JP3659470B2 - 蓄電池用端子および蓄電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウムイオン電池等の蓄電池に用いられる蓄電池用端子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、蓄電池用端子は、図2に断面図で示すように、アルミナセラミックスから成る略円筒状の絶縁基体11の内側にアルミニウムから成る略円柱状の端子柱12が、その両端が絶縁基体11から突出するようにして挿通固定されるとともに、絶縁基体11の外周部にアルミニウムから成る円環状のフランジ13が固定されていた。
【0003】
このような蓄電池用端子は、端子柱12の下端部に蓄電池の一方の極板群Eを接続するとともにフランジ13を蓄電池の容器蓋Lに溶接によって接合することにより蓄電池の一方の端子として機能する。
【0004】
なお、絶縁基体11への端子柱12およびフランジ13の固定は、絶縁基体11の内周面全面および外周面の一部にそれぞれ例えばモリブデン−マンガンから成るメタライズ層14・15を被着させるとともに、このメタライズ層14と端子柱12とを、およびメタライズ層15とフランジ13とをそれぞれアルミニウムろう材16・17を介してろう付けすることによって行なわれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の蓄電池用端子によると、絶縁基体11を構成するアルミナセラミックスの熱膨張係数が約7×10-6/℃程度(20〜600 ℃)であるのに対して端子柱12やフランジ13を構成するアルミニウムの熱膨張係数が約28×10-6/℃程度(20〜600 ℃)であり、両者の熱膨張係数が大きく相違することから、これらの絶縁基体11と端子柱12およびフランジ13とをアルミニウムろう材16・17を介して接合する際に、これらの部材間に熱膨張係数の相違に起因する熱応力が発生してそれが各部材の接合部近傍に内在してしまっていた。このような応力は、接合部の長さが長い絶縁基体11と端子柱12との間では特に大きなものとなり、これが絶縁基体11の両端部の内周側の角部に大きく作用して絶縁基体11にクラックを発生させてしまうことがあるという問題点を有していた。
【0006】
そこで、上記問題点を解消するために、絶縁基体の一方の端面から内周面にかけて奥行きが200 μm〜5mm程度のメタライズ層を設けるとともにこのメタライズ層に端子柱をろう付けするようになした端子が提案されている。この端子によれば、絶縁基体と端子柱との接合部の長さを短いものとすることができ、絶縁基体と端子柱との間に発生する熱応力を小さいものとすることができるというものである。また、絶縁基体と端子柱との接合が絶縁基体の端面とこれに直交する内周面との2方向で行なわれることとなるため、両者間の接合強度を大きなものとなすことが可能であるというものである。
【0007】
しかしながら、この端子において絶縁基体の一方の端面から内周面にかけて被着されたメタライズ層は、通常はモリブデン−マンガンの金属ペーストをスクリーン印刷法により絶縁基体の一方の端面に印刷塗布すると同時にこのペーストの一部を絶縁基体の内周面に垂れ込ませ、これを焼成することによって被着形成されており、絶縁基体の内周面に垂れ込ませた金属ペーストは自重により内周面に沿って流れ落ちるために所定の位置で止まりにくく、その結果、絶縁基体の内周面に被着されたメタライズ層の厚みや奥行きに大きなばらつきが発生しやすいという問題点があった。
【0008】
このように、絶縁基体の内周面に被着されたメタライズ層の厚みや奥行きに大きなばらつきがあると、接合場所によって端子柱をメタライズ層に接合するろう材に過不足が発生しやすく、両者を強固に接合することができなくなる場合があるという問題点を有していた。
【0009】
本発明はかかる上述の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、絶縁基体と端子柱とを接合するろう材に接合場所によって過不足を発生させることなく、絶縁基体と端子柱とを常に強固に接合させることが可能な蓄電池用端子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の蓄電池用端子は、筒状の絶縁基体の内周面と一方の端面との間に面取り部が形成されているとともに前記一方の端面からこれに連なる前記面取り部にかけてメタライズ層が被着されており、前記絶縁基体の内側に挿通された端子柱が、前記メタライズ層の前記一方の端面部分から前記面取り部分にかけて設けられたろう材を介して前記絶縁基体に接合されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の蓄電池用端子によれば、端子柱は絶縁基体の一方の端面からこれに連なる面取り部にかけて被着させたメタライズ層にろう付けされていることから、絶縁基体と端子柱との接合長さが短いものとなり、両者の間に発生する熱応力を小さなものとすることができる。また、絶縁基体の内周面と端面との間に面取り部を形成したことから、絶縁基体の一方の端面にメタライズ層となる金属ペーストを印刷塗布する際にこの金属ペーストの一部を面取り部に垂れ込ませると、その流れ込みは面取り部と内周面との角部において表面張力により止まるため、絶縁基体の面取り部に被着されたメタライズ層の厚みや奥行きに大きなばらつきが発生するようなことはない。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の蓄電池用端子を添付の図面を基に詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の蓄電池用端子の実施の形態の一例を示す断面図であり、図1において1は絶縁基体、2は端子柱、3はフランジである。
【0014】
絶縁基体1は、アルミナセラミックス等から成る略円筒体であり、端子柱2とフランジ3とを電気的絶縁をもって保持する。そして、その内側には端子柱2が挿通固定されているとともに、その外周面にはフランジ3が固定されている。
【0015】
絶縁基体1は、例えば酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化カルシウム・酸化マグネシウム等の原料粉末に適当な有機バインダを添加して調整した原料粉末を所定形状のプレス型内に充填するとともにこれを所定圧力でプレスして成形し、しかる後、得られた成形体を大気中において約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0016】
また、絶縁基体1には、その内周面と端面との間に面取り部Cが形成されている。そして、一方の端面からこれに連なる面取り部Cにかけて延出するように環状のメタライズ層4が被着形成されている。
【0017】
メタライズ層4は、モリブデン−マンガン(Mo−Mn)メタライズ等から成り、絶縁基体1の内側に挿通された端子柱2を絶縁基体1に固定するための下地金属として機能する。そして、このメタライズ層4に端子柱2がろう材6を介して接合されている。
【0018】
メタライズ層4は、例えばモリブデン粉末およびマンガン粉末ならびに酸化物粉末に適当な有機バインダおよび溶剤を添加混合して得た金属ペーストを絶縁基体1の一方の端面にスクリーン印刷法により印刷すると同時にその一部を面取り部Cに垂れ込ませ、これを還元雰囲気中において約1400℃の温度で焼き付けることによって、絶縁基体1の一方の端面からこれに連なる面取り部Cにかけて被着形成される。
【0019】
このとき、面取り部Cに垂れ込んだ金属ペーストは、面取り部Cと内周面との間の角部において表面張力によってその垂れ込みが止まるため、その厚みおよび奥行きが一定のものとなる。
【0020】
したがって、面取り部Cに被着されたメタライズ層4の厚みや奥行きに大きなばらつきが発生することがなく、後述するようにメタライズ層4と端子柱2とを接合場所によってろう材6に過不足を発生させることなく常に強固に接合することができる。
【0021】
また、絶縁基体1の外周面の一部には、その全周にわたりメタライズ層5が被着形成されている。メタライズ層5は、メタライズ層4と同様にMo−Mnメタライズ等から成り、絶縁基体1にフランジ3を固定するための下地金属として機能する。そして、メタライズ層5にはフランジ3がろう材7を介して接合されている。
【0022】
メタライズ層5は、メタライズ層4と同様に、例えばモリブデン粉末およびマンガン粉末ならびに酸化物粉末に適当な有機バインダおよび溶剤を添加混合して得た金属ペーストを絶縁基体1の外周面にスクリーン印刷法により印刷塗布し、これを還元雰囲気中において約1400℃の温度で焼き付けることによって絶縁基体1の外周面に被着形成される。
【0023】
なお、メタライズ層4・5の表面には、メタライズ層4・5の酸化腐食を防止するとともにろう材6・7との濡れ性を向上させる目的で、ニッケル等の耐食性に優れ、かつろう材6との濡れ性に優れる金属を1〜10μm程度の厚みに被着させておくことが好ましい。
【0024】
絶縁基体1の内側に挿通固定された端子柱2はアルミニウム等から成る略円柱体であり、その両端部を絶縁基体1から突出させた状態で、絶縁基体1の一方の端面から面取り部Cにかけて被着させたメタライズ層4にアルミニウムろう等のろう材6を介して接合されている。そして、その下端側に蓄電池の極板群Eを接続することにより、極板群Eを外部に接続するための端子部として機能する。
【0025】
このように、本発明の蓄電池用端子は、内周面と端面との間に面取り部Cが形成されているとともに一方の端面からこれに連なる面取り部Cまで延出するメタライズ層4が被着されて成る筒状の絶縁基体1と、この絶縁基体1の内側に挿通され、メタライズ層4にろう付けされた端子柱2とを具備するものである。
【0026】
端子柱2をアルミニウムろう等のろう材6を介してメタライズ4に接合するには、端子柱2をその両端部が突出するようにして絶縁基体1の内側に挿通するとともに、メタライズ層4上であって端子柱2の近傍に例えばワイヤ状のアルミニウムろう材を端子柱2を取り囲むように配置し、これを真空雰囲気中において約600 ℃の温度で加熱してアルミニウムろう材を溶融させることにより端子柱2とメタライズ層4とをろう材6でろう付けする方法が採用され得る。
【0027】
このとき、上述したように、面取り部Cに被着されたメタライズ層4の厚みや奥行きに大きなばらつきがないことから、接合場所によってメタライズ層4と端子柱2とを接合するろう材6に過不足が発生することはなく、メタライズ層4と端子柱2とが常に強固に接合されることとなる。
【0028】
また、端子柱2は絶縁基体1の一方の端面とこれに連なる面取り部Cにかけて被着されたメタライズ層4にろう材6を介して接合されており、絶縁基体1に対する接合部の長さが短いことから両者間に発生する応力が小さいものとなり、さらにこの応力が面取り部Cにより良好に分散されてしまうことから、ろう付け時の熱応力により絶縁基体1にクラックが発生することが有効に防止される。
【0029】
さらに、端子柱2と絶縁基体1との接合が絶縁基体1の端面と面取り部Cとの2つの方向で行なわれることから、端子柱2と絶縁基体1とを強固に接合させることができる。
【0030】
なお、絶縁基体1の内周面と端面との間に形成された面取り部Cは、端面からの奥行きdが0.2 mm未満であると、絶縁基体1と端子柱2との接合強度が弱いものとなる傾向にある。他方、5mmを超えると、絶縁基体1のメタライズ層4に端子柱2をろう付けする際に両者の熱膨張係数の相違に起因して大きな熱応力が発生し、これが絶縁基体1に作用してクラックを発生させ易いものとなる傾向にある。したがって、絶縁基体1の内周面と端面との間に形成された面取り部Cは、端面からの奥行きdが0.2 〜5mmの範囲であることが好ましい。また、絶縁基体1の端面に対する面取り部Cの角度は約30゜〜60゜程度の範囲が好ましく、中でも約45゜程度が最も好ましい。
【0031】
絶縁基体1の外周面に固定されたフランジ3は、アルミニウム等から成る円環体であり、メタライズ層5にアルミニウムろう等のろう材7を介して接合されている。そして、このフランジ3を蓄電池の容器蓋Lに溶接することによって本発明の蓄電池用端子が蓄電池の容器に固定される。
【0032】
フランジ3をアルミニウムろう等のろう材7を介してメタライズ層5に接合するには、絶縁基体1をフランジ3の内側に挿通するとともに、メタライズ層5上であってフランジ3の近傍に例えばワイヤ状のアルミニウムろう材を略全周にわたり配置し、これを真空雰囲気中において約600 ℃の温度で加熱してアルミニウムろう材を溶融させることによりフランジ3をメタライズ層5にろう付けする方法が採用され得る。
【0033】
なお、メタライズ層5は絶縁基体1の外周面の一部にのみ形成されており、メタライズ層5とフランジ3との接合部の長さが短いことから両者のろう付けの際に発生する熱応力が小さいこと、およびフランジ3はろう付けにより絶縁基体1に対して主に圧縮応力を印加すること等から、圧縮応力に対しては堅牢な性質を有するアルミナセラミックスから成る絶縁基体1にクラックが発生することはない。
【0034】
かくして、本発明の蓄電池用端子によれば、絶縁基体1と端子柱2とを接合するろう材6に接合場所によって過不足を発生させることなく、絶縁基体1と端子柱2とを常に強固に接合させることが可能な蓄電池用端子を提供することができる。
【0035】
なお、本発明は上述の実施の形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、上述の実施の形態の一例では端子柱2は中実構造のものであったが、端子柱2は有底の中空構造のものであってもよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明の蓄電池用端子によれば、端子柱は、筒状の絶縁基体の一方の端面からこれに連なる内周面側の面取り部にかけて被着させたメタライズ層にろう付けされていることから、絶縁基体と端子柱との接合長さが短いものとなる等により、ろう付け時に両者の間に発生する熱応力が小さなものとなるため、この応力による絶縁基体のクラックの発生を有効に防止することができる。また、絶縁基体の内周面と端面との間に面取り部を形成したことから、絶縁基体の一方の端面にメタライズ層となる金属ペーストを印刷塗布する際にこの面取り部に垂れ込んだ金属ペーストの流れは面取り部と内周面との角部において表面張力により止まるため、絶縁基体の面取り部に被着されたメタライズ層の厚みや奥行きに大きなばらつきが発生するようなことはない。したがって、絶縁基体と端子柱とが、両者を接合するろう材に接合場所によって過不足を発生させることなく、常に強固に接合された蓄電池用端子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蓄電池用端子の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】従来の蓄電池用端子を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・絶縁基体
2・・・・・・端子柱
3・・・・・・フランジ
4,5・・・・メタライズ層
6,7・・・・ろう材
Claims (3)
- 筒状の絶縁基体の内周面と一方の端面との間に面取り部が形成されているとともに前記一方の端面からこれに連なる前記面取り部にかけてメタライズ層が被着されており、前記絶縁基体の内側に挿通された端子柱が、前記メタライズ層の前記一方の端面部分から前記面取り部分にかけて設けられたろう材を介して前記絶縁基体に接合されていることを特徴とする蓄電池用端子。
- 前記絶縁基体の外周面と他方の端面との間に他方の面取り部が形成されているとともに、前記他方の端面からこれに連なる前記他方の面取り部にかけて他方のメタライズ層が被着されており、該他方のメタライズ層にろう材を介してフランジが接合されていることを特徴とする請求項1記載の蓄電池用端子。
- 請求項1または請求項2記載の蓄電池用端子と、該蓄電池用端子の前記端子柱に接続された極板とを備えていることを特徴とする蓄電池。
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JP11870499A JP3659470B2 (ja) | 1999-04-26 | 1999-04-26 | 蓄電池用端子および蓄電池 |
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JP11870499A JP3659470B2 (ja) | 1999-04-26 | 1999-04-26 | 蓄電池用端子および蓄電池 |
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Family Applications (1)
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JP3659490B2 (ja) * | 2000-12-27 | 2005-06-15 | 京セラ株式会社 | 蓄電池用端子 |
-
1999
- 1999-04-26 JP JP11870499A patent/JP3659470B2/ja not_active Expired - Lifetime
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