JP3658786B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動変速機の制御装置に関し、特に、該制御装置によるスクォート制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動変速機において、ニュートラル(N)レンジからドライブ(D)レンジへの切り換え(以下、N→Dシフトと略記する)時に、制御装置から一時的に変速機構を高速段(例えば第3速)状態にする信号を出力し、その後に第1速状態にする信号に戻して第1速を達成する技術、いわゆるスクォート制御が知られている。こうしたスクォート制御によると、トルク伝達開始時に変速機構上で複数の摩擦係合要素にトルクが分散して伝達されるため、第1速状態のように特定の摩擦係合要素にトルクが集中することを防止できるとともに、こうした高速ギヤ段は、ギヤ比の低い変速段であることから、変速機の出力トルクも当初に低く抑えられるため、N→Dシフト時のシフトショックが大幅に軽減される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、通常の自動変速機では、シフト操作装置のレンジ配列上、リバース(R)レンジとDレンジとの間にNレンジを介在させてリバース(R)レンジからDレンジへの切り換え(以下、R→Dシフトと略記する)あるいはその逆のシフト間隔に余裕を持たせるようにしているが、上記のようなスクォート制御を適用した自動変速機において、運転者によりあまりに急激なR→Dシフト操作が行われた場合、Nレンジの経過時間が短すぎるため、リバース時に係合している摩擦係合要素が完全に解放される前に、高速段状態を達成するための他の摩擦係合要素が係合を開始してしまう両摩擦係合要素のタイアップ状態が生じる可能性がある。
【0004】
そこで、本発明は、RレンジからDレンジへの切り換え時にも、摩擦係合要素のタイアップ状態を生じさせずにスクォート制御を行う自動変速機の制御装置を提供することを概括的な目的とする。また、本発明は、上記の制御を最小の信号検出で実現することを第2の目的とする。さらに本発明は、上記の制御を格別の信号検出手段を設けることなく実現することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の自動変速機の制御装置においては、ニュートラルレンジからドライブレンジへの切換時に、自動変速機を一時的に高速段状態に制御し、その後低速段状態に制御するようになっている。
そして、リバース時に係合され、高速段状態で解放される第1の摩擦係合要素と、リバース時に解放され、高速段状態で係合される第2の摩擦係合要素と、前記両摩擦係合要素を含む複数の摩擦係合要素を車両走行状態に応じて係脱させるための信号を出力する変速信号出力手段と、前記第1の摩擦係合要素が解放されたか否かを判断する解放判断手段と、該解放判断手段により、前記第1の摩擦係合要素が解放されたと判断されるまで、前記変速信号出力手段からの前記第2の摩擦係合要素を係合するための信号の出力を許可せず、前記第1の摩擦係合要素が解放されたと判断されたとき、前記変速信号出力手段からの前記第2の摩擦係合要素を係合するための信号の出力を許可する高速段許可手段とを有する。
【0006】
本発明の他の自動変速機の制御装置においては、さらに、前記解放判断手段は、ニュートラルレンジに入ったか否かを判断するニュートラルレンジ判断手段と、該ニュートラルレンジ判断手段によりニュートラルレンジに入ったと判断されたと同時にスタートするタイマ手段と、該タイマ手段により計測される時間が予め設定した所定時間を超えたか否かを判断する経時判断手段とから成る。
【0007】
本発明の更に他の自動変速機の制御装置においては、さらに、前記解放判断手段は、リバースレンジから離れたか否かを判断するリバースレンジ判断手段と、該リバースレンジ判断手段によりリバースレンジから離れたと判断されたと同時にスタートするタイマ手段と、該タイマ手段により計測される時間が予め設定した所定時間を超えたか否かを判断する経時判断手段とから成る。
【0008】
本発明の更に他の自動変速機の制御装置においては、さらに、前記解放判断手段は、前記第1の摩擦係合要素の油圧を検出する油圧検出手段と、該油圧検出手段により検出された油圧が解放状態にあるか否かを判断する解放圧判断手段とから成る。
【0009】
本発明の更に他の自動変速機の制御装置においては、さらに、前記解放判断手段は、前記タイマ手段により計測される時間が予め設定した所定時間を超えたときに、前記第1の摩擦係合要素が解放されたと判断する。
【0010】
本発明の更に他の自動変速機の制御装置においては、さらに、前記解放判断手段は、前記油圧検出手段により検出された油圧が予め設定した所定油圧より下がったときに、前記第1の摩擦係合要素が解放されたと判断する。
【0011】
本発明の更に他の自動変速機の制御装置においては、さらに、前記予め設定した所定時間は、前記第1の摩擦係合要素が解放される時間である。
【0012】
【発明の作用及び効果】
本発明によれば、前記のように自動変速機の制御装置においては、ニュートラルレンジからドライブレンジへの切換時に、自動変速機を一時的に高速段状態に制御し、その後低速段状態に制御するようになっている。
そして、リバース時に係合され、高速段状態で解放される第1の摩擦係合要素と、リバース時に解放され、高速段状態で係合される第2の摩擦係合要素と、前記両摩擦係合要素を含む複数の摩擦係合要素を車両走行状態に応じて係脱させるための信号を出力する変速信号出力手段と、前記第1の摩擦係合要素が解放されたか否かを判断する解放判断手段と、該解放判断手段により、前記第1の摩擦係合要素が解放されたと判断されるまで、前記変速信号出力手段からの前記第2の摩擦係合要素を係合するための信号の出力を許可せず、前記第1の摩擦係合要素が解放されたと判断されたとき、前記変速信号出力手段からの前記第2の摩擦係合要素を係合するための信号の出力を許可する高速段許可手段とを有する。
この場合、リバースレンジからドライブレンジへの切換時に、第1、第2の摩擦係合要素のタイアップを防止することができ、スムーズにスクォート制御を行うことができるので、リバースレンジからドライブレンジへの切換時のショックを軽減することができる。
【0013】
本発明の他の自動変速機の制御装置においては、さらに、前記解放判断手段は、ニュートラルレンジに入ったか否かを判断するニュートラルレンジ判断手段と、該ニュートラルレンジ判断手段によりニュートラルレンジに入ったと判断されたと同時にスタートするタイマ手段と、該タイマ手段により計測される時間が予め設定した所定時間を超えたか否かを判断する経時判断手段とから成る。
この場合、従来のスクォート制御と同様に、解放判断をニュートラルレンジの検出だけで行うことができ、新たな検出手段を配設する必要がない。
【0014】
本発明の更に他の自動変速機の制御装置においては、さらに、前記解放判断手段は、リバースレンジから離れたか否かを判断するリバースレンジ判断手段と、該リバースレンジ判断手段によりリバースレンジから離れたと判断されたと同時にスタートするタイマ手段と、該タイマ手段により計測される時間が予め設定した所定時間を超えたか否かを判断する経時判断手段とから成る。
この場合、リバースレンジ判断手段によってリバースレンジから離れたと判断されるので、タイマ手段を正確にスタートさせることができ、自動変速機を正確に制御することができる。
【0015】
本発明の更に他の自動変速機の制御装置においては、さらに、前記解放判断手段は、前記第1の摩擦係合要素の油圧を検出する油圧検出手段と、該油圧検出手段により検出された油圧が解放状態にあるか否かを判断する解放圧判断手段とから成る。
この場合、第1の摩擦係合要素の解放をタイマ手段によらずに直接検出して制御することができるので、リバースレンジからドライブレンジへの切換時に、第1、第2の摩擦係合要素のタイアップを確実に防止することができる。
【0016】
【実施例】
以下、図面に沿い、本発明の実施例を説明する。図1〜図5は本発明の第1実施例を示す。先ず自動変速機全体の概略構成から説明すると、図2にスケルトンで示すように、自動変速機1の機構部は、この例では、前置式オーバドライブ機構Dを構成するプラネタリギヤユニットP0と、前進3速後進1速の主変速機構Mを構成する前段のプラネタリギヤユニットP1と後段のプラネタリギヤユニットP2からなる4速構成とされ、この機構部がロックアップクラッチL付のトルクコンバータTに連結されている。
【0017】
オーバドライブ機構Dは、キャリヤU0を入力軸Xを介してトルクコンバータTに連結する入力要素とし、これを並列するワンウェイクラッチF0と多板クラッチC0を介してサンギヤS0に連結し、さらにサンギヤS0を多板ブレーキB0により変速機ケースHに固定可能とし、リングギヤR0を中間軸Yを経て主変速機構Mに連結する出力要素とした構成とされている。
【0018】
一方、主変速機構Mは、その前段のリングギヤR1を多板クラッチC1を介してオーバドライブ機構DのリングギヤR0に連結する第1の入力要素とし、前段のサンギヤS1と後段のサンギヤS2とを直結してこれらを多板クラッチC2を介してオーバドライブ機構DのリングギヤR0に連結する第2の入力要素とし、前段のキャリアU1と後段のリングギヤR2とを直結してこれらを出力軸Zに連なる出力要素とし、互いに直結したサンギヤS1,S2は、直列するワンウェイクラッチF1と多板ブレーキB2を介してケースHに固定可能とし、さらにバンドブレーキB1によりケースHに固定可能とするとともに、後段のキャリアU2を並列する多板ブレーキB3とワンウェイクラッチF2によりケースHに固定可能とした構成とされている。なお、図示されていないが、各クラッチ及びブレーキは、それらの摩擦材を係合・解放操作するピストン・シリンダ機構からなるそれぞれの油圧サーボを備えている。
【0019】
これら油圧サーボ、トルクコンバータT及びロックアップクラッチLを制御する油圧制御回路2は、それに組込まれた各オン・オフソレノイド弁及び各リニアソレノイド弁SLを自動変速制御コンピュータ3で制御され、自動変速制御コンピュータ3は、運転者のシフト操作によるレンジ選択に応じて、エンジンE及び自動変速機1を含む車両の各部に配置された各種センサSnと図示しないエンジン制御コンピュータからの信号に基づき、油圧制御回路2に変速信号を出力する。
【0020】
この自動変速機1において、エンジンEの回転は、トルクコンバータTを経て入力軸Xに伝達される。そして入力軸Xの回転は、Nポジションでは、上記油圧制御回路2による油圧サーボの制御下で、クラッチC0のみを係合させてオーバドライブ機構Dを直結とした状態で、中間軸Yまで伝達され、そこで出力軸Zに対して遮断されている。
【0021】
この状態から、主変速機構MのクラッチC1を係合すると、中間軸Yまで伝達されていたトルクは、前段のリングギヤR1に入り、キャリアU1を経て出力軸Zに伝達される一方、両サンギヤS1,S2、後段のピニオンを介して後段のキャリアU2に伝達され、キャリアU2を逆転させようとするが、ワンウェイクラッチF2のロックで逆転は阻止され、リングギヤR2から出力軸Zに第1速回転として出力される。
【0022】
次に、第2速は、オーバドライブ機構Dが直結で、クラッチC1及びブレーキB2を係合したときに達成され、このとき、オーバドライブ機構Dから前段のリングギヤR1に入った入力は、サンギヤS1を反力要素としてキャリアU1に出力され、出力軸Zの第2速回転となる。
【0023】
また、第3速は、同様にオーバドライブ機構Dが直結で、クラッチC1及びクラッチC2を共に係合したときに達成され、このとき、前段のリングギヤR1とサンギヤS1は両クラッチC1,C2を介して連結されるため、それらとの相対回転を拘束されたキャリアU1の回転が出力され、出力軸Zは全段直結の第3速回転となる。なお、このとき、ブレーキB2も係合されるが、この係合はホイールドライブ時にワンウェイクラッチF1をロックされるための係合で、エンジンドライブ時の変速には直接関与しない。
【0024】
そして第4速は、主変速機構Mが上記第3速の状態で、オーバドライブ機構DのクラッチC0を解放し、ブレーキB0の係合でサンギヤS0を固定することでオーバドライブ機構Dを増速回転させて達成される。
【0025】
これに対して、後進は、オーバドライブ機構Dを直結状態とし、主変速機構MのクラッチC2とブレーキB3を係合させることで達成され、このとき、中間軸YからクラッチC2を経て後段のサンギヤS2に入った入力は、キャリアU2の固定により、リングギヤR2の逆回転として出力される。
【0026】
上記各変速段における各摩擦係合要素とワンウェイクラッチの係合・解放の関係を図3にまとめて作動図表として示す。図において、○印はクラッチ、ブレーキについては係合、ワンウェイクラッチについてはロック、(○)印はエンジンドライブ時のみのロック、◎印は動力伝達に関与しないロックを表す。
【0027】
こうした構成の自動変速機1において、本発明は、ブレーキB3をR時に係合されて高速段(第3速)状態で解放される第1の摩擦係合要素とし、クラッチC1及びブレーキB2をR時に解放されて高速段(第3速)状態で係合される第2の摩擦係合要素として適用されており、NレンジからDレンジへの切換時に、自動変速機1を一時的に第3速状態に制御し、その後に第1速状態に制御する制御装置を構成している。
【0028】
この制御装置は、ブレーキB2,B3を含む複数の摩擦係合要素即ちクラッチC0〜C2、ブレーキB0〜B3を車両走行状態に応じて係脱させるための信号を出力する前記自動変速制御コンピュータ3内のプログラムとして構成されており、図1に示すように、変速信号出力手段30と、ブレーキB2が解放されたことを判断する解放判断手段31と、解放判断手段31によりブレーキB2が解放されたと判断されたとき、変速信号出力手段30からのブレーキB3を係合するための信号の出力を許可する高速段許可手段39とを有する。
【0029】
本例では、解放判断手段31は、Nレンジに入ったことを判断するニュートラルレンジ判断手段32と、ニュートラルレンジ判断手段32によりNレンジに入ったと判断されたと同時にスタートするタイマ手段33と、タイマ手段33により計測される時間が予め設定した所定時間を超えたか否かを判断する経時判断手段34とから構成されている。この例における解放判断手段31は、タイマ手段33により計測される時間が予め設定した第3速出力許可所定時間を超えたときに、ブレーキB3が解放されたと判断する。
【0030】
制御装置の自動変速制御コンピュータ3に各種の信号を入力する入力手段を構成する各種センサは、シフト装置4における選択レンジを検出するニュートラルスタートスイッチ等からなる“N”ポジションスイッチSn1、“2”(セカンド)ポジションスイッチSn2、“L”(ロー)ポジションスイッチSn3、エンジンEの吸気系においてスロットルの開度(θ)を検出するスロットルセンサSn4、ブレーキぺダルの踏込みによりオン動作するブレーキスイッチSn5、自動変速機1の出力軸Z回転から車速(V)を検出する車速センサSn6から構成されている。他方、自動変速制御コンピュータ3の信号出力対象たるソレノイドは、油圧回路2を第1速状態とするソレノイド弁SL1のソレノイドNo.1と、油圧回路2を第3速状態とするソレノイド弁SL2のソレノイドNo.2とされている。
【0031】
次に、上記制御装置による制御の詳細を図4に示すタイムチャートを参照しつつ、図5のフローチャートに基づき説明する。この例は、ニュートラルスタートスイッチの“N”ポジションスイッチSn1信号のみによる制御を可能とした例であり、制御開始後、最初のステップ1で、“N”ポジションスイッチSn1からの信号を基に、Nレンジからスタートさせる第3速出力許可タイマ計測開始の判断がなされる。この判断で、Nレンジへのシフト直後と判定された場合、次のステップ2でNレンジへのシフトからの経過時間を計測する第1のタイマ即ちタイマ手段33をスタートさせ、タイムチャートに示す設定時間(A)の計測を開始する。このとき、図2に示す変速機構部では、オーバドライブ機構DのクラッチC0は係合のままで、主変速機構MのブレーキB3の油圧サーボからの油圧解放が開始される。
【0032】
次に、ステップ3で、Nレンジから離れたか否か、即ち、Dレンジを含む特定の走行ポジションにシフトされたか否かの判定が行われる。これがイエスの場合、次のステップ4で、一時的に第3速状態を得た後本来の第1速状態に戻すための従来と同様のスクォート制御のための第2のタイマをスタートさせ、タイムチャートの時間(B)と時間(C)の計測に入る。このとき、ブレーキB3の油圧サーボからの油圧排出は行われているものの、トルク容量は残っている。
【0033】
以下のステップ5〜8では、それぞれ、車速センサSn6の検出信号に基づく車両停止中の判断、“2”ポジションスイッチSn2及び“L”ポジションスイッチSn3がオフであることによるDレンジ判断、スロットルセンサSn4のスロットルオフ信号によるアイドル判断、ブレーキスイッチSn5のオン信号によるブレーキオン判断の全てがイエスとなった場合に、本発明の主題とするR→Dスクォート制御を行う上記両タイマの計測結果の判断がなされる。この例では、第3速出力許可用の第1のタイマ及びスクォート制御用の第2のタイマの何れか長い時間の経過(Nレンジの維持が長い場合は、Dレンジ到達後B秒後、Nレンジの維持が短い場合は、Nレンジになった後A秒後)を待って第3速信号を出力させるべく、ステップ9とステップ10とによる判断を行っている。そして、最後のステップ11で本来の第1速信号出力を出力すべき時間(C)に満たないことを条件として、第3速信号が出力される。この段階では、ブレーキB3のトルク容量は無くなっている。
【0034】
この第3速信号は、具体的には、自動変速制御コンピュータ3から油圧制御回路2のソレノイドNo.2に出力される。それにより図示しないシフト弁が切り換えられて、油圧制御回路2が第3速状態とされ、ブレーキB2の油圧サーボへの係合圧供給が開始されるとともに、一旦解放され始めたクラッチC2の油圧サーボへの係合圧供給も再開される。こうしたルーティンが繰り返されて、やがて最後のステップ11で本来の第1速信号を出力すべき時間(C)に達すると、第3速達成のためのソレノイドNo.2への信号がオフされ、代わって第1速達成のためのソレノイド出力がソレノイドNo.1に対してなされ、本制御を終了する。この段階では、クラッチC2及びブレーキB2の油圧サーボからの油圧解放が行われる。
【0035】
この例のように、Nレンジを基とする制御形態を採った場合、従来から備わっているニュートラルスタートスイッチ等の“N”ポジション信号による制御が可能であるため、格別新たなスイッチの追加が不要となる利点が得られるばかりでなく、本来スクォート制御に必要な“D”ポジション信号をも必要としない制御が可能となる。なお、ブレーキB3の解放時間は、実際には、その油圧サーボを作動させるオイルの粘性により変化するものであるから、解放時間を定めるタイマは、自動変速機オイル(ATF)の温度に応じて低温時は長く、極端な高温時は別として、高温時は短く設定変更する制御形態を採ることもできる。
【0036】
次に、図6は、上記の例とは異なり、“R”ポジションスイッチSn7と“D”ポジションスイッチSn8を設けるか又はこれらスイッチの信号を本制御に用い得る場合の制御装置構成を示しており、この場合、解放判断手段31を、Rレンジから離れたことを判断するRレンジ判断手段35と、Rレンジ判断手段35によりRレンジから離れたと判断されると同時にスタートするタイマ手段36と、タイマ手段36により計測される時間が予め設定した所定時間を超えたか否かを判断する経時判断手段37とからなる判断手段とされている。こうした場合でもタイムチャートは、図4と同様となる。この例では、制御開始後、最初のステップ1で、実装された“R”ポジションスイッチSn7からの信号を基に、Rレンジからスタートさせるタイマ計測開始の判断がなされる。この判断で、Rレンジから離れた直後と判定された場合、次のステップ2でRレンジから離れた後の経過時間を計測する第3速出力許可用の第1のタイマ即ちタイマ手段36をスタートさせ、タイムチャートの時間(A)の計測を開始する。
【0037】
次に、ステップ3で、この例の場合、“D”ポジションスイッチSn8の検出信号によるDレンジへの到達の確認の判定が行われる。これがイエスの場合、次のステップ4で一時的に第3速状態を得、その後に、本来の第1速状態に戻すためのスクォート制御用の第2のタイマをスタートさせ、タイムチャートの時間(B)と時間(C)の計測に入る。以後のステップは、ステップ9’の判断がRレンジから離れた後の経過時間により判断される点を除いて事実上前記制御例と同様となるので、前例の参照をもって説明に代える。
【0038】
この実施例のような構成とした場合、Dレンジの検出手段は、本来スクォート制御に必要なものとして、新たにRレンジの検出手段を必要とする反面、タイマ手段のスタート時期を一段と正確化した制御が可能となる。
【0039】
最後に、図8は、解放判断手段31を、第1の摩擦係合要素B3の油圧を検出する油圧検出手段Sn9と、油圧検出手段Sn9により検出された油圧が解放状態にあるか否かを判断する解放圧判断手段38とからなる判断手段とした第3実施例を示す。この例では、リバース達成のためのブレーキB3の油圧サーボの油圧、即ちB3油圧を主体として第3速出力が許容されるか否かを判断する。解放判断手段31は、油圧検出手段Sn9により検出された油圧が予め設定した所定油圧より下がったときに、ブレーキB3が解放されたと判断する。こうした場合、Dレンジ以前の条件は格別問題とならないので、タイマはDレンジ到達でスタートする従来のスクォート制御のタイマで足りる。したがって、この例の場合、前2例のステップ1,2は不要となる。他の制御については、ステップ9”がブレーキB3の油圧サーボのB3油圧による解放判断となる点を除いて実質上前2例と同様であるので、それらの参照を以て各ステップの説明に代える。
【0040】
この例のような構成とした場合、ブレーキB3の解放をタイマ手段によらずに直接検出した誤差のない制御が可能となる利点が得られる。
【0041】
以上詳記したように、この制御装置では、R→Dシフトを特定し得る何らかの検出あるいは利用可能な信号を基に、リバース時に係合されている摩擦係合要素の解放を判断し、それによりスクォート制御の禁止状態を解除する制御が行われる。その結果、従来のN→Dシフト時のスクォート制御をR→Dシフト時にも支障なく行うことができる。
【0042】
以上、本発明をいくつかの実施例に基づき詳説したが、本発明は、特許請求の範囲に記載の事項の範囲内で種々に細部の具体的な構成を変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る自動変速機の制御装置のブロック図である。
【図2】本発明を適用した自動変速機の構成をその機構部のみスケルトンで示し、他の部分を概念的にブロックで示す全体概念図である。
【図3】上記自動変速機の作動図表である。
【図4】第1実施例の制御装置による制御タイムチャートである。
【図5】第1実施例の制御装置による制御フローチャートである。
【図6】本発明の第2実施例に係る制御装置のブロック図である。
【図7】第2実施例の制御装置による制御フローチャートである。
【図8】本発明の第3実施例に係る制御装置のブロック図である。
【図9】第3実施例の制御装置による制御タイムチャートである。
【図10】第3実施例の制御装置による制御フローチャートである。
【符号の説明】
1 自動変速機
2 油圧制御回路
3 自動変速制御コンピュータ
B3 ブレーキ(第1の摩擦係合要素)
B2 ブレーキ(第2の摩擦係合要素)
C1 クラッチ(第2の摩擦係合要素)
30 変速信号出力手段
31 解放判断手段
32 ニュートラルレンジ判断手段
33 タイマ手段
34 経時判断手段
35 リバースレンジ判断手段
36 タイマ手段
37 経時判断手段
38 解放圧判断手段
39 高速段許可手段

Claims (8)

  1. ニュートラルレンジからドライブレンジへの切換時に、自動変速機を一時的に高速段状態に制御し、その後低速段状態に制御する自動変速機の制御装置において、
    リバース時に係合され高速段状態で解放される第1の摩擦係合要素と、
    リバース時に解放され高速段状態で係合される第2の摩擦係合要素と、
    前記両摩擦係合要素を含む複数の摩擦係合要素を車両走行状態に応じて係脱させるための信号を出力する変速信号出力手段と、
    前記第1の摩擦係合要素が解放されたか否かを判断する解放判断手段と、
    該解放判断手段により、前記第1の摩擦係合要素が解放されたと判断されるまで、前記変速信号出力手段からの前記第2の摩擦係合要素を係合するための信号の出力を許可せず、前記第1の摩擦係合要素が解放されたと判断されたとき、前記変速信号出力手段からの前記第2の摩擦係合要素を係合するための信号の出力を許可する高速段許可手段とを有することを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記解放判断手段は、ニュートラルレンジに入ったか否かを判断するニュートラルレンジ判断手段と、該ニュートラルレンジ判断手段によりニュートラルレンジに入ったと判断されたと同時にスタートするタイマ手段と、該タイマ手段により計測される時間が予め設定した所定時間を超えたか否かを判断する経時判断手段とからる請求項1記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記解放判断手段は、リバースレンジから離れたか否かを判断するリバースレンジ判断手段と、該リバースレンジ判断手段によりリバースレンジから離れたと判断されたと同時にスタートするタイマ手段と、該タイマ手段により計測される時間が予め設定した所定時間を超えたか否かを判断する経時判断手段とからる請求項1記載の自動変速機の制御装置。
  4. 前記解放判断手段は、前記第1の摩擦係合要素の油圧を検出する油圧検出手段と、該油圧検出手段により検出された油圧が解放状態にあるか否かを判断する解放圧判断手段とからる請求項1記載の自動変速機の制御装置。
  5. 前記解放判断手段は、前記タイマ手段により計測される時間が予め設定した所定時間を超えたときに、前記第1の摩擦係合要素が解放されたと判断する請求項2又は3記載の自動変速機の制御装置。
  6. 前記解放判断手段は、前記油圧検出手段により検出された油圧が予め設定した所定油圧より下がったときに、前記第1の摩擦係合要素が解放されたと判断する請求項4記載の自動変速機の制御装置。
  7. 前記予め設定した所定時間は、前記第1の摩擦係合要素が解放される時間である請求項2又は3記載の自動変速機の制御装置。
  8. 前記高速段状態において所定の変速段が達成される請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動変速機の制御装置。
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