と受信偏波を等しく設定するため、クラッタの電力を完全に抑圧するためには送受信偏波が等しいという条件を満たす2種類の送受信偏波のみしか選択できない。このため、目標の散乱行列とクラッタの散乱行列との組み合わせにより目標の電力まで大幅に抑圧してしまう場合を自由に回避できないという問題が生ずる。
【0037】
3.モノスタティック構成でしか実現できないので、例えばステルス目標のように送信および受信アンテナの位置が同じ場合の反射を下げるように構成された目標の検出性能を向上するという目的でよく用いられるバイスタティック構成をとることができず、耐ステルス性能が劣化する。
【0038】
4.目標が複数の分解能セルに渡って存在し、その偏波特性が分解能セルごとに異なる場合にこれを考慮することができないので、検出性能が劣化する。
【0039】
5.また、クラッタの偏波特性が各分解能セルごとに異なる場合に、これを考慮することができないので、検出性能が劣化する。
【0040】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、上述した問題を生ずることなくクラッタを抑圧することのできるレーダ装置を提供することを目的とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、偏波を用いてクラッタを抑圧するレーダ装置であって、
事前の観測により得られたクラッタの散乱行列を格納するクラッタ散乱行列データベースと、
事前の観測により得られた目標の散乱行列を格納する候補目標散乱行列データベースと、
クラッタ受信電力をゼロにするために送信偏波と受信偏波が満足すべき条件を内包し、クラッタの散乱行列と、目標の散乱行列と、送信偏波とが特定されることにより前記条件の下での目標電力を導出する規則に従って、前記送信偏波を変えた場合の目標電力を算出する偏波電力算出回路と、
前記偏波電力算出回路で得られた各送信偏波における目標電力から、クラッタ受信電力をゼロにする条件の下で目標電力を最大とするための送信偏波を決定する探索回路と、
前記偏波電力算出回路と前記探索回路を構成要素とする最適偏波選択回路と、
互いに直交した偏波特性の二つのアンテナと、
観測対象の散乱行列を収集するために、これらアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させる偏波切換器と、
観測対象の各分解能セルごとの散乱行列を格納する観測散乱行列データベースと、
クラッタ受信電力をゼロにするために送信偏波と受信偏波が満足すべき条件を内包し、クラッタの散乱行列と、観測対象の散乱行列と、送信偏波とが特定されることにより前記条件の下での目標電力を導出する規則に従って、前記観測散乱行列データベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの散乱行列と、前記最適偏波選択回路の出力であるクラッタ受信電力をゼロにする条件の下で目標電力を最大とする送信偏波と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列とを用いて、クラッタの抑圧を行う偏波最適化回路と、
を有することを特徴とするものである。
【0042】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のレーダ装置であって、
前記候補目標散乱行列データベースは、候補目標の反射に関する複数の散乱行列を格納し、
前記最適偏波選択回路は、前記候補目標散乱行列データベースに格納された異なる散乱行列ごとに、クラッタ受信電力をゼロにする条件を満たし、かつ目標電力を最大とするための送信偏波を決定し、
前記偏波最適化回路は、前記最適偏波選択回路で得られた目標の反射に関する異なる散乱行列ごとの異なる送信偏波と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列、および前記観測散乱行列データベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの散乱行列から、前記異なる送信偏波ごとにクラッタの電力を抑圧した電力分布を求め、更に、
異なる送信偏波ごとに得られたクラッタ抑圧後の電力分布を格納する偏波最適化電力分布蓄積回路と、
異なる送信偏波ごとに偏波最適化電力分布蓄積回路に格納された電力分布を各分解能セルごとに比較し、それぞれの電力分布のうちの電力が最大となった分布の電力を各分解能セルごとに選択する最大電力選択回路と、
を有することを特徴とするものである。
【0043】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のレーダ装置であって、
受信機の出力を基に目標に対するレーダのアスペクト角を推定するアスペクト角推定回路を有すると共に、
前記候補目標散乱行列データベースは、各アスペクト角ごとに事前に観測された目標の散乱行列を格納し、
前記最適偏波選択回路は、前記アスペクト角推定回路のアスペクト角推定結果を基に、対応するアスペクト角における目標の散乱行列を前記候補目標散乱行列データベースから読み出し、その読み出し結果と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列とを用いて、クラッタ電力をゼロにするという制約の基で目標電力を最大とする送信偏波を決定することを特徴とするものである。
【0044】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項記載のレーダ装置であって、
目標の三次元形状を格納する三次元形状データベースと、
前記三次元形状データベースに蓄積された目標の三次元形状を用いた電磁界理論計算から目標の散乱行列を理論的に算出する散乱行列理論値算出手段とを有し、
前記最適偏波選択回路は、前記散乱行列理論値算出手段の算出結果に基づいて前記送信偏波を決定するための処理を実行することを特徴とするものである。
【0045】
請求項5記載の発明は、請求項1記載のレーダ装置であって、
観測対象の各分解能セルごとの散乱行列を用いて目標の散乱行列を推定する目標散乱行列推定手段を有すると共に、
前記最適偏波選択回路は、前記目標散乱行列推定手段の推定結果に基づいて前記送信偏波を決定するための処理を実行することを特徴とするものである。
【0046】
請求項6記載の発明は、請求項2記載のレーダ装置であって、
観測対象の各分解能セルごとの散乱行列を用いて目標の反射に関する複数の異なる散乱行列を推定する目標散乱行列推定手段を有すると共に、
前記最適偏波選択回路は、前記目標散乱行列推定手段の推定結果に基づいて前記送信偏波を決定するための処理を実行することを特徴とするものである。
【0047】
請求項7記載の発明は、請求項2または6記載のレーダ装置であって、
前記偏波最適化回路は、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列から定まるクラッタの電力をゼロにするための複数種類の送信偏波と受信偏波の組合わせを想定し、それぞれの組合わせごとに、クラッタ抑圧処理を行うことを特徴とするものである。
【0048】
請求項8記載の発明は、偏波を用いてクラッタを抑圧するレーダ装置であって、
事前の観測により得られたクラッタの散乱行列を格納するクラッタ散乱行列データベースと、
互いに直交した偏波特性の二つのアンテナと、
観測対象の散乱行列を収集するために、これらアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させる偏波切換器と、
観測対象の各分解能セルごとの散乱行列を格納する観測散乱行列データベースと、
平面波のすべての偏波状態を球面上の一点として表すポアンカレ球上で、3つの独立なガウス乱数を用いて理論上一様な分布を取る複数の点を選択し、選択された複数の点に対応する偏波状態をそれぞれの送信偏波として選択する正規分布利用型均一分布偏波選択回路と、
クラッタ受信電力をゼロにするために送信偏波と受信偏波が満足すべき条件を内包し、クラッタの散乱行列と、観測対象の散乱行列と、送信偏波とが特定されることにより前記条件の下での目標電力を導出する規則に従って、前記観測散乱行列データベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの散乱行列と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列とを用いて、前記正規分布利用型均一分布偏波選択回路によって選択された送信偏波ごとにクラッタの電力を抑圧した電力分布を求める偏波最適化回路と、
異なる送信偏波ごとに得られたクラッタ抑圧後の電力分布を格納する偏波最適化電力分布蓄積回路と、
異なる送信偏波ごとに偏波最適化電力分布蓄積回路に格納された電力分布を各分解能セルごとに比較し、それぞれの電力分布のうちの電力が最大となった分布の電力を各分解能セルごとに選択する最大電力選択回路と、
を有することを特徴とするものである。
【0049】
請求項9記載の発明は、偏波を用いてクラッタを抑圧するレーダ装置であって、
事前の観測により得られたクラッタの散乱行列を格納するクラッタ散乱行列データベースと、
互いに直交した偏波特性の二つのアンテナと、
観測対象の散乱行列を収集するために、これらアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させる偏波切換器と、
観測対象の各分解能セルごとの散乱行列を格納する観測散乱行列データベースと、
平面波のすべての偏波状態を球面上の一点として表すポアンカレ球上で、前記ポアンカレ球を取り囲む正多面体と接触する複数の接点を選択し、選択された複数の点に対応する偏波状態をそれぞれの送信偏波として選択する正多面体利用型均一分布偏波選択回路と、
クラッタ受信電力をゼロにするために送信偏波と受信偏波が満足すべき条件を内包し、クラッタの散乱行列と、観測対象の散乱行列と、送信偏波とが特定されることにより前記条件の下での目標電力を導出する規則に従って、前記観測散乱行列データベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの散乱行列と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列とを用いて、前記正多面体利用型均一分布偏波選択回路によって選択された送信偏波ごとにクラッタの電力を抑圧した電力分布を求める偏波最適化回路と、
異なる送信偏波ごとに得られたクラッタ抑圧後の電力分布を格納する偏波最適化電力分布蓄積回路と、
異なる送信偏波ごとに偏波最適化電力分布蓄積回路に格納された電力分布を各分解能セルごとに比較し、それぞれの電力分布のうちの電力が最大となった分布の電力を各分解能セルごとに選択する最大電力選択回路と、
を有することを特徴とするものである。
【0050】
請求項10記載の発明は、偏波を用いてクラッタを抑圧するレーダ装置であって、
事前の観測により得られたクラッタの散乱行列を格納するクラッタ散乱行列データベースと、
互いに直交した偏波特性の二つのアンテナと、
観測対象の散乱行列を収集するために、これらアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させる偏波切換器と、
観測対象の各分解能セルごとの散乱行列を格納する観測散乱行列データベースと、
平面波のすべての偏波状態を球面上の一点として表すポアンカレ球上で、前記ポアンカレ球と同心となるように想定された正多面体或いは準正多面体の中心からそれらの頂点に向かう単位方向ベクトルにより定まる複数の座標を選択し、選択された複数の座標に対応する偏波状態をそれぞれの送信偏波として選択する正多面体利用型均一分布偏波選択回路と、
クラッタ受信電力をゼロにするために送信偏波と受信偏波が満足すべき条件を内包し、クラッタの散乱行列と、観測対象の散乱行列と、送信偏波とが特定されることにより前記条件の下での目標電力を導出する規則に従って、前記観測散乱行列データベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの散乱行列と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列とを用いて、前記正多面体利用型均一分布偏波選択回路によって選択された送信偏波ごとにクラッタの電力を抑圧した電力分布を求める偏波最適化回路と、
異なる送信偏波ごとに得られたクラッタ抑圧後の電力分布を格納する偏波最適化電力分布蓄積回路と、
異なる送信偏波ごとに偏波最適化電力分布蓄積回路に格納された電力分布を各分解能セルごとに比較し、それぞれの電力分布のうちの電力が最大となった分布の電力を各分解能セルごとに選択する最大電力選択回路と、
を有することを特徴とするものである。
【0051】
請求項11記載の発明は、請求項2、および6乃至10の何れか1項記載のレーダ装置であって、
前記偏波最適化電力分布蓄積回路に蓄積された、複数のそれぞれ異なる偏波でクラッタ抑圧されることにより得られた電力分布を、各分解能セルごとに積分する電力積分回路を有することを特徴とするものである。
【0052】
請求項12記載の発明は、請求項1乃至11の何れか1項記載のレーダ装置であって、
前記クラッタ散乱行列データベースは、観測領域内の各分解能セルごとにクラッタの散乱行列を蓄積し、
前記最適偏波選択回路は、前記候補目標散乱行列データベースと各分解能セルごとに蓄積されているクラッタの散乱行列とを用いてクラッタ電力をゼロとするための送信偏波と受信偏波の関係を定めると共に、前記候補目標散乱行列データベースに蓄積された目標の散乱行列からクラッタ電力をゼロとする条件を満足し、かつ目標の電力を最大とするための送信偏波を決定し、更に、
前記偏波最適化回路は、前記最適偏波選択回路の出力である、クラッタ電力をゼロとする条件を満足し、かつ目標の電力を最大とするための各分解能セルごとの送信偏波と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納された各分解能セルごとのクラッタの散乱行列とから、各分解能セルごとにクラッタ抑圧を行うクラッタ領域考慮型偏波最適化回路であることを特徴とするものである。
【0053】
請求項13記載の発明は、請求項2および6乃至11の何れか1項記載のレーダ装置であって、
各偏波でクラッタ抑圧を行った結果を表示する表示器を有することを特徴とするものである。
【0054】
請求項14記載の発明は、請求項1乃至13の何れか1項記載のレーダ装置であって、
エレベーション角を推定するエレベーション角推定回路と、
エレベーション角ごとのクラッタの散乱行列を格納するエレベーション角考慮クラッタ散乱行列データベースと、
を有することを特徴とするものである。
【0055】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1のレーダ装置の構成を示すブロック図である。図1において、1は偏波切換器、2は観測散乱行列データベース、3は偏波最適化回路、4はクラッタ散乱行列データベース、5は候補目標散乱行列データベース、6は偏波電力算出回路、7は探索回路、8は最適偏波選択回路、9は第一偏波送受信アンテナ、10は第二偏波送受信アンテナである。また、図1において、501は送信機、502は送受切換器、505は受信機、508は表示器を表す。
【0056】
図2は実施の形態1のレーダ装置の処理内容を説明するための図である。以下、図1と共に図2を参照して、実施の形態1のレーダ装置が実行する処理内容を説明する。
送信機501で生成された広帯域パルスは送受切換器502を介して偏波切換器1に送信される。偏波切換器1には第一偏波送受信アンテナ9と第二偏波送受信アンテナ10とが接続されている。偏波切換器1は、それら2つのアンテナ9,10のうち一方のアンテナに選択的に送信信号を送る。以下、先ず、偏波切換器1が第一偏波送受信アンテナ9に送信信号を送る場合について説明する。
【0057】
第一偏波送受信アンテナ9と第二偏波送受信アンテナ10は、偏波特性が互いに直交するアンテナの組である。例えば垂直偏波と水平偏波の組や、右旋円偏波と左旋円偏波の組などが上記の直交する二種類の偏波特性として良く知られている。
【0058】
第一偏波送受信アンテナ9から送信された信号は観測対象によって散乱される。上記の散乱によって生じたエコーは第一偏波送受信アンテナ9および第二偏波送受信アンテナ10により受信される。それら2つのアンテナ9,10に受信された信号は、それぞれ偏波切換器1に送信され、送受切換器502を介して受信機505に送られる。
【0059】
受信機505で復調された信号は観測対象の反射強度S11、S12の形で観測散乱行列データベース2に保存される。ここで、Sijは、第i偏波送受信アンテナで送信して第j偏波送受信アンテナで受信された反射強度を表す。本実施形態のレーダ装置は、所定のタイミングで広帯域パルスを照射するアンテナを第一偏波送受信アンテナ9から第二偏波送受信アンテナ10に切り替えて上述した処理と同様の処理を繰り返し、観測対象の電界反射強度S21、S22を得る。このようにして得られた反射強度S21,S22は、上記の反射強度S11,S12と同様に観測散乱行列データベース2に保存される。
【0060】
観測散乱行列データベース2は、観測対象に関する各分解能セルkごとに上述した反射強度S11,S12,S21,S22を取得し、それらを次式(12)に示す散乱行列[Sk]として分解能セルkごとに格納する。S11k,S12k,S21k,S22kは第k分解能セルの散乱行列要素である。第一偏波送受信アンテナ9と第二偏波送受信アンテナ10の各時刻の動作モードについて図2に示している。図中のインターバルが、散乱行列を得るための一連の処理の実行に要する期間である。
【0061】
【数12】
【0062】
次に、最適偏波選択回路8の動作について説明する。クラッタ散乱行列データベース4には、観測対象に関する散乱行列[Sk]を観測する場合と同様の処理により、事前に観測されたクラッタのみに関する散乱行列[Su]が格納されている。同様に、候補目標散乱行列データベース5には、既知の目標の散乱行列[Sd]が格納されている。クラッタの散乱行列[Su]が既知の場合には、式(7)で示した関係、すなわち、クラッタに関する受信電圧をゼロとするような送受信偏波の関係は次式で与えられる。尚、次式において、||・||はユークリッドノルムを表す。
【0063】
【数13】
【0064】
式(13)は次式(14)のように表すことができる。
【0065】
【数14】
【0066】
従って、送信偏波状態EEtによって受信偏波状態EErが式(14)のように表されるようにすれば、クラッタ電力をゼロにすることができる。尚、式(14)に含まれる[R]は次式で表される。
【0067】
【数15】
【0068】
クラッタと目標とが混在する場合、観測対象の散乱行列[S]は次式の如く表すことができる。
【0069】
【数16】
【0070】
送受信アンテナの偏波状態が式(14)の関係を満たす状況で、このような観測対象が観測された場合、受信電力は次式で表される。
【0071】
【数17】
【0072】
この式は、電力Psを次式(18)のように表していることに他ならない。
【0073】
【数18】
【0074】
式(18)は、電力Psが目標のみに起因して発生していることを表している。この結果は、送受信の偏波状態が式(14)の関係を満たす場合は、クラッタに起因する電力が完全に抑圧されることを表している。
【0075】
このような状況下(送受信の偏波状態が式(14)の関係を満たす状況下)で、更に、式(17)の電力Psが最大となるように送信偏波状態EEtを選択すると、クラッタ電力を完全に抑圧するという条件の下で、散乱行列が[Sd]で表される目標の電力を最大化することができる。
【0076】
送信偏波状態EEtは、||EEt||=1の制約の基で、例えば次式のように表すことができる。
【0077】
【数19】
【0078】
従って、偏波電力算出回路6に、θとδの組み合わせ毎に式(17)を用いて電力Psを計算させ、その結果に基づいて電力Psを最大とするθおよびδを探索させることで、言い換えると、電力Psを最大とする仮想的な送信偏波状態EEtを探索させることで、クラッタ電力が完全に抑圧される条件下で、散乱行列が[Sd]で表される目標の電力を最大化するための送信偏波状態EEtを決定することができる。
【0079】
最適偏波選択回路8は、以上のようにして得られたEEt及びクラッタの散乱行列[Su]を偏波最適化回路3に出力する。偏波最適化回路3は、上述のように、直交する二種類の偏波を用いた観測で得られた各分解能セルk(k=1、2、…、K)ごとの散乱行列[Sk]を用いて、次式により電力の計算を行う。
【0080】
【数20】
【0081】
上記の処理により得られた電力分布Ps(k)は、理想的には、クラッタ成分を含まず、かつ、目標の電力が最大化されたものである。尚、以上のように計算機上で式(20)を用いて任意の偏波で送受信した場合の電力を算出する処理を、以下では「偏波再構成」と呼ぶ。
【0082】
本実施の形態の構成を採用することの利点として、次のものが挙げられる。
1.目標の散乱行列とクラッタの散乱行列とが考慮されるので、クラッタの電力をゼロにするという制約の下で目標に関する電力を最大化することができ、目標の検出性能を高めることができる。
【0083】
2.偏波再構成においては、送信偏波と受信偏波を計算機上で自由に選択できるので、クラッタの電力をゼロにするという制約の下で目標に関する電力を最大化することができ、目標の検出性能を高めることができる。
【0084】
3.偏波再構成においては、送信アンテナと受信アンテナがモノスタティックで構成されることが要求されない。すなわち、観測対象の散乱行列がSuh=Shvの関係(上記式(10)の関係)を満たすことが要求されない。このため、偏波再構成は、送受信アンテナがバイスタティック構成の場合にも適用することができる。従って、本実施形態の構造によれば、レーダ装置の耐ステルス性能を高めることができる。
【0085】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2のレーダ装置の構成を示すブロック図である。図3において、21は偏波最適化電力分布蓄積回路、22は最大電力選択回路である。尚、図3において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、501、502、505および508は図1と同一である。
【0086】
次に図3を参照して、実施の形態2のレーダ装置の処理内容を説明する。
実施の形態1では、クラッタの散乱行列[Su]と、目標の散乱行列[Sd]はそれぞれ一種類であるとした。これは、各分解能セルkにおけるクラッタの散乱行列[Suk]および目標の散乱行列[Sdk]が、適当な複素数ak,bk (k=1,2,…,K)を用いて次式のように表される場合に有効である。
【0087】
【数21】
【0088】
【数22】
【0089】
しかし、一般に目標上の各反射点の散乱行列は、目標形状を反映して変化するため、式(22)のように基本となる一つの散乱行列と適当な複素数の積のように表されない場合がある。そこで、本実施の形態では、この点を考慮して、事前の観測により目標上の複数の反射点の散乱行列[Sd0m](m=1,2,…,M: Mは主要な反射点数)を用意しておき、これを用いてクラッタ抑圧を行う。
【0090】
本実施形態のレーダ装置は、実施の形態1の装置と同様に、送信機501で発生させた高周波パルスを送受信偏波を変えて目標に照射し、そのエコーを受信して各分解能セルごとの観測対象の散乱行列[Sk](k=1,2,…,K)を生成し、それらを観測散乱行列データベース2に蓄積する。クラッタ散乱行列4には、クラッタの基本となる散乱行列[Su]が蓄積されている。また、候補目標散乱行列データベース5には目標上の代表的な各反射点の散乱行列[Sd0m](m=1,2,…,M: Mは主要な反射点数)が蓄積されている。
【0091】
最適偏波選択回路8は、目標上の各反射点mごとに実施の形態1の場合と同様の処理を行うことによりそれぞれの反射点mにおける送信偏波状態を表すジョーンズベクトルEEtmを求め、それらのベクトルEEtmとクラッタの散乱行列とを偏波最適化回路3に送る。偏波最適化回路3では、それぞれのEEtmごとにクラッタを抑圧する処理が実行され電力分布Ps(k,m)が求められる。この電力分布Ps(k,m)は、クラッタ電力をゼロにするという制約の基で、各反射点mの散乱行列ごとに目標電力を最大化した電力分布に対応している。
【0092】
偏波最適化回路3で求められた電力分布Ps(k,m)は、偏波最適化電力分布蓄積回路21に蓄積される。最大電力選択回路22は、偏波最適化電力分布蓄積回路21に蓄積された各反射点mに対応する各分解能セルkごとの電力分布Ps(k,m)を読出し、次式に従って各分解能セルごとの最大値を選択する。
【0093】
【数23】
【0094】
その結果、散乱行列の異なる目標上の複数の反射点で生成される電力のうち、最も大きな電力で構成される電力分布Ptot(k)を得ることができる。本実施形態においては、このようにして生成された電力分布Ptot(k)が表示器508に表示される。
【0095】
以上の構成を取ることにより、目標上の各反射点の散乱行列が異なることを考慮してクラッタをゼロにした電力分布を得ることができる。このため、本実施形態のレーダ装置によれば、実施の形態1のレーダ装置に比して検出性能を高めることができる。
【0096】
ところで、本実施形態においては、目標上のそれぞれの反射点に対応する電力分布の最大値を取ることで最終的な電力分布Ptot(k)を生成しているが、各反射点mごとの電力分布をそれぞれ表示器508で表示するようにしてもよい。
【0097】
実施の形態3.
図4は本発明の実施の形態3のレーダ装置の構成を示すブロック図である。図4において、31はアスペクト角推定回路である。尚、図4において、1、2、3、4、6、7、8、9、10、501、502、505および508は図1と同一である。
【0098】
次に、図4を参照して実施の形態3のレーダ装置の処理内容について説明する。本実施形態では、目標の散乱行列[Sd]がアスペクト角により変化することを考慮した処理が実行される。
【0099】
アスペクト角推定回路31では、受信機505から得られた受信信号を基に、レーダ装置を基準とした目標方向のアジマス角(方位角)、エレベーション角(仰角)、及びレーダと目標の距離の三つの値が算出される。アスペクト角推定回路31は、上記の処理を複数回行うことで空間内の目標の位置変化を追尾し、その結果から目標の進行方向を推定し、その推定結果を基に目標の形状を定義する座標系におけるレーダ装置の方向、すなわちアスペクト角を推定する。
【0100】
本実施形態において、候補目標散乱行列データベース5には、各アスペクト角ごとの散乱行列が格納されており、アスペクト角推定回路31で得られたアスペクト角に対応する散乱行列を出力する。これ以降の処理は実施の形態1と同様である。上記のような構成をとることにより、実施の形態1の効果に加えて、目標の散乱行列がアスペクト角ごとに異なる場合についても、クラッタの電力を0にするという制約のもとに目標の電力を最大化できるという効果が得られる。従って、本実施形態のレーダ装置によれば、実施の形態1の装置に比して更に目標ので検出性能を高めることができる。
【0101】
ところで、本実施形態の装置は、実施の形態1の装置を改良することで実現されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施の形態2の装置に同様の改良を加えることとしてもよい。
【0102】
実施の形態4.
図5は、本発明の実施の形態4のレーダ装置の構成を示すブロック図である。図5において、41は三次元形状データベース、42は散乱行列理論値算出手段である。尚、図5において、1、2、3、4、6、7、8、9、10、501、502、505および508は図1と、また、31は図4と同一である。
【0103】
次に、図5を参照して、実施の形態4のレーダ装置の処理内容を説明する。
本実施の形態では、目標の散乱行列を事前の観測により収集して、これをデータベースに登録しておくのではなく、推定されたアスペクト角と、目標の三次元形状データを基に、電磁界理論を用いて、目標の散乱行列を理論計算する。
【0104】
電磁界理論としては、一般的に良く用いられる、幾何光学的回折理論(Geometrical Theory of Diffraction : GTD)のようなものを想定する。GTDでは、目標の形状、送信偏波、アスペクト角が既知であれば、任意の送受信偏波に対する電界反射強度を計算できることから、散乱行列[Sd]を決定することができる。
【0105】
本実施形態のレーダ装置において、アスペクト角推定回路31、およびその前段に位置する各構成要素は、実施の形態3の場合と同様の処理を行う。散乱行列理論値算出手段42は、三次元形状データベース41に蓄えられた目標の三次元形状データと、アスペクト角推定回路31で得られたアスペクト角推定結果を基に電磁界理論により、目標の散乱行列[Sd]を計算する。これ以降の処理は実施の形態1と同一である。
【0106】
上記のような構成をとることにより、実施の形態1、実施の形態3の効果に加えて、事前に散乱行列を測定できないが形状が既知である目標について、クラッタを抑圧しつつその目標の電力を最大化することが可能となる。従って、本実施形態のレーダ装置によれば、事前に散乱行列が判っている目標と同様に、事前に形状が判っている目標も高い精度で検出することができる。
【0107】
尚、実施の形態4では、散乱行列理論値算出手段42の出力をそのまま最適偏波選択回路8に入力して処理を進める形で構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、各アスペクト角ごとに事前に散乱行列の理論計算を行い、これをデータベースに蓄積しておき、実施の形態3と同様に、アスペクト角推定回路31の出力をもとにデータベースを検索してその結果を最適偏波選択回路8に送るように構成しても同様の効果を得ることができる。
【0108】
また、目標の散乱行列がアスペクト角によって変わらない、若しくは、目標のアスペクト角が固定で既知であるような場合は、その目標に対応する1種類の散乱行列のみを事前に計算してデータベースに格納しておき、実施の形態1と同様の処理を行っても同様の効果を得ることができる。
【0109】
実施の形態5.
図6は本発明の実施の形態5のレーダ装置の構成を示すブロック図である。図6において、51は目標散乱行列推定手段である。尚、図6において1、2、3、4、6、7、8、9、10、501、502、505および508は図1と同一である。また、図7は実施の形態5のレーダ装置の処理内容を説明するための図である。図7において、52は参照分解能セルである。
【0110】
次に、図6および図7を参照して、実施の形態5のレーダ装置の処理内容を説明する。
本実施の形態では、目標が未知、目標は既知だが形状データを所有しない、目標の形状データは所有するがアスペクト角が未知等の理由で、目標の散乱行列が事前情報として与えられないような場合を想定し、観測により得られたデータから目標の散乱行列の近似値を推定することを考える。
【0111】
クラッタ抑圧前の目標のエコーはクラッタに埋もれてしまい検出が困難になる場合が考えられるが、目標のエコーが複数の分解能セルに渡って存在する場合にいくつかの分解能セルでは、目標のエコーが検出できる場合も考えられる。
【0112】
図7(a)は、ある送受信偏波で得られたレンジとアジマスの二次元レーダ画像の振幅を、図7の右側に表す濃淡を用いて示したものであり、図中の52で示した輝点は目標上の各反射点のうちで、特に反射強度の強い点を表している。以下、この反射点の存在する分解能セルを「参照分解能セル52」と呼ぶことにする。
【0113】
参照分解能セル52の散乱行列は実施の形態1〜5で述べたのと同様の手法で求めることができる。この散乱行列は厳密には、その分解能セルに存在する目標とクラッタの両散乱行列の和であるが、目標の反射が主要な成分である場合には近似的に目標の散乱行列とみなすことができる。さらに、目標上の各反射点の散乱行列[Sdk]が、近似的に、基本となる散乱行列[Sd]と適当な複素数bkとの積で与えられる場合、上記の参照分解能セル52の散乱行列を用いて実施の形態1と同様の偏波再構成を行うことで、図7(b)のように、クラッタの電力を近似的にゼロにするという制約のもとで、目標上の各反射点の電力を近似的に最大にすることができる。本実施の形態では、以上の原理を利用する。
【0114】
以下具体的な処理について説明する。
本実施形態のレーダ装置において、受信機505、およびその前段に位置する各構成要素は、実施の形態1の場合と同様の処理を実行する。受信機505で得られた各分解能セルkごとの散乱行列[Sk]は観測散乱行列データベース2に蓄積されると共に目標散乱行列推定手段51に送られる。
【0115】
目標散乱行列推定手段51は、次式により参照分解能セル52のセル番号Krefを決定し、そのセル番号Krefの散乱行列[SKref]を目標の散乱行列の近似値として出力する。
【0116】
【数24】
【0117】
最適偏波選択回路8では、クラッタ散乱行列データベース4に蓄えられているクラッタの散乱行列と上記の如く出力される散乱行列[SKref]とから最適な送信偏波状態EEtが決定される。以下、実施の形態1の場合と同様に、偏波最適化回路3で、上記の送信偏波状態EEtを用いて、観測散乱行列データベース2に蓄えられた前述の各分解能セルごとの散乱行列の分布の偏波再構成が実行され、その結果が表示器508に表示される。
【0118】
以上の処理を行うことで、実施の形態1の効果に加えて、目標の散乱行列が事前に与えられていない場合でも、クラッタの電力を完全に抑圧するという制約の基に目標の電力を最大化する効果を近似的に得ることができる。
【0119】
実施の形態6.
図8は本発明の実施の形態6のレーダ装置の構成を示すブロック図である。図8において、1、2、3、4、6、7、8、9、10、501、502、505、508は図1に示すものと同一である。また、図8において、21、22は図3に示すものと同一である。更に、図8において、51は図6に示すものと同一である。
【0120】
次に、図8を参照して、実施の形態6のレーダ装置の処理内容を説明する。
本実施の形態では、実施の形態5の場合と同様に目標の散乱行列に関する事前情報が与えられず、かつ、実施の形態2の場合と同様に目標上の各反射点の散乱行列が異なる場合を考慮する。
【0121】
本実施形態のレーダ装置において、受信機505およびその前段に位置する各構成要素では、実施の形態5の場合と同様の処理が実行される。受信機505で得られた各分解能セルkごとの散乱行列[Sk]は観測散乱行列データベース2に蓄積されると共に目標散乱行列推定手段51に送られる。
【0122】
目標散乱行列推定手段51では、次式で表されるA(k)の値が演算されると共に、演算値A(k)を最大値から順にX番目までの値とするkが選択される。
【0123】
【数25】
【0124】
本実施形態では、上記の処理により選択された各分解能セルkごとに定まる散乱行列が目標上の主要なX個の反射点の散乱行列とみなされる。そして、それらの散乱行列のそれぞれについて、実施の形態2の場合と同様に偏波再構成が実行され、その結果得られるそれぞれの電力分布が偏波最適化電力分布蓄積回路21に蓄積される。更に、実施の形態2の場合と同様に、最大電力選択回路22で最大電力が選択されることにより最終的な電力分布が生成され、その分布が表示器508に表示される。
【0125】
以上の処理を行うことにより、実施の形態5の効果に加えて、目標上の各反射点の散乱行列が異なる場合についても、クラッタの電力をゼロにするという制約のもとで目標の電力を近似的に最大化できる効果を得ることができる。
【0126】
実施の形態7.
図9は本発明の実施の形態7のレーダ装置の構成を示すブロック図である。図9において、71は正規分布利用型均一分布偏波選択回路である。尚、図9において、1、2、3、4、9、10、501、502、505および508は図1と、21および22は図3と同一である。また、図10は実施の形態7のレーダ装置の処理を説明するための図である。
【0127】
次に、図9および図10を参照して実施の形態7のレーダ装置の処理内容を説明する。
実施の形態1から実施の形態6までは、目標の散乱行列が何らかの形で推定できることを想定した。本実施の形態では、目標の散乱行列が推定できない場合において、クラッタの電力をゼロにするという限定の基に、目標の電力をなるべく大きな値にする方式について述べる。
【0128】
クラッタの散乱行列[Su]が既知の場合に、クラッタの電力をゼロにするための偏波再構成を行う際、送信偏波状態EEtと受信偏波状態EErの間に課せられる関係式は、式(14)に示した通りである。つまり、送受信の偏波状態の関係が式(14)の関係を満足する場合は、理想的にはクラッタの電力をゼロにすることができる。
【0129】
実施の形態1から6では、さらに、目標の散乱行列[Sd]の情報を用いて、式(17)により目標の電力を最大とする送信偏波状態EEtを決定した。しかし、[Sd]が未知の場合には、式(17)を用いることが不可能となる。そこで、ここでは、式(14)を満足するEEtとEErの組を何組か選択し、それぞれの組ごとに偏波再構成を行い、実施の形態2や実施の形態6のように、各分解能セルごとの電力の最大値を選択することで、目標の電力を最大化する。
【0130】
しかし、各組の偏波特性が互いに類似しており、かつ、これらがいずれも、クラッタ電力と同様に目標の電力も大幅に抑圧してしまうような偏波であった場合には、目標電力を最大化するという点で問題となる。このため、選択する偏波の組は、とり得る全偏波内でなるべく均等に選択される必要がある。
【0131】
これを実現するために、以下に述べるポアンカレ球の概念を導入する。観測点を固定して平面波を観測した場合の電界ベクトルの先端は、一般に時間の経過と共に平面波の進行方向に垂直な平面内で図10(a)に示すような楕円の軌跡を描く。直線偏波や円偏波は、楕円偏波の特別な場合に対応する。
【0132】
ここで、楕円の形状を、図中に示すvv軸方向から時計回りに測った長軸のtilt角ψ(-π/2≦ψ≦π/2)、楕円の扁平度を表すellipticity角χ(-π/4≦χ≦π/4)、及び、楕円の大きさを定義するI0で表現する。ここで、I0は、次式(26)のように表すことができ、平面波の全電力に対応している。
【0133】
【数26】
【0134】
楕円に関するこれらのパラメータψ,χ,I0を、同図(b)に示すg1-g2-g3直交座標系内で図示の如く定義すると、電力がI0の平面波のすべての偏波状態を、同図に示した半径I0の球面上の点と1対1で対応づけることができる。例えば、垂直偏波は図中VLの点、水平偏波はHLの点、左旋円偏波はLHCの点、右旋円偏波はRHCの点でそれぞれ表される。この球面は、ポアンカレ球と呼ばれ、平面波の偏波状態を表す際によく用いられる。特に||EE||=1とした場合のg1,g2,g3と、ψおよびχとの関係は次式で表される。
【0135】
【数27】
【0136】
従って、先ず、このポアンカレ球上で均等に分布する複数の点を定め、次いで、それぞれの点の座標をψ、χに変換して楕円のパラメータを定めることによれば、偏波特性が均一に散らばった複数の送受信偏波の組を得ることができる。つまり、選択可能な全偏波の中から均等に偏波を選択することにより、上述した要求を満たすことができる。
【0137】
本実施形態のレーダ装置において、正規分布利用型均一分布偏波選択回路71では、互いに独立な3つの正規乱数(平均0、標準偏差1)を用いて、半径1の単位球面上で一様に分布する点が得られる。三つの乱数をX1,X2,X3とすると、求める点[g1,g2,g3]Tは、次式(28)で与えられることが良く知られている。
【0138】
【数28】
【0139】
よって、これと式(27)よりχとψを決定し、得られた楕円偏波をジョーンズベクトルで表現することで、各組の送信偏波状態EEtを得ることができる。偏波最適化回路4では、正規分布利用型均一分布偏波選択回路71で得られた各EEtと、クラッタ散乱行列データベース4に蓄積されたクラッタの散乱行列[Su]とを用いてそれぞれの偏波再構成が実行される。
【0140】
偏波再構成の結果生成された電力分布が偏波最適化電力分布蓄積回路21に蓄積され、各分解能セルごとに最大電力選択回路22でこれら各偏波再構成後の電力分布から同じ分解能セルの電力のうちの最大値が選択されることにより、最終的な電力分布が得られる点については、実施の形態2の場合と同様である。
【0141】
上記の処理においては、偏波再構成の際に用いられる送信偏波状態EEtの値が、取り得る全偏波内から均一に選択されている。このため、上記の処理により最終的に得られた目標の電力分布は、各反射点の電力がほぼ最大化された分布となる。従って、本実施形態のレーダ装置によれば、実施の形態1から実施の形態6までの効果に加えて、目標の散乱行列が未知の場合にも目標の電力をほぼ最大化して、高い検出性能が確保できるという効果を得ることができる。
【0142】
実施の形態8.
図11は本発明の実施の形態8のレーダ装置の構成を示すブロック図である。図11において、81は正多面体利用型均一分布偏波選択回路である。尚、図11において、1、2、3、4、9、10、501、502、505および508は図1と、また、21および22は図3と同一である。
【0143】
次に図11を参照して実施の形態8のレーダ装置の処理内容を説明する。
本実施の形態においても、実施の形態7の場合と同様に、目標の散乱行列が未知な場合の問題を解決することを考える。
【0144】
実施の形態7においては、ガウス乱数を用いてポアンカレ球面上で一様に分布する点を決定した。ところが、乱数を用いて球面上に点を一様に分布させるためには、統計的な性質を安定させるために、点の数を多くすることが必要となる。例えば20点程度の少ない点数の場合には、統計的な性質が安定しないので、各点を球面上に均一に配置されるのは困難となる。
【0145】
また、統計的な性質を安定させるために点の数を多くすることは、その後段の偏波再構成の実行回数を多数とすることにつながる。このため、実施の形態7の手法は、安定した検出精度を得るためには多大な処理負荷を発生させるという問題も有している。
【0146】
少ない点数で、球面上に一様な点を分布させる方法としては、球面と、球面に外接する正多面体との接点の座標を用いる方法が考えられる。この場合、球面上の各点は完全に一様に配置される。
【0147】
本実施形態において、正多面体利用型均一分布偏波選択回路81では、4、6、8、12、20面の5種類の正多面体のうちのいずれか(例えば、正20面体)が選択され、選択された正多面体が単位円に外接するように作成され、更に、それら両者の各接点に基づいて、実施の形態7の場合と同様の手法で楕円偏波を規定するジョーンズベクトルが生成される。偏波最適化回路3以下の処理は実施の形態7と同一である。
【0148】
本実施の形態の処理を行うことで、4から20点程度の少ない点数で、ポアンカレ球面上に一様に点を配置させて偏波を決定することが可能となる。従って、本実施形態のレーダ装置によれば、実施の形態7の効果が得られることに加えて、クラッタ電力をゼロにするという制約の下で目標電力をほぼ最大にする処理を、安定に、かつ少ない負荷で実行することが可能となる。
【0149】
なお、本実施の形態では、球面と、球面に外接する正多面体との接点から偏波を決定したが、例えば,正多面体や、準正多面体の中心から見た各頂点の単位方向ベクトルをそのまま球面上の座標とみなしても、類似の効果を得ることができる。
【0150】
実施の形態9.
図12は本発明の実施の形態9のレーダ装置の構成を示すブロック図である。図12において、91は電力積分回路である。尚、図12において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、501、502、505および508は図1と、また、21は図3と同一である。
【0151】
次に、図12を参照して実施の形態9のレーダ装置の処理内容を説明する。
実施の形態2では、目標上の各反射点の散乱行列が異なることを考慮し、それぞれの散乱行列ごとに最適偏波選択回路8で、クラッタ電力をゼロにするという制約の下で目標電力を最大とする送信偏波が決定され、決定された各送信偏波ごとに、偏波最適化回路3で偏波再構成が実行されることによりクラッタ電力が抑圧され、それぞれ得られたクラッタ電力抑圧後の電力分布が各分解能セルごとに比較され、それぞれの分解能セルで最大電力が選択されることで最終的な電力分布が生成された。
【0152】
本実施形態のレーダ装置は、偏波最適化電力分布蓄積回路21に蓄積された各反射点に対応するクラッタ電力抑圧後の電力分布を、電力積分回路91で各分解能セルごとに積分することにより、最終的な電力分布を算出し、その結果を表示器508で表示する。以上のような処理を行うことにより、実施の形態2の場合と同様に、目標上の各反射点の検出性能を高めることができる。
【0153】
なお、本実施の形態のレーダ装置は、実施の形態2の装置を改良することで実現されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、実施の形態2の装置と同様に最大電力選択回路22を用いる実施の形態6、実施の形態7、実施の形態8の装置において、最大電力選択回路22を用いる代りに、電力積分回路91を用いても同様の効果を得ることができる。
【0154】
実施の形態10.
図13は本発明の実施の形態10のレーダ装置の構成を示すブロック図である。図13において、101はクラッタ領域考慮型偏波最適化回路である。尚、図13において、1、2、4、5、6、7、8、9、10、501、502、505および508は図1と同一である。また、図14は実施の形態10の内容を説明するための図である。
【0155】
次に、図13および図14を参照して実施の形態10のレーダ装置の処理内容を説明する。 本実施の形態では、実施の形態1から実施の形態9までのように、全観測領域でクラッタの性質が等しい場合ではなく、図14に示すように、観測範囲内の適当な領域ごとにクラッタの性質が異なる場合が考慮される。
【0156】
各分解能セルkごとにクラッタの散乱行列が[Suk]と異なるものとする。もちろん隣接する分解能セルの散乱行列[Suk]と[Suk+1]が等しくても構わない。これが、事前の観測により既知であり、クラッタ散乱行列データベース4に格納されているものとする。
【0157】
本実施形態のレーダ装置において、最適偏波選択回路8では、クラッタ電力をゼロとするために各分解能セルkにおいてEErとEEtとに課せられる条件が、次式により定式化される。
【0158】
【数29】
【0159】
以下、各分解能セルkごとに実施の形態1と同様の方式によって、上記の制約条件を満足し、かつ、各分解能セルにおける目標電力を最大とするEEt(k)が算出される。このようにして算出されたEEt(k)は、各分解能セルごとのクラッタの散乱行列と共にクラッタ領域考慮方偏波最適化回路101に供給される。
【0160】
クラッタ領域考慮型偏波最適化回路101では、最適偏波選択回路8から各分解能セルkごとに送られてきたクラッタの散乱行列[Suk]と、EEt(k)とを用いて、実施の形態1と同様の方式でクラッタ電力を抑圧するための偏波再構成が実行される。そして、各分解能セルごとに個別にクラッタを抑圧した結果得られた電力分布が、最終結果として表示器508に表示される。
【0161】
上記の処理によれば、観測範囲内の適当な領域ごとにクラッタの性質が異なる場合においても有効にクラッタを抑圧することができる。このため、実施の形態10のレーダ装置によれば、実施の形態1の効果が得られることに加えて、目標の検出性能を更に高めることができる。
【0162】
なお、本実施の形態では、実施の形態1の改良としてその内容を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施の形態2乃至9の何れかの装置に同様の改良を加えることによっても、同様の効果を得ることができる。
【0163】
実施の形態11.
図15は本発明の実施の形態11のレーダ装置の構成を示すブロック図である。図15において、111はエレベーション角考慮クラッタ散乱行列データベース、112はエレベーション角推定回路である。尚、図15において、1、2、3、5、6、7、8、9、10、501、502、505および508は図1と同一である。
【0164】
次に、図15を参照して、実施の形態11のレーダ装置の処理内容を説明する。
本実施の形態では、一般にクラッタの散乱行列がエレベーション角により異なることを考慮する。すなわち、エレベーション角考慮クラッタ散乱行列データベース111には、事前の観測により得られた各エレベーション角ごとのクラッタの散乱行列が格納されている。
【0165】
エレベーション角推定回路112では、目標とレーダの位置関係からエレベーション角が推定される。エレベーション角推定回路112で推定された結果は、エレベーション角考慮クラッタ散乱行列データベース111に供給される。
【0166】
最適偏波選択回路8は、エレベーション角推定回路112の推定結果に基づいてエレベーション角考慮クラッタ散乱行列データベース111を検索し、対応するエレベーション角の散乱行列を読出す。最適偏波選択回路8は、候補目標散乱行列5に蓄積された目標の散乱行列を上記の処理と同時に読出し、更に、実施の形態1の場合と同様に、クラッタ電力をゼロにするという制約の下で目標電力を最大とする送信偏波を決定する。
【0167】
以下、偏波最適化回路3において上記の偏波を用いてクラッタ抑圧が実行され、その結果が表示器508に表示される点については、実施の形態1の場合と同一である。
【0168】
本実施の形態の処理によれば、エレベーション角の変化に伴ってクラッタの散乱行列が変化することを考慮してクラッタ抑圧を行うことが可能となる。このため、本実施形態のレーダ装置によれば、実施の形態1の効果が得られることに加えて、目標の検出性能を更に高めることができる。
【0169】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、目標の散乱行列とクラッタの散乱行列とを考慮し、かつ、送信偏波と受信偏波を計算機上で自由に選択しながら目標に関する電力を検出することができる。このため、本発明によれば、クラッタの電力を十分に抑制しながら目標に関する電力を十分に大きくして優れた目標検出性能を得ることができる。更に、本発明によれば、バイスタティック構成の送受信アンテナを用いて目標検出を行うことができるため、耐ステルス性能の高いレーダ装置を実現することができる。
【0170】
請求項2記載の発明によれば、目標上の各反射点の散乱行列が異なることを考慮してクラッタをゼロにした電力分布を得ることができる。このため、本発明によれば、目標検出性能の高いレーダ装置を実現することができる。
【0171】
請求項3記載の発明によれば、目標に対するレーダ装置のアスペクト角を考慮して目標に関する電力を検出することができる。このため、本発明によれば、目標の散乱行列がアスペクト角ごとに異なる場合についても、優れた検出性能を確保することができる。
【0172】
請求項4記載の発明によれば、目標の形状に基づいて目標の散乱行列の理論値を算出し、その理論値に基づいて目標検出を行うことができる。従って、本発明によれば、事前に散乱行列が判らない目標についても、形状が既知である場合には、その目標を精度良く検出することができる。
【0173】
請求項5記載の発明によれば、各分解能セルごとの観測領域の散乱行列に基づいて目標の散乱行列を推定し、その推定結果に基づいて目標検出を行うことができる。従って、本発明によれば、散乱行列および形状の何れもが事前に判らない目標も、適正に検出することができる。
【0174】
請求項6記載の発明によれば、各分解能セルごとの観測領域の散乱行列に基づいて、目標上の各反射点の散乱行列を推定することができる。従って、本発明によれば、目標の散乱行列および形状が何れも事前に判らず、かつ、その目標の散乱行列が各反射点ごとに異なる場合にも、優れた目標検出性能を得ることができる。
【0175】
請求項7記載の発明によれば、クラッタの電力をゼロにするための複数種類の送信偏波と受信偏波の組合わせごとに、クラッタ抑圧処理を行うことができる。このため、本発明によれば、優れた目標検出性能を得ることができる。
【0176】
請求項8記載の発明によれば、ガウス乱数を用いることにより、ポアンカレ球上に一様に分布する複数の点を選択することができると共に、それらの点に対応する複数の偏波状態に基づいて目標の電力分布を求めるための偏波再構成を行うことができる。この場合、偏波再構成の対象となる送信偏波が、取り得る全偏波内から均一に選択されるため、優れた目標検出性能を得ることができる。
【0177】
請求項9または10記載の発明によれば、ポアンカレ球上に少数の点を定めるだけで、取り得る全偏波内から均一に送信偏波を選択することができる。従って、本発明によれば、クラッタ電力をゼロにするという制約の下で目標電力をほぼ最大にする処理を、安定に、かつ少ない負荷で実行することが可能となる。
【0178】
請求項11記載の発明によれば、偏波最適化電力分布蓄積回路に蓄積された各反射点に対応するクラッタ電力抑圧後の電力分布を電力積分回路で各分解能セルごとに積分し、その結果得られた電力分布に基づいて目標検出を行うことができる。上記の処理によれば、目標上の各反射点の検出性能を高めることができる。
【0179】
請求項12記載の発明によれば、観測範囲内の適当な領域ごとにクラッタの性質が異なる場合においても有効にクラッタを抑圧することができる。このため、本発明によれば、優れた目標検出性能を有するレーダ装置を実現するできる。
【0180】
請求項13記載の発明によれば、各偏波でクラッタ抑圧を行った結果を表示器に表示することができる。
【0181】
請求項14記載の発明によれば、エレベーション角の変化に伴ってクラッタの散乱行列が変化することを考慮してクラッタ抑圧を行うことが可能となる。このため、本発明によれば、優れた目標検出性能の有するレーダ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1のレーダ装置のブロック図である。
【図2】 図1に示すレーダ装置の動作を説明するための図である。
【図3】 本発明の実施の形態2のレーダ装置のブロック図である。
【図4】 本発明の実施の形態3のレーダ装置のブロック図である。
【図5】 本発明の実施の形態4のレーダ装置のブロック図である。
【図6】 本発明の実施の形態5のレーダ装置のブロック図である。
【図7】 図6に示すレーダ装置の動作を説明するための図である。
【図8】 本発明の実施の形態6のレーダ装置のブロック図である。
【図9】 本発明の実施の形態7のレーダ装置のブロック図である。
【図10】 図7に示すレーダ装置の動作を説明するための図である。
【図11】 本発明の実施の形態8のレーダ装置のブロック図である。
【図12】 本発明の実施の形態9のレーダ装置のブロック図である。
【図13】 本発明の実施の形態10のレーダ装置のブロック図である。
【図14】 図13に示すレーダ装置の動作を説明するための図である。
【図15】 本発明の実施の形態11のレーダ装置のブロック図である。
【図16】 従来のレーダ装置のブロック図である。
【図17】 従来のレーダ装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 偏波切換器、 2 観測散乱行列データベース、 3 偏波最適化回路、 4 クラッタ散乱行列データベース、 5 候補目標散乱行列データベース、 6 偏波電力算出回路、 7 探索回路、 8 最適偏波選択回路、 9 第一偏波送受信アンテナ、 10 第二偏波送受信アンテナ、21 偏波最適化電力分布蓄積回路、 22 最大電力選択回路、 31 アスペクト角推定回路、 41 三次元形状データベース、 42 散乱行列理論値算出手段、 51 目標散乱行列推定手段、 52 参照分解能セル、 71 正規分布利用型均一分布偏波選択回路、 81 正多面体利用型均一分布偏波選択回路、 91 電力積分回路、 101 クラッタ領域考慮型偏波最適化回路、 111 エレベーション角考慮クラッタ散乱行列データベース、 112 エレベーション角推定回路、 501 送信機、 502 送受信切換器、 505 受信機、 508 表示器。
Claims (14)
- 事前の観測により得られたクラッタの散乱行列を格納するクラッタ散乱行列データベースと、
事前の観測により得られた目標の散乱行列を格納する候補目標散乱行列データベースと、
クラッタ受信電力をゼロにするために送信偏波と受信偏波が満足すべき条件を内包し、クラッタの散乱行列と、目標の散乱行列と、送信偏波とが特定されることにより前記条件の下での目標電力を導出する規則に従って、前記送信偏波を変えた場合の目標電力を算出する偏波電力算出回路と、
前記偏波電力算出回路で得られた各送信偏波における目標電力から、クラッタ受信電力をゼロにする条件の下で目標電力を最大とするための送信偏波を決定する探索回路と、
前記偏波電力算出回路と前記探索回路を構成要素とする最適偏波選択回路と、
互いに直交した偏波特性の二つのアンテナと、
観測対象の散乱行列を収集するために、これらアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させる偏波切換器と、
観測対象の各分解能セルごとの散乱行列を格納する観測散乱行列データベースと、
クラッタ受信電力をゼロにするために送信偏波と受信偏波が満足すべき条件を内包し、クラッタの散乱行列と、観測対象の散乱行列と、送信偏波とが特定されることにより前記条件の下での目標電力を導出する規則に従って、前記観測散乱行列データベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの散乱行列と、前記最適偏波選択回路の出力であるクラッタ受信電力をゼロにする条件の下で目標電力を最大とする送信偏波と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列とを用いて、クラッタの抑圧を行う偏波最適化回路と、
を有することを特徴とするレーダ装置。 - 前記候補目標散乱行列データベースは、候補目標の反射に関する複数の散乱行列を格納し、
前記最適偏波選択回路は、前記候補目標散乱行列データベースに格納された異なる散乱行列ごとに、クラッタ受信電力をゼロにする条件を満たし、かつ目標電力を最大とするための送信偏波を決定し、
前記偏波最適化回路は、前記最適偏波選択回路で得られた目標の反射に関する異なる散乱行列ごとの異なる送信偏波と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列、および前記観測散乱行列データベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの散乱行列から、前記異なる送信偏波ごとにクラッタの電力を抑圧した電力分布を求め、更に、
異なる送信偏波ごとに得られたクラッタ抑圧後の電力分布を格納する偏波最適化電力分布蓄積回路と、
異なる送信偏波ごとに偏波最適化電力分布蓄積回路に格納された電力分布を各分解能セルごとに比較し、それぞれの電力分布のうちの電力が最大となった分布の電力を各分解能セルごとに選択する最大電力選択回路と、
を有することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。 - 受信機の出力を基に目標に対するレーダのアスペクト角を推定するアスペクト角推定回路を有すると共に、
前記候補目標散乱行列データベースは、各アスペクト角ごとに事前に観測された目標の散乱行列を格納し、
前記最適偏波選択回路は、前記アスペクト角推定回路のアスペクト角推定結果を基に、対応するアスペクト角における目標の散乱行列を前記候補目標散乱行列データベースから読み出し、その読み出し結果と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列とを用いて、クラッタ電力をゼロにするという制約の基で目標電力を最大とする送信偏波を決定することを特徴とする請求項1または2記載のレーダ装置。 - 目標の三次元形状を格納する三次元形状データベースと、
前記三次元形状データベースに蓄積された目標の三次元形状を用いた電磁界理論計算から目標の散乱行列を理論的に算出する散乱行列理論値算出手段とを有し、
前記最適偏波選択回路は、前記散乱行列理論値算出手段の算出結果に基づいて前記送信偏波を決定するための処理を実行することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のレーダ装置。 - 観測対象の各分解能セルごとの散乱行列を用いて目標の散乱行列を推定する目標散乱行列推定手段を有すると共に、
前記最適偏波選択回路は、前記目標散乱行列推定手段の推定結果に基づいて前記送信偏波を決定するための処理を実行することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。 - 観測対象の各分解能セルごとの散乱行列を用いて目標の反射に関する複数の異なる散乱行列を推定する目標散乱行列推定手段を有すると共に、
前記最適偏波選択回路は、前記目標散乱行列推定手段の推定結果に基づいて前記送信偏波を決定するための処理を実行することを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。 - 前記偏波最適化回路は、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列から定まるクラッタの電力をゼロにするための複数種類の送信偏波と受信偏波の組合わせを想定し、それぞれの組合わせごとに、クラッタ抑圧処理を行うことを特徴とする請求項2または6記載のレーダ装置。
- 事前の観測により得られたクラッタの散乱行列を格納するクラッタ散乱行列データベースと、
互いに直交した偏波特性の二つのアンテナと、
観測対象の散乱行列を収集するために、これらアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させる偏波切換器と、
観測対象の各分解能セルごとの散乱行列を格納する観測散乱行列データベースと、
平面波のすべての偏波状態を球面上の一点として表すポアンカレ球上で、3つの独立なガウス乱数を用いて理論上一様な分布を取る複数の点を選択し、選択された複数の点に対応する偏波状態をそれぞれの送信偏波として選択する正規分布利用型均一分布偏波選択回路と、
クラッタ受信電力をゼロにするために送信偏波と受信偏波が満足すべき条件を内包し、クラッタの散乱行列と、観測対象の散乱行列と、送信偏波とが特定されることにより前記条件の下での目標電力を導出する規則に従って、前記観測散乱行列データベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの散乱行列と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列とを用いて、前記正規分布利用型均一分布偏波選択回路によって選択された送信偏波ごとにクラッタの電力を抑圧した電力分布を求める偏波最適化回路と、
異なる送信偏波ごとに得られたクラッタ抑圧後の電力分布を格納する偏波最適化電力分布蓄積回路と、
異なる送信偏波ごとに偏波最適化電力分布蓄積回路に格納された電力分布を各分解能セルごとに比較し、それぞれの電力分布のうちの電力が最大となった分布の電力を各分解能セルごとに選択する最大電力選択回路と、
を有することを特徴とするレーダ装置。 - 事前の観測により得られたクラッタの散乱行列を格納するクラッタ散乱行列データベースと、
互いに直交した偏波特性の二つのアンテナと、
観測対象の散乱行列を収集するために、これらアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させる偏波切換器と、
観測対象の各分解能セルごとの散乱行列を格納する観測散乱行列データベースと、
平面波のすべての偏波状態を球面上の一点として表すポアンカレ球上で、前記ポアンカレ球を取り囲む正多面体と接触する複数の接点を選択し、選択された複数の点に対応する偏波状態をそれぞれの送信偏波として選択する正多面体利用型均一分布偏波選択回路と、
クラッタ受信電力をゼロにするために送信偏波と受信偏波が満足すべき条件を内包し、クラッタの散乱行列と、観測対象の散乱行列と、送信偏波とが特定されることにより前記条件の下での目標電力を導出する規則に従って、前記観測散乱行列データベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの散乱行列と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列とを用いて、前記正多面体利用型均一分布偏波選択回路によって選択された送信偏波ごとにクラッタの電力を抑圧した電力分布を求める偏波最適化回路と、
異なる送信偏波ごとに得られたクラッタ抑圧後の電力分布を格納する偏波最適化電力分布蓄積回路と、
異なる送信偏波ごとに偏波最適化電力分布蓄積回路に格納された電力分布を各分解能セルごとに比較し、それぞれの電力分布のうちの電力が最大となった分布の電力を各分解能セルごとに選択する最大電力選択回路と、
を有することを特徴とするレーダ装置。 - 事前の観測により得られたクラッタの散乱行列を格納するクラッタ散乱行列データベースと、
互いに直交した偏波特性の二つのアンテナと、
観測対象の散乱行列を収集するために、これらアンテナのうち、送信においてはいずれか一方、受信においては双方を駆動させる偏波切換器と、
観測対象の各分解能セルごとの散乱行列を格納する観測散乱行列データベースと、
平面波のすべての偏波状態を球面上の一点として表すポアンカレ球上で、前記ポアンカレ球と同心となるように想定された正多面体或いは準正多面体の中心からそれらの頂点に向かう単位方向ベクトルにより定まる複数の座標を選択し、選択された複数の座標に対応する偏波状態をそれぞれの送信偏波として選択する正多面体利用型均一分布偏波選択回路と、
クラッタ受信電力をゼロにするために送信偏波と受信偏波が満足すべき条件を内包し、クラッタの散乱行列と、観測対象の散乱行列と、送信偏波とが特定されることにより前記条件の下での目標電力を導出する規則に従って、前記観測散乱行列データベースに格納された観測対象の各分解能セルごとの散乱行列と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納されたクラッタの散乱行列とを用いて、前記正多面体利用型均一分布偏波選択回路によって選択された送信偏波ごとにクラッタの電力を抑圧した電力分布を求める偏波最適化回路と、
異なる送信偏波ごとに得られたクラッタ抑圧後の電力分布を格納する偏波最適化電力分布蓄積回路と、
異なる送信偏波ごとに偏波最適化電力分布蓄積回路に格納された電力分布を各分解能セルごとに比較し、それぞれの電力分布のうちの電力が最大となった分布の電力を各分解能セルごとに選択する最大電力選択回路と、
を有することを特徴とするレーダ装置。 - 前記偏波最適化電力分布蓄積回路に蓄積された、複数のそれぞれ異なる偏波でクラッタ抑圧されることにより得られた電力分布を、各分解能セルごとに積分する電力積分回路を有することを特徴とする請求項2、および6乃至10の何れか1項記載のレーダ装置。
- 前記クラッタ散乱行列データベースは、観測領域内の各分解能セルごとにクラッタの散乱行列を蓄積し、
前記最適偏波選択回路は、前記候補目標散乱行列データベースと各分解能セルごとに蓄積されているクラッタの散乱行列とを用いてクラッタ電力をゼロとするための送信偏波と受信偏波の関係を定めると共に、前記候補目標散乱行列データベースに蓄積された目標の散乱行列からクラッタ電力をゼロとする条件を満足し、かつ目標の電力を最大とするための送信偏波を決定し、更に、
前記偏波最適化回路は、前記最適偏波選択回路の出力である、クラッタ電力をゼロとする条件を満足し、かつ目標の電力を最大とするための各分解能セルごとの送信偏波と、前記クラッタ散乱行列データベースに格納された各分解能セルごとのクラッタの散乱行列とから、各分解能セルごとにクラッタ抑圧を行うクラッタ領域考慮型偏波最適化回路であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項記載のレーダ装置。 - 各偏波でクラッタ抑圧を行った結果を表示する表示器を有することを特徴とする請求項2および6乃至11の何れか1項記載のレーダ装置。
- エレベーション角を推定するエレベーション角推定回路と、
エレベーション角ごとのクラッタの散乱行列を格納するエレベーション角考慮クラッタ散乱行列データベースと、
を有することを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項記載のレーダ装置。
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