JP3656458B2 - 純水の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気再生型脱イオン装置を組み込んだ純水製造プロセスで純水を製造する方法に係り、詳しくは、このような純水製造に当り、経時による系内のスライム汚染や電気再生型脱イオン装置でのスケール発生を抑制して長期に亘り安定かつ効率的な純水の製造を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体製造工場、液晶製造工場、製薬工業、食品工業等の各種の産業ないし研究施設等において使用される純水や超純水の製造手段として、電極を備える電極室(陽極室と陰極室)の間に複数のアニオン交換膜及びカチオン交換膜を交互に配列して濃縮室と脱塩室とを交互に形成した電気再生型脱イオン装置が用いられるようになってきている。
【0003】
電気再生型脱イオン装置は効率的な脱塩処理が可能であり、イオン交換樹脂のような再生を必要とせず、完全な連続採水が可能で、極めて高純度の水が得られるという優れた効果を奏する。なお、電気再生型脱イオン装置には、脱塩室にアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とが混合して充填されているものと、脱塩室にイオン交換樹脂が充填されていないものとがあるが、処理水の水質向上の点では、脱塩室にイオン交換樹脂が充填されたものの方が効果的である。
【0004】
電気再生型脱イオン装置では、脱塩室に流入した原水中のイオンが親和力、濃度及び移動度に基いて電位をかけた電極の方向(被処理水の流れに対して直角方向)に移動し、更に、脱塩室と濃縮室とを仕切るカチオン交換膜又はアニオン交換膜を横切って移動し、すべての室において電荷の中和が保たれるようになる。そして、イオン交換膜の半浸透特性及び電位により、原水中のイオンは脱塩室では減少し、隣りの濃縮室では濃縮されることになる。このため、脱塩室から脱塩水が回収される。
【0005】
一般に、この電気再生型脱イオン装置の原水としては、市水等を活性炭処理した後、逆浸透(RO)膜分離処理した水が用いられており、また、通常の場合、水回収率を高めるために、濃縮室の流出水は、その一部のみが系外へ排出され、残部は濃縮室の入口側へ循環されている。
【0006】
このような電気再生型脱イオン装置を備える純水製造プロセスでは、経時による電気再生型脱イオン装置内でのスケール発生、並びに電気再生型脱イオン装置及びRO膜分離装置等でのスライム汚染による、処理水水質や処理効率の低下により、長期に亘り高純度の純水を安定に製造することができないという問題がある。
【0007】
即ち、電気再生型脱イオン装置でのスケール発生は、内装されたイオン交換膜の有効膜面積を低減して処理効率、処理水水質を低減させる。また、電気再生型脱イオン装置でスライム汚染が生じた場合には、運転を停止して煩雑な洗浄操作を行う必要がある。同様に、RO膜分離装置におけるスライム汚染もRO膜閉塞を引き起こし、水質低下、処理効率低下、膜洗浄、膜交換の問題につながる。
【0008】
従来、電気再生型脱イオン装置のスケール発生に対する対策としては、濃縮水循環水に酸を添加する方法が一般的に知られている。
【0009】
また、特開平5−309398号公報には、RO膜分離装置及び電気再生型脱イオン装置に順次通水して処理するに当り、RO膜分離装置の前段に脱酸素手段を設けることにより、スライムを抑制することが記載されている。
【0010】
特開平9−294977号公報には、RO膜分離装置の濃縮水を原水として純水を製造するに当り、スケールを防止するために酸と分散剤を添加した後、紫外線殺菌装置で生菌を抑制し、その後、RO膜分離装置、脱気装置及び電気再生型脱イオン装置で順次処理することが記載されている。
【0011】
特開平9−294988号公報には、原水を脱炭酸手段、RO膜分離装置及び電気再生型脱イオン装置に順次通水して純水を製造するに当り、電気再生型脱イオン装置の電極水及び濃縮水を循環処理して水回収率を高めるために、電気再生型脱イオン装置の濃縮水を脱炭酸手段の前段に循環し、電極水は脱塩素処理した後脱炭酸手段の前段に循環することで、これらを循環する場合の処理水水質の低下を防止することが記載されている。なお、脱炭酸のために、具体的には酸を添加した後、脱炭酸塔に通水することが記載されている。
【0012】
また、特開平3−26390号公報には、RO膜分離装置及び電気再生型脱イオン装置に順次通水して純水を製造するに当り、電気再生型脱イオン装置におけるシリカの除去率を高めるために、RO膜分離装置の透過水に酸を添加してpH4〜6.5の弱酸性とした後、電気再生型脱イオン装置に通水することが記載されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
電気再生型脱イオン装置の濃縮水に酸を添加してpHを低減した後循環することは、スケール発生抑制に効果はあるが、長期的には不十分であり、また、このpH制御を損なうと処理水の水質に直接影響し、水質が直ちに悪化するという不具合がある。
【0014】
また、特開平5−309398号公報に記載される、脱酸素手段で溶存酸素を低減することによりスライムを抑制する方法も、一応の効果は得られるが、やはり十分な効果が達成されるとは言えない。
【0015】
特開平9−294977号公報に記載される酸及び分散剤と紫外線との併用は、RO膜分離装置の濃縮水を原水とするための処理であり、通常の水にこのような処理を適用することは不経済である。
【0016】
特開平9−294988号公報に記載されるように脱炭酸処理を行うことにより、炭酸成分によるスケール発生の抑制効果は期待できるが、RO膜分離装置におけるスライムの抑制効果を得ることはできない。なお、この特開平9−294988号公報には脱炭酸処理に脱気膜の使用も可能である旨の記載があるが、あくまでも脱炭酸処理が目的であるため、溶存酸素の除去については何ら示唆されていない。この場合、電気再生型脱イオン装置の前段のRO膜分離装置でスライムが発生すると、後段の電気再生型脱イオン装置にまで悪影響を及ぼす上に、RO膜分離装置での処理効率が低下し、著しい場合には、処理を継続し得なくなる。
【0017】
特開平3−26390号公報では、電気再生型脱イオン装置の入口側に酸を添加してpH4〜6.5の弱酸性に調整しているが、このように電気再生型脱イオン装置の入口側で酸を添加する方法では、▲1▼前段からの生菌リークによるスライム汚染は防止できず、かつ▲2▼炭酸イオン(HCO3 -)の存在により水質が不安定となるため、好ましくない。
【0018】
このように、従来において、RO膜分離装置と電気再生型脱イオン装置とを組み込んだ純水製造プロセスにおいて、電気再生型脱イオン装置のみならずRO膜分離装置におけるスライムの発生を抑制すると共に、電気再生型脱イオン装置におけるスケールの発生を防止する工業的に有利な方法は提供されておらず、その開発が望まれている。
【0019】
本発明は上記従来の問題点を解決し、電気再生型脱イオン装置を組み込んだ純水製造プロセスにおいて、電気再生型脱イオン装置におけるスライム及びスケールの発生を抑制すると共に系内のスライムの発生も抑制することにより、長期に亘り安定した運転を行って、高純度の純水を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の純水の製造方法は、原水を脱気装置及び逆浸透膜分離装置を備える前段設備で処理した後、電気再生型脱イオン装置に通水して純水を製造する方法において、該電気再生型脱イオン装置に導入される給水のpHが4.0〜5.5になるように前記前段設備に導入される給水のpH調整を行うことを特徴とする。
【0021】
請求項2の純水の製造方法は、原水を活性炭塔、脱気装置、逆浸透膜分離装置及び電気再生型脱イオン装置に順次通水して純水を製造する方法において、該電気再生型脱イオン装置に導入される給水のpHが4.0〜5.5になるように前記活性炭塔に導入される給水に酸を添加してpH調整することを特徴とする。
【0022】
請求項3の純水の製造方法は、原水を活性炭塔、逆浸透膜分離装置、脱気装置及び電気再生型脱イオン装置に順次通水して純水を製造する方法において、該電気再生型脱イオン装置に導入される給水のpHが4.0〜5.5になるように前記活性炭塔に導入される給水に酸を添加してpH調整することを特徴とする。
【0023】
請求項4の純水の製造方法は、原水を活性炭塔、及びH型カチオン交換樹脂塔及び脱炭酸装置に順次通水して処理した後、該脱炭酸装置の処理水を、TOC300ppb以下のプロセス排水又はTOC除去装置でTOC300ppb以下に処理されたプロセス排水と混合し、該混合水を脱気装置及び逆浸透膜分離装置で処理した後電気再生型脱イオン装置に通水して純水を製造する方法において、該電気再生型脱イオン装置に導入される給水のpHが4.0〜5.5になるように前記混合水をpH調整することを特徴とする。
【0024】
請求項5の純水の製造方法は、原水とプロセス排水とを混合し、該混合水をTOC除去装置及びカチオン交換樹脂塔に順次通水した後、該カチオン交換樹脂塔の処理水を脱気装置及び逆浸透膜分離装置で処理し、その後、電気再生型脱イオン装置に通水して純水を製造する方法において、該電気再生型脱イオン装置に導入される給水のpHが4.0〜5.5になるように前記カチオン交換樹脂塔の処理水をpH調整することを特徴とする。
【0025】
本発明の純水の製造方法では、電気再生型脱イオン装置に導入される給水のpHが4.0〜5.5になるように前段設備に導入される給水に対してpH調整を行うため、ROを含めた前段設備のスライム汚染防止、つまり生菌リークが大幅に減少するという効果が奏され、また、電気再生型脱イオン装置の濃縮水のpHも低下し、電気再生型脱イオン装置におけるスケール発生も確実に防止される。
【0026】
本発明において、電気再生型脱イオン装置の給水のpHが5.5を超えるとpH調整することによる上記効果を十分に得ることができず、逆に、このpHが4.0未満であるとRO膜分離装置や純水の水質低下の問題がある。
【0027】
請求項2,3の方法では、このpH調整を活性炭塔に導入される原水に対して行うため、活性炭塔内のスライム発生を防止するという効果が奏される。
【0028】
また、請求項4の方法では、このpH調整を脱気装置及びRO膜分離装置で処理される混合水に対して行うため、混合前の処理工程に影響を及ぼさず、pH調整も比較的容易にできるという効果が奏される。
【0029】
また、請求項5の方法では、このpH調整を、脱気装置及びRO膜分離装置での処理に供されるカチオン交換樹脂塔の処理水に対して行うため、カチオン交換樹脂塔以前の処理工程に影響を及ぼすことなくpH調整ができるという効果が奏される。
【0030】
請求項4,5の方法において、RO膜分離装置及び脱気装置による処理は、RO膜分離装置を先行し、RO膜分離装置、脱気装置及び電気再生型脱イオン装置の順で通水して処理しても良いが、RO膜分離装置及び電気再生型脱イオン装置の前段に脱気装置を設け、脱気装置でDOを除去した後、RO膜分離装置及び電気再生型脱イオン装置で処理することが、電気再生型脱イオン装置のみならずRO膜分離装置でのスライム発生を抑制する上で好ましい。
【0031】
また、本発明においては、電気再生型脱イオン装置に導入される給水の溶存酸素(DO)、好ましくはRO膜分離装置に導入される給水のDOが100ppb以下となるように前段の脱気装置で処理することが、スライムの抑制の面で好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0033】
図1〜4は各々本発明の純水の製造方法の実施の形態を示す系統図である。図1〜4において、同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
【0034】
図1に示す方法は、原水を活性炭塔1、脱気装置2及びRO膜分離装置3に順次通水し、RO膜分離装置3の透過水を電気再生型脱イオン装置4に通水して処理することにより純水を製造する方法において、電気再生型脱イオン装置4の給水のpHが4.0〜5.5となるように、原水に酸を添加してpH調整する。
【0035】
この方法において、処理対象となる原水としては工業用水、市水、井水などが挙げられ、原水は、活性炭塔1で残留塩素がほぼ完全に除去された後、脱気装置2で脱酸素処理され、次いで、RO膜分離装置3で処理され、電気再生型脱イオン装置4に供給される。
【0036】
ここで用いられる活性炭塔1の型式や流速等の処理条件には特に制限はない。
【0037】
また、脱気装置2としては、N2脱気装置、真空脱気装置、膜脱気装置等の脱酸素能力を有するものを用い、本発明においては、後段のRO膜分離装置3や電気再生型脱イオン装置4におけるスライムの発生をより一層確実に防止するために、このような脱気装置で処理することにより、脱気処理水のDOが100ppb以下となるように処理するのが好ましい。
【0038】
RO膜分離装置3についても、その型式や性能、膜の種類や運転圧力等の処理条件には特に制限はない。
【0039】
電気再生型脱イオン装置4としても、陽極を備える陽極室と陰極を備える陰極室との間に、複数のアニオン交換膜及びカチオン交換膜を交互に配列して濃縮室と脱塩室とを交互に形成し、脱塩室にイオン交換樹脂やイオン交換繊維が充填されているものであれば良く、特に制限はない。
【0040】
図2に示す方法は、脱気装置2とRO膜分離装置3とを入れ換え、原水をpH調整した後、活性炭塔1、RO膜分離装置3、脱気装置2及び電気再生型脱イオン装置4に順次通水して処理する点が図1に示す方法と異なり、その他、処理条件や各装置の仕様等は、図1における方法と同様である。
【0041】
図1に示す如く、脱気装置2で処理した後、RO膜分離装置3で処理する方法であれば、DO減少により、RO膜分離装置のスライム汚染防止効果が大になるという効果が奏され、図2に示す如く、RO膜分離装置3で処理した後脱気装置2で処理する方法であれば脱気装置の汚れ防止ができ、安定した脱気装置の運転が可能になるという効果が奏される。
【0042】
図3,4に示す方法は、半導体、液晶製造工程等から排出されるプロセス排水を混合して処理する方法であり、図3に示す方法では、原水をスクリーン等の除濁装置5で処理した後、活性炭塔1、H型カチオン交換樹脂塔6及び脱炭酸塔7に順次通水して処理する。一方、プロセス排水については、該排水のTOCが300ppbを超える場合には、TOC除去装置8で処理してTOCを300ppb以下にした後、また、該排水のTOCが300ppb以下の場合にはそのまま、上記の脱炭酸塔7の処理水と混合し、混合水を脱気装置2、RO膜分離装置3及び電気再生型脱イオン装置4に順次通水して処理する。
【0043】
このようにして処理を行うに当り、本発明では、上記混合水に酸又はアルカリのpH調整剤を添加して電気再生型脱イオン装置4に導入される給水のpHが4.0〜5.5となるようにpH調整する。なお、この方法においても、脱気装置2とRO膜分離装置3とを入れ換えRO膜分離装置3で処理した後、脱気装置2で処理するようにしても良く、前述の如く、脱気装置2に先立ちRO膜分離装置3で処理した場合には、脱気装置の汚れが防止でき、安定した脱気装置の運転が可能になるという効果が奏され、RO膜分離装置3に先立ち脱気装置2で処理した場合にはDO減少により、RO膜分離装置のスライム汚染防止効果が大になるという効果が奏される。
【0044】
図4に示す方法は、原水をスクリーン等の除濁装置5で処理した後、プロセス排水と混合し、混合水をTOC除去装置8、カチオン交換樹脂塔9、脱気装置2、RO膜分離装置3及び電気再生型脱イオン装置4に順次通水して処理する。
【0045】
このようにして処理を行うに当り、本発明では、カチオン交換樹脂塔9の処理水にアルカリのpH調整剤を添加して電気再生型脱イオン装置4に導入される給水のpHが4.0〜5.5となるようにpH調整する。
【0046】
なお、この方法においても、脱気装置2とRO膜分離装置3とを入れ換えRO膜分離装置3で処理した後、脱気装置2で処理するようにしても良く、前述の如く、脱気装置2に先立ちRO膜分離装置3で処理した場合には、脱気装置の汚れ防止ができ、安定した脱気装置の運転が可能になるという効果が奏され、RO膜分離装置3に先立ち脱気装置2で処理した場合にはDO減少により、RO膜分離装置のスライム汚染防止効果が大になるという効果が奏される。
【0047】
図3,4に示す方法において、脱気装置2、RO膜分離装置3、電気再生型脱イオン装置4としては、前述の図1,2に示す方法と同様のものを用いることができる。また、TOC除去装置8としては、生物処理装置(例えば生物処理槽とその後段の固液分離手段との組み合せ)や紫外線照射と酸化剤とを組み合せた有機物分解手段等を用いることができる。
【0048】
また、カチオン交換樹脂塔9のカチオン交換樹脂としては強酸性型でも弱酸性型でも良く、H型、Na型、NH4型を問わないが、図3で用いているようなH型で強,弱混合型のものを用いるのが好ましい。
【0049】
図3の方法で用いる脱炭酸塔7は、前述の脱気装置であっても良い。
【0050】
図3,4に示す方法においても、脱気処理水のDOが100ppb以下となるように脱気装置2で処理を行うのが好ましい。
【0051】
なお、本発明においてpH調整に用いられる酸としては、特に制限はなく、HCl,H2SO4,HNO3等の鉱酸やクエン酸等の有機酸を用いることができる。また、pH調整のためにアルカリを使用する際において、用いるアルカリにも特に制限はなく、NaOH,KOH,Ca(OH)2等を用いることができる。
【0052】
【実施例】
以下に実施例、比較例及び参考例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0053】
実施例1
図1に示す方法に従って、市水(pH7.4,DO7.8ppm,電気伝導度160μs/cm)を処理して純水を製造した。各装置の仕様及び処理条件は下記の通りである。なお、市水には電気再生型脱イオン装置4の給水のpHが5になるように活性炭塔1の入口側で酸(HCl)を添加した。
【0054】
▲1▼ 活性炭塔1
栗田工業(株)製「クリコールKW」を100L充填し、2.7m3/hrで下向流通水した。
【0055】
▲2▼ 脱気装置2
膜脱気装置:ヘキストジャパン製「Liqu−Cel」4インチ1本の2段通水とした。膜脱気装置の真空度は50Torrとし、スイープN2ガス量は200N−L/hrとした。これにより脱気処理水のDOは40ppbに低減された。
【0056】
▲3▼ RO膜分離装置3
日東電工(株)製「ES−20」8インチ2本を2段通水した。処理条件は入口圧力10.5kg/cm2、処理水量2.0m3/hr、水回収率75%とした。
【0057】
▲4▼ 電気再生型脱イオン装置4
栗田工業(株)製「H060型」を用いた。処理条件は下記の通りとした。
給水量 : 2.0m3/hr
処理水量 : 1.75m3/hr
濃縮水循環水量 : 0.9m3/hr
電極室水量 : 50L/hr
排出水(濃縮水+電極水)量: 0.25m3/hr
操作電圧 : 250V
操作電流 : 0.6〜0.7A
上記の条件で125日間運転を行った後、電気再生型脱イオン装置の濃縮室の差圧、処理水の水質を調べ、結果を表1に示した。また、運転開始から30日目と105日目の濃縮水中の生菌数を測定し、結果を表1に示した。
【0058】
比較例1,2
実施例1において電気再生型脱イオン装置の給水のpHが表1に示すpHとなるようにpH調整したこと以外は同様にして運転を行い、結果を表1に示した。
【0059】
比較例3
実施例1において、電気再生型脱イオン装置の給水のpHが5となるように、RO膜分離装置の処理水に酸を添加したこと以外は同様にして運転を行い、結果を表1に示した。
【0060】
参考例1
実施例1において、膜脱気装置の真空度を120Torrとしたこと以外は同様にして運転を行い、結果を表1に示した。なお、この参考例1では、膜脱気処理水のDOは580ppbであった。
【0061】
【表1】
【0062】
電気再生型脱イオン装置の給水のpHを3.8とした比較例1では、通水開始初期から水質が悪かった。また、電気再生型脱イオン装置の給水のpHを6.0とした比較例2では、通水開始後80〜90日目からわずかに濃縮室の差圧が上昇する傾向が認められ、生菌の増殖も認められた。そして、それに伴なって差圧上昇が大きくなり、処理水の水質の変動も大きくなった。このため、比較例1では、表1に示す如く、処理水の水質に問題があり、比較例2では差圧上昇、生菌の増殖、処理水水質の低下の問題があった。
【0063】
これに対して電気再生型脱イオン装置の給水のpHを5とした実施例1では、生菌の増殖、差圧の上昇の問題もなく、処理水の水質も著しく良好であった。
【0064】
なお、電気再生型脱イオン装置の給水のpHを5とした場合でも、pH調整を電気再生型脱イオン装置の入口側で行った比較例3では、差圧上昇、生菌の増殖は長期的に問題が生じる可能性があり、水質が不安定である。また、炭酸除去性も悪く、水質に影響する。
【0065】
参考例1は、電気再生型脱イオン装置の給水のpHを5に調整したものの、脱気装置によるDO除去が十分でなく、DOが残留するために、通水開始後110日目頃から差圧がわずかに上昇した。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の純水の製造方法によれば、電気再生型脱イオン装置を組み込んだ純水製造プロセスにおいて、電気再生型脱イオン装置におけるスライム及びスケールの発生を抑制すると共に系内のスライムの発生も抑制することにより、長期に亘り安定した運転を行って、高純度の純水を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項2の純水の製造方法の実施の形態を示す系統図である。
【図2】本発明の請求項3の純水の製造方法の実施の形態を示す系統図である。
【図3】本発明の請求項4の純水の製造方法の実施の形態を示す系統図である。
【図4】本発明の請求項5の純水の製造方法の実施の形態を示す系統図である。
【符号の説明】
1 活性炭塔
2 脱気装置
3 RO膜分離装置
4 電気再生型脱イオン装置
5 除濁装置
6 H型カチオン交換樹脂塔
7 脱炭酸塔
8 TOC除去装置
9 カチオン交換樹脂塔
Claims (7)
- 原水を脱気装置及び逆浸透膜分離装置を備える前段設備で処理した後、電気再生型脱イオン装置に通水して純水を製造する方法において、
該電気再生型脱イオン装置に導入される給水のpHが4.0〜5.5になるように前記前段設備に導入される給水のpH調整を行うことを特徴とする純水の製造方法。 - 原水を活性炭塔、脱気装置、逆浸透膜分離装置及び電気再生型脱イオン装置に順次通水して純水を製造する方法において、
該電気再生型脱イオン装置に導入される給水のpHが4.0〜5.5になるように前記活性炭塔に導入される給水に酸を添加してpH調整することを特徴とする請求項1に記載の純水の製造方法。 - 原水を活性炭塔、逆浸透膜分離装置、脱気装置及び電気再生型脱イオン装置に順次通水して純水を製造する方法において、
該電気再生型脱イオン装置に導入される給水のpHが4.0〜5.5になるように前記活性炭塔に導入される給水に酸を添加してpH調整することを特徴とする請求項1に記載の純水の製造方法。 - 原水を活性炭塔、及びH型カチオン交換樹脂塔及び脱炭酸装置に順次通水して処理した後、該脱炭酸装置の処理水を、TOC300ppb以下のプロセス排水又はTOC除去装置でTOC300ppb以下に処理されたプロセス排水と混合し、該混合水を脱気装置及び逆浸透膜分離装置で処理した後電気再生型脱イオン装置に通水して純水を製造する方法において、
該電気再生型脱イオン装置に導入される給水のpHが4.0〜5.5になるように前記混合水をpH調整することを特徴とする純水の製造方法。 - 原水とプロセス排水とを混合し、該混合水をTOC除去装置及びカチオン交換樹脂塔に順次通水した後、該カチオン交換樹脂塔の処理水を脱気装置及び逆浸透膜分離装置で処理し、その後、電気再生型脱イオン装置に通水して純水を製造する方法において、
該電気再生型脱イオン装置に導入される給水のpHが4.0〜5.5になるように前記カチオン交換樹脂塔の処理水をpH調整することを特徴とする純水の製造方法。 - 請求項4において、前記pH調整した混合水を脱気装置で処理した後、逆浸透膜分離装置で処理し、その後電気再生型脱イオン装置に通水することを特徴とする純水の製造方法。
- 請求項5において、前記カチオン交換樹脂塔の処理水を脱気装置で処理した後、逆浸透膜分離装置で処理し、その後電気再生型脱イオン装置に通水することを特徴とする純水の製造方法。
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