JP3656618B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子(以下有機EL素子)に関するものである。詳しくは、溶媒可溶な共役系高分子を発光材料として用い、それと共に電子輸送材料を用いた有機EL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から用いられている無機エレクトロルミネッセンス素子(以下無機EL素子)は発光させるのに高電圧が必要であった。最近、C.W.Tangらは有機蛍光色素を発光層とし、それに電子写真の感光体等に用いられていた有機電荷輸送化合物を積層した二層構造を有する有機EL素子を作製し、発光層のみを有するものに比較して低電圧駆動、高効率、高輝度の有機EL素子を実現させた(特開昭59−194393号公報)。有機EL素子は無機EL素子に比べ、低電圧駆動、高輝度に加えて多数の色の発光が容易に得られるという特長があることから、 素子構造や有機蛍光色素、有機電荷輸送化合物について多くの試みが報告されている〔ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn.J.Appl.Phys.)27巻、L269(1988年)〕、〔ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(J.Appl.Phys.)65巻、3610頁(1989年) 〕。これまでに、発光材料としては低分子量の有機蛍光色素が一般に用いられており、高分子の発光材料としては、WO9013148号公開明細書、特開平3−126787号公報、アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Lett.) 58巻、1982頁(1991年)、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn.J.Appl.Phys.)30巻、L1938(1991年)、同30巻、L1941(1991年)などで提案されているにすぎなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで報告されてきた高分子発光材料を用いた有機EL素子は駆動電圧が高く、輝度も必ずしも十分とは言い難いものであった。高分子発光材料は熱的に安定であり、また塗布法により容易に均一性に優れた発光層を形成できることから、それらの長所を生かしながら、より駆動電圧が低く、高輝度である有機EL素子が要望されている。
【0004】
本発明の目的は塗布法により容易に均一性に優れた発光層を形成できる高分子発光材料を用いた低電圧駆動、高輝度の有機EL素子を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、高分子発光材料を発光層として用いた有機EL素子の低電圧駆動、高輝度化を鋭意検討してきた。その結果、高分子発光材料として、溶媒に可溶な共役系高分子を用い、これに電子輸送性化合物を添加したものを発光層として用いるか、または、高分子発光層と陰極との間に高分子発光層に隣接して電子輸送性化合物の層を形成することにより、高分子発光材料を単独で用いた場合に比べて低電圧駆動化、高輝度化が実現されることを見い出し本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰極からなる電極間に少なくとも発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、(1)該発光層が下記化2で表される構造を有し、溶媒可溶な共役系高分子および電子輸送性化合物を含むこと、あるいは(2)該発光層が下記化2で表される構造を有し、溶媒可溶な共役系高分子よりなり、且つ該発光層と陰極の間に該発光層に隣接して電子輸送性化合物の層を有することを特徴とする有機EL素子を提供することにある。
【0007】
【化2】
(ここでArは、繰り返し単位を示し、芳香族環または芳香族性複素環に少なくとも1つの炭素数1〜22のアルキル、アルコキシおよびアルキルチオ基ならびに炭素数6〜22の芳香族炭化水素基から選ばれた置換基を有するアリーレン基または芳香族性複素環化合物基であり、且つ該芳香族環または芳香族性複素環が隣接する繰り返し単位の該芳香族環または芳香族性複素環と連続したπ電子共役系を形成するものであり、nは5以上の整数である。)
【0008】
以下、本発明の有機EL素子について詳細に説明する。
本発明に用いられる共役系高分子は有機EL素子の発光材料として用いられ、その構造は上記化2で表されるように、少なくとも1つの炭素数1〜22のアルキル、アルコキシおよびアルキルチオ基ならびに炭素数6〜22の芳香族炭化水素基から選ばれた置換基を有する芳香族環または芳香族性複素環を繰り返し単位とし、それらが、隣合う繰り返し単位の芳香族環または芳香族性複素環の間でπ電子共役系を形成する結合をとおして5個以上結合しているもので、有機溶媒に可溶であれば特に制限はない。
【0009】
Ar基としては炭素数1〜22のアルキル、アルコキシおよびアルキルチオ基ならびに炭素数6〜22の芳香族炭化水素基から選ばれた置換基を有するp−フェニレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基,アントラセン−9,10−ジイル基、2,5−チエニレン基、アズレン−1,3−ジイル基、カルバゾ−ル−2,7−ジイル基、カルバゾ−ル−3,6−ジイル基等が例示される。強いエレクトロルミネッセンスを示す基としてはp−フェニレン基、2,5−チエニレン基、カルバソール−2,7−ジイル基の核置換体が好ましく、より好ましくはp−フェニレン、2,5−チエニレンの核置換体が好ましい。
【0010】
さらに、化2で示される共役系高分子は溶媒に可溶であることが必須であることから、炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基ならびに炭素数6〜22の芳香族炭化水素基から選ばれた基が1個以上核置換していることが必要である。良好な可溶性を与えるには、置換基の内、少なくともそれらの一つが炭素数4〜22のアルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基であることが好ましい。これらのなかで成膜性が良好な炭素数4〜22のアルキル基、アルコキシ基が特に好ましい。
【0011】
上記炭素数1〜22のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、ドデシル基、オクタデシル基などであり、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基が好ましい。または炭素数1〜22のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基などであり、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基が好ましい。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ラウリルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基などであり、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基が好ましい。芳香族炭化水素基としてはフェニル基、4- アルコキシフェニル基(アルコキシ基としては例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基)、4- アルキルフェニル基(アルキル基としては例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基)、1−ナフチル基、2−ナフチル基が例示される。
【0012】
具体的には、下記表1〜6に示す繰り返し単位をもつ高分子が例示される。(表中の数字は繰り返し単位中のアルキル基が左記のアルキル基に該当するものの繰り返し単位の番号である。)
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】
【表4】
【0017】
【表5】
【0018】
【表6】
【0019】
これらの共役系高分子化合物の中で高輝度や製膜性の観点から、上記繰り返し単位の番号で1〜10、11〜20、91〜105、171〜180、181〜190、261〜275が好ましく、より好ましくは、2〜5、17〜20、186〜190である。
これらの共役系高分子は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、これらの重合体に対応するモノマーの2種類以上を混合して重合した共重合体でもよい。
【0020】
化2において、nは繰り返し単位の数を表し、5以上であれば特に限定されないが、余りにも小さすぎると均一な膜が得られにくい場合があり、また、余りに大きすぎても溶解性が低下し、均一に製膜することが困難になる場合があるのでnの範囲は10以上が好ましく、10〜10000がより好ましい。
【0021】
これらの有機溶媒可溶性の共役系高分子を用いて溶液から成膜する場合、この溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去するだけでよく、また、電子輸送性化合物を混合した場合においても同様な手法が適用でき、製造上非常に有利である。
【0022】
上記化2で示される共役系高分子の合成法としては特に限定されないが、相当するモノマ−を電解重合する方法、3価の鉄などの酸化剤で酸化重合する方法、相当する繰り返し単位のジハロゲン化合物をグリニャ−ル化して重合する反応、同様に0価ニッケル錯体により重合させる方法などが例示される。
また、これらの共役系高分子を有機EL素子の発光層として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、合成後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが望ましい。
【0023】
本発明に用いられる電子輸送性化合物としては、発光材料として使用する共役系高分子に対して電子輸送性が高ければ特に限定されないが、例えば、オキサジアゾール系化合物、ベンゾキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、テトラシアノアントラキノジメタン系化合物、ジフェニルジシアノエチレン系化合物、ジフェノキノン系化合物等が例示される。具体的には、特開昭63−70257、同63−175860号公報、特開平2−135361、同2−135359、同3−152184号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能であるが、オキサジアゾール系化合物、ベンゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物が好ましく、特に、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノンが好ましい。
これらの電子輸送性化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0024】
本発明の有機EL素子の発光層として、発光材料として用いられる化2で示される共役系高分子に電子輸送性化合物を混合して使用する場合、その量は少なすぎると効果が小さく、多すぎると発光に寄与しない電流が増加するため、有機EL素子にした場合、輝度等の特性が悪くなる。使用する電子輸送性化合物の分子量によっても異なるが、混合する割合は化2で示される共役系高分子に対して0. 01〜40wt%が好ましく、より好ましくは0. 1〜30wt%、さらに好ましくは0.1〜10wt%である。混合方法としては電子輸送性化合物と該共役系高分子を同一溶媒に溶解させ、混合溶液とし、これを塗布する方法が一般的に例示される。
【0025】
化2で示される共役系高分子を溶解させる溶媒は製膜できる程度に溶解性があれば、特に制限はなく、該共役系高分子の種類により最適溶媒は異なるので適宜選択する。共役系高分子の繰り返し単位中に炭素数4以上のアルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基等の長鎖基が含まれている場合にはクロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、4塩化炭素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドフラン、N−メチルピロリドン、トルエン、キシレン、プロピレンカ−ボネ−ト等が例示される。これらの内で製膜性が良好で、しかも、上記の電子輸送材料も溶解させる溶媒としてはクロロホルム、トルエン、テトラヒドロフランが好ましい。
【0026】
本発明においては、化2で示される共役系高分子に、既知の発光材料を分散させたものを発光層として用いることも含まれる。発光材料としては特に限定されないが、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体などを用いることができる。具体的には、例えば特開昭57−51781、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
【0027】
本発明の有機EL素子の製造について以下に述べる。
陽極および陰極からなる一対の電極で、透明または半透明な電極としては、ガラス、透明プラスチック等の透明基板の上に透明または半透明の電極を形成したものが用いられる。陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的にはインジウム・スズ・オキサイド (ITO) 、酸化スズ (NESA)、Au、Pt、Ag、Cu等が用いられる。作製方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などが用いられる。
【0028】
次いで、この陽極上に共役系高分子の発光層を形成する。成膜方法としては共役系高分子を有機溶媒に溶解した溶液を使用したスピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ロールコート法、スプレー法等の塗布法が例示される。
【0029】
発光層の膜厚としては0.5nm〜10μm、好ましくは1nm〜1μmである。電流密度を上げて発光効率を上げるためには10〜500nmの範囲が好ましい。なお、塗布法により薄膜化した場合には、溶媒を除去するため、減圧下あるいは不活性雰囲気下、30〜200℃、好ましくは60〜100℃の温度で熱処理することが望ましい。
【0030】
次いでこの発光層の上に電子輸送層を形成する。電子輸送性化合物の成膜方法としては、特に限定されないが、真空蒸着法、あるいは該化合物を有機溶媒に溶かした後、スピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ロールコート法、スプレー法等の塗布法を用いたり、さらに既知の高分子化合物と電子輸送性化合物とを溶液状態または溶融状態で混合した後、スピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ロールコート法、スプレー法等の塗布法を用いて成膜することができる。混合する既知の高分子化合物としては、特に限定されないが、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンおよびポリ塩化ビニル等のビニル系ポリマー、ポリシロキサンなどが例示される。製膜が容易に行なえるという点では、塗布法を用いることが好ましい。
【0031】
電子輸送層の膜厚は、少なくともピンホールが発生しないような厚みが必要であるが、あまり厚いと素子の抵抗が増加し、高い駆動電圧が必要となり好ましくない。したがって、電子輸送層の膜厚は0.5nm〜10μm、好ましくは1nm〜1μm、さらに好ましくは5〜200nmである。
【0032】
上記は共役系高分子からなる発光層と電子輸送層を積層して設ける場合について述べたが、共役系高分子と電子輸送性化合物を含む発光層を形成する場合は共役系高分子と電子輸送化合物を有機溶媒に溶解した混合溶液を用いてスピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ロールコート法、スプレー法等の塗布法により成膜する方法が採用される。膜厚は前記発光層の厚みと同様な範囲である。
また、本発明においては、共役系高分子からなる発光層と共役系高分子と電子輸送性化合物を含む発光層を積層することも可能である。
【0033】
次いで、発光層が共役系高分子と電子輸送性化合物との混合層の場合はこの層の上に、また発光層と電子輸送層が積層されている場合は電子輸送層の上に電極を設ける。この電極は電子注入陰極となる。その材料としては、特に限定されないが、イオン化エネルギーの小さい材料が好ましい。例えば、Al、In、Mg、Mg−Ag合金、In−Ag合金、Mg−In合金、Caおよびそれらの合金、Liおよびそれらの合金、グラファイト薄膜等が用いられる。これら陰極材料のうち空気中で不安定な材料の場合、保護膜として、例えばAl,Au,Ag,Ptなどの空気中で安定な材料を更に陰極材料の上に作成してもよい。陰極の作製方法としては真空蒸着法、スパッタリング法等公知の方法が用いられる。
【0034】
なお、本発明のEL素子の構造としては、これまで述べた陽極/発光層(発光材料と電子輸送性化合物の混合物)/陰極(/は層を積層したことを示す)、あるいは陽極/発光層/電子輸送層/陰極の構造以外に、さらに公知の正孔輸送層を積層する場合は陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層(発光材料と電子輸送性化合物の混合物)/陰極の構造が挙げられる。
さらに陽極と発光層もしくは正孔輸送層の間、または陰極と電子輸送層との間に既知のバッファー層を有する積層構造等をとることもできる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
参考例
〔ポリ(3−ヘキシル−2,5−チエニレン)の合成〕
3−ヘキシルチオフェン1.7gをクロロホルムに100mlに溶解させ、これに塩化第2鉄を3−ヘキシルチオフェンの4倍当量加え、室温で5時間反応した。反応後、メタノ−ルを500ml加えたところ、緑色の沈澱が生じた。これを濾過、洗浄後乾燥した。沈澱物は1.6g得られた。赤外吸収スペクトル、紫外可視吸収スペクトルからポリ(3−ヘキシル−2,5−チエニレン)の構造を確認した。また、GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量は43,000であった。
【0037】
実施例1
スパッタリングによって、40nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、参考例1で得たポリ(3−ヘキシル−2,5−チエニレン)と電子輸送性化合物として2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(以下PBD)〔ここでPBDのポリ(3−ヘキシル−2.5−チエニレン)に対する混合割合は1. 4wt%である〕の0.4wt%クロロホルム溶液を用い、スピンコートにより30nmの厚みで成膜した。次いで、これを減圧下60℃で1時間乾燥した後、その上に陰極としてMg―Ag合金(Mg:Agは重量比で10:1)を150nm蒸着して有機EL素子を作製した。蒸着のときの真空度は3×10-6Torr以下であった。
この素子に暗室内で電圧19Vを印加したところ、電流密度602mA/cm2 の電流が流れ、輝度4. 58cd/m2 の赤色のEL発光が観察された。輝度は輝度計LS―100(ミノルタ(株)製)で測定した。このとき暗室内の明るさは0. 01cd/m2 以下であった。
【0038】
実施例2
電子輸送性化合物としてPBDの代わりにアントラキノンを使用した〔ここでアントラキノンのポリ(3−ヘキシル−2,5−チエニレン)に対する混合割合は1. 5wt%であった〕以外は実施例1と同じ方法で30nmの厚みの発光層をもつ、有機EL素子を作成した。
この素子を実施例1と同じ方法で輝度を測定したところ、輝度3. 22cd/m2 の赤色のEL発光が観察された。このとき印加した電圧は13Vであり、602mA/cm2 の電流が流れた。
【0039】
比較例
ポリ(3−ヘキシル−2,5−チエニレン)に電子輸送性化合物を混合しない以外は実施例1と同じ方法で30nmの厚みの発光層を有する有機EL素子を作製した。
この素子を実施例1と同じ方法で輝度を測定したところ、輝度0. 83cd/m2 のEL発光が観察されたが、色は確認できなかった。このとき印加した電圧は15Vであり、602mA/cm2 の電流が流れた。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の有機EL素子は、従来のものと比較して、低電圧駆動で、しかも輝度が向上しており、バックライトとしての面状光源、フラットパネルディスプレイ等の装置としての使用が可能である。
Claims (5)
- 少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該発光層が、発光材料として、下式
- Arの少なくとも1つの置換基が、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、4−アルキルフェニル基、1−ナフチル基および2−ナフチル基から選ばれた基であることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- Arが、 p −フェニレン基、ナフタレンー1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、アントラセン−1,9−ジイル基、2,5−チエニレン基、アズレン−1,3−ジイル基、カルバゾール−2,7−ジイル基およびカルバゾール−3,6−ジイル基から選ばれた基であることを特徴とする請求項1または2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 電子輸送性化合物の量が、共役系高分子に対して0.01〜40wt%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 電子輸送性化合物の量が、共役系高分子に対して0.1〜10wt%であることを特徴とする請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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