JP3655666B2 - 頭部装着型ディスプレイ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、使用者の頭部に装着し立体的映像、ステレオ音響を楽しむことができる頭部装着型ディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
頭部装着型ディスプレイ装置(以下、HMDと略称する)は、ゴーグル型、眼鏡型等の装置を頭部に装着し、ケーブルを介して送られてくる映像、音響を視聴するものである。立体映像、ステレオ音響を屋内、屋外を問わず楽しむことができるものとして、若年層を中心に注目されてきている。
一方、医療分野での利用も注目を浴びてきている。これは、外科手術等の医療現場で、医師が患者の手術、治療部位に関する映像情報を見ることによって、肉眼観察できない情報を得ることを目的としている。同時に、装置の切り換え操作によって肉眼観察いわゆるシースルー観察を行う。
【0003】
このHMDに関して、これまで種々提案されてきており、例えば特開平4−63078号公報、特開平4−68777号公報には、図11に示すような装置が提案されている。
この従来例に係る画像表示装置には、画像を視覚化して映し出す小画面50と、広い範囲が映せる凸面鏡の広角反射鏡51と、透明な材質で凹面形成されている拡大反射鏡52が設けられている。そして、小画面50に反射型LCDパネルを使用した場合、画像を表示する側に照明装置53を配設している。
また、小画面50を透過型LCDパネルとして照明装置53の代わりに前方より来る外光を利用する構成も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例には多くの不具合点がある。先ず、透明な材質で凹面形成されている拡大反射鏡を用いることにより、拡大反射鏡で反射してくる画像と拡大反射鏡を透過してくる外界像とが観察者の同じ視野内に入ってしまう不具合がある。特に観察する画像と視距離が近い外界物とは視認されやすく、2つの画像が重なって観察されてしまう。
この対応策として遮光板を用いて外界からの光路を遮ることが考えられるが、透明な材質からなる拡大反射鏡を用いているため、正規の反射面以外の面からの反射光が発生し、正規の反射面以外の面からの反射光はゴースト像あるいはフレアー光として視認されやすくなる。
【0005】
次に、広い範囲を映せる凸面鏡の広角反射鏡を用いることにより、反射した映像は縮小して観察される。したがって、観察する映像の画角を広くするには拡大反射鏡の倍率を上げなければならない。しかし、拡大反射鏡の倍率をいたずらに上げると大きな収差が発生する恐れがあり、特に周辺部の像がボケたり歪んでしまい良好な画像が得にくくなるという問題がある。
次に、装置構成部材のレイアウト上の問題がある。つまり、上記従来例の構成では広角反射鏡が反射型LCDパネルと拡大反射鏡に対してややずれた位置に向かい合わせに配設されている。したがって、観察される映像の光軸が偏心した状態にあり、画像には非軸対称の収差が発生しやすく、この非軸対称の収差は単純な一定曲率の拡大反射鏡を使用するだけでは取り除くことができない。このように観察される映像の光軸が偏心した状態では、画角を大きくすればするほど観察する画像が歪んだり、ボケたりして良好な映像を得にくい。
【0006】
さらに、小画面を透過型LCDパネルとして照明装置の代わりに前方より来る外光を利用する構成は、外光を直接照明光として入射させることと、透過型LCDパネルに直接外光を入射させることによる不具合がある。つまり、透過型LCDパネルに直接外光を入射させると、照明が不均一になり観察される映像に明るさむらが生じる。また、透過型LCDパネルを使用するため、透過率を稼ぐことが難しくなる。
【0007】
本発明は、上記不具合を解決すべく提案されるもので、コンパクトな本体でありながら、照明光の一部が不要光として直接眼に入射することなく、明るくて良好な映像を観察できる頭部装着型ディスプレイ装置を提供することを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る頭部装着型ディスプレイ装置の発明は、
反射光により映像を表示する反射型映像表示素子と、
前記反射光を形成する照明手段と、
前記反射型映像表示素子と前記照明手段との間に配設され、前記映像を観察者の眼球に導く接眼光学系とを有し、
前記接眼光学系は
半透過反射面と、
凹面形状の反射面と、
前記照明手段と前記半透過反射面との間に設けた第1の偏光板と、
前記半透過反射面と観察者との間に設けられ、偏光方向が前記第1の偏光板と直交する第2の偏光板と、
前記半透過反射面と前記凹面形状の反射面との間に設けたλ/4波長板とを有し、
前記照明手段からの照明光を前記第1の偏光板および前記半透過反射面を経て前記反射型映像表示素子に導き、該反射型映像表示素子での反射光を前記半透過反射面および前記λ/4波長板を経て前記凹面形状の反射面で反射させ、該反射光を前記λ/4波長板、前記半透過反射面および前記第2の偏光板を経て観察者に導くようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
請求項1に係る発明によると、照明手段からの照明光が第1の偏光板および半透過反射 面を経て反射型映像表示素子に導かれ、該反射型映像表示素子での反射光が半透過反射面およびλ/4波長板を経て凹面形状の反射面で反射され、さらにλ/4波長板、半透過反射面および第2の偏光板を経て観察者の眼球に導かれて、反射型映像表示素子に表示された映像が観察される。
【0010】
【実施例】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明していく。
図1は、装置を使用している状態を示した図である。図中1は、ディスプレイ装置本体を示し、観察者の顔面に保持されるよう支持部材を介して頭部に固定する。この支持部材は一端がディスプレイ装置本体1に接合され、観察者のこめかみから耳上部にかけて延在する左右の前フレーム2と、この前フレーム2の他端に接合され観察者の側頭部を渡るように延在する左右の後フレーム3と、この後フレーム3の他端同士を結合するように設けられた頭頂フレーム4を有している。 また、前フレーム2における後フレーム3との接合部近傍には、弾性体例えば金属板バネ等で形成されたリアプレート5が接合されている。このリアプレート5は、観察者の後頭部から首のつけ根にかかる部分で耳の後方に位置するリアカバー6に支持されている。7は音響スピーカーである。
【0011】
映像・音声信号等を外部から送信するためのケーブル8は、一端が図示されていない電装部品に接続され、頭頂フレーム4、後フレーム3、前フレーム2、リアプレート5の内部を通りリアカバー6の後端部から外部に引き出されている。 さらに、ケーブル8の他端はビデオ再生装置9に接続されている。9aはビデオ再生装置9のスイッチやボリュウム調整部である。
なお、ケーブル8は先端をジャックにして、既存のビデオデッキ等に接続可能にしてもよい。また、TV電波受信用チューナに接続してTV鑑賞用としてもよく、コンピュータに接続してコンピュータグラフィックスの映像や、コンピュータからのメッセージ映像等を受信するようにしてもよい。また、コードを用いずアンテナを接続して外部からの信号を電波によって受信するようにしてもよい。
【0012】
図2A,B、図3は、本発明とともに開発した第1参考例における装置の概要断面図である。ここで装置とは、照明手段と反射型映像表示素子と接眼光学系を有するものである。図中、図2Aと図3では照明手段として蛍光管10と円柱形の集光用凹面鏡11と拡散板12を設けている。一方、図2Bでは照明手段として平板型蛍光管13を用いている。
なお、蛍光管10と円柱形の集光用凹面鏡11の代わりに小型のランプ球と半球形の集光用凹面鏡を用いてもよい。
反射型映像表示素子としては、反射型LCDパネル14を用いる。この反射型LCDパネル14は、透過型液晶パネルに比較して電極部を画素として利用できる特徴があるため、開口率とコントラストの向上を図れる。
接眼光学系は、図2A、図3の場合はハーフミラー15と全反射の拡大凹面鏡16を有している。この点、図2Bに示すように、ハーフミラー面17aを有するビームスプリッタ17と、凸面を反射面18aにした平凸レンズ18とを一体にしたプリズム光学系19で構成してもよい。
【0013】
次にレイアウトであるが、図2A、図2Bに示すように、上部に照明手段、下部に表示系を配設して向かい合わせ、両者の間に接眼光学系を配設する。この場合、接眼光学系を形成する拡大凹面鏡16あるいは平凸レンズ18の反射面は、観察者の眼20の前方に位置するようになっている。
また、図3に示すように、上部に表示系、下部に接眼光学系の一部を形成する拡大凹面鏡16、観察者の眼20の前方に照明手段を配設し、それらの間に他の接眼光学系を配設してもよい。なお、以上のレイアウトは上下を反転させた構成であってもよい。
【0014】
以上のごとく構成されている第1参考例の作用を図2Aを参照しながら説明する。先ず図示されていない電源をONにして、装置が動作する状態にする。すると、蛍光管10が発光し光は拡散板10で直接散乱されるか、一旦集光用凹面鏡11で反射してから拡散板10で散乱される。このように、拡散板10を配設することにより光が均一に散乱され、むらの少ない照明光を得ることができる。
次に、照明光は、ハーフミラー15を透過し、反射型LCDパネル14を照射して、反射型LCDパネル14に表示された映像が照明光によって照らし出される。
反射型LCDパネル14で反射した光は、映像情報としてハーフミラー15で反射し拡大凹面鏡16に向かい、ここで反射しハーフミラー15を透過して眼20に導かれる。このように拡大凹面鏡16を利用することにより、反射型LCDパネル14に映し出された映像は拡大された虚像として観察される。
【0015】
図2Bの場合についても、平行型蛍光管13から出射された光の眼20に至るまでの光路は同様であるので、説明を省略する。なお、図2Bの場合は、平行型蛍光管13からの光であるので、拡散板12は用いていない。
図3の場合は、蛍光管10からの光は拡散板10で散乱されてハーフミラー15に向かい、ここで反射されて反射型LCDパネル14を照射して、反射型LCDパネル14に表示された映像が照明光によって照らし出される。反射型LCDパネル14で反射した光は、映像情報としてハーフミラー15を透過して拡大凹面鏡16に向かい、ここで反射しハーフミラー15で反射されて眼20に導かれる。
【0016】
このように第1参考例によれば、照明光にむらが少なく、反射型LCDパネルの使用によって明るくコントラストのよい映像が得られる。さらに、ハーフミラーと拡大凹面鏡を用い光路を屈曲させているので、表示系がコンパクトになるとともに、非軸対称の収差の発生がなくなり良好な映像の観察が可能となる。また、接眼光学系にプリズム光学系を用いた場合は、表示系をよりコンパクトにできるとともに、アイリリーフを長くとることができるという効果がある。
【0017】
図4,図5A,Bは本発明とともに開発した第2参考例を示したもので、第1参考例と対応する箇所には同一符号を付した(以下の参考例、実施例についても同様)。第2参考例では、照明手段からの照明光を、ハーフミラーあるいはハーフミラー面を透過させずに、反射型LCDパネル14に斜め方向あるいは側面方向から照射させるようにしている。
つまり、図4では、照明手段を形成する蛍光管10、集光用凹面鏡11を拡大凹面鏡16の横に配設して、反射型LCDパネル14を斜め方向から直接照射するようにしている。なお、照明手段に小型化するため小型の蛍光管10、集光用凹面鏡11を設けているが、拡散板を設けていない。小型の拡散板を設けてもよいことはいうまでもない。
【0018】
図5Aでは、照明手段を形成する蛍光管10、集光用凹面鏡11を拡大凹面鏡16とハーフミラー15との間に配設して、反射型LCDパネル14を斜め方向から直接照射するようにしている。また、反射型LCDパネル14とハーフミラー15を通常の位置より傾けて配設している。
図5Bでは、照明手段を形成する蛍光管10、集光用凹面鏡11をハーフミラー15と反射型LCDパネル14の間に配設して、反射型LCDパネル14を斜め方向から直接照射するようにしている。また、反射型LCDパネル14とハーフミラー15を通常の位置より傾けて配設している。なお、照明手段の照明光をハーフミラーあるいはハーフミラー面を透過させないようにする各部材のレイアウトは、以上の構成に限定されるものでないことはいうまでもない。
【0019】
このように構成されている第2参考例の作用を説明すると、蛍光管10からのの光は集光用凹面鏡11で反射された後、反射型LCDパネル14を直接照射し反射型LCDパネ ル14に表示された映像が照明光によって照らし出される。
反射型LCDパネル14で反射した光は、映像情報としてハーフミラー15を透過した後、拡大凹面鏡16とハーフミラー15で反射し観察者の眼20に導かれる(図4)。あるいは反射型LCDパネル14で反射した光は、ハーフミラー15と拡大凹面鏡16で反射した後、ハーフミラー15を透過して観察者の眼20に導かれる(図5A,B)。
【0020】
このように第2参考例によれば、反射型LCDパネル14の使用によって明るくコントラストのよい映像が得られる。さらに、ハーフミラーと拡大凹面鏡を用いているので、表示系がコンパクトになるとともに、非軸対称の収差の発生がなくなり良好な映像の観察が可能となる。
さらに、第1参考例では照明装置からの照明光がハーフミラーあるいはハーフミラー面を透過した後(図2A、Bの場合)、またはハーフミラーで反射された後(図3の場合)、反射型LCDパネルに入射するようになっていたため、照明光の一部観察者の眼に到達することととなり、このはフレアー光となって映像を白っぽくしていたが、第2参考例では照明光そのものが眼に入射することが避けられ、不要光の少ないクリアな映像を観察できるようになった。
【0021】
6Aは、本発明の一実施例を示したものである。本実施例では、照明装置からの照明光を偏光させ、ハーフミラー、ハーフミラー面、反射型LCDパネルからの不要光を遮断する構成としたものである。
つまり図6Aに示すように、上部に照明手段、下部に表示系を配設して向かい合わせ、両者の間に接眼光学系を配設する。この場合、接眼光学系を形成する平凸レンズ18の反射面は、観察者の眼20の前方に位置するようになっている。
【0022】
また、照明手段である平板型蛍光管13と接眼光学系であるプリズム光学系19の間に第1の偏光板としての偏光板(P)21を設け、プリズム光学系19と観察者の眼20の間に第2の偏光板としての偏光板(S)22を設けている。さらに、プリズム光学系19を形成するビームスプリッタ17と平凸レンズ18との間にλ/4波長板23を設けている。
ここで、各偏光板についてみると、平板型蛍光管13とプリズム光学系19の間の偏光板(P)21は、プリズム光学系19と観察者の眼20の間の偏光板(S)22とは直交する方向に位置させてあるとともに、ビームスプリッタ17と平凸レンズ18との間のλ/4波長板23とも直交する方向に位置させてある。
また、平板型蛍光管13とプリズム光学系19の間の偏光板(P)21の向きはP偏光にし、プリズム光学系19と眼20の間の偏光板(S)22の向きはS偏光にしている。
【0023】
以上のごとく構成されている本実施例の作用を説明する。平板型蛍光管13からの照明光は、偏光板(P)21、ビームスプリッタ17を透過し、反射型LCDパネル14を照射して、反射型LCDパネル14に表示された映像が照明光によって照らし出される。
反射型LCDパネル14で反射した光は、映像情報としてハーフミラー面17aで反射しλ/4波長板23を透過し平凸レンズ18の反射面18aに向かい、ここで反射しλ/4波長板23、ビームスプリッタ17、偏光板22(S)を透過して眼20に導かれる。
【0024】
この場合、照明手段から観察者の眼に至るまでの光の偏光の向きは、偏光板(P)21からλ/4波長板23に至るまではP偏光で、平凸レンズ18反射面18aで反射してλ/4波長板23を透過するとS偏光になり、偏光板(S)22を透過して眼20に導かれるまではそのままである。
一方、平板型蛍光管13から出射されハーフミラー面17aで反射された照明光の偏光の向きはP偏光であるため、眼20の前方に位置する偏光板(S)22で遮断される。また、反射型LCDパネル14で散乱された光がハーフミラー面17aを透過して眼20に向かう場合もP偏光のままであるため、眼20の前方に位置する偏光板(S)22で遮断される。
このように本実施例によれば、反射型LCDパネルの使用によって明るくコントラストのよい映像が得られる。
さらに照明装置からの照明光がハーフミラーあるいはハーフミラー面を透過または反射した後、反射型LCDパネルに入射するようになっていると、照明光の一部はハーフミラーあるいはハーフミラー面で反射または透過されて眼に到達することととなり、この光はフレアー光となって映像を白っぽくしていたが、本実施例では照明光そのものあるいは散乱光を偏光させることにより眼に入射することが避けられ、不要光の少ないクリアな映像を観察できるようになった。
【0025】
図6Bは、本発明とともに開発した第3参考例を示すもので、照明装置を形成する蛍光管10、集光用凹面鏡11からの照明光が異形プリズム光学系24を介して反射型LCDパネル14を斜め方向から直接照射するようにしている。また、反射型LCDパネル14と異形プリズム光学系24の偏光ハーフミラー25を通常の位置より傾けるように構成している。
このように、接眼光学系は平凸レンズ18、偏光ハーフミラー25を有する異形プリズム光学系24として一体化している。また、照明装置と異形プリズム光学系24との間に偏光板26を設け、異形プリズム光学系24を形成する偏光ハーフミラー25と平凸レンズ18の反射面18aとの間にλ/4波長板23を設けている。
また、反射型LCDパネル14の偏光の向きは、照明装置と異形プリズム光学系24との間の偏光板26の向きと同じで、偏光ハーフミラー25で反射する偏光の向きと同じにしてある。ここではS偏光の向きにしてある。なお、照明装置の照明光を偏光させるための各部材のレイアウトは、以上の構成に限定されるものでないことはいうまでもない。
【0026】
以上のごとく構成されている図6Bの作用を説明する。蛍光管10からの光は集光用凹面鏡11で反射された後、偏光板26、異形プリズム光学系24を透過し反射型LCDパネル14を直接照射し反射型LCDパネル14に表示された映像が照明光によって照らし出される。
反射型LCDパネル14で反射した光は、映像情報として偏光ハーフミラー25で反射し、さらにλ/4波長板23を透過して平凸レンズ18に向かい反射面18aで反射し、λ/4波長板23、偏光ハーフミラー25を透過して観察者の眼20に導かれる。
【0027】
この場合、照明手段から観察者の眼に至るまでの光の偏光の向きは、偏光板26からλ/4波長板23に至るまではS偏光で、平凸レンズ18の反射面18aで反射してλ/4波長板23を透過するとP偏光になり、偏光ハーフミラー25を透過して眼20に導かれるまではそのままである。
一方、反射型LCDパネル14で散乱された光が眼20に向かう場合はS偏光のままであるため、偏光ハーフミラー25で遮断される。
【0028】
このように第3参考例においても、反射型LCDパネルの使用によって明るくコントラストのよい映像が得られる。
さらに照明装置からの照明光がハーフミラーあるいはハーフミラー面を透過または反射した後、反射型LCDパネルに入射するようになっていると、照明光の一部はハーフミラーあるいはハーフミラー面で反射または透過されて眼に到達することととなり、この光はフレアー光となって映像を白っぽくしていたが、第3参考例においても照明光そのものあるいは散乱光を偏光させることにより眼に入射することが避けられ、不要光の少ないクリアな映像を観察できるようになった。
【0029】
図7は、本発明とともに開発した第4参考例を示したものである。この参考例ではハーフミラー面と反射面としての凹面鏡を有する接眼光学系を、反射面を無くして少なくとも1枚以上の凸レンズを有する屈折系の接眼光学系27として構成している。
また、接眼光学系27の前方には反射型LCDパネル14を配設し、この反射型LCDパネル14の両側部近傍にそれぞれ蛍光管10、集光用凹面鏡11を有する照明装置を設けてある。
【0030】
このように構成されている第4参考例では、蛍光管10a,10bから出射された照明光は、直接あるいは集光用凹面鏡11a、11bで反射されて反射型LCDパネル14に入射する。反射型LCDパネル14で反射した光は、映像情報として接眼光学系27を透過し、観察者の眼20に導かれる。
以上のごとくこの第4参考例では、前記実施例および参考例と同様に反射型LCDパネル14の使用によって明るくコントラストのよい映像が得られる。さらに、屈折系の接眼光学系27を使用しているので、反射面を利用するものに比較し光学系自体が簡素化されるとともに、コストの低減化を図れるという効果がある。
【0031】
図8は、本発明とともに開発した第5参考例を示したものである。この参考例では、反射型LCDパネル14で反射した光を反射させて観察者の眼20に導く反射面を、偏心するように配設している。そして、この反射面をアナモルフィック反射面29としている。また、照明装置はランプ球28と集光用凹面鏡11を有し、アナモルフィック反射面29の側部近傍に配設している。なお、必要に応じて、反射型LCDパネル14とアナモルフィック反射面29との間にリレー光学系を挿入してもよい。
【0032】
このように構成されているので、ランプ球28から出射された照明光は、直接あるいは集光用凹面鏡11で反射されて反射型LCDパネル14に入射する。反射型LCDパネル14で反射した光は、映像情報としてアナモルフィック反射面29に向かいここで反射され、観察者の眼20に導かれる。
この場合、反射型LCDパネル14は反射面に対して偏心しているため、反射面を一定曲率の凹面に形成すると、観察される映像に非軸対称の収差が生じてしまう。しかし、第5参考例のように反射面にアナモルフィック反射面29を用いることにより、非軸対称の収差を補正することができる。
以上のごとく構成されている第5参考例では、前記実施例および参考例と同様に反射型LCDパネル14の使用によって明るくコントラストのよい映像が得られる。さらに、偏心したアナモルフィック反射面29を用いることにより、簡素な構成でありながら画角を広げることができ良好な映像を観察できるようになる。
【0033】
図9A,B、図10は、本発明とともに開発した第6参考例を示したものである。この参考例では、前記実施例における照明手段と異なり、蛍光管と集光用凹面鏡、あるいは平板型蛍光管を用いず、外光を照明光として用いている。
図9Aは、上方に照明手段からの外光を取り入れる外光採り入れ部、下部に表示系である反射型LCDパネル(反射型映像表示素子)14を配設して向かい合わせ、両者の間に接眼光学系を配設する。この場合、接眼光学系をハーフミラー面17aを有するビームスプリッタ17と、凸面を反射面18aにした平凸レンズ18とを一体にしたプリズム光学系19で構成している。
【0034】
照明手段としては外部照明機器30を用い、外光採り入れ部には窓31が設けられ、この窓31には拡散板12が付設されている。なお、窓31、拡散板12の配設位置は反射型LCDパネル14との対応関係で最適な位置を選択すればよく、上方に限定されるものではない。また、窓31には集光用のレンズを取り付けておいてもよい。また、拡散板12にはすりガラス、乳白板、微細なマイクロレンズを集積したプレート、回折格子板等を適宜選択使用すればよい。
【0035】
このように構成されているので、外部照明機器30からの外光は拡散板12で散乱された後、プリズム光学系19に導かれる。次に、外光である照明光は、ハーフミラー面17aを透過し、反射型LCDパネル14を照射して、反射型LCDパネル14に表示された映像が照明光によって照らし出される。
反射型LCDパネル14で反射した光は、映像情報としてハーフミラー面17aで反射し平凸レンズ18に向かい、反射面18aで反射し再びハーフミラー面17aを透過して眼20に導かれる。
【0036】
図9Bでは、窓31と拡散板12を拡大凹面鏡16とハーフミラー15との間に配設し、外部照明機器30からの外光が反射型LCDパネル14を斜め方向から直接照射するようにしている。また、反射型LCDパネル14とハーフミラー15を通常の位置より傾けて配設している。
このように構成されているので、外部照明機器30からの外光は拡散板12で散乱された後、反射型LCDパネル14を直接照射し反射型LCDパネル14に表示された映像が照明光によって照らし出される。反射型LCDパネル14で反射した光は、ハーフミラー15と拡大凹面鏡16で反射した後、ハーフミラー15を透過して観察者の眼20に導かれる。
【0037】
図10では、反射型LCDパネル14で反射した光を反射させて観察者の眼20に導く反射面を、偏心するように配設している。そして、この反射面をアナモルフィック反射面29としている。また、窓31と拡散板12をアナモルフィック反射面29の側部近傍に配設している。
このように構成されているので、外部照明機器30から出射された照明光は、拡散板12で拡散され反射型LCDパネル14に入射する。反射型LCDパネル14で反射した光は、映像情報としてアナモルフィック反射面29に向かいここで反射され、観察者の眼20に導かれる。
【0038】
以上のごとく構成されている第6参考例では、前記実施例と同様に反射型LCDパネル14の使用によって明るくコントラストのよい映像が得られる。さらに、照明光として外光を利用するようになっているので、消費電力を少なく押さえることができるという効果がある。
【0039】
以上の実施例、参考例に記載された内容は、以下のように捉えることもできる。
1.反射光により映像を表示する反射型映像表示素子と、前記反射光を形成する照明手段と、前記映像を観察者の眼球に導く接眼光学系を設けるとともに、前記接眼光学系に凹形状の全反射部材を設け、接眼光学系により形成される光軸に対し表示面が略直交するように反射型映像表示素子を設けたことを特徴とする頭部装着型ディスプレイ装置。
第1項によれば、反射型映像表示素子を用いているので、得られる映像が明るく高コントラストになる。また、全反射部材を用いているので、得られる映像が明るく、さらに光路が屈曲されることにより表示系がコンパクトになる。
【0040】
2.前記接眼光学系にビームスプリッタと全反射する凹面形成の反射部材を設けるとともに、前記反射型映像表示素子からの反射光光軸に対し直交する方向に前記反射部材の反射面を位置するように構成したことを特徴とする第1項記載の頭部装着型ディスプレイ装置。
第2項によれば、ビームスプリッタと凹面形成の反射部材を用いているので、表示系がきわめてコンパクトになる。また、反射型映像表示素子からの反射光光軸に対し直交する方向に反射部材の反射面を位置するようにしているため、光軸が屈曲していても偏心しないため、非軸対称の収差の発生を防止できる。
【0041】
3.前記ビームスプリッタをプレートまたはキューブ状のハーフミラーとしたことを特徴とする第2項記載の頭部装着型ディスプレイ装置。
第3項によれば、ビームスプリッタとキューブ状の反射部材を用いているので、表示系がきわめてコンパクトになる。
【0042】
4.前記接眼光学系に、ビームスプリッタと凹面形成の反射部材を一体化したプリズムを設けたことを特徴とする第2項記載の頭部装着型ディスプレイ装置。 第4項によれば、プリズムを用いたので表示系がコンパクトになるとともに、眼と接眼光学系の間のアイリリーフを長くとることができる。
【0043】
5.前記接眼光学系の光路中に、互いに直交する第1の偏光板と第2の偏光板さらにλ/4波長板を設けるとともに、前記第1の偏光面は前記ビームスプリッタの前記照明手段側に、第2の偏光面は前記ビームスプリッタの観察者側に、前記λ/4波長板は前記ビームスプリッタと前記凹面形成の反射部材との間にそれぞれ設け、前記第1の偏光面の向きは前記反射型映像表示素子の偏光面の向きと同じにしたことを特徴とする第2項記載の頭部装着型ディスプレイ装置。
第5項によれば、光学系の光路中に互いに直交する第1の偏光板と第2の偏光板さらにλ/4波長板を設けたので、照明手段からの照明光あるいは反射型映像表示素子からの散乱光が不要光として遮断される。
【0044】
6.前記凹形状の全反射部材をアナモルフィック反射部材で形成するとともに前記アナモルフィック反射部材に対して偏心した位置に前記反射型映像表示素子を配設したことを特徴とする第1項記載の頭部装着型ディスプレイ装置。
第6項によれば、アナモルフィック反射部材に対して偏心した位置に反射型映像表示素子を設けているので、発生する非軸対称の収差を補正しながら、画角を広くすることができる。
【0045】
7.反射光により映像を表示する反射型映像表示素子と、前記反射光を形成する照明手段と、前記映像を観察者の眼球に導く接眼光学系を設けるとともに、前記接眼光学系に1枚以上の凸レンズを含む屈折系のレンズを設けたことを特徴とする頭部装着型ディスプレイ装置。
第7項によれば、反射型映像表示素子を用いているので、得られる映像が明るく高コントラストになる。また、屈折系の接眼光学系を用いているので、装置構成の簡素化、組み立て容易性、低コスト化を図れる。
【0046】
8.反射光により映像を表示する反射型映像表示素子と、前記反射光を形成する外界光を導入する位置に配設した拡散板と、前記映像を観察者の眼球に導く接眼光学系を設けたことを特徴とする頭部装着型ディスプレイ装置。
第8項によれば、反射型映像表示素子を用いているので、得られる映像が明るく高コントラストになる。また、照明光として外界光を用いるため、消費電力を低く押さえることができる。
【0047】
9.前記拡散板として、すりガラス、乳白板、マイクロレンズ板、回折格子のいずれかを選択使用することを特徴とする第8項記載の頭部装着型ディスプレイ装置。
第9項によれば、外界光をむらなく均一に導入することができる。
【0048】
10.反射光により映像を表示する反射型映像表示素子と、前記反射光を形成する照明手段と、前記映像を観察者の眼球に導く接眼光学系を設けるとともに、前記反射型映像表示素子を液晶表示素子で形成し、前記照明手段は前記液晶表示素子から観察者の眼球までの光路外に配設したことを特徴とする頭部装着型ディスプレイ装置。
第10項によれば、液晶表示素子で形成した反射型映像表示素子を用いたので観察する映像が明るく、高コントラストになる。また、照明手段を観察者の眼球までの光路外に配設したので、照明系が直接眼に入射することを防止でき、フレアー光を低減することができる。
【0049】
11.前記接眼光学系にビームスプリッタと全反射する凹面形成の反射部材を設けるとともに、前記反射型映像表示素子からの反射光光軸に対し直交する方向に前記反射部材の反射面を位置するように構成したことを特徴とする第10項記載の頭部装着型ディスプレイ装置。
第11項によれば、ビームスプリッタと凹面形成の反射部材を用いているので、表示系がきわめてコンパクトになる。また、反射型映像表示素子からの反射光光軸に対し直交する方向に反射部材の反射面を位置するようにしているため、光軸が屈曲していても偏心しないため、非軸対称の収差の発生を防止できる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明によると、照明手段からの照明光を第1の偏光板および半透過反射面を経て反射型映像表示素子に導き、該反射型映像表示素子での反射光を半透過反射面およびλ/4波長板を経て凹面形状の反射面で反射させ、さらにλ/4波長板、半透過反射面、および第1の偏光板とは偏光方向が直交する第2の偏光板を経て観察者の眼球に導くようにしたので、全体として、コンパクトな本体でありながら、照明光の一部が不要光として直接眼に入射するのを防止できると共に、偏光板の使用によって照明光の利用効率を高めることができ、明るくて良好な映像を観察者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 装置を使用している状態を示した斜視図である。
【図2】 本発明とともに開発した第1参考例に係る装置の概要断面図である。
【図3】 同第1参考例に係る装置の概要断面図である。
【図4】 本発明とともに開発した第2参考例に係る装置の概要断面図である。
【図5】 同第2参考例に係る装置の概要断面図である。
【図6】 本発明の一実施例に係る装置の概要断面図、および本発明とともに開発した第3参考例に係る装置の概要断面図である。
【図7】 本発明とともに開発した第4参考例に係る装置の概要断面図である。
【図8】 本発明とともに開発した第5実施例に係る装置の概要断面図である。
【図9】 本発明とともに開発した第6参考例に係る装置の概要断面図である。
【図10】 同第6参考例に係る装置の概要断面図である。
【図11】 従来例に係る装置を使用している状態を示した斜視図である。
【符号の説明】
13 平板型蛍光管
14 反射型LCDパネル
17 ビームスプリッタ
17a ハーフミラー面
18 平凸レンズ
18a 反射面
19 プリズム光学系
20 眼
21,22 偏光板
23 λ/4波長板

Claims (1)

  1. 反射光により映像を表示する反射型映像表示素子と、
    前記反射光を形成する照明手段と、
    前記反射型映像表示素子と前記照明手段との間に配設され、前記映像を観察者の眼球に導く接眼光学系とを有し、
    前記接眼光学系は
    半透過反射面と、
    凹面形状の反射面と、
    前記照明手段と前記半透過反射面との間に設けた第1の偏光板と、
    前記半透過反射面と観察者との間に設けられ、偏光方向が前記第1の偏光板と直交する第2の偏光板と、
    前記半透過反射面と前記凹面形状の反射面との間に設けたλ/4波長板とを有し、
    前記照明手段からの照明光を前記第1の偏光板および前記半透過反射面を経て前記反射型映像表示素子に導き、該反射型映像表示素子での反射光を前記半透過反射面および前記λ/4波長板を経て前記凹面形状の反射面で反射させ、該反射光を前記λ/4波長板、前記半透過反射面および前記第2の偏光板を経て観察者に導くようにしたことを特徴とする頭部装着型ディスプレイ装置。
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