JP3658742B2 - ロータリーキルン - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はほぼ水平姿勢で回転するレトルトの一端から他端に向かって被焼成物を移送しつつレトルト内に吹き込まれる火炎によって焼成するようにしたロータリーキルンに関する。
【０００２】
【従来の技術】
このようなロータリーキルンにおいてはレトルト内のガスが漏れ出さないように、レトルト内の圧力を大気の圧力より少し低く保つのが通常であるが、そうすると、レトルトの外周と排出室の間及び排気室との間の間隙から外気がレトルト内に侵入してレトルト内の温度が低下するなどの問題があるため、いろいろな構造の機械的シールが用いられていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高温下において固定部分である排出室および排気室と回転部分であるレトルトとの間隙を機械的に完全にシールすることは困難であった。
【０００４】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
このような課題を解決する手段として、請求項１の発明は、レトルトと排出室の間の間隙あるいはレトルトと排気室との間の間隙の接線方向に向けて燃焼炎を噴出する補助バーナを排出室と前記排気室の少なくとも一方の上端に設けたから、隙間部分の圧力が局部的に上昇して外気の侵入が防止される効果があり、また、請求項２の発明は請求項１の発明において補助バーナーから噴出するガスの空気比が１より小さくしたから、隙間から侵入する外気が補助バーナーの燃焼用空気として使用されてレトルト内の温度低下が防止され、熱効率が向上する効果がある。
【０００５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【０００６】
図１及び図２において、１は両端部外周に固定されたリング２をローラー３により支承されてほぼ水平姿勢に保たれたレトルトであって、図示しない駆動装置により一方向に回転し、図１の右端に設けられたスクリューコンベア４によって送りこまれた被焼成物がレトルト１の回転にともなって図１の左方へ搬送されつつ、左端に設けられた排出室５を構成する排出筒６に装着された主バーナー７から噴出する火炎により燃焼されて排出室５内に落下し、レトルト１内に生じた燃焼ガスは右端に設けられた排気室８を構成する排気筒９から排出されるようになっており、排出筒６とレトルト１の間には狭い間隙ａが設けられている。
【０００７】
上記は公知のロータリーキルンであるが、本実施の形態においては、図２に示すように、排出室５の上端に上記間隙ａの接線方向を向けて火炎を噴出する補助バーナー１０が排出筒６に装着されていて、その火炎が間隙ａに対応して旋回し、その部分の圧力が高くなって間隙ａからの外気の侵入が防止されるようになっている。
【０００８】
下記仕様の本発明にかかるロータリーキルンで補助バーナー１０を用いないで操作した場合と補助バーナー１０を用いて操作した場合の熱効率を実験により計測した。
【０００９】
仕様
レトルト内径：５５０ｍｍ、レトルト長：７ｍ、主バーナー能力：２７０，０００ｋｃａｌ／ｈ、補助バーナー能力：６０，０００ｋｃａｌ／ｈ，処理品：ペレット状の汚泥、処理量：３００ｋｇ／ｈ、処理温度：６００℃
実験結果
１ 補助バーナー付近の炉内圧を−１．５ｍｍＨ₂Ｏとして、補助バーナーを用いないで操作したところ、このときの主バーナーの燃焼量は２２０，０００ｋｃａｌ／ｈであった。
２ 補助バーナー付近の炉内圧を−１．５ｍｍＨ₂Ｏとして補助バーナーを点火したところ、同位置の炉圧は−０．５ｍｍＨ₂Ｏに上昇した。
補助バーナーに供給する燃焼用空気を減らして、空気比を０．２とし、不足する空気は侵入空気を使用して補助バーナーの空気比を略１とした。
このときの主バーナーの燃焼量は１４０，０００ｋｃａｌ／ｈとなり、補助バーナーの燃焼量は３８，００ｋｃａｌ／ｈとなって、燃料の合計使用量は１７８，０００ｋｃａｌ／ｈとなり、補助バーナーを使用しないときに比べて約１９％の燃料が節約できた。
（ここで、空気比とは燃料を理論的に完全燃焼できる空気量を１として、どの程度の過剰空気で燃焼しているかを表すものであって、例えば、１．３であれば３０％の過剰空気であり、０．７であれば３０％の空気が不足していることを表す。）
３ 補助バーナーからの燃焼用空気を遮断し、補助バーナーの燃焼用空気の総てを炉外からの侵入空気としたところ、主バーナーの燃焼量は１３０，０００ｋｃａｌ／ｈとなり、補助バーナーの燃焼量は３０，０００ｋｃａｌ／ｈとなって、燃焼の合計使用量は１６０，０００ｋｃａｌ／ｈとなって補助バーナーを使用しない場合に比べて約２７％の燃料が節約できた。
【００１０】
そして、補助バーナーを使用しないときに比べてレトルト内の燃焼ガスの流速が低下したため、ペレットの一部が破砕されることにより生成される粉末状のダストの排気筒９からの飛散が大幅に低減された。
なお、補助バーナー１０はレトルト１の入り口側あるいは出口側のいずれか一方または両方に設けてもよいが、炉内ガスの排気側の反対側すなわち主バーナー７側に設けるのが効果的である。
また、レトルト１の演習の間隙ａの大きさに合わせて、図３に示すように、補助バーナー１０を２個以上設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態の一部切欠断面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。
【図３】補助バーナーを２個設けた実施の形態の断面図である。
【符号の説明】
１：レトルト
４：スクリューコンベア
５：排出室
７：主バーナー
８：排気室
１０：補助バーナー

Claims (2)

1. ほぼ水平姿勢で回転するレトルトの一端を主バーナを備えた被焼成物の排出室で取り囲み、他端を被焼成物の供給装置を設けた排気室で取り囲んだロータリキルンにおいて、前記レトルトと前記排出室の間の間隙あるいは前記レトルトと前記排気室との間の間隙の接線方向に向けて燃焼炎を噴出する補助バーナを前記排出室と前記排気室の少なくとも一方の上端に設けたことを特徴とするロータリキルン。
2. 前記補助バーナーから噴出するガスの空気比が１より小さいことを特徴とするロータリーキルン。

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