JP3658551B2 - 枝豆引抜収穫機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、枝豆の収穫に使用される枝豆引抜収穫機、特に、茎根周囲の土を緩めて幹葉部を抜き易くする振動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、圃場に栽培されている枝豆を収穫する際、機械を幹葉部に作用させてその莢をもぎ取る(脱莢)か、或いは機械によって地上から上の幹葉部を刈り取って脱莢はその後に行うかの方法をとっていた。しかし、いずれの場合も、残った幹葉部や茎根をそのままにしてはおけないことから、これを除去する作業が必要であった。
そこで、畝上の植生枝豆の幹葉部を掻込装置で掻き込んだ後、挟持搬送装置により、掻き込んだ幹葉部を挟持した状態で茎根ごと引き抜いて後方に搬送する引抜作業機が考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この引抜作業機において、挟持搬送装置による引抜作業の作業効率を高めるには、茎根周囲に振動刃を挿入して土を緩める振動装置の設置が不可欠である。しかしながら、振動刃の配置位置が不適切だと、茎根周囲の土を十分に緩めることができずに引き抜きに過大な力が必要となり、挟持搬送装置の弾性ベルト間でのスリップや幹葉部の破断などのトラブルが発生する、という問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、次のような構成としている。
茎根7bの周囲の土を緩めて幹葉部7aを抜き易くする振動装置14と、掻込装置12により掻き込んだ幹葉部7aを更に後方に挟持搬送する挟持搬送装置13と、一方は機体から左右に進退させて車輪幅を変更可能とし、他方を固定側とした走行輪1を備えた枝豆引抜収穫機において、前記振動装置14を構成する振動刃25は、縦部25aと横部25bにより正面視逆L字型に構成され、前記挟持搬送装置13の始端部付近に設けられ、該振動刃25は、引抜く幹葉部7aが前記挟持搬送装置13による引抜き作用を受ける前の位置で挿入され、該縦部25aが固定側の走行輪1の側に配置され、該横部25bは始端部で横に折り曲げられ、マルチフィルム45の下側から畝6の端の裾の位置で挿入され、茎根7b下方にまで至り上方にせり上がって茎根7bに接近させられるか又は直接触れるように構成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一例を示す枝豆引抜収穫機の側面図、図2は前記収穫機の一畦二条植付時の作業状態を示す正面図、図3は前記収穫機の要部の側面図、図4は前記収穫機の要部の平面図であるが、この枝豆引抜収穫機(以下、収穫機という)は、左右の走行輪1に支持させた機台2の前部に作業部3を、後部にエンジンやミッション等の伝動部4を載せ、伝動部4の上方に操縦ハンドル5を設けたものである。
【0006】
本例の収穫機は、畝6を形成してその上面に二条植えられている枝豆7を往復収穫するものであり、左右の走行輪1は、畝6の両側の溝底6bを走行する。尚、走行輪1の外面はカバー1aで覆っておき、幹葉部7aがこれに噛み込まないようにしている。この場合、異なる畝幅にも対応できるように、走行輪1の一方(進行方向から見て右側)は図外の車輪幅変更機構によってその支持筒8及び伝動筒9が左右に進退するようになっている。尚、固定側の走行輪1の前方には、走行輪1と同じ轍を進む高さ調整可能なゲージ輪10が設けられており、これによって作業部3の高さが調整される。
【0007】
枝豆7を引抜き収穫する作業部3は、前部から分草装置11、掻込装置12、挟持搬送装置13、振動装置14、土落し装置15、横誘導装置16、収集装置17等で構成される。
【0008】
分草装置11は先端が尖った左右一対の分草板18a、18bや、分草板18a、18b或いはその近傍箇所から上後方に延びる分草杆19a〜19fからなるものであり、枝豆7の幹葉部7aの中に分草板18a、18bや分草杆19a〜19fが分け入ることで、引き抜く幹葉部7aとそうでない幹葉部7aとを分け、引き抜く幹葉部7aだけを後続する掻込装置12へ導くものである。
【0009】
右側の分草板18aは掻込装置12や挟持搬送装置13の作用中心を指標する機体位置合わせ基準用もので比較的細巾で短小なものとなしてある。この分草板18aから、幹葉部7aの比較的下部を左右に押し遣るものとした左右一対の下側分草杆19a、19bと、幹葉部7aの比較的上部を左右に押し遣るものとした左右一対の上側分草杆19c、19dとを後方へ向け後上がり状且つ後開き状に延出させており、この際、各分草杆19a〜19dの先端は分草板18aの近傍箇所に固定させればよいのであり、図示例では分草板18aの裏面に固定させてある。
【0010】
ところで、収穫間際の幹葉部7aは非常に繁茂しており、分草板18等はどこを走行しているのかわからない程になる。そこで、分草板18aから出る左上側の分草杆19cを一際高くして、繁茂した幹葉部7aを機体の収穫走行中に効果的に左側へ押し遣ることにより、操縦ハンドル5を持った操縦者が幹葉部7a群の中に埋もれている分草板18aの先端部を目視できるようにしている。
【0011】
また、分草板18aの背後には起立状部材2aが機台2と同体状に設けてあり、分草板18aはこの起立状部材2aに適宜な結合部材を介して位置変更調整可能に支持されている。この起立状支持部材2aにはこれの周辺に繁茂した幹葉部7aが機体の収穫走行中に絡み付く傾向となるのであり、これを防止するため、起立状部材2aの下端部で分草板18a、下側分草杆19a、19b及び上側分草杆19c、19dの背後となる部分に、当該部分を覆うと共に機体の収穫移動中の幹葉部7aの後方への流れを円滑になすものとした幹葉排除案内板18cを設けている。
【0012】
左側の分草板18bは比較的広巾で長大なものとなしてあり、この分草板18b箇所からは、幹葉部7aの比較的下部を右方に押し遣るものとした比較的短い下側分草杆19eを後方へ向け後上がり状に延出させており、この際、分草杆19eの先端部は分草板18baの近傍箇所に固定させればよいのであり、図示例では分草板18aの裏面に固定された板片に固定させてある。この分草板18bは機台2と同体状に設けられた左側の起立状部材2bに支持されており、この起立状部材2b部分で前記下側分草杆19eより上側箇所には後方へ向け後上がり状に延出され幹葉部7aの比較的下部を右方に押し遣るものとした上側分草杆19fが設けてある。
【0013】
上記分草装置11の他にも走行輪1やゲージ輪10に関連した分草装置11a、11bが設けてある。
右側の走行輪1に関連した分草装置11aは、右側走行輪1下部の前方箇所に設けられるもので、伝動部4の一部を形成して走行輪1の回転中心軸保持部をなす箇所4aに前向きの支持棒部材4bを同体状に固定し、この支持棒部材4bの先端に前記分草板18bとほぼ同じ大きさの分草板18dを設け、この分草板18dの近傍箇所から複数の分草杆19g、19hを後向き上り傾斜状に延出させたものであり、機体の収穫走行中に枝豆7の幹葉部7aが右側走行輪1に絡み付くのを阻止する上で寄与するものである。
【0014】
この際、分草板18dは支持棒部材4bの先端に設けた左右向き支点軸aを介してこの支点軸a回りの揺動可能に支持され、且つこの揺動角度が複数の特定角度のうちの任意なものに固定されるものとなしている。
分草杆19g、19hは分草板18dと同体状に固定されており、一方のもの19gは右側走行輪1の右側後方に向かうに伴って漸次に大きく右横方へ張り出すように設け、他方のもの19hは右側走行輪1の左側後方へ向かうに伴って漸次に大きく左横方へ張り出すように設けるのであり、この際、これら分草杆19g、19hの前端部は右側走行輪1下部の前方に位置されると共に、右側の分草杆19gの前端部は略前後向き軸回りの揺動操作可能に支持されるのであり、これら分草杆19g、19hは機体の収穫走行中に枝豆7の幹葉部7aを右側走行輪1から左右へ押し遣り幹葉部7aが右側走行輪1の側面やその周辺部材に絡み付くのを阻止するものである。
【0015】
ゲージ輪10に関連した分草装置11bはゲージ輪10の前方箇所に設けられる分草板18eと、ゲージ輪10の前側箇所から左側走行輪1の側部箇所までの機体側方に設けられる分草杆19iとからなるものであり、機体の収穫走行中に枝豆7の幹葉部7aがゲージ輪10や左側走行輪1等に絡み付くのを阻止するものである。
【0016】
分草板18eは機台2に支持されたフォーク部材10aから左右一対の支持板部材10bを前下がり状に延出させゲージ輪10前半分を取り囲むように屈曲させてその前部を接合させ、この接合箇所に前後向き軸bを介してこの軸b回りの角度調整可能に装着され、機体の収穫走行中に幹葉部7aがゲージ輪10に絡み付くのを阻止するものとなされる。
【0017】
分草杆19iは前側杆部材c1に後側杆部材c2を伸縮自在に外嵌させたもので、前側杆部材c1の前端部を支持板部材10bに略前後向き軸回りの回動自在に装着すると共に、後側杆部材c2の後端部を機台2の側部に前記略前後向き軸回りの揺動角度位置の変更調整具dを介して装着し、略前後向き軸回りの揺動位置を変更操作することで前後長さ中央部高さを任意に変更調整可能になしたものであり、略前後向き軸回りの揺動位置を変更することで任意高さに成長した枝豆7の幹葉部7aであってもこれを機体の収穫走行中にゲージ輪10や左側走行輪1から横外方へ的確に押し遣り幹葉部7aが左側走行輪1の側面部やその周辺部材に絡み付くのを阻止するものとなされている。
なお、上記した2つの分草杆19g、19hが略前後向き軸回りへ回動可能としていることは、路上走行や機体運搬時にこれを収納して全幅を抑える上でも寄与するものである。
【0018】
掻込装置12は、分草装置11の後方に機台2と同体状に設けられるもので、上下一対のプーリ(図示省略)間に張られた突起付きベルト21を左右に対設し、その対向面を共に前低後高傾斜平面内で後方回動させたものであり、突起付きベルト21で引抜き対象の幹葉部7aを掻き上げて後続する挟持搬送装置13に誘導するものである。従って、対向する突起付きベルト21の中心は挟持搬送装置13の中心と一致させられることになる。突起付きベルト21の上面にはカバー22が覆設されており、幹葉部7aの噛込み等を防止している。このカバー22は操縦ハンドル5を持った操縦者が分草板18aの先端部を目視するときの視線eを遮らないように位置されている。
【0019】
挟持搬送装置13は、掻込装置12の後方に機台2と同体状に設けられるもので、上下一対のプーリ(図示省略)間に張られた弾性ベルト23を有する左右一対のベルト搬送部13a、13bを形成し、これら搬送部13a、13bの左右の弾性ベルト23の対向面同士を互いに押圧状態にして共に前低後高傾斜平面内で後方回動させるものであり、挟持搬送始端fが地面に密着するように畝6を被ったマルチフィルム45を挟み付けない程度の高さで枝豆7の幹下端部の地面から凡そ10cm以下の範囲箇所のみ或いはその一部を挟持するように位置されると共に前後位置をゲージ輪10の回転中心にほぼ合致されており、掻込装置12で掻き込まれた幹葉部7aの下端部近傍を弾性ベルト23で挟持して地中から引き抜き、かつ、後上方へ搬送するものである。ここで、挟持搬送装置13が幹葉部7aの下端部近傍を挟持することは幹葉部7aの下部に育っている莢等を損傷させない上で寄与するものである。また挟持搬送始端fが前後位置をゲージ輪10の回転中心にほぼ合致されていることは、機体が畝6に対して傾斜してもゲージ輪10が挟持搬送始端fを傾斜前と同じ高さに保持することを可能となすものである。弾性ベルト23の押圧力は、幹葉部7aを挟持した状態で地中にある茎根7bを引き抜くだけの力を発揮できるように設定されているが、挟持したときに幹葉部7aや莢7cを潰してはならないので、表面にはスポンジ等の軟質弾性体が使用されている。弾性ベルト23の上方にはカバー24が覆設されて幹葉部7aの噛込み等を防止している。
【0020】
振動装置14は、挟持搬送装置13の始端部付近に設けられるもので、縦部25aと横部25bとで正面視逆L字形をした振動刃25を主体としており、横部25bによって茎根7b下方の土を緩め、幹葉部7aを引き抜き易くするものである。この場合、幹葉部7aが挟持搬送装置13による引抜き作用を受ける前には、茎根7b下方の土は振動装置14で緩められていることになる。尚、縦部25aは機体2等にピン26で回転可能に枢支されており、その上部にクランクロッド27が連結されて前後に振動させられている。振動刃25の横部25bは畝6の端の裾から挿入されて引抜き幹葉部7aの茎根7b下方にまで至っているものであるが、茎根7bの下方辺りでは上方にせり上がって茎根7bに接近させられるか又は直接触れるようにして引抜きの容易さを確保している。従って、横部25bの始端、則ち、縦部25aの終端は横に折り曲げられており、畝上面がマルチフィルム45で被覆されている場合でも、それより下側で振動刃25(横部25b)が畝6に突入できるようにしてマルチ栽培に対応している。尚、この振動装置14は、茎根7bが深く地中に延びて引抜き抵抗が強い場合に装備されるものであり、早生等で引抜き抵抗が小さい場合には外される。
【0021】
土落し装置15は、挟持搬送装置13の途中の下方に設けられるもので、中心軸が垂直面内に含まれる状態で回転させられる扱歯付きドラム28と、これと対向して設けられるゴム板29とからなり、挟持搬送装置13で搬送中の茎根7bに作用してこれに付いている土を落とすものである。図5はその要部を示す図1のA矢視図、図6はBーB断面図であるが、扱歯付きドラム28は、脱穀機の扱胴のような形態をしているものであり、伝動構造を収容するハウジング30からドラム31が前方に回転自在に突出しており、ドラム31の外周に扱歯32が植設されたものである。そして、扱歯32の作用範囲内の個所にゴム板29が設けられており、扱歯32が茎根7bを叩いてもこれをゴム板29が遮って逃げないようにしたものである。
【0022】
この場合、ドラム31の中心軸は挟持搬送装置13の弾性ベルト23の下方に、且つ、その移送方向と平面視では平行に設定されるが、側面視で前方が開くか又は後方が開く交差状態に設定されている。茎根7bに対して徐々に、しかも、すべてに作用して土を確実に落とすためである。尚、機台2等の固定部材に対するハウジング30の取付け位置や角度は変更できるようになっており、これによって弾性ベルト23との相関関係が調整できるようになっている。この他、扱歯32には、長手方向に叩き棒32aが渡されており、茎根7bに土が塊Aとなって付着しているような場合でも、これを叩き割れるようになっている。尚、千切れた茎根7bが扱歯付きドラム28へ巻き付こうとしても、叩き棒32aがドラム31から半径方向に離れた位置にあるため、巻き付き難く、たとえ、巻き付いても、除去し易い。
【0023】
横誘導装置16は、挟持搬送装置13の左側のベルト搬送部13bの搬送終端に設けられており、挟持搬送装置13で搬送される枝豆を収集装置17まで誘導するものであり、図7は誘導装置16の要部を示す断面側面図、図8は同じく図7のC矢視図であるが、一方(左側)の弾性ベルト23の終端上方に(カバー24を越えて)ドラム33と、爪34aがドラム33の外周に突出する送り爪34とを段状に重設し、しかも幹元部の上下の送り爪34、34の間隔が狭く幹先側の上下の送り爪34、34の間隔が広くなされた状態で、葉部ドラム33と送り爪34を上部プーリ23aで駆動するようにしたものである。図9は図7のD−D断面図であるが、送り爪34は全体としてリング状となされ、内孔をドラム33に外嵌されて固定されており、送り爪34とドラム33との相対変位は内孔の内周面に形成された複数の突起34bをドラム33に形成された透孔に嵌め込むことで規制されている。
【0024】
そして、左側の弾性ベルト23の移送面とほぼ同じ位置に、最上位の送り爪34の高さまで立ち上がってドラム33の外方を周回して左側方に延びる誘導板35を設けると共に、前記分草杆19cの案内作用を継続して引き継ぎ得るように右側の弾性ベルト23のカバー24と同体状の部位から出て誘導板35の外周を一定間隔隔てて周回する幹葉案内杆36を設けたものである。この幹葉案内杆36はその後部の湾曲部が横誘導装置16の一部をなし、前後向き部が挟持搬送装置13により搬送される幹葉部7aを横誘導装置16に達するまで左側へ押し遣る作用を奏するものである。
【0025】
尚、この誘導板35は、最上位の送り爪34の上方を覆うカバー35aも兼用しており、幹葉部7aが回り込むときにこの上に垂れ下がって莢7cが脱莢したり、幹葉部7aが送り爪34へ巻き付いたりするのを防いでいる。この場合、送り爪34が干渉する誘導板35の個所には孔37があいており、爪34aは誘導板35から出て回転することになる。これにより、挟持搬送装置13で搬送されて来た幹葉部7aは、誘導板35と幹葉案内杆36とで形成する誘導経路38に押し込まれ、送り爪34の爪34aで左側に強制的に回り込まされる。
【0026】
収集装置17は、誘導経路38に続く機体2の左側方に設けられる収集板39を主体とするものであり、誘導経路38から排出された幹葉部7aをこの上に一定量溜め置くものである。この収集板39は、機体2側に設けられる支持軸40の回りを下方回動可能に設けられており、幹葉部7aが一定量になると、自動又は手動で回動してその上に溜まった幹葉部7aを放出する。一まとめにすることで、後の収拾作業を容易にするためである。又、路上走行や運搬時に下方回動して全幅を抑えるためでもある(格納時は上方回動してもよい)。
【0027】
以上の各作業部3は伝動部4によって駆動されるが、その駆動系は、走行系と作業系とに分けられる。その構成は、この種の作業機と同じであることから、以下に図示を省略して概略の構成を説明しておく。まず、走行系については、伝動部4に伝えられた動力は伝動筒9に収容される駆動軸によって伝動ケース20から車軸41に伝えられ、走行輪1を駆動する。
【0028】
一方、作業系については、伝動部4に伝えられた動力は、挟持搬送装置13の弾性ベルト23の上部プーリ軸に伝えられ、弾性ベルト23を回動させる。又、上部プーリ軸の左側のものは上方に突出しており、これにドラム33及び送り爪34を嵌着してこれも駆動する。更に、弾性ベルト23を張る適宜なローラからは、その動力が掻込装置12の突起付きベルト21の上部プーリ軸に伝えられ、これによって突起付きベルト21を回動させる。更に、伝動部4に伝えられた動力は適宜な駆動経路をとって振動装置14の振動刃25を振動させるクランクロッド27を駆動するし、土落し装置15の突起付きドラム28も駆動する。
【0029】
上記設備の他に、分草装置11の後方辺りの機体2の前部にゲート42が設けられている。このゲート42は、掻込装置12を構成する左右の突起付きベルト21が幹葉部7aを対向面へ取り込んだときに変形等を引き起こさないように左右を連結したり、前部に重量を付加して機体2のバランスを取るもので、その中心が幹葉部7aの搬送面(挟持搬送装置13の弾性ベルト23の合わせ面)と一致して設けられており、幹葉部7aはこのゲート42を潜って後方に搬送される。従って、ゲート42は、幹葉部7aの搬送を妨げない高さに設定してある。又、機体2の左側方にはゲージ輪10が設けられことは前述したが、当然ながら、このゲージ輪10は、機体2に固定される収納筒43にハンドル44でフォーク部材10aと共に上下するように装設されており、これによって作業部3の高さを設定する。フォーク部材10aには、ゲージ輪10に付着した土砂等を掻き落とすものとしたスクレーパ10cが前下がり傾斜状に固設してあり、ゲージ輪10が土砂の付着し易い畝溝6bを走行してゲージ輪10に土砂が付着しても、スクレーパ10cがこの土砂を確実に掻き落とし、土砂の付着による作業部3の高さの乱れを生じさせないものである。この際、スクレーパ10cを前下がり状となしたことは掻き落とした土砂の落下を促進させるほか幹葉部7aの引っ掛かりを防止する上で寄与する。
【0030】
作業部3の高さについては、分草装置11の分草板18の先端が畝頂6a上に至近距離を保つように調整される。但し、畝頂6aにマルチフィルム45が被せられるものは、分草板18の先端がこのマルチフィルム45を破らない程度の間隔は取るように設定される。そして、マルチフィルム45を押えるフィルム押さえ棒46が振動装置14のやや後方で、枝豆7の収穫条を挟む両側に設けられている。この際、フィルム押さえ棒46の先端部は前上り傾斜状となされると共にその前後位置を掻込装置12の掻込開始位置f0より後方で挟持搬送装置13の挟持搬送始端f近傍に位置される。従って、マルチフィルム45の植付孔から茎根7bを引き抜く際にマルチフィルム45が持ち上がって弾性ベルト23に挟まれたり或いは幹葉部の莢等が挟まれる事態が防止される。こうして損傷を回避されたマルチフィルムは必要に応じて再使用されるのであり、再使用においては茎根7bの引き抜かれた跡に残存するマルチフィルムに形成された空孔箇所に所要の植付けが行われる。
【0031】
更に、各作業部3を照らす照明手段47が設けられている。この照明手段47は一側の分草板18aの先端部を照射するための照明灯47aのほか、照射方向を変更可能となされ収集装置17やその他の箇所を照射し得るものとした照明灯47bとを備えている。この際、前者照明灯47aは起立状部材2aの上端近傍に固定され、後者照明灯47bは操縦ハンドル5の前部上方に複数個装着されている。これら照明灯47a、47bは一畦一条植えと一畦二条植えの場合とで適宜に使用方法が変更されるのであり、一畦一条植えの場合は右側の分草板18aの先端部を見ないでもよいため前者照明灯47aは点灯しなくてもよいのであり、この場合は後者照明灯47bで挟持搬送装置13の先部と収集装置17とを照射するようになすのであり、一方、一畦二条植えの場合は右側の分草板18aの先端部と収集装置17とを照射するのである。
【0032】
上記した実施例において、前記分草杆19cと前記幹葉案内杆36とが幹葉案内手段をなすものであり、収穫走行中、左右の分草板18a、18bの間を通過した幹葉部7aは先ず分草杆19cにより後方へ向けて移動しつつ漸次に左側へ押し遣られ、さらに挟持搬送装置13により挟持された後にも左側へ押し遣られ、この後、挟持搬送装置13により搬送される過程で分草杆19cの後端に近づくと、次は幹葉案内杆36により左側へ押し遣られつつ搬送され最終的には横誘導装置16により横外方へ誘導され収集装置17上に落下される。このような収穫処理が行われる間、操縦者は操縦ハンドル5を持ち、右側の分草板18aの先端部を目視しつつ収穫条列から適当に右方へ離してこの条列に沿わせて進行させるように操縦するのであり、この際、収穫中の幹葉部7aが幹葉案内手段19c、36により操縦者の視線eから押し除けられるため、操縦者の視線eはこれら幹葉部7aで遮られることは生じないのであり、従って操縦者はたとえ幹葉部7aが繁茂した枝豆7等の収穫においても収穫走行中に分草板18aの先端部を常に的確に見ることができ、作業部3を枝豆の条列に対し最適状態で作用させることができるのである。
【0033】
上記収穫を実施する場合において、分草板18aが小さいことは操縦ハンドル5を持った操縦者が分草板18aの先端部を目視する際に分草板18aそのものが操縦者の視線eを遮る事態を阻止する上で効果的であり、また左右一対の下側分草杆19a、19bと左右一対の上側分草杆19c、19dとは分草板18aが小さいことによる分草能力の低下を補うものとなり、またこれら分草杆19a〜19dはこれら相互間に隙間を提供して、分草板18aの先端部を見る上での操縦者の視線eの通過を容易なし、的確な収穫処理を行う上で寄与するものである。
【0034】
上記した上側分草杆19c、19d及び下側分草杆19a、19bの相互間の隙間は一方では幹葉部7aの後方への通過を発生させることがあるのであり、この場合は幹葉排除案内板18cがこの通過した幹葉部7aを斜め後方へ円滑に案内するものとなり、従って起立状部材2aの下端部に幹葉部7aが絡み付く事態は阻止される。
【0035】
ところで、枝豆等は裂莢や鮮度低下等を回避するため未明の早朝から収穫することが行われるが、このような場合、照明灯47aが右側の分草板18aの先端部を集中的に照射するため、操縦者は一畦二条植えの場合にも的確な運転が行えるのである。また収集装置17は他の照明灯47bで集中的に照射され得るため、操縦者は収集装置17上の収穫枝豆の溜まり状態を必要な任意時に目で確認することができ、的確な収穫枝豆の処理が行えるのである。なお、必要であれば、照明灯47a、47bの照射角度を変更操作して任意箇所を照らすことも差し支えない。
【0036】
ゲージ輪10の前方の分草板18eは機体の収穫走行中、畝溝6b内に繁茂した幹葉部7aを掬い上げて支持板部材10bの上縁に送り上げるものとなる。支持板部材10bはこれの前方にある幹葉部7aに衝接してこの幹葉部7aが分草杆19iの分草作用により左外側へ移動するのを効果的に補助するものとなる。分草杆19iはこれの前外側にある幹葉部7aや、分草板18b及び分草板18e及び支持板部材10bから斜め横後方へ送られた幹葉部7a等を後方へ向かうに伴って漸次横外方へ押し遣り、これら幹葉部7aがゲージ輪10や左側走行輪1に絡み付くのを阻止するものとなる。
【0037】
分草板18dは機体の収穫走行中に植生枝豆を右側走行輪1の前方で左右に掻き分けて左右の分草杆19g、19hの外側へ送るものとなり、また分草杆19g、19hは植生枝豆が右側走行輪1や回転中心軸保持部4aに絡み付くのを阻止する。この際、分草杆19gは略前後向き軸回りへ揺動操作することにより、幹葉部7aに押し当たる高さが異なるものとなり、枝豆の種々の生育高さに適応するものとなる。また分草板18dを分草杆19g、19hと共に左右向き軸a回りへ姿勢変更操作することによっても、分草板18dや分草杆19g、19hは植生枝豆に対するその作用範囲を変化されて、種々のその生育高さに適応するものとなる。
【0038】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏する。
茎根7bの周囲の土を緩めて幹葉部7aを抜き易くする振動装置14と、掻込装置12により掻き込んだ幹葉部7aを更に後方に挟持搬送する挟持搬送装置13と、一方は機体から左右に進退させて車輪幅を変更可能とし、他方を固定側とした走行輪1を備えた枝豆引抜収穫機において、前記振動装置14を構成する振動刃25は、縦部25aと横部25bにより正面視逆L字型に構成され、前記挟持搬送装置13の始端部付近に設けられ、該振動刃25は、引抜く幹葉部7aが前記挟持搬送装置13による引抜き作用を受ける前の位置で挿入され、該縦部25aが固定側の走行輪1の側に配置され、該横部25bは始端部で横に折り曲げられ、マルチフィルム45の下側から畝6の端の裾の位置で挿入され、茎根7b下方にまで至り上方にせり上がって茎根7bに接近させられるか又は直接触れるように構成したので、茎根が固く食い込んだ部分を直接に振動で緩めることができ、芋類のように土中に作物があり振動刃による損傷が心配される場合に比べ、引き抜きにかかる力が小さく抑えられ、挟持搬送装置の弾性ベルト間でのスリップや幹葉部の破断などのトラブルを確実に防止することができる。
【0039】
また、振動刃25の横部25bは畝6の端の裾から挿入され、て引抜き幹葉部7aの茎根7b下方にまで至り、茎根7bの下方で、上方にせり上がって茎根7bに接近させられるか又は直接触れるように構成し、横部25bの始端、則ち、縦部25aの終端は横に折り曲げられているので、畝上面がマルチフィルム45で被覆されている場合でも、それより下側で振動刃25(横部25b)が畝6に突入できるようにしてマルチ栽培に対応することが可能となったものである。
【0040】
また、振動刃の正面視逆L字形のうちの横部は、前記走行輪のうちで固定した走行輪側の畝の裾から挿入するので、車輪幅を変更しても振動刃の機体への取り付け位置と茎根下方との距離は変化しないため、畝幅が異なっても振動刃を交換する必要がなく、交換作業にかかる時間や手間が省けると同時に、部品共通化による部品コストの低減も図ることができる。
【0041】
また、振動装置は、挟持搬送装置の始端部付近に設けるので、幹葉部が挟持搬送装置による引抜き作用を受ける直前に茎根下方の土が振動装置で緩められるため、土が非常に軟らかい状態で幹葉部を引き抜くことができ、引き抜きに要する力が小さく抑えられるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一例を示す枝豆引抜収穫機の側面図である。
【図2】 前記収穫機の正面図である。
【図3】 前記収穫機の要部の側面図である。
【図4】 前記収穫機の要部の平面図である。
【図5】 図1のA矢視図である。
【図6】 図1のBーB断面図である。
【図7】 前記収穫機の誘導装置の要部を示す断面側面図である。
【図8】 図7のC矢視図である。
【図9】 図7のD−D断面図である。
【符号の説明】
1 走行輪
6 畝
7a 幹葉部
7b 茎根
12 掻込装置
13 挟持搬送装置
14 振動装置
25 振動刃
25a 縦部
25b 横部
27 クランクロッド

Claims (1)

  1. 茎根7bの周囲の土を緩めて幹葉部7aを抜き易くする振動装置14と、掻込装置12により掻き込んだ幹葉部7aを更に後方に挟持搬送する挟持搬送装置13と、一方は機体から左右に進退させて車輪幅を変更可能とし、他方を固定側とした走行輪1を備えた枝豆引抜収穫機において、
    前記振動装置14を構成する振動刃25は、縦部25aと横部25bにより正面視逆L字型に構成され、前記挟持搬送装置13の始端部付近に設けられ、該振動刃25は、引抜く幹葉部7aが前記挟持搬送装置13による引抜き作用を受ける前の位置で挿入され、
    該縦部25aが固定側の走行輪1の側に配置され、該横部25bは始端部で横に折り曲げられ、マルチフィルム45の下側から畝6の端の裾の位置で挿入され、茎根7b下方にまで至り上方にせり上がって茎根7bに接近させられるか又は直接触れるように構成したことを特徴とする枝豆引抜収穫機。
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